Chapter:幻夜
……
…………
ガンヴォルトが立ち去った後、彼の姿を見つめる影があった
影は、皇神(スメラギ)の能力者が散った後(※原文ママ 跡のミスか)から何かの破片を拾い上げる
アキュラ:
“宝剣”の破片サンプル
これで3個目か
宝剣――皇神の能力者が自らの能力因子を封じ込め、制御するための触媒
体内に能力因子を宿す通常の能力者とは異なり、皇神の能力者は
一度、宝剣に体内の能力因子を移植することで、ある種のリミッターをかけ
暴走の危険性を抑えることで皇神により社会的立場を約束されている
アキュラ:
有事の際のみ鞘抜くことを許された封印の剣(つるぎ)――くだらん玩具だ
いくら力を御そうとも、ヤツらが人に仇なす悪鬼羅刹であることにかわりはない…
皇神も、能力者(バケモノ)も、神に代わりオレが裁きを下す…
人間である、このオレが…
……
…………
(緊急入電)
ある日の夜更け――シアンも眠りにつき、ボクも就寝するため寝巻きに着替えようとしたその時だった
フェザーからの緊急入電が舞い込んできた
モニカ:
こちらフェザー!
GV、応答を!
GV:
モニカさん
こんな夜更けに…どうしたんですか?
モニカ:
ごめんなさい…GV
あなたに緊急のミッションをお願いしたいの…
私たちが追っていた皇神(スメラギ)の能力者が、その近くに逃げたようなの
ジーノが追っていたんだけど負傷してしまって…
ジーノ:
すまねぇ…しくじっちまった…
GV:
ジーノ…!
ジーノは普段の態度は軽いが、その戦闘技術に関してはフェザーでもトップクラス
つまり、相手はそれほどの強敵だということだ
GV:
…わかりました
そのミッションを引き受けます
ジーノ:
わりぃな、GV…
ヤツは強ぇ…気をつけてくれ
GV:
ああ…ジーノはゆっくり休んでいて
シアン:
…むにゃ…GV…また出かけるの?
シアンが眠そうに目をこすりながら顔を出す
…起こしてしまったようだ
GV:
シアン、もう夜も遅い…キミはベッドに戻るんだ
シアン:
ううん…わたし、起きてる
起きて、あなたの帰りを待ってるから…
まっすぐに、シアンがボクを見つめる――
GV:
…わかった
なるべく早く戻るから
行ってくるよ
シアン
GV…わたしの歌が、きっと…あなたの翼(チカラ)になるから…
(ミッション詳細確認)
モニカ:
突然の頼みでごめんなさい…
あなたに頼みたいのはその近くの歓楽街に逃げこんだターゲットの捜索――
ターゲットは、あのジーノを負傷させた強力な能力者よ
くれぐれも気をつけてね…
(Chapter:幻夜)
真夜中の歓楽街に踊る愛欲の蠍
“色惑う夢幻鏡(ラストミラージュ)”
狂う色欲を追う最中、蒼き雷霆は復讐者(リベンジャー)と邂逅する
(ミッションスタート)
モニカ:
ターゲットの名前は
パンテーラ
能力者狩り(ハンター)部隊を率いる部隊長――
私たちとの戦闘から逃れて、どうもその辺りのビルの屋上を転々としているようね…
パンテーラの指揮する部隊も動き出しているわ
くれづれも気をつけて
GV:
了解
ターゲットの捜索を開始します
(高層ビル)
高いビルの上…
モニカ:
その高さから落ちれば、いくらあなたでも無事では済まないわ
落ちないように気をつけて
GV:
ボクに自殺願望はありませんから
(街並み)
歓楽街
眠らない不夜の街――
深夜にも関わらず、ネオンに照らされた街並みは、夜の闇の深さを感じさせない
ビルの上からでも、この街の喧騒は伝わってくる
皇神の連中…一般人がごく普通に生活していても武装部隊を展開するのか…
いくらでも、もみ消せる自信があるからだろうか…
被害が広がらないうちに、早くターゲットを見つけなくては
(爆撃マシン)
モニカ:
皇神の自律型爆撃マシンね…
爆撃は雷撃鱗を張っていれば防げるわ
EPエネルギーの残量には充分に気をつけてね
GV:
その忠告、いつかアシモフから同じようなことを言われました
モニカ:
えっ!? あの…別に、マネとかじゃないのよ…?
