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洗脳・搾取・虎の巻

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洗脳・搾取・虎の巻 ◆LxH6hCs9JU



 ――夢。

 夢を、夢を見ていました。

 夢の中のあなたは、優しい微笑みで私を包み込んでくれて。

 夢の中の私は、あなたの優しさに安らぎを求めて……溺れて。

 ああ、夢の中のあなた。私を守ってくれる素敵なあなた。

 もっと……モット……MOTTO!

 この安らぎに浸りたい、この安らぎに全てを委ねたい!

 心も、体も、私自身を、あなたのその優しさに!

 私はあなたを求めます。だから……!

 どうか、私を――!


 ◆ ◆ ◆


 ――そして、キクチマコトは夢の舞台にまで上り詰めた。

 熱望した悲願。妄想の具現化。努力の実り。
 アイドルならば誰もが夢見た、最高のステージ。

 プロデューサーさん! ドームですよ、ドーム!

 観客動員数七万人。ドームコンサートの最高記録を樹立。
 日本音楽史に名を刻む一世一代のオンステージが、これから始まる。
 舞台裏にも届くファンたちの荒い息遣いを耳に、ボクは深呼吸する。

「緊張してるのか?」

 微かに震えた足で立つボクに、その人は背後から優しく声をかける。
 両肩に触れる手の温もりは安心感を生み、足の震えを取り除いてくれた。

「少し……けど、もうへっちゃらです」

 振り向いて、先攻のスマイルを繰り出す。
 一般のファンには決して振り撒かない、プライベート用フェイス。
 そう……プロデューサー専用の。

「なぁ、マコト……このコンサートが始まったら、マコトに話したいことがあるんだ……」
「ボクに話したいこと? な、なにかなぁ……ん、んん~……っ、はぁ」
「んっ……それ、はっ……終わってからの、お楽しみさ……」
「プロ、デューサ……メイク、落ちちゃ……やんっ」
「くっ、は……大丈夫だよ……メイクなんて落ちても、マコトは……」
「あっ……ぷ、プロデューサー……ボク、もう行かなくちゃ!」
「あっ、と。ごめんごめん。いっておいで、マコト」
「……はい。いってきます」

 いつも強引……イタズラ好きの子供っぽいプロデューサー。
 レッスンのときも、営業のときも、プライベートのときはもっと……とと、集中集中。

 大好きなプロデューサーとは、本番が終わるまでちょっとの間だけお別れ。
 今は、プロデューサーの影でボクを支えてくれた不特定多数の愚み……ごほん、ファンのために!

(よぉし、バリバリいくぞ~! あ、違う。バリバリじゃ駄目だ。ブリブリのほうだ)

 ずっと、悩んでいたことがある。
 凛々しい顔つき、スレンダーな体格、ハスキーボイス……アイドルとしての、ボクのイメージ。
 そう、ボクは致命的に男の子っぽい。美少年系というか……そういうニーズもあるっちゃあるけど。

 だけどそれは、ボクの理想としていたアイドル像とは違うんだ。
 アイドルならもっとこう、フリフリの衣装を着て、可愛らしく腰を振って、声も高くて……。
 そういうのが、ボクの憧れた姿だった。どう足掻いても到達することはできない、未知の領域でもある。

 でも、それはもう過去のボクさ。
 男の子っぽかったボクを、プロデューサーは変えてくれた。
 プロデューサーは、アイドルのキクチマコトに革命を起こしたんだ!

(プロデューサーへのこの想い、ボクは一生忘れません。このステージが終わっても……)

 女の子は、恋をすると変わる――そんな格言を、昔なにかの少女漫画で見たような気がする。
 うん、そのとおりだ。ボクはプロデューサーのおかげで、ううん、プロデューサーのせいで変わった。
 ……それも違うかな。変わったんじゃない、変わっていってるんだ。現在進行形。
 このステージをやり遂げた先の未来、ボクはきっと、プロデューサー色に染められてしまう。

 不安もあったかもしれない。けど、それが今は!
 純粋に、楽しみなんだ!

(さぁ、いこう――ボクとプロデューサーの未来のために!)

