◆
「ふむ?人形、いや機械の類か?どちらにせよ、こういった道具もあるということか」
何が起きたかを、すぐには理解出来なかった。
気が付いたら、としか表現できないが。
自分達の目の前に、全く知らない参加者が現れた。
声からして男なのは確実であるも、素顔は見えない。
正確に言うと、生身と言える箇所が一つも見当たらない。
自分達の目の前に、全く知らない参加者が現れた。
声からして男なのは確実であるも、素顔は見えない。
正確に言うと、生身と言える箇所が一つも見当たらない。
黒光りする装甲で全身を覆い、腹部にはレバーの付いた機械。
仮面ライダーとだけ辛うじて察し、次いで男の手に握られた物へ視線が向く。
カードの束を装填した道具は、ほんの数秒前まで全く別の人物が持っていた筈。
彼が何処に行ったのかの答えが、男の足元に散らばっている。
仮面ライダーとだけ辛うじて察し、次いで男の手に握られた物へ視線が向く。
カードの束を装填した道具は、ほんの数秒前まで全く別の人物が持っていた筈。
彼が何処に行ったのかの答えが、男の足元に散らばっている。
砕け散った残骸の名は、コピーロボット。
名前の通り、鼻を押すと使用者の姿に変わる22世紀のひみつ道具の一つ。
魔導雑貨商人とのトレードで得たアイテムこそ、二人目の野獣先輩の正体だった。
記憶と身体能力も共有するコピーロボットへ、デッキを持たせ鋼牙達に襲い掛かり。
そして今、スクラップに変えられる末路を辿った。
名前の通り、鼻を押すと使用者の姿に変わる22世紀のひみつ道具の一つ。
魔導雑貨商人とのトレードで得たアイテムこそ、二人目の野獣先輩の正体だった。
記憶と身体能力も共有するコピーロボットへ、デッキを持たせ鋼牙達に襲い掛かり。
そして今、スクラップに変えられる末路を辿った。
「本体が前衛をこなし、人形がデュエルモンスターズで援護。成程、理に適っているな」
故にこそ排除し正解だったと、DIOは内心で独り言ちる。
海馬との空中戦を制したものの、会場北部にまで落下。
収穫ゼロで数時間を潰し、ようやっと見つけたのがエーデルフェルト邸での戦闘だった。
海馬との空中戦を制したものの、会場北部にまで落下。
収穫ゼロで数時間を潰し、ようやっと見つけたのがエーデルフェルト邸での戦闘だった。
カイトに続き海馬と、これまで二度も決闘者へ手痛い目に遭わされたのが効いたのだろう。
真っ先に標的へ選んだのは、今正にデュエルモンスターズのカードを使わんとする男。
既に時を止める力は我が身へ戻っており、使用に問題は無し。
DIOにのみ許された、時の凍てついた空間を駆けコピーロボットの元へ到達。
頭部を完全に粉砕し、デュエルディスクを奪い取ったのだ。
真っ先に標的へ選んだのは、今正にデュエルモンスターズのカードを使わんとする男。
既に時を止める力は我が身へ戻っており、使用に問題は無し。
DIOにのみ許された、時の凍てついた空間を駆けコピーロボットの元へ到達。
頭部を完全に粉砕し、デュエルディスクを奪い取ったのだ。
「なんだこのオッサン!?(驚愕)」
現状の把握に理解が追い付き、本物の野獣先輩も慌ててブレイラウザーを振り被った。
咄嗟の動きとしては悪くないが、DIO相手には遅過ぎる。
小さく欠伸一つを零す余裕すら見せ、愚かしくも抵抗に出た間抜けに「無駄」の二文字を叩き付けるまで。
咄嗟の動きとしては悪くないが、DIO相手には遅過ぎる。
小さく欠伸一つを零す余裕すら見せ、愚かしくも抵抗に出た間抜けに「無駄」の二文字を叩き付けるまで。
「フンッ!」
「うぼぁっ!?」
「うぼぁっ!?」
刀身の到達を追い抜き、仮面越しの頬を拳が捉えた。
DIOを悪の帝王たらしめる、唯一無二の力。
黄金の拳闘士、支配者の証たるスタンド。
ザ・ワールドのパワーとスピードに翳り無し、顔面殴打で動きを止めたのは致命的な隙に他ならない。
DIOを悪の帝王たらしめる、唯一無二の力。
黄金の拳闘士、支配者の証たるスタンド。
ザ・ワールドのパワーとスピードに翳り無し、顔面殴打で動きを止めたのは致命的な隙に他ならない。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
ザ・ワールドの鉄拳が叩く感触は、人体を狙った時よりも硬い。
数多のスタンドの中でもトップクラスの破壊力と言えど、やはり仮面ライダーの装甲は容易く壊せない。
だが問題無い、足りない分は付け足せば良いだけ。
腹部の機械、ビルドドライバーのレバーを回しエネルギーを引き出す。
数多のスタンドの中でもトップクラスの破壊力と言えど、やはり仮面ライダーの装甲は容易く壊せない。
だが問題無い、足りない分は付け足せば良いだけ。
腹部の機械、ビルドドライバーのレバーを回しエネルギーを引き出す。
「無駄ァッ!!!」
『Ready GO!』
『HAZARD ATTACK!』
スタンドの拳と同時に放つは、履帯状のエネルギー。
DIOが変身中の戦士、メタルビルドの高威力の技が叩き込まれる。
仮面が砕けんばかりの打撃と、装甲を文字通り削り取る蹴り。
二つをモロに受けては、さしものジャックフォームと言えど無事では済まない。
DIOが変身中の戦士、メタルビルドの高威力の技が叩き込まれる。
仮面が砕けんばかりの打撃と、装甲を文字通り削り取る蹴り。
二つをモロに受けては、さしものジャックフォームと言えど無事では済まない。
「イキスギィイイイイイイイイイイッ!!??!」
悲鳴を上げ吹っ飛ぶ野獣先輩を最後まで見送らず、視線は奪ったデュエルディスクへ。
暫し見下ろすとつまらなそうに放り、手刀を一閃。
装着されたデッキ諸共真っ二つと化し、床へ散らばった。
コレの面倒さは身に染みて理解している、残しておいてもロクな事にはなるまい。
ステハゲの落としたデイパックを拾い、変身を解除し生身を晒す。
一部始終を呆然と見ていた少女を、妖艶に輝く瞳が射抜く。
暫し見下ろすとつまらなそうに放り、手刀を一閃。
装着されたデッキ諸共真っ二つと化し、床へ散らばった。
コレの面倒さは身に染みて理解している、残しておいてもロクな事にはなるまい。
ステハゲの落としたデイパックを拾い、変身を解除し生身を晒す。
一部始終を呆然と見ていた少女を、妖艶に輝く瞳が射抜く。
「さて、待たせてしまったね。あの低俗な輩には退場してもらったよ」
「え、あ……」
「フフ…そう怯えなくてもいいだろう?君を傷付ける者はもう、ここに一人もいないのだから」
「え、あ……」
「フフ…そう怯えなくてもいいだろう?君を傷付ける者はもう、ここに一人もいないのだから」
唇が蠱惑的に弧を描く様から、目が離せない。
結果的に助けられる形になったとはいえ、男の正体も目的も何一つ分かっていないのだ。
警戒して当然、何時でも逃げれるよう備えるべき。
結果的に助けられる形になったとはいえ、男の正体も目的も何一つ分かっていないのだ。
警戒して当然、何時でも逃げれるよう備えるべき。
