ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

Maggot Gospel

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Maggot Gospel ◆DiyZPZG5M6



 胎児よ 胎児よ なぜ踊る 母親の心がわかって恐ろしいのか




 飢えが満たされない。
 渇きが満たされない。
 水分がほとんど失われたパンなんかとても食べられた物じゃない。
 生ぬるい水なんてとても飲めた物じゃない。
 でも身体の欲求は正直で、脳は空腹のシグナルを送り出す。

 痣だらけの身体に人差し指の失った右手。
 今の彼女は何かを食べようなんて考えられるような状態には程遠い。
 しかし彼女は痛みに動じず食物を探し森を徘徊する。
「だめだよ……こんなパンじゃ赤ちゃんの栄養にならないよぉ……」
 下腹部をさすり我が子を慈しむ彼女――西園寺世界は支給されたカチカチの固いパンを投げ捨てた。
 投げ捨てたパンが木にこん、と当たり地面に落ちる。
 世界は地面に落ちたパンをぼうっと見つめる。
 どこでそれを嗅ぎ付けたのか、小さな蟻がパンの周りに集まりいつしか行列を成していた。
 せっせとパンの欠片を巣に運ぶ蟻の列。
 黒い列が世界の傍らにまで延びていた。

「………………」
 蟻の列に左手人差し指を押し当てるとぷちっ、と蟻が数匹押し潰された。
 蟻は仲間が死んだことに気づいているのか気づいていないのか、
 世界の指を迂回して列を作りパンと巣穴に一本の黒い線を結ぶ。

 ぷち。
 ぷち。
 ぷち。

 世界は無表情のまま蟻の群れを潰していく。

「……飽きた」
 蟻を潰すことに興味が失せた世界は膝を抱え頭を垂れた。
 ふと脳裏に一人の少女の姿が浮かび上がる。
 世界と同じく誠の子を授かった少女、桂言葉
 もし、我が子が流れてしまうような事になってしまったら彼女の子を返してもらう。
 言葉の胎内の赤子は誠の子。故に世界の子であり、世界に返されて当然の存在だ。
 言葉自身に恨みは無い、良き友人である。
 だけど彼女に預けた子を返してもらうのは母として当たり前の行為である。
 正しい行いをするのだから世界にとってそれに罪悪感など一欠けらも存在しない。

「おなかすいた……」
 この島に来てから何も食べていない。
 食料は乾いたパンと水のみで温かいお茶も熱々のご飯なんかあるはずもない。
 肉汁の滴るステーキも、
 シャキシャキとした生野菜に彩られたサラダも、
 甘く熟れた果物も、
 普段当たり前のように食べてきた物は何も存在しない。
「なんでよ……なんで私ばっかりこんな目に……」
 柚原このみには滅茶苦茶に殴られた上、指を食いちぎられた。
 見知らぬ女から名指しで狂っていると言われた。
 柚原このみには逃げられたけど、世界を狂ってると罵った女にはその髪にたっぷりと爆弾を塗りつけてやった。
 そして聞こえる爆発音。時限信管が炸裂した音だった。
「アハハ、いい気味」
 ぐぅ、とお腹が鳴る。
 水を飲んでも飢えは満たされない。

「何か……何かないの……」
 もしかしたらパン以外にも何かあるかもしれない、世界はデイパックをの中身を漁る。
 ランタン、コンパス、地図、食べるような物は見つからない。
「何かあるでしょ! こんだけ中に入っているんだから何か食べ物出てきなさいよッ!」
 理不尽な怒りを八つ当たりをデイパックにぶつける。
 しまいにはデイパックを逆さにひっくり返し激しく振る。
 すると、からんと音を立てて小さな瓶が三つ転がり落ちた。
 瓶は茶色く色づけされたガラス製の物、未開封の金属製の蓋が付いており、
 一見すると栄養ドリンク剤の瓶に見える。
「なによこれ……」
 世界は転がった瓶の一つを拾い上げる。
 どうも中には液体が入っているらしい、だが水よりもずっと粘性の高そうな液体のように見える。
 白のラベルに黒いペンで文字が書いていた。


『贄の血』


「ニエノチ……」
 書かれている文字を呟く世界。
 キャップを捻りおもむろに瓶を封を開ける。
「――――っ!?」
 甘酸っぱい匂いが瓶からあふれ出す。
 中身は赤く粘ついた血液、鉄臭い厭な臭いのはずなのにそれがとてつもなく世界の心を悦びに誘う。
「あっ」
 思わず手から瓶が滑り落ちた。
 ころんと転がった瓶からとくとくと血がこぼれ土の上に小さな血溜まりを作り上げる。