 そしてボクは、ステージに立つ。
 七万人の観客を前に、キクチマコトとして夢を叶える。
 夢を追いかける道中で見つけた、もう一つの夢を叶えるために。

「――キャッピピピピ~♪ えっへへぇ、みんなのアイドル、キクチマコトちゃんなりよ~☆」

 舞台裏から姿を現すと同時に、はち切れんばかりの勢いで咆哮を上げる観客たち。
 ボクはお得意のファン専用営業スマイルでみんなを悩☆殺。

「みんなのHEART、今日もKYUN☆KYUNしてるなりか~?
 マコトちゃんのHEARTは、みんなの顔を見た瞬間、超!DOKKI☆DOKKIだよ~☆」

 キャラが違う? なにを言ってるなりか~?
 お仕事をする女の子は、いつだって仮面を被るものなりよ?
 ねー、プロデューサー。おっと、今はお仕事中お仕事ちゅー♪

「それじゃあいつもの、いっくよ~! せぇの――」

 開幕宣言はいつもお決まりのアレ。
 さぁ、みんなボクを崇めて――!

「まっこまっこり~ん♪」

 ああ、見渡す限り絶景のヒトヒトヒトヒトヒトヒト……まっこまっこり~ん♪
 七万人くらいの老若男女がみんなボクを見るために……まっこまっこり~ん♪

「ありり~? 声が小さいぞぉ? そんなんじゃあマコトちゃん歌えないっ!
 さぁ、もう一度みんなで声を揃えて? 大きな声でぇ……せぇの!」

 ボクの可愛らしい仕草に何百人かのファンが鼻血昏倒するものの……まっこまっこり~ん♪
 ボクの名前を呼ぶためにみんな声帯を破壊し尽くさん限りの声で……まっこまっこり~ん♪

「キャッピピピピ~! みんなの声援で、マコトちゃんのHEARTはさらにDOKKI☆DOKKI~♪
 いまなら、思いっっっっっきり歌えそうなりよ~☆ それじゃあみんな、まずは一曲目!」

 恍惚。快感。絶頂。ボクは今、キクチマコトでありながらすっごく女の子してる。
 みんなもボクを女の子らしいアイドルとして認めてくれ……まっこまっこり~ん♪

 男の人に媚を売る仕草。同年代の女の子でも共感を覚えるポジショニング。
 持ち前の歌唱力とダンスの技に磨きをかけて、さらにプロデューサーの個人レッスンを親身に受けて。
 ボクは、ボクは…………キクチマコトちゃんは覚醒したなりよ~☆

「それじゃあいくよ! せぇの……まっこまっこり~ん♪」

 ボクを何度も助けてくれたプロデューサー……まっこまっこり~ん♪
 ボクに先に進むための道を示してくれたプロデューサー……まっこまっこり~ん♪
 ボクに未来を繋いでくれた、ボクの未来を守ってくれるプロデューサー……まっこまっこり~ん♪

 ボクは、あなたのことが……


「まっこまっこり――――――――――――――――――――ん♪」


 ……ライブ終了後。
 みんなのアンコールを求める声に見送られながら、舞台裏に戻っていくボク。
 お仕事終了。もう、キクチマコトちゃんの仮面は外そう。

 素顔に戻ったボクはまず、プロデューサーにいっぱい褒めてもらうんだ。
 まず微笑みかけてもらって、それからギュッて抱きしめられて、頭をなでてもらって、
 それから……それから……へへっ……あ、プロデューサー! おつかれさまです!

「――――」

 プロデューサー?
 声が遠くて聞こえませんよ?
 もう、プロデューサーってばっ。
 もしもーし……プロデューサー?

 えっ……どうしたんですかプロデューサー?

 なんだか……どんどん距離が離れ……待って、待ってくださいよプロデューサー!

 プロデューサー! ボク、ボクがんばってここまで来たんです! お願いだから行かないで!


 ボク……プロデューサーがいないと駄目なんです! 一人じゃ、どうしたらいいのかわからないから!


 もう、ボクは…………プロデューサーなしじゃ生きていけな………………!



 待って……待って! 待ってよ、■さん――――――――




「  る」




『……以上を持ちまして、765プロ主催キクチマコトドームコンサートを終了させていただきます。
 これからも皆様に夢をお見せできるように、765プロ一同頑張りますので、応援よろしくお願い致します。
 本日はご来場、まことにありがとうございましたー!