なのに、ねむはこの男の言葉をもっと聞きたいと思ってしまう。
名前も知らない相手の声が、心を許し合う親友のようにスルリと入り込む。
抱かねばならない警戒は、まるでアイスクリームのように溶け出す。
名前も知らない相手の声が、心を許し合う親友のようにスルリと入り込む。
抱かねばならない警戒は、まるでアイスクリームのように溶け出す。
(この、男、は……いや、僕は、この人に……)
思考がマズい方へ向かってると、自分でも分かった。
ベッドに就き、耳元で子守唄を歌ってくれるような。
不安と恐怖が薄れ、安心感に包まれる。
ベッドに就き、耳元で子守唄を歌ってくれるような。
不安と恐怖が薄れ、安心感に包まれる。
自分のことを何一つ伝えていない、名乗ってすらいないのに。
男が齎す安心に身を委ねれば、万事順調に事が運ぶんじゃあないか。
いろはの事も、魔法少女の救済も全て。
何とかなるのではと、根拠も無しに思考が大きく傾きを見せる。
男が齎す安心に身を委ねれば、万事順調に事が運ぶんじゃあないか。
いろはの事も、魔法少女の救済も全て。
何とかなるのではと、根拠も無しに思考が大きく傾きを見せる。
「不安がる必要はない。そうだな、先ずは…お互いをよく知るところから始めようじゃないか」
無骨な男の指が頬に添えられても、嫌悪感の一つだって抱けやしない。
冷静さがグズグズに掻き混ぜられ、自分の吐息へ熱さが籠る。
手がゆっくりと動き、額へ移動するのをただ眺めるしか出来ない。
彼に全て任せれば、きっとそれだけで良いのだと――
冷静さがグズグズに掻き混ぜられ、自分の吐息へ熱さが籠る。
手がゆっくりと動き、額へ移動するのをただ眺めるしか出来ない。
彼に全て任せれば、きっとそれだけで良いのだと――
思考を完全に放棄する寸前、脳裏へ黄金の狼が煌めいた。
「――っ!!」
「おっと」
「おっと」
蕩けた頭が電気を走ったように、正気を取り戻す。
同時によりにもよって、いろはを助ける事を他人へ放り投げかけた己への怒りが湧き上がり。
ささくれ立つ心のまま、野獣先輩の手から転がり落ちた指輪を拾う。
衣装を纏うや魔法少女の力を行使、複数の紙片を飛ばし男を自分から引き離す。
同時によりにもよって、いろはを助ける事を他人へ放り投げかけた己への怒りが湧き上がり。
ささくれ立つ心のまま、野獣先輩の手から転がり落ちた指輪を拾う。
衣装を纏うや魔法少女の力を行使、複数の紙片を飛ばし男を自分から引き離す。
「やれやれ、これでも私なりに子供へ気を遣ったつもりなんだがな」
「生憎だけど、口先ばかりが都合の良い輩にはもう懲りてるよ。それに……」
「生憎だけど、口先ばかりが都合の良い輩にはもう懲りてるよ。それに……」
自分の心を激しく揺さぶった『黄金』は、もう先客がいる。
とは口にせず、意識を戦闘へ切り替える。
何をされるか分からない以上、悠長にしてられない。
手数で押して怯ませた隙に、幻徳を回収し屋敷を離れるか。
本を開き、ウワサを複数体傍らへ呼び出す。
とは口にせず、意識を戦闘へ切り替える。
何をされるか分からない以上、悠長にしてられない。
手数で押して怯ませた隙に、幻徳を回収し屋敷を離れるか。
本を開き、ウワサを複数体傍らへ呼び出す。
「ほう、デュエルモンスターズ以外でも配下の怪物を呼び寄せられるのか」
「なっ!?」
「なっ!?」
目論見は自身の背後からDIOの声が聞こえ、ウワサが全て消された事で脆くも崩れる。
素早く動いたとか、そんな単純なものではない。
本当に気が付いたら、全てが終わっていたと言うのが正しい。
支給品か、DIO自身の能力かを探る余裕はない。
傍らへ立つ拳闘士に首根っこを掴まれ、小さな体を持ち上げられた。
素早く動いたとか、そんな単純なものではない。
本当に気が付いたら、全てが終わっていたと言うのが正しい。
支給品か、DIO自身の能力かを探る余裕はない。
傍らへ立つ拳闘士に首根っこを掴まれ、小さな体を持ち上げられた。
「いかん、いかんなぁ~~~~?本をそのように扱うなど、実にけしからん。数年とはいえ、貴族の屋敷で教育を受けた身でね。子供だからと不作法は見過ごせんなぁ?」
「ぐっ……」
「ぐっ……」
気道の圧迫で、顔が苦し気に歪む。
その気になればねむの細い首など、簡単にへし折れるだろうに。
一思いに殺すよりも、もっとロクでもない真似をされるに違いない。
察しが付いた所で、防げなければ無意味。
余計な抵抗をこれ以上される前に、終わらせようとDIOの手が再び伸びる。
その気になればねむの細い首など、簡単にへし折れるだろうに。
一思いに殺すよりも、もっとロクでもない真似をされるに違いない。
察しが付いた所で、防げなければ無意味。
余計な抵抗をこれ以上される前に、終わらせようとDIOの手が再び伸びる。
「ねむから離れろ!!」
待ち受ける数秒先の暗い未来は、魔を断つ一閃に掻き消された。
己の元へ走る刃を目にし、DIOも僅かに瞳を細め回避。
スタンドではない、生身の人間が繰り出したにも関わらず。
100年前に従えた黒騎士や、ポルナレフのシルバー・チャリオッツにすら届く速さだ。
己の元へ走る刃を目にし、DIOも僅かに瞳を細め回避。
スタンドではない、生身の人間が繰り出したにも関わらず。
100年前に従えた黒騎士や、ポルナレフのシルバー・チャリオッツにすら届く速さだ。
更には跳び退いた所を狙い撃ち、光弾の群れが殺到。
屈強な戦士であろうと蜂の巣は免れない数も、DIOには脅威足り得ない。
ザ・ワールドのラッシュを繰り出し、一発残らず霧散。
本体には一滴の血も流させず、ノーダメージで切り抜けた。
屈強な戦士であろうと蜂の巣は免れない数も、DIOには脅威足り得ない。
ザ・ワールドのラッシュを繰り出し、一発残らず霧散。
本体には一滴の血も流させず、ノーダメージで切り抜けた。
「ランタンヘ集まる羽虫のように、ゾロゾロと現れたな」
自分とねむの二人だけだった部屋へ、集まり出す複数の人間。
冷めた目で睨む先では、白コートの男が少女を抱き起していた。
冷めた目で睨む先では、白コートの男が少女を抱き起していた。
「ゲホッ……鋼牙お兄さん?」
「済まない、遅くなった」
「済まない、遅くなった」
小さく咳き込むねむを片腕に抱え、研ぎ澄まされた視線でDIOを射抜く青年。
エーデルフェルト邸から姿を消した筈の鋼牙は、微塵も戦意が揺らいでいない。
見ればすぐ近くには骸骨の頭部を持つ戦士、仮面ライダースカルに変身中の幻徳の姿もあった。
尤も、集まったのは見知った二人の男だけではないが。
エーデルフェルト邸から姿を消した筈の鋼牙は、微塵も戦意が揺らいでいない。
見ればすぐ近くには骸骨の頭部を持つ戦士、仮面ライダースカルに変身中の幻徳の姿もあった。
尤も、集まったのは見知った二人の男だけではないが。
「鋼牙さん!その子が…?」
『いろはさんの言ってた柊ねむさん、ですか。いやはや正に間一髪でしたねー』
