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Ghost of Tsushima

【ごーすと おぶ つしま】
ジャンル オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー
対応機種 PlayStation 4 / PlayStation 5 / PC(Steam)
発売・開発元 発売:ソニー・インタラクティブエンタテインメント / 開発:Sucker Punch Productions
発売日 2020年7月17日(PS4版)
定価 6,900円(税抜・通常版)
レーティング CERO:Z (18才以上のみ対象)
備考 2021年8月20日に完全版『Director's Cut』発売
ポイント 元寇(文永の役)の対馬を舞台にしたオープンワールド時代劇アクション
黒澤明映画をリスペクトした本格的な侍アクションと演出
画面上のミニマップを排し、風や自然現象で目的地を案内する独自のUIシステム
判定 良作
シリーズ Ghost of Tsushima / Ghost of Yōtei


冥人(くろうど)となりて、対馬を護れ―――


特徴

  • 黒澤明映画への愛とリスペクトが込められたオープンワールド時代劇
    • 13世紀の元寇(文永の役)における対馬を舞台に、モンゴル帝国の侵略から故郷を守るため立ち上がる武士・境井仁の戦いを描くオープンワールドアクション。
    • 画面をモノクロかつフィルムノイズ調にする「風ノモード(黒澤モード)」や、時代劇特有の間やチャンバラを再現した演出が盛り込まれている。
  • 画面の没入感を高める「風」による誘導システム
    • 画面上のミニマップやコンパスなどのUIを極力排除し、画面上に吹く「風」のなびきや動物(キツネや鳥)の導きによって目的地へ向かう独創的なナビゲーションを採用。
  • 「誉れ」と「冥人(くろうど)」の狭間で揺れるストーリーと戦闘
    • 正面から名乗りを上げて戦う武士道精神溢れる「一騎討ち」や「型の切り替え」による剣術と、闇討ちや暗具(くない・煙玉など)を駆使する邪道な「冥人」としての戦い方をプレイヤーの選択で使い分けることができる。