 ……さて皆様。時に、「つり橋効果」というものはご存知でしょうか?
 様々な意味で危険な境遇に置かれた男女二人が、過程をすっ飛ばして急に親密になるというアレです。
 いえいえ、これは馬鹿げた話と否定できるものでもありませんよ?
 つり橋効果として認知されている正式名「吊り橋理論」は、
 カナダの心理学者ダットンとアロンによって実証された学説なんです!
 ね、こう言われると無碍に否定できなくなるでしょう?
 学術的にも~ってフレーズはつい信じちゃうのが日本人ですものね。
 はぁ~……でもそんな都合よく話が進んだら、今年で2X歳の私も……ごほん。
 えー、少々脱線してしまいましたね。し、失礼しました~。
 とにかく、つり橋効果によって一時的に恋愛関係ができあがるのはあり得ることなんです。
 ……ですが、その多くは長続きしないというのが通例であったりもします。
 緊張状態から来る興奮は確かに恋愛感情を芽生えさせますが、やはりそれは一字的なもの。
 緊張から紐解かれ、興奮が治まれば、一万二千年の恋も一気に冷めてしまうものです。
 とはいえ、もちろん例外もあります。もし、緊張が解けても興奮が治まらなかったら……?
 例えばそれが初めての恋だったり、将来に関わるきっかけを与えられてしまったりしたら。
 特に女の子は……芽生えた感情を捨て去ったりはできないんです。簡単には。
 相手の男の子に突き放されようとも、アスファルトに咲くタンポポのように、その人を健気に思い続けるでしょう。

 え? わ、私の話長かったですか? 退屈でしたか? ううう…………ピヨ。
 ま、まぁなにが言いたいかというとですね……き、機会がございましたら、次回のコンサートにもお越しください!
 以上! 765プロ、音無小鳥でした~…………』


 ◇ ◇ ◇


「はぁ~……………………つかれたぁー」

 疲労感の漂う情けない声が、虚空に木霊し消えていく。
 街並みも鮮やか……とはとても言えないスラム街の一角。
 娼館の火災から、そしてドライの猛威から逃れた伊藤誠は、煉瓦造りの塀を背に休憩を取っていた。

「なんだって、こんなことになったんだろうなぁ……」

 チリチリと焦げた前髪を弄りつつ、誠は愚痴るようにそう零す。
 南の空を見上げれば、濛々と煙が上っている。娼館の火はまだ消化されていないのだろう。
 好都合ではある。あの煙が狼煙となり、他の参加者の目を惹きつけてくれるなら、誠はその間に難なく移動できる。
 目指す先は病院。その名称が持つ、癒しを求めて……

「って言っても、結構距離があるんだよな。……真、起きてくれないかな」

 上方から目線を下ろし、自身の腕に覆われたまま眠る真を見た。
 苦痛に歪んでいた顔はどこへやら、その表情はいつの間にか、安らぎを得た顔に変わっている。
 健やかな寝顔に安堵する一方で、さっさと起きてほしいという切実な願いが胸に込み上げてくる。
 女の子の華奢な体とはいえ、誠も誠でかなり疲弊している。病院まで運ぶのはさすがに億劫だった。

「……大丈夫、だよな。それほどひどい怪我じゃないし……ちょっとくらい、休憩しても」

 誠は気絶したままの真を持ち上げると、適当な民家へと入っていった。
 廃れた街の住居には満足な電灯も備えられておらず、間取りは狭い。
 埃っぽい室内に咳き込みながら、窓を開けて空調だけは整える。
 簡素なパイプベットの上に真の体を置き、誠は台所に向かった。

(食べるもの……あるわけないか。水は……出るけど、あんまり飲みたくないや)

 異臭のする水道水に顔を顰めつつ、誠は顔を洗う。なんだか妙にベトベトした。
 冷蔵庫なんて気の利いたものはなく、タオルといった生活用品もない。
 誠は溜め息混じりに家屋内を徘徊し、やがて真を寝かせていた寝室へと戻っていった。

(水……あ、真の火傷を処置するのに使っちゃったんだった……真のを貰おう)

 真のデイパックを漁り、ミネラルウォーターの入ったペットボトルを拝借する誠。
 ごきゅごきゅと喉を鳴らしながら一気に飲み干し、気休め程度に疲れを癒す。
 続いて支給された食料にも手をつけようとするが、

(まずっ……)

 一口食べてすぐに食欲が失せた。
 誠に支給された食料はコッペパンだったのだが、生地がボソボソすぎてとても食べられたものじゃない。
 仕方がなく真のほうの食料をチェックしてみるが、こちらは缶詰で、あいにくと缶切りがついていなかった。
 缶切り程度の備品ならその辺の民家でも手に入るだろうが、この付近ではそれも難しそうだった。
 落胆するとともに、腹の虫も完全に沈静化。誠は不貞腐れたような顔つきで深く溜め息をついた。

