ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

これより先怪人領域(後編)

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これより先怪人領域(後編) ◆LxH6hCs9JU



 ◇ ◇ ◇


 二人の少女の泣き声は耳に届かず、また入れる気もなく、恭介はトルタを引き連れて街に出る。
 朝焼けの眩しい市街地は、微かに磯の香りが蔓延している。海から南風によって運ばれてきたのだろう。

「ちょ、ちょっと! いきなりどうしたのよ!? 恭介ってば!」

 事態がまったく飲み込めていないのか、トルタは恭介に手を引かれるがままだった。
 恭介は返答せず、千華留たちの残る平屋から十分な距離が取れるまで、街を練り歩く。
 やがて業を煮やしたトルタは、恭介の手を乱暴に振り払い、ややむくれた顔で怒声を発した。

「もう! いきなりどうしたのかって聞いてるのよ! いったいどこに向かうつもり!?」
「別にどこにも行かないさ。俺はただ、一刻も早くあの家から離れたかっただけだよ」

 トルタが怒っているのを承知の上で、恭介は飄々と語る。
 怒気を潜め、キョトンとした顔を浮かべるトルタは、やはりまだ気づいていないようだ。
 自分たちが犯してしまった、しかし好転させることも可能な、大きな失敗に。

「なぁトルタ。おまえ、ちゃんと放送聞いてたよな?」
「当たり前じゃない」
「そうか。それはそうと、あの神父のおっさんはなに食ってたんだろうなぁ。なんかスゲー美味そうに朝飯食ってたよなぁ」
「……なにが言いたいの、恭介? あんなの、私たちの精神を逆なでするための小芝居みたいなものでしょ?」
「ふむ……トルタはそう捉えたのか。ま、目のつけどころは悪くない。むしろ見事と言っておこう」

 トルタを褒め称えながら、恭介は放送の末尾を思い出す。
 放送担当者、言峰綺礼が付け加えるように宣言した『ディナーの約束』。
 思わせぶりな咀嚼音から料理まで推測することはできないが、そこはどうでもいい。
 重要なのは、言峰が食事をしていたという事実。その事実が、浮かれ気味だった恭介に警鐘を鳴らした。

「話は変わるが、トルタの作ってくれた朝飯は最高に美味かったぜ。それはもう、胃袋が絶叫するほどにな」
「え、あ……あ、ああありがとう」

 続く称賛に、トルタは頭に疑問符を浮かべながら照れる。
 その様子を見るに、まだ恭介の意図には気づき得ていないようだ。

「ああ、本当に美味かったなぁ。めちゃくちゃ美味かった。エクスタシー!と叫びたくなるほど美味かった」
「……恭介。それ、お世辞って見え見えだからさ」
「いやー、特に匂いが素晴らしかった。千華留とりのが寄って来たのもわかるってもんだ」

 やたら饒舌な恭介に辟易しかけていたトルタだったが、その言葉でさすがに気づいた。
 あ、と声を漏らし、したり顔の恭介を見つめる。

「あれほどの芳しい香りなら、きっと街中に広まっちまうな。そしたら、そう……腹を空かせた侍なんかも釣られて来るかもしれん」

 語る途中で、恭介の表情が苦いものを食べたみたいに変化した。
 宮沢謙吾……数時間前から知っていた、友人死亡の事実を胸の箪笥にしまい込みながら。
 徐々に狼狽していくトルタを諭すように続ける。

「……俺が迂闊だった。もっと早く気づいておくべきだったんだ。千華留たちと出会ったあの時点で」
「違う……私だよ、それ。私のミス……。ううん、なんか変。ごめん、ちょっと浮かれてたのかもしれない」

 トルタは顔を俯け、だんだんと声を潜めていく。恭介の口からは溜め息だけが漏れた。
 別に咎めるつもりで連れ出したんじゃないんだけどな……とは言わず、ポケットからあるものを取り出す。
 手の平にすっぽり収まるサイズのそれは、機械に分類されるであろう支給品の一種だ。
 シンプルな長方形に一つだけ取り付けられたその『ボタン』を、恭介が押す……


