◆
『FINAL ATTACK RIDE KI・KI・KI KIVA!』
悠長に様子見してられる段階は、とうに過ぎた。
ライダー世界を通りすがり、実戦で研ぎ澄まされて来た自身の勘へ従う。
バッシャーフォームへなるや即、必殺の水流弾を発射。
倒せずとも多少動きを止めるだけで、次の手に出る猶予が稼げる。
ライダー世界を通りすがり、実戦で研ぎ澄まされて来た自身の勘へ従う。
バッシャーフォームへなるや即、必殺の水流弾を発射。
倒せずとも多少動きを止めるだけで、次の手に出る猶予が稼げる。
といったキバの算段も関係無しに、CcapacApuは疾走。
巨体が嘘のような速度を叩き出し、片腕を一閃。
水流弾を掻き消すのみならず、真空の刃が発生。
不可視の斬撃が装甲を切り裂き、大量の火花と共に宙を泳ぐ。
落下までを待つ気は無い、振り下ろされた刃が視界いっぱいに映った
巨体が嘘のような速度を叩き出し、片腕を一閃。
水流弾を掻き消すのみならず、真空の刃が発生。
不可視の斬撃が装甲を切り裂き、大量の火花と共に宙を泳ぐ。
落下までを待つ気は無い、振り下ろされた刃が視界いっぱいに映った
「士……!」
『天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!』
直撃が如何に危険かは、誰に説明されるまでもない。
フルボトルを入れ替えたビルドが、翼を展開し飛行。
キバの変身が解かれたディケイドを、寸での所で回収。
地面へ降ろした傍から次の斬撃が襲い掛かる。
フルボトルを入れ替えたビルドが、翼を展開し飛行。
キバの変身が解かれたディケイドを、寸での所で回収。
地面へ降ろした傍から次の斬撃が襲い掛かる。
片や地面を転がり、片や空中へ急上昇し回避。
立ち上がるとすかさず、ディケイドはライドブッカーの照準を合わせる。
ビルドの右手にも、機関銃型武器のホークガトリンガーが握られ発砲準備完了。
二方向からエネルギー弾が発射され、標的目掛け殺到。
立ち上がるとすかさず、ディケイドはライドブッカーの照準を合わせる。
ビルドの右手にも、機関銃型武器のホークガトリンガーが握られ発砲準備完了。
二方向からエネルギー弾が発射され、標的目掛け殺到。
敵の巨体を考えれば外す方が難しい、しかし現実には一発も当たらない。
双剣と化した両腕を振るう、たったそれだけで全弾消滅。
防いだだけで終わりはしない、腰の捻りを加えた回転斬りを繰り出す。
CcapacApuを中心に竜巻が発生し、二体のライダーを斬り刻みながら巻き込む。
双剣と化した両腕を振るう、たったそれだけで全弾消滅。
防いだだけで終わりはしない、腰の捻りを加えた回転斬りを繰り出す。
CcapacApuを中心に竜巻が発生し、二体のライダーを斬り刻みながら巻き込む。
「この……!」
仲間を傷付けられた怒りへ駆られるレイが斬り掛かり、即座に凍り付く。
自分の剣が到達するよりも早く、敵もまた片腕を振るい迎撃。
身を大きく屈めやり過ごせば、殺意と衝撃波が頭上を走り、
自分の剣が到達するよりも早く、敵もまた片腕を振るい迎撃。
身を大きく屈めやり過ごせば、殺意と衝撃波が頭上を走り、
「な――」
もう片方の腕が地面を削りながら、両断せんと迫り来る。
無理やりに体勢を変え横っ跳びで躱す。
が、そこまでが予想通りと言わんばかりに蹴りが飛ぶ。
軽く小突かれるだけで、レイの体など爪先に付着した染みへ早変わりだろう。
無理やりに体勢を変え横っ跳びで躱す。
が、そこまでが予想通りと言わんばかりに蹴りが飛ぶ。
軽く小突かれるだけで、レイの体など爪先に付着した染みへ早変わりだろう。
『KAMEN RIDE KABUTO!』
『ATTACK RIDE CLOCK UP!』
覚悟の暇なく叩き付けられる衝撃はなく、抱えられる感覚があった。
顔を上げれば青い瞳に赤い角、スマートな装甲の戦士が見える。
ダメージを噛み殺し、ディケイドからカブトへ変身。
如何に邪神と言えどもマスクドライダーシステムの機能を持たない以上、高速の世界への侵入は不可能。
クロックアップの発動時間が切れる前に、レイ救出した。
顔を上げれば青い瞳に赤い角、スマートな装甲の戦士が見える。
ダメージを噛み殺し、ディケイドからカブトへ変身。
如何に邪神と言えどもマスクドライダーシステムの機能を持たない以上、高速の世界への侵入は不可能。
クロックアップの発動時間が切れる前に、レイ救出した。
「礼は後でいい。ココアの方へ言ってやれ」
「っ!分かりました、お二人も気を付けて!」
