◆
立ち止まらないこの針だけは
僕の明日を刻む音突き刺す
真実から逃げたら今
現実にも負けたら今
何が残るの?
僕の明日を刻む音突き刺す
真実から逃げたら今
現実にも負けたら今
何が残るの?
◆
「これもう分かんねぇな」
手元に視線を落としながら歩く、前方不注意を地でいくおはぎうんこがそこにいた。
一生ネットのこんなもの、常夏のおじさん、いきすぎコージー、メニメニヤジュヤジュ、ファンタスティックビースト。
そして、ホモビに出ただけで決闘者になる男。
野獣先輩の表情には影が差し、異臭と共にアンニュイさを漂わせていた。
角度によっては世界的スターのマッ○・デイモンにも見えるが、それはともかく。
ついさっき三幻神のカードが手に入ったのに、何故機嫌が急降下したのだろうか。
単に情緒不安定な頭ブッチッパホモだからだろと言い切るのは容易いが、まま、そう焦んないでよ(神のお言葉)。
一生ネットのこんなもの、常夏のおじさん、いきすぎコージー、メニメニヤジュヤジュ、ファンタスティックビースト。
そして、ホモビに出ただけで決闘者になる男。
野獣先輩の表情には影が差し、異臭と共にアンニュイさを漂わせていた。
角度によっては世界的スターのマッ○・デイモンにも見えるが、それはともかく。
ついさっき三幻神のカードが手に入ったのに、何故機嫌が急降下したのだろうか。
単に情緒不安定な頭ブッチッパホモだからだろと言い切るのは容易いが、まま、そう焦んないでよ(神のお言葉)。
マジェスペクターデッキの回し方は既に把握済。
引いたカード次第では手札事故も起こり得るが、そこは実戦での運次第な為気にし過ぎても仕方ない。
問題は他にある。
引いたカード次第では手札事故も起こり得るが、そこは実戦での運次第な為気にし過ぎても仕方ない。
問題は他にある。
「呑気に盤面揃える余裕ない……なくない?」
殺し合いにおける決闘者達の、ある意味一番大きな壁。
正規のデュエルでない以上、相手が律儀にカードのセッティングを待たず攻撃して来る。
当初から懸念事項として頭には浮かんでいたが、改めて野獣先輩の頭を悩ませた。
正規のデュエルでない以上、相手が律儀にカードのセッティングを待たず攻撃して来る。
当初から懸念事項として頭には浮かんでいたが、改めて野獣先輩の頭を悩ませた。
不動遊星には司波達也が、城之内克也には燕結芽というように。
前衛を担当する仲間がいる場合、幾分かは落ち着いてフィールドを整えられる。
だが殺し合いに乗っており、常時スメルのウィザードリングを使用してるようなこのホモにそういった存在は皆無。
海馬瀬人やジャック・アトラスなど、パワー主体のデッキ構成ならまだしも。
マジェスペクターは打点が低い弱点を持つ故、単体で強者を真っ向から相手取るのも難しい。
前衛を担当する仲間がいる場合、幾分かは落ち着いてフィールドを整えられる。
だが殺し合いに乗っており、常時スメルのウィザードリングを使用してるようなこのホモにそういった存在は皆無。
海馬瀬人やジャック・アトラスなど、パワー主体のデッキ構成ならまだしも。
マジェスペクターは打点が低い弱点を持つ故、単体で強者を真っ向から相手取るのも難しい。
相手が一人程度なら、自身の高い身体能力でカバーは可能。
しかし二人三人と増えれば難易度は増加、仮に聖都大学附属病院にいた7人を単独で対処となったら自殺行為もいいところ。
やはりと言うべきか、最低一人は前衛をこなせる協力者が必須となる。
しかし二人三人と増えれば難易度は増加、仮に聖都大学附属病院にいた7人を単独で対処となったら自殺行為もいいところ。
やはりと言うべきか、最低一人は前衛をこなせる協力者が必須となる。
「なのに誰にも会えないとか頭に来ますよ!誰か俺を見付けてくれよな~頼むよ~(懇願)」
雪道を往けども一向に参加者と会えず、時間ばかりが過ぎていく。
クッソ哀れに口にした語録も、虚しく宙に溶けて消える。
家なき子ならぬ家なきホモと化し、思考は徐々に悪い方へ転がって行った。
もし運良く殺し合いに乗った参加者に会えたとて、スムーズに手を組める保障はない。
特に金髪の偉丈夫や、敵キャラクターである耳飾りの侍。
屈指の実力者たる連中とかち合えば、顔を見られた瞬間に首が飛んでも不思議はないだろう。
そうでなくとも、聞く耳持たずで襲って来る輩は少なくない。
クッソ哀れに口にした語録も、虚しく宙に溶けて消える。
家なき子ならぬ家なきホモと化し、思考は徐々に悪い方へ転がって行った。
もし運良く殺し合いに乗った参加者に会えたとて、スムーズに手を組める保障はない。
特に金髪の偉丈夫や、敵キャラクターである耳飾りの侍。
屈指の実力者たる連中とかち合えば、顔を見られた瞬間に首が飛んでも不思議はないだろう。
そうでなくとも、聞く耳持たずで襲って来る輩は少なくない。
「痛いですね、これは痛い……」
今更ながら、まあまあ棒を物々交換で手放すべきじゃなかった後悔に駆られる。
確かに、デェムシュが勝手に一人で逃げる暴挙に出たのは事実。
けれど対面時には怒りを抑えて、協力関係に持ち込めた。
他の参加者だってあの時のように妥協させ、手を組む選択を取らせるのは不可能じゃない筈。
たった一回の例だけで使い物にならないと判断を下してしまい、軽率だったと思っても後の祭り。
後先考えず後輩のレイプに悪知恵を回す、人間の屑らしい失敗と言えよう。
情けない凡ミス、恥ずかしくないの?(呆れ)
確かに、デェムシュが勝手に一人で逃げる暴挙に出たのは事実。
けれど対面時には怒りを抑えて、協力関係に持ち込めた。
他の参加者だってあの時のように妥協させ、手を組む選択を取らせるのは不可能じゃない筈。
たった一回の例だけで使い物にならないと判断を下してしまい、軽率だったと思っても後の祭り。
後先考えず後輩のレイプに悪知恵を回す、人間の屑らしい失敗と言えよう。
情けない凡ミス、恥ずかしくないの?(呆れ)
「悲しいなぁ…(諸行無常)。ま、多少はね?」
落ち込んでいても時間の無駄と、無理やりに頭を切り替える。
川沿いに南下し、分岐点でどちらに行くか悩んだ末。
地図上では西側のルートを選択、雪道を抜けた先で一際目立つ建造物に辿り着いた。
川沿いに南下し、分岐点でどちらに行くか悩んだ末。
地図上では西側のルートを選択、雪道を抜けた先で一際目立つ建造物に辿り着いた。
「え、なにこれは(困惑)」
屋上と地下室を完備した自分の家、通称野獣邸が貧相に思える程の屋敷。
元々はさぞ裕福な人間が住んでいたのだろうが、権力者の住まいならではの荘厳さは欠けた状態だ。
壁や屋根が破壊された箇所がちらほら、全壊でないのが余計に哀れさを醸し出す。
この場所がエーデルフェルト邸と呼ばれる事も、定時放送前に死闘が起きたのだって知らない。
とはいえ、荒れ具合を見るに誰かが殺された可能性はゼロではあるまい。
首輪付きの死体があればラッキーと、気を取り直し屋敷内に足を踏み入れた。
元々はさぞ裕福な人間が住んでいたのだろうが、権力者の住まいならではの荘厳さは欠けた状態だ。
壁や屋根が破壊された箇所がちらほら、全壊でないのが余計に哀れさを醸し出す。
この場所がエーデルフェルト邸と呼ばれる事も、定時放送前に死闘が起きたのだって知らない。
とはいえ、荒れ具合を見るに誰かが殺された可能性はゼロではあるまい。
首輪付きの死体があればラッキーと、気を取り直し屋敷内に足を踏み入れた。
「おっ開いてんじゃーん!お邪魔しまーす(挨拶を忘れない人間の鑑)」
壁に空いた大穴を通り、クッソ五月蠅い語録で騒ぐジャガイモうんこ。
まるでメキシコ人のような陽気さ(風評被害)は、ある意味殺し合いのプレイヤーに相応しい。
ドーナツを一つ頬張りながら各部屋を見て回り、やがて目当てのものを発見。
土気色となった、見知らぬ男と少女。
シーツが被せてあるのを見るに、野晒しを嫌った善良な者が安置したのか。
尤も、他者の事情など優勝狙いのお喋りうんちには興味無し。
まるでメキシコ人のような陽気さ(風評被害)は、ある意味殺し合いのプレイヤーに相応しい。
ドーナツを一つ頬張りながら各部屋を見て回り、やがて目当てのものを発見。
土気色となった、見知らぬ男と少女。
シーツが被せてあるのを見るに、野晒しを嫌った善良な者が安置したのか。
尤も、他者の事情など優勝狙いのお喋りうんちには興味無し。
「(首輪が)ありますねぇ!じゃけん回収しますよ~するする」
青薔薇の剣を振るい、手早く首を落とす。
真っ当な感性ならあるべき死体損壊の嫌悪感も、達成感に掻き消される。