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 ……ボタンが取り付けられた面の裏側はスピーカーになっているらしく、そこから聞き覚えのない男の声が漏れた。
 それもなかなかの音量で、不意に耳を打たれたトルタは、びっくりして仰け反ってしまう。

「な、な、な……!」

 お、おもしろい反応だな――と出そうになった感想を喉に押し戻し、恭介は『岡崎最高ボタン』をポケットにしまう。
 あっけらかんとした恭介の態度が気に障ったのか、トルタはわなわなと声を震わせ、一歩足を強く踏み込む。

「きょ、お、す、けぇ……いきなりなんなのよ、びっくりしたじゃない!」
「ふっ……怒るなよトルタ。今日はヒトデ祭りだぜ?」
「意味わからないわよ! っていうか、それ私の支給品! いつの間にくすねたの!?」
「さっき。死亡者と禁止エリアをチェックするために荷物を広げてたとき」

 先ほどの岡崎最高ボタンは、元はトルタに支給された物資の一つだ。
 二人で一緒に支給品確認を済ませた際、『どこをどう工夫しても使い道なし』と断定した完全なるハズレ品。
 それが今は、思わぬ機能を発揮している……なんでも捨てずに取っておくもんだな、と恭介は思った。

「あきれた……捨てちゃいましょうよ、そんなの。持ってたって仕方がないでしょ?」
「いや、そうとも言いきれないぜ。そうだな……ほら、見ようによっては首輪の起爆スイッチに見えたりしないか?」

 再び岡崎最高ボタンを取り出し、翳してみせる恭介。トルタは両肩を落とし、わざとらしく溜め息をついた。

「見えないって……男の子って、無条件でそういうおもちゃが好きなものなの?」
「岡崎最高ボタンを馬鹿にするな。トルタは気づいてないみたいだが、これはちゃんと役に立ってるぞ」

 言って恭介は、また岡崎最高ボタンを押した。浮かれた声が響き、トルタがあきれると同時に笑う。
 ……もう、顔は俯いていない。声は疲れ気味だが抑揚がある。以前のトルタだ。


 ふと、恭介がその名を口に出す。
 あう、と反応したトルタは、反射的にまた顔を伏せようとして、

「恭介チョォップ!」
「いたっ!?」

 させるか!
 と、恭介の手刀がトルタの脳天を打つ。もちろん手加減はした。
 頭を手で押さえながら、上目遣いで可愛らしく恭介を睨むトルタ。
 恭介は嘲弄するような笑みで、自分より背の低いトルタを見下ろす。

「しっかりしてくれ、トルタ。知り合いが死んで胸にポッカリ穴が……って場合じゃないんだ、今は。
 リセルシアとおまえの友好がどれだけ深かったのかなんて、俺にはわからない。
 けどな、おまえにとっての要人はクリスただ一人のはずだ。なら、落ち込んでる場合じゃない。
 唯一のクリスのために――リセのことは忘れるんだ。酷なこと言ってるが、頼む」

 話を聞くに、トルタとリセルシア・チェザリーニの間柄は、それほど親しいものでもない。
 だが事実として、トルタは放送から少ずっと元気がない。リセという知人の死に、少なからず動揺しているのだ。

 恭介にだってそれくらいはわかる。昨日まで平和を生きていた庶民が、簡単に死に順応できるはずなどない。
 本当に死んだのだろうか、という懐疑心が入り込む。どんな死に方をしたのだろうか、という想像が膨らむ。
 ……誰が殺した、あの人は無事だろうか、自分は大丈夫だろうか、とドミノ倒しのように不安は加速する。
 そうなってはいけない。だから恭介は、最悪の状況を迎える前に釘を刺した……トルタの抱える強さを信じて。

