KILLER MACHIN ◆AZWNjKqIBQ
其処を記憶の端に止めておけていたのは、勿論そういった事態を考慮してのことだった。
しかし其処までの距離が近かったことは純粋に幸運だっただろう。
しかし其処までの距離が近かったことは純粋に幸運だっただろう。
一匹の獣の殉死により致命的な痛手を負った支倉曜子。
彼女は朦朧とする頭の中から向かうべき場所の情報を引き出し、焼けた身体を引き摺り其処へと向かった。
先刻の戦いの最中。移動する最中に目にした、山の裾野から近い場所にある一件の診療所へと。
彼女は朦朧とする頭の中から向かうべき場所の情報を引き出し、焼けた身体を引き摺り其処へと向かった。
先刻の戦いの最中。移動する最中に目にした、山の裾野から近い場所にある一件の診療所へと。
埃まみれのガラス戸を動くほうの手で押し開け中に進むと、そこはオンボロな外見から想像できるよりかは幾分ましな状態であった。
曜子はただ無言。決められた仕事だけをこなす機械のように診療所内を回り必要なものを揃えてゆく。
ボロいとはいっても打ち捨てられていたという訳ではなく、ただそこの主人がズボラだったというだけらしい。
薬品も包帯も他に必要な器具も全て揃っていた。
曜子はただ無言。決められた仕事だけをこなす機械のように診療所内を回り必要なものを揃えてゆく。
ボロいとはいっても打ち捨てられていたという訳ではなく、ただそこの主人がズボラだったというだけらしい。
薬品も包帯も他に必要な器具も全て揃っていた。
片っ端からゴミ袋に放り込むと、曜子はそれを引き摺り身体を揺らして廊下を進む。
一枚の扉を潜って、診療所内から居住空間へと――そしてそのまま進み、突き当たりの扉をまた潜った。
青いタイルが張られた、これもまた年季の入った浴室。
ゴミ袋を掴んでいた手をノズルへと移すと、それを一気に最大にまで捻る。
一枚の扉を潜って、診療所内から居住空間へと――そしてそのまま進み、突き当たりの扉をまた潜った。
青いタイルが張られた、これもまた年季の入った浴室。
ゴミ袋を掴んでいた手をノズルへと移すと、それを一気に最大にまで捻る。
鋭利なまでに冷たい雫が曜子の頭の上から降りかかり、煮えるような熱を持った身体を鎮めてゆく。
着の身着のままで、ただ濡れながら……ただただずぶ濡れになりながら、曜子は思考を取り戻してゆく。
冷たい思考で、まずは今回の失敗を回顧した――……。
着の身着のままで、ただ濡れながら……ただただずぶ濡れになりながら、曜子は思考を取り戻してゆく。
冷たい思考で、まずは今回の失敗を回顧した――……。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
想定が甘かった。浮き足立っていた――そうでしかなかった。
異能者の存在は最初から示唆されていたのだ。なのに、それを大きく扱っていなかった。
名簿の中から見つけた知っている名前。それらと自分。そして、太一。
さらには廃屋で死体を発見した少女。その後に出会った士郎という少年。
最初の場所で見かけた面々。その全員の目の前で始末されたただの少年、少女。
それらを鑑みて設定した上下の幅――その上端に甘さがあり、故に失態を演じてしまった。
名簿の中から見つけた知っている名前。それらと自分。そして、太一。
さらには廃屋で死体を発見した少女。その後に出会った士郎という少年。
最初の場所で見かけた面々。その全員の目の前で始末されたただの少年、少女。
それらを鑑みて設定した上下の幅――その上端に甘さがあり、故に失態を演じてしまった。
その甘さはどこから来たのか? それは新しい世界への可能性。太一とやり直せる可能性。
極上の成功パターンを思いついてしまったが為に、そこに辿り着くための道筋ばかりを考え、そして逸った。
