it(それ)と呼ばれた少年少女 ◆Mu0X3TnxOM
黒須太一は、いまだにデイバッグを追いかけていた。
「はぁ、はぁ、やっと追いついた…」
川の流れが速すぎてデイバッグ思いのほかが流されてしまった。途中で枝に引っかかってくれなかったら、そのまま海まで流されていたかもしれない。太一は全神経を集中し、デイバッグを掴んだ瞬間…
『……さて、諸君。ご機嫌はいかがかね』
「うわっ!」
太一は突然の放送に驚いて足を滑らせてしまった。すぐさま踏ん張り、体勢を整えようとするが、これまでの疲労が祟って、足腰にうまく力が入らない。そして、まるで礼節を重んじる某カラ×カのように、情けない姿勢で再び川へと墜落した。
慌てて這い上がろうとするも、足がつってしまいうまくいかない。
自分がこの舞台で会ったのはエイリアンだけ。そして、最後は自然の力に翻弄されて死亡する。
どうやら、神は俺にヒトとしての役割を求めていないようだ。やはり、自分にはその資格が無いのだろう。
どうやら、神は俺にヒトとしての役割を求めていないようだ。やはり、自分にはその資格が無いのだろう。
(やっぱ冷えるわ…)
薄れ行く意識の中で俺はそう思った
† † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † † †
『……さて、諸君。ご機嫌はいかがかね』
深優・グリーアは戦いの舞台に来る前に、主催者から参加者の名前と容姿だけはインプットして貰っていた。先に戦ったのはウィンフィールドで間違いない。どうやら、彼の殺害に成功したらしい。彼に恨みはないが、戦場において敵の死に迷いなどあってはなるまい。
『諸君らの中には、すでに死の世界から蘇ったものがいる』
(仮にそれが事実ても、あのアリッサ様が本物かは別問題。優勝するまでは判断できませんね)
『君たちの中には、私達の息のかかった者がいることを教えてやろう』
(内通者の示唆は誤算…いえ、これまで扱いを考えれば想定の範囲内でしょうか)
これは参加者の間に疑心暗鬼を生み出すには有効だが、内通者自身の工作活動には著しく不利である。結局のところ、私はバックギャモンのサイコロではなく、チェスの捨て駒なのだろう。
ただ、深優は腹を立てたわけではない。単に自分に不利な状況と分析しただけである。彼女はシアーズ財団に作られたアンドロイドであり、人の感情は頭でしか理解できない。
…はずなのだが、感情というもの経験しつつあり、今回もアリッサ嬢を救えないことへの焦りと苛立ちを感じていた。
…はずなのだが、感情というもの経験しつつあり、今回もアリッサ嬢を救えないことへの焦りと苛立ちを感じていた。
(主催者のサポートを期待できない以上、私だけで勝機を掴みとるしかありません)
彼女が鉄乙女から手に入れた支給品はふたつ。ひとつは電動式の乗り物であり、静音性に優れている。車よりも馬力はないが、消耗した自分が移動するには十分すぎる代物。
もうひとつはNYP兵器・ウィルスで、強力な武器だが自分には適性が無いようだ。
もうひとつはNYP兵器・ウィルスで、強力な武器だが自分には適性が無いようだ。
そして、彼女が川から拾い上げた銀髪の少年、黒須太一。彼はデイバックをしっかり握り締めて、寝息をたてている。しばらくは目覚めそうにない。なにかしらの手を打つなら今のうちだろう。
深優・グリーアは太一のデイバックからグロック19を取り出した。
◇ ◇ ◇ ◇
俺はまだ生きていた。どうやら海には流されずに済んだらしい。
「ヘクシュッ!」
こう何度も川に落ちると、本格的に風邪を引いてしまう。温泉にでも入って身体を温めたい。
よく見ると、デイバックの口が開いている。慌てて中身を確認すると、銃の変わりに代わりに謎の物体が入っていた。どうやら、何者かが自分を助けた後、物々交換をして去っていったらしい。
相手はエイリアンなのか、自分と同じく適応指数の高い地球人なのかは分からない。
ただ、害意は無いのは確かだろう。たとえ、特殊な思考を持つ相手でも何かしらのルールは存在する。
それさえ見つければそれなりに交流できるものだ。まだ神は、自分を見捨てていないようだ。
ただ、害意は無いのは確かだろう。たとえ、特殊な思考を持つ相手でも何かしらのルールは存在する。
それさえ見つければそれなりに交流できるものだ。まだ神は、自分を見捨てていないようだ。
太一はルールの手がかりを見つけるため、何かないかとデイバックをもう一度探ると、一枚のメモが入っていた。
『私は主催者のスパイである。
その証拠として第1回放送まで死亡者の外見を挙げる。
・
(略)
・
私の他にも複数のスパイが存在し、利害関係は対立している。
ひとりは無から武器を作り出す者。ひとりはNYP兵器の使い手である』
その証拠として第1回放送まで死亡者の外見を挙げる。
・
(略)
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私の他にも複数のスパイが存在し、利害関係は対立している。
ひとりは無から武器を作り出す者。ひとりはNYP兵器の使い手である』
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深優は望遠視力を用いて、黒須太一がこちらに向かってくるのを確認した。
彼女は先の乗り物を使い、太一の進路を先回りしたのである。
彼女は先の乗り物を使い、太一の進路を先回りしたのである。
(彼の移動速度からして、仮に彼から突然襲われても、逃げ切ることは可能です)
深優としても、できれば素性は隠しておきたい。だが、HIME達は高確率で彼女を疑うだろう。そして、「深優本人が気づかないうちに内通者とばれていた」というのが最悪の状況である。
無論、先んじて正体を暴露することで、交渉の駆け引きをすることもできる。だが、主催者は内通者探しの疑心暗鬼を望んでおり、それを邪魔するわけにもいかない。