「っ!分かりました、お二人も気を付けて!」
カブトの視線の先を追い、状況を即座に理解。
いらぬ口論に時間を掛ける余裕が、この状況である筈もない。
言われた通り駆け出すと、獲物の逃走を許しはしない双剣が振るわれた。
いらぬ口論に時間を掛ける余裕が、この状況である筈もない。
言われた通り駆け出すと、獲物の逃走を許しはしない双剣が振るわれた。
『定刻の反逆者!海賊レッシャー!イェーイ!』
少女の柔肌を狙った刀身へ、横合いからエネルギー矢が命中。
狙いを逸らされ、CcapacApuの敵意は二色の戦士へ移る。
異形の貌に射抜かれたビルドは今更怯まず、弓型のベストマッチウェポンを放つ。
狙いを逸らされ、CcapacApuの敵意は二色の戦士へ移る。
異形の貌に射抜かれたビルドは今更怯まず、弓型のベストマッチウェポンを放つ。
仲間達へ声に出さず感謝しながら、レイは足を速める。
望まぬ戦いを強いられ、体以上に心を痛め付けられている少女の元へと。
望まぬ戦いを強いられ、体以上に心を痛め付けられている少女の元へと。
「うぅ…!戒さん!やめてよ……!」
苦悶混じりの懇願は聞き入れてもらえず、無慈悲な戦斧が返答代わり。
専用ソードを通じ圧し掛かる重みが、悪い夢じゃなく現実だと伝えるかのよう。
押し返そうにも膂力は向こうが圧倒的に上、防ぐだけでも両腕の痺れが止まらない。
ふいに刀身へ掛かった負担が消えるも、戦闘中止を受け入れたんじゃあない。
横薙ぎに振るわれる戦斧を、間一髪防御。
専用ソードを通じ圧し掛かる重みが、悪い夢じゃなく現実だと伝えるかのよう。
押し返そうにも膂力は向こうが圧倒的に上、防ぐだけでも両腕の痺れが止まらない。
ふいに刀身へ掛かった負担が消えるも、戦闘中止を受け入れたんじゃあない。
横薙ぎに振るわれる戦斧を、間一髪防御。
「きゃああああっ!?」
細い腰を断たれる末路こそ回避出来たが、叩き付けられる衝撃までは消せない。
刀身が折れかねない勢いに、ココアは堪らず殴り飛ばされた。
地面へ激突し、背中の痛みへ呻く暇もなく戦斧が襲来。
頭部の粉砕で以て、一撃決着へ持って行くつもりだろう。
慌てて専用ソードを翳すも、生半可な防御共々打ち砕く威力だ。
刀身が折れかねない勢いに、ココアは堪らず殴り飛ばされた。
地面へ激突し、背中の痛みへ呻く暇もなく戦斧が襲来。
頭部の粉砕で以て、一撃決着へ持って行くつもりだろう。
慌てて専用ソードを翳すも、生半可な防御共々打ち砕く威力だ。
「女の子の扱いが全然なってませんね!0点どころかマイナスですよ!」
軽口とは裏腹に、レイが放つ突きは弾丸顔負けの速さ。
戦斧を弾き、再び斬られるよりも先に右脚が唸る。
少女の細い脚と侮るなかれ、閃刀姫は剣術のみならず格闘戦でも高い能力を有す。
打撃力が如何程かは敵も察したらしく、片腕で防ぎながら後退。
警戒を緩めずにココアへ手を貸し、改めて見据える。
自分と士に後を託して、命懸けで仲間を守った青年の成れの果てを。
戦斧を弾き、再び斬られるよりも先に右脚が唸る。
少女の細い脚と侮るなかれ、閃刀姫は剣術のみならず格闘戦でも高い能力を有す。
打撃力が如何程かは敵も察したらしく、片腕で防ぎながら後退。
警戒を緩めずにココアへ手を貸し、改めて見据える。
自分と士に後を託して、命懸けで仲間を守った青年の成れの果てを。
「趣味が悪いってレベルじゃないですね……」
死者への冒涜もさることながら、自分達の命の恩人とも言える者なら尚更。
桜ノ宮苺香を、骸人形へ変えた方法と同じかまでは分からないが。
戦場で、数多の死を目の当たりにして来たレイにとっては。
どっちにしてもゲスの発想と言う他ない。
桜ノ宮苺香を、骸人形へ変えた方法と同じかまでは分からないが。
戦場で、数多の死を目の当たりにして来たレイにとっては。
どっちにしてもゲスの発想と言う他ない。
「戒さん……こんなの、酷いよ……」
屍と果てても利用され、殺戮だけを望まれる。
尊厳を平然と踏み躙られた戒の姿に、ココアも顔をくしゃりと歪ませた。
本当だったら、弟子として彼に鍛えて貰い。
強くなる為に剣を交えた筈なのに、今や最悪の形で実現している。
何故こんな事をするのかと、戒を支配下へ置く男を問い質してやりたい。
尊厳を平然と踏み躙られた戒の姿に、ココアも顔をくしゃりと歪ませた。
本当だったら、弟子として彼に鍛えて貰い。
強くなる為に剣を交えた筈なのに、今や最悪の形で実現している。
何故こんな事をするのかと、戒を支配下へ置く男を問い質してやりたい。
