幕間~吹き始める波乱の風~ ◆UcWYhusQhw
もう後は私は死ぬだけだった。
満足と言えるかと言うとどうだったのだろうか?
満足と言えるかと言うとどうだったのだろうか?
最も今はどうでも良かった。
何もなくなっていくの世界で突然響いた一つの声。
「やあ」
なんだ?と想う。
あまりに軽薄なそして陽気な声。
そんな声が私の脳内に響く。
あまりに軽薄なそして陽気な声。
そんな声が私の脳内に響く。
「ちょっと君に用があってね」
可笑しな話だ。
私はこれから死ぬというのに。
なんなのであろうか?
私はこれから死ぬというのに。
なんなのであろうか?
「何……ちょっとゲームがあるんだ。愉しい愉しいね。君も参加しない?」
ふむ。
何をやらせる気かね?
このまま死んだほうが楽ならそのほうがいいのだが。
何をやらせる気かね?
このまま死んだほうが楽ならそのほうがいいのだが。
「勿体無いね、君の愉悦を満たすことが、もっともっとできるというのに。生きている以上にね」
ほう?
どんなものだ?
どんなものだ?
「殺し合いさ、沢山の人が独りになるまで殺しあう。君はその監督役だよ。生前と同じくね」
ふむ。
それは実にいい。
面白そうだ。
それは実にいい。
面白そうだ。
「そして君には役割を与えようか。何事もゲームは順調にすすんじゃつまらないからね、だからそう―――――」
私はその言葉を聞き。
心の
心の底から。
心の底から。
大いに
嗤った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ふう……」
ここは精巧な工具や機械が無数に、また乱雑に置いてある部屋。
その一角を占める机に頬杖を付きながら壮年の蒼い髪の女が溜め息をつく。
机の上には積み重なっている種類と彼女の私物であるだろうコーヒーが入ったマグカップが置いてある。
その一角を占める机に頬杖を付きながら壮年の蒼い髪の女が溜め息をつく。
机の上には積み重なっている種類と彼女の私物であるだろうコーヒーが入ったマグカップが置いてある。
(何でこんな事になったのでしょうね……)
気が付いたらここにつれ攫われていた。
本当にいつの間にだった。
そして殺し合いのゲームをやる事、そして自分はその主催者の側に居る事を告げられた。
自分に与えられた役割は首輪の作成者、責任者と言うポジション。
本来ならばやりたくもなかった。
参加者には子供が沢山いたというのに。
しかも主催は自分が恨んでいる組織だと言うのに。
本当にいつの間にだった。
そして殺し合いのゲームをやる事、そして自分はその主催者の側に居る事を告げられた。
自分に与えられた役割は首輪の作成者、責任者と言うポジション。
本来ならばやりたくもなかった。
参加者には子供が沢山いたというのに。
しかも主催は自分が恨んでいる組織だと言うのに。
(まさか……あの子が……なんで……)
でも動けなかった。
参加者の中に自分の子がいたから。
そして脅された。
協力しないならゲームが始まる前に殺すと。
参加者の中に自分の子がいたから。
そして脅された。
協力しないならゲームが始まる前に殺すと。
(きっと私を神様は許さないでしょうね……)
くすっとある意味諦観に似た苦笑いが出た。
一応建前であるがシスターを自称する彼女が神に背く様な事をしたのだ。
我が子が可愛いという一身で。
ゲームに参加するのは変わらない。
でもどんな可能性が低くても生き残る可能性があるなら。
自らのエゴを貫き通してしまった。
誰も自分を許さないだろう。
でも娘の為ならそれでよかった。
彼女は娘が作ったというフェルトの犬を見つめる。
娘を抱きしめると言う母であるなら当たり前の行為が出来なくなってからどれ位たったのだろうか?