ただ、…あの…あの人は私の憧れだから…その…
し…自然と似ちゃうというか…何と言うか…
GV:
…わかってますよ
モニカ:
…もう!
(印帝)
印帝…? なんの店なんだ…
(パンテーラの素性)
GV:
ところで…ターゲットはどんな能力者なんですか?
モニカ:
かなりの実力者よ…詳細はわからないんだけど…幻惑系の能力を使うようね
性別は不明…
GV:
不明…?
モニカ:
それが…男だったり女だったりその日によって違うんだとか…
おそらくそれも、幻惑の一部なんだとは思うけど…
GV:
よく…わかりませんね…
(ワイヤー装置)
モニカ:
ワイヤー装置が見えるわ…それを使えば、向こうの建物まで渡れるかも
電気を送り込めば、向こうの建物に超硬ワイヤーを打ち込むことができるわ
ワイヤーは装置のランプが青になるまで乗れないから、焦って落ちないようにね?
(ビルの谷間)
モニカ:
そこは隣接したビル同士が谷のようになっているみたい
落ちても平気だから安心して飛び降りてみて
GV:
気軽に言いますね…
安心してビルから飛び降りる人間なんて普通、いませんよ…
ワイヤー装置…こんなところにも
モニカ:
それを使えば上に登れそうね
ただし、射出されたワイヤーを正面から受けるとダメージになるから当たらないように注意して
(ゲートモノリス)
モニカ:
どうも…その辺りにターゲットはいないようね…
ゲートモノリスを破壊して次のエリアに向かって
GV:
了解
(エリアスタート)
モニカ:
諜報班より入電…! GV、その近くにターゲットがいるみたい!
パンテーラ:
おや…何と愛らしい少年か
GV:
…お前がパンテーラか
パンテーラ:
フフフ、うれしいねぇ少年…
ワタシのこの美しき名前を知っていてくれたとは…愛を感じるよ!
では始めようか…愛の逃避行を!
こころゆくまで愛し合おうじゃないかッ!!
(愛の逃避行開始)
パンテーラ:
少年も我が愛に惑うがいい!
どこからか響くパンテーラの声…
これもやつの能力だろうか
GV:
惑うというより、頭痛がしそうだよ
モニカ:
皇神の能力者ってみんなこんな感じなのかしら…
(夢幻鏡)
GV:
今のは…
パンテーラ:
フハハハハ! これが愛の力だッ!!
看板の文字が反転している…? 敵の能力…幻覚か!
パンテーラ:
フフフ…我が第七波動(セブンス)“夢幻鏡(ミラー)”
…愛おしい能力だろう?
(夢幻鏡の罠)
パンテーラ:
愛とは迷うものッ! 少年…ワタシの愛を受け止めておくれ!
ワタシの愛する部下たちよ! 少年にあまねく愛をッ!!
時に、愛は痛みをともなう!!
モニカ:
ヤツの罠にはまってしまったようね…気をつけて、GV!
(正解)
パンテーラ:
おっと、どうやら正解のルートを選んだようだねッ!
まさに…愛の勝利だッ!!
さあ、愛の逃避行はまだまだ続く…愛し合おう…骨の髄までッ!!
(警報機)
パンテーラ:
フフフ…ワタシの部下たちと心ゆくまで愛し合ってほしい…
(溢れる愛)
パンテーラ:
どうだい、この溢れんばかりの愛は!
愛するワタシは――美しいッ!!
(愛の糸)
GV:
ワイヤー装置か…
パンテーラ:
まさに、愛の糸!
そのワイヤーでワタシを縛ろうというのかね!?
愛ゆえにッ!!
GV:
……
パンテーラ:
落ちないように気をつけたまえ?
我が、愛の落とし穴にッ…!
(ハニートラップ)
パンテーラ:
フハハハハッ!! キミは落ちたッ
我が愛の罠にッ!!
さあ、ワタシの愛する部下たちッ!
少年に愛の試練をッ!!
甘ーいハニーィトラァーップ!!
(逆さ世界)
GV:
これは…
パンテーラ:
ワタシの愛は、天地をもくつがえすッ! 無限の愛ッ!!
これぞ、愛・絶技ッ!!
