Top > キャンペーン > 設定情報 > シナリオ「青うさぎ」タグ:
命の木は地の季7~8週ぐらいに実をつけます。この実を食べた者は冬のあいだ(闇、嵐)歳をとらなくなります。この実が命の実と呼ばれるゆえんです。この効果は聖祝季になると失われます。これは保存してあるものについても同じで、つまり、けして貯め置きはできないということです。
命の木を育てるには適した土壌と宿る精霊が必要で、知性のある生物の死体を苗床にしなければ育ちません。条件を満たせばその生物の霊が木に宿り、7年目から、毎年精霊の知性(INT)と同じ個数の実がなることになります。土壌が適しているかどうかはマスターの任意です。ただし最低限、充分な自然に恵まれた場所でなくてはならないでしょう。
アーナールダの女祭テリガリアが行方不明になったのが事件の発端です。残された侍祭リュコが《神託》で彼女の居所を尋ねると、森の中の大きな木というイメージを得ました。リュコは狩人たちに案内されて森を回りましたが、それらしい風景は見あたたりません。しかしそのうちに狩人たちがある地域に入らないことに気がつきました。狩人たちに聞くと、そこは昔、聖なる地とされていたところで、いまはもう信仰するものはいないが、入り込んではいけないのだといいます。リュコが頼んでも狩人達はだれも中に入ろうとはしません。森の中で彼らなしでどうして彼女が生きていけるでしょう。
そこでリュコは森に探索に入る冒険者を探します。神性冒涜になるかもしれないような危険な任務は誰も引き受けないでしょう。女祭を助けられるのはPC達しかいないのです!
この聖なる森には亜神ともいえるドライアド、ロコがいます。彼女はこの森の神性であり、巨大な神木「命の木」に宿っています。神木には触れた者を青いうさぎに変えてしまう魔力があります。女祭テリガリアは青うさぎになってしまっています。記憶も知性も失って、草を食む日々をすごしているのです。
事件の原因は数百年前に遡ります。神木になる「命の実」を食べれば永遠の命を得られるという噂を信じたトリックスターのグロッケンシュピールは、ロコの恋人ラドルを殺しました。そして「ラドルは命の実を狙っている人間に殺された。俺はここを守ってくれるようにと彼に頼まれた。」と《虚言》を使って信じ込ませたのです。それ以来ロコは人間に非協力的になり、狩人達はこの森を崇めなくなりました。
グロッケンシュピールは自分だけが「命の実」の恩恵を受けるつもりでした。そしてロコの忠告を無視して神木に触り、やはり青うさぎになってしまいます。ロコの寵愛を受けていたグロッケンシュピールは完全なうさぎにはなりませんでしたが、知性が残ってしまったためにかえって苦しむことになりました。彼は逆恨みをして、森に出かけて人を神木まで誘いだしては青うさぎに変えることに楽しみを見いだしています。長年の間に何人かの犠牲者が出ています。テリガリアもこの悪意の被害者になったわけです。
キャラクター達はぶらっと立ち寄った旅人か、この町の住人でしょう。アーナールダと友好的なカルトに立ち寄れば、必ずこの話を聞くことができます。おおよそは次の通りです。
「テリガリア様が行方不明になってしまわれた。もう1週間にもなる。どうやら森で迷ったらしいが、誰も助けにいく者がいない」
なぜ助けに行く者がいないのかということをPC達が聞くなら、人々はこう答えます。
「さあねぇ。ただ狩人達がいかないっていってるんだから、なんかあるんでしょう。それじゃあ誰だっていきたくないよ。詳しい話はアーナールダ寺院のリュコ様に聞いてみるといいですよ。」
もしPC達が事件に関心を示すならば、詳しい話はアーナールダ寺院に行って聞いてくれということになります。PC達が関心を示さなかったとしても、テリガリアの身を案じるリュコが旅人がいるという話を聞きつけたなら、どうにか探索に行ってくれないかと懇願してきます。