これが最初は対主催者だったってマジ?失望しました、ワンピース全巻売って来ます…。
真っ当な感性ならあるべき死体損壊の嫌悪感も、達成感に掻き消される。
これが最初は対主催者だったってマジ?失望しました、ワンピース全巻売って来ます…。
残念ながら支給品は既に持ち出されていたが、そこは別に期待していなかった。
肩を落とす素振りもなく、入る時と同じ大穴から外に出て、
肩を落とす素振りもなく、入る時と同じ大穴から外に出て、
「また君か壊れるなぁ…(呆れ)」
「へぇ、そんなこと言われても困るんですけどね」
「へぇ、そんなこと言われても困るんですけどね」
荷袋を背負った巨大昆虫と、偶然にも二度目の遭遇となった。
基本、魔導雑貨商人とはランダムエンカウントになる。
こうも早くに再び顔を見れたのは、運が良いやら何とやら。
もっと大量の首輪を集めて会うつもりだったが、予定変更。
今は武器以上に、協力者のスムーズな確保へ天秤が傾いてあった。
基本、魔導雑貨商人とはランダムエンカウントになる。
こうも早くに再び顔を見れたのは、運が良いやら何とやら。
もっと大量の首輪を集めて会うつもりだったが、予定変更。
今は武器以上に、協力者のスムーズな確保へ天秤が傾いてあった。
「前に渡したまあまあ棒だかって道具、やっぱり返してください!オナシャス!」
「そいつはぁ無理ですぜ。一度交換した以上、欲しいなら対価になるもんを寄越してもらわねぇと」
「クゥーン…(子犬)」
「そいつはぁ無理ですぜ。一度交換した以上、欲しいなら対価になるもんを寄越してもらわねぇと」
「クゥーン…(子犬)」
頼み込んでみるが案の定、返答はにべもない。
捨てられた子犬のように同情を誘ってみるが、こんな小汚いホモがやってもイラッとするだけである(鮫並感)。
参加者相手には腰の低い態度なれど、やはり主催側のNPC。
基本的に、プログラム済のルールを破るつもりはない。
捨てられた子犬のように同情を誘ってみるが、こんな小汚いホモがやってもイラッとするだけである(鮫並感)。
参加者相手には腰の低い態度なれど、やはり主催側のNPC。
基本的に、プログラム済のルールを破るつもりはない。
「しょうがねぇなぁ…(GKU)」
しつこく食い下がっても、向こうは首を縦に振りはしないだろう。
なら早々に諦め、代用可能な道具を交換できるか確認する方がマシ。
今しがた手に入った首輪二つと、残りもう一つ。
計三つなら、入手可能なアイテムのランクも上げられる筈。
では何を渡すかだが、主戦力のブレイバックル一式や青薔薇の剣は除外。
マジェスペクターのデッキも、ここで手放したら何の為に時間を割いて覚えたんだという話になる。
なら早々に諦め、代用可能な道具を交換できるか確認する方がマシ。
今しがた手に入った首輪二つと、残りもう一つ。
計三つなら、入手可能なアイテムのランクも上げられる筈。
では何を渡すかだが、主戦力のブレイバックル一式や青薔薇の剣は除外。
マジェスペクターのデッキも、ここで手放したら何の為に時間を割いて覚えたんだという話になる。
「どうすっかなぁ俺もなぁ(優柔不断)」
部活を辞めるかどうか決めあぐねる大先輩さながらに悩んだ末、取り寄せバッグを選択。
無制限に使えるならまだしも、6時間のインターバルを天秤に掛けた結果だった。
ついでにドーナツも五個だけ残し、他は交換用に。
カタログを見て、気に入った物が無ければ次の機会に回せばいい。
無制限に使えるならまだしも、6時間のインターバルを天秤に掛けた結果だった。
ついでにドーナツも五個だけ残し、他は交換用に。
カタログを見て、気に入った物が無ければ次の機会に回せばいい。
「おや、とりよせバッグをもう手放すんですかい?」
「余計な時間制限なんか付けるからだろいい加減にしろ!」
「あっしに文句言われても困るんですが……。渡せるとしたら、こんなもんですかね」
「余計な時間制限なんか付けるからだろいい加減にしろ!」
「あっしに文句言われても困るんですが……。渡せるとしたら、こんなもんですかね」
再使用までまだ時間が掛かるが、複数の首輪と道具との引き換えでやっと手に入ったひみつ道具だ。
価値は相応に高く、カタログに記された一覧も幾分ランクアップ。
ざっと説明文を見て回り、ふと一点で目が止まる。
手っ取り早く協力者を増やせて、しかも反抗のリスクはほぼゼロ。
戦力的に多少の不安があるだろうが、自身の支給品を考えればその問題もクリア。
価値は相応に高く、カタログに記された一覧も幾分ランクアップ。
ざっと説明文を見て回り、ふと一点で目が止まる。
手っ取り早く協力者を増やせて、しかも反抗のリスクはほぼゼロ。
戦力的に多少の不安があるだろうが、自身の支給品を考えればその問題もクリア。
「おお~ええやん!なんぼなん?」
「首輪二つととりよせバッグ、あとはステフって嬢ちゃんのドーナツが幾つか。以上と引き換えで差し上げます」
「14万!?(難聴)」
「首輪二つととりよせバッグ、あとはステフって嬢ちゃんのドーナツが幾つか。以上と引き換えで差し上げます」
「14万!?(難聴)」
お前は話のどこを聞いていたんだよと言いたくなるような、ガバガバどころかスカスカな語録もそこそこに。
一々歩き回って手を組む者を探さなくても、これ一つで良いのなら。
やっぱり無かったことにと、断る理由はどこにもない。
一々歩き回って手を組む者を探さなくても、これ一つで良いのなら。
やっぱり無かったことにと、断る理由はどこにもない。
「こ↑れ↓に決めたから寄越して、どうぞ」
「では取引成立ってことで。返せと言われても無理ですが、大丈夫ですかい?」
「ウン、おかのした」
「では取引成立ってことで。返せと言われても無理ですが、大丈夫ですかい?」
「ウン、おかのした」
差し出した道具は野獣先輩の手から消え、新たに別の物が出現。
カタログに記載された写真と同じソレを眺め、してやったりな顔を浮かべる。
まるで水泳部の後輩への昏睡レイプの期待に満ちたような、非常に汚い悪党の顔だった。
用が済んだ魔導雑貨商人が去って行くのを尻目に、手に入った道具の使用を早速試みる。
カタログに記載された写真と同じソレを眺め、してやったりな顔を浮かべる。
まるで水泳部の後輩への昏睡レイプの期待に満ちたような、非常に汚い悪党の顔だった。
用が済んだ魔導雑貨商人が去って行くのを尻目に、手に入った道具の使用を早速試みる。
「ん?」
その寸前、ホモ特有の優れた聴覚がこちらへ近付く音を察知。
現代社会を生きる者は誰しも知る、自動車の走る音だ。
何者かがエーデルフェルト邸を訪れるのも、時間の問題。
となるといつまでも突っ立ってるより、屋内に身を潜め待ち構える方が利口か。
半壊したとはいえ相当な広さだ、すぐには見付けられまい。
迎撃か撤退かは相手次第だが、必要な準備は済ませられる。
現代社会を生きる者は誰しも知る、自動車の走る音だ。
何者かがエーデルフェルト邸を訪れるのも、時間の問題。
となるといつまでも突っ立ってるより、屋内に身を潜め待ち構える方が利口か。
半壊したとはいえ相当な広さだ、すぐには見付けられまい。
迎撃か撤退かは相手次第だが、必要な準備は済ませられる。
「とにかく急がなきゃ(使命感)。ほら行くどー」
クッソ気の抜ける語録とは裏腹に、ホモ特有の俊敏性を発揮。
自動車が屋敷の前で止まるよりも早く、我が身を奥の一室へ隠すべく急いだ。
自動車が屋敷の前で止まるよりも早く、我が身を奥の一室へ隠すべく急いだ。
○
今更になって改めて言う内容でないが、エーデルフェルト邸は目立つ。
閑静な住宅街に突如大豪邸が建てられた際の、元の世界におけるイリヤの衝撃とは別に。
ゲームにおいても、周辺の民家とはサイズからして別物。
加えて戦闘の影響で破壊の痕も刻まれてるとくれば、何もないと思う方が不自然。
閑静な住宅街に突如大豪邸が建てられた際の、元の世界におけるイリヤの衝撃とは別に。
ゲームにおいても、周辺の民家とはサイズからして別物。
加えて戦闘の影響で破壊の痕も刻まれてるとくれば、何もないと思う方が不自然。
白井邸での休憩を挟み、自動車を使って移動を再開した一行。
鋼牙達もまた、収穫の無いドライブを経てエーデルフェルト邸に到着。
戦闘を回避し体力の回復に充てられたと、そう言えば聞こえは良いが。
参加者との接触の機会を、悉く逃し続けたのは頭の痛い問題だ。
時間と道さえ違っていれば、すぐ隣のエリアで複数人の殺し合いに抗う者と会えただろう。
ねむの心を最も揺さぶる魔法少女、幻徳と因縁深い地球外生命体。
