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1303●TPP交渉参加決定

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1303●TPP交渉参加決定
 環太平洋経済連携協定(TPP)は、多数国でつくる自由貿易協定のひとつで、06年にニュージーランド・シンガポール・ブルネイ・チリの4カ国で発効した「P4協定」が原点になっていた。全品目の関税撤廃を原則にしており、自由化の水準が高い。関税以外にも、公共事業の入札で外資企業への差別をなくしたり、小売や金融業への参入規制を緩めたりするなど、幅広い分野でルールを定める。輸出企業や消費者にとってはメリットがあるが、主に国内市場を相手にする農家や中小企業は海外産品との厳しい競争にさらされることになる。当初は参加国の経済規模が小さく、日本政府もさしたる関心を示すことはなかったが、2010年3月、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナムの4カ国が交渉参加を表明したことで、にわかに日本でも加入の是非が論議されるようになった。
 10年10月、民主党政権の菅直人首相が所信表明演説で加入の意欲を示し、あとを継いだ野田首相は11年11月、日米首脳会談でオバマ大統領に参加方針を伝えた。たが、農業や医療などの業界から猛反発を受け、党内を二分する論議が続いて、政府として結論を出すことができなかった。自民党でも、地方、農林業を基盤とした勢力などからの反対は強力で、政権交代を実現した12年末の衆院選の党の公約は「『聖域なき完全撤廃』を前提とする限り、TPP交渉参加に反対します」と、玉虫色のものになっていた。
 経済政策として大企業を優先し、また外交政策として対米関係を第一に据える安倍政権にとっては、TPP参加は必ず果たさねばならない課題だった。だが、民主党のように党を二分し、選挙で負けてしまっては元も子もない。安倍は、内閣にTPP交渉担当相を置き、信頼する甘利明を起用して、対米・国内双方の調整に着手した。
 13年2月23日、ワシントンで日米首脳会談が行われた。安倍と、2期目の政権をスタートさせたばかりのオバマ大統領との初めての会談であった。終了後発表された共同声明には、こう書かれたあった。
「TPP交渉参加に際し、一方的にすべての関税撤廃をあらかじめ約束することを求められることではないことを確認する」
 安倍は米国に、日本側に「聖域」=関税撤廃の例外がありえることを一応認めさたことになる。現実にどんな例外が認められるかは全く明らかではなかったが、これで、党内の反対論はトーンダウンした。
 3月15日、安倍は記者会見で、政府としてTPP交渉への参加を交渉参加国に通知したことを明らかにした。政権交代から3カ月であげた成果であった。
★2013年
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