「まさか俺達の方で、こんなに早く見つかるとは思わなかったけどな」
『いろはさんの言ってた柊ねむさん、ですか。いやはや正に間一髪でしたねー』
「まさか俺達の方で、こんなに早く見つかるとは思わなかったけどな」
ピンク色の衣装にステッキを持った、如何にも変身ヒロイン然とした少女。
紅葉にも見える奇抜な髪型で、女剣士を従えた少年。
両名共に、ねむが会場で初めて会う参加者だった。
紅葉にも見える奇抜な髪型で、女剣士を従えた少年。
両名共に、ねむが会場で初めて会う参加者だった。
強制的にエーデルフェルト邸から離された鋼牙だったが、運に救われたと言うべきか。
転移直後に出会ったのが、現在新たに参戦した二人と一本。
桜ノ館中学を一度離れ、付近のエリア探索を行っていたイリヤと遊戯である。
転移直後に出会ったのが、現在新たに参戦した二人と一本。
桜ノ館中学を一度離れ、付近のエリア探索を行っていたイリヤと遊戯である。
フェントホープに向かうか、桜ノ館中学で待機するか。
カイザーインサイトと、琴岡みかげにコンタクトを取る選択の内選んだのは後者。
本音を言うなら、みかげの安否を一刻も早く確かめたい。
すぐに殺されるような事態にはならない筈、とはエボルトの言だが全面の納得を抱けないのだから。
とは言うものの、カイザーインサイト達がいるのはマギウスの翼の本拠地。
何が仕掛けられてるか不明な城へ、自分と遊戯の二人だけで飛び込むのはリスクが大きい。
ひょっとすると、こちらの知らない内に戦力を更に増強されてる可能性とてゼロではない。
エインズワースの工房に潜入した時と違い、今のイリヤには相棒のステッキが最初から付いてる。
だがカイザーインサイトの持つ力も未だ未知数、聞いた話だけでも楽に勝てる相手と思えなかった。
カイザーインサイトと、琴岡みかげにコンタクトを取る選択の内選んだのは後者。
本音を言うなら、みかげの安否を一刻も早く確かめたい。
すぐに殺されるような事態にはならない筈、とはエボルトの言だが全面の納得を抱けないのだから。
とは言うものの、カイザーインサイト達がいるのはマギウスの翼の本拠地。
何が仕掛けられてるか不明な城へ、自分と遊戯の二人だけで飛び込むのはリスクが大きい。
ひょっとすると、こちらの知らない内に戦力を更に増強されてる可能性とてゼロではない。
エインズワースの工房に潜入した時と違い、今のイリヤには相棒のステッキが最初から付いてる。
だがカイザーインサイトの持つ力も未だ未知数、聞いた話だけでも楽に勝てる相手と思えなかった。
反対に桜ノ館中学で、エボルトとカイザーインサイトの合流へ同席する場合。
相手を拠点から離れさせ、こちらが待ち構える形での対峙となる。
自ら飛び込むか、相手を逆に呼び込むか。
どちらを選んでも相応のリスクはあり、しかし逸る心をルビー達に窘められつつも考えた末に。
桜ノ館中学で待つと決めたのだった。
相手を拠点から離れさせ、こちらが待ち構える形での対峙となる。
自ら飛び込むか、相手を逆に呼び込むか。
どちらを選んでも相応のリスクはあり、しかし逸る心をルビー達に窘められつつも考えた末に。
桜ノ館中学で待つと決めたのだった。
無論、絶対にこの選択が正しいかは分からない。
かといって無茶を通し、付き合わせた遊戯に危険が及ぶのも捨て置けない。
向こうもそれを察しており、己が足を引っ張りつつある現状へ申し訳なさそうにした。
とはいえ、付近のエリア探索で協力者が見付かる可能性もゼロではなく。
中学校を後にし、移動の真っ最中鋼牙と会い今に至る。
かといって無茶を通し、付き合わせた遊戯に危険が及ぶのも捨て置けない。
向こうもそれを察しており、己が足を引っ張りつつある現状へ申し訳なさそうにした。
とはいえ、付近のエリア探索で協力者が見付かる可能性もゼロではなく。
中学校を後にし、移動の真っ最中鋼牙と会い今に至る。
「戻って来たと思えば別の顔を連れて、何事かと思ったぞ」
痛みを押し殺し、再変身した直後に鋼牙がイリヤ達を連れ帰って来たのだ。
幸いイリヤ達は桜ノ館中学の情報交換で、幻徳とねむの話も聞いている。
鋼牙に関しても、生前の零から最も信頼出る男と伝えられたのが活きた。
余計な衝突へ発展せず、今はねむの安否が最優先ということで急ぎ駆け付けたのである。
幸いイリヤ達は桜ノ館中学の情報交換で、幻徳とねむの話も聞いている。
鋼牙に関しても、生前の零から最も信頼出る男と伝えられたのが活きた。
余計な衝突へ発展せず、今はねむの安否が最優先ということで急ぎ駆け付けたのである。
「待ってくれ、いろはお姉さんと会ったのかい……?」
『話を聞きたい気持ちは分かりますが、それは片付いてからということで。どうやら、殺る気満々なのはあの金髪マッチョだけじゃなさそうですよ』
『話を聞きたい気持ちは分かりますが、それは片付いてからということで。どうやら、殺る気満々なのはあの金髪マッチョだけじゃなさそうですよ』
警戒を促すルビーへ呼応し、瓦礫を蹴散らし姿を見せる者がいた。
「ぬわあああああああああああああん痛かったもおおおおおおおおおおおおおおおん。あっそっか、あったま来た……(静かなる怒り)」
クッソ能天気に痛みを訴えつつ、憤怒を顔に出す激おこうんこ。
王の帰還とでも言わんばかりの熱烈な、それでいて汚らしい存在感を醸し出し。
野獣先輩が集まった面々を睨み付けた。
王の帰還とでも言わんばかりの熱烈な、それでいて汚らしい存在感を醸し出し。
野獣先輩が集まった面々を睨み付けた。
「なんか増えてる…増えてない?ままええわ。全員俺の為に死んでくれよな~頼むよ~(懇願)」
「汚らしさだけでなく、しぶとさもゴキブリ並か。まあいい、予定は狂ったがどの道結末は変わらん」
「汚らしさだけでなく、しぶとさもゴキブリ並か。まあいい、予定は狂ったがどの道結末は変わらん」
好き勝手ほざく野獣先輩に、非常に汚らわしいモノを見るような目を向けながら。
DIOもまた静かに、されど決して無視出来ない殺意を溢れさせる。
肉の芽をねむに植え付けるつもりだったが、予定変更だ。
生身ながら凄腕の剣士や、未知の力を操る白い少女。
他にも手駒として役立つだろう候補が現れたのは、ある意味嬉しい誤算かもしれない。
DIOもまた静かに、されど決して無視出来ない殺意を溢れさせる。
肉の芽をねむに植え付けるつもりだったが、予定変更だ。
生身ながら凄腕の剣士や、未知の力を操る白い少女。
他にも手駒として役立つだろう候補が現れたのは、ある意味嬉しい誤算かもしれない。
「貴様らにくれてやる命など、一つも存在しない!」
二人の邪悪が戦場の主導権を握らんとするのを、魔戒騎士の一喝が否定。
天目掛け得物を突き刺し、光輪を描く。
祝福のように降り注ぐ光は、瞬く間に目も眩む黄金を纏わせた。
闇を照らし絶望打ち消す、希望を背負い剣を振るう者。
黄金騎士・牙狼がここに降臨。
天目掛け得物を突き刺し、光輪を描く。