(なんか、俺だけ苦労してるよなぁ……)

 パイプベッドの上に座り、チラリと、横で眠る真を見やった。
 火にあてられて微かに焼け焦げたジャージの上着を剥ぎ、タンクトップ姿となった真の背中には、程度の軽い火傷が。
 火傷自体は程度が軽く、打撲の心配もなさそうではあるが、肉体疲労は相当蓄積されたのだろう。
 真はまだまだ気絶から覚める気配がなく、呼びかけても頬をはたいても無反応。
 普段なら生唾を飲み込んだであろうシチュエーションも、疲れきった今となっては溜め息しか漏れない。

(それにしてもこいつ……あんまりないよなぁ)

 ペラリ、と極めて自然な所作で真のタンクトップを捲り、隠された肌色の丘を眺める誠。
 常のボイストレーニングや腹筋運動の賜物か、誠の体つきは一般女子のものに比べ、筋肉質だ。
 アイドルにとっては不可欠なのかもしれないが、思春期の男児が持つ欲望を満たすには、些か邪魔な要素だ。

(それに比べて……大きかったよなぁ。それに、すっごい柔らかかった……)

 ここまで真を担いで来たせいか、誠の手の平はほのかに汗ばんでいた。
 手を握り、また開き、空気に感触を求めるように、とある豊満な姿態を思い出す。
 一度は命を握られ、窮地から脱してもまたすぐに命を手中にされ、しかしついには命を奪わなかった金髪の外人女性。
 その艶麗な魅力は、誠の周囲にいたどの女性陣よりも抜きん出ていた。真などとは、比べるべくもない。

(あいつは……なんで)

 殺さなかったのか。
 ここに到達するまでずっと胸に蟠っていた疑問を、今さらのように考える。
 火の魔の手から救ってくれた真に恩義を感じたのか。答えは、当然出てこない。
 もし、また遭遇するようなことがあったら――彼女はどうするのだろうか。

(殺しに、くるのかな。そしたら、また……も、もう二度とごめんだぞ! あんなの!)

 ほんの数時間前に味わったスペクタルな現実を、誠は否定するように身震いした。
 安息を掴み取った今だからこそ思う。なんで自分は生きているのか。
 あの絶体絶命のピンチを、ただの高校生に過ぎない自分が乗り切れたのか。
 真と一緒だったから……など、理由にはならない。彼女とて、一介の女の子だ。
 天が二人に味方したとしか思えない。間違っても、誠の実力が金髪の女性を凌駕したなどとは思わない。

(どうかしてるよ、俺……! 一歩間違えたら死んでたぞ!?)

 過去の自分を戒めるように、誠は軽く握った拳でポカポカと頭を叩き始める。
 燃焼する建築物の熱気、銃口から放たれる殺意、共通する恐怖が、時間差で襲い掛かってくる。
 平穏を手にした今だからこそ、噛み締めずにはいられない。
 同時に、次はたぶんこうはいかない……という新種の恐怖にも巣食われる。

 伊藤誠はしがない男子学生だ。ルックスも運動能力も学力も平凡、秀でた点など特にはない。
 そんな誠がドライ――殺し屋〝ファントム〟を相手に善戦できたのは、やはり奇跡としか思えなかった。
 好奇心に富んだ『少年』だからこそ、勇猛に振舞えた点もあるかもしれない。
 英雄譚には憧れるし、自分がヒーローなどという立場になれたならばと、期待にも似た妄想を抱くこともあった。

 ……だが、もう駄目だ。
 一度地獄から抜け出た少年は、平和の素晴らしさ、命が脅かされない当たり前の安心感というものを知ってしまった。
 それはどんな美酒よりも魅惑的で、金銀財宝などよりもよっぽど価値がある。酸いも甘いも、全部この平穏にある。
 同じような窮地が再び訪れるとして、誠はかつてと同じように、勇敢に立ち振る舞うことができるだろうか――?

