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誠と世界、そして侵食

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誠と世界、そして侵食 ◆bD004imcx.



歩いていた。どこへ向かっているかは知らない。
世界を探すためだと自分で決めたけど、あてなんてない。
ただ、真達から離れたいってのもあったかもしれない。
あのまま一緒にいたら、俺自身がどうしていたか分からないから。最悪な状況になっていたかもしれないから。
歩いて、歩いて、歩き続けて、そうしていればいつかは世界に会えるかもしれない。

もし会えたらどうしようか。俺の考えを世界に伝えて…でも、言ったらどうなるだろ。
自分が1回死んだなんて、信じてくれるだろうか。
もしかしたら馬鹿にされるかもな。「アンタ、何言ってるの?バカじゃない?」なんて言われたりとか…。
けど、やっぱりあいつに、世界に会いたい。
知りたい。俺に対しての気持ちを。
そして俺が正しいのかどうかを確かめるためにも。


「誠~♪やっと見つけた~♪」
「世界!?」

いきなり聞こえた世界の声。聞き間違えるはずがない。
あれは世界の声だ!世界…無事だったんだな!

俺は声のした方を振り向き、そして。

誠にとって、世界はごく普通の女子学生。殺し合いどころか、喧嘩さえろくにできない普通の女の子。
たとえ精神が破綻していようが、鬼と化していようが、それを知らない誠にとってはそれが常識の範疇の世界だった。

故に。声のした方を向いた時、世界の姿を見て誠の体が固まったのはあまり責められた行為ではなかったのかもしれない。

「せ…かい…?」
「どうしたの?誠?」
そこにいた世界は、誠にとってのいつもの世界とは違っていた。
脇腹を損傷し、そこに蛆が沸いていた。というより、世界の身体のあちこちに白い蛆が蠢いている。
表情も誠の知っているそれではなく、何かが壊れているようにしか見えない。
「世界、お前何があったんだ?」
誠は金縛りにでもあったように動かない。世界は誠の視線を追い、自分の体を見る。
そして何かが分かったかのように相槌をうつ。
「ホント、誠と会うまでいろいろあったんだよ。結構辛かったんだからね。それより…会いたかったよ、誠」
常人なら歩けないはずなのに、事切れてもおかしくないはずなのに、世界は歩く。誠に近づいていく。
歩くたびに蛆が蠢き落ちるが、進む速さは変わらない。むしろ通常よりわずかに速い。

「待て!世界!」
世界に気圧されつつ、誠は近づく彼女を制する。
世界は訳が分からないといった様子だが、それでも誠に従った。
「どうしたの?誠」
「世界、ここに連れて来られる前の事を話してくれないか?」
「…何で急にそんな事を?」
「訳は後で話す。とりあえず、元の世界で俺達がどうしていたのかを知りたいんだ」
誠がそこまで話すと、世界は顔を赤く染め、少女らしい恥じらいを見せながら誠を見つめた。
「もう~。誠ってば、今更なんだから~」
そして、元の世界で起こった事を話した。
言葉と自分にできた子どもの事。
そしてクリスマスにそれを誠に打ち明けた事。
世界は嬉しげに話すが、話を聞くたびに誠の顔が険しくなっていく。
世界も夢中になって話してはいたが、誠の様子に気づき、話すのを止める。
「誠、どうしたの?」

「世界、落ち着いて聞いてほしいんだ。俺は、二人とはそこまで関係が進んでないし、子どもを作ったって言われてもないんだ」
「え?それって、どういう…」
世界は混乱しているな。しょうがないか。誰だって、自分のいた世界であった事を否定されたらこんな風になるよな。
「俺のいた世界じゃさ、世界も、そして言葉も、俺の目の前で死んだんだよ」
俺は話した。自分のいた世界の事を。
世界が言葉をいじめ、誠が言葉と付き合い、そして最後に言葉と世界が…。
「でも、世界はこうして目の前にいる。最初は世界と言葉が生き返ったと思ったんだけど、そうじゃない…世界のいた世界と俺のいた世界が違うんだ」
…全部話した。どう言われるかな。バカにされるかな。それとも、頭がおかしいって笑われるかな。
俺はどう反応されるか分からないまま世界の返事を待つ。俺にとって、それは短いようで長かった。
数分のはずなのに、もうどれくらい経ったか分からなくなった。
しばらくしたあと、世界が口を開いた。