見逃すべきでないリスクを過小評価し、足を踏み外しかねない細い道を簡単に渡れると判断してしまった。
一切のブレはなかった。だが、故に盲目だった。太一を想うが故に……。
極上の成功パターンを思いついてしまったが為に、そこに辿り着くための道筋ばかりを考え、そして逸った。
見逃すべきでないリスクを過小評価し、足を踏み外しかねない細い道を簡単に渡れると判断してしまった。
一切のブレはなかった。だが、故に盲目だった。太一を想うが故に……。
あの場面においても飛び込んできた獣を害とは認識せず、相手の人間を殺害することを優先してしまった。
もし、気を逸らせず、冷静に相手を観察して障害を一つ一つ取り除いていたならば……結果は変わっただろう。
一つの判断ミスから負った代償はあまりにも大きかった。もう、後はない。
もし、気を逸らせず、冷静に相手を観察して障害を一つ一つ取り除いていたならば……結果は変わっただろう。
一つの判断ミスから負った代償はあまりにも大きかった。もう、後はない。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
マグマの様に熱く感じた火傷が鎮まってくるのを確認すると、曜子は次の作業へと取り掛かった。
さっきよりかは幾分かましに動くようになった身体で、引き摺ってきたゴミ袋から大きな鋏を取り出す。
ジョキリ……と、音を立てて身に纏った煤だらけの服を切り裂き、火傷の上から丁寧に引き剥がしてゆく。
生皮を剥ぐ様な痛みに顔色一つ変えることなく、ただただ丁寧に素早く確実に……機械のように。
さっきよりかは幾分かましに動くようになった身体で、引き摺ってきたゴミ袋から大きな鋏を取り出す。
ジョキリ……と、音を立てて身に纏った煤だらけの服を切り裂き、火傷の上から丁寧に引き剥がしてゆく。
生皮を剥ぐ様な痛みに顔色一つ変えることなく、ただただ丁寧に素早く確実に……機械のように。
そして、焼け縮れ傷口にへばりつく――あの流れる様だった黒髪も、切る。容赦なく、躊躇もなく、切る。
剥きだしになった傷口にさらに水流を当てて冷ますと同時に煤や泥を払い、炭化した皮膚も無造作に剥がして捨てた。
自分の身体の中で死んで使えなくなったモノを剥がして捨てる。そんな行為を曜子は繰り返す。
剥きだしになった傷口にさらに水流を当てて冷ますと同時に煤や泥を払い、炭化した皮膚も無造作に剥がして捨てた。
自分の身体の中で死んで使えなくなったモノを剥がして捨てる。そんな行為を曜子は繰り返す。
焼け焦げ、泥と血に塗れ、色を空色から赤黒へと変えた制服。
火に炙られ、焼け縮れて真っ直ぐなところがほとんどなくなってしまった焦げ臭い髪の毛。
熱されて、その組成をただの炭としてしまい、もはや生きてはいない真っ黒な皮膚。
火に炙られ、焼け縮れて真っ直ぐなところがほとんどなくなってしまった焦げ臭い髪の毛。
熱されて、その組成をただの炭としてしまい、もはや生きてはいない真っ黒な皮膚。
それらを曜子は全部捨てた。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
風呂場から上がった曜子は屋内を徘徊すると、リビングを見つけその中に入る。
手早く点滴の用意を済ませると、新しい白いシーツをソファへと敷きそのまま横になった。
手早く点滴の用意を済ませると、新しい白いシーツをソファへと敷きそのまま横になった。
ローラーを回し点滴の注入速度を最速にすると、目を瞑り全身を緊張から解き放ってゆく。
傷口の冷却と、失った体液の代わりとなる薬液の補充。時間は経っていたが、とりあえずは応急処置の完了である。
放っておけば数時間と経たずに意識を失い、そして死に至っていたであろうが、まずはそれは免れることができた。
この後の処置も順調に終えれば一日は問題ないだろう。
安静にしていれば半月ほどで完治できるかもしれない……が、さすがにそこまでの猶予はない。