両者との再会を回避できたのが、良いか悪いかはともかくとして。
鋼牙達もまた、収穫の無いドライブを経てエーデルフェルト邸に到着。
戦闘を回避し体力の回復に充てられたと、そう言えば聞こえは良いが。
参加者との接触の機会を、悉く逃し続けたのは頭の痛い問題だ。
時間と道さえ違っていれば、すぐ隣のエリアで複数人の殺し合いに抗う者と会えただろう。
ねむの心を最も揺さぶる魔法少女、幻徳と因縁深い地球外生命体。
両者との再会を回避できたのが、良いか悪いかはともかくとして。
「随分派手にやったな……」
台風が通り過ぎたような惨状の屋敷に、幻徳が向ける視線は険しい。
自分達が来る前に、ここら周辺は戦場と化した。
誰が生き残り、誰が力尽きたのか。
自分の知る者が何らかの形で関わっているのか、考え続けるだけでは答えも出ない。
自分達が来る前に、ここら周辺は戦場と化した。
誰が生き残り、誰が力尽きたのか。
自分の知る者が何らかの形で関わっているのか、考え続けるだけでは答えも出ない。
「行ってみるか?まだ誰か残ってるとは限らないが……」
「だが調べて損はないだろう。ねむ、良いか?」
「構わないよ。“生きてる参加者”だけが、手掛かりになるとは限らないからね」
「だが調べて損はないだろう。ねむ、良いか?」
「構わないよ。“生きてる参加者”だけが、手掛かりになるとは限らないからね」
眼鏡の位置を直しながら、サラリと告げたのがどんな意味か。
察せない訳がなく、何とも言えない顔で男達は一瞬黙り込む。
生存者が屋敷を既に出た後でも、死体が残されていれば。
少なくとも誰が殺されたかは分かる、成程間違ってはいない。
一般的な小学生らしからぬ判断は、分かり切っていたが彼女がただの子供ではない証拠。
とはいえ、それを踏まえても同行の継続を決めたのだ。
察せない訳がなく、何とも言えない顔で男達は一瞬黙り込む。
生存者が屋敷を既に出た後でも、死体が残されていれば。
少なくとも誰が殺されたかは分かる、成程間違ってはいない。
一般的な小学生らしからぬ判断は、分かり切っていたが彼女がただの子供ではない証拠。
とはいえ、それを踏まえても同行の継続を決めたのだ。
三人共に探索は賛成、車を降りると警戒を強めながら屋内へ進む。
エーデルフェルト邸は外観のみならず、内部にも細かく金を掛けてある。
調度品一つ取っても、一般庶民の年給を優に超えるだろう。
その全てがゲームの為に再現された、精巧な模造品(レプリカ)。
ゲームマスターの拘りが垣間見えるも、努力の向かう先が殺し合いの時点で褒め称える気は微塵も起きない。
エーデルフェルト邸は外観のみならず、内部にも細かく金を掛けてある。
調度品一つ取っても、一般庶民の年給を優に超えるだろう。
その全てがゲームの為に再現された、精巧な模造品(レプリカ)。
ゲームマスターの拘りが垣間見えるも、努力の向かう先が殺し合いの時点で褒め称える気は微塵も起きない。
微かに沈んだカーペットや、動かした形跡のある椅子。
自分達の到着前に、誰かが訪れた証拠がそこかしこに見える。
一言も発さず足を動かし、ややあって嗅ぎ慣れた臭いが鼻孔周辺に漂う。
ホラーの餌として生涯を終えた人間、魔女との戦いで力尽きた魔法少女、嘗ての人体実験で使い捨てた国民等々。
三者三様で覚えのある、『死』の耐え難い臭い。
襲撃されても即座に対処出来るよう、意識を尖らせ鋼牙が扉に手を掛ける。
開け放った部屋の中に、こちらへ牙を剥く者は無し。
だが、記憶に強く刻まれた者の成れ果てが転がっていた。
自分達の到着前に、誰かが訪れた証拠がそこかしこに見える。
一言も発さず足を動かし、ややあって嗅ぎ慣れた臭いが鼻孔周辺に漂う。
ホラーの餌として生涯を終えた人間、魔女との戦いで力尽きた魔法少女、嘗ての人体実験で使い捨てた国民等々。
三者三様で覚えのある、『死』の耐え難い臭い。
襲撃されても即座に対処出来るよう、意識を尖らせ鋼牙が扉に手を掛ける。
開け放った部屋の中に、こちらへ牙を剥く者は無し。
だが、記憶に強く刻まれた者の成れ果てが転がっていた。
「零……」
黒衣を纏ったその男に、生前の人懐っこい笑みはなく。
閉じられた目が開かれることは、永遠にない。
頭部と胴体を斬り離された、凄惨な姿の親友と再会をここに果たす。
閉じられた目が開かれることは、永遠にない。
頭部と胴体を斬り離された、凄惨な姿の親友と再会をここに果たす。
「お前の仲間か……?」
「ああ……」
「ああ……」
問い掛けへ返す言葉は短くとも、内心で渦巻く感情は一言では言い表せない。
惨たらしい友の亡骸と対面した衝撃。
改めて突き付けられた喪失への悲しみ。
友を殺し、あまつさえ死後も手に掛けた何者かへの憤怒。
惨たらしい友の亡骸と対面した衝撃。
改めて突き付けられた喪失への悲しみ。
友を殺し、あまつさえ死後も手に掛けた何者かへの憤怒。
傍らの見知らぬ少女の遺体も合わせ、凡その状況は掴める。
わざわざベッドに寝かせ、床には剥がされただろうシーツが落ちているのを見るに。
恐らく零の仲間、或いは彼らの死後に屋敷を訪れた善良な参加者が安置した。
それを今度は別の誰かが、首輪を回収し死体はゴミのように扱ったのだろう。
シーツをかけ直す事すらしなかった辺り、どのような性根の者かは言うまでもない。
わざわざベッドに寝かせ、床には剥がされただろうシーツが落ちているのを見るに。
恐らく零の仲間、或いは彼らの死後に屋敷を訪れた善良な参加者が安置した。
それを今度は別の誰かが、首輪を回収し死体はゴミのように扱ったのだろう。
シーツをかけ直す事すらしなかった辺り、どのような性根の者かは言うまでもない。
「お兄さん……」
握り締めた拳に力を籠める鋼牙へ、ねむも気安く声は掛けられない。
自分だってもしここに転がっているのが、いろはや灯花だったら。
冷静さを取り繕えた自信はなく、友の死に揺さぶられる鋼牙を否定するつもりも皆無。
親友に起きた悲劇に打ちのめされる、嘗てねむ自身も味わった苦痛だ。
何の疑いも無く、いろはを魔法少女の運命から解放出来ると有頂天になり。
結果、ういは肉体と存在した痕跡の全てを失った。
ハッピーエンドなんて起こり得ないと、思い知らされた時の痛みたるや到底言葉じゃ表せず――
自分だってもしここに転がっているのが、いろはや灯花だったら。
冷静さを取り繕えた自信はなく、友の死に揺さぶられる鋼牙を否定するつもりも皆無。
親友に起きた悲劇に打ちのめされる、嘗てねむ自身も味わった苦痛だ。
何の疑いも無く、いろはを魔法少女の運命から解放出来ると有頂天になり。
結果、ういは肉体と存在した痕跡の全てを失った。
ハッピーエンドなんて起こり得ないと、思い知らされた時の痛みたるや到底言葉じゃ表せず――
ふいに、一人の男の顔が浮かんだ。
名前と、殺し合いに乗る気がない事と、友への心配を抱いていたこと。
知ったのはそれくらいで、長く付き合う前に彼は死んだ。
襲って来た参加者から自分を逃がし、その後どんな最期を迎えたかは不明。
定時放送で脱落者に名を連ね、ああやっぱりなと思った。
本当にそれだけの、魔力温存を理由に助けなかった参加者。
知ったのはそれくらいで、長く付き合う前に彼は死んだ。
襲って来た参加者から自分を逃がし、その後どんな最期を迎えたかは不明。
定時放送で脱落者に名を連ね、ああやっぱりなと思った。
本当にそれだけの、魔力温存を理由に助けなかった参加者。
引き摺られる思いが微塵もなかったと言えば、嘘になる。
しかし目的を果たす為には、仕方のない犠牲と割り切った筈。
元の世界で、マギウスの悲願達成に尽くした時と何ら変わらない。
罪悪感を踏み潰し、犠牲を経ての願いを叶える。
それでいいと決意しておきながら、今更になって迷いが生じたのか。
鋼牙の友や幻徳の仲間を手に掛けた者と同じ、他者へ悲劇を押し付ける側になった事に。
後悔でも感じてるのかと、都合の良い自分自身に苛立ちが湧き、
しかし目的を果たす為には、仕方のない犠牲と割り切った筈。
元の世界で、マギウスの悲願達成に尽くした時と何ら変わらない。
罪悪感を踏み潰し、犠牲を経ての願いを叶える。
それでいいと決意しておきながら、今更になって迷いが生じたのか。
鋼牙の友や幻徳の仲間を手に掛けた者と同じ、他者へ悲劇を押し付ける側になった事に。
後悔でも感じてるのかと、都合の良い自分自身に苛立ちが湧き、
弾かれたように振り返った鋼牙が得物を構え、空気が一瞬で切り替わった。
「何者だ?」
抜き身の刃さながらの剣呑さを乗せ、扉の向こうの気配に短く問う。
