THE GAMEM@STER(後編) ◆LxH6hCs9JU
葛木宗一郎は、無感情な人間である。
怒り、憎しみ、憐れみ、喜び、悲しみ、そういった一端の感情が欠落している。
反面、宗一郎は勤勉な教師としての一面も持つ。
無感情の人間がどうして社会に適応できるのか、考えてみると疑問だ。
宗一郎の場合、社会に適応するために不足している能力を補っているのは、経験だった。
怒り、憎しみ、憐れみ、喜び、悲しみ、そういった一端の感情が欠落している。
反面、宗一郎は勤勉な教師としての一面も持つ。
無感情の人間がどうして社会に適応できるのか、考えてみると疑問だ。
宗一郎の場合、社会に適応するために不足している能力を補っているのは、経験だった。
人の感情には、パターン性がある。
たとえ他者の感情に共感することができなくとも、その様子を観察することで、他者がどのような心境にあるか推察することは可能だ。
たとえ他者の感情に共感することができなくとも、その様子を観察することで、他者がどのような心境にあるか推察することは可能だ。
高槻やよいという人間は、観察対象としては実に明瞭な性格をしていた。
悲しい時には泣き、落ち込み、項垂れる。
楽しいときには笑い、騒ぎ、はしゃぐ。
子供らしいストレートな感情表現は、宗一郎から見ても理解しやすい。
悲しい時には泣き、落ち込み、項垂れる。
楽しいときには笑い、騒ぎ、はしゃぐ。
子供らしいストレートな感情表現は、宗一郎から見ても理解しやすい。
彼女が知人の死に悲しみ、それを今の今まで必死に我慢していたというところまでは、わかる。
伊藤誠の言葉を受けてさらに態度を弱々しくしたところから、状態が悪化したということも、わかる。
菊地真が彼女の下を離れ、呆然と立ち尽くしている状況を鑑みれば、もはや決定的だった。
伊藤誠の言葉を受けてさらに態度を弱々しくしたところから、状態が悪化したということも、わかる。
菊地真が彼女の下を離れ、呆然と立ち尽くしている状況を鑑みれば、もはや決定的だった。
(…………)
事務的な業務だけをこなしてきた教師は、生徒とのコミュニケーションを苦手とする。
悩む生徒の相談に乗ってやれることなどできないし、冗談も言い交わせられない。
特に、高校生に分類される児童の心は繊細かつ複雑だ。
いかな観察眼や経験則を持ったとしても、万能にはなり得ない。
悩む生徒の相談に乗ってやれることなどできないし、冗談も言い交わせられない。
特に、高校生に分類される児童の心は繊細かつ複雑だ。
いかな観察眼や経験則を持ったとしても、万能にはなり得ない。
相手の考えがわかる。相手の心情がわかる。
どう対処すればいいのかという解答も、パッと頭に浮かんできた。
どう対処すればいいのかという解答も、パッと頭に浮かんできた。
(不思議な感覚だな。私が、人の気持ちがわかるなど)
自嘲気味に思うが、それは感慨と呼べるほどのものではなかった。
教会堂の中央で立ち尽くすやよいに、宗一郎は一歩、臆することなく歩み寄っていく。
教会堂の中央で立ち尽くすやよいに、宗一郎は一歩、臆することなく歩み寄っていく。
「高槻」
学校で生徒を呼び止めるような、厳格な声。
やよいは死角から浴びせられた声にビクッと体を震わせ、子犬のような目で宗一郎の長身を覗き込む。
やよいは死角から浴びせられた声にビクッと体を震わせ、子犬のような目で宗一郎の長身を覗き込む。
両者の視線が交差し、プッチャンが第三者の立場として二人の様子を見やる。
やよいを見下ろす宗一郎の瞳は、常時と変わらない。冷静沈着な、凍てつく視線。
異様な眼差しを受けるやよいは、それを怖いとは思わず、真っ向から目線を合わせていく。
やよいを見下ろす宗一郎の瞳は、常時と変わらない。冷静沈着な、凍てつく視線。
異様な眼差しを受けるやよいは、それを怖いとは思わず、真っ向から目線を合わせていく。
沈黙は僅か、されど続く言葉はなかなか出ず、
宗一郎は無言のまま、右の掌を翳した。
宗一郎は無言のまま、右の掌を翳した。
「え……?」
やよいの頭の上あたりに置かれた掌が、ぶれることなく静止する。
プロデューサーのものよりは大きく、お父さんのものよりは小さい、冷たそうな掌。
やよいもプッチャンも、キョトンとした顔で宗一郎の動向を窺っている。
行動の真意が読み取れていないのだと推察し、宗一郎はかなり遅れて、言葉を添えた。
プロデューサーのものよりは大きく、お父さんのものよりは小さい、冷たそうな掌。
やよいもプッチャンも、キョトンとした顔で宗一郎の動向を窺っている。
行動の真意が読み取れていないのだと推察し、宗一郎はかなり遅れて、言葉を添えた。
「……こうすれば、調子が出るのだろう?」
「…………あ」
「…………あ」
やよいの心が、ハッとするのがわかる。
驚きの表情と、目尻に溜めた涙が決壊する様子を見て。
感動しているのだろうか、という仮説に至る。
……感動するだけの余地がないか、と即座に否定するが。
驚きの表情と、目尻に溜めた涙が決壊する様子を見て。
感動しているのだろうか、という仮説に至る。
……感動するだけの余地がないか、と即座に否定するが。
――『葛木先生。私と、手をポーンって、合わせてくれますか? それやると調子出るんです』
やよいなりのテンション調整方法、と宗一郎は解釈していた。
本人の弁だ。効果はあるだろうと期待して、自ら掌を差し出した。
必要なこととはいえ、積極的に他者とコミュニケーションを取ろうとしている。
なにかがおかしいような気がして、しかし懸念は残らない。
本人の弁だ。効果はあるだろうと期待して、自ら掌を差し出した。
必要なこととはいえ、積極的に他者とコミュニケーションを取ろうとしている。
なにかがおかしいような気がして、しかし懸念は残らない。
強いて言うならば、涙目になっていくやよいの顔が、徐々にアイドルとしての体を保てなくなってきているのが、心配に思えたくらいだろうか。
「う、うう~……葛木せんせ~い!」
「相棒……おまえってやつはぁぁっ!」
「相棒……おまえってやつはぁぁっ!」
ハイタッチが来ると予想していた宗一郎だったが、やよいは感極まったのか、掌を無視して抱きついてきた。
そのまま、宗一郎の胸の中でわんわんと泣きじゃくる。どういうわけか、プッチャンまで。
さすがに、どうするべきか即決できなかった。
そのまま、宗一郎の胸の中でわんわんと泣きじゃくる。どういうわけか、プッチャンまで。
さすがに、どうするべきか即決できなかった。
「ぐすっ……ご、ごべんなさい……。あだし、なんだかずっごく、うれじぐってぇ」
「ナイスだ相棒。今のはパーフェクトコミュだぜ!」
「……とにかく、泣き止んでくれると非常に助かるのだが」
「ナイスだ相棒。今のはパーフェクトコミュだぜ!」
「……とにかく、泣き止んでくれると非常に助かるのだが」
宗一郎は、やよいが感動を覚えたという事実を理解できない――今は、まだ。
やよいに振り撒いた動作、言葉、態度が、なにを意味するのか……全てを理解することなど、彼には不可能なのかもしれない。
だが宗一郎は、いつの間にか、この無垢な少女を同行者として認め、歩調を合わせるようになっていた。
やよいに振り撒いた動作、言葉、態度が、なにを意味するのか……全てを理解することなど、彼には不可能なのかもしれない。
だが宗一郎は、いつの間にか、この無垢な少女を同行者として認め、歩調を合わせるようになっていた。
「うん、うん……うん、うん、うん! ハイ、タ~ッチ!」
「む」
「む」
引っ込めかけた掌へ、やよいが不意打ち気味のハイタッチを交わす。
パンッ、という小気味よい音が、静謐な教会堂に深々と響いた。
パンッ、という小気味よい音が、静謐な教会堂に深々と響いた。
「へへっ……俺ぁ、なんだか嬉しくなってきちまったぜ!」
「うっう~! あたしもやる気出てきましたー!」
