ギャルゲ・ロワイアル2nd@ ウィキ

第三回放送-巡り続ける運命の鎖-

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第三回放送-巡り続ける運命の鎖- ◆UcWYhusQhw



「それで、どういうつもりですか? 言峰神父」

あれだけ島を照らしていた太陽が遂に沈んだ。
そして昇りはじめた月が夜の訪れを告げようとしている。
その時ある場所で穏やかな顔をした少年がこれまた穏やかな声で神父を問い詰める。
その二人の人物はこの凄惨なゲームの主催者、神崎黎人と言峰綺札。
その神崎が言峰に問い詰めている事、それは……

「あの二人に何故不必要に干渉をしました? しかもあまつさえ賭けとは……」

棗恭介トルティニタ・フィーネに対する干渉。
それだけでなくポーカーによる賭けまで行なった。
今回は何とか事なきを得たが何が起きたか分からない。
その事について神崎は咎めていたのだ。
だが言峰は悪びれも無くこういった。

「ふむ、神崎。何、単なる個人的な趣味だよ……別に大した事ではない」

ピクッと神崎の端正な顔が歪む。
確かに言峰のことを考えれば容易にありえることだ。
言峰が興味を持った参加者に何か仕掛けること、これは簡単に想像できるはずだ。
しかし、神崎は違う。
神崎のスタンスとしてはあくまでただ監督のみ。
参加者の行動を逐一追跡し何か不味いようであるなら対処を行なう。
決して己の趣味など行なう気など毛頭もなかった。
それ故に言峰とはウマが合うものではなかったのだ。

「失礼ですがこれは合同での監督です。独断で判断して行動する貴方は『監督役』としては不適合ですよ。参加者に甘い提示を出したり」

そしてこの殺し合いは合同での監督である。
神崎から見れば監督役として行き過ぎた行動した。
だから、神崎は苦言を呈する。
本来ならば均等且つ全てにおいて平等ではなければならない。
そういう意味においても神崎にとって『邪魔』になりつつあったのだ。
それ故に排除を考えた、元々ウマがあうものでもない。
ある意味絶好の機会でもある。

「言峰神父……貴方には監督役を降りてもらいます。これからは幽閉させてもらいます。正直目に余る行動です。円滑に進めなければなりません」

だからこう告げた。
それは言峰の監督役の剥奪、そして幽閉。
一連の言峰の行動を省みて神崎が判断した事だった。
殺害も一考したがまだ時期ではない。
まだ彼には利用価値がある。そう感じて。
言峰はその言葉に眉をひそめた。


「ふむ……それでこそ君の独断ではないのか? 神崎。元々私がこういう性分なのは知ってるはずだ」

言峰の言う事も最もである。
あくまでこれは神崎の判断。
が、その答えを返したのは神崎ではなかった。

「……まあ簡単に言っちゃうとお払い箱って事だよ、神父さん」

そう応えたのは白髪で赤い眼をした少年。
今まで気配も何もなかったというのに。
彼はどこからか現れそして言峰と対面した。
彼は飄々としてただしその眼は何処か冷たく。
道化のように笑ながらじっと言峰を睨んでる。

「……君は?」
「凪。炎凪だよ。神父さん。君の代わりにマスターに呼ばれただけだよ。新たな監督役として。悪いけど命令だからついて来て貰うよ?」
「……ほう。君から感じるもの……ふむ君は神崎の……」
「おっと、深入りはご無用だよ」

言峰は凪という少年の招待を何となくだが察知した。
神崎の事をマスターと呼んだ事や凪自身の体から感じるものから。
しかし凪は笑いながらそれを制する。
道化の笑みを崩さないまま。