彼女はその長い年月を想う。
自分が恨む組織から脱却。
そしてシスターという身になり遠くから見る最愛の娘の姿。
一応建前であるがシスターを自称する彼女が神に背く様な事をしたのだ。
我が子が可愛いという一身で。
ゲームに参加するのは変わらない。
でもどんな可能性が低くても生き残る可能性があるなら。
自らのエゴを貫き通してしまった。
誰も自分を許さないだろう。
でも娘の為ならそれでよかった。
彼女は娘が作ったというフェルトの犬を見つめる。
娘を抱きしめると言う母であるなら当たり前の行為が出来なくなってからどれ位たったのだろうか?
彼女はその長い年月を想う。
自分が恨む組織から脱却。
そしてシスターという身になり遠くから見る最愛の娘の姿。
(無事でいて……)
娘の無事を祈る彼女の名前は
「ちょーしはどうだい? シスター九条さん」
「炎凪……!」
「いやだなぁ……そんなに睨まないでよ、仲間なんだからさ」
「誰が……!……一番地の使い走りが……!」
「炎凪……!」
「いやだなぁ……そんなに睨まないでよ、仲間なんだからさ」
「誰が……!……一番地の使い走りが……!」
むつみは突然フラッと現れた凪を睨む。
むつみにとって凪は憎むべき存在。
詳しい正体は未だに分からない。
しかし最も明確な点は彼が一番地である事。
ただそれ故に明確の敵意を示していた。
むつみにとって凪は憎むべき存在。
詳しい正体は未だに分からない。
しかし最も明確な点は彼が一番地である事。
ただそれ故に明確の敵意を示していた。
「あ、娘さんは未だ元気だよ、相変わらずツンデレしてるけどね」
「……何か用でも? それくらい私でもわかっている。無駄話をする気は無いわ」
「んー何となく?」
「……何か用でも? それくらい私でもわかっている。無駄話をする気は無いわ」
「んー何となく?」
あっけからんと凪は言う。
相変わらずの凪の様子にむつみは溜め息をつく。
この男は常にそうだ。
おちゃらけて論点を暈す。
そしていつの間にか現れそして消える。
故にむつみは想う。
人ではないのではないかと。
無論、想像でしかないが。
相変わらずの凪の様子にむつみは溜め息をつく。
この男は常にそうだ。
おちゃらけて論点を暈す。
そしていつの間にか現れそして消える。
故にむつみは想う。
人ではないのではないかと。
無論、想像でしかないが。
「……はぁ、私はしっかり役目を果たしている。参加者は首輪を調べているけどミスリードも大分多いわ。
だから話す事も無い。一番地の人間と話すことも無いわ」
「へいへい。貴方が一番地を恨んでることぐらいよーくわかってますよーだ。でもね九条さん……」
「……?」
「僕はただ儀式を見守っていたかっただけなんだよ、星の行く末を。今回だってそうだ。
なんでこんな大掛かり殺し合いまでをしないといけないんだ。マスターが何を考えてるのかまではしらないけど……さ。
僕はただ見守りたい……今回もそうしなければならない……やっかいなものだね」
だから話す事も無い。一番地の人間と話すことも無いわ」
「へいへい。貴方が一番地を恨んでることぐらいよーくわかってますよーだ。でもね九条さん……」
「……?」
「僕はただ儀式を見守っていたかっただけなんだよ、星の行く末を。今回だってそうだ。
なんでこんな大掛かり殺し合いまでをしないといけないんだ。マスターが何を考えてるのかまではしらないけど……さ。
僕はただ見守りたい……今回もそうしなければならない……やっかいなものだね」
凪は物憂げに語る。
凪は見守りたいだけだった。
それなのにこんな大掛かりなものまで用意して。
だから凪にとっては、厄介なものだった、それだけだった。
凪は見守りたいだけだった。
それなのにこんな大掛かりなものまで用意して。
だから凪にとっては、厄介なものだった、それだけだった。
「……神崎の命令には逆らえないの?」
「逆らえないよ……どんなことがあってもね。厄介なものだ……本当」
「そう……」
「さてと、無駄話もおしまいおしまい。九条さんも大変だけど頑張って……じゃあねー」
「逆らえないよ……どんなことがあってもね。厄介なものだ……本当」
「そう……」
「さてと、無駄話もおしまいおしまい。九条さんも大変だけど頑張って……じゃあねー」
むつみがふっと目を離した先にはもう凪は居なかった。
あっという間に消えたのだ。
相変わらずだと苦笑いを浮かべむつみは考える。
ずっと今でも考えてる事。
あっという間に消えたのだ。
相変わらずだと苦笑いを浮かべむつみは考える。
ずっと今でも考えてる事。
(本当に……これでいいの?)