「そうか。では早速だが、見せたいものがある」
「うっう~! あたしもやる気出てきましたー!」
「そうか。では早速だが、見せたいものがある」
やよいの心情変化に気を配っていた宗一郎だが、彼が目を向けていたのはそればかりではない。
当初の目的である教会の調査にも、ちゃんと労力は注いでいた。
さすがに、神父だからという理由で言峰綺礼が教会に滞在しているようなことはなかったが、収獲は皆無ではない。
当初の目的である教会の調査にも、ちゃんと労力は注いでいた。
さすがに、神父だからという理由で言峰綺礼が教会に滞在しているようなことはなかったが、収獲は皆無ではない。
「ななななんと! 隠し階段ですか!?」
宗一郎は、やよいを教会堂の奥に置かれた机の裏側へと案内する。
正門からは死角の位置に、地下へと通ずる階段の入り口が隠されていたのだ。
やよいと真が合唱している間、教会堂内を隅々まで練り歩いていた宗一郎は、この階段を発見し目星をつけた。
これより先に――さらなるなにかが隠されている、と。
正門からは死角の位置に、地下へと通ずる階段の入り口が隠されていたのだ。
やよいと真が合唱している間、教会堂内を隅々まで練り歩いていた宗一郎は、この階段を発見し目星をつけた。
これより先に――さらなるなにかが隠されている、と。
「降りるぞ」
「は、はいっ」
「わくわくするぜぇ……」
「は、はいっ」
「わくわくするぜぇ……」
神域の奥へ、宗一郎とやよいとプッチャンが今、踏み込む。
◇ ◇ ◇
扉を潜った先は、黒い、どこまでも深い黒に覆われた、異次元のような一室だった。
広さは畳三畳分ほど。装飾の類は一切なく、黒の壁に覆われた空間には、一脚の椅子のみが置かれている。
協会などめったに訪れるものではなく、ましてや懺悔室に入るなど、普通に生活していてはなかなかない。
真も例外ではなく、初めて足を踏み込む領域に、緊張を覚えていた。
広さは畳三畳分ほど。装飾の類は一切なく、黒の壁に覆われた空間には、一脚の椅子のみが置かれている。
協会などめったに訪れるものではなく、ましてや懺悔室に入るなど、普通に生活していてはなかなかない。
真も例外ではなく、初めて足を踏み込む領域に、緊張を覚えていた。
(えっと……ここに座る、のかな?)
古びた木製の椅子に腰掛けると、ギシっ、という音が鳴った。
座った位置から見てちょうど向かいの壁に、長方形の小窓が空いていた。
懺悔の声だけが、中に届く仕組みになっているのだろう。
無人の教会に聞き手などいるはずがないとは思いつつも、ついつい発散したくなってしまう。
座った位置から見てちょうど向かいの壁に、長方形の小窓が空いていた。
懺悔の声だけが、中に届く仕組みになっているのだろう。
無人の教会に聞き手などいるはずがないとは思いつつも、ついつい発散したくなってしまう。
(ボクは……)
真には、告白したいことがあった。
神に愚痴を聞いてもらい、許しを請いたいという願望が、確かにあった。
迷える子羊として、真は救いを求めるように、声を紡ぐ。
神に愚痴を聞いてもらい、許しを請いたいという願望が、確かにあった。
迷える子羊として、真は救いを求めるように、声を紡ぐ。
「あの……誰もいないとは思いますけど、聞いてください」
孤独な暗室で、少女は一人口を開く。
傍聴者のいないその席で、返ってくる声はないと思い込んでいた。
が、
傍聴者のいないその席で、返ってくる声はないと思い込んでいた。
が、
「どうぞ」
「あ、ありがと……え?」
「あ、ありがと……え?」
声は返ってきた。
正面の壁に空いた小窓から、柔和な女性の声が、確かに響いた。
途端、中にやよいや宗一郎以外の誰かがいると確信し、真の背筋に警戒の震えが走る。
正面の壁に空いた小窓から、柔和な女性の声が、確かに響いた。
途端、中にやよいや宗一郎以外の誰かがいると確信し、真の背筋に警戒の震えが走る。
「ああ、そう構えることはないよ。ボクはただの聞き手に過ぎない……君が警戒するところの『参加者』ではないはずさ」
「うっ、嘘だ!」
「うっ、嘘だ!」
椅子から立ち上がり、逃げるため扉へと手を伸ばそうとする真。
小窓から届く声はどこまでも不穏で、得体が知れない。
小窓から届く声はどこまでも不穏で、得体が知れない。
「いいや、嘘じゃないさ。ボクは教会を訪れた者の懺悔を聞くために、ここにいる。
そうだね、舞台装置の一環と受け取ってもらって構わない。
君に直接的危害を加えることはないから、安心して語っておくれよ」
「舞台、装置……?」
「港に船があるように、遊園地に遊具があるように、発電所に発電機が置かれているように、
教会に懺悔を聞く者が置かれていても、なんら不思議ではない。そう思わないかい?」
「そう……なの、かな?」
「ああ、そうさ。下手なことで悩むべきじゃない。それよりも、君は別に抱えている悩みごとがあるんだろう?」
そうだね、舞台装置の一環と受け取ってもらって構わない。
君に直接的危害を加えることはないから、安心して語っておくれよ」
「舞台、装置……?」
「港に船があるように、遊園地に遊具があるように、発電所に発電機が置かれているように、
教会に懺悔を聞く者が置かれていても、なんら不思議ではない。そう思わないかい?」
「そう……なの、かな?」
「ああ、そうさ。下手なことで悩むべきじゃない。それよりも、君は別に抱えている悩みごとがあるんだろう?」
促されるように、真は再び席に着く。
小窓の向こうから発せられる声には、不思議な説得力があった。
感じる人間味も薄く、本当に他の参加者による声ではないのだと、納得できてしまう。
ひょっとしたら、この声は機械によって作り出された合成音声かなにかなのかもしれない。
小窓の向こうから発せられる声には、不思議な説得力があった。
感じる人間味も薄く、本当に他の参加者による声ではないのだと、納得できてしまう。
ひょっとしたら、この声は機械によって作り出された合成音声かなにかなのかもしれない。
真は考え、懊悩の種を再度開花させる。
正体不明の声を気にするよりも今は、胸に蟠っている靄を解消したい。
欲望に支配されるがまま、真は謎の声を話し相手として、言葉を続けた。
正体不明の声を気にするよりも今は、胸に蟠っている靄を解消したい。
欲望に支配されるがまま、真は謎の声を話し相手として、言葉を続けた。
「じゃあ……聞いてください」
「ああ、聞こうじゃないか」
「ああ、聞こうじゃないか」
真の搾り出すような声に、小窓の住人が相槌を打つ。
「ボク……泣けなかったんです」
「泣けなかった……というのは、どういうことかな?」
「泣けなかった……というのは、どういうことかな?」
語る真の表情は、終始下を向いていた。
自分の愚かな側面を自覚し、他者に吐露する。
容易に語れる内容でもなく、しかし留めておくには苦しみを伴う。
真は勇気を振り絞り、告げた。
自分の愚かな側面を自覚し、他者に吐露する。
容易に語れる内容でもなく、しかし留めておくには苦しみを伴う。
真は勇気を振り絞り、告げた。
「さっきの放送で、如月千早っていう知り合いの子が呼ばれて……その、死んじゃったんだと思います。
わかってる、わかってるはずなのに……千早が死んだんだって思っても、ボクは泣けなかったんです。
たぶん……ここで死んだ千早は、やよいみたいに、ボクの知ってる本当の千早じゃないから。
そう思うと、全然悲しくなくって……やよいは、あんなに悲しんでるのに。なんか、悪い気がして」
「ふむふむ」
わかってる、わかってるはずなのに……千早が死んだんだって思っても、ボクは泣けなかったんです。
たぶん……ここで死んだ千早は、やよいみたいに、ボクの知ってる本当の千早じゃないから。
そう思うと、全然悲しくなくって……やよいは、あんなに悲しんでるのに。なんか、悪い気がして」
「ふむふむ」
やよいと再会して発覚した、並行世界の可能性。