祝福のように降り注ぐ光は、瞬く間に目も眩む黄金を纏わせた。
闇を照らし絶望打ち消す、希望を背負い剣を振るう者。
黄金騎士・牙狼がここに降臨。
「貴様……」
仮面ライダーとも違う、並々ならぬ威圧感を放つ牙狼へDIOも視線に険しさが増す。
己の勝利を疑っていないが、これまで手痛い目に遭ったのも事実。
念を押して損はない筈だろうと、手早く腹部の機械を操作。
ファクトリーの展開も束の間、前後から圧し潰される工程を挟みメタルビルドに変身完了。
己の勝利を疑っていないが、これまで手痛い目に遭ったのも事実。
念を押して損はない筈だろうと、手早く腹部の機械を操作。
ファクトリーの展開も束の間、前後から圧し潰される工程を挟みメタルビルドに変身完了。
「ビルドドライバー!?それにその姿は……!?」
「質問は一度に一つまでにしておけ。素直に教えてやるかは別だがな」
「質問は一度に一つまでにしておけ。素直に教えてやるかは別だがな」
ビルドドライバーを使ったのみならず、自分の知らないライダーに変身したのだ。
当然の驚愕を抱き問い質す幻徳へ、返って来たのは納得と程遠い嘲笑。
辿る筈だった未来、新世界で復讐に動いた戦士だと露知らず。
本物のヒーローである仲間のベルトを、これ以上悪用させまいと決意を固める。
当然の驚愕を抱き問い質す幻徳へ、返って来たのは納得と程遠い嘲笑。
辿る筈だった未来、新世界で復讐に動いた戦士だと露知らず。
本物のヒーローである仲間のベルトを、これ以上悪用させまいと決意を固める。
神の代行者として神罰を与えんとした聖女が退き、早数時間。
抜け切った闘争の熱は今再び、エーデルフェルト邸で燃え上がる。
邪悪の帝王、ミームの集合体。
悪しき野望と醜悪に歪んだ願いを打ち砕くべく、開幕の鐘が鳴り響く。
抜け切った闘争の熱は今再び、エーデルフェルト邸で燃え上がる。
邪悪の帝王、ミームの集合体。
悪しき野望と醜悪に歪んだ願いを打ち砕くべく、開幕の鐘が鳴り響く。
○
速さを取るか、防御を取るか。
装備の選択時に迫られる、リスクとリターン。
分厚い鎧を着込めば耐久性が期待出来、薄手ならば身軽に動ける。
片方を代償にせざるを得ないが、魔戒騎士は例外と言えよう。
装備の選択時に迫られる、リスクとリターン。
分厚い鎧を着込めば耐久性が期待出来、薄手ならば身軽に動ける。
片方を代償にせざるを得ないが、魔戒騎士は例外と言えよう。
「オオオオオオオッ!!」
戦意の大きさが咆哮となり、斬り掛かる勢いにも加わる。
全身を鎧に包んだが故の、鈍重な動きは欠片程も見当たらない。
自然界を生きる獣さながらに、標的目掛け突撃。
振り被った牙狼剣が突き立てられれば、最早敵に助かる術は無し。
全身を鎧に包んだが故の、鈍重な動きは欠片程も見当たらない。
自然界を生きる獣さながらに、標的目掛け突撃。
振り被った牙狼剣が突き立てられれば、最早敵に助かる術は無し。
「無駄ァッ!」
だが迎え撃つ男もまた、並大抵の枠に収まる輩に非ず。
数あるスタンドの中でもトップクラスの性能に加え、ジョースターの血の摂取が齎す恩恵も馬鹿に出来ない。
エジプトにて繰り広げられた決戦で、承太郎を追い詰めた爆発力は健在。
ザ・ワールドの拳が大剣と激突、互いに弾かれ合うや一呼吸の間すら無く二撃三撃と放った。
数あるスタンドの中でもトップクラスの性能に加え、ジョースターの血の摂取が齎す恩恵も馬鹿に出来ない。
エジプトにて繰り広げられた決戦で、承太郎を追い詰めた爆発力は健在。
ザ・ワールドの拳が大剣と激突、互いに弾かれ合うや一呼吸の間すら無く二撃三撃と放った。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
二本腕とは思えない、ガトリングと喩えても何ら違和感のない連打。
受ければ最後、一方的なサンドバッグの完成だ。
防御どころか身動ぎも許さず、脳を揺さぶられ内臓の凹む痛みをただ享受する以外に何もやれない。
潰れた豚のような悲鳴を上げて、惨めに地へ突っ伏す末路しかない。
受ければ最後、一方的なサンドバッグの完成だ。
防御どころか身動ぎも許さず、脳を揺さぶられ内臓の凹む痛みをただ享受する以外に何もやれない。
潰れた豚のような悲鳴を上げて、惨めに地へ突っ伏す末路しかない。
といった展開を覆せないなら、牙狼の称号は返上だ。
鉄拳の嵐を一発すら当てさせず、大剣が的確に防ぐ。
魔戒剣以上のリーチと重量であるも、己が手足同然に使いこなす。
鉄拳の嵐を一発すら当てさせず、大剣が的確に防ぐ。
魔戒剣以上のリーチと重量であるも、己が手足同然に使いこなす。
「ムッ!?」
強化グローブで隠したDIOの左手が裂かれ、スーツ内部が血に汚れる。
牙狼剣との打ち合いが46を超えたタイミングで、先に限界が来た。
如何に驚異的な破壊力と言えど、敵の得物はホラーを幾度も屠った黄金騎士の剣。
むしろここまで、よく持った方だろう。
牙狼剣との打ち合いが46を超えたタイミングで、先に限界が来た。
如何に驚異的な破壊力と言えど、敵の得物はホラーを幾度も屠った黄金騎士の剣。
むしろここまで、よく持った方だろう。
『SKULL!MAXIMAM DRIVE!』
DIOを相手取るのは鋼牙一人じゃあない。
ザ・ワールドを動かす間、無防備な本体をスカルが狙い撃つ。
ガイアメモリから引き出したエネルギーを、専用の銃に付与。
風都の仮面ライダーの中でも、最初期に街を守ったスカルのマキシマムドライブだ。
メモリブレイクだけでなく、変身者の命をも奪う高威力の弾を撃ち込む。
ザ・ワールドを動かす間、無防備な本体をスカルが狙い撃つ。
ガイアメモリから引き出したエネルギーを、専用の銃に付与。
風都の仮面ライダーの中でも、最初期に街を守ったスカルのマキシマムドライブだ。
メモリブレイクだけでなく、変身者の命をも奪う高威力の弾を撃ち込む。
無論、大人しく撃たれるDIOではない。
仮面ライダーに変身中の点で、自分と幻徳の条件は同じ。
加えてメタルビルドの防御性能があれば、ダメージを大幅に削げるだろう。
かといって素直に食らってやるような、被虐趣味など持ち合わせていない。
返り討ちにすべくドライバーに手を伸ばし、させじと数枚の紙片が飛来。
自身の魔力を練り固めた上で、妨害に出たのはねむだ。
単なる紙切れと軽く腕を振るうも、思った以上の威力に弾き返される。
生じた隙へ捩り込むように、光弾が発射。
同じく鋼牙も、一刀両断の勢いで大剣を振り下ろした。
仮面ライダーに変身中の点で、自分と幻徳の条件は同じ。
加えてメタルビルドの防御性能があれば、ダメージを大幅に削げるだろう。
かといって素直に食らってやるような、被虐趣味など持ち合わせていない。
返り討ちにすべくドライバーに手を伸ばし、させじと数枚の紙片が飛来。
自身の魔力を練り固めた上で、妨害に出たのはねむだ。
単なる紙切れと軽く腕を振るうも、思った以上の威力に弾き返される。
生じた隙へ捩り込むように、光弾が発射。