入信したときからテリガリアの側につき、彼女のことを姉とも母とも思っています。町の人々にはもう期待できないと悟った彼女は、最後となったら自分一人で森に入るつもりでいます。PC達に対しては寺院が以来した報酬以外に自分の全財産も、もしくは望むなら、自分自身さえも差し出そうとします。PC達が依頼を断わるならば、あきらめきった決断の表情をして出てゆき、次の日森に入って行方不明になります。
「テリガリア様は1週間前にとなり村へ御説教にいかれました。ところが次の日にこの町へ来たとなり村の者は、テリガリア様は来てなかったというのです。その次の日に来た村人もそういいますので、私は自分で隣村に行ってみました。するとテリガリア様が着かれた様子はなく、誰も見たものもいませんでした。そこで私は司祭様の身になにかあったのではないかと神にお尋ねいたしましたら、神は森と大きな木を示されました。」
「このあたりにある森と言えばひとつだけです。狩人達に頼んで案内していただいたのですが、特に大きいと言える木も見つかりませんでした。ですが森の奥の方に、狩人達が入ろうとしない場所があるのです。彼らに聞いてみると、そこは狩人達の間では"隠しの森"と呼ばれているところで、入ることは禁忌にふれるというのです。私が何故入ってはいけないのかと聞いても「だめだ」というばかりです。私にはとても森の中をひとりで歩くことはできません。お願いです。どうかテリガリア様を助けていただけないでしょうか」
また寺院にはテリガリアの3人の子供が引き取られています。テリガリアの夫は数年前に戦役で死んでいます。
「あの森がなんで隠しの森かって? それはよ、獲物も、帰り道も、いつのまにかなくなっちまうからだ。あの川から奥へ入ったら、いっぱしの狩人だって帰ってこれるとは限らねえのさ。悪いこたぁいわねぇ、あんたらもやめとくんだな」
「たまに毛皮を売りにくるマックちゅうやつは隠しの森に住んでるって噂だ。まゆつばもんだけどな。そいつがいつ町にくるか? わかんねえな。いちいちおぼえちゃいねえけど、1年に3回ぐらいかな。ま、ただの噂だよ。あんましあてにしないこった」
森の外苑部というのは森の縁から地図にある小川までを指します。用意された地図の奥の方がどうなっているかは各マスターにまかされています。山になってることもあるでしょうし、また平地が開けているのかも知れません。「隠しの森」の境界があるのは確実ですが、この地域の狩人はそちらがわのことを知りません。ですからどこからが隠しの森かはわかりません。狩人達ははっきりと境界のわかる小川より向こうには行きません。
PC達が町で狩人に案内を頼んだとするなら、狩人達はとくに問題なく小川まで連れてきてくれます。PC達が自分達で隠しの森に行こうとするなら先導するひとりが代表して<世界知識>か<地図制作>をロールします。地図の通りに最短コースを通れば3時間です。RQには森の中を歩くための技能というのは設定されていませんので、これらの技能で代用するわけです。
森の中を移動するには以下の表をロールします。距離によってかかる時間に技能の結果による倍率をかけてください。夜移動する場合は技能を半分にして判定してください。
決定的成功:×1.0
効果的成功:×1.3
成功 :×1.6
失敗 :×2.0
ファンブル:完全に道に迷う。ヘクス方向を1D6で決定して、本来進む半分の距離を直進する。
森で1D20時間過ごすごとに「森の外苑部チャート」をロールします。これは起きていても寝ていても変わりません。
森の外苑部チャート
01 マック
02~04 移動時のみ:狩人(データにある一般的な狩人を使ってください)
05~06 移動時のみ:キャンプに最適の土地。水場もある。
07 移動時のみ:いっせいに鳥が飛び立つ
08 移動時のみ:敵意のない生物(下参照)
09 移動時のみ:敵意のある生物(下参照)
10~11 移動時のみ:通れない場所。移動時間が1時間余分にかかる。
