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1302●波高い近隣関係

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1302●波高い近隣関係
 野田政権による12年9月の尖閣諸島国有化以来、日中関係は冷え切っていた。中国はあらゆる交流行事を拒み、沖縄・尖閣諸島周辺の日本の領海への公船の侵入を恒常化させつつあった。
 13年2月5日、防衛省から「尖閣諸島周辺海域で中国艦船が海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射した」との発表があった。事件は1月30日に起こったという。レーダー照射は、ミサイル発射のために照準を合わせることで「攻撃一歩手前」を意味する。不測の軍事的衝突を招きかねない深刻な事態だった。その報告が首相へも防衛相へも日が経ってしか上がってこなかったことも問題であった。日本政府からの不意の発表に虚をつかれた中国側は、「日本が危機をあおり、緊張をつくりだしている」と反論した。すると米国が異例の対応で日本の肩を持った。国防長官バネッタが、「中国は他国を脅したり、他国の領土を求めてはならない」と中国を厳しく非難したのである。日本政府は日米同盟の連携を誇示することができた。安倍首相は、「極めて遺憾な出来事だが、対話の窓口は閉ざさないことが大切だ」と、事態の沈静化を図り、対話を中国に呼びかけた。
 続いて、2月12日正午過ぎ、「北朝鮮が核実験」のニュースが飛び込んできた。安倍は、財界首脳と会談して賃上げを要請している最中であったが、それを切り上げて政府の安全保障会議を招集した。さらに駐日米国大使と官邸で会談、日米の共同対処を確認した。
 北朝鮮の核実験は3度めだが、金正恩体制になってからは初めてのもので、北朝鮮側は「爆発力が大きく、小型化、軽量化」に成功したと成果を誇り、今後も核開発を続けていく姿勢を内外に示した。これに対して国連安保理事会はただちに非難声明を発表、3月7日には北朝鮮制裁決議を中国・ロシアも含め全会一致で採択した。
 韓国との関係も冷え切っていた。首脳会談は11年12月、当時の野田首相と李明博大統領との間で行われたのが最後であった。この場で李は慰安婦問題への対応を繰り返し求めたが、野田は「解決済み」との立場を崩さず事実上決裂した。翌12年8月、李は竹島上陸に踏み切った。安倍は、自分と同じく前年末に新大統領に選ばれた朴槿恵の2月の就任式に合わせて日韓首脳会談を行って局面を打開しようとしたが、朴政権も歴史問題に関する姿勢は厳しく、会談実現の見通しは立たなかった。
 歴代の韓国大統領は就任後、米国に続いて日本を訪問するのを慣例にしてきたのだが、朴は就任後13年5月に訪米したあと日本を飛ばして6月に訪中した。共同声明では「歴史問題で域内国家間の対立と不信が深まる不安定な状態が続いていることに憂慮を示す」とし、名指しは避けながら日本を批判した。
★2013年
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