同じく鋼牙も、一刀両断の勢いで大剣を振り下ろした。
「無駄だ、無駄無駄…何人群れた所で、所詮は獣の浅知恵に過ぎん」
しかしDIOにほんのちょっぴりの焦りもなく、むしろ嘲笑う余裕すらあるではないか。
忌々しくも一度は封じられた、世界を支配下に置く力は我が手に戻って来た。
DIOだけに許された世界へ足を踏み入れるのに、一切の躊躇はない。
完全なる静寂に包まれるも、長々と静けさを堪能せず行動に出る。
忌々しくも一度は封じられた、世界を支配下に置く力は我が手に戻って来た。
DIOだけに許された世界へ足を踏み入れるのに、一切の躊躇はない。
完全なる静寂に包まれるも、長々と静けさを堪能せず行動に出る。
「がっ!?」
「ぐおおおおおおおっ!?」
「ぐおおおおおおおっ!?」
世界が再び鼓動を鳴らすと同時に、二人の男がくの字に吹き飛ぶ。
DIOへ攻撃を仕掛けた筈が、突如全身に痛みが走り。
次の瞬間には体が宙へ浮く程の、正体不明の衝撃に襲われたのだ。
何かをされたのは分かる、だが肝心の何かが掴み切れない。
DIOへ攻撃を仕掛けた筈が、突如全身に痛みが走り。
次の瞬間には体が宙へ浮く程の、正体不明の衝撃に襲われたのだ。
何かをされたのは分かる、だが肝心の何かが掴み切れない。
「波紋、ではないな。どちらにせよ、ちと面倒か」
時間停止中に殴り飛ばしたDIO本人は、グローブ越しの自身の手を見やり独り言ちる。
鎧の上から鋼牙へラッシュを叩き込んだが、その際ザ・ワールドの拳に猛烈な熱さを感じた。
魔戒騎士の鎧は超振動によって、常に高温を発している。
スタンドのフィードバックで負った火傷は再生するも、このままでは殴る度にいらぬ傷を自分も受けるか。
鎧の上から鋼牙へラッシュを叩き込んだが、その際ザ・ワールドの拳に猛烈な熱さを感じた。
魔戒騎士の鎧は超振動によって、常に高温を発している。
スタンドのフィードバックで負った火傷は再生するも、このままでは殴る度にいらぬ傷を自分も受けるか。
問題無い、要は直接触れなければ良いのだから。
「その前に、こそこそと下らん小細工はそこまでにしてもらおう」
「……っ」
「……っ」
鋼牙達の復帰までの、時間稼ぎのつもりだろう。
空気を切り裂き迫る紙片を、DIO本体の回し蹴りが蹴散らす。
全身が装甲で覆われているのに、何ら動きが阻害されない。
代わりに吸血鬼の能力は使用出来ない為、一長一短であるがともかく。
空気を切り裂き迫る紙片を、DIO本体の回し蹴りが蹴散らす。
全身が装甲で覆われているのに、何ら動きが阻害されない。
代わりに吸血鬼の能力は使用出来ない為、一長一短であるがともかく。
デイパックに手を突っ込み、元はねむの支給品を取り出す。
両手の指の間に四本ずつ挟んだソレは、本来突撃銃の先端に装着する銃剣(バヨネット)。
ヴァチカン・イスカリオテ所属、アレクサンド・アンデルセンが化け物殺しに用いる得物だ。
両手の指の間に四本ずつ挟んだソレは、本来突撃銃の先端に装着する銃剣(バヨネット)。
ヴァチカン・イスカリオテ所属、アレクサンド・アンデルセンが化け物殺しに用いる得物だ。
吸血鬼を滅ぼす武器が、よりにもよって吸血鬼に利用される。
皮肉な光景に呆れ返る者はここにおらず、計8本の銃剣をねむへ投擲。
DIO本来の膂力に加え、メタルビルドのパワーも加えた魔弾だ。
打たれ強い魔法少女と言えど、小学生の柔肌など布切れ一枚以下の薄さ。
皮肉な光景に呆れ返る者はここにおらず、計8本の銃剣をねむへ投擲。
DIO本来の膂力に加え、メタルビルドのパワーも加えた魔弾だ。
打たれ強い魔法少女と言えど、小学生の柔肌など布切れ一枚以下の薄さ。
「人の物を勝手に取たら駄目だなんてこと、使い古された教訓だよ……!」
大人しく的になる殊勝さなど、当たり前だが持ち合わせていない。
複数枚重ね、更に魔力でコーティングしより強固に。
紙に当たったとは思えない音を立て、刃が砕け散る。
とはいえDIOのパワーも相当なものだ、防ぎ終えた傍から紙片が霧散。
複数枚重ね、更に魔力でコーティングしより強固に。
紙に当たったとは思えない音を立て、刃が砕け散る。
とはいえDIOのパワーも相当なものだ、防ぎ終えた傍から紙片が霧散。
「…っ、奴は何をした……?」
「僕も見るのは二度目だけど……いや、あの現象…見滝原の魔法少女にも確か……」
「僕も見るのは二度目だけど……いや、あの現象…見滝原の魔法少女にも確か……」
痛みを押し殺し立ち上がる鋼牙達と言葉を交わし、ふと思い当たる節があるような仕草を取る。
残念ながら悠長に考え込む時間は与えられない。
見ればDIOが従える拳闘士、ザ・ワールドの手には先程まで無かった長得物が握られてあった。
残念ながら悠長に考え込む時間は与えられない。
見ればDIOが従える拳闘士、ザ・ワールドの手には先程まで無かった長得物が握られてあった。
「なっ…!?何故貴様がそれを持っている!?」
「ンン~~~~?何故と言われてもな。運良く手に入ったと、他にどう答えれば良いか分からんのでなぁ?」
「ンン~~~~?何故と言われてもな。運良く手に入ったと、他にどう答えれば良いか分からんのでなぁ?」
禍々しい髑髏がはめ込まれた戦斧は、鋼牙にとって無視できない因縁を持つ。
父の仇、バラゴこと暗黒騎士キバが暗黒剣と共に振るった得物だ。
父の仇、バラゴこと暗黒騎士キバが暗黒剣と共に振るった得物だ。
エーデルフェルト邸を訪れる少し前、突如頭上から戦斧が降って来た。
一歩間違えれば頭部を潰され、事故死同然となった参加者が現れたのは想像に難くない。
尤も、DIOには多少の驚きこそあっても対処は容易い。
軽く身を捩って避け、柄を掴んで一回し。
どこの誰が運んで来たかは知らないが、そこらに放置する理由もない為デイパックに仕舞っておいたのだ。
一歩間違えれば頭部を潰され、事故死同然となった参加者が現れたのは想像に難くない。
尤も、DIOには多少の驚きこそあっても対処は容易い。
軽く身を捩って避け、柄を掴んで一回し。
どこの誰が運んで来たかは知らないが、そこらに放置する理由もない為デイパックに仕舞っておいたのだ。
「貴様の因縁など知ったことではない。このDIOの道具として使ってやるだけのことよ」
ザ・ワールドのパワーなら、扱うのは困難に非ず。
両手に持ち、頭上で振り回せば叩くような暴風が発生。
柄尻を床に叩き付け仁王立ちする様は、さながら王へ逆らう不届き者を処する執行人か。
両手に持ち、頭上で振り回せば叩くような暴風が発生。
柄尻を床に叩き付け仁王立ちする様は、さながら王へ逆らう不届き者を処する執行人か。
睨み合う両者の間で、目に見えぬ火花が散るのも一瞬のこと。
騎士と帝王、二人の黄金の激突を以て闘争再開となった。
騎士と帝王、二人の黄金の激突を以て闘争再開となった。
○
「散弾(ショット)!」
ステッキに魔力を収束し放つ、イリヤにとっては呼吸同然に行える魔法少女(カレイドライナー)の基本的な攻撃。
