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  • 決闘バトルロイヤル @ ウィキ
  • 刃骸魔境 ─乱舞Escalation─

決闘バトルロイヤル @ ウィキ

刃骸魔境 ─乱舞Escalation─

最終更新:2025年06月17日 19:03

zombi2baisoku

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「弱い!弱過ギるぞ猿!所詮ハ滅び行クダケの脆き下等種族カ!」
「一々煽んないでよ!ほんっとに性格悪い!」

状況は悪化の一途を辿っている。
正面切って剣戟を展開可能な黒死牟、ベストタイミングでの援護を行ういろは。
両名が一時的に戦線離脱し、結芽単独でデェムシュを相手取る羽目になった。
どれ程分が悪いかの説明を懇切丁寧に行うまでもなく、回避へ専念するので手一杯。
時折刀が胴を叩くも、ダメージらしいダメージは一切なし。
だったら胸部へ浮かぶ、恐らく自分や黒死牟が放送前に付けた傷痕を狙うも効果はイマイチ。
率直に言って、破壊力が大きく足りない。

「蒼炎の剣士の効果を発動!」

遊星の宣言通り、自身の攻撃力低下を代償に結芽を強化。
600ポイントアップは少なくないが多くもない、しかし微量だろうと力を上げねば勝てない。
細い腰へ迫る大剣を防ぎ、歯を食い縛って押し返す。
体勢を崩せれば隙が生まれるのだが、巨体をグラつかせるには腕力が不足。
反対に太い足で蹴りが放たれ、全身を大きく反らしながら後退。

(マズいな……)

結芽一人でデェムシュと戦うのは無茶と、天津達もすぐに察したのだろう。
ブレイドを押さえ、遊星を援護に向かわせた。
なれど状況は芳しくない。
引いたカードによって戦況が左右されるとはいえ、今のままでは壁モンスターをチマチマ並べるのが精一杯だ。
少しでも結芽への脅威を肩代わりすべく、スケープゴートを発動したが気付けば既に一体のみの有様である。

「猿ノ小細工ニモ期待できンか!ナらバ揃って死ヌがイイ!」
「勝手に終わりにしないで欲しいんだけど!」

城之内の時程のトリッキーな戦法は無く、デェムシュの中で決闘者への警戒度も多少低下。
見下し敗北を突き付けるが、そんなつまらない最期を共に戦う少女が否定する。

「こんな奴に好き勝手言われたままじゃ、おにーさんだってムカつくでしょ!」

刀身越しに走る痺れで得物を落としそうになるも、決して放すまいと握り締め背後へ叫ぶ。
最初はカードで戦うなんてピンと来なかったし、一緒に戦うのだって群れてるみたいで良い気分じゃなかった。
しかし一度はデェムシュへ食らい付かせてくれた城之内を、片腕が使い物にならなくなって尚大尉に勝利を収めた遊星を。
最後の最後まで降参(サレンダー)を跳ね除け、戦い抜いた決闘者(デュエリスト)達を見て来た結芽だから言える。
きっと此度も、強敵へ一泡吹かせられると。

「…ああ!ここからが、本当の勝負だ!」

仲間からこう言われ、彼女なりの信頼を向けられたなら応えない訳にはいかない。
戦意が燃え上がる、絆を信じる心が新たな可能性を引き寄せる。
覚えのある感覚に逆らわず、勝利への鍵(ピース)を掴み取るべく手を翳す。
これは自分一人の戦いではない。
結芽と、力を貸してくれるカード達と、デッキを遺していった戦友。
たとえ城之内自身はもうこの世にいなくても、決闘者にとって最大の相棒とも言えるデッキがあるならば。
己が魂の叫びに、必ずや応えてくれる。

「――っ!?これは……」

そうして心意は、再び遊星へ微笑む。
無から生み出した、或いは引き寄せた可能性を実体に変えた。
現れたカードはホカクカードでもなければ、城之内のデッキにも存在しなかった一枚。
戦況を変えられるかもしれないが、デュエルモンスターズの宿命と言うべきか。
サテライト・ウォリアー同様、手札から出して即発動とはいかない。
必要なキーカードを揃える必要があり、現状ではただの紙同然。