「いた世界が違う?別にそんなのどうだっていいよ。」
「え…?だって、もしかしたら俺は世界の知ってる誠じゃないかもしれないんだぞ?それでもどうだっていいってのか?」
「いた世界が違ったって、誠は誠でしょ?それに、たとえ世界が違っても、私が誠を好きなのは変わらない。絶対にね」
「世界…はは…ははははは…」
見てみろよ、俺。あの世界を。いた世界が違っても、世界はそんなの全然気にしてないじゃないか。
元の世界が違う?それがどうしたんだ!
もし違う平行世界から来たんだとしても、俺は俺、世界は世界じゃないか。
なんでそんな簡単な事に気づかなかったんだよ…。

それから、俺と世界はそれぞれの平行世界の事で話していた。世界は俺の知ってる世界の言葉に対する仕打ちに怒り、
「なんでそんな事するかな~!?」
と喚いていた。聞くと、世界のいた世界では、言葉とはうまくやっていたらしい。

……俺、少し自重しろよ。なんで二人も相手にするんだよ。

自分の事を棚に上げ、世界の知っている誠に呆れる誠。そんな誠を見て、世界はクスクスと笑う。

話している内容は、常識とかけ離れている点を除けば普通の(?)少年少女の会話。
だが、誠の方はともかく世界は体中に蛆が沸き、雰囲気からしてもどこか壊れている。
他人が見たら異常としか思えない、そんな光景。
単に非常識な事が続いて感覚が麻痺しているだけなのかもしれないが、
今の誠にとっては今の世界が誠の知っている世界。
姿形なんて関係ない。彼女らしい彼女が見られただけで、世界と話しているだけで、誠は満足していた。
だが…今の状況が至福すぎて、誠は気づかなかった。世界の口数がだんだん減っていくのを。

……誠とこんな風に話すのって、ホント久しぶりだな。もうずっとこうしていたいな~。

…そうね。好きな人と話してるんだし、こうしてるのも悪くないわね。

……うん。もうこんな殺し合いなんて関係ない。ずっと誠とこうしていたい。

…でも、それじゃぁ…お腹の中の子どもはどうするの?

……え?やだなぁ。ちゃんと産むわよ。誠と一緒にね。誠も一児の父親になれるんだし、きっと喜ぶわよ。

…でも、子どもを産むのにはちゃんと栄養を取らなきゃ。

……分かってるわよ、うるさいなぁ。だから人間を食べてるんじゃない。栄養も豊富だし、これ以上の食材はないわよ。
何で今まで気づかなかったのかな。まだまだいっぱい食べなきゃね。

…そうね、まだ沢山食べなきゃ。周りにいっぱいいるし、もちろん目の前にも新鮮なのもいるしね。

……うん、そうだね…え?目の前?それって…誠の事?

…今までは死んでる人間ばかりだったからね。たまには新鮮なのも食べないと。若いし、食べ頃よ?

……は?あんた馬鹿?何で誠を食べなきゃいけないのよ。
誠は、私が愛した唯一の人間なのよ?食べる訳ないじゃない。少しは頭使いなさいよ。

…頭を使うのは世界よ。言ったじゃない。この誠は平行世界から来た、私の知らない誠だって。だから…


この誠を食べても、元の世界に帰ったら世界の知ってる誠がいるじゃない。



……で、でも、男よ?筋肉だってついてるし、きっと硬いわよ?ねえ?

…あら、噛み応えがありそうじゃない。それに、魚でも引き締まった方がうまいじゃない?

……や、もうやめて!そんなの聞きたくない!
私は誠を食べたくない!食べたくないの!第一、あなた誰よ!?慣れ慣れしく話しかけないで!

…あら?私の事はあなたが一番知ってるじゃない?

……え?それって、どういう…

…私はあなたの中の、鬼の私。私は西園寺世界。私は世界自身よ。つまり、

…誠を食べたいと思ったのはあなた。分かった?

……私が…誠を?嘘、嘘よ嘘よ嘘よ!だって…誠は…私が愛した唯一の…

…何度も同じ事を言わないでよ。ここにいる誠は、世界の知っている誠じゃない。
世界の知っている誠は、元の世界にいるじゃない。だから、安心して食べていいのよ?我慢はよくないわよ?