「……君は神崎の言いなりのままでいいのかね?」

言峰が凪の制止に気に求めず言葉を続ける。
彼から感じるもの。
それは神崎を圧倒している。
それなのに神崎の下にいたのだ。
その疑問を投げかけるが

「神父さんの知っちゃことじゃないよ……さてついて来て貰うよ」

凪は言峰の言葉を無視し神崎にそう継げる。
言峰はふと目を閉じ考える。
果たしてこれでいいのかと。
棗恭介ら介入した事、そのものに後悔など微塵も無かった。
結果として自らの役目から追われる事となってしまったが。
しかしそれでも彼はこれでいいと判断した。
そして嗤い

「くくっ……ふむ、これも結果か。一旦受け入れよう……だが神崎、このままで終わるとは思わないほうがいいぞ?」

神崎を睨んだ。
絶体絶命のピンチでもあるに関わらず彼は笑っていた。
楽しそうに。
本当に楽しそうに。
そして疑問を投げかける。

「神崎、私を幽閉して、一人でどうするつもりだ?」
「考えてますよ。貴方に教えるつもりもありませんが」
「くっくっ……それもそうか。なら獄中で楽しみにしてようか、お前の働き様を」
「……ふん」

短い言葉の応答。
言峰には言峰の考え。
神崎には神崎の考え。
神崎にはそれをやり通す意志があった。
互いににらみ合う。
互いの意志をぶつけるように。
やがて凪がころあいを見て

「じゃあ連れて行くよ、マスター」
「……ああ、その後放送も頼んだよ、凪」
「……りょーかい」

凪は言峰を連れて部屋から出ていった。
言峰はただおとなしく連れて行かれたままだった。
その連れて行かれる言峰の胸中を知るものはいない。
しかしその眼には決して絶望など一欠片もなかった。
あるのは黒く燃え上がる炎。
底知れらないの男だった。
そんな二人を見据えて神崎は言峰の得体の知れなさを少し身震いするもやがて嗤い始める。

「……これでいい。これで……くっくっ」

ただ一人残った神崎の押し殺した笑い声だけが響く。
一先ず神崎のもくろみは成功した。
しかしこれで止まるわけではない。
彼の心に宿すもの。
それは誰も知る由もないが。
神崎は進む。
底知れぬ野望に向けて。

彼しか残らない部屋にその声だけが響いた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






やあ、参加者の皆さん、気分はどうだい?
……いい訳ないか。
人が沢山死んでるもんね。
……僕?
僕は炎凪。
ただこのゲームを見守るだけさ。
そんな事はどうでもいいけどね。

さあ3回目の放送を初めよっか。
一回しか言わないから、しっかり吟味して聞いてよね。
悲しみに浸るもよし、喜びにむせるもよし、罪悪感に陥るのもよし。
適当に任せるよ。


以上七名。

続いて禁止エリアは

20時からA-1
22時からG-4
の二つ。


さて君たちはこのまま殺し合いを続けていればいい。

例えどんな時でもね。
僕はそれをただ見てるだけさ。

過酷な運命に縛られてる君たちだけど、どうか頑張って。
どう頑張るかはお任せするけどね。

じゃ、また今度、バイバイ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「……ふう」

凪は放送を終えると溜め息をついた。
果てして上手く出来たかと思ったが無駄かと思ってその思考を止めた。
そして彼は自嘲気味に呟く。

「……運命に縛られてるのは僕もか」

そしてモニターを見上げる。

そこにうつるのは耀く月。

そして禍々しく。

紅く
紅く

光る星があった。

その星は彼が縛られてる物に関係するもの。
厄災を与える星。
全てを滅ぼす星。
絶大の力を与える星。

そう。

それは

媛星だった。



【残り35名】



181:一人の隠密として、一人の姉として 投下順 183:Mighty Heart、Broken Heart (前編)
180:夕暮れの湖畔にて 時系列順
143:第二回放送 神は慈悲深く、されど人の子は 神崎黎人 209:第四回放送―Reason To be ―
171:この魂に憐れみを -Kyrie Eleison- 言峰綺礼 199:幕間~吹き始める波乱の風~
炎凪

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