気付かれないよう息を潜めたつもりだろうが、魔戒騎士の優れた感覚は誤魔化せない。
気付かれないよう息を潜めたつもりだろうが、魔戒騎士の優れた感覚は誤魔化せない。
何より、数多のホラーを斬って来たからこそ分かる。
扉一枚隔てた先で、自分達へ向けられる粘ついた悪意を。
人を人とも思わずに、平然と命を弄び踏み躙る外道。
ホラーと何ら変わりのない、絶対に相容れぬ汚れ切った悪の存在がすぐそこにいると。
扉一枚隔てた先で、自分達へ向けられる粘ついた悪意を。
人を人とも思わずに、平然と命を弄び踏み躙る外道。
ホラーと何ら変わりのない、絶対に相容れぬ汚れ切った悪の存在がすぐそこにいると。
鋼牙の反応から、戦闘に発展してもおかしくないと幻徳も即座に理解。
ガイアメモリを取り出し、いつでも変身可能に備える。
ガイアメモリを取り出し、いつでも変身可能に備える。
最早隠れても無意味と悟り、観念してか。
それとも、見付かる事すら想定の内であったのか。
どちらにせよ、向こうも無反応を貫くつもりはないらしい。
扉がゆっくりと開き、姿が露わとなる。
それとも、見付かる事すら想定の内であったのか。
どちらにせよ、向こうも無反応を貫くつもりはないらしい。
扉がゆっくりと開き、姿が露わとなる。
「お ま た せ」
誰も待っていないにも関わらず、満を持しての登場を装うクッソ汚い男。
姿を見せただけで周囲一帯の空気が汚染されるような、異臭が漂い始める。
画像や映像越しだろうと、「くさそう」だの「うんこの擬人化」だの小学生並の感想を抱かせるだろう唯一無二のプレイヤー。
姿を見せただけで周囲一帯の空気が汚染されるような、異臭が漂い始める。
画像や映像越しだろうと、「くさそう」だの「うんこの擬人化」だの小学生並の感想を抱かせるだろう唯一無二のプレイヤー。
敗戦国の末路、アジア全域へ笑いを届ける使者、ネムラス4世、どこにでもいてどこにもいない。
そして、ホモビに出ただけで殺し合いに乗った男。
野獣先輩がまたしても自分達の前に現れ、さしものねむも眠たげな顔から一転。
眉を顰め、「こいつかよ」とでも言いたげな目を向ける。
そして、ホモビに出ただけで殺し合いに乗った男。
野獣先輩がまたしても自分達の前に現れ、さしものねむも眠たげな顔から一転。
眉を顰め、「こいつかよ」とでも言いたげな目を向ける。
「君のことなんか誰一人として待ってないよ」
「は?(威圧) あ、お前さメスガキさ、年上に向かって失礼過ぎィ!今すぐ犬の真似して詫び入れんだよ、おうあくしろよ」
「驚いたね。君は自分が他者から謝罪されるだけの真っ当な人間と、本気で思い込んでるのかい?それと、臭いが移るからそれ以上近寄らないで欲しい」
「言い過ぎィ!」
「は?(威圧) あ、お前さメスガキさ、年上に向かって失礼過ぎィ!今すぐ犬の真似して詫び入れんだよ、おうあくしろよ」
「驚いたね。君は自分が他者から謝罪されるだけの真っ当な人間と、本気で思い込んでるのかい?それと、臭いが移るからそれ以上近寄らないで欲しい」
「言い過ぎィ!」
淡々と女子小学生から罵倒され、ガラスよりも脆い野獣先輩の心が傷付く。
メンタルが脆いのは女の子の証拠、ハッキリ分かんだね。
ショックを受けて嘆く小汚いホモに、冷たい視線が突き刺さる中。
遅れてもう一人、室内に現れる者がいた。
メンタルが脆いのは女の子の証拠、ハッキリ分かんだね。
ショックを受けて嘆く小汚いホモに、冷たい視線が突き刺さる中。
遅れてもう一人、室内に現れる者がいた。
「おっ、待ってくださいよ。寄ってたかってか弱い乙女をいじめるのは最低だって、それ一番言われてるから」
「なっ……!?」
「なっ……!?」
野獣先輩の隣に並び擁護を始めたその人物に、驚愕が向けられるのも無理はない。
鍛え抜いた逞しくも汚らしい肉体に、一度見たら忘れられない特徴的な顔。
コカ・コーラ○島や鈴○福等々の、そっくりさん疑惑が出ている著名人に非ず。
野獣先輩がもう一人、鋼牙達の前に姿を堂々と見せたのだ。
鍛え抜いた逞しくも汚らしい肉体に、一度見たら忘れられない特徴的な顔。
コカ・コーラ○島や鈴○福等々の、そっくりさん疑惑が出ている著名人に非ず。
野獣先輩がもう一人、鋼牙達の前に姿を堂々と見せたのだ。
「おい殺っちまおうぜ、殺っちゃいます?その為のブレイバックル?あとその為のデッキ?」
「いいねぇ~殺りてぇよぉ~。じゃけんパパパっと殺って、終わりっにしましょうね~」
「おっそうだな。殺りますよ~殺る殺る」
「いいねぇ~殺りてぇよぉ~。じゃけんパパパっと殺って、終わりっにしましょうね~」
「おっそうだな。殺りますよ~殺る殺る」
非常に物騒な語録を言い合い、殺意を漲らせる二人のステハゲ。
片方はブレイバックルを装着し、もう片方はデュエルディスクからカードを引き抜く。
傍目にはどこかシュールさが漂う絵面だが、発せられる殺意は本物。
修羅の如き形相で、すっかり慣れたブレイドへの変身を行う。
オリハルコン製の装甲を纏うも、まだ終わりではない。
片方はブレイバックルを装着し、もう片方はデュエルディスクからカードを引き抜く。
傍目にはどこかシュールさが漂う絵面だが、発せられる殺意は本物。
修羅の如き形相で、すっかり慣れたブレイドへの変身を行う。
オリハルコン製の装甲を纏うも、まだ終わりではない。
「見とけよ見とけよ~」
『Absorb Queen』
『Fusion Jack』
腕部に取り付けた拡張装備、ラウズアブゾーバーが電子音声を発する。
白銀の装甲の各部には、新たに黄金のプレートを装着。
背には鷲の翼を思わせる、三枚一対の飛行ユニットが出現。
胸部アーマーと顔面部分が輝き、進化を敵対者に知らしめた。
白銀の装甲の各部には、新たに黄金のプレートを装着。
背には鷲の翼を思わせる、三枚一対の飛行ユニットが出現。
胸部アーマーと顔面部分が輝き、進化を敵対者に知らしめた。
仮面ライダーブレイド・ジャックフォーム。
カテゴリージャックとクイーンという、二体の上級アンデットの力を宿す強化形態。
キングフォーム同様、剣崎一真の覚悟の証と言っても過言ではない姿だ。
尤も、此度の変身者は愛の為に狂ったクッソ哀れな怪物。
剣崎や戦友の橘朔也が望まない形で、ブレイドの力を行使する。
カテゴリージャックとクイーンという、二体の上級アンデットの力を宿す強化形態。
キングフォーム同様、剣崎一真の覚悟の証と言っても過言ではない姿だ。
尤も、此度の変身者は愛の為に狂ったクッソ哀れな怪物。
剣崎や戦友の橘朔也が望まない形で、ブレイドの力を行使する。
『SKULL!』
「変身」
『SKULL!』
元は自分に支給されたラウズアブゾーバーを使われ、放送前とは異なる姿になった。
何故か野獣先輩がもう一人いるのも合わせ、警戒を強めた幻徳も変身。
体温も痛覚も失われ、亡霊同然の肉体に変化。
仮面ライダースカル専用装備、スカルマグナムのトリガーを引くのに躊躇はいらない。
何故か野獣先輩がもう一人いるのも合わせ、警戒を強めた幻徳も変身。
体温も痛覚も失われ、亡霊同然の肉体に変化。
仮面ライダースカル専用装備、スカルマグナムのトリガーを引くのに躊躇はいらない。
「ねむ、お前は下がっていろ」
「…良いの?僕も加勢した方が、お兄さん達にとっても都合が良いと思うけど」
「無制限に使える力じゃないのだろう。なら、俺達の方から戦いを強いるつもりはない」
「…良いの?僕も加勢した方が、お兄さん達にとっても都合が良いと思うけど」
「無制限に使える力じゃないのだろう。なら、俺達の方から戦いを強いるつもりはない」
魔法少女の魔力は無尽蔵に非ず、回復手段のグリーフシードも手元に無し。
ドッペルが作用するとは言っても、神浜にいた頃と違い不明瞭な点も少なくない。
積極的に戦闘へ参加しなくて構わないなら、それに越した事はなく。
鋼牙の言葉は願ったり叶ったり、幻徳も特に反対は口にしない。
となれば、自分は必要に駆られない限り傍観に徹して問題ないだろう。
元々荒事を押し付ける気で鋼牙との同行を選んだのだ、ならこの状況はねむの望んだ通り。
ドッペルが作用するとは言っても、神浜にいた頃と違い不明瞭な点も少なくない。
積極的に戦闘へ参加しなくて構わないなら、それに越した事はなく。
鋼牙の言葉は願ったり叶ったり、幻徳も特に反対は口にしない。
となれば、自分は必要に駆られない限り傍観に徹して問題ないだろう。
元々荒事を押し付ける気で鋼牙との同行を選んだのだ、ならこの状況はねむの望んだ通り。
「……分かった、それじゃあお願いするよ」
なのにどうしてか、頷くのに数秒を要した。