(彼は内通者を単数とも複数とも言及してませんが、確実にしたほうが良いでしょう)
ならば、保険をかけておいたほうが良い。途中で正体を暴露しても、主催者の機嫌を損ねない状況を。太一に渡したメモはそのための仕込み。当然、真っ赤な嘘である。
無論、素性を隠せるならそれに越したことない。HIME達に疑念の矛先が向けばなお好都合。
無論、素性を隠せるならそれに越したことない。HIME達に疑念の矛先が向けばなお好都合。
(アリッサ様を助けるためには、常に合理的な判断を下す必要があります。前回の二の轍は踏みません)
ウィンフィールドの時は強い衝動に流され、適切な判断をし損ねてしまった。勝ったから良いものの、自分が破壊されていたかもしれないのだ。
深優は太一に接近し、さも初めて出会ったかのように語りかけた。
「貴方はこの殺し合いに乗っていますか」
「貴方はこの殺し合いに乗っていますか」
【D-6 南東/1日目 朝】
【深優・グリーア@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備】:遠坂家十年分の魔力入り宝石 、グロック19(拳銃/弾数15+1/予備48)、
Segway Centaur@現実
【所持品】:支給品一式、拡声器
【状態】:消耗大につき休息、自身の能力での戦闘は正午まで不可
全参加者の顔と名前は記憶済
【思考・行動】
0:アリッサを救うために行動する
1:"優勝を目指し積極的に殺す"
2:必要に応じて"殺し合いが加速するように他の参加者を扇動する"
3:ここにいるHiME(玖我なつき、杉浦碧、藤乃静留)を殺す
4:黒須太一に接触し、内通者は複数人いると思わせる
【備考】
※参加時期は深優ルート中盤、アリッサ死亡以降です
※場合によってはHiME能力に覚醒する可能性があります
※アリッサが本物かどうかは不明です
※ミサイルの残弾数については基本はゼロ、あっても残り1発
※グロック19は他人に気づかれない場所にしまってあります
※スパイのルールはでたらめです
【深優・グリーア@舞-HiME 運命の系統樹】
【装備】:遠坂家十年分の魔力入り宝石 、グロック19(拳銃/弾数15+1/予備48)、
Segway Centaur@現実
【所持品】:支給品一式、拡声器
【状態】:消耗大につき休息、自身の能力での戦闘は正午まで不可
全参加者の顔と名前は記憶済
【思考・行動】
0:アリッサを救うために行動する
1:"優勝を目指し積極的に殺す"
2:必要に応じて"殺し合いが加速するように他の参加者を扇動する"
3:ここにいるHiME(玖我なつき、杉浦碧、藤乃静留)を殺す
4:黒須太一に接触し、内通者は複数人いると思わせる
【備考】
※参加時期は深優ルート中盤、アリッサ死亡以降です
※場合によってはHiME能力に覚醒する可能性があります
※アリッサが本物かどうかは不明です
※ミサイルの残弾数については基本はゼロ、あっても残り1発
※グロック19は他人に気づかれない場所にしまってあります
※スパイのルールはでたらめです
【黒須太一@CROSS†CHANNEL】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、ウィルス@リトルバスターズ!
【状態】:疲労(中)、やや風邪気味
【思考・行動】
0:『人間』を集めて『エイリアン』を打倒し、地球の平和を守る
1:拡声器を使って、人と交流する
2:『人間』をたくさん仲間にし、『エイリアン』たちを打倒する
3:『支倉曜子』『山辺美希』『佐倉霧』と出会えれば、仲間になるよう説得する
4:温泉に入りたい
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、ウィルス@リトルバスターズ!
【状態】:疲労(中)、やや風邪気味
【思考・行動】
0:『人間』を集めて『エイリアン』を打倒し、地球の平和を守る
1:拡声器を使って、人と交流する
2:『人間』をたくさん仲間にし、『エイリアン』たちを打倒する
3:『支倉曜子』『山辺美希』『佐倉霧』と出会えれば、仲間になるよう説得する
4:温泉に入りたい
※第一回放送を聞き逃しました
※太一の言う『エイリアン』とは、超常的な力を持った者を指します。
※登場時期は、いつかの週末。固有状態ではありません。
※直枝理樹(女と勘違い)、真アサシン、藤乃静留、玖我なつき(詳細は知らない)をエイリアンと考えています。
※サバイバルナイフがD-4からD-6までの川のどこかに沈んでいます。
※太一の言う『エイリアン』とは、超常的な力を持った者を指します。
※登場時期は、いつかの週末。固有状態ではありません。
※直枝理樹(女と勘違い)、真アサシン、藤乃静留、玖我なつき(詳細は知らない)をエイリアンと考えています。
※サバイバルナイフがD-4からD-6までの川のどこかに沈んでいます。
Segway Centaur@現実
セグウェイの4輪駆動のバギーモデル。時速30kmで走り悪路も大丈夫。
ただし、2008年現在は試作品段階。動画サイトで見ることは可能。
ちなみに、普通のセグウェイの移動可能距離は8時間の充電で40km程度。
セグウェイの4輪駆動のバギーモデル。時速30kmで走り悪路も大丈夫。
ただし、2008年現在は試作品段階。動画サイトで見ることは可能。
ちなみに、普通のセグウェイの移動可能距離は8時間の充電で40km程度。
100:洗脳・搾取・虎の巻 | 投下順 | 102:どうする? |
099:どこでもいっしょ (後編) | 時系列順 | :[[]] |
069:太一の大?考察 | 黒須太一 | :[[]] |
058:Servantたちへ | 深優・グリーア | :[[]] |