 どくん。

 世界の心臓が一際強く鼓動する。
 舐めたい、啜りたい、飲み干したい。
 赤い、赤い、赤い、甘い血を――

「ん……っ」

 両手を地面に突き、顔を赤い水溜りに近づける。
 恍惚の表情でその赤く小さな舌を伸ばす。
「ふ……ぁ……」
 ぴちゃぴちゃと子犬のように舌を伸ばし地面にこぼれた血を舐める。
 口の中に砂利が混じっても気にすることなく舐め続ける。
 だけどその血液の半分以上はすでに地面に染み込み世界の口に入ったのは僅かな量。
「これだけじゃ足りない……もっと……欲しいの」
 世界の手が残り二つの瓶の一方にかけられる。
 蓋を開け一気に呷る。
 鉄の味しかしないのに形容しがたい甘い味が口の中いっぱいに広がる。
 そして全身に電気が走ったかのように広がる快感。
「あ……んっ……何……この味……」
 飲み干してもなお瓶の内側にこびりつく血液。
 世界は指を瓶の口に差し込んで血液を掬い取りその指にしゃぶり付く。
 ちゅぱちゅぱと音を立てながら一心不乱に左手の人差し指を嘗め回す。

 二本目を飲み終え三本目を手に取る世界。
 それもまた一気に飲もうとしたが止めた。
 理由はただ勿体ないから。こんな美味な物をここで全部飲んでしまうのは勿体ない。
 それに身体の疲れが取れた気がする。
 もしかしてこの血には何かの効用があるのだろうか?
 世界は瓶をデイパックに戻して立ち上がり哂う、哂う。
 とても満足そうな笑みを浮かべていた。

「あはは、そっかこれがあったんだ。ほかほかのご飯もあったかいお味噌汁も何にもいらない。
私にはこれがあれば大丈夫。お腹の赤ちゃんもこれで満足してくれる。鉄分もたんぱく質もビタミンも補える。
あっははははははははははははははははははははははははははははは」

 彼女に支給された小瓶、それは妖の力を高める贄の血。
 ただの人間には何ら効果はない存在。
 だが彼女はゆっくりと、そして確実に人でないモノに変容しつつある。
 どこまでも肥大化する自らのエゴに彼女の心は蝕まれ堕落する。
 人を喰らう悪鬼へと己を変貌させてゆく。


 ぼとりと足元に白く蠢く蛆虫が落ちた。


 ◆ ◆ ◆


「……この臭い」
 森を歩く世界の鼻を異臭が突いた。
 かすかに臭う物……放置された生ゴミをもっと薄めたようなほのかな腐敗臭。
 腐りゆく肉の臭い、鉄臭い血の臭い。
 さっき飲んだ贄の血とは比べ物にならない不味そうな臭いであるが、
 あれっぽっちの血では世界は満足できない。

 ――――あの先に※※がある。

 世界はその方角に足を進める。
 鋭敏となった嗅覚は臭いの発生源をはっきりと捉えている。
 さらに臭いが強くなる。
 あと少し、もう少しでそこに辿り着く。

 ――――赤ちゃんのためにちゃんと栄養を取らないと。

 禁忌を犯す。
 生まれてくる赤子のために、自らの愉悦のために。


「――――見ぃ~つけた」


 世界が見つめる視線の先にそれらは横たわっていた。
 赤みがかった茶髪の男の亡骸と、その横で寄り添うように息を引き取っている少女の亡骸の影二つ。
 茶褐色に固まった大量の血が男の腹部に付着しているが、どうやらそれは致命傷ではないらしい。
 胸に穿たれた大きな傷が彼の命を奪った直接の原因だった。
 世界は少女に視線を移す。全身を無残に切り裂かれていた。
 腕、脚、腹、肩、浅い傷から深い傷まで様々な裂傷。
 元の色が分からないほど彼女の制服はべっとりと血に汚れていた。
 そんな無残な殺され方をしたのに彼女の表情は、血で汚れているものの傷の付いていない綺麗な顔は
 とても安らぎに満ちた物だった。

「――して」
 世界は小声で呟く。
 彼女は何でこうも安らぎに満ちた表情で死んでいるのか?
 それが世界を激しく苛立たせる物だった。
「どうして……私がこんな酷い目に遭ってるのにアンタはなんでそんな幸せそうなのッ!」
 世界は少女の襟首を掴み揺さぶる。
「答えなさいよ……私こんな痣だらけで指も千切れてそれでもまだ生きてるのに……アンタはぁッ!
はは、何その顔?『私、幸せでした』とでも言いたいわけ!? ふざけんじゃないわよぉぉッ!」
 完全な八つ当たりを少女の亡骸にぶつける世界。
 理不尽、あまりに理不尽で自分勝手な怒り。
 少女を揺さぶるたびに何も語らない彼女の頭がカクカクと揺れる。
 世界はそのまま少女を突き放した。
 どさりと彼女の身体が横たえられる。糸の切れたマリオネットのように無造作に手足を投げ出して。

