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弟切草

【おとぎりそう】

ジャンル サウンドノベル
対応機種 スーパーファミコン
発売元 チュンソフト
発売日 1992年3月7日
定価 8,800円
判定 良作
ポイント サウンドノベル第1作
選択肢によってシナリオが大きく変化
周回プレイによるシナリオ解放
ホラーとギャグが混在する独特の作風
シナリオの整合性に難あり

花言葉は「復讐」


概要

  • 1992年3月7日にチュンソフトから発売されたスーパーファミコン用サウンドノベル。
  • 文章を読みながら選択肢を選び、物語を進めていくゲームシステムを採用している。
    • 背景画像、BGM、効果音と文章を組み合わせて物語を演出する「サウンドノベル」という形式の第1作。
    • 後の『かまいたちの夜』などにつながる、チュンソフト製サウンドノベルの原点となった作品である。
  • 主人公と恋人の奈美は、山道をドライブ中に事故に遭い、山奥の洋館へたどり着く。
    • 洋館を探索するうちに怪奇現象が発生し、奈美に関する秘密や館にまつわる謎が明らかになっていく。
    • 基本となる舞台や展開は共通しているものの、選択肢によって複数のシナリオへ分岐する。
  • 本作の特徴は、選択肢によって単なる結末だけでなく、物語の前提そのものが変化することである。
    • あるルートでは人物が母親として扱われる一方、別のルートでは姉として扱われるなど、過去の設定まで変化する。
    • そのため、現在のノベルゲームで一般的な「同じ世界で別の結末を見る」方式とは異なる独特の構造になっている。


特徴・評価点

特徴・評価点
  • サウンドノベルというジャンルを確立した作品
    • 画面全体に文章を表示し、背景・BGM・効果音などを組み合わせて物語を演出する形式を採用した。
    • 従来のコマンド選択型アドベンチャーとは異なり、文章を読むことそのものをゲームの中心に置いている。
    • 後のノベルゲームやサウンドノベル作品に大きな影響を与えた作品である。
  • ホラーとサウンドノベルの相性が良い
    • 本作はサウンドノベルの第1作でありながら、題材としてホラーを採用している。
    • 画面に表示される文章だけでなく、背景画像や効果音によってプレイヤーの想像力を刺激する。
    • 特にBGMを常時流すのではなく、要所で使用することで、音が鳴ったときの印象を強くしている。
    • 文章だけでは直接見せられない恐怖を、音や画面の変化によって補っている。
  • 選択肢によって物語が大きく変化する
    • 選択肢を選ぶことで別のシナリオへ移行するため、同じ場面から複数の展開を楽しめる。
    • 単純な「正解・不正解」ではなく、選んだ行動によって主人公たちが遭遇する事件そのものが変化する。
    • 一度クリアすると新しい選択肢が追加されるため、別のルートを探す動機にもなっている。
  • 周回プレイを前提としたゲームデザイン
    • 一度のプレイだけで全シナリオを見ることはできない。
    • エンディングを見ることで新たな展開が現れるため、同じ冒頭から何度もプレイすることになる。
    • 現在のノベルゲームで一般的になった「周回して新しいシナリオを開放する」という形式を早い時期に実現している。
    • ネット上のレビューでも、最初のプレイだけでなく、別の選択肢を試して新しい展開を見ることが本作の魅力として評価されている。
  • シナリオのバリエーションが多い
    • 基本となる舞台は山奥の洋館だが、選択肢によって物語の方向性が大きく変わる。
    • 怪奇現象を中心としたホラーだけでなく、登場人物の過去や家族関係を掘り下げる展開も存在する。
    • さらに、周回を進めるとホラーとは方向性の異なるコミカルなシナリオも登場する。
  • 登場人物の個性が強い
    • 主人公と奈美を中心として、館に関係する人物たちが登場する。
    • 特に奈美は、ルートによって性格や立場が大きく変化する。
    • レビューでは、こうしたキャラクターの個性や、ルートごとの違いを面白さとして評価する意見も見られる。
  • 独特のギャグがある
    • ホラー作品として始まる一方、シナリオによっては突然コミカルな展開になる。
    • 恐怖を感じさせる場面で主人公が妙なツッコミを入れるなど、一般的なホラー作品とは異なる独特のユーモアがある。
    • このギャグが作品の個性として面白いと感じるプレイヤーがいる一方、ホラーの雰囲気を壊していると感じる意見もある。