「……うん、大丈夫。ちょっと、動揺しただけだから。クリスが生きてるなら……私はまだ、頑張れる」

 トルタの発した声は小さかったが、語気はしっかりとしていた。
 恭介はフッと微笑み、先ほど手刀を喰らわせたトルタの頭に手を置く。

「え? あ、ちょ、恭介? く、くすぐったいってば」
「気にするな。気にしたらおまえの負けだぜ?」
「な、なんの勝負よ~?」

 幼児を相手にするように、恭介はトルタの頭を甲斐甲斐しく撫でる。
 トルタより幾ばくか大きい手の平は、彼女の表情に安堵を与えていた。
 パートナーの再起に、恭介もまた満足気な笑みを浮かべる。

 ――さぁ、ミッションはこれからが本番だ。
 ゲームに乗った千羽烏月の情報を、友好的な同志であると作り変え、千華留たちに伝達。
 千華留たちから得た情報は、また別の場所で悪評として吹聴する。
 と、その前に料理を香りを嗅ぎつけた新たな来訪者が現れるとも限らない。
 ゲームに乗っていない者なら問題ないが、ゲームに乗っている場合には……千華留とりのの二人に囮になってもらうほかないだろう。

(あの侍がゲームに乗っているかどうかはさすがに一目瞭然だが、どう伝えるかな……伝える必要もない、か?
 なんにせよ、数十分ほどは平屋の周辺で待ちだな。誰も来る気配もなければ、改めて千華留たちの下へ戻る。
 危険人物……あの侍みたいなのが来るようなら、悪いが見捨てさせてもらう。いや、悪いなんて思っちゃ駄目か)

 恭介たちがやろうとしているミッションの全容は、簡単に言えば『殺し合いの活性化』だ。
 情報を錯綜させ、参加者たちの疑心を育み、自らは武器とする。潰し合わせる、と言い換えてもいいかもしれない。
 なんにせよ、褒められたことでは絶対にないのだ。だからといって、罪悪感を覚えてはやってられない。

「よっしゃトルタ。落ち着いたなら説明するぞ。まず俺たちは――」

 気持ちの切り替えを済ませ――恭介とトルタのミッションはこれから始まる、はずだった。
 一発の弾丸を知らせる発砲音が鳴らなければ。
 外野から掣肘が加えられなければ。
 最悪の椿事を招かなければ。
 始まった、はずなのに。

「…………な?」

 こうやって、間の抜けた声を出すこともなかったのかもしれない。
 だが、現実は降りかかる。
 恭介は間の抜けた声を漏らし、ただそれを見下ろすことしかできない。

「え、あ、きょ、すけ…………あ」
「トルタ……トルタ、トルタァァァ!!」

 スカートの裾下、むき出しにされたトルタの生足から、血風が舞う。
 赤い濁点が見えたかと思えば、それは一瞬。次の刹那には、染みが拡大していた。
 朝の深々と冷えたアスファルトの上を、赤の温もりが汚していく。
 ああ、これは……恭介は理解して、既に絶叫を終えていた。

 トルタの脚が、目の前で撃ち抜かれた。

「づ……っ、ああぁあぁあぁあああぁあぁああぁぁ!?」

 不意のことだったため、本人の感覚も遅れたのか。
 トルタは今さらのように悲鳴を上げ、地面に崩れ落ちた。
 即座に恭介が駆け寄る。トルタの身を抱きかかえるように持ち上げ、声をかけた。

「しっかりしろトルタ! 気を失うんじゃないぞッ!」
「ぐっ……づ、があ、あぁぁ……」

 声を漏らすまいと、懸命に歯を食いしばるトルタ。
 よほど力を込めていたのか、唇から血が滲み出す。

(くっ……いきなりなんだってんだ、チクショウ!)