やよいが真と千早を同じユニットの仲間として見ていたように、
真がやよいと千早を同じユニットの仲間として見ていなかったように、
千早は、真とやよいをどういう風に見ていたのか――気がかりで仕方がなかった。
やよいが真と千早を同じユニットの仲間として見ていたように、
真がやよいと千早を同じユニットの仲間として見ていなかったように、
千早は、真とやよいをどういう風に見ていたのか――気がかりで仕方がなかった。
解明不可能となった謎は、要因の欠片として少女の心の隅に巣食う。
この世界の真にとって、やよい千早も親しい友人ではあるが、パートナーの萩原雪歩ほど大切な人ではない。
なのに、真が雪歩に抱いているような感情を、やよいは真と千早に抱いている。
気持ちの擦れ違いは綻びを生み、闇を呼ぶだろう。
この世界の真にとって、やよい千早も親しい友人ではあるが、パートナーの萩原雪歩ほど大切な人ではない。
なのに、真が雪歩に抱いているような感情を、やよいは真と千早に抱いている。
気持ちの擦れ違いは綻びを生み、闇を呼ぶだろう。
並び立つ世界の枠を切り取り、作為的に貼り直した、主催側のトリック。
繊細な少女のハートを淀んだ空気で満たすには十分な、神の悪戯にも思えた。
繊細な少女のハートを淀んだ空気で満たすには十分な、神の悪戯にも思えた。
「やよいが慕ってくれてるボクは、『この』ボクじゃない……。
別の世界の、ボクの知らない菊地真なんだ。なのにボクは、やよいの側にいる。
やよいの知ってるボクでも千早でもなく、やよいを知らないボクなんかが。
……ははっ、自分でもなに言ってるのか、よくわかんないや……。
変な悩みですよね。っていうか、らしくない。ボク、王子様になるって決めたばかりなのに」
別の世界の、ボクの知らない菊地真なんだ。なのにボクは、やよいの側にいる。
やよいの知ってるボクでも千早でもなく、やよいを知らないボクなんかが。
……ははっ、自分でもなに言ってるのか、よくわかんないや……。
変な悩みですよね。っていうか、らしくない。ボク、王子様になるって決めたばかりなのに」
こんな様では、小牧愛佳に申し訳が立たない。
ファンの女の子たちが真をそう見ていたように、せめてこのステージに立つ間は、女性を守る王子様としていよう。
誠と共に切り抜けてきた危難の末、真が見つけた道。それが、予期せぬ不安によって蝕まれようとしている。
安定を求めようにも、もう誠は頼れない。宗一郎も、プッチャンも、皆悩みを抱えている。
こんな状態では、やよいと向き合えるはずなどなかった。
ファンの女の子たちが真をそう見ていたように、せめてこのステージに立つ間は、女性を守る王子様としていよう。
誠と共に切り抜けてきた危難の末、真が見つけた道。それが、予期せぬ不安によって蝕まれようとしている。
安定を求めようにも、もう誠は頼れない。宗一郎も、プッチャンも、皆悩みを抱えている。
こんな状態では、やよいと向き合えるはずなどなかった。
「――なら、一旦距離を置いてみてはどうかな?」
しょげる真へと、謎の聞き手は救済の言葉を投げ落とした。
真の彷徨うような視線が、小窓の奥底を見据える。
映ったのは、延々と続く闇。
影や形は掴めず、真は姿なき聞き手に縋った。
真の彷徨うような視線が、小窓の奥底を見据える。
映ったのは、延々と続く闇。
影や形は掴めず、真は姿なき聞き手に縋った。
「距離を、置く……?」
「君はそのやよいという少女に、後ろめたさを感じているわけだ。
なら、双方のためにもここは距離を置くべきじゃないかな。
治療法を時間に委ねるのさ。人間関係を修復するのに、時間経過ほど優れた万能薬はないよ」
「君はそのやよいという少女に、後ろめたさを感じているわけだ。
なら、双方のためにもここは距離を置くべきじゃないかな。
治療法を時間に委ねるのさ。人間関係を修復するのに、時間経過ほど優れた万能薬はないよ」
声質は穏やかで整然。一分の不安要素もなく、不思議な説得力だけが込められていた。
「菊地真と高槻やよいが目指す終着点は同じなんだろう? なら、別離は永遠にはならない。
いつか再会する時のために、気持ちに整理をつけるべきさ。
おっと、ただの聞き手にすぎないボクが、出すぎた真似をしてしまったかな?」
「い、いえ! そんなことはないです」
いつか再会する時のために、気持ちに整理をつけるべきさ。
おっと、ただの聞き手にすぎないボクが、出すぎた真似をしてしまったかな?」
「い、いえ! そんなことはないです」
距離を置く、時間経過に人間関係の修繕を託す、確かに効果的な解決策であるように思えた。
用意された正解はこれしかない、とさえ思えてしまうほど。
小窓の中から託される声には、そんな魔力にも似た奇妙な安心感があった。
用意された正解はこれしかない、とさえ思えてしまうほど。
小窓の中から託される声には、そんな魔力にも似た奇妙な安心感があった。
しかし、不安も残る。
やよいや宗一郎と別れたとして、今の真にどこまでやれるだろうか。
誠は、真について来てくれるのだろうか。それとも、やよいたちと共に行くのか。
やよいとは一緒にいられない、という強い念とは別に、一人でいるのは怖いという怯えもあった。
やよいや宗一郎と別れたとして、今の真にどこまでやれるだろうか。
誠は、真について来てくれるのだろうか。それとも、やよいたちと共に行くのか。
やよいとは一緒にいられない、という強い念とは別に、一人でいるのは怖いという怯えもあった。
「――なら、君に切符を譲ろうじゃないか」
真の内心を覗き込むように、声はまた、救いを投げ落とす。
「切符?」
「菊地真が新しいステージに登るための切符さ。ほら、左の壁を見てごらん?」
「菊地真が新しいステージに登るための切符さ。ほら、左の壁を見てごらん?」
促されるがまま、真は首を左方にやった。
黒い壁面に、長方形の線が走っている。入った当初はなかったものだ。
枠線の左端に配置された丸……目を凝らさなければ発見できないほど黒いドアノブも、今までまったく気づかなかった。
黒い壁面に、長方形の線が走っている。入った当初はなかったものだ。
枠線の左端に配置された丸……目を凝らさなければ発見できないほど黒いドアノブも、今までまったく気づかなかった。
「その扉を潜れば、ここではないどこかに辿り着く。そこが君の新たなステージだ。
不安かい? フフフ……だろうね。いや、しかしそこは安心するべきさ。
ボクは君にとっての警戒対象じゃない。敵にも厄介者にもなりえない者さ。
故に――危険は皆無。
新しいステージに登った先で、君がなにを手にするかは――ボクは知らないけどね」
不安かい? フフフ……だろうね。いや、しかしそこは安心するべきさ。
ボクは君にとっての警戒対象じゃない。敵にも厄介者にもなりえない者さ。
故に――危険は皆無。
新しいステージに登った先で、君がなにを手にするかは――ボクは知らないけどね」
天啓の声は、真に意識を齎す。
許しを請う迷い子を救済せんと、小さな慈悲を与える。
真はただ欲した。
怪しいとは思いつつも、やはりなぜか、疑心を抱くまでには至らなかった。
この『声』は――いったいなんなのか。
許しを請う迷い子を救済せんと、小さな慈悲を与える。
真はただ欲した。
怪しいとは思いつつも、やはりなぜか、疑心を抱くまでには至らなかった。
この『声』は――いったいなんなのか。
「――ボク、は」
ただ、誘われるがままに。
真は椅子から離れ、ドアノブに手をかけ、そして新たな扉を開く。
高槻やよいが立つ舞台とは別の、菊地真のステージを探し求めて――
真は椅子から離れ、ドアノブに手をかけ、そして新たな扉を開く。
高槻やよいが立つ舞台とは別の、菊地真のステージを探し求めて――
【懺悔室の扉の向こう(現在位置不明)/1日目 日中】
【菊地真@THE IDOLM@STER】
【装備】:電磁バリア@リトルバスターズ!