直線状に撃つのではなく、数十発を一振りでばら撒く。
一発一発の威力はそれ程でもないが、手数と範囲に優れた術だ。
標的が跳び退けば床を破壊し、壁に穴を開ける。
外からの空気が入り込む箇所が生まれるや、野獣先輩は躊躇なく飛び出す。
屋外よりも、広々とした庭の方が戦いやすいとの判断だがそれはイリヤとて同様。
宙へ身を躍らせ、着地と同時に再度魔力を掻き集める。
直線状に撃つのではなく、数十発を一振りでばら撒く。
一発一発の威力はそれ程でもないが、手数と範囲に優れた術だ。
標的が跳び退けば床を破壊し、壁に穴を開ける。
外からの空気が入り込む箇所が生まれるや、野獣先輩は躊躇なく飛び出す。
屋外よりも、広々とした庭の方が戦いやすいとの判断だがそれはイリヤとて同様。
宙へ身を躍らせ、着地と同時に再度魔力を掻き集める。
「砲射(フォイア)!」
先程と違い、一発のみだが籠められた魔力の密度は上。
だが当たらなければ無意味だ、後頭部で手を組み腰を振るBB素材特有の奇怪な動きで回避。
だが当たらなければ無意味だ、後頭部で手を組み腰を振るBB素材特有の奇怪な動きで回避。
「挨拶も抜きに撃つとか危な過ぎィ!本気でそれが大人に対する態度と思ってるなら私には理解に苦しむね」
「行けエアトス!」
「行けエアトス!」
教室で自慰行為に励むAOKをいびるかの語録を無視し、得物を構えた女剣士が斬り掛かる。
召喚したエアトスに運ばれる形で外に出て、即座にイリヤの支援に回った遊戯だ。
嘗て二度に渡る決闘(デュエル)を繰り広げた、ドーマ三銃士のラフェールのエースモンスター。
ガーディアン・エアトスは、デッキがない今の遊戯の主戦力。
召喚者の意志に従い、愛剣を振り下ろした。
召喚したエアトスに運ばれる形で外に出て、即座にイリヤの支援に回った遊戯だ。
嘗て二度に渡る決闘(デュエル)を繰り広げた、ドーマ三銃士のラフェールのエースモンスター。
ガーディアン・エアトスは、デッキがない今の遊戯の主戦力。
召喚者の意志に従い、愛剣を振り下ろした。
「オォン!」
耳の腐る喘ぎ声を発しながら、全身を回転させ避ける。
まるでライブ中のNSDR兄貴のようだと、知る者はこの場におらず。
次の攻撃が来る前に変身するべく、ブレイバックルを装着。
まるでライブ中のNSDR兄貴のようだと、知る者はこの場におらず。
次の攻撃が来る前に変身するべく、ブレイバックルを装着。
「斬撃(シュナイデン)!」
「ファッ!?」
「ファッ!?」
そう来ると読んでいたかの如く、野獣先輩が回避に動いた直後に三撃目が来た。
威力と範囲の両方を広げた魔刃は、捨て置くにはリスクが大きい。
慌てて変身を中断、横へ大きく跳んで斬撃から逃れる。
威力と範囲の両方を広げた魔刃は、捨て置くにはリスクが大きい。
慌てて変身を中断、横へ大きく跳んで斬撃から逃れる。
「エアトス!」
逃がしはしないと仕掛けるのはエアトス。
横薙ぎに振るわれた剣を後退しやり過ごすも、切っ先が胸部に一文字を描く。
赤い線が薄く滲むが、戦闘続行は十分可能。
改めてブレイバックルに手を伸ばし、狙ったタイミングで魔力弾が間近に迫りつつあった。
横薙ぎに振るわれた剣を後退しやり過ごすも、切っ先が胸部に一文字を描く。
赤い線が薄く滲むが、戦闘続行は十分可能。
改めてブレイバックルに手を伸ばし、狙ったタイミングで魔力弾が間近に迫りつつあった。
野獣先輩にとっては不運な事に、自分の情報は既にイリヤ達に知れ渡っていた。
名前こそ知らないも外見と装備の特徴から、聖都大学附属病院を襲った内の一人と察しは付く。
オシリスに姿を変えたメカニズムこそ不明なれど、ブレイドに変身可能だとは把握済。
であれば対処は実にシンプル、最初から変身させなければいい。
ブレイバックルを操作する隙を与えず、二人なのを活かし連携で攻める。
如何に野獣先輩がブレイドの力に慣れたとはいえ、そもそも変身が出来なければ無意味。
名前こそ知らないも外見と装備の特徴から、聖都大学附属病院を襲った内の一人と察しは付く。
オシリスに姿を変えたメカニズムこそ不明なれど、ブレイドに変身可能だとは把握済。
であれば対処は実にシンプル、最初から変身させなければいい。
ブレイバックルを操作する隙を与えず、二人なのを活かし連携で攻める。
如何に野獣先輩がブレイドの力に慣れたとはいえ、そもそも変身が出来なければ無意味。
「調子こいてんじゃねぇぞこの野郎!メスガキとヒトデ頭のくせによォン!?」
『むむ!?お二人とも注意してください!何らかの力…いえ、魔力が急激に高まっています!』
『むむ!?お二人とも注意してください!何らかの力…いえ、魔力が急激に高まっています!』
埒の明かない現状へ怒りを露わにし、自らの持つ力の一部を解放。
ブレイバックルもマジェスペクターのデッキも、あくまで手段の一つに過ぎない。
野獣先輩を象徴する、より強力な異能をあえて腐らせる必要も無し。
異変を即座に察知したルビーに警戒を促され、イリヤ達の緊張も高まる中。
光りに包まれるも一瞬のこと、晴れた時には無数の銃口が睨みつけていた。
ブレイバックルもマジェスペクターのデッキも、あくまで手段の一つに過ぎない。
野獣先輩を象徴する、より強力な異能をあえて腐らせる必要も無し。
異変を即座に察知したルビーに警戒を促され、イリヤ達の緊張も高まる中。
光りに包まれるも一瞬のこと、晴れた時には無数の銃口が睨みつけていた。
「っ!遊戯さん下がって!ルビー!」
『はいはいっと!』
『はいはいっと!』
日光を浴びた銀の銃身は一層輝くも、イリヤには美しさ以上に戦慄を抱かせる。
単発式のマスケット銃が、数十丁配置。
それもただ並べるのではなく、円を描く形で浮遊させている。
何が起こるかを悠長に考えずとも、余程の馬鹿でなければ安易に答えに辿り着くだろう。
単発式のマスケット銃が、数十丁配置。
それもただ並べるのではなく、円を描く形で浮遊させている。
何が起こるかを悠長に考えずとも、余程の馬鹿でなければ安易に答えに辿り着くだろう。
「冷えてるか~?こんだけ武器があればもうなにも恐くないってハッキリ分かんだね」
マスケット銃を生成した野獣先輩の姿にも、明らかな変化があった。
チリチリとしたステハゲは、少女らしい金髪ロールに。
着ている服もブラウスとスカートに、コルセットを組み合わせたもの。
しかしベレー帽の下から覗く顔だけは、元のクッソ汚いホモのまま。
チリチリとしたステハゲは、少女らしい金髪ロールに。
着ている服もブラウスとスカートに、コルセットを組み合わせたもの。
しかしベレー帽の下から覗く顔だけは、元のクッソ汚いホモのまま。
野獣先輩巴マミ説。
まどか☆マギカシリーズの大人気キャラクター、マミさんこと巴マミが野獣先輩ではないかとする説だ。
淫夢くんキュゥべえ説や、ニコニコUNEI円環の理説もまことしやかに囁かれてるが詳細は省く。