 恭介はトルタに負担をかけぬよう身を支えながら、撃ち抜かれた脚部へと視線を転ずる。
 傷は計三つ。右脚に二つ、左脚に一つ。場所はともに太腿。そして、轟いた銃声は一発のみ。
 以上の点から、恭介はこの奇襲における結論を導き出す。

(右脚を狙った弾が貫通して、左脚にまで被弾……で、こっちは貫通していない。
 ってことは、弾は左脚の中か!? 一発で脚二本打ち抜くなんて、どんなゴルゴだよ!)

 咄嗟に周囲に目配りをするが、恭介とトルタ以外の人の姿は愚か、気配すら感じない。
 謎の襲撃者への鬱憤は舌打ち一回で済ませ、恭介はすぐに避難行動に移った。
 脚を負傷したトルタを両腕で抱え、いわゆるお姫様抱っこの形に持ち上げる。
 過度な揺れも危険な状態だが、このまま捨て置くわけにはいかない。
 恭介はトルタを連れてこの場を立ち去ろうと駆ける――そして、気づいた。

(――なにやってんだ、俺は!)

 逡巡もなにもなく、極めて自然な動作で、トルタを救おうとしている自分がいた。
 トルタを助ける……その危うすぎる選択肢を、恭介は無意識の内に選び取っていたのだ。
 二人で協定を結ぶ際に定めた取り決めも、ティトゥス戦で背負った覚悟も――いや、だからこそなのかもしれない。

(俺は……俺はどうする? 敵はまだ近くにいる、トルタは歩けるような状態じゃない。なら――って、おいまさか)

 恭介の脳裏に、改めて選択肢が提示された。
 トルタを助ける。
 トルタを見捨てて自分だけ逃げる。
 二つの単純明快な行動選択。だが、恭介は直感する。
 この選択肢こそ、狙撃手の目論む罠なのではないか、と。

(撃った奴は、どうして素直に頭を狙わなかった!? 正確に脚を撃ち抜ける腕前があるってのに!
 答えは一つ。俺にトルタを助けさせるためだ! もしあそこでトルタを一発KOすれば、俺はすぐに逃げた!
 だから撃った奴は、俺に負傷したトルタっていう荷物を与えて、じわじわ嬲り殺せる状況を作ったんだ!
 なんてこった! どこのどいつだが知らないが、とんだ切れ者だぜ! どうする棗恭介ッ!?)

 考えながらも疾駆するが、それでもやはり、トルタを手放さそうという気にはなれなかった。
 これが強固になりすぎた仲間意識によるものか、単に不意打ちに動揺しているだけなのか、
 もしくはメリットとデメリット及びリスクを計算した上での逡巡なのか、恭介自身も訳がわからない。

(どうする? 俺は――)

 棗恭介は仲間を抱え、謎の狙撃者から逃げる――今は、まだ。


【G-4 市街地/1日目 朝】

【2人の共通方針】
1:電車の沿線を行動範囲に、線路近郊の施設を探索。
2:他の対主催のメンバーと接触。
3:そこから情報を得る。
4:自分に危害が出ないように、相手のプロファイリングを元に他の対主催の悪評、もしくは真実を伝える。
5:十分な情報を得たらそのメンバーと別れる。もし理樹、クリスがいるメンバーなら合流。その後隠れながら邪魔な対主催メンバーを排除。
6:もし中々合流できない場合、もっとも安全だと思われるチームに合流。(戦力の面で、信頼関係も含め)
7:序盤は積極的には人を殺さない。基本同士討ちを狙う。情報最優先。終盤は対主催の中心になりなるべくマーダー排除。のち疲労した対主催から狙う。
8:最悪クリス、理樹、鈴がどちらかが死亡した場合は片方のサポートに徹する。両方死亡した場合は互いに優勝を狙う。二人になった場合一騎打ち。
9:ただし完璧に脱出ができる状況になったらそのまま対主催に変更。
10:また、主催の動向や信憑性次第でも対主催に変更。
11:列車の沿線を行動範囲にしていることを信頼できる人間に託し、理樹、鈴、クリスに伝えてもらう。
12:脱出や首輪、主催者の目的についても真剣に考察する。
13;羽藤桂を見付けたら保護。但し残り人数が二桁を切った場合や、止むを得ない理由がある場合はその限りで無い。