評価点

  • ゲームシステムと重厚なシナリオの極めて高い親和性
    • 本作における最大の特徴は、ストーリーのテーマである「誉れ高き武士からの脱却と冥人への変貌」が、実際のゲームプレイやアクションシステムと完全にリンクしている点である。
    • 序盤には正面からの「一騎打ち」や正々堂々とした武士の戦い方では強大な蒙古軍の暴力に対抗できず、否が応でも返り討ちに遭う敗北イベントが用意されている。
    • その後のメインストーリー内で闇討ちや飛び道具を用いたステルスプレイのチュートリアルが自然に導入され、プレイヤー自身に邪道な戦法を選ばせる動機付けを行っている。
    • さらに「敵に見つかると蒙古兵が捕虜を即座に殺害しようとする」といったミッション構造を随所に配置することで、武士としての誇りを貫くか、手段を選ばず目の前の民を救うかという仁の深い葛藤と正義感の揺らぎを、プレイヤーが身をもって追体験できる構造が見事にかみ合っている。
  • 海外デベロッパーの手による徹底的な日本文化・時代劇の再現度
    • 日本の風土や美しさを表現したグラフィック(ススキの原野、紅葉、竹林など)が非常に美麗で、風にそよぐ植物や光の表現が巧みに作り込まれている。
    • 和歌を詠む、温泉に入る、神社を参拝するといった日本特有の風習や文化が自然にゲームプレイ要素と結びついている。
  • 剣戟アクションの爽快感と戦術性
    • 相手の武器種に応じて4つの「型」をリアルタイムに切り替える要素や、タイミングを合わせて攻撃を弾く「パリィ」が成功した際のチャンバラ感覚の爽快感が極めて高い。
    • 正面突破だけでなく、暗具を使った奇襲や高所からの闇討ちなど、多様なアプローチで敵陣を攻略できる自由度の高さも支持された。
  • 没入感を阻害しない画期的なUI・探索デザイン
    • ミニマップを無くして「風」で目的地を示すシステムにより、プレイヤーが常に風景や画面中央のアクションに集中できるよう配慮されている。
    • ファストトラベルやロード時間が非常に高速で、広大なオープンワールドゲーム特有の移動ストレスが抑えられている。
  • 主人公・境井仁の葛藤を描いた重厚なドラマ
    • 武士としてのプライド(誉れ)を守るべきか、手段を選ばず民を救うために「冥人」に堕ちるべきかという仁の葛藤と覚悟を描いたストーリーが非常に高く評価された。
  • 圧巻のグラフィックと洗練された時代劇の世界観
    • 風に揺れる広大な芒野原や、色鮮やかな紅葉・銀杏が舞い散る古刹、雪と氷に覆われた北方の山々など、日本の原風景とも言える美しく壮大な景観が画面いっぱいに広がる。
    • 単に美しいだけでなく、蒙古軍によって焼き払われた村落や廃屋、見せしめとして放置された遺骸など陰惨な光景も生々しく描写され、侵略を受けた戦場という現実の厳しさを突き付けてくる。
    • 黒澤プロダクションから正式に許可を得て実装された「黒澤モード」を有効にすると、画面がモノクロ化してノイズが走り、音声も当時の映画を思わせるこもった音質に変化する。色情報に頼れない緊張感ある見切りバトルとともに、本格時代劇映画そのものの雰囲気を味わえる。
  • 豊富で無駄のない探索要素
    • 対馬の各地には体力の最大値を増やす秘湯、気力を高める稽古場、特殊な効果を持つ護符が得られる神社、愛らしい狐が導く狐の巣など多彩なスポットが点在する。
    • これらの探索地点はすべて主人公の強化に直結するため作業感が生じにくく、開放した場所はファストトラベルの拠点としても機能するため利便性も向上していく。
    • 蒙古の文化や生態を窺い知れる「蒙古の品」、演奏することで天候を自由に操作できるようになる「こおろぎ」、武家たちの逸話が記録された「のぼり旗」など収集要素も充実している。
  • 趣向を凝らした多様なサブクエスト
    • 琵琶法師の語りから伝説の装備や奥義を求めて旅立つ「傳承」は、謎解きや強敵との対決を乗り越える必要があり一筋縄ではいかないが、苦労に見合う極めて強力な報酬が得られる。
    • 「浮世草」は各地の民の困りごとを解決する物語であり、現地で証拠を集めて真相を暴くミステリードラマのような工程を楽しめる。ただし事件を解決しても苦い後味が残る悲劇的な結末が多く、中世の乱世における世の無常さを提示してくる。
    • 登場する仲間たちの人物像を掘り下げていく連続クエストも用意されており、メインストーリーを補完して世界観への没入感を高めてくれる。
  • 細部まで吟味された見事なローカライズ
    • 海外製ゲームでありがちな不自然な文法や誤訳は存在せず、日本の時代劇エンターテインメントとして非常にクオリティの高い日本語テキストが徹底されている。
    • 手紙の文章表現においても、当時の教育レベルや読みやすさのバランスを考慮してあらかじめ現代的な言い回しへ調整するなど、プレイヤーの読みやすさを損なわない丁寧な配慮が施された。
    • 道中で詠むことになる和歌は鎌倉武士らしい武骨な五七五七七で構成され、選択肢をどのように組み合わせても自然で意味の通る歌が完成する仕組みとなっている。
    • 登場人物の名前や裏設定に関しても考察が行き届いており、主人公の境井仁という名も当時の武家の本名である「諱」は「ひとし」であり、周囲から呼ばれる通称が「じん」であるという綿密な時代背景の考察に基づいている。
  • 驚異的なロードの速さ
    • 膨大なデータを扱うオープンワールド作品でありながら、ハードの特性に合わせた極限のデータ圧縮技術により、ファストトラベル時のロード時間がわずか数秒という破格の快適さを実現している。
    • あまりの読み込みの速さにロード画面のヒント画像が読めなくなる事態が発生し、あえてロード時間を意図的に延ばす調整がなされたほか、プレイヤーがボタンを押すまで画面を閉じない機能が実装されるほどの技術力を見せた。
  • 中世日本を舞台にした希少性と大らかな表現力
    • 安土桃山時代や江戸時代を扱う作品が多い中で、国産ゲームでも扱うことが少ない鎌倉時代の対馬という独自の舞台設定を採用した点が歴史ファンからも高く評価された。
    • 表現規制に関しても過度な自主規制を行わず、身体の切断や過激な欠損表現などをしっかりと描写することで、蒙古軍の圧倒的な残虐性と中世の凄惨な戦場風景をリアルに表現している。
  • 満足度の高い追加コンテンツ
    • 追加シナリオである壹岐之譚では、新たな島を舞台にした密度の高いストーリー展開に加え、新規の武具や魅力的なアイテムが多数追加され、申し分のないボリュームを提供した。