論争点

  • シナリオの整合性をどう見るか
    • 本作では複数のシナリオを組み合わせて物語を構成している。
    • そのため、選択肢によっては、それまでの展開と次の展開がうまくつながらなくなる。
    • 同じ人物の設定や主人公が知っている情報などが、別のルートでは異なることもある。
    • これを「選択肢によって物語そのものが変化する面白さ」と見るか、「シナリオの矛盾」と見るかで評価が分かれる。
  • ホラー作品としての評価
    • 序盤は洋館を舞台とした怪奇ホラーとして進む。
    • しかし周回を重ねるにつれて、ギャグや荒唐無稽な展開が増えていく。
    • そのため、純粋なホラー作品を期待すると後半の展開に違和感を覚える場合がある。
    • 一方で、この予想できない展開こそが本作の魅力だという評価もある。
  • 『かまいたちの夜』との違い
    • 本作ではシナリオが樹形図のように独立して分岐していくのではなく、複数のシナリオを途中で組み合わせる構造になっている。
    • そのため、『かまいたちの夜』と比較すると物語のつながりが不自然になりやすい。
    • 一方で、この独特の分岐構造そのものが『弟切草』の個性でもある。


問題点

  • シナリオの整合性が崩れやすい
    • 本作最大の問題点。
    • 選択肢によって複数のシナリオが組み合わされるため、前後の展開がつながらなくなる場合がある。
    • 直前まで主人公が知っていたことを、突然知らないような描写になるなど、細かな矛盾が発生する。
    • 周回して様々なシナリオを見るほど、この問題が目立つようになる。
  • 分岐の意味が分かりにくい
    • 選択肢によって大きく展開が変わる一方、どの選択肢がどのシナリオにつながるのかはプレイ中には分からない。
    • そのため、特定のシナリオを狙って見ることが難しい。
    • レビューでも、分岐が多いことによって物語があべこべになってしまうという指摘がある。
  • 文章スキップ機能がない
    • SFC版には、現在のノベルゲームにあるような既読文章のスキップ機能がない。
    • 周回プレイでは同じ文章を何度も読む必要がある。
    • 特定のエンディングを見るために何度も同じルートを通る場合、かなりの負担になる。
  • セーブを利用した分岐回収が不便
    • 選択肢の直前で自由にセーブして、そこから様々なルートを試すという現在のノベルゲームでは一般的な遊び方がしにくい。
    • そのため、全エンディングを回収するには何度も最初から読み直す必要がある。
    • 本作の周回システムと、当時のセーブ・ロード環境との相性が良くない。
  • 完全攻略のハードルが高い
    • 本作には全エンディングを見た後に到達できる本当のラストが存在する。
    • しかしフローチャートや高速スキップなどの便利な機能がないため、すべてのエンディングを自力で回収するのは非常に難しい。
    • 中には途中の選択肢だけが違うため別エンディングとして扱われるものもあり、攻略情報なしでのコンプリートは困難。
  • 文体にクセがある
    • 文章自体は比較的読みやすいが、ひらがなとカタカナを混ぜた独特の表記がある。
    • セリフなどでは独特な表記が多く、普通の小説のような文章を期待すると違和感を覚える場合がある。
    • この文体を作品独自の味として評価する人もいる一方、クセが強いと感じる人もいる。
  • グラフィックにばらつきがある
    • 場面によってグラフィックの出来に差がある。
    • 文章と音響による恐怖演出は評価される一方、映像面については現在の基準で見ると粗さが目立つ。

総評

  • 『弟切草』は、サウンドノベルというジャンルを生み出した歴史的作品である。
    • 選択肢によって物語や設定そのものが変化する独特の分岐システムが特徴である。
  • 一方で、シナリオの矛盾や周回時の不便さなど粗も多い。
    • ホラーからギャグまで展開が大きく変わるため、評価は分かれやすい作品である。
  • 完成度では後の『かまいたちの夜』に譲るものの、サウンドノベルの原型を作った先駆的作品として評価できる。

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最終更新:2026年09月12日 00:59