【棗恭介@リトルバスターズ!】
【装備】SIG SAUER P226(7/15)@現実、ラジコンヘリ@現実、岡崎最高ボタン
【所持品】:支給品一式、SIG SAUER P226の予備弾45@現実、デジタルカメラ@リトルバスターズ!
【状態】:脇腹に浅い切り傷、胸部に軽い打撲、中度の肉体的疲労
【思考・行動】
基本方針:共通方針の通りに行動し理樹、鈴を優勝させる。ただし慎重に慎重を期す。
0:トルタを――どうする?
1:とにかく謎の狙撃手から逃げる。
2:電車の沿線を徒歩で進み、他の参加者と交流する。近郊の施設を探索する。
3:道中、筆談などを用いて殺し合いや首輪についてトルタと考察する。
4:トルタの過去に興味。
5:『トルタの好意に気付いている』フリをし、親密にしても怪しまれないようにする。
6:できる限りトルタを見捨てない。
7:道中の地形を把握する。
【備考】:
※トルタを信頼し、共感を抱いてます。
※トルタとの間に符丁をいくつか作りました。
 『時間』と『動詞』の組み合わせで意思疎通を行います。
 (『分』:名簿の番号の人間、『待つ』:怪しい など。
 『秒』や『時間』、その他の動詞の意味については詳細不明です)
※トルタとはぐれた場合の合言葉は『トルタの知り合い全員の名前』です。
※参戦時期は鈴ルートの謙吾との野球対決後、リフレイン以前です。
 故に、リトルバスターズメンバー、特に謙吾に申し訳なさを感じています。
※羽藤桂、浅間サクヤ、神宮寺奏、プッチャンの細かい特徴を認識しています。
※黒幕がいると思ってます。
※参加者によっては連れてこられた時代が違うと思ってます。


【トルティニタ=フィーネ@シンフォニック=レイン】
【装備】:Sturm Ruger GP100(6/6)@現実
【所持品】:支給品一式、Sturm Ruger GP100の予備弾18@現実
【状態】:中度の肉体的疲労、右脚に貫通射創、左脚に盲管射創、意識朦朧
【思考・行動】
基本方針:共通方針の通りに行動し、クリスを優勝させる。ただし慎重に慎重を期す。
0:痛い……!
1:電車の沿線を徒歩で進み、他の参加者と交流する。近郊の施設を探索する。
2:道中、筆談などを用いて殺し合いや首輪について恭介と考察する。
3:恭介の過去に興味。
4:『恭介に好意を抱いている』フリをし、親密にしても怪しまれないようにする。
5:できる限り恭介を見捨てない。
6:道中の地形を把握する。
【備考】:
※恭介を信頼し、共感してます。
※恭介との間に符丁をいくつか作りました。
 『時間』と『動詞』の組み合わせで意思疎通を行います。
 (『分』:名簿の番号の人間、『待つ』:怪しい など。
 『秒』や『時間』、その他の動詞の意味については詳細不明です)
※恭介とはぐれた場合の合言葉は『恭介の知り合い全員の名前』です。
※登場時期はアルルートのアルが復活した頃です。
※羽藤桂、浅間サクヤ、神宮寺奏、プッチャンの細かい特徴を認識しています。
※黒幕がいると思ってます。


 ◇ ◇ ◇


 朝焼けの差し込める街中を、怪人が跋扈する。
 寒気は厳しいが、暖を取るには過剰な厚手のトレンチコートを羽織り、僅かに露出した肌には白い包帯が巻かれていた。
 髪型は坊主にも近いベリーショート。赤く濁った右目と、黒く淀んだ左目が異彩を放ちつつも人間であること証明する。
 一昔前の都市伝説における透明人間のような風貌の男――いや、性別など外見からは判断がつかない。