……う…誠…逃げて…お願い…もう鬼が…止められない…

誠と再会して、かろうじて取り戻しかけた人間としての世界。
だか、世界の人間としての意識は、やがて深く沈んでいく。そして鬼が再び侵食する。

「けど、世界の知ってる誠は、なんだかんだでうまくやったんだな。羨ましいよ」
「……」
「世界、もし元の世界に帰る事ができたら、誠の事を…どうしたんだ世界?」
「誠、一つ聞きたい事があるの。」
言いながら、世界は誠の手を取る。
だが、世界の鬼を知らない誠は、それをなんとも思わない。むしろ、何かを期待していたりする。
もし彼女の鬼を知っていたら振り払って逃げたかもしれないが、期待するあたりは彼の血のせいかもしれない。
「誠は、私とは違う世界から来たって言ってたよね?私の世界には、誠とは別の誠がいるんだよね?」
「ああ。仮説だけどな。世界と出会う前にも平行世界から来た人達がいたんだけど、その人達も互いにそれぞれの世界で同じ人と違う事をしてたみたいなんだ。だから、その仮説は正しいと思う」
「うん、それを聞いて安心したわ。これで誠を…」
世界は誠の手を指を自分の口まで持っていき、そして。

「いただきます♪」

ブチッ。


俺は、最初何が起きたのか分からなかった。いや、分かりたくなかっただけなのかもしれない。
何かが千切れる音がした。それは理解できた。
次に腕を見た。相変わらず、手首を世界に握られたままだ。握る力が強いのか、少し痛い。
けど、指先から来る痛みに比べれば、そんなものはどうでもいい方だった。
骨、血管、肉、皮。それらが中途半端な位置で途中から無くなり、その断面が露出している。
何故中途半端な位置で無くなっているのか。その答えを、俺は否定したかった。

けど現実は否定できなかった。

「う…あぁぁあぁぁっ!?」
腕を押さえ、俺は悲鳴を上げた。


世界は、音を立てて口の中の肉を噛んでいた。
まるで好物を食べているかのように幸せそうな顔で顎を動かし、時々口から垂れる血をもったいなさげに舌で舐め取る。

誠は指の激痛に顔を引きつらせながら、そんな世界を見る。
そして改めて分かった。世界が、もう自分の知っている世界ではない事に。
「世界…なんで…」
「誠の話を聞いたからかな。今ここにいる誠を食べても、私の世界の誠は消えない。だから食べるの」
食われる。今更ながら理解し、世界から逃げようとする。
世界の手を外し、手首をから離そうとする。だが、鬼と化した世界には、その抵抗すら無に等しい。
「うん。骨も細くないし、肉も噛み応えある。流石誠ね。味見もすんだし、もういいかな。あ~ん…」
「せ、世界!やめろ!うあぁぁぁぁぁっ!?」
腕を噛まれ、絶叫する誠。
組織が食い千切られ、肉や骨が外気に晒される。
噛み、食い千切り、柔らかくなるまで噛み砕き、飲み込む。
その動作が繰り返されるたびに、誠は声を上げ、身体からは血が流れる。
「腕も美味しいけど、やっぱり内臓の方が美味しいかな。誠、ちょっと横になってね」
言うと同時に、世界は誠を押し倒し、馬乗りになる。
防刃チョッキを外し、無理矢理服を破り、素肌を露出させる。
誠は世界の言葉から、自分が何をされるのか分かっていた。だが、痛みとこれまでの疲れからそれらしい反抗すらできずにいた。
世界の歯が脇腹に食い込む。
顔を離すと、肉の一部が糸を引いて誠から離れる。
食べる行為を繰り返し、誠の身体はだんだん血で染まっていく。

「やっと内蔵が見えてきた。どれも美味しそうね~。何から食べようかな…」


(世界…)

誠の臓器を見て、まるで好物を見るような目をする世界。
そんな世界を、誠は意識を朦朧としながら見ていた。

(…もうほとんど力が入らない。これが、死ぬってやつかな)

臓器を持ち上げ、その重さを、感触を確かめる世界。

(俺のいた世界じゃ、二人とも俺が殺したようなもんだし…これもその罰か何かかな)

噛んでは千切り、噛み砕いて飲み込む。臓器を口に持っていってはそれを繰り返す。

(世界の知ってる誠…世界を泣かせたら…怒るからな…俺が言える立場じゃないか)

