ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

Rewrite

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Rewrite ◆I9IoWegESk



「いや、会場にいたヤツが神父みたいだったからよ」

 真人さんが教会を気にした理由はこれである。それ以上は黙して語ろうとしない。
彼の思考は単純だが突飛。ゆえに、口をつむがれると真意を掴みとるのは難しい。
奏さんは、教会は私が辛い目に会った場所ではないかと気を遣ってくれた。その気になれば、彼の提案を断ることは幾らでもできただろう。

(それでも、私は教会に向かうことを選んでしまった)

 ここはスラム街。もしかすると、私が記憶を失う前に同行していた人と出会えるかもしれない。もちろん、私に乱暴した人がうろついている危険性もあるのだが。

奏さんは私を労わる調子で語りかけてきた。
「音夢さん、怖くは無いかしら。今から引き返しても構わないのよ」

 音夢(ネム)……いつまでも名無しでは不便だということで、奏さんが付けてくれた仮初の名前。
これは私がはじめに思い出した歌に因んだものだ。*1
意味自体は気に入ったけれども、どうも馴染めない。多分、私の故郷では耳にすることのない名前なのだと思う。

 *1音楽に大きな夢を持っているから音夢とのこと。某作品のヒロインとは全く関係ない。ほんとうだよ。

 私ははっきりとした声で彼女の気遣いに答えた。
「大丈夫。怖くないといえば嘘になるけど、私は自分のことを知りたい気持ちの方が強いから」 

 真人さんが私を利用するなら、私も彼を利用する。そう、彼に付き合うのはそれだけの理由のはず。感謝なんて必要ない。

 すると、私は奏さんから、敬意の眼差しで見つめられてしまった。
「ネムさんは強い人ですね」

 そういえば、奏さんはスラム街の割れた窓ガラスや猥褻な落書きを見ては、いちいち声を上げたり、眉をひそめたりしていた。
世間知らずのお嬢様には、この環境は身に堪えるのだろう。

 一方、真人さんの方は言うと
「古狸もそろそろ、新たな筋肉パートナーを見つけた頃だな」
「てけり・り」
「そうか、お前もそう思うか。やっぱ筋肉がそばにあるってのは頼もしいもんだぜ」

 相変わらず筋肉尽くしである。彼のテンションはどうも苦手だ。こちらも少しは調子を合わせるべきなのだろうが、そう甘いものではないと己の第六感が訴えかけている。

「ふふっ、トーニャさんと再開する頃には、たくさんの筋肉さんを引き連れていると思いますよ」
「か、奏さんまで……」

 やり方はともかく、彼が周りを明るくすることは、評価した方が良いのかもしれない。だが、どうも私は日常的な戯れというものに冷めているようだ。

                 ♪ ♪ ♪


 私は、トーニャさんという抑止力を失い暴走する筋肉固有結界を尻目に沈思する。
(このごっこ遊びはいつまで続くのかしらね)

 冷静に戦力を見積もれば、真人さんは良くも悪くも筋肉だけであり、ダンセイニは未知数だ。
奏さんは銃と怪しげな書物*2を持っているが、運動神経は私と大差ないだろう。

 *2大十字九朗曰く、『こいつは魔導書1ダースよりもヤバイ。間違って×ッ×ー×ウ×なんて召喚した日には、俺は存在ごと消されちまう!』

 この殺し合いにはプロの殺し屋もいると聞いた。そんな状況で私を抱えてどうするというのだ。
しかも、私は記憶を失っていて、何の情報も人脈も持っていない。それどころか、この島で誰かに恨まれているかもしれない。
要するに私は……足手纏いだ。

――彼女あんなに怯えてるじゃねえか……無邪気な目をしてるし俺は彼女を信じるぜ

 私は真人さんの言葉を思い出し、心休まろうとする自分に気付いてはっとする。記憶を失い、生まれたての雛のようだった私には、彼の言葉が嬉しかったのだ。
私が教会に付き合ったのも、その気持ちからなのかもしれない。

