1:十二国記とは?
著者小野不由美作品の一つ。
作者本人は適当に呼んでいたが、編集部から頼まれ本人が適当に名付けた『シリーズ』である。
古代中国の思想や制度を基にしている異世界ファンタジーで、十二の国があることから『
十二国記』と呼ばれる。
現在までに文庫版として11冊(講談社X文庫)あり、未完。
2009年に読み切りを発表。
2:『三国志』みたいなもの?
違う。
作中に歴史書となっている部分が出てくるが、違う。
三国志の根本である国同士の血生臭い戦いはないし(詳しくは
十二国記の世界の項)、『三国志演義』のように一人の主人公・一つの国が中心になっている訳ではないので、あくまで十二国記の世界の十二の物語(実際には半数程度の国しか登場せず、作者も十二の国全て出すつもりはないらしい)である。
3:主人公って誰?
基本的にシリーズ通しての主人公はいない。作品によって視点となる国が変わったり、中心となっている人物が違う。
ただ、慶国の王(中嶋陽子)がメインになっていることが多い。
キャラについては他の項目(人物リスト
十二国記)で詳しく述べるが、長い時代を遡ることもあり、いろんな作品に顔を出す人物もいる。
4:世界はどうなってるの?
山海経などに登場する神仙や妖魔が普通にいる世界に、人間が十二の国に分かれて住んでいる。
また、人間世界の社会的・文化的基盤は、古代中国の周王朝のものをベースにしている。
国の頂点に王がいて、絶対的な存在。その隣には麒麟がいて、麒麟は天意によって王を選ぶ。
麒麟はその王が素質に欠落している部分があると分かっていても、『天意』に逆らうことはできない。
『天意』とはそれだけ絶対的であり、王でも『天意』に逆らうことは許されないのである。
5:結局何が言いたい作品なの?
難しい質問だね。
まず『天意』とは何か、というのが、この作品の大きなテーマの一つ。
善意で行おうとした行為が、天意(太綱)に反するというだけで、王は『天』に殺されてしまう。
「理不尽な部分もあるんじゃね?天って誰よ?誰の裁量よ?」
本当にな。
もう一つは人間そのものについての本質や思想・志向などを追究している。
王自身が自国の反乱に参加(半分巻き込まれた形だが)している作品があるが、反乱=国の乱れではあるので、本来ならば鎮めなければならない立場だが、反乱する側に視点を置いているので、王という頂点の立場にもどかしさを感じ、一方で王として為さなければならないことも分かってくる。
その中で出会ってきた者達には、それぞれの生き様があり思いがある。
ままならない人の生き方が、この物語にはある。
最終更新:2010年01月20日 09:25