「俺のターン!ドロー!」

だったら引き当てるまで。
絶体絶命の状況で、一度のドローに全てが懸かった場面は初めてじゃない。
これまでと同じ、デッキを信じるだけ。

「よし…!手札から運命の宝札を発動する!」

サイコロを振り出た目の数ドローを行い、その後同じ枚数をデッキから墓地へ送る。
運次第だが手札補充と墓地の環境調整を同時に行う、起死回生の一手。
出目は3、新たに手札を増やし――勝機を掴んだ。
黒き竜が遊星の元へ渡ったのだ。

「儀式魔法、レッドアイズ・トランスマイグレーションを発動!蒼炎の剣士と手札の真紅眼の黒竜をリリースして、ロード・オブ・ザ・レッドを召喚!結芽!受け取ってくれ!」
「うん!って、なにこれ!?」

先んじて結芽を強化したモンスターと、手札の黒竜を捧げ降臨させる。
但しフィールドにそのまま出すのではなく、仲間への装備としてだ。
結芽が驚くのも当然の反応だろう、てっきり剣を寄越すのかと思ったらまるで違う。
幼い肢体を覆い隠す、黒く輝く竜の装甲。
背には剣のように鋭利な翼を生やし、臀部からは太くうねる尾が出現。
加えて頭部は黒竜を模した兜を装着、両手と顔面以外全てに鋼鉄を纏った。
S装備とも大きく異なる鎧姿の結芽は、困惑を露わに全身を見回す。

別の世界線の城之内が、ドーマの三銃士のヴァロンとのデュエルで召喚した儀式モンスター。
城之内自身がパワードスーツのように装備し、相手プレイヤーとの壮絶な死闘を繰り広げた。
デュエルでありながら、リアルファイトでもある特異性は殺し合いでも健在。
結芽に装備させる形で召喚を果たしたのだった。

「もう!着させるなら先に言ってよね!でも、何かいけそうかも!」
「ガラクタを纏っタ所デ何だトイうのダ!」

予想してなかった為少々抗議を入れるも、切り替えデェムシュへ斬り掛かる。
黒い手袋と違い、仲間との協力があって齎された力だ。
なら抵抗感なしで戦える。
見た目が多少変わった程度で動じないデェムシュの大剣と、御刀が真っ向から激突。

先程までなら力負けし吹き飛んだろうが、もうそうはいなかない。
2400の攻撃力を結芽の元々の強さに上乗せし、大幅な強化が叶ったのだ。
押し負けず拮抗、刀身がギリギリと擦れ火花が散る。
互いに弾かれ、秒と掛けずに再度激突。
デェムシュの薙ぎ払いを劣らぬ膂力で叩き落とし、床を踏み砕きながら突きを繰り出す。

「猿ノ小娘がァッ!!」

切っ先が僅かに触れるのすら許さない、打ち払い反対に首目掛け大剣が駆ける。
甲冑を纏っていようと無関係、隠れた細い首共々粉砕するまで。
2000を超える守備力があっても、デェムシュ相手に慢心は抱けまい。

「猿猿猿って、同じことしか言えないおにーさんの方がお猿さんだと思うなっ♪」

ロード・オブ・ザ・レッドを装備しても、迫り来る死には背に冷たいモノが落ちる。
だが馬鹿正直に緊張を面に出し相手を調子付かせるのは、癪なのでお断り。
小生意気に笑い飛ばし跳躍、シュイムの刀身へと着地。
写シを使用中なのもあるが、鎧を纏っているのに身軽に動ける。
耐久性を犠牲に機動力が低下、といったデメリットは皆無らしい。
生身の時と謙遜ない戦闘が可能ならこっちのもの、刀身から更に跳び上がり頭上を確保。
落下の勢いを利用し刀を振り下ろせば、向こうも咄嗟に得物を翳して防ぐ。