怒りをどれだけ募らせた所で、戒が止まる展開は起きない。
殺す対象が増えた、その程度の認識しか持たずに得物を振り被る。
殺す対象が増えた、その程度の認識しか持たずに得物を振り被る。
「あんのゲス野郎……!どんな弄り方したんですか……!」
戦斧を受け流し、反対に一撃入れるも斬った感触はない。
最小限の動きで避けられ、顔面へ拳が飛ぶ。
顎を引いて避けた傍から分厚い刃が駆け、両手持ちに変えた愛刀で防御。
斬り合う中、至近距離で発せられるのは生前の戒に無かった怖気の走る気配。
邪神と似たモノを感じ、心底趣味が悪いと吐き捨て、
最小限の動きで避けられ、顔面へ拳が飛ぶ。
顎を引いて避けた傍から分厚い刃が駆け、両手持ちに変えた愛刀で防御。
斬り合う中、至近距離で発せられるのは生前の戒に無かった怖気の走る気配。
邪神と似たモノを感じ、心底趣味が悪いと吐き捨て、
「――っ!?」
視界の端に映り込んだ光景へ、目を見開かずにはいられない。
砕け散った地面に咲く、赤い花。
声も出せずに、呆然と地面にへたり込む者。
これを見て、察せられないのは余程の馬鹿だけだ。
砕け散った地面に咲く、赤い花。
声も出せずに、呆然と地面にへたり込む者。
これを見て、察せられないのは余程の馬鹿だけだ。
また一人、自分達は仲間を喪ったのだと。
理解する他なかった。
理解する他なかった。
○
「キャハハハ!!おっそいわねぇ!」
「こいつ……ぐっ!?」
「こいつ……ぐっ!?」
嘲笑へ怒りを覚えるも、そんな余裕は削ぎ落とされ毛先程も残らない。
月光舞獅子姫の腕が蛇のようにうねり、曲刀が四方八方から迫る。
単純なサイズ差だけでも脅威だというのに、その上速さも備えてると来た。
息もつかせぬ斬撃の嵐へ、モニカは駆け回って避けるのが精一杯。
月光舞獅子姫の腕が蛇のようにうねり、曲刀が四方八方から迫る。
単純なサイズ差だけでも脅威だというのに、その上速さも備えてると来た。
息もつかせぬ斬撃の嵐へ、モニカは駆け回って避けるのが精一杯。
「モ、モニカちゃん……!」
「前に出るな學!」
「前に出るな學!」
焦燥へ駆られる學を制し、スペクターが向けるはガンガンハンド。
両手に構えた一丁だけでなく、背後へ数十を生成。
既にグレイトフル魂への変身は完了しており、英雄達の力を複数引き出せる状態だ。
ノブナガ魂の火力に加え、エジソン魂の電撃を銃弾に付与。
エネルギーを帯びた銃口が一斉に火を噴き、轟音を響かせながら月光舞獅子姫へ突き進む。
両手に構えた一丁だけでなく、背後へ数十を生成。
既にグレイトフル魂への変身は完了しており、英雄達の力を複数引き出せる状態だ。
ノブナガ魂の火力に加え、エジソン魂の電撃を銃弾に付与。
エネルギーを帯びた銃口が一斉に火を噴き、轟音を響かせながら月光舞獅子姫へ突き進む。
「生っちょろいっつーの!」
戦国時代に敵の軍勢を怯ませた、第六天魔王の銃撃も恐れるに至らない。
剣を持つ腕の輪郭がぶれ、弾丸は哀れ刃の餌食に。
ついでに左手を翳し、赤黒く輝く熱線を放った。
剣を持つ腕の輪郭がぶれ、弾丸は哀れ刃の餌食に。
ついでに左手を翳し、赤黒く輝く熱線を放った。
耐久性の上がったグレイトフル魂の装甲と言えども、直撃を許せる威力に非ず。
ゴエモン魂の力を駆り、移動速度を引き上げ回避。
背後の建造物が欠片も残らず消えるのは見ず、サングラスラッシャーを二本生成。
双剣スタイルを最も活かす、ムサシ魂の斬撃強化を乗せ斬り掛かる。
スペクターだけに任せっ切りは御免だ、モニカも得物に電撃を迸らせ疾走。
使い手の技量は十分、連携の精度も文句の付けようがない。
ゴエモン魂の力を駆り、移動速度を引き上げ回避。
背後の建造物が欠片も残らず消えるのは見ず、サングラスラッシャーを二本生成。
双剣スタイルを最も活かす、ムサシ魂の斬撃強化を乗せ斬り掛かる。
スペクターだけに任せっ切りは御免だ、モニカも得物に電撃を迸らせ疾走。
使い手の技量は十分、連携の精度も文句の付けようがない。
「ちったあ学習しなさいよ蟻んこどもォっ!!」
なれど敵は彼らのコンビネーションをも上回り、曲刀一本で難なく対処。
本当に腕一本で振るっているのか、疑わざるを得ない速さで捌く。
本当に腕一本で振るっているのか、疑わざるを得ない速さで捌く。
「この動きは……ぐぁっ!?」
モニカの戦慄も曲刀の勢いを衰えること叶わず、防いだ体勢のまま吹き飛ぶ。
受け身を取ろうと身を捩るも、地面へ叩き付けられるまで敵は待たない。
軽やかに跳んだ月光舞獅子姫がモニカを見下ろし、挑発的に笑う。