 支倉曜子だった怪人――は、思索する。
 それは、大前提の話。
 この世界における、『殺し』――とはなにか。

 唯一の太一のため、この世界に存在する人間を全員残さず殺す。皆殺し。それはわかる。
 話はもっと根本的なものだ。殺す。この行動の意味するものはなにか。そしてどうすれば殺せるか。
 考えるのではない。これはあくまでも確認事項の一旦だ。思索というほどのものではない。

 殺す――単純に言えば、相手を死に至らしめる。要は命を奪い、生命活動を停止させればいいのだ。
 相手が死んだと確認でき、そしてそのきっかけが己となれば、それは殺したと言えるのだろう。

 怪人が持つ殺傷兵器。H&K_MARK23という名の拳銃。これを用いれば、人間を絶命させるのは容易だ。
 人間であるならば。人間でなかったとしたらどうか。または、人間でありながらに人間を逸脱していたら。
 特殊な技能を持つ者、人外の者、存在自体が反則と呼べる者、強力な兵器で武装した者、あらゆるパターンを仮定する。

 怪人が相対したとして、殺せる相手はこの世界に何人いるか。
 また殺せないにしても、試行錯誤して殺せるようにするにはどうすればいいのか。
 そしてどうしても殺せない相手と相対した場合、太一のために怪人は殺し以外のなにができるのか。

 思索する――――そして、終了する。

 さて、活動を再開しよう。
 怪人は現在、朝餉の匂いに釣られある民家を目指していた。
 といっても、食欲に駆られての行動ではない。怪人としての実直な業務の一環だ。
 つまり、殺す。怪人の取るべき行動らしい行動はそれだけで、それだけだからこそ、いい。

 道中、発見したのは二人のうら若い男女だった。仲睦まじく手を繋ぎ、男が先導する形で歩いている。
 数少ない記憶のデータベースから、二人の外見的特徴を索引。当然だが、該当者は出てこない。
 結果など度外視だ。移すべき行動はやはり変わらない。何者であろうと、殺す。ただそれのみだ。

 呼吸法を変え息を殺す。踏み締める地を選択し影に溶け込む。存在自体を幻に没する。
 忍者、あるいは幽霊のように、誰にも気づかれぬよう気配を断つ――怪人の得意分野だ。

 男女は道端で足を止め、なにやら口論らしき行為を始めた。時折機械で録音したような音声が混じるが、問題なし。
 気づいていないのであれば、これから移る行動にも支障はなく、成功率は百をキープする。
 建物と建物に挟まれた、車二台分はあろうかという開けた道だ。スナイプポイントも無数にある。
 怪人は身を隠すことができ、標的の姿を目視し易い地点……はかなりあったが、適当に樹木を選んで移動する。
 街の環境保全を狙ったのか、物陰とする樹木は大きく、怪人の姿をごっそり隠蔽してしまった。

 改めて、怪人は射撃体勢に入る。標的に狙いを絞り、無感情に引き金を絞った。
 銃弾が飛んでいく。コートのポケットに収まったパカップル反対腕章が、発砲の衝撃で微かに蠢いた。
 女が悲鳴を上げ、男が絶叫。第二射は行わない。観察する。男は女を抱き、重い足取りで逃げ出した。

 怪人は、すぐに近隣の民家へと場所を移す。入って早々二階のベランダへと駆け上り、街を見渡す。
 道路の真ん中に、逃げる男の姿もあった。動く標的を狙い撃つには不十分な距離。
 怪人はすぐさま家を出て、男を追った。もちろん、自身の存在は僅かな闇と同化させて。