【所持品】:支給品一式(水なし)、金羊の皮(アルゴンコイン)@Fate/stay night[Realta Nua]、
レミントンM700(7.62mm NATO弾:4/4+1)、予備弾10発(7.62mm NATO弾)
【状態】:背中付近に軽度の火傷(皮膚移植の必要無し)、傷治療中、肉体疲労(小)、精神疲労(中)
【思考・行動】
基本:誠と共に行動する。
0:新しい、ステージへ――
1:やよいと一旦距離を置く。
2:誠さんの行動方針を支える。
3:やよいや、他の女性を守る王子様になる。
4:巨漢の男に気をつける。
5:誠さん、本当に自重できるのかな?
6:誠さんは駄目な人だけど、それでも……
【備考】
※天狗秘伝の塗り薬によって休息に外傷を治療しました。大体の軽い傷は治療されました。
※誠への依存心が薄れ、どういう人間か理解しました。
※愛佳の死を見つめなおし、乗り越えました。
※元の世界では雪歩とユニットを組んでいました。一瞬このみに雪歩の面影を見ました。
※また、平行世界の可能性で若干動揺しています。
※誠も真も、襲ってきた相手が大柄な男性(真人)であることしか覚えていません。
※フカヒレからツヴァイの危険性、渚を殺害したことのみ聞きました。
※平行世界や死者蘇生の可能性について知りました。
※懺悔室の扉を越えて、会場内のどこかにワープします。到着地は後続の方にお任せします。
【装備】:電磁バリア@リトルバスターズ!
【所持品】:支給品一式(水なし)、金羊の皮(アルゴンコイン)@Fate/stay night[Realta Nua]、
レミントンM700(7.62mm NATO弾:4/4+1)、予備弾10発(7.62mm NATO弾)
【状態】:背中付近に軽度の火傷(皮膚移植の必要無し)、傷治療中、肉体疲労(小)、精神疲労(中)
【思考・行動】
基本:誠と共に行動する。
0:新しい、ステージへ――
1:やよいと一旦距離を置く。
2:誠さんの行動方針を支える。
3:やよいや、他の女性を守る王子様になる。
4:巨漢の男に気をつける。
5:誠さん、本当に自重できるのかな?
6:誠さんは駄目な人だけど、それでも……
【備考】
※天狗秘伝の塗り薬によって休息に外傷を治療しました。大体の軽い傷は治療されました。
※誠への依存心が薄れ、どういう人間か理解しました。
※愛佳の死を見つめなおし、乗り越えました。
※元の世界では雪歩とユニットを組んでいました。一瞬このみに雪歩の面影を見ました。
※また、平行世界の可能性で若干動揺しています。
※誠も真も、襲ってきた相手が大柄な男性(真人)であることしか覚えていません。
※フカヒレからツヴァイの危険性、渚を殺害したことのみ聞きました。
※平行世界や死者蘇生の可能性について知りました。
※懺悔室の扉を越えて、会場内のどこかにワープします。到着地は後続の方にお任せします。
◇ ◇ ◇
教会堂の奥に設置された小さな階段を、二人の男女と一体のパペット人形が降りていく。
やよいの小柄な体はともかく、宗一郎の長身では屈みながらでないと進めないほどの悪路。
そもそも、隠すように設置されたこの階段に、いったいどのような意味があるというのか。
やよいの小柄な体はともかく、宗一郎の長身では屈みながらでないと進めないほどの悪路。
そもそも、隠すように設置されたこの階段に、いったいどのような意味があるというのか。
(うっうー、なんだかドキドキしますぅ)
やよいは好奇心が大半を占める心持で、謎の隠しダンジョンへと潜行していく。
先頭を行くランタンの灯りがぼうっと動きを止め、同時に宗一郎の進行も停止。
おそるおそるといった足取りで段差が終わったことを確認し、やよいも足を止めた。
先頭を行くランタンの灯りがぼうっと動きを止め、同時に宗一郎の進行も停止。
おそるおそるといった足取りで段差が終わったことを確認し、やよいも足を止めた。
「……え?」
「…………」
「…………」
下り階段の終着点。
そこは、ランタンの灯りを必要としないほどに明るい。
証明があるわけでもなく、日光に照らされているわけでもない。
不可思議な光が蔓延する、箱型の一室だった。
その中央に、
そこは、ランタンの灯りを必要としないほどに明るい。
証明があるわけでもなく、日光に照らされているわけでもない。
不可思議な光が蔓延する、箱型の一室だった。
その中央に、
「そんな……これって……」
一本の十字架が聳え立っており――
「……どう見るよ、相棒」
――男が一人、イエス・キリストのように縛り付けられていた。
「死んで……るんでしょうか?」
「……見た感じはな。やよい、なんなら俺が目ぇ塞いでてやろうか?」
「うう~……大丈夫、です」
「……見た感じはな。やよい、なんなら俺が目ぇ塞いでてやろうか?」
「うう~……大丈夫、です」
プッチャンの気配りに感謝しつつ、それでもやよいは、現実から目を背けようとはしなかった。
いつまでも項垂れていては仕方がない。
こういった場面に遭遇したとしても、動じない心を身につける必要があった。
いつまでも項垂れていては仕方がない。
こういった場面に遭遇したとしても、動じない心を身につける必要があった。
磔の男は、当然だがやよいの見知らぬ人物だ。
パッと見てわかる特徴は、金髪、上半身裸、筋肉質、といったくらい。
露出している肌に外傷はなく、顔も眠っているように穏やかだった。
ただし、顔色は真っ青。生気は微塵も感じられない。
年齢は二十代前半あたりか。間違いなく若者に分類される容姿だった。
パッと見てわかる特徴は、金髪、上半身裸、筋肉質、といったくらい。
露出している肌に外傷はなく、顔も眠っているように穏やかだった。
ただし、顔色は真っ青。生気は微塵も感じられない。
年齢は二十代前半あたりか。間違いなく若者に分類される容姿だった。
「……死後数日は経過しているようだ」
「おい、そんなはずねぇだろ……だって、おまえ」
「うっうー、なにか問題でもあるんですか?」
「おい、そんなはずねぇだろ……だって、おまえ」
「うっうー、なにか問題でもあるんですか?」
十字架に張り付けられていた男を調べた末に、宗一郎が割り出した死亡時刻。
その報告を耳にして、プッチャンが難しい声で唸る。
体温や皮膚の状態を見ての判断だろうが、やよいにはなにが問題点なのかよくわかっていなかった。
その報告を耳にして、プッチャンが難しい声で唸る。
体温や皮膚の状態を見ての判断だろうが、やよいにはなにが問題点なのかよくわかっていなかった。
「やよい、あの金髪のニーチャン、誰だかわかるか?」
「え、あ、わかりません。見たことない人です」
「だよなぁ……じゃあよ、このふざけたゲームが始まってから、どれくらい時間が経ったかわかるか?」
「えっと、今がお昼頃だから……半日くらいですよね?」