自分が後ろめたさを抱いた事実へ、目を逸らして後方へ下がる。
その様子を、敵がドブのように濁り切った野獣の眼光で見たとは気付かず。
自分が後ろめたさを抱いた事実へ、目を逸らして後方へ下がる。
その様子を、敵がドブのように濁り切った野獣の眼光で見たとは気付かず。
先手を切ったのは鋼牙だ。
魔戒剣の抜刀と同時に疾走し、ブレイドの脳天目掛け振り下ろす。
放送前に魔導火を翳して、敵がホラーでないとは把握済。
人間相手に魔戒騎士の得物を使うのは御法度であるも、此度の相手はその枠に納められる類に非ず。
他でもない自身の直感を疑わずに、早期決着ないし戦況を有利へ持って行く傷を与えんとした。
魔戒剣の抜刀と同時に疾走し、ブレイドの脳天目掛け振り下ろす。
放送前に魔導火を翳して、敵がホラーでないとは把握済。
人間相手に魔戒騎士の得物を使うのは御法度であるも、此度の相手はその枠に納められる類に非ず。
他でもない自身の直感を疑わずに、早期決着ないし戦況を有利へ持って行く傷を与えんとした。
「いいよ!来いよ!胸にかけて胸に!」
如何に剣の達人だとて防御はおろか、腕を僅かなりとも動かすのすら叶わない速さ。
敗北を受け入れる以外に取れる選択がない鋼牙の剣を、止められるとすれば。
同じく人間の限界を置き去りにした者のみであり、当然ブレイドも当て嵌まる。
挑発染みた語録と共に、翳した剣が魔戒剣をそれ以上進ませない。
敗北を受け入れる以外に取れる選択がない鋼牙の剣を、止められるとすれば。
同じく人間の限界を置き去りにした者のみであり、当然ブレイドも当て嵌まる。
挑発染みた語録と共に、翳した剣が魔戒剣をそれ以上進ませない。
押し返され体勢が崩れるよりも先に、鋼牙の方から得物を引く。
かといって、ブレイドに剣を振るう機会を譲りはしない。
位置を変え再度斬り掛かるが、簡単に倒されるつもりがないのは敵もまた同じ。
かといって、ブレイドに剣を振るう機会を譲りはしない。
位置を変え再度斬り掛かるが、簡単に倒されるつもりがないのは敵もまた同じ。
「いきますよーいきますよーイクイク…ヌッ!」
魔戒剣を弾き返し、三度目の刃が迫るのを待たず攻めに移った。
振り下ろしたかと思えば薙ぎ払いが襲い、防いだ傍から突きが走る。
休む暇を決して与えない怒涛の斬撃を、鋼牙は得物一本で凌ぎ続けた。
振り下ろしたかと思えば薙ぎ払いが襲い、防いだ傍から突きが走る。
休む暇を決して与えない怒涛の斬撃を、鋼牙は得物一本で凌ぎ続けた。
(一度戦った時よりも重いな……)
刃を弾く度に刀身を通じ、腕に伝わる衝撃は放送前の一戦時以上。
白銀の上に黄金を貼り付けた姿は、見かけ倒しではないらしい。
ブレイド本体の膂力と速さもさることながら、扱う剣も強化の恩恵に与っている。
眩く輝く追加刃、ディアマンテエッジによりリーチが上昇。
更に切れ味と硬度の両方も、平時のブレイラウザーより数段上だ。
白銀の上に黄金を貼り付けた姿は、見かけ倒しではないらしい。
ブレイド本体の膂力と速さもさることながら、扱う剣も強化の恩恵に与っている。
眩く輝く追加刃、ディアマンテエッジによりリーチが上昇。
更に切れ味と硬度の両方も、平時のブレイラウザーより数段上だ。
そこへ加わるのが、型に嵌らない変身者の奇怪な動き。
修練を積んだ者とは違う、だが丸っ切り戦闘の素人とも言い切れない。
筋肉や関節の動きを無視し、尚且つ必要な動作を所々で取り払った。
あえて例に出すとすれば、人形を操り出鱈目な動きも可能としてるかのよう。
純粋な人間同士の戦闘と思い込めば、却って繰り出す対処を狭める。
修練を積んだ者とは違う、だが丸っ切り戦闘の素人とも言い切れない。
筋肉や関節の動きを無視し、尚且つ必要な動作を所々で取り払った。
あえて例に出すとすれば、人形を操り出鱈目な動きも可能としてるかのよう。
純粋な人間同士の戦闘と思い込めば、却って繰り出す対処を狭める。
尤も、鋼牙を倒すには遠く至らないが。
「オォンッ!?」
防御を崩し首を刎ねようとしたブレイラウザーに、予想した手応えはなく。
代わりに脇腹へ痛みが走り、クッソ間抜けな悲鳴を上げ後退。
逃がさぬとばかりに白コートを翻し、懐へ潜り込む。
急接近を阻むべく剣や拳が襲い来るも、最小限の動作で回避。
柄尻を押し出し、魔戒剣の切っ先で胸部を突く。
カテゴリージャックの紋章を描いた、最も強固な装甲部分だ。
破壊はされなくとも衝撃は伝わり、ブレイドの足がもつれ隙を晒す。
代わりに脇腹へ痛みが走り、クッソ間抜けな悲鳴を上げ後退。
逃がさぬとばかりに白コートを翻し、懐へ潜り込む。
急接近を阻むべく剣や拳が襲い来るも、最小限の動作で回避。
柄尻を押し出し、魔戒剣の切っ先で胸部を突く。
カテゴリージャックの紋章を描いた、最も強固な装甲部分だ。
破壊はされなくとも衝撃は伝わり、ブレイドの足がもつれ隙を晒す。
「あかんこれじゃ死ぬゥ!」
焦りを露わに、狙いもまともに付けずブレイラウザーを振り回し牽制。
駄々をこねる子供のようだが、速さと武器の性能を思えば全く笑えない。
迂闊に踏み込めば刃の餌食となるも、鋼牙を止めるだけの効果は無し。
跳躍し僅かな隙間を潜り抜け、頭部へと蹴りを叩き込んだ。
駄々をこねる子供のようだが、速さと武器の性能を思えば全く笑えない。
迂闊に踏み込めば刃の餌食となるも、鋼牙を止めるだけの効果は無し。
跳躍し僅かな隙間を潜り抜け、頭部へと蹴りを叩き込んだ。
初戦時に手を焼かされたのは事実だ、今も油断を持ち込んだつもりはない。
しかし変幻自在の多種多様な戦法とは、ホラー討伐で日常茶飯事。
ましてポセイドンと違い、見切るのが困難極まる程にも非ず。
歴代最強と謳われた魔戒騎士の実力は、決して誇張ではないのだ。
蹴り飛ばされクッソ情けない悲鳴を上げた汚物へ、追撃を掛けるべく踏み込み、
しかし変幻自在の多種多様な戦法とは、ホラー討伐で日常茶飯事。
ましてポセイドンと違い、見切るのが困難極まる程にも非ず。
歴代最強と謳われた魔戒騎士の実力は、決して誇張ではないのだ。
蹴り飛ばされクッソ情けない悲鳴を上げた汚物へ、追撃を掛けるべく踏み込み、
「――っ!」
纏う空気の揺らぎを察し、急遽防御体勢へ移行。
素早く立ち上がったブレイドの構えは、ホモガキの切り抜き人形とは異なる。
修練と実戦、両方を高水準で兼ね備えなければ不可能な隙の無さ。
技が来る、そう抱いた確信が正解だと言うように刃が咆えた。
素早く立ち上がったブレイドの構えは、ホモガキの切り抜き人形とは異なる。
修練と実戦、両方を高水準で兼ね備えなければ不可能な隙の無さ。
技が来る、そう抱いた確信が正解だと言うように刃が咆えた。
――炎の呼吸 壱ノ型 不知火
踏み込む筈が、逆にブレイドの方から急接近。
カーペットが焼け焦げる程の加速を発揮し、得物を振り下ろす。
途端、翳した魔戒剣へ走る尋常ならざる衝撃。
破壊の痕跡は毛先程も刻まれないとはいえ、僅かに力を緩めれば腕ごと持って行かれそうだ。
歯を食い縛り耐えて、押し返さんと薙ぎ払う。
寸での所で跳んで躱すブレイド、すかさず次の技を叩き込む。
カーペットが焼け焦げる程の加速を発揮し、得物を振り下ろす。
途端、翳した魔戒剣へ走る尋常ならざる衝撃。
破壊の痕跡は毛先程も刻まれないとはいえ、僅かに力を緩めれば腕ごと持って行かれそうだ。
歯を食い縛り耐えて、押し返さんと薙ぎ払う。
寸での所で跳んで躱すブレイド、すかさず次の技を叩き込む。
――炎の呼吸 参ノ型 気炎万象
弧を描くかの如き斬撃に、鋼牙は回避を選択。
爪先が地を蹴り、後方へと跳ぶ。
降り立った先で睨み付けると、ほんの数秒前の焦りようはどこへやら。
憎たらしいしたり顔を浮かべてるのが、仮面越しにも分かった。
爪先が地を蹴り、後方へと跳ぶ。
降り立った先で睨み付けると、ほんの数秒前の焦りようはどこへやら。
憎たらしいしたり顔を浮かべてるのが、仮面越しにも分かった。
「Foo!↑そんな及び腰じゃ俺には勝てないって、それ一番言われてるから」
BBの数だけ強くなる男の異名はあれど、今見せた技は野獣先輩が持つもう一つの能力。
百を超える新説シリーズの内の一つ、野獣先輩煉獄杏寿郎説。
今日推しが生まれて推しが死んだとの名言を生み出した、鬼滅の刃の大人気キャラクター。
煉獄杏寿郎こそ、野獣先輩でないかとする説だ。
全国の煉獄さんファンからも、「俺は君のことが嫌いだ」と大好評を受けている。
百を超える新説シリーズの内の一つ、野獣先輩煉獄杏寿郎説。
今日推しが生まれて推しが死んだとの名言を生み出した、鬼滅の刃の大人気キャラクター。