 ――さて。

 ここに至るまでの道程で、『唯一の太一のために全てを殺す怪人』に矛盾はあっただろうか?
 ない。まったくない。全然ない。欠片もない。断言してもいいほどにない。あるほうがおかしい。
 結果はパーフェクトだ。まだ完了していないため多少語弊があるが、それでもここまでは完璧と言っても過言ではない。

 そもそも、殺しとはなにを成して殺したと言えるのか。これは先に結論付けたとおり、相手の命を奪うことに該当する。
 しかし、それは一般論だ。世の中が定めた殺すという行為の意味でしかない。この世界においては、違う。
 太一のために殺す世界。太一のために殺さなければならぬ世界。太一のために怪人として殺さなければならぬ世界。
 どう立ち回るべきかと考えたところで、ただ漫然と命を奪うだけでは、怪人となった意味がない。

 だからこそ、怪人は思索し、新たな結論を導き出した。己のスペックと機械的な性質を見つめ直し、動く。
 取った行動は二つ。銃からサイレンサーを外し、照準を相手のこめかみから脚に変更。
 脚もただ狙うのではない。先のツンツン頭の男との交戦経験を踏まえ、銃の大まかな威力を計測。
 さらに狙撃する位置、標的が動く可能性、遮蔽物の有無、諸々を考慮し、相手の脚の完全破壊を企む。

 完全破壊――ただ銃創を与えるのではなく、失うには致命的な筋組織を的確に狙い撃つ。
 一本は貫通射創を与え、もう一本は銃弾が体内に残る盲管射創が望ましい。運動機能を奪い、苦痛を残すためだ。
 別々に撃ってもいいが、相手が停止しているのならば好都合。限られた弾数を考慮し、一発で済ませる。

 結果、完全破壊は成功した。即死はしなかったようだが、女にはほぼ怪人の目論みどおりの末路が訪れた。
 まず、今後満足に歩行することは不可能。訓練された兵士や武術家ならともかく、一介の少女にそれほど立派な筋肉はない。
 運が良ければ生き延びることも可能だろうが、このまま失血死か、両足の銃創による痛みでショック死か、この二つが濃厚。

 なぜ、脳や心臓の破壊ではなく、両足の完全破壊を狙ったのか。答えは明瞭。変わらないからだ。
 歩行手段を断たれるということは、この殺し合いの世界にとっては死も同義。
 生命活動こそ停止していないが、動けず、殺せず、殺されるしかない境遇に身を置いて、それで生きていると言えるか否か。
 答えは否だ。それはただ生きながらに死んでいるだけ。生きた死人。わざわざ労力を削ぐ必要性もない。

 もちろん、最終的な願いを考慮するならば、素直に放送で呼ばれる名を一つ増やしても良かった。
 が、機械的ではあるものの考える『人』である『怪人』は、女の傍らにいる男を見て、殺しに対する考え方を変えた。

 命を奪うだけでは飽き足りない。命を――利用する。

 利用の意は、殺す、と同義であると言える。現に、あの女は死んだも同然だ。
 この時点であの女の死は確定的。では、まだ無傷のあの男はどうか。こちらにはなにも手を施していない。直接的には。
 ただし、間接的にはこの男も半分殺したと言える。その理由は、死人同然となった女の存在だ。

 あの女と男が友好関係、もしくは愛好関係にあるのは、見るからに明白。少なくとも敵同士ではない。
 だとすれば、男は女の死に対してなにを思い、どう動くか。怪人が求めたのはそのリアクションだ。

 動揺し立ち竦む、脇目も振らず逃げ出す、状況が理解できず呆ける――これらなら即ヘッドショット。
 女を気にかけ、僅かでも助けるような素振りを見せたなら――すぐには撃たない。しばしの間放逐する。

 男が負傷者を抱え込むことに対するリスクをどう捉えるか、それは問題ではない。
 女への狙撃が成功した時点で、男は怪人の術中に嵌ったのだ。単独で抜け出す道は、皆無。
 助けるか助けざるか、見捨てるか見せてざるか、葛藤に苦しむのも勝手。
 ただ女を抱えた瞬間、男の役目は標的から餌へと転じた。