「ああ。まだ一日も経ってねぇ。ならよ、この死後数日は経過してるニーチャンは、いったい誰だ?」
「え、あ、わかりません。見たことない人です」
「だよなぁ……じゃあよ、このふざけたゲームが始まってから、どれくらい時間が経ったかわかるか?」
「えっと、今がお昼頃だから……半日くらいですよね?」
「ああ。まだ一日も経ってねぇ。ならよ、この死後数日は経過してるニーチャンは、いったい誰だ?」
プッチャンの問いかけで、やよいはようやく彼の言わんとすることを理解した。
ゲームがスタートしてから、約十三時間が経過。
即ち、ゲーム参加者の会場滞在時間は、一日には満たない。
しかし宗一郎の目測では、この十字架の遺体は死後二十四時間以上が経過しているという。
これらの情報から導き出される答えは、非常に不可解なものだった。
ゲームがスタートしてから、約十三時間が経過。
即ち、ゲーム参加者の会場滞在時間は、一日には満たない。
しかし宗一郎の目測では、この十字架の遺体は死後二十四時間以上が経過しているという。
これらの情報から導き出される答えは、非常に不可解なものだった。
「この人……あたしたちと同じ、参加者の人じゃない?」
宗一郎の目測が真実であると仮定するならば、この男は名簿に載っているゲーム参加者には該当しない。
だが、ならばなぜ――参加者以外の人間の遺体が、このような場所に放置されているというのか。
だが、ならばなぜ――参加者以外の人間の遺体が、このような場所に放置されているというのか。
「不可解ではある。なんらかの意味があるやもしれんし、ないかもしれん」
「大方、この教会が信仰してる神様ってとこじゃねぇか? やよいはどう思う?」
「うっう~……」
「大方、この教会が信仰してる神様ってとこじゃねぇか? やよいはどう思う?」
「うっう~……」
プッチャンに意見を求められ、やよいは頭を抱えながら考え込んだ。
――思い出されるのは開会式。あの壮絶な混乱の場で、主催者たる神崎黎人は確かに言った。
会場は、とある『無人』の島だ――と。
ここに至るまでの道中、街中を駆け回る野良猫程度なら見かけたが、選ばれた参加者以外に人は目撃していない。
神崎の言うとおり、この島は無人で間違いないはずだ。しかし、目の前には男。
いや、そもそも死人は人としてカウントするべきなのかどうなのか。
神崎は、生きてる人はいないが死んでいる人はいる、というつもりで言ったのかもしれない。
いやいや、だいたいどうして死人をこんな場所に置いておくのか。不可解にもほどがある。
――思い出されるのは開会式。あの壮絶な混乱の場で、主催者たる神崎黎人は確かに言った。
会場は、とある『無人』の島だ――と。
ここに至るまでの道中、街中を駆け回る野良猫程度なら見かけたが、選ばれた参加者以外に人は目撃していない。
神崎の言うとおり、この島は無人で間違いないはずだ。しかし、目の前には男。
いや、そもそも死人は人としてカウントするべきなのかどうなのか。
神崎は、生きてる人はいないが死んでいる人はいる、というつもりで言ったのかもしれない。
いやいや、だいたいどうして死人をこんな場所に置いておくのか。不可解にもほどがある。
「ううう~……頭こんがらがってきまし~~~~~~~きゅう」
「なんてこった、やよいがオーバーヒート寸前だ。おい相棒、なにもねぇならさっさと上に戻ろうぜ」
「そうだな」
「なんてこった、やよいがオーバーヒート寸前だ。おい相棒、なにもねぇならさっさと上に戻ろうぜ」
「そうだな」
地下の一室には、十字架に張り付けられた男の遺体以外、なにも存在しない。
さらなる隠し通路がある可能性もあったが、あまり長居したくはない空間である。
やよいたちは元来た階段を上り、再び教会堂へと出る。
さらなる隠し通路がある可能性もあったが、あまり長居したくはない空間である。
やよいたちは元来た階段を上り、再び教会堂へと出る。
出る――はずだった。
「あ、あれ? え、ここ、どこですか!?」
狭い階段を上り詰めた先には、ステンドグラスに照らされた神聖な講堂が広がっているはずである。
地下へと通じる階段は、当然のごとく一本道。分岐路などない。
だからこそ、やよいと宗一郎とプッチャンは、階段を上った先にある光景を見て、混乱した。
地下へと通じる階段は、当然のごとく一本道。分岐路などない。
だからこそ、やよいと宗一郎とプッチャンは、階段を上った先にある光景を見て、混乱した。
石敷きの白い床は、古びた木板に変わっている。
所狭しと置かれていた席は、大量の本が敷き詰められた本棚に変わっている。
太陽光を受けていたステンドグラスは、ドーム球場ほどはありそうな高い天井に変わっている。
所狭しと置かれていた席は、大量の本が敷き詰められた本棚に変わっている。
太陽光を受けていたステンドグラスは、ドーム球場ほどはありそうな高い天井に変わっている。
自分たちがいるこの場所は、明らかに教会ではない。
やよいが、宗一郎が、プッチャンが、そう認識して、周囲に目配りを続ける。
やよいが、宗一郎が、プッチャンが、そう認識して、周囲に目配りを続ける。
「なにがどうなってんだ……教会はどこいっちまったんだよ?」
「全然違う場所、ですよね……図書館かな?」
「全然違う場所、ですよね……図書館かな?」
やよいの記憶するところによれば、地図に記載された施設の中に、図書館などというものは存在していなかった。
たとえやよいの記憶違いだったとしても、教会が図書館に一変するなど物理的にありえない。
やよいとプッチャンは不可思議すぎる状況にあたふたし、宗一郎はただ一人、モノリスのように聳え立つ本棚を睨みつけていた。
おもむろに手を伸ばし、本棚から一冊の本を取り出す。パラパラとページを捲り、裏表紙まで確認し、すぐにそれを戻した。
たとえやよいの記憶違いだったとしても、教会が図書館に一変するなど物理的にありえない。
やよいとプッチャンは不可思議すぎる状況にあたふたし、宗一郎はただ一人、モノリスのように聳え立つ本棚を睨みつけていた。
おもむろに手を伸ばし、本棚から一冊の本を取り出す。パラパラとページを捲り、裏表紙まで確認し、すぐにそれを戻した。
「どうやら、ここは図書館ではなく古書店のようだ」
「古本屋さん、ですか?」
「どうしてそんなことがわかるんだよ」
「本に値札がついている」
「古本屋さん、ですか?」
「どうしてそんなことがわかるんだよ」
「本に値札がついている」
宗一郎の冷静な分析に、やよいとプッチャンは、はー、と息を漏らす。
図書館と古書店の違いなど、さして重要な部分でもなく。
問題は、ここが地図でいうところのどのあたりのエリアなのか。
一本道を引き返してきただけなのに、どうして教会が古書店に変わってしまったのか。
答えの検討などまるでつかない難問に、一同が閉口しかけたときだった。