傷口の冷却と、失った体液の代わりとなる薬液の補充。時間は経っていたが、とりあえずは応急処置の完了である。
放っておけば数時間と経たずに意識を失い、そして死に至っていたであろうが、まずはそれは免れることができた。
この後の処置も順調に終えれば一日は問題ないだろう。
安静にしていれば半月ほどで完治できるかもしれない……が、さすがにそこまでの猶予はない。
気配だけを探りながら点滴が終わるまでの静かな時を曜子は過ごす。
そして、彼女の体内時計が6時を知らせるのと同時に、予定されていた最初の放送とやらが耳に入ってきた。
そして、彼女の体内時計が6時を知らせるのと同時に、予定されていた最初の放送とやらが耳に入ってきた。
――「……さて、諸君。ご機嫌はいかがかね」
声はあの場所にいた黒衣の大男。記憶によれば言峰綺礼と名乗った男のものだった。
それを曜子は聞き、理解し、反芻し、意図を解析し、いくつかの可能性を導き出し……脳に刻む。
それを曜子は聞き、理解し、反芻し、意図を解析し、いくつかの可能性を導き出し……脳に刻む。
曜子は目を閉じたまま、放送を聞きながらあの少年――衛宮少年のことを考える。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
「ゲーム」とやらが始まってよりすぐに出会えた少年。初めての「同行者」であった衛宮士郎。
同じく、別の場所で敵に追われていた彼が死んでいないのは確認できた。
相対する相手はより強敵だったために、半ば死亡することも諦めていたが、どうやら乗り切ったらしい。
だが、生憎なことに彼が探していた「間桐桜」の死亡が確定してしまった。
彼女を助けるために動いていた彼がこれを聞いてどう動くか……、何にせよもはや「同行者」足りえないのは確実だろう。
不確定であり味方と成り得ない――ならば、もう処分対象でしかない。
相対する相手はより強敵だったために、半ば死亡することも諦めていたが、どうやら乗り切ったらしい。
だが、生憎なことに彼が探していた「間桐桜」の死亡が確定してしまった。
彼女を助けるために動いていた彼がこれを聞いてどう動くか……、何にせよもはや「同行者」足りえないのは確実だろう。
不確定であり味方と成り得ない――ならば、もう処分対象でしかない。
「同行者」――合理でもって手を組むという行動方針。これもまた、早くも放棄せざるを得ない。
放送を通じて言峰綺礼が語る取り留めのない戯言。手早く結論を出せばその目的は――混乱だ。
何もかもに一切の保障はないと釘を刺し、この島の中にいる人間から確固たる足場を奪った。
放送を通じて言峰綺礼が語る取り留めのない戯言。手早く結論を出せばその目的は――混乱だ。
何もかもに一切の保障はないと釘を刺し、この島の中にいる人間から確固たる足場を奪った。
そして、背徳者の存在の示唆。嘘でも本当でも変わらない。口にするだけで、絶大な効果が得られる言葉。
通常のゲームのルールが破られる。そんな可能性を打ち明けられては、多数を作るメリットは逆転してしまう。
弱者を装い、優しい声をかけ、理知的な発言をすればするほど疑われてしまうだろう。
通常のゲームのルールが破られる。そんな可能性を打ち明けられては、多数を作るメリットは逆転してしまう。
弱者を装い、優しい声をかけ、理知的な発言をすればするほど疑われてしまうだろう。
そしてそれとは別に、この重症を負ったという現状。
これは「同行者」の内においては切り捨てられる存在に他ならない。となると、やはりこの道はもうない……。
これは「同行者」の内においては切り捨てられる存在に他ならない。となると、やはりこの道はもうない……。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