 私はそれを悟った時、奏さんから貰ったダークの柄を強く握り締めた。

「ん、ネム……眉間に筋肉寄せてどうしたんだ? 筋肉の相談ならいつでも乗るぜ」

私は声の調子を落として静かに語った。
「えっと……筋肉の相談じゃないんだけど。私、皆さんに迷惑かけっ放しなのが申し訳なくて……
 何かできることは無いか、ちょっと考え込んじゃった」

そんな私に真人さんはいつもと変わらぬ調子で応じる。
「そんなこと気にスンナ。迷惑かけるのと筋肉はプライスレスだ。
 それに俺は筋肉といってくれるだけで満足だぜ。さあ、さあ、筋肉筋肉ぅっ!」

 真人さんが上腕二頭筋を振りながら迫ってくる。そう、いつものように。

「え、えっと……」

 狼狽する私を見かねて、奏さんが助け舟を出してくれた
「なんだか、急にネムさんの歌が聞きたくなってしまいました。
 小声で構わないので、お願いできませんか?」

 要するに歌で場を和ましてくれるだけでも価値がある、という意味なのだろう。小声なら誰かが聞きつける心配もない。
 私は肩の力を抜いて数回深呼吸する。

 私は言葉にウソを混ぜていた。確かに、私は自分の無力さに苛立ちを覚えていた。
だが、その後に沸き起こったのは、助け合いの欲求ではなく、剃刀のように鋭く強烈な衝動だった……

――人の言葉なんて当てにならないわ。ここは結局殺しあいの場でしかないの

――見返りを求めない関係なんて、そんなのただの理想論ね

――誰だって、相手を利用して生きているの。用済になれば捨てられるだけ

――貴女がすべきことは、自分の存在価値を高め、相手に依存させること

――カードは歌、家事、交渉力、評判、女としての肉体……何だって良いわ

――いい、貴女が信じていいのは自分と五線譜に書かれたものだけよ

 私はこの考えを否定も肯定もしない。それが自分というのなら、ありのまま受け止めるだけだ。
元々、私はお人よしとして殉ずるつもりはなかった。誰を利用してでも、生きて帰るつもりだ。
飛び立つ鳥に古巣の未練はない。ただ天を見上げ高く高く飛んでいく――

私は知らないうちに、これまでと違う歌*3を口ずさんでいた。

―――Lookatme Listentome アタシヲアイシテ
         だれも知らない心 見抜いてくれたら―――

―――Lookatme Listentome だれかを愛して
         君が必要と言われたなら どんなに―――

 *3『雨のmusique』。彼女の持ち歌のひとつ。はじめに思い出した歌『メロディー』よりも前の曲である。

(酷い女がよりによってこういう歌をね……)

 私の恋人は本音をぶつけられ、さぞ苦労しただろう。いや、互いに仮面をつけて利用していただけか。心の中で苦笑した。

 奏さんは満足げに小さな拍手をした。
「これも素敵な歌ですね。歌っている時のネムさんは、本当に生き生きとしてますよ」
「てけり・り、てけり・り」

 真人さんは何かを続けようとして口篭った。
「上手いとは思うけどよ……」

 私は彼の一瞬見せた戸惑いの表情を見逃さなかった。彼はこの歌について何かを隠している。もしかすると私自身についても。
上手く切り込めば、彼の正体を暴くことができるかもしれない。

(……やぶ蛇ね。彼はただの筋肉バカ、ということにしておいてあげるわ。でも、これで貸し借りはゼロよ)


                 ♪ ♪ ♪


 私は娼館に戻ってきた。ここに立ち寄ることは、教会に行くと同意した時につけた条件だ。

 真人さんは建物の惨状を目の当たりにし、険しい表情で口を開く。
「こりゃまた、酷いもんだな」
「てけり・り…」

 奏さんは焼け焦げた死体を見つけて黙祷をし始めた。

 館は何者かの放火によって、ほぼ全てがガレキになった……逆に言えば全てではない。あの時の私ではどうにもならず、さして興味のなかったものがそこにはある。

「真人さん、これなんですけど本当に大丈夫ですか?」

「ふっ、俺の筋肉を舐めるよな……って、こいつはウチの校長じゃねえか!
 なんでこんなところに転がっているんだ?」

 真人さんは腰を下ろし、銅像を両腕でしっかりと抱え込む。
「うぉりりりゃあっ!」

 やはり、この筋肉は伊達ではない。彼は雄牛より重そうな銅像を軽々と持ち上げ、ディバッグにしまい込んだ。
そして、暑苦しい笑顔で額の汗を拭い取るポーズをする。
「ふう、新しい筋トレグッズを手に入れたぜ」