「ヌグ……!」

しかし容易く受け止めた数分前と同じと思ったら大間違い。
斬られはしないが衝撃が伝わり、堪らず後方へよろける。
チャンス到来に畳みかけるべく懐へ潜り込むが、後方へデェムシュが大きく跳び距離を離す。
逃げる為でないのは、周囲に発生した熱と冷気からも明白。
火球と氷柱を同時に連射、ドラゴンフルーツエナジーロックシードの強化を経て数も倍増。
火達磨か串刺しか、どちらであっても惨たらしい最期なのは同じ。

「今更そんなので止まらないよ!」

初戦の時なら厄介と感じたろう光景も、結芽を怯ませる効果は期待できない。
耐久性を過信する気はないけれど、仲間の支援に背中を押されれば後退は選ばない。
火炎と氷結の渦を突っ切れるだけの力がある。
それでも足りない分は結芽自身の技量で補えば良い話だ。

縦横無尽に戦場を駆け、二つの弾幕を斬り落とす。
時折多少の着弾を許すも、ダメージとしては致命傷に程遠く写シも剥がれない。
恐れるに足りないと距離を詰め、自らの刃の間合いへ到達。
いい加減強烈な一刀をお見舞いしてやりたいと、不満が高まっていた所なのだから。

「猿がドれだけ力を付けよウト無駄だ!己が身デ愚カサを知ルガイい!」

氷柱の射出だけが主霊石の全てでない事を、再び体へ教えてやる。
憤怒と共に念じ力を引き出す、先の氷の柱をも超える術が発動。
冷気が彼らの頭上高くへ収束し、絶望の具現化を果たす。
ただひたすらに巨大で無骨な、触れる全ての命を凍てつかせる大剣が出現。

「あそこまでの大きさを…!?」
「ちょっとやり過ぎじゃないのアレ!?」

これまで見せた主霊石の力を遥かに上回る秘奥義。
広範囲の地面凍結も面倒だったが、厄介度で言えば落ちて来る大剣が勝った。
軽く引きつつ文句を言う結芽を尻目に、遊星も目を見開き焦燥感を抱く。

余裕が剥がれ落ちる人間達をオーバーロードが嘲笑い、

「あれって…!」
「ふむ……規模だけなら……童磨にも匹敵か……超えるやもしれん……」
「感心してる場合じゃないですよ!?」

魔法少女と鬼が、敗北の幕引きを打ち砕く。

瓦礫の山を細切れにした黒死牟に並び、いろはもまた一刻の猶予も無いと分かった。
ほんの少し戦場から離れた間に、何やらとんでもない事態になった様子。
単体でここまでの力を引き出す強敵へ身震いするも、慄く為に戻って来たんじゃあない。
気を引き締め、勝負に出るべく手を伸ばす。
自分と彼で、凍てつく世界を共に消し去れる筈。

やる気に満ち溢れるいろはと反対に、黒死牟は喧騒をどこか遠くに感じつつ考える。
横に立つ娘からの提案を馬鹿正直に受け入れるのが、本当に己の在り方なのか。
人間と協力するなど、それが確実な勝利に繋がると本気で思っているのか。
もっと自分らしいやり方があるだろう。

食えば良い、肉を喰らって糧にし強くなれば良い。
始祖の血を受け入れ、激痛に悶え苦しんだ末に順応し早数百年。
鬼狩りを斬っては食らい、斬っては食らいの繰り返しで力を付けた。
今までと同じ方法で、人間共を己が勝利の為の礎にする事こそが正しい。
そう嘯く声は自分自身のにも、或いは主の声にも聞こえる。
逆らう理由はない、鬼とはそのような存在だと――

「お願いします!黒死牟さん!」
「……………」

沈んだ思考は、煩わしくも無視出来ない声で引き上げられた。
浮かべた鬼としての在り方は、視界へ映り込む桜色に取り払われた。
六眼を射抜く瞳は出会って間もない時と、自分を助けるとのたまった瞬間から何一つ変わっていない。
こちらが今正に食らおうかと考えていたなんて、微塵も思い付かないだろう。
打算も疑いもなく共に戦えば必ず勝てる、そう一切の澱みが宿らぬ顔で伝えて来る娘に。
己が内で傾き掛けた天秤の重しは崩れ、砂の城ように消える。
本当にこいつは一体何なのだろうか、数えるのも馬鹿らしくなったため息を零し、