(…………そんなの、わかんないよ。わかる、もんかよ)

 心中でぼやくと、誠は真の隣に寝転がった。
 一人用の狭いパイプベッドだ。隣り合えば、二人の密着度は必然的に増す。
 互いの息遣いが聞こえるほどに、唇と唇が触れ合うほどに、肌と肌が擦れ合うくらい、誠と真は接近していた。

(のんきに寝てるよなー……こっちの気も知らないでさ)

 娼館で真が見せた奮起など、棚の上に置いて見上げようともしない。
 素の感情で、気絶している真をのんきに寝ていると、誠は冷めた視線で分析していた。

 都合の悪い現実は頑なに忌避する一方で、誠はどうしようもないリアリストの本質を秘めてもいる。
 この先、真の怪我の治療のために病院に向かうのはいいとして、以後真と行動を共にするのを良しとするか否か。
 疲労から来る睡魔と闘いながら、誠は薄らと、将来を案じ始めていた。

(……ここまで運んで来てやったんだから、ほんのちょっとご褒美があっても……いいよなぁ……)

 手を伸ばせば触れられる位置に、真の無防備な姿――いや、女体がある。
 ほんの少し、肩の関節を動かすだけでいい。
 真の柔らかいところ、窪んだところ、敏感なところ、あらゆるところに手は届く。
 眼前にねずみを置かれて、飛びかからない猫はいないのと同義。
 誠には罪の意識は愚か、興奮すらない。
 極自然に、さも当然と言わんばかりに、
 真の隅々を凝視し、五指を這わせ、欲望の魔手を差し向ける――

(……やめよ。なんか、気分じゃないや。)

 しかし、男子としての欲望は一時的になりを潜め、誠の本能は押し寄せてきた睡魔に支配される。
 据え膳喰わねば男子の恥……とは言うが、死線という極限の興奮を味わい終えた誠には、活力が足りない。

(……っていうか……)

 ついでに言うならば、誘う側である真に魅力が欠けているのも理由の一端である。
 容姿はアイドルの肩書きを証明になるほど整っていたが、男の子っぽい外見はいまいち誠の好みに沿わない。
 スタイルもまた然りだ。桂言葉という規格外の存在を目にしてきた誠にとっては、真の体など物足りないの一言で一蹴できる。

(なんか……真といるの…………)

 加えて、気分を害するほどに眠り呆ける真の表情といったら……溜め息が出るのも当然と言えた。
 女って、こういう境遇だととことん守られるだけなのかな……と、悲観的な考えまで持ち始める。

 そして、うつらうつらと眠りの世界に落ちていく最中……誠はこの疲労感の根本を、把握する。

(疲れる)


 そして、二人のマコトは現実からしばしの逃避を果たした――
 ――各々、抱える感情に多大な擦れ違いを生みながら。



【B-2 民家/一日目 午前】

【伊藤誠@School days L×H】
【装備:防刃チョッキ】
【所持品:支給品一式(水なし)、スペツナズナイフの柄、手榴弾2つ】
【状態:肉体疲労(中)、精神疲労(小)】
【思考・行動】
基本方針:殺し合いには乗らない
0:睡眠中(…………)
1:ちょっと休憩して、それから病院へ行く。
2:自分の知り合い(桂言葉、西園寺世界清浦刹那)やファルの知り合い(クリス、トルタ)を探す。
3:信頼出来る仲間を集める。
4:主催者達を倒す方法や、この島から脱出する方法を探る。
5:このみを心配。ついでに仲良くなりたい。
6:巨漢の男に気をつける。
7:真といるの……なんか、疲れる。
【備考】
※どの時間軸から登場かは、後続の書き手氏任せ

菊地真@THE IDOLM@STER】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式(水なし)、金羊の皮(アルゴンコイン)@Fate/stay night[Realta Nua]、レミントンM700(7.62mm NATO弾:4/4+1)、予備弾10発(7.62mm NATO弾)】
【状態:背中付近に軽度の火傷(皮膚移植の必要無し)、肉体疲労(中)、左足に軽い怪我、罪を見つめる決意、誠に強い依存心】
【思考・行動】
基本:誠と共に行動する
0:気絶中(えへへっ……誠さん)
1:誠さんと一緒に娼館から逃げる
2:誠さんは優しいなぁ……すごくスケベだけど
3:巨漢の男に気をつける
【備考】
※誠も真も、襲ってきた相手が大柄な男性であることしか覚えていません。
※愛佳の死を見つめなおし、乗り越えました。



099:どこでもいっしょ 投下順 101:it(それ)と呼ばれた少年少女
098:Steelis my body, and fireis my blood/絡み合うイト(後編) 時系列順 103:それは渦巻く混沌のように
082:業火、そして幻影(後編) 伊藤誠 109:往こう、苦難と逆境と熱血と不屈に彩られた王道を
082:業火、そして幻影(後編) 菊地真 109:往こう、苦難と逆境と熱血と不屈に彩られた王道を

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