娘の為に協力した。
でも今でこれでいいのかと想う。
参加者は今でも苦しんでいる。
娘もそうだ。
なのに自分はこのままでいいのかと。
本来なら恨むべき一番地に強力までして。
でも今でこれでいいのかと想う。
参加者は今でも苦しんでいる。
娘もそうだ。
なのに自分はこのままでいいのかと。
本来なら恨むべき一番地に強力までして。
(わからない……そういえば言峰神父は何故……?)
そこでふと想う。
ある参加者に過剰に接触して監禁された言峰を。
彼は何を思い接触したのだろうか?
唐突に気になり始めそれがとまらない。
ある参加者に過剰に接触して監禁された言峰を。
彼は何を思い接触したのだろうか?
唐突に気になり始めそれがとまらない。
(確かめてみましょうか?)
そしてむつみは立ち上がり言峰が居るであろう監獄へ向かう。
監獄は警備はされて入るものの非常に緩やかだ。
むつみは神崎からの伝言を承ってるとでも入れ罵倒してもらえるだろうと想っていた。
もしかしたらこの胸のつっかえが取れることを期待して。
監獄は警備はされて入るものの非常に緩やかだ。
むつみは神崎からの伝言を承ってるとでも入れ罵倒してもらえるだろうと想っていた。
もしかしたらこの胸のつっかえが取れることを期待して。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「はぁ……もーなんだかなぁ……儀式がこんな事になるなんて」
凪は放送を行う場所に戻りただモニターに移る媛星を睨んでいた。
でもここは本来儀式が行われる風華じゃなくて場所も分からない島。
凪にとってはイレギュラーのイレギュラーで頭の中パンクしそうであった。
でも神崎の命令に背くことはできない。
だから凪は従うしかない。
悲しい定めだった。
でもここは本来儀式が行われる風華じゃなくて場所も分からない島。
凪にとってはイレギュラーのイレギュラーで頭の中パンクしそうであった。
でも神崎の命令に背くことはできない。
だから凪は従うしかない。
悲しい定めだった。
「でも見守るしかないか……それが僕できるこ……ん!?……まさか!?」
凪はあるモニターを見て愕然とする。
そこに移るのは三名が今にも対峙しようとする所。
そして凪が見るはある機械の少女。
彼女に起ころうとする事にただ唖然とするだけだった。
そこに移るのは三名が今にも対峙しようとする所。
そして凪が見るはある機械の少女。
彼女に起ころうとする事にただ唖然とするだけだった。
(まさか彼女に……!?……はは……本当にイレギュラーだよ今回は……ねえ、姉さん)
凪はすくっと立ち上がるとモニタールームを出る。
凪の役目はここでも変わらないのだから。
何時もの様にするだけ。
凪の役目はここでも変わらないのだから。
何時もの様にするだけ。
「さてと、僕は儀式を最後まで見届ける。そして円滑に進める。彼女の覚醒。何時ものように手助けでもして見よっかな?」
そう言った凪は何時ものようにおちゃらけて笑っていた。
ずっと笑っていた。
ずっと笑っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
コツコツと歩く音が監獄に響く。
幾つかの牢がありむつみはある男の前にたつ。
その男はむつみの来訪に気付き、ニヤッと笑った。
幾つかの牢がありむつみはある男の前にたつ。
その男はむつみの来訪に気付き、ニヤッと笑った。
「何かようかね? シスターむつみ」
「ええ、少し気になってね」