煉獄杏寿郎こそ、野獣先輩でないかとする説だ。
全国の煉獄さんファンからも、「俺は君のことが嫌いだ」と大好評を受けている。
ブレイドに変身しているが、今の野獣先輩は煉獄でもある。
だから炎の呼吸も使えた、といった理由を察するのは難しい。
急激に剣技が上昇した敵へ、警戒と困惑が起こるも顔には出さない。
どんな手を使って来ようと結局の所、やるべき事は同じ。
仮面ライダーの力を悪用し、我欲で殺戮を振り撒く性根の腐り切った男を倒す。
揺らがぬ戦意を滾らせ、守りし者と奪いし者の剣がぶつかり合う。
だから炎の呼吸も使えた、といった理由を察するのは難しい。
急激に剣技が上昇した敵へ、警戒と困惑が起こるも顔には出さない。
どんな手を使って来ようと結局の所、やるべき事は同じ。
仮面ライダーの力を悪用し、我欲で殺戮を振り撒く性根の腐り切った男を倒す。
揺らがぬ戦意を滾らせ、守りし者と奪いし者の剣がぶつかり合う。
○
「おーやべ!110番だな!」
クッソ呑気な語録と裏腹に、もう一人の野獣先輩の動きは俊敏だ。
スカルマグナムの吐き出す銃弾を、陽気なダンスのように腰を振って躱す。
ふざけた方法としか思えないが、実際に弾は掠りもしない。
ことBB素材の数は多くの淫夢ファミリーは勿論、後年にブームを巻き起こした鉄華団団長だって追い越せない。
出来ない事を探す方が難しい淫夢王からすると、弾を躱すのは朝飯前。
スカルマグナムの吐き出す銃弾を、陽気なダンスのように腰を振って躱す。
ふざけた方法としか思えないが、実際に弾は掠りもしない。
ことBB素材の数は多くの淫夢ファミリーは勿論、後年にブームを巻き起こした鉄華団団長だって追い越せない。
出来ない事を探す方が難しい淫夢王からすると、弾を躱すのは朝飯前。
「この辺にぃ、良いカード…来てるらしいっすよ」
回避と同時並行し、自身のフィールドを整える。
ふさふさとした毛並みのタヌキ、マジェスペクター・ラクーンを通常召喚。
攻守共に高くはないが、スタートを切るのに欠かせない一枚。
召喚成功をトリガーに効果発動、マジェスペクターモンスターを手札に加える。
ふさふさとした毛並みのタヌキ、マジェスペクター・ラクーンを通常召喚。
攻守共に高くはないが、スタートを切るのに欠かせない一枚。
召喚成功をトリガーに効果発動、マジェスペクターモンスターを手札に加える。
「悪いが、お前の遊びに付き合う義理はない!」
盤面を整えるのを、悠長に待ってなどいられない。
標的をマジェスペクター・ラクーンに変え、引き金を引く。
だが敵の思い通りに進ませないのは、向こうも同様。
野獣の眼光で銃口を逆に睨み返し、スカルの懐に潜り込む。
標的をマジェスペクター・ラクーンに変え、引き金を引く。
だが敵の思い通りに進ませないのは、向こうも同様。
野獣の眼光で銃口を逆に睨み返し、スカルの懐に潜り込む。
「ざけんじゃねぇよオイ!誰がターン終了っつったオォン!?」
「なっ……!?」
「なっ……!?」
腕を蹴り上げ、スカルマグナムの狙いを強引に逸らす。
間髪入れずに胸部を靴底が叩き、スカルを自身から大きく引き離した。
間髪入れずに胸部を靴底が叩き、スカルを自身から大きく引き離した。
これまでの戦闘でブレイドへの変身や、新説シリーズを活用しては来たが。
淫夢ファミリー筆頭だけあって、野獣先輩は生身の戦闘能力も超人の領域に鎮座する。
鋼牙との初戦の際、変身せずとも互角に剣戟を繰り広げたのがその証拠。
BB素材と新説シリーズ、これら二つだけで本当なら十分な強さを持つのだから。
淫夢ファミリー筆頭だけあって、野獣先輩は生身の戦闘能力も超人の領域に鎮座する。
鋼牙との初戦の際、変身せずとも互角に剣戟を繰り広げたのがその証拠。
BB素材と新説シリーズ、これら二つだけで本当なら十分な強さを持つのだから。
「ちょっとこうワーッとやって、パパパってやって、終わりっ」
唯一神であるGOの語録を無断で使う、永劫地獄で責め苦を味わっても許されない所業へ出つつ。
カードのセッティングは澱みなく行われる。
カードのセッティングは澱みなく行われる。
先程効果で手札に加えたマジェスペクター・ポーキュパインは、自分フィールドにマジェスペクターモンスターがいる場合に特殊召喚が可能。
カール状の針金を生やすヤマアラシを場に出すや、マジェスペクター・ラクーン共々素材へ使用。
殺し合いには招かれなかった決闘者、藤木遊作がハノイの騎士やイグニスと戦い抜いた世界で広く知れ渡った召喚方法。
リンク召喚により鵺と呼ばれる妖怪に似た、マジェスペクター・オルトを新たに場に出す。
カール状の針金を生やすヤマアラシを場に出すや、マジェスペクター・ラクーン共々素材へ使用。
殺し合いには招かれなかった決闘者、藤木遊作がハノイの騎士やイグニスと戦い抜いた世界で広く知れ渡った召喚方法。
リンク召喚により鵺と呼ばれる妖怪に似た、マジェスペクター・オルトを新たに場に出す。
「ホラホラホラホラ!気持ち良いか~KMR~?」
優勝に走った人間の屑と違い、最後まで人間の鑑だった後輩の名を口にし。
先の先の、更に先まで読んでいるようにデッキを回す。
先の先の、更に先まで読んでいるようにデッキを回す。
マジェスペクター・オルトの効果で、EXデッキと手札にそれぞれカードを加える。
ここからが真髄と言わんばかりに、Pスケールをセッティング。
今しがたEXデッキに加えたマジェスペクター・フォックスと、マジェスペクター・クロウをペンデュラム召喚。
キツネとカラスがモチーフのモンスターはそれぞれ、魔法カードと罠カードをサーチ可能。
頭の中で既に決めてあった二枚を場に伏せておく。
ここからが真髄と言わんばかりに、Pスケールをセッティング。
今しがたEXデッキに加えたマジェスペクター・フォックスと、マジェスペクター・クロウをペンデュラム召喚。
キツネとカラスがモチーフのモンスターはそれぞれ、魔法カードと罠カードをサーチ可能。
頭の中で既に決めてあった二枚を場に伏せておく。
「仕上げに入って良いっすかぁ?いいゾ~これ(肯定)」
自分の問いに自分で頷く、クッソ痛々しい一人芝居の間も手は止まらない。
マジェスペクター・フォックスと、マジェスペクター・クロウ。
二体を素材に、マジェスペクター・ドラコをエクシーズ召喚。
白銀の鎧を纏い竜に跨る、麗しくも勇ましい騎士の少女が出現。
これで完全に整った、と言うのは残念ながらまだ早い。
マジェスペクター・フォックスと、マジェスペクター・クロウ。
二体を素材に、マジェスペクター・ドラコをエクシーズ召喚。
白銀の鎧を纏い竜に跨る、麗しくも勇ましい騎士の少女が出現。
これで完全に整った、と言うのは残念ながらまだ早い。
「メスなんて必要ねぇんだよ!出て行け!出て行けと言っている!(差別発言)」
自分で召喚しておきながら敵意を剥き出しにする、ホモ特有の矛盾を挟むのはご愛嬌。
先程手札に加えた魔法カード、マジェスペクター・ウインドを発動。
モンスター一体を手札に戻す代わりに、別のモンスターを特殊召喚可能な効果を使用。
マジェスペクター・オルトをリリースし、エリア間の移動にも使ったマジェスペクター・ユニコーンを特殊召喚。
トドメとばかりに、マジェスペクター・ドラコの効果が発動。
モンスターのリリースが引き金となり、素材一つを取り除きマジェスペクター・ポーキュパインが再び顔を出す。
先程手札に加えた魔法カード、マジェスペクター・ウインドを発動。
モンスター一体を手札に戻す代わりに、別のモンスターを特殊召喚可能な効果を使用。
マジェスペクター・オルトをリリースし、エリア間の移動にも使ったマジェスペクター・ユニコーンを特殊召喚。
トドメとばかりに、マジェスペクター・ドラコの効果が発動。
モンスターのリリースが引き金となり、素材一つを取り除きマジェスペクター・ポーキュパインが再び顔を出す。
「やりますねぇ!(自画自賛)」
一連の流れを10秒と掛からずに終え、対峙するスカルには何が何やらだ。
蹴り飛ばされ、受け身を取り立ち上がった時にはもう。
先程までいなかったモンスターが、自分を睨みつけている。
デュエルモンスターズを用いる敵と会わなかった為、具体的な状況はどうにも掴み切れない。
蹴り飛ばされ、受け身を取り立ち上がった時にはもう。
先程までいなかったモンスターが、自分を睨みつけている。
デュエルモンスターズを用いる敵と会わなかった為、具体的な状況はどうにも掴み切れない。
(よく分からんが……ロクな予感がしないな……!)