論争点

  • 「武士道(誉れ)」と「ステルス(冥人化)」のシステム的強制
    • ストーリー上では仁が「誉れを捨てて邪道に手を染めること」の苦悩が描かれるが、ゲームプレイのシステムとしてはプレイヤーがどれだけ正面突破(一騎討ち)で戦っていても物語の進行上は強制的に闇討ちを行った扱いになり「冥人」と呼ばれていく。
    • ストーリー演出の整合性を評価する声がある一方で、「プレイヤーの戦闘スタイルに合わせてストーリーや評価も分岐してほしかった」という不満の声も見られる。
  • オープンワールドとしての自由度と一本道のストーリー
    • 広大なマップを自由に散策できる一方で、メインストーリーや各地のクエスト構造自体は開発者の想定した手順を踏む一本道・お使い型に近い構成となっている。
    • 「ストーリーと演出を重厚にするためのトレードオフとして成立している」と受け取る層と、「自由度を期待すると『決められたルートを遊ばされている感』がある」と難色を示す層で分かれている。
  • 時代劇エンタメとしてのフィクション表現と時代考証の乖離
    • 海外作品にありがちな勘違い日本描写は抑えられているものの、時代劇としての面白さを優先した結果、いくつかの部分で史実や時代考証が意図的に無視されている。
    • 鎌倉時代末期であるにもかかわらず、一般の兵士が後世の当世具足を身に纏い、打刀と小太刀を腰に差して戦う姿や、丘の上に置かれた無限に射出可能な火槍で蒙古の船団を撃沈するようなトンデモ兵器が登場する場面が存在する。
    • 民家にくないやてつはうといった忍者道具のような暗具が落ちている点も含め、あくまで歴史作品ではなく時代劇アクションというフィクションとして割り切って楽しむ姿勢が求められる。
  • 多様性要素への賛否
    • 政子と舞の関係や一部のサブクエストにおいて同性愛を匂わせる描写が含まれている。
    • 昨今の世相を反映させた描写と思われるが、物語の流れにおいて唐突に感じられる場面もあり、演出としての必要性に疑問を呈する意見が存在する。
    • 歴史的な観点においても鎌倉時代におけるそうした伝承の再現としては疑問符が付き、中世日本の空気感を損ねていると感じるプレイヤーもいる。

問題点

  • 巴
    • 石川の弟子でありながら蒙古に協力して敵対する女武者・巴のシナリオにおいて、結末の処理に不満の声が上がっている。
    • 彼女は対馬の民の虐殺や捕虜の射殺に加担しており、いくら脅迫されていたあるいは苦痛から救うためだったという弁明があったとしても、プレイヤー視点では明確な悪人として映りやすい。
    • 最終的に彼女がそのまま本土へと逃亡して決着となるため、裁きを下せないまま悪人が逃げ延びたような不完全燃焼感を抱きやすく、人物描写の掘り下げが不十分であったとする指摘が多い。
  • 「誘い風」のナビゲーション機能における高低差の分かりにくさ
    • 画面上に余計なマップやコンパスを表示せず風の流れで目的地を示す「誘い風」システム自体は高評価を得ているものの、風のナビゲートは平面上の方向を示すにとどまり、高低差までは考慮してくれない。
    • 崖の上や洞窟の内部などに存在する目的地や各種祠を目指す際、目的地の方角は提示されているものの、そこへ至るための登山ルートや入り口がどこにあるのかが極めて判別しづらく、周辺を無駄に彷徨わされるストレスが生じやすい。
  • 探索やサイドクエストのパターン化・作業感
    • マップ上の探索要素(狐の祠、稽古台、温泉など)や拠点・蒙古の陣地の解放作業、サイドクエスト(蒙古を倒す・痕跡を追う)が後半になるにつれて単調になりやすく、作業感が生じやすい。
  • ステルス行動時における敵AIの拙さや不自然さ
    • 敵の視野や聴覚の判定がやや大雑把で、目の前で味方が倒されても気づかない場面があるなど、本格的なステルスゲームと比べると敵AIの挙動に甘さが目立つ。
  • イベントムービーのスキップ不可(発売当時)
    • イベント時やサイドクエスト完了時のムービー・会話演出がスキップできない仕様となっており、テンポ感を損ねる要素として不満が多く寄せられた(※後のアップデートや『Director's Cut』等で一部対応された)。
  • カメラアングルとロックオン機能の不便さ
    • 乱戦時や狭い屋内での戦闘において、カメラが壁や障害物に遮られて状況が把握しづらくなる場面がある。
    • 標準状態ではターゲットロックオン機能が弱く(※後に設定で追加可能)、意図しない敵へ攻撃が吸い込まれることがある。

総評

  • 海外デベロッパーが手がけたとは思えないほど緻密な時代劇・日本文化へのリスペクトと、美しい対馬の景観が見事に融合したオープンワールド時代劇アクションの傑作。
    • オープンワールドとしての探索要素の単調さや敵AIの甘さといった不満点はあるものの、洗練された剣戟アクション、没入感を高める「風」の導き、そして「誉れ」と民への思いの狭間で揺れる境井仁の重厚なストーリーは国内外で非常に高い評価を獲得した。時代劇やチャンバラアクションが好きであれば間違いなくプレイする価値のある一作である。

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最終更新:2026年09月30日 13:41