翳したいろはの掌に、自分のを重ねた。

コネクト、本来はソウルジェムが核となる魔法少女同士の術技。
一方の魔力をもう片方へ付与し、異なる属性を合わせ高位の力に変える。
インキュベーターとの契約を行った魔法少女、という条件がコネクトの大前提。
しかし檀黎斗のゲームでは、神浜市での前提が大きく覆る。
例を上げれば七海やちよと千代田桃。
冴島邸前で起きた戦闘で、彼女達は魔法体系が全く異なるにも関わらずコネクトを発動させた。
魔力か類する力があるなら、インキュベーターと契約した魔法少女でなくともコネクトは可能。
黎斗がそのように調整を行った証拠である。

いろはが黒死牟とのコネクトが可能となった要因は、主に二つ。
黒死牟に限らず無惨配下の鬼は、血鬼術と呼ばれる異能力を使う。
体内を流れる鬼の血、若しくは目に見えぬ形で溜め込まれたエネルギープールか。
いずれにしろ術の発動に必要不可欠な力の源が、魔力の代用となった。

もう一つはデェムシュの手から離れ、先程回収した武器。
ザンバットソード、ファンガイアの王の為に作られた『キバの世界』にただ一つの魔皇剣。
その刀身は魔皇石の結晶から削り出された為、剣自体に強大な魔皇力が宿っている。
異なる魔力を組み合わせれば暴走の危険性も無視出来ないが、鍔のように噛み付く巨大蝙蝠が問題をクリア。
幻影怪物ザンバットバットは元々、魔力のコントロールを目的に生まれた存在。
所持者が紅渡でなくとも役目を果たし、コネクトを成功させたのだった。

熱を帯びた魔力が流れ込む。
全集中の呼吸による、血液が沸騰する感覚とはまた違う。
自身を狂わせた弟の、魂までもを焼き尽くす日輪の熱さでもない。
暖かさと言った方が正しい熱は、人間ならばきっと心地よさを覚えるのだろう。
鬼である黒死牟にとっては相容れぬ、纏わり付くようで鬱陶しさがあった。

されど、力を齎したのも事実。
地上の猿に終焉の刻を与える大剣を見上げ、魔皇剣が半月を描く。

桜が舞った。
死を運ぶ三日月は現れず、無数の花弁が氷の剣を覆う。
永遠に凍り付く世界を否定し、暖かき季節の到来を思わせる光景。
幻想的なれど、真紅の騎士には猿の三文芝居以外のなにものでもない。
そんなもので何が出来る、自分を笑わせるのが目的かと嘲る。

「ナん…だト……!?」

凍り付いたのは憎たらしい猿達ではなく、醜悪なデェムシュの笑い。
地上への到達を待たずして氷の大剣が砕け散る。
降り注ぐ凶器にすらなれず、破片も残さず切り刻まれた。
何が起きた、あれは何だと混乱が湧き上がるも長続きしない。

「ぬグオ!?」

桜吹雪はデェムシュにも殺到し、真紅の肉体を余す事無く隠す。
胴を、四肢を、首を、頭部を、得物を撫でられ嫌でも気付かされる。
花弁一枚一枚が、全て凶器なのだ。
三日月状の極小の刃を桜色の魔力が包み、舞い散る花弁を模った。
全身を絶えず斬撃が襲い、無数の細かな剣が外殻を削り取る。
シュイムを振るい叩き落としても終わりが見えない、氷の大剣と同じになるまで続くと言うのか。

「舐めルナ猿メェッ!!!」

気体化し回転、全身を赤い竜巻に変え花弁を吹き飛ばす。
範囲に優れる力が使えるのはこちらも同じ、対処出来ない道理はない。
桜吹雪が儚く消え去り、残ったのは無数の細かな傷こそ負ったが五体満足のデェムシュ。