 もちろん、私はこんなものが欲しいわけではない。真人さんに愛敬たっぷりに礼をしたあと、煤に足を沈ませながら銅像のあった場所の先に進む。
そして、半ば炭化したテーブルの残骸を払いのけ、僅かに出ていたデイバックの紐を引っ張り出した。
周りは少々焼け焦げているが、使う分には問題ないだろう*4。

 *4 機能が残されていたのは、この辺りの火勢が弱かったことやディバッグ自体の耐熱性が幸いしたのだろう。
  もうひとつ付け加えると、古河渚が真のデイバッグを律儀に閉じてくれたお陰でもある。


「悪いけど使わせてもらうわ」

 私は本来の所有者であろう死体を一瞥し、デイバッグに手をやってみる。すると、参加者名簿、食料などの支給品一式、幸運にも支給品まで飛び出してきた。
それはガラス張りの装置と数本の細長い金属*5だった。ただし、説明書らしきものもなく、何に使うのかさっぱり分からない。

 *5 世間一般では単三電池と言う。首輪レーダーに入れて使用する。

真人さんがさも当然のように口を開く。
「これはきっとあれだ、新型の筋に……」
「奏さん……この機械、調べてくれますか?」
「うおおぉぉっ!」

 彼の無駄な自信は何処から湧き出てくるのだろうか。とりあえず、私は彼らに装置を任せて、再びデイバックを手に取った。

 デイバッグの確認、それは全ての参加者が駆け抜ける通過点。私はやっとここまで辿り着けた。記憶を失い、半日以上も遅れたリスタートはあまりにもどかしい。
だが、これは人一倍努力して追い越せばよいだけ。私は今までそうやった生きてきた気がする。

 (あとはゴールを優勝と脱出、どちらにするか「もう一度」決めることね)

 元の世界に戻るためとはいえ、63の屍を踏み台にすれば目覚めが悪くなる。その上、ドクター・ウェストという男によると、優勝しても生還できる保証はないらしい。
ならば、当面は脱出を目指すべきだろう。でも、それが無理になったなら……

「あら、なんか光ったわね。魚群探知機かしら」
「いや、これは筋肉レーダーだ。俺の天然筋肉レーダーとどっちが凄いか勝負だ!」
「てけり・り」
「なに、光の数を良く見ろって?」

(その時は私をいくらでも憎んで頂戴。あなた達にはその権利がある)

 私は胸に小さい悼みを覚えつつ、もうひとつの支給品を確認する――

【C-2 娼館跡地 1日目夕方】


ファルシータ・フォーセット@シンフォニック=レイン】
【装備】:ダーク@Fate/staynight[RealtaNua] 、イリヤの服とコート@Fate/staynight[RealtaNua]
【所持品】:支給品一式。リュックサック、救急箱、その他色々な日用品、デッキブラシ、不明支給品(確認済み)、
      ピオーヴァ音楽学院の制服(スカートが裂けている)@シンフォニック=レイン、
【状態:重度の記憶喪失(僅かだが記憶が戻り始めている)、頭に包帯、体力疲労(中)、精神的疲労(中)、後頭部出血(処置済み)】
【思考・行動】
 基本:他者を利用してでも絶対に生き延びる。自分の記憶を取り戻したい。パパとママと恋人を探したい。
 0:他者を利用してでも、自身の生存を最優先する。
 1:とりあえず脱出狙い、でもそれが無理なら……
 2:真人と奏と行動し、教会に行く
 3:首輪を外せる人間を探す。
 4:男性との接触は避けたいが、必要とあれば我慢する。
 5:パパやママ、恋人を探し出す。
【備考】
※ファルの登場時期は、ファルエンド後からです。
※仮初の名前はネムです。
※デイバックを入手しました。お楽しみ写真集は途中までしか読んでいません。
※寺から出発する前に食事も済ませ、奏からダークを受け取りました。包丁はこっそり捨てました。
※頭を強く打った衝撃で目が覚める前の記憶を失ってますが、徐々に思い出しつつあります。
※記憶を失う前は男性に乱暴されてたと思ってます。