「その顔で死なせるものか……あっはははは、――――あんたを壊してやる」

 少女の死を踏みにじってやる。
 少女の死を犯してやる。
 少女の死を冒涜してやる。
 少女の死を喰らってやる。

「幸せな死なんて与えない、あんたはねぇ……私の赤ちゃんの一部分となるの」

 世界は少女の亡骸に馬乗りになり――――その喉元に喰らい付いた。
 みちみちと歯が喉に食い込んでゆくが、硬直し始めた彼女の喉肉は硬くなかなかちぎれない。
 それでもさらに世界は歯を肉に突きたてる。
 ぎちぎち。
 ぎちぎち。
 ぎちぎち、ぶちん。

 歯の力に耐えられなくなった肉は筋肉繊維がぶちぶちとちぎれる音を発しながら剥離した。
 黄色い皮下脂肪がてろんとのった赤黒い肉塊を世界は咀嚼し、嚥下する。
「あは、あはは、ひひっひひひひひひ」
 食べた。食べてやった。
 私は人の死肉を食べてやった。世界は歓喜に打ち震える。

 ――――お前の死なんか私の食料にしか過ぎない。

 彼女にとって世界の行為はこれ以上ない冒涜。
 こんなものでは済まさない、済ますものか。
 世界はさらに少女の首に喰らい付く。

 ぴちぴち、ぼと。
 ぴちぴち、ぼとり。
 蠢く白い蛆虫。

 一心不乱で少女を喰らう世界に異変が起きた。
 馬乗りになって歯を少女の喉に突き立てる世界の身体。
 その腕からその脚から無数の蛆があふれ出し少女の亡骸にぼとりぼとりと付着する。
 丸々と太った蛆はもぞもぞとその身をくねらせ少女の傷口に潜り込む。
 脚の傷、腕の傷、肩の傷、胴の傷に収まらない、
 少女の可愛らしい顔の耳に、鼻に、口に。
 全身の穴という穴に無数の蛆虫が潜り込んでゆく。
 何千何万数え切れないほどの蛆の群れが少女の体内に入り込む。

 体内で蛆が蠢く度にぼこんぼこんと奇妙に波打つ少女の腹部。
 その異様な光景に世界は少女に喰らい付くの忘れうっとりとした表情で見つめている。
 それでもなお世界からあふれ出る蛆の大群は少女の亡骸に入り込む。

 やがて少女の腹部が妊婦のように膨れ上がる、その先に待ち受ける光景を世界は楽しみにして見つめている。
「あっはははは! 何その姿!? まるで妊娠してるみたい! 
でもあんたのお腹にいるのは赤ちゃんじゃなくて、
蛆虫の群れ残念でした! あっはははははははははいい気味~~~~~!!!

 さらにさらに膨れ上がる腹部。
 限界はもうすぐここに。
 背徳と冒涜が産声を上げた。

 ぼんっという音とともに少女の腹が爆ぜた。
 血と肉と内臓と蛆の混合物が世界に降りかかりその全身をどろどろに汚す。
 びちゃびちゃと土の上に汚物が撒き散らされる。
 これでもかというほどどうしようもなく冒涜的な光景。
 人の死の尊厳などこの場所には全く存在しえない。
 降り注ぐ冒涜の雨に世界はびくんびくんと身体を痙攣させ絶頂に達する。

「あはははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははは」

 ケタケタと森に木霊する世界の哄笑。
 世界は爆ぜた少女の腹に顔を突っ込ませ内容物をずるずると啜る。
 スパイスにガラムマサラをふりかけるとほどよい辛味と香りが口に広がっていった。
 いままで食べたどんなものよりもおいしい料理。
 歓喜と興奮と快楽が鉄と脂肪と蛆と溶け合い口の中を至福に満たす。