ただそれでも、敵に有利な盤面が出上がりつつあるのは察しが付く。
何をされるにしろ、好き勝手を許す訳にはいかない。
高火力の技を使って、妙な真似に出る前に潰すべき。
即座の判断でドライバーに手を伸ばすも、
何をされるにしろ、好き勝手を許す訳にはいかない。
高火力の技を使って、妙な真似に出る前に潰すべき。
即座の判断でドライバーに手を伸ばすも、
「マジェスペクター・ユニコーンの効果を発動しますよ~するする!(消えるのは)お前じゃい!」
一手遅かった、と言う他ないだろう。
「な、に……?」
何をされたと緊張が走り、しかしスカルは特に異変を感じない。
肉体へ衝撃を与えられた形跡は見当たらず、ドライバーやメモリも無事。
一体何がとの疑問は、すぐに明らかとなる。
肉体へ衝撃を与えられた形跡は見当たらず、ドライバーやメモリも無事。
一体何がとの疑問は、すぐに明らかとなる。
「鋼牙お兄さん……?」
顔を見ずとも呆然としてるのが分かる、ねむの零した声。
思わず振り向くと、スカルも同じ混乱に襲われた。
視線の先にいるのはクッソ汚い生身を隠す、白銀と黄金の混じったライダーのみ。
ブレイドと剣戟を繰り広げた仲間は、影も形も見当たらない。
思わず振り向くと、スカルも同じ混乱に襲われた。
視線の先にいるのはクッソ汚い生身を隠す、白銀と黄金の混じったライダーのみ。
ブレイドと剣戟を繰り広げた仲間は、影も形も見当たらない。
「冴島……?冴島!?どうなっている…冴島はどこに…!?」
「ぼ、僕にも分からないよ。お兄さんがいきなり消えて……」
「ぼ、僕にも分からないよ。お兄さんがいきなり消えて……」
鋼牙の消失へ動揺が襲い掛かるこの瞬間こそ、敵にとっては最大のチャンス。
僅かなりとも意識が逸れた今、一気に畳み掛ける。
僅かなりとも意識が逸れた今、一気に畳み掛ける。
『THUNDER』
「っ!ぐ、ぬ……!?」
ラウズカードを刀身に読み込ませ、得物の切っ先から電撃を放射。
反応に遅れの生じたスカルへ、容赦なく浴びせる。
痛覚が消えただけでダメージ自体は受けるのだ、全身の痺れで動きが大きく鈍り出す。
反応に遅れの生じたスカルへ、容赦なく浴びせる。
痛覚が消えただけでダメージ自体は受けるのだ、全身の痺れで動きが大きく鈍り出す。
『SLASH』
『THUNDER』
『LIGHTNING SLASH』
「ほら行くどー」
動きを止めさせたのは、これより放つ大技の為の布石。
ラウズカードを二枚リードし翼を展開、標的を掴み飛翔。
屋根を突き破り空中高くへ飛ぶ間、スカルは痺れのせいで抵抗らしい抵抗に出れない。
パッと手放され、重力に従い落下。
ラウズカードを二枚リードし翼を展開、標的を掴み飛翔。
屋根を突き破り空中高くへ飛ぶ間、スカルは痺れのせいで抵抗らしい抵抗に出れない。
パッと手放され、重力に従い落下。
「邪剣・【夜】。逝きましょうね」
尤も、ただ突き落とすだけで終わらせる気は皆無。
勝手に名付けたブレイラウザーを構え、自身も真下へ突撃。
稲妻を帯びた刃が胴体を切り裂き、より勢いを増し落ちて行く。
穴が開いたのとは別の天井に始まり、一階までの床を破壊した上で叩き付けられ、
勝手に名付けたブレイラウザーを構え、自身も真下へ突撃。
稲妻を帯びた刃が胴体を切り裂き、より勢いを増し落ちて行く。
穴が開いたのとは別の天井に始まり、一階までの床を破壊した上で叩き付けられ、
「がぁっ……!?」
ドライバーが外れ、変身解除と同時に激痛が駆け巡る。
肉体変化に伴い耐久性の上昇、そして痛覚の消失。
両方がある為、スカルに変身時は無茶も利く。
代償として戦闘後は地獄だ、捨て置いた痛みに苛まれるのだから。
肉体変化に伴い耐久性の上昇、そして痛覚の消失。
両方がある為、スカルに変身時は無茶も利く。
代償として戦闘後は地獄だ、捨て置いた痛みに苛まれるのだから。
「……っ、柊……!」
痛みを噛み殺し、這ってでもドライバーに手を伸ばす。
鋼牙が消え、自分も戦っていた場所から離されてしまった。
一人残された少女がどうなるかを、難しく考えるまでもない。
焦る内心と裏腹に、緩慢な動きしか出来ない自分が恨めしくてならない。
鋼牙が消え、自分も戦っていた場所から離されてしまった。
一人残された少女がどうなるかを、難しく考えるまでもない。
焦る内心と裏腹に、緩慢な動きしか出来ない自分が恨めしくてならない。
(これはマズいね……)
幻徳の懸念は、ねむ本人にだって分からない訳がない。
二人が戻って来るのを能天気に待っていては、死あるのみ。
ここに来てまで渋る程、状況が見えない愚鈍な者に非ず。
待機状態のソウルジェムに魔力を通し、魔法少女への変身を実行。
二人が戻って来るのを能天気に待っていては、死あるのみ。
ここに来てまで渋る程、状況が見えない愚鈍な者に非ず。
待機状態のソウルジェムに魔力を通し、魔法少女への変身を実行。
「おっ待ってくださいよ。まだ俺のターンは終了してないってそれ一番言われてるから」
なれど、野獣先輩にはねむがそう出る所まで予想通り。
既に対策は立てており、伏せていた罠カードを発動。
何をされるかは不明だが、迎え撃てるよう構えねばなるまい。
固有武装の分厚い本から紙片を飛ばし、
既に対策は立てており、伏せていた罠カードを発動。
何をされるかは不明だが、迎え撃てるよう構えねばなるまい。
固有武装の分厚い本から紙片を飛ばし、
「えっ……」
戦闘へ働かせる思考と裏腹に、望んだ光景が実現しない。
手にある筈の本はなく、そればかりか自分は魔法少女に変身すらしていなかった。
一体何が起きたと凍り付くのも一瞬、ただの少女の体に殴り飛ばされる痛みが走る。
手にある筈の本はなく、そればかりか自分は魔法少女に変身すらしていなかった。
一体何が起きたと凍り付くのも一瞬、ただの少女の体に殴り飛ばされる痛みが走る。
「あぐっ……!?」
短い悲鳴を上げ、床を転がる。
乗っていた小型ポッドは破壊されて、残骸が目の前に散乱。
うつ伏せに倒れ、立ち上がろうと腕に力を入れるも無駄だ。
圧し掛かられる感覚が襲い、抵抗を完全に封じられた。
乗っていた小型ポッドは破壊されて、残骸が目の前に散乱。
うつ伏せに倒れ、立ち上がろうと腕に力を入れるも無駄だ。
圧し掛かられる感覚が襲い、抵抗を完全に封じられた。
「Foo~↑やっぱり…メスガキを屈服させるのは…最高やな!」
クッソゲスい顔で煽りつつ、ねむのデイパックと指輪を奪い取るステロイドハゲ。
隣にはブレイドに変身中のおはぎうんこも合流し、人間の屑同士達成感を分かち合う。
視界に入れるだけで網膜が腐敗しそうな、非常におぞましい光景だった。
隣にはブレイドに変身中のおはぎうんこも合流し、人間の屑同士達成感を分かち合う。
視界に入れるだけで網膜が腐敗しそうな、非常におぞましい光景だった。
「成程、ね……君の持ってるカードが原因で……」
「そうだよ(肯定)。今更気付くとか鈍過ぎィ!ほんまつっかえ…やめたら?殺し合いの参加者」
「そうだよ(肯定)。今更気付くとか鈍過ぎィ!ほんまつっかえ…やめたら?殺し合いの参加者」
一連の不可解な現象は野獣先輩が頷いた通り、マジェスペクターのデッキを用いたものである。
まず第一に鋼牙の消失は、マジェスペクター・ユニコーンのモンスター効果。
自身の場のペンデュラムモンスターのリリースと引き換えに、相手フィールドのモンスターを手札に戻す。
ゲームにおいては、隣接するエリアへの強制転移という形で発動。
マジェスペクター・ポーキュパインを手札に戻し、鋼牙をエーデルフェルト邸から遠ざけたのだ。
その際、マジェスペクター・ドラコの効果で二枚目のマジェスペクター・ラクーンを特殊召喚するのも忘れずに。
まず第一に鋼牙の消失は、マジェスペクター・ユニコーンのモンスター効果。
自身の場のペンデュラムモンスターのリリースと引き換えに、相手フィールドのモンスターを手札に戻す。
ゲームにおいては、隣接するエリアへの強制転移という形で発動。
マジェスペクター・ポーキュパインを手札に戻し、鋼牙をエーデルフェルト邸から遠ざけたのだ。
その際、マジェスペクター・ドラコの効果で二枚目のマジェスペクター・ラクーンを特殊召喚するのも忘れずに。
次にねむを襲ったのは、カウンター罠のマジェスペクター・テンペスト。