もっと事務的なものかと予想していた放送――男の語りは思いの他長く、それが終わる頃には点滴も同じ様に終わっていた。
針を抜くと、曜子はソファから素早く身を起こし、次の動作へと移ろうとする。
現状で、太一が死んでいないことだけは解ったが、それは死んでいないということでしかない。
どこかで自分と同じ様に窮地に立たされているかもしれない。だとすれば、横になったままではいけないのだ。
針を抜くと、曜子はソファから素早く身を起こし、次の動作へと移ろうとする。
現状で、太一が死んでいないことだけは解ったが、それは死んでいないということでしかない。
どこかで自分と同じ様に窮地に立たされているかもしれない。だとすれば、横になったままではいけないのだ。
部屋の隅。丁度そこにあった姿見の前にへと曜子は立つ。
鏡の中に映るのは曜子であって、もはや曜子ではないものだ。
その均整のとれた裸体の半分は真っ白なままであったが、もう半分の右側は真っ赤に焼け爛れている。
焼けていないところにしても傷だらけだった。大小の線が無数に走り、胸の真ん中には判を押したような黒い痣。
鋏が入り、容赦なく髪が切り捨てられた頭部もほぼ丸刈りの状態で、あの流麗な印象はもはや微塵たりともない。
火傷は顔面にも至り、右半分は熱によって縮んだ皮膚が無数の深い皺を刻んでいる。
血に濁った片目はまるで悪鬼のような眼差しを持っていた。
鏡の中に映るのは曜子であって、もはや曜子ではないものだ。
その均整のとれた裸体の半分は真っ白なままであったが、もう半分の右側は真っ赤に焼け爛れている。
焼けていないところにしても傷だらけだった。大小の線が無数に走り、胸の真ん中には判を押したような黒い痣。
鋏が入り、容赦なく髪が切り捨てられた頭部もほぼ丸刈りの状態で、あの流麗な印象はもはや微塵たりともない。
火傷は顔面にも至り、右半分は熱によって縮んだ皮膚が無数の深い皺を刻んでいる。
血に濁った片目はまるで悪鬼のような眼差しを持っていた。
真っ白な――太一の髪の様に白い包帯を取り出し、曜子は曜子自身を白く塗りつぶしてゆく。
曜子であって曜子でないものを、完全に曜子でなくさせる為に――……。
曜子であって曜子でないものを、完全に曜子でなくさせる為に――……。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
曜子は思う――……。
太一がこんな自分の姿を見たらどう思うのだろう。
恐らくは……いや、絶対に彼はこんな姿でも私を受け入れてくれるはずだ。
恐らくは……いや、絶対に彼はこんな姿でも私を受け入れてくれるはずだ。
太一は傷ついた私を庇護の下に置く。
きっと、大事にしてくれるだろう。もしかしたら、今までよりずっと優しくしてくれるかもしれない。
きっと、大事にしてくれるだろう。もしかしたら、今までよりずっと優しくしてくれるかもしれない。
けど、それは決して許されない。
黒須太一は黒須太一で、そして支倉曜子は支倉曜子として、そうでないと両立できない。
私を抱えてしまっては太一は太一でなくなり、そして時を置かずして何かが壊れてしまうだろう。
共倒れてしまう。
黒須太一は黒須太一で、そして支倉曜子は支倉曜子として、そうでないと両立できない。
私を抱えてしまっては太一は太一でなくなり、そして時を置かずして何かが壊れてしまうだろう。
共倒れてしまう。
想うと心が軋み、私そのものを圧迫する。だから、もう想うのはやめよう。
太一が太一である可能性に賭けて、私は支倉曜子であることをやめよう。
太一が太一である可能性に賭けて、私は支倉曜子であることをやめよう。
彼が行き着く前に、その前を私が駆け抜けよう。
道程に生える全てを刈り取るモノになろう。
道程に生える全てを刈り取るモノになろう。
支倉曜子ではなく、モノとして働き、太一に可能性を残す。