図書館と古書店の違いなど、さして重要な部分でもなく。
問題は、ここが地図でいうところのどのあたりのエリアなのか。
一本道を引き返してきただけなのに、どうして教会が古書店に変わってしまったのか。
答えの検討などまるでつかない難問に、一同が閉口しかけたときだった。
『――おやおや、意外と早い来客だね』
到来したのは、声、である。
機械を通したものではない。放送の手法に似た、どこからともなく聞こえてくる、不思議な肉声だ。
それが広い古書店内に反響し、聞く者たちの注意を惹き付ける。
やよいたちは反射的に天井を見上げるが、そこには何者の姿もない。
右方左方、前方後方と視線を巡らせても、自分たち以外の存在は確認できなかった。
機械を通したものではない。放送の手法に似た、どこからともなく聞こえてくる、不思議な肉声だ。
それが広い古書店内に反響し、聞く者たちの注意を惹き付ける。
やよいたちは反射的に天井を見上げるが、そこには何者の姿もない。
右方左方、前方後方と視線を巡らせても、自分たち以外の存在は確認できなかった。
『挨拶が遅れたね。いらっしゃい。ボクはこの本屋の店主をしている者さ』
声から感じ取れるイメージは、女性。飄々としていて、つかみどころがない。
もちろん誰の耳にも聞き覚えなどなく、三者は顔を窺い合わせながら、店主なる声を静聴する。
もちろん誰の耳にも聞き覚えなどなく、三者は顔を窺い合わせながら、店主なる声を静聴する。
『フフ、聞きたいことが山ほどある……といった様子だね。
まぁ、到着して早々、ここを本屋と見抜いた点は評価したいし……そうだ。
一人一問。ボクが君たちの疑問に答えてあげよう。遠慮なく質問してくれて構わないよ。
ボクは一通りの答えは持っているからね。ああ、嘘も混ぜないからどうか安心して尋ねてほしい』
まぁ、到着して早々、ここを本屋と見抜いた点は評価したいし……そうだ。
一人一問。ボクが君たちの疑問に答えてあげよう。遠慮なく質問してくれて構わないよ。
ボクは一通りの答えは持っているからね。ああ、嘘も混ぜないからどうか安心して尋ねてほしい』
「――では、さっそく私から尋ねよう」
店主の提案に動じることなく、宗一郎が一歩先に踏み込む。
天井を見据え、中空を漂う声に質問を投げかけた。
天井を見据え、中空を漂う声に質問を投げかけた。
「おまえはいったい何者だ? 店主以外の解答で頼む」
『――黙秘させてもらうよ』
「それでは話と違うが?」
『黙秘権がないとまでは言っていないさ。そもそもその質問に関しては、店主という答えを既に出している。
言い方を変えれば、店長やら支配人とも言い表せるが、君はそんなくだらない解答がお望みかい?』
「……質問を変えよう」
『――黙秘させてもらうよ』
「それでは話と違うが?」
『黙秘権がないとまでは言っていないさ。そもそもその質問に関しては、店主という答えを既に出している。
言い方を変えれば、店長やら支配人とも言い表せるが、君はそんなくだらない解答がお望みかい?』
「……質問を変えよう」
どうやらこの店主とやらは、一筋縄ではいかない性格をしているらしい。
宗一郎は戦法を変え、確実な利となる答えを求めることにした。
宗一郎は戦法を変え、確実な利となる答えを求めることにした。
「この古書店は、会場内のどのあたりに位置している?」
『禁止エリアの心配かい? 君たちがいた場所の隣のエリアは、あと数時間で危険区域に指定されるからね。
うん、聡明な判断だ。答えを述べると、この本屋は会場内のどこにも位置していない。まったく別の空間にあるのさ』
「……島の外、ということか?」
『そういう解釈で構わないよ。一応出口は設けてあるけど、あの教会には繋がっていないから注意するんだね。さて、次の質問はどちらかな?』
『禁止エリアの心配かい? 君たちがいた場所の隣のエリアは、あと数時間で危険区域に指定されるからね。
うん、聡明な判断だ。答えを述べると、この本屋は会場内のどこにも位置していない。まったく別の空間にあるのさ』
「……島の外、ということか?」
『そういう解釈で構わないよ。一応出口は設けてあるけど、あの教会には繋がっていないから注意するんだね。さて、次の質問はどちらかな?』
店主の問いかけに、やよいの右手――に装着されたプッチャンの右手が、勇ましく上がる。
「どちら、ってことは……当然、俺にも権利はあるんだよな?」
『ああ、もちろんさ。君は参加者ではないが、登場人物の一人には違いないからね』
「話がわかるじゃねぇか。なら質問するぜ。おまえの目的はなんだ?」
『ああ、もちろんさ。君は参加者ではないが、登場人物の一人には違いないからね』
「話がわかるじゃねぇか。なら質問するぜ。おまえの目的はなんだ?」
プッチャンの双眸がギラリと光り、虚空を牽制する。
効果の程は定かではないが、やや間を置いて、解答は返ってきた。
効果の程は定かではないが、やや間を置いて、解答は返ってきた。
『……いろいろと解釈のし甲斐がある質問だけど、そうだね……なら、君たちに声をかけた目的からお答えしよう』
「店主が客に声をかけるのは当然、ってオチはなしだぜ~?」
『フフッ、そんな意地悪なことは言わないさ。答えは、そう――楽しそうだったから』
「店主が客に声をかけるのは当然、ってオチはなしだぜ~?」
『フフッ、そんな意地悪なことは言わないさ。答えは、そう――楽しそうだったから』
素っ頓狂な解答に、プッチャンは顔を顰める。
そんなプッチャンの心情を読み取ってか否か、店主は構わず続ける。
そんなプッチャンの心情を読み取ってか否か、店主は構わず続ける。
『――ゲームというものは、楽しむ者がいて、初めてゲームと呼べると、そう思うんだ。
それはゲームに参加している当事者だったり、ゲームを傍観している観客だったり、もしくはそう、
ゲーム全体の掌握権を持つ、ゲームマスターだったり――ね』
それはゲームに参加している当事者だったり、ゲームを傍観している観客だったり、もしくはそう、
ゲーム全体の掌握権を持つ、ゲームマスターだったり――ね』
店主の解答は、どこかプッチャンが求めた内容とはずれている。
自分語りのような声が続き、一同は態度を変えずにそれを聞き続けた。
自分語りのような声が続き、一同は態度を変えずにそれを聞き続けた。
『君たちは条件を満たし、ボクの店に来店した。拒むこともできたがね。
ここでボクが君たちに声をかけるのも、一興かと思ったまでさ。
そのほうが、きっと誰にとっても楽しいはずだよ。ねぇ――フフフ』
「……意味深だねぇ」
ここでボクが君たちに声をかけるのも、一興かと思ったまでさ。
そのほうが、きっと誰にとっても楽しいはずだよ。ねぇ――フフフ』
「……意味深だねぇ」
不明瞭な解答を終え、プッチャンの質問が終了する。
そして最後に残された解答権は、やよいに委ねられた。
そして最後に残された解答権は、やよいに委ねられた。