 ―――世界は少女を壊す。
 ―――世界は少女を汚す。
 ―――世界は少女を犯す。


 ―――世界は古河渚を喰らう。


 ◆ ◆ ◆


「やはり内臓は新鮮な物に限るわね……」
 食餌を終えた世界はゆらりと立ち上がる。
 足元には古河渚の亡骸だったモノが散乱していた。
 齧りかけの手足と頬骨が露出した頭部が転がっている。
 肉は硬くてあまりおいしくなかった。だから世界は柔らかい内臓を優先して食べた。
 獣は狩った得物の内臓から食べるというが自らそれを実践した世界。
 内臓と言っても味は様々、一番好みだったのは肝臓だった。
 しかし、死んでから数時間が経過してしまい鮮度が落ちてしまっているのが残念だった。
「レバ刺しは鮮度が良いうちに……っと」
 腸は牛のそれと似たような味だった。
 噛んだ感触こそ柔らかいがなかなか噛み切れない。脂肪分多め。
 胃はあまり味がしない、硬くてガムを噛んでいるみたい。
 心臓は肉と内臓を足して二で割ったような食感と香り。
 子宮は出産に耐えられる様にできているためか、分厚い筋繊維がとても硬く顎が疲れた。
 脳は頭蓋骨を割る道具が見つからなかったため食べなかった。

 男の死体には一切手を付けていない。
 もうお腹が一杯でこれ以上は食べきれない。
 それに、男の死体を綺麗なまま残すことで喰らった少女に対して意趣返しをしたような気分だったからだ。

 ――――この人はこんなキレイなまま死んでいるのにあなたは何て汚らしいの?
 ――――ぐちゃぐちゃなその姿を彼が見たらどんな顔をするのかな、あははっ。

「あれ? あれれ……?」
 ふと、世界は右手に違和感があることに気がついた。
 食餌の最中には全く気がつかなかったのだが、人差し指の感覚がいつの間にか戻っていた。
 失ったはずの指が再び生えたことに喜びを露ににする。
 世界はその指をしげしげと見つめる。だがその指を良く見てみると―――

 無数の蛆の群体が一つの場所に集まり指を形作っていた。
 うねうねと動く小さな蛆がお互い絡まりあって―――
「あはは、凄いよ私! 指が生えた!」
 世界はその辺に落ちた木の枝を拾って折り、尖った部分をおもむろに腕に突き刺した。
 本来なら飛び上がるほどの痛みはほとんど無く、鈍い痛みがじんわりと広がるだけ。
 世界は枝を更に突き入れて捻る。
 ぐりぐり、ぐりぐりと。
 抜いた枝にこびり付く赤い血と白い蛆。
 傷口の中では蛆が蠢きその傷を塞ぎつつあった。

「えへへ……凄いよ傷が治っていくよ、これなら柚原さんなんか怖くない!」

 世界は哂う、血と蛆にまみれた祝福を受け。ただひたすらに哂う。
 我が子を想う果てに人を喰らう鬼と化した少女は森を彷徨う。



 胎児よ 胎児よ なぜ踊る 母親の心がわかって恐ろしいのか



【C-3北部/森/1日目/昼】

【西園寺世界@School Days】
【装備】:89式小銃(11/30)
【所持品】:支給品一式*2、時限信管@現実×3、BLOCK DEMOLITION M5A1 COMPOSITION C4(残り約0.75kg)@現実、交換マガジン(30x2)、妖蛆の秘密、贄の血入りの小瓶×1
【状態】:妊娠中(流産の可能性アリ)、精神錯乱、思考回路破綻(自分は正常だと思い込んでいます)、悪鬼侵食率40%
【思考・行動】
基本:桂言葉から赤ちゃんを取り戻す。元の場所に帰還して子供を産む。島にいる全員を自分と同じ目に遭わせる。
1:柚原このみを殺すために北へ向かう。
2:言葉が追ってくるなら『桂言葉の中を確かめる』、そして『桂言葉の中身を取り戻す』。
3:新鮮な内臓が食べたい。

【備考】
※参戦時期は『二人の恋人』ED直後です。従って、桂言葉への感情や関係は良好です。
※下着や靴の中などにC4を仕込んでいます。デイパック内部にC4は存在しません。
※時限信管はポケットに入っています。デイパック内部に時限信管は存在しません。
衛宮士郎、リトルバスターズ!勢の身体的特徴や性格を把握しました。
※このみから、このみの知り合い(雄二、ドライ)とファルについて聞きました。
※第一回放送内容については、死者の名前くらいしか覚えていません。
※妖蛆の秘密と悪鬼の影響により治癒能力が活性化されています。
※欠損した右手人差し指を蛆の群れで再構成しています
※悪鬼に侵食されつつあります。侵食されればされるほど、身体能力と五感が高くなっていきます。
※悪鬼の侵食率が高ければ高いほど贄の血の効果が高まります。
※言葉の気配らしきものを感じ取っています。


※C-3に古河秋生の遺体と食い散らかされた古河渚の遺体が散乱しています。


115:もう一人の『自分』 投下順 117:おはよう朝ごはん
115:もう一人の『自分』 時系列順 117:おはよう朝ごはん
104:禽ノ哭ク刻-トリノナクコロ-
Worldend Dominator
西園寺世界 141:怪異なる永劫の内に

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