「ええ、少し気になってね」
嗤う男は言峰綺札。
彼女の来訪をまるで予期してたかのように笑っていた。
むつみはそんな言峰の嫌な笑みを気にせず単刀直入に言う。
彼女の来訪をまるで予期してたかのように笑っていた。
むつみはそんな言峰の嫌な笑みを気にせず単刀直入に言う。
「貴方は何故特定の参加者に介入したの?」
「何、少しかき回したかっただけだよ」
「かき回したかった?」
「ああ、それが私のすべき事だからな」
「貴方のすべき事? 監督ではなくて?」
「それは君が知ることではないな」
「何、少しかき回したかっただけだよ」
「かき回したかった?」
「ああ、それが私のすべき事だからな」
「貴方のすべき事? 監督ではなくて?」
「それは君が知ることではないな」
くくっと言峰は嗤いむつみを睨む。
まるでむつみの真意を解ってるように。
そして彼はむつむに話しかける。
まるでむつみの真意を解ってるように。
そして彼はむつむに話しかける。
「なあシスター、君は迷いがあるからここにきたのだろう?」
「……何が?」
「何、君はこのゲームを思わしく想ってないのだろう?」
「!?……どうして!?」
「……何が?」
「何、君はこのゲームを思わしく想ってないのだろう?」
「!?……どうして!?」
むつみは自分の心を見透かされてただ驚くばかり。
何せ思わしく想ってないからここを訪ねただから。
そんなむつみを見て楽しそうに言葉を継げる。
何せ思わしく想ってないからここを訪ねただから。
そんなむつみを見て楽しそうに言葉を継げる。
「君は娘も参加者としている。そして君は一番地を恨んでいるのだろう? 簡単な事だ」
「……っ」
「何、シスター。君の悩みは何もおかしくない。娘の恋しさの余り協力をする事はおかしくないのだよ。自分の欲望に素直になる事に間違いはない
その結果、自分のエゴを突き通したその後に本当に正しい事かと迷うことにまちが……」
「黙って! 単刀直入に言って。あれこれ言われるのは趣味じゃないわ」
「……っ」
「何、シスター。君の悩みは何もおかしくない。娘の恋しさの余り協力をする事はおかしくないのだよ。自分の欲望に素直になる事に間違いはない
その結果、自分のエゴを突き通したその後に本当に正しい事かと迷うことにまちが……」
「黙って! 単刀直入に言って。あれこれ言われるのは趣味じゃないわ」
言峰の言葉に割ってはいるむつみ。
これ以上心の奥底を当てられるのは楽しくなかった。
それ故に彼が本当に言いたい事をせかす。
言峰は嗤いそして
これ以上心の奥底を当てられるのは楽しくなかった。
それ故に彼が本当に言いたい事をせかす。
言峰は嗤いそして
「ふむ、なら言おうか。私の役目はまだ終わってない。そして君はゲームを好ましく想ってない。つまり――――」
「主催者達に反乱を起こさないか? ゲームをかきまわす為に……君と私で、だ」
彼が与えられた役目「ゲームをかき回し、毒として動く」と言う事。
役目はまだ終わっては居ない。
役目はまだ終わっては居ない。
毒がきき始めるのはまだ……先の事。
198:Jesus Is Calling/我に来よと主は今 | 投下順 | 200:mirage lullaby |
182:第三回放送-巡り続ける運命の鎖- | 時系列順 | 209:第四回放送―Reason To be ― |
言峰綺礼 | 213:Diaclose | |
炎凪 | 209:第四回放送―Reason To be ― | |
九条むつみ | 213:Diaclose |