急ぎ剣を振り上げるが襲い、切っ先が豪雨のごとく降り注ぐ。
肉と血が、アスファルトへ散らばるのも時間の問題。
受け身を取ろうと身を捩るも、地面へ叩き付けられるまで敵は待たない。
軽やかに跳んだ月光舞獅子姫がモニカを見下ろし、挑発的に笑う。
急ぎ剣を振り上げるが襲い、切っ先が豪雨のごとく降り注ぐ。
肉と血が、アスファルトへ散らばるのも時間の問題。
「させん……!」
モニカ単独での対処が困難なら、フォローへ回るのはスペクター。
フーディーニ魂の脱出マジックを使い、自身諸共緊急回避。
距離を取って仕切り直し、ドライバーへ手を伸ばす。
何をする気か分からなくとも、反撃を許した覚えはない。
曲刀を振り回しながら月光舞獅子姫が襲い来るが、スペクターが一手早い。
フーディーニ魂の脱出マジックを使い、自身諸共緊急回避。
距離を取って仕切り直し、ドライバーへ手を伸ばす。
何をする気か分からなくとも、反撃を許した覚えはない。
曲刀を振り回しながら月光舞獅子姫が襲い来るが、スペクターが一手早い。
『ムサシ!デルデルデル~ゾ~!ラッシャイ!』
ドライバーから飛び出た赤い影が突撃し、月光舞獅子姫の刃を阻止。
フードパーカーを纏った奇妙な人影は、眼魂に宿りしムサシの英雄ゴースト。
英雄達の能力行使だけでなく、実体化させ共に戦うのも可能なのがグレイトフル魂だ。
フードパーカーを纏った奇妙な人影は、眼魂に宿りしムサシの英雄ゴースト。
英雄達の能力行使だけでなく、実体化させ共に戦うのも可能なのがグレイトフル魂だ。
続けてベンケイ、ゴエモンが得物を構え斬り掛かる。
後方からはノブナガとロビンフッドが、それぞれ銃と弓で援護。
天空寺タケルと肩を並べ戦った英雄達という、心強い援軍を得た。
後方からはノブナガとロビンフッドが、それぞれ銃と弓で援護。
天空寺タケルと肩を並べ戦った英雄達という、心強い援軍を得た。
「おお!彼らが力を貸してくれるなら……」
「だからさぁ、それが甘いっつってんのよ!!」
「だからさぁ、それが甘いっつってんのよ!!」
英雄達へモニカが頼もしさを覚えるのも束の間、膨れ上がるプレッシャーへ表情が凍り付く。
曲刀の刀身へエネルギーを迸らせ、豪快に振り回せば光刃が飛来。
各々射程距離外へ回避に動くが、大きさ故に余波だけで痛め付けられる。
ニュートン魂の引力操作でモニカを刃から引き離し、スペクターも辛うじて避けるが装甲からは火花が散った。
この程度ならまだ動ける、反撃に移るべく英雄ゴースト達と連携を取り、
曲刀の刀身へエネルギーを迸らせ、豪快に振り回せば光刃が飛来。
各々射程距離外へ回避に動くが、大きさ故に余波だけで痛め付けられる。
ニュートン魂の引力操作でモニカを刃から引き離し、スペクターも辛うじて避けるが装甲からは火花が散った。
この程度ならまだ動ける、反撃に移るべく英雄ゴースト達と連携を取り、
直後、一体残らず爆散。
断末魔すら上げられない、余りにも早い退場だった。
断末魔すら上げられない、余りにも早い退場だった。
「貴様、何をした!?」
「教えるわけないでしょ!自分で考えろバァァァカ!」
「教えるわけないでしょ!自分で考えろバァァァカ!」
原因となっただろう相手を問い質すが、望んだ答えは返ってこない。
英雄ゴースト達に起きた現象を説明するならば、月光舞獅子姫のモンスター効果が発揮された。
ダメージステップ終了時、特殊召喚された相手モンスターを全て破壊。
今回の場合はスペクターがダメージを受けた事で、英雄ゴーストが特殊召喚扱いのモンスターとして対象になったのだ。
英雄ゴースト達に起きた現象を説明するならば、月光舞獅子姫のモンスター効果が発揮された。
ダメージステップ終了時、特殊召喚された相手モンスターを全て破壊。
今回の場合はスペクターがダメージを受けた事で、英雄ゴーストが特殊召喚扱いのモンスターとして対象になったのだ。
「そらそらぁっ!こっちはまだ終わってないわよ!」
再度刀身へエネルギーを付与、だが先程の一撃とは違う。
振り回せば振り回しただけ光刃が飛び、広範囲を果実のようにカット。
スライスされた建造物には目もくれず、スペクター達は回避に集中。
一度のバトルフェイズ中に二回攻撃可能という、月光舞獅子姫の効果は攻撃速度の劇的な上昇という形で表れた。
腕の一振りで斬撃が複数放たれるのだから、確かに二回攻撃に当て嵌まる。
振り回せば振り回しただけ光刃が飛び、広範囲を果実のようにカット。
スライスされた建造物には目もくれず、スペクター達は回避に集中。