『さあ、お嬢さん。最後は君だ。なにか尋ねたいことはあるかな?』
「あ、ハイ。えぇと……」
「あ、ハイ。えぇと……」
敵とも味方とも判別つかぬ相手に、やよいは畏まって言葉を選ぶ。
やがて、元気な挙手とともに、やよいの質問が天に向かって投げられる。
やがて、元気な挙手とともに、やよいの質問が天に向かって投げられる。
「ひょっとして、あなたが黒幕さんですか?」
場の空気が固まる。
天からの即答はなく、宗一郎とプッチャンの瞳がやよいに向く。
空気の変化が読み取れていないやよいは、え、うぇ、と二人の顔を目配りする。
しばしの間を置いて、声は返ってきた。
天からの即答はなく、宗一郎とプッチャンの瞳がやよいに向く。
空気の変化が読み取れていないやよいは、え、うぇ、と二人の顔を目配りする。
しばしの間を置いて、声は返ってきた。
『……おもしろいことを言うね。逆に訊いてもいいかな? どうして、そんな風に思ったんだい?』
「えと、なんだか店主さん……あの二人の男の人より、ずっと偉そうな感じがしたから」
「えと、なんだか店主さん……あの二人の男の人より、ずっと偉そうな感じがしたから」
天から託される不思議な声は、姿形のイメージを容易としない。
それ故に、開幕の際に神父と学生という姿を露見している主催者二人よりも、この正体不明の店主のほうが、上等な存在感を持っているような気がしたのだ。
抽象的表現を用いるならば、神父や学生という人間よりもずっと――神様っぽい。
やよいはそんな漠然とした感想から、弾かれるように先ほどの質問を生み出した。
これを受けて店主は、
それ故に、開幕の際に神父と学生という姿を露見している主催者二人よりも、この正体不明の店主のほうが、上等な存在感を持っているような気がしたのだ。
抽象的表現を用いるならば、神父や学生という人間よりもずっと――神様っぽい。
やよいはそんな漠然とした感想から、弾かれるように先ほどの質問を生み出した。
これを受けて店主は、
『体は子供。頭脳も子供。されどだからこそ――というわけか。いやいや、これだから人間というのは。
残念ながら、これについても黙秘とさせてもらうよ。他に質問はないかい?』
「え~、ダメですか? えと、えと、それじゃあ……え~と……」
『すぐに答えが出てこないようなら、君が今、一番気にしている疑問に答えてあげよう。
教会に取り残された、伊藤誠と菊地真について。あの二人は既に、各々の意思で教会を離れている。
行き着く先まではボクも知らないが、再会したいと思うなら、時を待つことだね。
そのほうがそれぞれのためになる。退店後、君たちがどこに出るかも――おっと、そろそろおしまいにしようか』
残念ながら、これについても黙秘とさせてもらうよ。他に質問はないかい?』
「え~、ダメですか? えと、えと、それじゃあ……え~と……」
『すぐに答えが出てこないようなら、君が今、一番気にしている疑問に答えてあげよう。
教会に取り残された、伊藤誠と菊地真について。あの二人は既に、各々の意思で教会を離れている。
行き着く先まではボクも知らないが、再会したいと思うなら、時を待つことだね。
そのほうがそれぞれのためになる。退店後、君たちがどこに出るかも――おっと、そろそろおしまいにしようか』
店主の声は徐々に遠くなり、虚無へと消えていく。
『ああ、そうだ。この店にある本を各人一冊、サービスさせてもらうよ。
これでも、ボクは君たちのことがが気に入ったんだ。来店者は君たちがはじめてだしね。
次に会うときは――いや、やめておこうかな。最後に、一つアドバイスも付け加えておこう。
これはどこまでいってもゲームであり、君たちは参加者だ。だから、精一杯楽しむことをオススメするよ――』
これでも、ボクは君たちのことがが気に入ったんだ。来店者は君たちがはじめてだしね。
次に会うときは――いや、やめておこうかな。最後に、一つアドバイスも付け加えておこう。
これはどこまでいってもゲームであり、君たちは参加者だ。だから、精一杯楽しむことをオススメするよ――』
声が完全に消失し、だだっ広い古書店は無音に包まれる。
やよいは天を仰ぎ、宗一郎とプッチャンは天井を睨み付けたまま、しばらくの時間が流れた。
やよいは天を仰ぎ、宗一郎とプッチャンは天井を睨み付けたまま、しばらくの時間が流れた。
◇ ◇ ◇
「……結局、さっきの声はなんだったんだろうなぁ」
「主催側と繋がりのある人物には違いあるまい。目的は不明瞭だったがな」
「うっうー。でも、あんまり悪い人には思えませんでしたー」
「……やよい。おまえ将来、悪徳商法に騙されたりするぞ」
「えー、大丈夫ですよ。あたし、これでもお財布の紐は固いんですから」
「奴の正体はともかく、言動に嘘があったとは思えん。となれば、さしあたっての問題は」
「主催側と繋がりのある人物には違いあるまい。目的は不明瞭だったがな」
「うっうー。でも、あんまり悪い人には思えませんでしたー」
「……やよい。おまえ将来、悪徳商法に騙されたりするぞ」
「えー、大丈夫ですよ。あたし、これでもお財布の紐は固いんですから」
「奴の正体はともかく、言動に嘘があったとは思えん。となれば、さしあたっての問題は」
店主との問答が終わり、他に客もいない古書店の中で、やよいと宗一郎、プッチャンは話し合う。
「……こっからどうやって出るか、か?」
「うう~、出入り口を探すだけでも疲れちゃいそう」
「うう~、出入り口を探すだけでも疲れちゃいそう」
古書店の内部は、大都市の図書館と見間違うほど広い。
本棚の高さは見上げるほどもあり、脚立でも用いらなければ、とても最上段の本には手を伸ばせなかった。
そのような本棚が、数えるのも億劫なほど並び立っている。
やよいの言うとおり、本棚の壁に囲まれた迷路の中で出入り口を見つけ出すのは、骨が折れそうだった。
本棚の高さは見上げるほどもあり、脚立でも用いらなければ、とても最上段の本には手を伸ばせなかった。
そのような本棚が、数えるのも億劫なほど並び立っている。
やよいの言うとおり、本棚の壁に囲まれた迷路の中で出入り口を見つけ出すのは、骨が折れそうだった。
「さっきの階段もいつの間にか消えてるしなあ……いっそ、ここで篭城しちまうってのはどうよ?」
「蘭堂りのや神宮寺奏を探すのではなかったのか?」
「それに、真さんや直枝さんたちも心配です」
「ジョークだよジョーク。ま、焦っても仕方がねぇだろ。のんびり探そうぜ」
「蘭堂りのや神宮寺奏を探すのではなかったのか?」
「それに、真さんや直枝さんたちも心配です」
「ジョークだよジョーク。ま、焦っても仕方がねぇだろ。のんびり探そうぜ」
広大な敷地を前に、プッチャンは気楽な構えを取る。
考えることは山ほどあるが、考えるために立ち止まるばかりでは、先には進めない。