まどか☆マギカシリーズの大人気キャラクター、マミさんこと巴マミが野獣先輩ではないかとする説だ。
淫夢くんキュゥべえ説や、ニコニコUNEI円環の理説もまことしやかに囁かれてるが詳細は省く。
野獣先輩の正体がマミさんの可能性が微レ存である以上、固有武装の生成くらいはお手の物。
引き金に指を掛けるまでもない、意思一つで銃弾が一斉発射。
円状に置いた得物を回転させながら撃ち、単発式ながら装填の隙を晒さない。
引き金に指を掛けるまでもない、意思一つで銃弾が一斉発射。
円状に置いた得物を回転させながら撃ち、単発式ながら装填の隙を晒さない。
屋敷の陰に遊戯が隠れ、イリヤも敷地内を疾走。
防御にリソースを割くより、回避に集中する方が魔力の節約になる。
カレイドライナーの身体能力と、小回りの利く体躯を活かす。
無論、駆けまわる最中にも反撃の用意は忘れない。
防御にリソースを割くより、回避に集中する方が魔力の節約になる。
カレイドライナーの身体能力と、小回りの利く体躯を活かす。
無論、駆けまわる最中にも反撃の用意は忘れない。
『術式の解析はバッチシ済んであります!まああの自称神様が、敷居を下げるよう細工してたっぽいですが……』
「でも、力を引き出せるなら今はそれで…!」
「でも、力を引き出せるなら今はそれで…!」
亡き仲間、司から渡された主霊石に宿る力を行使。
ルビーの補助を挟む事で、イリヤの望む形へアレンジを加える。
電撃を帯びた光球を複数個、自身の周囲へ配置。
数は敵のマスケット銃に劣るも、魔力の密度はこちらが上だ。
術者本人の意思に応じ、縦横無尽に飛び回り銃弾を焼く。
ルビーの補助を挟む事で、イリヤの望む形へアレンジを加える。
電撃を帯びた光球を複数個、自身の周囲へ配置。
数は敵のマスケット銃に劣るも、魔力の密度はこちらが上だ。
術者本人の意思に応じ、縦横無尽に飛び回り銃弾を焼く。
「……っ」
コントロールには相応の集中力が求められ、イリヤの額に汗が浮かぶ。
だが雑念は切り捨て、意識は対峙中の敵から逸らさない。
クラスカードの回収に奔走した頃と違い、数々の修羅場を潜り抜けた今ならば、
だが雑念は切り捨て、意識は対峙中の敵から逸らさない。
クラスカードの回収に奔走した頃と違い、数々の修羅場を潜り抜けた今ならば、
「そこっ!」
主霊石を用いた多彩な戦法も不可能じゃない。
光球を操る間も、野獣先輩の頭上へ更に三つ生成。
真下目掛けて光柱が伸び、紙一重で避けられた。
だが問題無い、配置したマスケット銃を片っ端から壊していく。
光球を操る間も、野獣先輩の頭上へ更に三つ生成。
真下目掛けて光柱が伸び、紙一重で避けられた。
だが問題無い、配置したマスケット銃を片っ端から壊していく。
「じっとしてろお前!逃げんじゃねぇよ!」
なれど、固有武装の生成だけがマミの能力の全てじゃない。
複数本のリボンを生み出すや、イリヤを捕らえんと殺到。
獲物を見付けた蛇の群れのように、一度狙えば決して逃がしはしない。
複数本のリボンを生み出すや、イリヤを捕らえんと殺到。
獲物を見付けた蛇の群れのように、一度狙えば決して逃がしはしない。
「エアトス!」
幼い肢体に巻き付く筈のリボンは、割って入った女剣士の一閃で裁断。
隠れて銃弾をやり過ごしながらも、介入出来るチャンスを窺っていたのだ。
遊戯のアシストへ感謝するイリヤと反対に、野獣先輩は憤怒に表情を歪める。
こういう時にデッキを持ったコピーロボットがいれば、余計な抵抗を封じられただろうに。
文句をぶつけても、破壊された以上は無意味。
隠れて銃弾をやり過ごしながらも、介入出来るチャンスを窺っていたのだ。
遊戯のアシストへ感謝するイリヤと反対に、野獣先輩は憤怒に表情を歪める。
こういう時にデッキを持ったコピーロボットがいれば、余計な抵抗を封じられただろうに。
文句をぶつけても、破壊された以上は無意味。
「おし、じゃあぶち込んでやるぜ!」
ないものねだりの思考を切り捨て、今ある力で殺しに掛かる。
魔力を掻き集め、身の丈を超えるサイズの巨砲を生成。
尋常ならざるエネルギーの充填を前に、イリヤも技の“溜め”に移行。
一際巨大な光球をステッキに収束し、自身の魔力共々纏め上げた。
魔力を掻き集め、身の丈を超えるサイズの巨砲を生成。
尋常ならざるエネルギーの充填を前に、イリヤも技の“溜め”に移行。
一際巨大な光球をステッキに収束し、自身の魔力共々纏め上げた。
「ティロ・フィナーレ!(迫真)」
「収束雷刃(ディヴァインセイバー)!」
「収束雷刃(ディヴァインセイバー)!」
光と光、魔砲と雷刃が激突。
両者共に譲らぬ高威力故、拮抗を見せた後に相殺、
エネルギーの余波が襲い掛かり、眩しさに視界も一時封じられる。
両者共に譲らぬ高威力故、拮抗を見せた後に相殺、
エネルギーの余波が襲い掛かり、眩しさに視界も一時封じられる。
――炎の呼吸 伍ノ型 炎虎
『イリヤさん構えて!』
「――っ、うん!」
「――っ、うん!」
一手早かったのは野獣先輩だ、新説シリーズを使いマミから煉獄へ。
咄嗟の判断で物理耐性を上げたルビーに頷き、防御の構えを取る。
直後、名前通り火炎が虎となり襲ったかの如き衝撃が叩き付けられた。
咄嗟の判断で物理耐性を上げたルビーに頷き、防御の構えを取る。
直後、名前通り火炎が虎となり襲ったかの如き衝撃が叩き付けられた。
「く、うぅ……!」
『ええい!銃に魔術に今度は剣!英霊のクラスを一人でコンプでもする気――あーっ!?イリヤさんあれ!』
「っ!?い、いつの間に!?」
『ええい!銃に魔術に今度は剣!英霊のクラスを一人でコンプでもする気――あーっ!?イリヤさんあれ!』
「っ!?い、いつの間に!?」
野獣先輩の多彩ぶりへキレ気味にツッコミを入れるも、何かに気付き慌て出す。
そんな相棒の焦りはイリヤにも伝わり、思わず懐を探るも案の定。
今の斬撃を受け吹き飛ばされる寸前、クラスカードを一枚抜き取られたらしい。
片手でヒラヒラと見せ付け、うんこの擬人化がしてやったりと笑っていた。
そんな相棒の焦りはイリヤにも伝わり、思わず懐を探るも案の定。
今の斬撃を受け吹き飛ばされる寸前、クラスカードを一枚抜き取られたらしい。
片手でヒラヒラと見せ付け、うんこの擬人化がしてやったりと笑っていた。
「ええ素材やこれは…(恍惚)」
手に入ったのはデュエルモンスターズのカードではなく、カレイドステッキを持たない者では意味がない。
但し、野獣先輩は数少ない例外。
今日に至るまで有力な情報が存在せず、経歴どころか生死すらも不明。
淫夢の顔でありながら、最も謎に包まれたホモビ男優へ無数に付け足された正体へのこじつけ。
なればこそ、“この説”が存在するのも必然と言えよう。
但し、野獣先輩は数少ない例外。
今日に至るまで有力な情報が存在せず、経歴どころか生死すらも不明。
淫夢の顔でありながら、最も謎に包まれたホモビ男優へ無数に付け足された正体へのこじつけ。
なればこそ、“この説”が存在するのも必然と言えよう。