一度のバトルフェイズ中に二回攻撃可能という、月光舞獅子姫の効果は攻撃速度の劇的な上昇という形で表れた。
腕の一振りで斬撃が複数放たれるのだから、確かに二回攻撃に当て嵌まる。
「ぐあああああああっ!?」
デュエルモンスターズのルールが何であれ、相手にとっては脅威以外の何者でもなく。
ベンケイ魂の力で防御性能を高めたスペクターが、我が身を盾にモニカを守るも無意味。
光刃の餌食となり火花を大量に散らし吹き飛ぶ。
ベンケイ魂の力で防御性能を高めたスペクターが、我が身を盾にモニカを守るも無意味。
光刃の餌食となり火花を大量に散らし吹き飛ぶ。
「マコト……!がっ……!?」
咄嗟に手を伸ばすも、光刃が弾けた際の衝撃が小柄な体躯を襲う。
木の葉のようにもみくちゃにされ、挙句崩れ掛けの建造物へ激突。
呼吸が止まり掛けた激痛へ声も出せず、力なくうつ伏せに倒れた。
背中の鈍い痛みを、歯を食い縛って耐えながら剣を握る。
いつまでも倒れているのは、自らの命を差し出すのと変わらない。
剣を杖の代わりに使い、両足を地に付けるが緩慢だ。
顔を上げた頃にはもう、敵は次の攻撃を完了している。
木の葉のようにもみくちゃにされ、挙句崩れ掛けの建造物へ激突。
呼吸が止まり掛けた激痛へ声も出せず、力なくうつ伏せに倒れた。
背中の鈍い痛みを、歯を食い縛って耐えながら剣を握る。
いつまでも倒れているのは、自らの命を差し出すのと変わらない。
剣を杖の代わりに使い、両足を地に付けるが緩慢だ。
顔を上げた頃にはもう、敵は次の攻撃を完了している。
「あ――」
月光舞獅子姫がいつの間にか、自分の目の前に立っており。
曲刀が振り被られたと、状況を脳がやっと理解し。
回避や防御、迎撃といった生き延びる術を命じるも手遅れ。
頭で考えるよりも早く、直感的に悟ってしまう。
これは、間に合わないと。
曲刀が振り被られたと、状況を脳がやっと理解し。
回避や防御、迎撃といった生き延びる術を命じるも手遅れ。
頭で考えるよりも早く、直感的に悟ってしまう。
これは、間に合わないと。
先の攻撃でスペクターは変身解除された挙句、距離を大きく離されている。
今更気付いた所で、やれる事は一つもない。
他の仲間達も余裕は皆無、眼前の敵への対処で精一杯。
一々説明されるまでもなく分かる、詰みだ。
今更気付いた所で、やれる事は一つもない。
他の仲間達も余裕は皆無、眼前の敵への対処で精一杯。
一々説明されるまでもなく分かる、詰みだ。
(私は――)
先に逝った仲間と、残す事になる仲間。
ランドソルで帰りを待ってるだろう、騎士の少年。
彼らを想うのすらままならず、自分に死を与える剣だけがいやにハッキリ見えて。
ランドソルで帰りを待ってるだろう、騎士の少年。
彼らを想うのすらままならず、自分に死を与える剣だけがいやにハッキリ見えて。
ドンっと、突き飛ばされる感覚があった。
「えっ」
地面に足を付けていた筈が、何故か不格好に宙を泳いでる。
不可解な自身の状態に首を傾げるよりも、意識が奪われた。
遠ざかる景色、今の今まで突っ立っていた場所。
まるで自分の代わりだとばかりに、そこへ立つ者。
執行された刑を受け入れる、少年の姿に。
不可解な自身の状態に首を傾げるよりも、意識が奪われた。
遠ざかる景色、今の今まで突っ立っていた場所。
まるで自分の代わりだとばかりに、そこへ立つ者。
執行された刑を受け入れる、少年の姿に。
○○○
一瞬の攻防にも関わらず、登場人物のモノローグがやけに長い。
所謂漫画的な現象も、案外本当だったらしい。
今正に死が大口を開け待ち構えてるのに、こうして色々と考える自分が証拠だ。
所謂漫画的な現象も、案外本当だったらしい。
今正に死が大口を開け待ち構えてるのに、こうして色々と考える自分が証拠だ。
(なんて、案外呑気だな僕……)
自分はこんなに図太い奴だったろうかと、呆れ笑いが浮かぶ。
今の戦いで、自分にやれる事は全然なかった。
青い剣士の時は、相手が露骨に低く見てるとか等身大のサイズとか。
そういう理由があったけど、今回は違う。
マコトさんやモニカちゃんですら、避けるだけで限界の相手に立ち向かった所で。
足を引っ張り、余計に皆を危なくしてしまう。
青い剣士の時は、相手が露骨に低く見てるとか等身大のサイズとか。
そういう理由があったけど、今回は違う。
マコトさんやモニカちゃんですら、避けるだけで限界の相手に立ち向かった所で。
足を引っ張り、余計に皆を危なくしてしまう。
それが分からないわけじゃなかったら、マコトさんの言う通り下がってるしかなくて。