「下ラん!猿ノ茶番で俺を――っ!?」

言葉が途切れ膝を付く。
プライドの高いデェムシュらしからぬ醜態へ出る程の異変が、体内で起きている。
数百枚に及ぶ花弁を消し去ったが全てじゃない。
ロックシードを食らい進化しても消えなかった傷痕から入り込み、十数枚の刃が内側で暴れ狂っていた。

「う、ゴ、オぉオオオオオオオオオオオッ!?」

如何に進化体のデェムシュと言えども、体内の強度は変えられない。
鬼の刃が刻み、魔皇力が蝕み、魔法少女の魔力が焼く。
それぞれ異なる世界の力が合わさり、オーバーロードを勝利から引き摺り落とす。
胸部の傷痕は範囲を広げ続け、内側から深い裂け目を生み出した。

「こ…ノ……程度がどウした……!!」

人の体でなくとも重傷なのは、誰の目にも明らか。
だがデェムシュは激痛をも怒りで塗り替え、戦闘続行を選択。
フェムシンムである自分がこの島に来てから、未だ只の一人も殺せていない。
放送を超えても猿へ屈辱を味合わされ、沢芽市を襲った時以上の激情が湧き上がる。

だから撤退は選ばない、選べない。
戦士としての合理的判断を捻じ伏せ、殺意の二文字が脳内を支配。
殺す、今度こそ憎き猿共を一人残らず殺す。

「死ヌのハ貴様ラだ猿!!」

怒声を放ち向かって来る異形を前に、黒死牟は構えない。
妖刀と魔剣、己が手にある得物はどちらも下げたまま。
直に殺意を浴びせられたなら、同様に殺意で以て応えねば不作法。
だというのに刀を抜かない理由は、無限城の最期が後を引き未だ戦意を取り戻せないから。

或いは、自分以外の者が決着を付けると理解した為か。

「だーかーらー、二回も言わせないでよ」

異形の前に躍り出たのは、黒竜の甲冑を纏いし刀使。
頬を膨らませ不満を露わにしつつも、発する空気は抜き身の刃の如き鋭さ。
細めた瞳は赤い強敵をしかと捉え、一挙一動を決して見逃さない。

「そっちから喧嘩売っといて、無視するのはマナー違反だよね?」
「知ルか猿がァっ!!!」

元より猿との会話は求めない。
多少順番が入れ替わっただけで、黒死牟も結芽も殺したい相手なのに変わりはない。
主霊石を砕けん程に握り締め、氷柱の剣山を足元に生成。

「さっきも言ったでしょ!今更この程度じゃ止まらないって!」

翼を広げ猛加速、立ち塞がる剣山を豪快に斬り砕く。
チマチマ小細工で勝って嬉しいのか、そう言わんばかりに不敵な笑みを見せる。
舐められたと、デェムシュの怒りを引き摺り出す効果は抜群。
猿の驕り共々打ち砕く刃を振り下ろし幕引きだ。

(思い出せ――)

病ではなく怪物の手による死が迫るも、焦燥は抱かずじっと見据える。
脳裏へ浮かぶのは数時間前の、上弦の壱との斬り合い。
ほんの一瞬だけ到達した世界へ、今再び踏み込まんと臨む。
闘争への歓喜が灼熱となる心はそのままで、脳は波立たぬ水面のように。
五感全てを、目で見える以外の情報を余さずに受け入れる。

剣が迫る、動かない。
剣が迫る、恐怖や焦りを排除。
剣が迫る、だけど心の火は絶対に絶やさない。
剣が迫る、

(――――――見えた)

1秒にも満たない、瞬きしたら終わってしまうくらいに短い。
六眼の侍の領域にはまだまだ遠く及ばないけど、でも。

「――――――ッ!!!!!!!???!!」

シュイムが食い破る筈の娘は、僅か数歩で位置を変え回避。
霞を払ったとしか思えぬ手応えの無さに、空振りの理解すら叶わない。
魔法少女と鬼が作り上げた裂け目へ、深く深く刃が捻じ込まれ。
逃れられない終わりを、確かに届けた。