だから私は、もう、太一の前に立つことはない。……支倉曜子は、その存在をここに抹消する。
――唯一の太一のために。
「あの時」……世界を開放してくれたのは太一だった。
怯え竦みなにもできなかった私を救い、かわりに全てを飲み込み、彼は壊れてしまった。
だから、これは代わりだ。
今度は、ワタシが、全ての「人間」を――ミナゴロシ――にする。
怯え竦みなにもできなかった私を救い、かわりに全てを飲み込み、彼は壊れてしまった。
だから、これは代わりだ。
今度は、ワタシが、全ての「人間」を――ミナゴロシ――にする。
今度はワタシが全てを飲み込み、太一をこの「世界」から解放する――……。
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
朝の光を受け真っ白となっている街中に一人の「怪人」がいた。
全身を真っ白な包帯で包み、そしてその上にややサイズが大きめのトレンチコートを被っている。
包帯の隙間から覗いているのは二色の目。
包帯の隙間から覗いているのは二色の目。
毒を湛えた様な赤い右目と、闇を落した様な黒い左目。
赤色には刺すような狂気が、そして黒色にもやはり吸い込まれるような狂気があった。
赤色には刺すような狂気が、そして黒色にもやはり吸い込まれるような狂気があった。
怪人はバックを背に、左手に大きな拳銃をブラリと提げて街中を歩いている。
どこに向かっているのかは定かではない……が、何を探しているのかはその様相から伝わってくる。
どこに向かっているのかは定かではない……が、何を探しているのかはその様相から伝わってくる。
――怪人は殺人鬼だ。いや、死神だ。いや、殺すためのモノだ。
瞬間。怪人の左腕が跳ね上がり、もっていた拳銃が軽く抜ける音とともに火を噴いた。
一間をおいて、何かが破裂する音。燻す前のソーセージをぶちまけたような音がその先で聞こえる。
見れば、それはノラ猫の死骸。撃たれて上半身と下半身に別たれたさっきまでは猫だった2つのモノ。
一間をおいて、何かが破裂する音。燻す前のソーセージをぶちまけたような音がその先で聞こえる。
見れば、それはノラ猫の死骸。撃たれて上半身と下半身に別たれたさっきまでは猫だった2つのモノ。
生きていなければ興味はないのか、怪人はまた歩き出す。
獲物を――生きているものを探して街を徘徊する。
獲物を――生きているものを探して街を徘徊する。
陽炎のような光景の中を、陽炎のように希薄な、しかし不吉な存在がゆらりと揺れる。
もう決して動かない右腕をぶらりぶらり。まだ動く殺すための左腕をぶらりぶらり。
半身が不自由な身体をゆらりゆらり――と、誰でもない怪人はゆらめく。
もう決して動かない右腕をぶらりぶらり。まだ動く殺すための左腕をぶらりぶらり。
半身が不自由な身体をゆらりゆらり――と、誰でもない怪人はゆらめく。
ふと怪人が鼻をひくつかせた。
そこに届いた香りに、わずかに目元がいぶかしむ表情を見せる。
そこに届いた香りに、わずかに目元がいぶかしむ表情を見せる。
ボイルドした蕃茄の香り。そして、オリーブオイルの香り。他にも雑多な野菜と香辛料の匂いが漂っている。
香りは薄いが、しかし遠くはない。風は実になだらかだ。なので、匂いの元はそう遠くないはずである。
香りは薄いが、しかし遠くはない。風は実になだらかだ。なので、匂いの元はそう遠くないはずである。
怪人は考える。
放送の中であの男は「朝餉」をとることを推奨してきた。
言に従ったわけではないが、怪人も支給された食料を口にしている。
放送の中であの男は「朝餉」をとることを推奨してきた。
言に従ったわけではないが、怪人も支給された食料を口にしている。
しかし、この香りもそうだというのだろうか?
だとすれば、余程の戯けか。もしくは罠か。はたまた、それを些事と捉えるような大物なのか?