出てった所で、剣を当てられる距離へ近付いたら。
そもそも振るう前に殺されたっておかしくなく、だから大人しくしてるのが最善だって。
分かるからこそ、どうしようもなくらいに悔しかった時。
出てった所で、剣を当てられる距離へ近付いたら。
そもそも振るう前に殺されたっておかしくなく、だから大人しくしてるのが最善だって。
分かるからこそ、どうしようもなくらいに悔しかった時。
殺されそうになってるモニカちゃんが目に入って。
そこからはもう頭で考えるとかじゃない、体が勝手に動いてた。
突進の魔法カードを使い、他のことが何も目に入らず駆け出して。
モニカちゃんを突き飛ばし、彼女の代わりに剣を見上げている。
そこからはもう頭で考えるとかじゃない、体が勝手に動いてた。
突進の魔法カードを使い、他のことが何も目に入らず駆け出して。
モニカちゃんを突き飛ばし、彼女の代わりに剣を見上げている。
不思議と心は落ち着いてるけれど、でも。
死ぬのが恐くないって言ったら、それは嘘だ。
死ぬのが恐くないって言ったら、それは嘘だ。
僕がいなくなって、二度と帰らなくなって家族はどうなるんだろう。
申し訳ないと思う、見慣れた自分の家が恋しく感じる。
もうあの玄関を開ける事もないのは、勿論悲しい。
申し訳ないと思う、見慣れた自分の家が恋しく感じる。
もうあの玄関を開ける事もないのは、勿論悲しい。
それに、結局ゆきさんとは会えないまま終わる。
僕の人生を大きく変え、きっと僕が殺し合いで戦う勇気を持てるようになったのも。
新しい世界に連れ出してくれた、あの人がいたからなんだ。
生きていればいつか会える、そんな希望も持てない。
ゆきさんに会えないまま死ぬ事への、未練は一言じゃ語り足りない。
僕の人生を大きく変え、きっと僕が殺し合いで戦う勇気を持てるようになったのも。
新しい世界に連れ出してくれた、あの人がいたからなんだ。
生きていればいつか会える、そんな希望も持てない。
ゆきさんに会えないまま死ぬ事への、未練は一言じゃ語り足りない。
だけど、後悔はしてなかった。
僕が死んで、モニカちゃんの傷になりたいわけじゃない。
背負うものを少しでも持ってあげたいって決意を、嘘にしたかったのでもない。
でも、モニカちゃんに死んで欲しくもなかった。
これから先ヴァイスフリューゲルの仲間達と一緒に帰る未来を、壊したくなかった。
背負うものを少しでも持ってあげたいって決意を、嘘にしたかったのでもない。
でも、モニカちゃんに死んで欲しくもなかった。
これから先ヴァイスフリューゲルの仲間達と一緒に帰る未来を、壊したくなかった。
誰かの為に、命を懸けてまで動けるのが。
ただのガリ勉野郎で生涯を終えず、こういう形で死ぬことが。
良いか悪いかは、僕自身にだって決められないけど。でも。
ただのガリ勉野郎で生涯を終えず、こういう形で死ぬことが。
良いか悪いかは、僕自身にだって決められないけど。でも。
「モニカちゃんは、どうか生きて――」
この想いだけは間違いじゃないって、自分でもそう思った。
○
「マ……ナブ…………」
人の形すらそこになく、刀身の汚れとなった仲間。
名前を呼んでも、返って来る事が二度とないとモニカ自身分かっている。
頭を吹き飛ばされた少女、達成感を浮かべ力尽きた少女。
彼女達と同じように、學も自分の元から旅立った。
名前を呼んでも、返って来る事が二度とないとモニカ自身分かっている。
頭を吹き飛ばされた少女、達成感を浮かべ力尽きた少女。
彼女達と同じように、學も自分の元から旅立った。
「學……っ!貴様……!」
傷だらけの身に鞭打ち、マコトが駆け寄った時には事が起きた後。
勇気ある、強き心の少年の命が失われ。
彼を助けられなかった自分と、下手人たる相手への怒りに震える。
勇気ある、強き心の少年の命が失われ。
彼を助けられなかった自分と、下手人たる相手への怒りに震える。
「ようやく一人、か。ってかメダルの効果切れちゃってるし……もうちょっと頑張りなさいよ」
殺した当の相手はマコトの憤怒もどこ吹く風、呆れた様子で手元を見やる。
胸元の輝石は消え失せ、心なしか威圧感も多少低下。
ベリアルメダルは強力な反面、時間制限が設けられてあった。
ゲームバランス考慮の設定もキャルからすれば邪魔でしかない。
胸元の輝石は消え失せ、心なしか威圧感も多少低下。
ベリアルメダルは強力な反面、時間制限が設けられてあった。
ゲームバランス考慮の設定もキャルからすれば邪魔でしかない。
「ま、コイツら相手なら他のメダルで十分だろうけど」