自分のモンスターをリリースし、相手モンスターの効果を無効・破壊するカード。
マジェスペクター・ラクーンをコストに、魔法少女への変身自体を無効化。
更に破壊効果として、ダメージを与えたのが事の真相だった。
自分のモンスターをリリースし、相手モンスターの効果を無効・破壊するカード。
マジェスペクター・ラクーンをコストに、魔法少女への変身自体を無効化。
更に破壊効果として、ダメージを与えたのが事の真相だった。
「暴れんなよ…暴れんな……」
といったカード効果を律儀に教えてやる程、呑気に事を構える気はない。
マジェスペクター・ユニコーンに指示を出し、ねむの身動きを封じた。
三度も逃したメスガキの命も、今度は確実に終わらせる。
ブレイラウザーを構えにじり寄る汚物へ、動揺を顔に出さず頭を回す。
鋼牙が何処へ行ったかは定かでなく、幻徳も間に合うかは賭け。
となれば少しでも、時間を稼ぐしかない。
マジェスペクター・ユニコーンに指示を出し、ねむの身動きを封じた。
三度も逃したメスガキの命も、今度は確実に終わらせる。
ブレイラウザーを構えにじり寄る汚物へ、動揺を顔に出さず頭を回す。
鋼牙が何処へ行ったかは定かでなく、幻徳も間に合うかは賭け。
となれば少しでも、時間を稼ぐしかない。
「僕を殺すのに随分拘ってるようだけど、まさか子供を殺すのが趣味なのかい?だとしたら、優勝して叶える願いも低俗な類なんだろうね」
「は?(威圧)」
「は?(威圧)」
淡々と挑発を口に出せば、案の定食いついた。
ブレイドに変身中の方は勿論、デッキを持つ方も顔が悪鬼もかくやに歪み出す。
ブレイドに変身中の方は勿論、デッキを持つ方も顔が悪鬼もかくやに歪み出す。
「ふざけんな!(迫真) お前みたいな他人を利用するクズが知ったか振るとか頭に来ますよ!」
「図星を突かれたからって怒るのは、大人気ないんじゃないかな?」
「マジムカつくよこいつぅ~~!(ギャル語)。MURはんこいつ殺しましょうよ!」
「図星を突かれたからって怒るのは、大人気ないんじゃないかな?」
「マジムカつくよこいつぅ~~!(ギャル語)。MURはんこいつ殺しましょうよ!」
予選で死んだ大先輩の名前を出しつつも、野獣先輩の怒りは一気に頂点に達する。
このメスガキはまさか、自分が好き好んで殺し合いに乗ったと思ってるのか。
我欲を満たす為に優勝を狙ってると、そう言いたいのか。
道具のように他人を利用する性悪なメスガキの分際で、自分を見下している。
冗談じゃない、自分が殺し合いに乗ったのは――
このメスガキはまさか、自分が好き好んで殺し合いに乗ったと思ってるのか。
我欲を満たす為に優勝を狙ってると、そう言いたいのか。
道具のように他人を利用する性悪なメスガキの分際で、自分を見下している。
冗談じゃない、自分が殺し合いに乗ったのは――
「遠野を生き返らせる為に決まってるだろいい加減にしろ!」
遠野が死ななければ、自分だって殺し合いに乗りはしなかった。
これまでに会った者達と協力し、檀黎斗を倒す未来だってあったかもしれない。
でもそうはならない、愛する後輩が陵辱と拷問の果てに殺されて。
仕方ないで済ますなんて出来ないから、遠野のいない現実など耐えられないから。
これまでに会った者達と協力し、檀黎斗を倒す未来だってあったかもしれない。
でもそうはならない、愛する後輩が陵辱と拷問の果てに殺されて。
仕方ないで済ますなんて出来ないから、遠野のいない現実など耐えられないから。
「だったら神だろうがホモビ制作会社の社長だろうが、縋るしかな――」
「そうやって蘇生させた相手に、『自分のせいで無関係の人間が死んだ』って重荷を一生背負わせるんだろう?思ってた以上に、君は人でなしだね」
「そうやって蘇生させた相手に、『自分のせいで無関係の人間が死んだ』って重荷を一生背負わせるんだろう?思ってた以上に、君は人でなしだね」
怒りに背を押され吐き出した言葉は、冷え切った声に遮られた。
自分が何を言われたのかが、分からない
酷く間の抜けた顔を浮かべた同じ顔の二人の男へ、温度を感じさせない声色で続ける。
自分が何を言われたのかが、分からない
酷く間の抜けた顔を浮かべた同じ顔の二人の男へ、温度を感じさせない声色で続ける。
「『あなたを助ける為に大勢を殺しました。あなたが生き返れたのは、それだけ多くの人が犠牲になったからです』。君の大切な人はそう言われて、泣いて大喜びする人間性なのかな?」
「ファッ!?そそそそそそ、そんなことありませんね過ぎィ!」
「じゃあ真っ当な感性の持ち主に、背負う必要のない後悔と罪悪感を押し付けるんだね」
「ファッ!?そそそそそそ、そんなことありませんね過ぎィ!」
「じゃあ真っ当な感性の持ち主に、背負う必要のない後悔と罪悪感を押し付けるんだね」
目に見えて動揺を露わにし、しどろもどろになる男を見つめながら。
何故自分がこうも、内心で苛立っているのか。
声に出さず自問自答を繰り返して、辿り着いた。
何故自分がこうも、内心で苛立っているのか。
声に出さず自問自答を繰り返して、辿り着いた。
(ああなんだ――僕達と同じじゃないか)
参加者全員を犠牲にし、果てに願いを叶えて。
本当に遠野なる者が心から喜ぶか、目を逸らし続け。
救いとは名ばかりの大罪を背負わせ、消えぬ傷を刻み付ける。
本当に遠野なる者が心から喜ぶか、目を逸らし続け。
救いとは名ばかりの大罪を背負わせ、消えぬ傷を刻み付ける。
それと、何が違うのだろうか。
傍にいて欲しいという願いを裏切り、救済の為と自分に言い聞かせ犠牲を積み重ね。
あの人に齎さられるのが、魔法少女の運命から解放された未来だけでなく。
強い自責の念に押し潰される、誰も望まなかった結末だと。
傍にいて欲しいという願いを裏切り、救済の為と自分に言い聞かせ犠牲を積み重ね。
あの人に齎さられるのが、魔法少女の運命から解放された未来だけでなく。
強い自責の念に押し潰される、誰も望まなかった結末だと。
分かり切っていながら、いろはを救う為にはこれしかないと逃避を重ねる。
誰よりもいろはを大切に想い、その実最も彼女を苦しめている自分達と一緒じゃあないか。
誰よりもいろはを大切に想い、その実最も彼女を苦しめている自分達と一緒じゃあないか。
つまり、これは一種の同族嫌悪か。
自分以外の誰かの為と言いながら、相手の想いを一番に踏み躙る。
よりにもよって、こんな粘着質で汚らしい輩が自分達の映し鏡だなんて。
他人がやって初めて間違いを自覚するとは、よく言ったものと思う。
自分以外の誰かの為と言いながら、相手の想いを一番に踏み躙る。
よりにもよって、こんな粘着質で汚らしい輩が自分達の映し鏡だなんて。
他人がやって初めて間違いを自覚するとは、よく言ったものと思う。
「僕が屑、か。そうだね、それは君が正しいよ。我欲の言い訳に一番大事な人を利用する、君と同じ奴なのは間違いないかな」
「うるせぇ!!!!!(声だけ迫真)」
「うるせぇ!!!!!(声だけ迫真)」
蔑むように、哀れむように。
同じ穴の狢と告げた少女へ、抱いていた余裕も優越感も消し飛んだ。
黙らせなければいけない、否定しなければならない。
焦燥と憤怒に急かされ、カードを一枚引き抜く。
首を落とすだけでは気が済まない、強烈な暴力で澄まし顔を恐怖で歪ませてやりたい。
同じ穴の狢と告げた少女へ、抱いていた余裕も優越感も消し飛んだ。
黙らせなければいけない、否定しなければならない。
焦燥と憤怒に急かされ、カードを一枚引き抜く。
首を落とすだけでは気が済まない、強烈な暴力で澄まし顔を恐怖で歪ませてやりたい。
痛い所を突かれた事実から、必死に逃げるようにカードを掲げる。
遠野はきっと分かってくれる、メスガキが言ったのは自分を惑わせる戯言に過ぎない。
汚い顔を更に汚く、それでいて憐憫を抱かざるを得ない形相に変え切り札の発動を宣言する。
遠野はきっと分かってくれる、メスガキが言ったのは自分を惑わせる戯言に過ぎない。
汚い顔を更に汚く、それでいて憐憫を抱かざるを得ない形相に変え切り札の発動を宣言する。
「俺は手札から――」
「世界(ザ・ワールド)」
その瞬間、ほんの僅かな間だけ。
されど確かに、世界は鼓動を止めた。
されど確かに、世界は鼓動を止めた。