なんにせよそこに生きている人間がいるのは間違いないだろう。
だとすれば、余程の戯けか。もしくは罠か。はたまた、それを些事と捉えるような大物なのか?
なんにせよそこに生きている人間がいるのは間違いないだろう。
――ならば、迷うことはない。
怪人は行く先を匂いの元へと変え、足を踏み出しゆらりゆらりと前へと進む。
そこにいる人間たちを殺すために――……。
そこにいる人間たちを殺すために――……。
【G-4 市街地/1日目 朝】
【支倉曜子@CROSS†CHANNEL ~to all people~】
【装備】:H&K_MARK23(拳銃/弾数8/12発/予備12×1発)、全身に包帯、トレンチコート(男物)
【所持品】:支給品一式(食料-1)、斧、首輪(リセ)、医療品一式、バカップル反対腕章@CROSS†CHANNEL
【状態】:肉体疲労(中)、右半身大火傷(処置済み)、胸部に激痛(処置済み)、右目が充血(視力低下)、髪を切りました
【思考・行動】
基本方針:太一の為に、太一以外を皆殺し。
0:匂いの元を辿り、そこにいる人間を皆殺しにする。
1:ゲームの参加者を見つけたら殺す。
2:人間でなくとも生きているなら殺す。
3:動いたら殺す。動かなくとも殺す。
4:話しかけてきても殺す。無言でも殺すし、叫んでも殺す。
5:泣いても殺す。怒っても殺す。笑っても殺す。
7:銃で殺す。なくなったら斧で殺す。殺したら相手の武器を奪ってそれでまた他の人間を殺す。
8:殺す。
9:(…………………………………………太一)
【支倉曜子@CROSS†CHANNEL ~to all people~】
【装備】:H&K_MARK23(拳銃/弾数8/12発/予備12×1発)、全身に包帯、トレンチコート(男物)
【所持品】:支給品一式(食料-1)、斧、首輪(リセ)、医療品一式、バカップル反対腕章@CROSS†CHANNEL
【状態】:肉体疲労(中)、右半身大火傷(処置済み)、胸部に激痛(処置済み)、右目が充血(視力低下)、髪を切りました
【思考・行動】
基本方針:太一の為に、太一以外を皆殺し。
0:匂いの元を辿り、そこにいる人間を皆殺しにする。
1:ゲームの参加者を見つけたら殺す。
2:人間でなくとも生きているなら殺す。
3:動いたら殺す。動かなくとも殺す。
4:話しかけてきても殺す。無言でも殺すし、叫んでも殺す。
5:泣いても殺す。怒っても殺す。笑っても殺す。
7:銃で殺す。なくなったら斧で殺す。殺したら相手の武器を奪ってそれでまた他の人間を殺す。
8:殺す。
9:(…………………………………………太一)
【備考】
※登場時期は、いつかの週末。固定状態ではありません。
※佐倉霧、山辺美希のいずれかが自分の噂を広めていると確信。
※『H&K MARK23』にはサイレンサーと、レーザーサイトが装着されています。
※支倉曜子であることをやめました。
※登場時期は、いつかの週末。固定状態ではありません。
※佐倉霧、山辺美希のいずれかが自分の噂を広めていると確信。
※『H&K MARK23』にはサイレンサーと、レーザーサイトが装着されています。
※支倉曜子であることをやめました。
※G-4・診療所内(風呂場)に曜子の着ていた制服(血塗れ/焼け焦げ/切り刻まれている)と焼け縮れた髪の毛が捨てられています。
※曜子が気付いた匂いは、G-4・平屋でトルタが作った食事の匂いです。
※曜子が気付いた匂いは、G-4・平屋でトルタが作った食事の匂いです。
075:一乃谷 | 投下順 | 076:last moment |
時系列順 | ||
065:End Of All Hope | 支倉曜子 | 093:これより先怪人領域(後編) |