膝を付き呆然とするモニカと、少なくない傷を負ったマコト。
彼らの元へ、追い打ちを掛けるように悲鳴が届く。
彼らの元へ、追い打ちを掛けるように悲鳴が届く。
「ぐあっ……!昔、Jを破壊した報いが返って来たかもな……」
「言ってる場合かよ……!」
「言ってる場合かよ……!」
地面へ叩き付けられた挙句転がり、衝撃で変身解除された二人の戦士。
士と戦兎が口の端に滲んだ血を拭い、ドライバーを強く握り締めた。
軽口を叩いても傷は消えず、何もしなくても痛みが走る。
歴戦のライダーたる彼らを追い詰めた元凶は、怒りを撒き散らし健在。
変身し戦う、そうしなければ生き残れない。
士と戦兎が口の端に滲んだ血を拭い、ドライバーを強く握り締めた。
軽口を叩いても傷は消えず、何もしなくても痛みが走る。
歴戦のライダーたる彼らを追い詰めた元凶は、怒りを撒き散らし健在。
変身し戦う、そうしなければ生き残れない。
「士…!くぅっ…!恩人にこんなこと言いたくありませんが、いい加減にしてくださいよ……!」
「戒さん……!」
「戒さん……!」
士へ視線が向かうも、即座に目の前の戦闘へ意識を戻さざるを得ない。
生前より劣化したとはいえ、ノロを用いた強化の術式が施されたのだ。
それでもレイとココアの二人掛かりなら、撃破も決して非現実的ではない。
だというのに未だ苦戦中な理由は、的確に妨害を行う者の存在。
戒を屍兵に変えたリンボが呪術で援護し、攻勢に持って行くのを悉く阻む。
流れを変えんと、ココアがカブトに変身しようとすればすかさず火炎と雷を走らせる。
本体と比べ出力が落ちてると言っても、戒同様ノロの強化を受けている以上は侮って良い威力に非ず。
生前より劣化したとはいえ、ノロを用いた強化の術式が施されたのだ。
それでもレイとココアの二人掛かりなら、撃破も決して非現実的ではない。
だというのに未だ苦戦中な理由は、的確に妨害を行う者の存在。
戒を屍兵に変えたリンボが呪術で援護し、攻勢に持って行くのを悉く阻む。
流れを変えんと、ココアがカブトに変身しようとすればすかさず火炎と雷を走らせる。
本体と比べ出力が落ちてると言っても、戒同様ノロの強化を受けている以上は侮って良い威力に非ず。
「きゃる殿の使った道具…いえ呪物と呼ぶべきか。力に見合うだけの枷を付けられてる、と。黎斗殿の趣向は拙僧も歓迎するところですが、少々勿体なさを覚えずにはいられませんなぁ」
レイの苛立ちを春風のように浴びながら、ほんの少しの愚痴を漏らす。
ベリアルメダルが秘めた力は、リンボもハッキリと感じ取った。
故に惜しいと思う、あれだけの呪物は使い様によって多種多様な地獄絵図を描けるのに。
殺し合いを遊戯と捉えてる以上、要所要所の調整を考えたが為だとしてもだ。
ベリアルメダルが秘めた力は、リンボもハッキリと感じ取った。
故に惜しいと思う、あれだけの呪物は使い様によって多種多様な地獄絵図を描けるのに。
殺し合いを遊戯と捉えてる以上、要所要所の調整を考えたが為だとしてもだ。
「ま、それはそれとして。そろそろ佳境も近いですかな?」
長い指で顎を擦り、横目で見やるは拘束中の魔法少女。
唯一戦線へ加われず、哀れ無力な見物客へ落とし込まれた桃はリンボの視線に気付く余裕もない。
誰もが傷付き、誰もが苦しみ、果てに命が一つ失われた。
その間、自分は情けなく捕まり未だ脱出も叶っていない。
これで悔しさを感じるなと言うのは、余りにも酷だろう。
唯一戦線へ加われず、哀れ無力な見物客へ落とし込まれた桃はリンボの視線に気付く余裕もない。
誰もが傷付き、誰もが苦しみ、果てに命が一つ失われた。
その間、自分は情けなく捕まり未だ脱出も叶っていない。
これで悔しさを感じるなと言うのは、余りにも酷だろう。
(でも、もし動けたとしても……)
未だ恐怖心に苛まれ、戦おうとすれば体が震える。
そんな自分が加わった所で、本当に役に立つのだろうかと。
つい考えてしまい、余計に己が惨めになる。
そんな自分が加わった所で、本当に役に立つのだろうかと。
つい考えてしまい、余計に己が惨めになる。
「いい加減無駄に時間取られるのもイラついて来たし、さっさと終わらせてやるわよ!」
桃の葛藤を無視し事態は動く、無論彼女にとっても悪い方へだ。
ベリアル融合獣でなくなっても、キャルが危険であるのに変わりはない。
まして地縛神も未だ顕現したまま、全員の首へ縄が掛けられたに等しいのが現状。
いらぬ抵抗をこれ以上続けさせる気も無し、早急に邪魔者達を全滅へ追いやる。
ベリアル融合獣でなくなっても、キャルが危険であるのに変わりはない。