時々喉が詰まりそうになるが、臓器を絞ると出てくる血を飲めば喉が潤う。

(真達…大丈夫かな…元はと言えば俺が変な事言ったのが原因だし…心配だな…)

心臓はほとんど動かなくなっていた。
世界は鼓動の無くならないうちに誠の身体からもぎ取り、食した。

(…世界と…言葉と…また一緒に…過ごしたかったな…)

誠の意識は闇に消えた。


誠の目に光はない。
臓器はほとんどが食い散らかされ、身体はもう原型を留めていない。
片腕はあちこちから骨が見え、指も途中までしか生えていない。

世界は、誠のディパックの中身を自分のに移し、移動の準備をしていた。
もうこの誠の身体には用はない。
それにまだまだ栄養が足りない。もっと人と食べないと、元気な子どもが生まれない。
目指すはこの島の中心。中心なら人も集まるかもしれない。運がよければ、また人が食べられる。
世界はもうそこにはいなかった。いるのは、世界の姿をした鬼。

準備を終え、鬼はその場を立ち去った。



【B-2 路上(東部)/1日目 日中】

【西園寺世界@School Days】
【装備】:89式小銃(30/30)、防刃チョッキ
【所持品】:支給品一式×4、BLOCK DEMOLITION M5A1 COMPOSITION C4(残り約0.60kg)@現実、
      時限信管@現実×2、妖蛆の秘密、ゲーム用メダル 400枚@ギャルゲロワ2ndオリジナル、
      エクスカリバーMk2マルチショット・ライオットガン(0/5)@現実、37mmスタンダード弾x10発、
      きんぴかパーカー@Fate/stay night[Realta Nua]、スペツナズナイフの柄、ICレコーダー、
      贄の血入りの小瓶×1、天狗秘伝の塗り薬(残り90%)@あやかしびと -幻妖異聞録-
      手榴弾2つ、このみのリボン、エクスカリバー@Fate/stay night[Realta Nua]
【状態】:妊娠中(流産の可能性アリ)、精神錯乱、思考回路破綻(自分は正常だと思い込んでいます)、
     脇腹損傷(蛆虫治療)、悪鬼侵食率60%
【思考・行動】
基本:桂言葉から赤ちゃんを取り戻す。元の場所に帰還して子供を産む。島にいる全員を自分と同じ目に遭わせる。
0:美味しいものいっぱい食べなきゃ。
1:参加者と会うために中心地へ向かう
2:新鮮な内臓をもっと食べたい
3:言葉が追ってくるなら『桂言葉の中を確かめる』、そして『桂言葉の中身を取り戻す』
4:このみ、黒髪の女(烏月)、茶髪の男(フカヒレ)を見つけたら今度こそ喰い殺す
【備考】
 ※誠とは今までにあった事ではなく、元の世界の事しか話してません。平行世界の事は信じましたが放送の内容は信じてないままです。
 ※侵食に伴い、五感が鋭くなっています。
 ※ゲーム用メダルには【HiMEの痣】と同じ刻印が刻まれています。カジノの景品とHiMEの能力に何らかの関係がある可能性があります。
 B-2中心部に回収出来なかったゲーム用メダル@現実が100枚落ちています。
 ※妖蛆の秘密は改造されており、殺した相手の霊を本に閉じ込める力があります。そして、これを蓄えるほど怨霊呪弾の威力が増します。
 そのほかのルールは他の書き手にお任せします。


【エクスカリバーMk2 マルチショット・ライオットガン@現実】
全長780mm。総重量4,235g。
イギリスのワロップ・インダストリー開発のリボルビング・グレネード・ランチャー。
特大サイズのリボルバーのような、シリンダー型の大型弾倉を備えている。
撃発・発射はダブルアクション式だが、かなりトリガープルが重いので、指を二本かけて引けるようにトリガーの形が工夫されている。



【伊藤誠@School Days L×H 死亡】


153:ハジマリとオワリへのプレリュード 投下順 155:無法のウエストE区
153:ハジマリとオワリへのプレリュード 時系列順 156:赤より紅い鬼神/無様を晒せ (前編)
149:THE GAMEM@STER (後編) 伊藤誠
145:人と鬼のカルネヴァーレ (後編) 西園寺世界 164:人として生まれ

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