 そう、餌だ。様子から察しても、あの二人が件の香り立ち込める家の住人であったのはわかる。
 罠を仕掛けて立ち去ったのか、途中で過ちに気づき脱出を果たしたのか、経緯はやはりどうでもいい。
 事実だけを考える。怪人がここにいる理由。街中に広がっていた香りの強さ。
 そして、わざわざサイレンサーを外して撃った銃。鳴り響いた発砲音。二人の生餌。
 寄って来る。まだまだ確実に、怪人の殺害対象である太一以外の人間が、わんさかと群がってくる。

 そいつらを、殺す。どんな人間であろうと殺す。放送前に対峙した師弟であっても殺す。衛宮士郎であっても殺す。
 動物であっても殺す。潜み、影から殺す。気づかれても殺す。反撃されても殺す。観念してでも殺す。
 謝っても殺すし、謝らなくても殺す。命乞いをしようと殺して黙らせる。黙していようが殺す。
 無感情で殺す。泣き叫ぶ仕草を歯牙にもかけず殺す。動くなら追いかけて殺す。逃げる相手も可能な範囲で殺す。
 多少の手傷を負わされても殺す。命が危ういようなら一旦退いて後で殺し直す。結局は殺すのだからやはり殺す。
 状況によっては見送るのもありだが、命を奪わないにしても機能的には殺す。死ぬように殺す。
 生きてはいられないように殺す。放送で呼ばれるまで殺す。最終的にはあの二人も――殺す。

 女は殺し合いに参加する参加者としては既に死人。男も生餌に変わり果てただけの死人。
 仮にこの場を逃れたとしても、女は男にとっての重荷を脱却することはできない。
 仮に男が女を廃棄する道を選んだとしても、女の死は覆らない。
 客観論ではない。これは結論。殺す立場にいる者が定義した、揺ぎない現実。そう。

 故に、怪人は断定する――――あの二人組は、いま死んだ。



【G-4 市街地/1日目 朝】

【支倉曜子@CROSS†CHANNEL ~to all people~】
【装備】:H&K_MARK23(拳銃/弾数7/12発/予備12×1発)、全身に包帯、トレンチコート(男物)
【所持品】:支給品一式(食料-1)、斧、首輪(リセ)、医療品一式、バカップル反対腕章@CROSS†CHANNEL
【状態】:肉体疲労(中)、右半身大火傷(処置済み)、胸部に激痛(処置済み)、右目が充血(視力低下)、髪を切りました
【思考・行動】
 基本方針:太一の為に、太一以外を皆殺し。
 1:二人の男女(恭介とトルタ)を生餌とし、寄って来る者を殺す。最終的には二人の男女も殺す。
 2:ゲームの参加者を見つけたら殺す。
 3:人間でなくとも生きているなら殺す。
 4:動いたら殺す。動かなくとも殺す。
 5:話しかけてきても殺す。無言でも殺すし、叫んでも殺す。
 6:泣いても殺す。怒っても殺す。笑っても殺す。
 7:銃で殺す。なくなったら斧で殺す。殺したら相手の武器を奪ってそれでまた他の人間を殺す。
 8:殺す。
 10:(…………………………………………太一)
【備考】
 ※登場時期は、いつかの週末。固定状態ではありません。
 ※佐倉霧山辺美希のいずれかが自分の噂を広めていると確信。
 ※『H&K MARK23』にはサイレンサーと、レーザーサイトが装着されています。
 ※支倉曜子であることをやめました。


093:これより先怪人領域(前編) 投下順 094:記憶の水底
時系列順 095:アリス・イン・ナイトメア
076:KILLER MACHIN 支倉曜子 102:どうする?
093:これより先怪人領域(前編) 棗恭介
トルティニタ=フィーネ

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