モニカ:
完全に遊ばれているわ…
GV:
ふざけたヤツだけど…なるほど
ジーノがやられた理由がよくわかったよ…
これだけの能力規模…何かトリックが隠されているのかもしれないが…
ヤツの強さは、疑いようがない
モニカ:
キャラ的にもジーノとは相性が悪そうな相手ね…
(酔い)
モニカ:
う…ちょっと…酔ってきそう
GV:
なんなら、モニターを切ってもかまいませんよ
モニカ:
…いえ、サポートくらい最後までやり遂げるわ…
パンテーラ:
おや~、酔ったのかい!? ワタシの愛に?
愛とはそう…美酒のようなもの…
し・か・しィ…
ワタシの愛は、酔いから醒めはしないッ!! とこしえにッ!
こっちはとっくに“冷め”きっているけどな…
パンテーラ:
ふふふ…少年、この先で待っているよ…
そう…我が愛の巣でねッ!!
GV:
……
モニカ:
行きたくない気持ちはわかるけど…追いかけて、GV
(パンテーラの悲鳴)
GV:
…元に戻った…?
モニカ:
…GV……班……と……り…
……テー………が…
……い……
通信にノイズが混ざり始める
……
GV:
ジャミングか…!
パンテーラ:
ぐわあああぁッ!!
今の声は…!
(アキュラ登場)
アキュラ:
召されよ能力者(バケモノ)…神の御許へ
パンテーラ:
バ…バカな…ワタシの愛が…こんなところで…!?
あぁ…しかし…この痛みは…どうだ
…この死すら…愛おし…い……
アキュラ:
貴様の能力因子(ディーエヌエー)サンプル、有効に使わせてもらう…
GV:
キミは一体…
アキュラ:
蒼き雷霆(アームドブルー)――ガンヴォルトか
GV:
味方…なのか?
アキュラ:
…くだらん
皇神も、フェザーも、能力者どもは全てオレの敵だ
無論、貴様もな…蒼き雷霆(アームドブルー)
GV:
…!
アキュラ:
あがなえ、罪を…
(アキュラ戦闘開始)
GV:
罪と…言ったのか!
アキュラ:
人の世に蔓延る、人ならざる者
人外魔境、悪鬼羅刹――第七波動(セブンス)能力者…
貴様らの存在そのものが人の世に対する冒とくであり、罪だ…
神に代わり、オレが裁きを下す
その瞳は憎悪の炎に燃えていた
彼には――何を言っても無駄だ
ボクの直感がそう告げる
アキュラ:
能力者(バケモノ)どもは、オレが根絶やしにしてくれる
忌々しき能力者(バケモノ)の力を使ってでも…な
GV:
その信念は歪んでいる…!
お前の信念はボクが拒絶する――
迸れ! 蒼き雷霆よ(アームドブルー)!!
歪みし信念を断つ雷となれ!
アキュラ:
ほざけ…
断罪するのはこのオレだ
蒼き雷霆(アームドブルー)…!
(アキュラ撃破)
アキュラ:
――貴様のスペックは把握した
データとしては充分だ
一時離脱させてもらう
GV:
お前は…何者だ?
アキュラ:
アキュラ…
刻んでおけ…貴様ら能力者(バケモノ)どもを神に代わって断罪する――“人間”の名を
GV;
くッ…!
(軌道衛星上の紫電)
――その頃、皇神の宇宙ステーション「アメノウキハシ」
一般兵:
紫電様、パンテーラの部隊が壊滅したようです!
紫電:
なんだって…!
悲しいね…また、フェザーの連中のしわざかい?
一般兵:
いえ、それが…生還した者の証言によると
パンテーラを倒したのは紅白の甲冑(アーマー)のような装備をまとった少年だったと――
紫電:
甲冑(アーマー)? ああ、なるほど…神園さんの…
一般兵:
ご存知なのですか?
紫電:
うーん…ちょっとやっかいな人だけど特に手を打つまでもないかな?
彼は組織だって動いているわけじゃないし、能力者でもない…
私怨で動いているだけの“ただの人間”だからね
一般兵:
能力者でもない少年があのパンテーラを…?
紫電:
世の中にはいるんだよ
ごくたまに、本物の天才っていうのがさ…
彼がフェザーと潰し合ってくれれば、こっちとしては楽なんだけどね…
今はそれより、モルフォの捜索を優先してくれ
彼女は“プロジェクト”にかかせない大切な姫巫女なんだから
一般兵:
ハッ!
最終更新:2014年10月09日 22:25