「見とけよ見とけよ~」
『待ってください、この魔力はまさか……!?』
『待ってください、この魔力はまさか……!?』
発せられる魔力をルビーが知らない訳がなく、だから余計に困惑を隠せない。
目の前の汚さの塊のような男は、本来自分達の世界と一切無関係の筈だろう。
では一体何故という疑問を置き去りにし、ソレが姿を現した。
目の前の汚さの塊のような男は、本来自分達の世界と一切無関係の筈だろう。
では一体何故という疑問を置き去りにし、ソレが姿を現した。
ピンクを基調にし、少女らしさと艶めかしさを両立させたコスチューム。
新雪のような煌めく銀の長髪を靡かせ、まるで冬の妖精が舞い降りたかのよう。
だが見よ、白さが微塵もないクッソ汚い色の顔面を。
非常に腹立たしく、されど不思議と目の離せない男の顔を。
新雪のような煌めく銀の長髪を靡かせ、まるで冬の妖精が舞い降りたかのよう。
だが見よ、白さが微塵もないクッソ汚い色の顔面を。
非常に腹立たしく、されど不思議と目の離せない男の顔を。
これぞ新説シリーズの一つ、野獣先輩プリヤ説。
Fateシリーズの人気キャラクターにして、プリズマ☆イリヤの主人公。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが実は、野獣先輩だったのではとする説だ。
古参の型月ファンやFGOから入ったプレイヤーも、「ゲーティアが人理焼却を決意した真の理由」と口を揃えて言うレベルの支持を得ている。
Fateシリーズの人気キャラクターにして、プリズマ☆イリヤの主人公。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが実は、野獣先輩だったのではとする説だ。
古参の型月ファンやFGOから入ったプレイヤーも、「ゲーティアが人理焼却を決意した真の理由」と口を揃えて言うレベルの支持を得ている。
「え、え?……え!?わ、わたし?でもなんか顔だけ違う!いやなんで!?」
勝手にホモビ男優の正体の一つ扱いされたイリヤ本人は、当たり前だが理解が追い付かない。
何故顔以外は自分と全く同じ姿なのか、何故そこまで再現しながら顔だけ元のままなのか。
いやそもそも、この男は何者なんだろうか。
分からない、何一つとして分からず目を白黒させる。
何故顔以外は自分と全く同じ姿なのか、何故そこまで再現しながら顔だけ元のままなのか。
いやそもそも、この男は何者なんだろうか。
分からない、何一つとして分からず目を白黒させる。
「ゆ、遊戯さん!あれってわたし…じゃなくて!わたしと同じ格好のおじさんだよね!?」
「あ、ああ。そうだと思うが……」
「あ、ああ。そうだと思うが……」
思わず傍らの仲間へ聞くも、遊戯だってどうなってるのか教えて欲しい。
コピーキャットやものマネ幻想師など、相手モンスターの姿を写し取るカードならともかく。
向こうはれっきとした参加者だ。
エボルトのような擬態とも考えたが、顔だけ元と同じなのはどう考えても不自然極まる。
コピーキャットやものマネ幻想師など、相手モンスターの姿を写し取るカードならともかく。
向こうはれっきとした参加者だ。
エボルトのような擬態とも考えたが、顔だけ元と同じなのはどう考えても不自然極まる。
『ふ……ふざけんじゃねぇですよ!堪ったものじゃありませんよおおおおおっ!!!』
「うわっ!?きゅ、急になに…?」
『イリヤさんをただ真似るだけでなく、顔だけ茶色いオッサンのままとか喧嘩売ってるにも程があるでしょう!余計汚さが際立つじゃないですか!愛しのお義兄さんへ全てを捧げる時の為に、白くてスベスベのお肌をキープしてるイリヤさんに謝ってください!』
「ちょっとー!?何を言いやがるのこのステッキはー!?」
「うわっ!?きゅ、急になに…?」
『イリヤさんをただ真似るだけでなく、顔だけ茶色いオッサンのままとか喧嘩売ってるにも程があるでしょう!余計汚さが際立つじゃないですか!愛しのお義兄さんへ全てを捧げる時の為に、白くてスベスベのお肌をキープしてるイリヤさんに謝ってください!』
「ちょっとー!?何を言いやがるのこのステッキはー!?」
マスターを穢すに等しい真似をされ怒りつつも、さらりとおちょくるのは忘れない。
ある意味ブレない相棒から、とんでもない内容を口走られたイリヤの頭はパニック状態もいい所だ。
トマトのように顔を赤くし、力づくでルビーを黙らせようと試みる。
ある意味ブレない相棒から、とんでもない内容を口走られたイリヤの頭はパニック状態もいい所だ。
トマトのように顔を赤くし、力づくでルビーを黙らせようと試みる。
「二人とも落ち着け!もしあいつがイリヤの見た目だけでなく、力まで同じになったとしたら……!」
窘める遊戯の言葉で我に返るも、敵は既に行動に出た後。
右手にはイリヤが持つのと寸分違わぬステッキを持ち、左手でカードを掲げる。
野獣先輩でありイリヤでもある、なれば出来ぬ道理は無し。
右手にはイリヤが持つのと寸分違わぬステッキを持ち、左手でカードを掲げる。
野獣先輩でありイリヤでもある、なれば出来ぬ道理は無し。
「夢幻召喚(インストール)!さっさと俺に力を寄越すんだよ、おうあくしろよ(せっかち)」
ゲームにおいてもイリヤが複数回行った、クラスカードに宿る英霊の力を自らに降ろす高等の術。
夢幻召喚により、野獣先輩の姿は一変。
上半身を毛皮で覆い、巨椀と化した右手で大槌を振り回す。
狂戦士(バーサーカー)のクラスに当て嵌められた、半神半巨人。
心意で創り出されたマグニのカードが、おぞましき野獣の暴力に貶められた瞬間だった。
夢幻召喚により、野獣先輩の姿は一変。
上半身を毛皮で覆い、巨椀と化した右手で大槌を振り回す。
狂戦士(バーサーカー)のクラスに当て嵌められた、半神半巨人。
心意で創り出されたマグニのカードが、おぞましき野獣の暴力に貶められた瞬間だった。
「クラスカードまで使えるなんて…!」
『多芸ってレベルじゃないですねあれ…イリヤさん、こちらもクラスカードを』
「っ、うん!」
『多芸ってレベルじゃないですねあれ…イリヤさん、こちらもクラスカードを』
「っ、うん!」
マグニのカードは奪われたが、全て失くしたのではない。
クラスカード相手に素の力だけで挑むのは、幾ら何でも分が悪い。
騎士王の力を我が身に宿し、甲冑と聖剣を装備。
クラスカード相手に素の力だけで挑むのは、幾ら何でも分が悪い。
騎士王の力を我が身に宿し、甲冑と聖剣を装備。
「じゃあ、死のうか(無慈悲)」
願いを叶える為ならば、正しき心を持った少女と少年だろうと関係無い。
愛に狂い、引き返す道も失った男の殺意を真っ向からぶつけられる。
しかし今更怯む二人ではない。
譲れないものを秘めるのは、自分達も同じなのだから。
愛に狂い、引き返す道も失った男の殺意を真っ向からぶつけられる。
しかし今更怯む二人ではない。
譲れないものを秘めるのは、自分達も同じなのだから。