すっかり明るさを取り戻したやよいの手の中で、プッチャンは陽気に音頭を取る。
考えることは山ほどあるが、考えるために立ち止まるばかりでは、先には進めない。
すっかり明るさを取り戻したやよいの手の中で、プッチャンは陽気に音頭を取る。
「……それにあの女店主、ご丁寧にサービスしてくれるって言ってたぜ。
ひょっとしたら、なんかスゲーお宝が眠ってるとも限らねぇ。
そう……たとえば、金銀財宝ザックザクだったりなぁ!」
「ざ、ザックザクですか!?」
「おうよ! 大金持ち間違いなしだ!」
「うっう~! そんなにあったら、もやし祭りができちゃいますよ!?」
「もやし祭りなんて騒ぎじゃねー! もやし大感謝祭の幕開けだー!」
「よくわかんないけど、なんだかものすごいことになっちゃいそうですっ!」
「探せやよい! 出口のついでにお宝も探し当てちまうんだ!」
「うっうー! 体は子供、頭脳も子供、アイドル探偵高槻やよいの出番ですね!?」
ひょっとしたら、なんかスゲーお宝が眠ってるとも限らねぇ。
そう……たとえば、金銀財宝ザックザクだったりなぁ!」
「ざ、ザックザクですか!?」
「おうよ! 大金持ち間違いなしだ!」
「うっう~! そんなにあったら、もやし祭りができちゃいますよ!?」
「もやし祭りなんて騒ぎじゃねー! もやし大感謝祭の幕開けだー!」
「よくわかんないけど、なんだかものすごいことになっちゃいそうですっ!」
「探せやよい! 出口のついでにお宝も探し当てちまうんだ!」
「うっうー! 体は子供、頭脳も子供、アイドル探偵高槻やよいの出番ですね!?」
プッチャンを嵌めた右手を掲げつつ、やよいが古書店内を駆け回る。
傍からしてみれば、元気の有り余っている少女腹話術士が、歳相応にはしゃいでいるだけにも見えた。
やよいに見守るような視線を投げかける宗一郎は、安堵の気持ちを抱きながら、一人静かに思案に暮れる。
しかし、今は。
傍からしてみれば、元気の有り余っている少女腹話術士が、歳相応にはしゃいでいるだけにも見えた。
やよいに見守るような視線を投げかける宗一郎は、安堵の気持ちを抱きながら、一人静かに思案に暮れる。
しかし、今は。
(……会場の外。本来、私たちの身分では足を踏み入れられぬ場所か)
言峰綺礼となんらかの接点があると睨んで訪れた教会。
そこから、思わぬ場所に辿り着いてしまった。
これを僥倖と見るべきか否か、判断材料はこの書庫の中にある。
そこから、思わぬ場所に辿り着いてしまった。
これを僥倖と見るべきか否か、判断材料はこの書庫の中にある。
(たしかに、なにかありそうではある。調査の必要があるか)
軽く嘆息し、宗一郎は膨大な書物の山に向き直った。
【とある古書店(現在位置不明)/1日目 日中】
『先生と生徒とマスコット』
方針:古書店内を探索。
方針:古書店内を探索。
【葛木宗一郎@Fate/stay night[Realta Nua]】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式 、ルールブレイカー@Fate/stay night[Realta Nua]、弾丸全種セット(100発入り)、
木彫りのヒトデ8/64
【状態】:健康、右肩に切り傷
【思考・行動】
基本:帰る。
0:調査の必要があるか。
1:古書店内を探索。出口及び有益そうなものを探す。
2:直枝理樹の作戦に乗る。
3:高槻やよいを守る。
4:蘭堂りのを探す。
5:衛宮士郎に関しては保留。可能なら保護。
6:菊地真と伊藤誠の再捜索。
7:教会地下に置かれていた遺体、古書店の店主について考える。
【備考】
※自身の体が思うように動かない事には気付きました。
※博物館に展示されていた情報を記憶しました。
※直枝理樹の知り合いについて情報を得ました。
※黒須太一、ティトゥス(外見的特徴のみ)を危険視。
※黒須太一、藤乃静留が直枝理樹を女と勘違いしている、という情報を得ました。
※ツヴァイ、ドライ、アイン、フカヒレ、巨漢の男を警戒。
※教会の地下を発見。とある古書店に訪れました。
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式 、ルールブレイカー@Fate/stay night[Realta Nua]、弾丸全種セット(100発入り)、
木彫りのヒトデ8/64
【状態】:健康、右肩に切り傷
【思考・行動】
基本:帰る。
0:調査の必要があるか。
1:古書店内を探索。出口及び有益そうなものを探す。
2:直枝理樹の作戦に乗る。
3:高槻やよいを守る。
4:蘭堂りのを探す。
5:衛宮士郎に関しては保留。可能なら保護。
6:菊地真と伊藤誠の再捜索。
7:教会地下に置かれていた遺体、古書店の店主について考える。
【備考】
※自身の体が思うように動かない事には気付きました。
※博物館に展示されていた情報を記憶しました。
※直枝理樹の知り合いについて情報を得ました。
※黒須太一、ティトゥス(外見的特徴のみ)を危険視。
※黒須太一、藤乃静留が直枝理樹を女と勘違いしている、という情報を得ました。
※ツヴァイ、ドライ、アイン、フカヒレ、巨漢の男を警戒。
※教会の地下を発見。とある古書店に訪れました。
【高槻やよい@THE IDOLM@STER】
【装備】:プッチャン(右手)
【所持品】:木彫りのヒトデ2/64
【状態】:健康
【思考・行動】
0:体は子供、頭脳も子供、アイドル探偵高槻やよいの出番ですね!?
1:古書店内を探索。出口及び有益そうなものを探す。
2:葛木先生と一緒に行動。
3:真と誠を探して合流する。
【備考】
※博物館に展示されていた情報をうろ覚えながら覚えています。
※直枝理樹の知り合いについて情報を得ました。
※死者蘇生と平行世界について知りました。
※教会の地下を発見。とある古書店に訪れました。
【装備】:プッチャン(右手)
【所持品】:木彫りのヒトデ2/64
【状態】:健康
【思考・行動】
0:体は子供、頭脳も子供、アイドル探偵高槻やよいの出番ですね!?
1:古書店内を探索。出口及び有益そうなものを探す。
2:葛木先生と一緒に行動。
3:真と誠を探して合流する。
【備考】
※博物館に展示されていた情報をうろ覚えながら覚えています。
※直枝理樹の知り合いについて情報を得ました。
※死者蘇生と平行世界について知りました。
※教会の地下を発見。とある古書店に訪れました。
149:THE GAMEM@STER (前編) | 投下順 | 150:絶望と救い、そして憎悪 (前編) |
時系列順 | 150:絶望と救い、そして憎悪 (前編) | |
葛木宗一郎 | 164:人として生まれ | |
高槻やよい | ||
伊藤誠 | 154:誠と世界、そして侵食 | |
菊池真 | 163:hope | |
??? | 164:人として生まれ |