「オ……オ…ォ…オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

死ぬ。
底抜けの器から水が溢れるように、デェムシュを生かす力が抜け落ちる。
ヘルヘイムの侵食に適応出来なかった弱き種族と同じ、死という結末が足音を立てやって来る。
認めない、何度突き付けられても認めはしない。
朽ち果てるのを待つ身のどこにまだ、抗えるだけの力が残っていたのか。
狂ったように火球をばら撒く。

壁や天井を片っ端から壊し、日の光で照らし尽くす気か。
許し難い鬼だけでも殺すつもりだろうが、望んだ展開にはさせない。
幾度も斬り合い、散々暴れ回ったのが原因でデェムシュのデイパックに切れ目があった。
そこから落ちて床に転がった支給品を、遊星が駆け出し掴む。
ウィザードに変身中なのもあって、生身以上の走力を発揮。
火球の巻き添えになる前に確保に成功、どんなアイテムかもシーブロックと呼ばれる視覚機能で遠目に確認済だ。

「フィールド魔法、闇を発動!」

宣言と同時に病院を含めた付近一帯が闇に覆い尽くされる。
名前の通り、フィールドに闇を展開するデュエルモンスターズのカード。
特定種族へ微々たるものだが強化を行う、という効果以上の恩恵がこの状況。
ドームのように広まった闇は太陽光を遮断し、鬼の天敵を寄せ付けない。

「アンタが持ってた方が良い筈だ」

投げ渡されたカードを咄嗟に掴み、目を細め手元に視線を落とす。
こういった道具を主は強く欲するだろうに、よもや自分の方が先に手に入れるとは。
何とも言えぬ思いがよぎるのも束の間、黒死牟の意識を騎士の声が引き戻す。
消滅の時へ必死の抵抗を続け、未だ生へしがみ続けている。
頸を落とされ抗った末の崩壊を想起させ、苦々しさに頭蓋が軋んだ。

「死なン…!猿如キに俺が殺さレルもノか……!」

火球を放ち牽制しつつ、全身へ伸びる冥府からの手を振り解く。
人間達の足を止めた隙に、赤い霧へ変化し天高く飛び上がる。
今しがた開けたばかりの穴から脱出、脇目も振らずに遠ざかって行った。
眼下で起こる喧騒には最早、気を割く余裕がない。

「ふざけんな!(迫真) 一人だけ勝手に逃げるとか頭に来ますよ!」

協力相手の逃走は野獣先輩にも見え、自分勝手な行動へ憤りを隠せない。
しかも一人も殺せておらず、とんだ役立たずだと届かぬと分かっていながらも罵声を放った。
その間、戦闘の手は休めず二人のライダーと鎬を削る。
キングフォームの能力とスタープラチナを駆使し渡り合う、だが結芽達が加勢に来れば流石にこちらが不利。
自身も撤退を視野に入れつつ、ただせめて一人くらいは仕留めておきたい。

「「スタープラチナ・ザ・ワールド」」

重なる声が合図となり、世界は二人の男以外の侵入を阻む。
スタンド同士がラッシュを繰り広げる一方で、本体も得物を用いて激突。
打撃の嵐を黄金の大剣が捌き、至近距離で放った電撃をツインブレイカーが強引に薙ぎ払う。
2秒を超える時の支配は共に不可能、再び動き出した世界で野獣先輩が一手早く動き出し、

「ロード・オブ・ザ・レッドの効果発動!」
「りょーかいっ!」

決闘者の宣言が好き勝手に歯止めを掛けた。

自分以外のモンスター効果・魔法・罠の発動があった時、そのカードかフィールド上のモンスター一体を破壊する。
1ターンに一度という制約こそあれど、シンプルながら強力な効果だ。
スタープラチナの時間停止を遊星は正確に把握してないとはいえ、度々奇怪な現象を見れば凡その察しは付く。
今回は野獣先輩を対象に発動、ロード・オブ・ザ・レッドを纏った結芽が飛翔。
全身に火炎を纏い急降下、汚らしい身を包んだ黄金を叩っ斬る。