まして地縛神も未だ顕現したまま、全員の首へ縄が掛けられたに等しいのが現状。
いらぬ抵抗をこれ以上続けさせる気も無し、早急に邪魔者達を全滅へ追いやる。
「待ってなさいよコロ助……すぐにアンタを利用するカス女を磨り潰してあげるわ!!」
仲間を騙してると確信して疑わない、顔も知らない少女への怒りが再点火。
召喚主の感情へ呼応し、CcapacApuも双剣を打ち鳴らす。
前門の月光舞獅子姫、後門の地縛神。
逃げ場は与えられない、纏めて刃の餌食となる以外の結末は認めない。
巨体とは不釣り合いの速さを持つ両者が、風に絶叫を上げさせ剣を振り被る。
召喚主の感情へ呼応し、CcapacApuも双剣を打ち鳴らす。
前門の月光舞獅子姫、後門の地縛神。
逃げ場は与えられない、纏めて刃の餌食となる以外の結末は認めない。
巨体とは不釣り合いの速さを持つ両者が、風に絶叫を上げさせ剣を振り被る。
「だ、だめ……!」
「席から身を乗り出さぬよう。心配せずとも、余す事なくご覧に入れられる位置ですので」
「席から身を乗り出さぬよう。心配せずとも、余す事なくご覧に入れられる位置ですので」
仲間の死へ否を求める声も、垂れ流された悪意へ虚しく溶けて消え。
数秒後には阿鼻叫喚の、血の河が完成。
ライダーへの再変身は間に合わせない、逃げの一手など以ての外。
全員等しく、次回の定時放送で脱落者に仲間入り。
殺し合いに抗う正しき心を持っていようと、自分の邪魔をしたその一点のみで。
キャルが敵と見なすには十分なのだから。
数秒後には阿鼻叫喚の、血の河が完成。
ライダーへの再変身は間に合わせない、逃げの一手など以ての外。
全員等しく、次回の定時放送で脱落者に仲間入り。
殺し合いに抗う正しき心を持っていようと、自分の邪魔をしたその一点のみで。
キャルが敵と見なすには十分なのだから。
「これで――」
危険な力だろうと、仲間を守れるなら構わない。
悲壮な覚悟を自分自身で汚し、災厄へ堕ちた少女の刃。
奪われた憎悪だけが核であり、荒ぶる魂との融合を果たした地縛神の刃。
共に善を否定し、我が怒りこそが正義と臆面もなく言い放つ。
悲壮な覚悟を自分自身で汚し、災厄へ堕ちた少女の刃。
奪われた憎悪だけが核であり、荒ぶる魂との融合を果たした地縛神の刃。
共に善を否定し、我が怒りこそが正義と臆面もなく言い放つ。
「終わりよ!!!」
救いなどない無情の末路が。
神の遊戯盤においては珍しくない、ありふれた終焉が。
慈悲を宿らせぬ剣によって訪れる。
神の遊戯盤においては珍しくない、ありふれた終焉が。
慈悲を宿らせぬ剣によって訪れる。
――月の呼吸 拾陸ノ型 月虹・片割れ月
天が零した涙の如き、三日月が降り注がなければ。
そうなっただろう。
そうなっただろう。
「なっ、がっ!?」
予期せぬ位置から斬撃波が襲い掛かり、攻撃を急遽中断。
頭上へ曲刀を振るい打ち消し、刀身へ衝撃が走る。
が、防いだ筈が全身各所に刻まれる斬傷。
膨張を繰り返す半月の力場の発生こそ、月の呼吸の最も悪辣な特徴な故に。
一つ二つ防いだ程度で、安堵するのは大間違い。
頭上へ曲刀を振るい打ち消し、刀身へ衝撃が走る。
が、防いだ筈が全身各所に刻まれる斬傷。
膨張を繰り返す半月の力場の発生こそ、月の呼吸の最も悪辣な特徴な故に。
一つ二つ防いだ程度で、安堵するのは大間違い。
召喚主へ傷を付けた襲撃者に、CcapacApuの敵意が向く。
豪快且つ精密に双剣を操り、斬撃波は凌いだ。
元より痛覚があるかも怪しい存在故、己の状態も無視し迎撃に移るのだ。
豪快且つ精密に双剣を操り、斬撃波は凌いだ。
元より痛覚があるかも怪しい存在故、己の状態も無視し迎撃に移るのだ。
「おや、これは……」
目を細めリンボは宙を仰ぐ。
昼前の晴れた空はいつの間にやら、墨を落としたかの色へ変貌している。
殺し合いなど素知らぬ顔で君臨する、眩しき太陽は闇に遮断され見えない。
昼前の晴れた空はいつの間にやら、墨を落としたかの色へ変貌している。
殺し合いなど素知らぬ顔で君臨する、眩しき太陽は闇に遮断され見えない。
夜の色ともまた違う、不吉な予感に駆られる天にて。
浮かぶ二つの影が、災厄の化身達をしかと見据える。
桜色の髪を解き、怪鳥を出現させた少女。
そこへ仁王立ちし、妖刀を構えた六眼の侍。
浮かぶ二つの影が、災厄の化身達をしかと見据える。
桜色の髪を解き、怪鳥を出現させた少女。
そこへ仁王立ちし、妖刀を構えた六眼の侍。
環いろはと黒死牟。
両名共にここへ参戦を果たす。
両名共にここへ参戦を果たす。