井ノ原真人@リトルバスターズ!】
【装備】:僧衣、木魚、マッチョスーツ型防弾チョッキ@現実【INダンセイニ@機神咆哮デモンベイン】
【所持品】:餡かけ炒飯(レトルトパック)×3、制服(破れかけ) 、銅像
【状態】:胸に刺し傷、左脇腹に蹴りによる打撲、胸に締め上げた痕、全身にぬめり
【思考・行動】
 基本方針:リトルバスターズメンバーの捜索、及びロワからの脱出
 1:教会に向かう。
 2:理樹たちリトルバスターズのメンバーや来ヶ谷を探す。
 3:主催への反抗のために仲間を集める。
 4:クリス、ドライを警戒。
 5:柚原このみが救いを求めたなら、必ず助ける。
 6:今は無理でも、いつかトーニャと分かり合いたい。
【備考】
 ※防弾チョッキはマッチョスーツ型です。首から腕まで、上半身は余すところなくカバーします。
 ※現在、マッチョスーツ型防弾チョッキを、中にいるダンセイニごと抱えています。
 ※真と誠の特徴を覚えていません。見れば、筋肉でわかるかもしれません。
 ※真人のディバッグの中はダンセイニが入っていたため湿っています。
 ※杏・ドクターウェスト、奏と情報交換をしました。
 ※大十字九郎は好敵手になりえる筋肉の持ち主だと勝手に思い込んでいます。

【ダンセイニの説明】
アル・アジフのペット兼ベッド。柔軟に変形できる、ショゴスという種族。
言葉は「てけり・り」しか口にしないが毎回声が違う。
持ち主から、極端に離れることはないようです。
杏の死とトーニャの離散で、ショックを受けているようです。


神宮司奏@極上生徒会】
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式。スラッグ弾30、レトルト食品×5、予備の水
      SPAS12ゲージ(6/6)@あやかしびと-幻妖異聞録-、大山祈の愛読書 、首輪探知レーダー(残り約5時間)
【状態】:健康。爪にひび割れ
【思考・行動】
基本方針:極上生徒会会長として、ゲームに対抗する。
 0:教会に行く
 1:謎の装置(首輪レーダー)の使用目的を知る
 2:蘭堂りのを探す。
 3:できれば、九郎たちと合流したい。
 4:藤野静留を探す。
 5:大十字九郎に恩を返す。
 6:いつかまた、トーニャと再会する。
【備考】
 ※加藤虎太郎とエレン(外見のみ)を殺し合いに乗ったと判断。
 ※浅間サクヤ・大十字九郎、トーニャ・真人と情報を交換しました。
 ※ウィンフィールドの身体的特徴を把握しました。
 ※主催陣営は何かしらの「組織」。裏に誰かがいるのではと考えています。
 ※禁止エリアには何か隠されてるかもと考えてます。

【大山祈の愛読書】
 禁断の呪術『4と3/4チャンネル』を使用可能。大気中の電波を集めて、生贄を一時的(通常は10分間程度)に別人格に仕立て上げる。
憑依した相手に応じて戦闘力なども変化。ただし、生贄は術後に激痛で暫く(1時間以上)は意識を失ってしまう。それどころか命を失う危険も……
ここでは電波以外のものを受信するかも。希望のものを受信するにはそれなりに時間が掛かる。
発動には魔法陣の代わりに本そのものを利用する。また、生贄の同意が必要である。

172:i 投下順 174:Little Busters! (前編)
170:モノの価値は人それぞれ 時系列順 174:Little Busters! (前編)
161:素晴らしく冴えたやり方 ファルシータ・フォーセット 189:ζ*'ヮ')ζ<Okey-dokey?
井ノ原真人
神宮司奏

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