「アツゥイ!」

どこぞの日本ペイント社員のように、ゲスく汚い悲鳴を上げる。
重厚な鎧を着込んで尚殺せぬダメージに悶えるも、ホモ特有のしぶとさで反撃に出る。
ただでさえ放送前からメスガキに余計な邪魔をされ、今もまた別のメスガキの妨害を受けた。
怒り向けるメスガキの片方が、いろはの探す柊ねむだとは知る由もなく。
仮面の下で修羅の形相を作り、キングラウザーにラウズカードを装填。

『SPADE 10』

『JACK』

『QUEEN』

『KING』

連続でスロットに読み込まれ、封印されたアンデットの力が刃に宿る。
トライアルシリーズを一刀の元に下した、必殺の剣を放つ時だ。
剣崎に匹敵する適合率を得た野獣先輩が振るえば、本来のブレイドにも並ぶ威力を叩き出す。
小賢しいメスガキを骨まで焼き尽くす光景を想像し、あくどいしたり顔が浮かんだ。
残り一枚の装填で以て、ロイヤルストレートフラッシュは完成。

『JACK RISE』

「ファッ!?」

しかし最後のエースを読み込む寸前、槍がカードに突き刺さり阻止。
決めの一手を装填出来なければ、必殺の光刃も生まれない。

「やられっ放しは性に合わないものでしてね。一泡吹かさせてあげましょう」

してやったりの笑みを仮面越しに浮かべ、ラウズカードのデータを抽出。
変身時にもカードを使った事から、プログライズキーのような力の核となる物だと天津は察知。
半分以上は賭けに近い形であれども、結果は成功だろう。
単なる紙ではなく、BOARD製のシステムに読み込ませる為のデータが組み込まれている。
であれば、データ抽出の機能を持つサウザンドジャッカーの出番という訳だ。

『JACKING BREAK』

奪ったデータを早速使い、青いエネルギーを武器に付与。
ヘラクレスオオカブトの顎を思わせる光剣に変え、ブレイドへ振り下ろす。
自身の力の源を利用した攻撃に怯み、機を逃さず承太郎が仕掛ける。
追撃はさせじとスタープラチナを出現、反対に殴り飛ばしてやろうと拳を放った。

「オラァッ!」

が、ダメージに怯んだ為一手遅く相手の打撃を許してしまった。
スタンドの頬へ当たる、同じスタンドの拳。
本体へダメージが走り小さく呻くも、たった一発で勘弁してやるつもりはない。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!」
「ンアッー!」

同性能のスタンドだろうと反撃もままならないなら、ほんのちょっぴり頑丈なサンドバッグに過ぎない。
敵スタンド使いを再起不能へ追いやったラッシュが打ち抜き、偽りの星を砕く。
派手に吹き飛び柱へ激突、バックルが外れ元のうんこの擬人化のような身を晒した。

「アーイキソキソ……」

ホモセックスの絶頂を訴えるように、痛みへ喘ぐ。
漏れ出す声は汚いが、暫くは動けまい。
これで残るは病院の外で戦闘中のライダーのみ。
全員でキャルの加勢に行けば、数の差で一気に終わらせられると考え、





空気が一変した。





傷一つ付けられていない、触れられてすらいない。
だというのにこれは何だ、何が起きている。
全身の皮を剥ぎ、健を断ち、骨を刻まれたに等しい痛みが。
ただそこにいるだけで死を予感させる怪物が、姿を現した。

「は…………?」

呆けた声を誰が発したのかを、探る様子は見られない。
脳の処理が追い付かない光景を受け入れるまで、待つ余裕すら与えない。

命を繋ぐ医師の戦場へ足を踏み入れ、継国縁壱は静かに見やる。
血を分けた、嘗ては己と同じ顔の兄を、その瞳は鮮明に映し出した。


→
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