12~13 雨が降りそうな天気。季節によって降る確率は異なります。この表はドラゴンパスでのものです。地方によって修正してください。降水確率以下で雨が降ります。雨の量は目安です。3で結構濡れる雨、8で大雨と思ってください。風も同様です。ただし森の中ですのでかなり緩和されるのは確かです。
海:60% 2D20時降り続く 雨1D6 風1D6
火:10% 1D6時間降り続く 雨1D2 風1D4
地:30% 3D20時間降り続く 雨1D8 風1D2
闇:60% 2D20時間降り続く 雨1D8 風1D6
嵐:90% 3D20時間降り続く 雨1D10 風2D4
14~16 敵意のない生物(兎、りす、鹿、狐、鳥など)
17~18 敵意のある生物(猪、猿、野犬、狼、大蛇、虫の群れなど)
19~20 大青うさぎ
マックはこの事件に直接の関わりはありませんが、非常に重要な手がかりを握っています。マスターはPCが森で迷っているときに彼を登場させても良いし、PC達が偶然彼の家を見つけるのにまかせておいても構いません。とりあえずPC達が特に無礼な態度をとらなければマックは友好的に接してきます。
彼に森の案内を頼めば彼の仕事の妨げにならない程度に引き受けてくれます。彼に案内されれば、隠しの森で迷うこともないでしょう。
マックの家はうわさとは異なり、隠しの森のすぐ外側にあります。小川までは20mぐらいで、家の回りは少し開けています。家のすぐ北側に3mぐらいの木があって、晴れた日には低いところの枝になめした皮がかけてあります。
彼は隠しの森の中を思った通りに歩くことのできるただひとりの人間です。彼は数十年前までは「狩人」のマスターハンターでした。しかし彼はただ自然を見つめ続けるうちに、森を神格化するのをやめてしまいました。彼はカルトの礼拝に参加しなくなり、しだいに人付き合いもなくなりました。
いまの彼はある意味でヒーローです。優れた狩人としての能力は持っていますが、歳も取るし、特別な魔力があるわけでもありません。しかし彼は道のない森の中を時速2kmで移動できます。常に水と食糧を得られ、森で迷うことはありません。嵐は友であり、夜は恋人であり、敵は我が子なのです。
マックは100歳を越えています。本当の年齢は自分でもよく覚えていません。ラドルの木から命の実をそれと知らずに食べているので見た目が50代なのです。彼は命の実の効果には気づいていませんし、気づいたとしても、特に執着は示しません。
けしておごらず。生きることと死ぬことを同じように愛し、ただ日々を過ごす彼には神々さえ敬意をはらうでしょう。
マックは右手の小指に指輪をはめています。これは最初に会ったときにD100をロールしてPOW以下をロールすれば気づきます。そうでなければ森のなかの夢を気にして「指輪がないか見る」といった宣言をしなければわからないでしょう。
この指輪はラドルの死体が持っていたものです。指輪のことを聞かれればマックは死体がはめていたと言います。死体について聞かれれば素直に庭に埋めたと答えます。
マックの裏庭に生えた命の木にはラドルが宿っています。もしPC達が木に触れたなら、ラドルは自分の悲劇を訴えかけてきます。マックはラドルのことも知っていますが、特に介入する意志は持ってません。
もしPC達がラドルの無念をはらすと約束したなら、ラドルは自分の死体を掘り起こしてロコの木まで連れていってくれと頼みます。ゴーストになっているラドルがロコに真相を話せばロコは過ちに気づくでしょう。ただしマックの庭の命の木はその効果を失い、二度と戻ることはありません。そして同じ地域だからといって、再び命の木が育つとは限りません。
PC達が頼みを聞かないからといってラドルが危害を加えるというようなことはありません。
小川を渡るとそこはロコの勢力範囲内に入ります。狩人達のいう「隠しの森」です。
「隠しの森」に入ると方位を示す魔術、探索をする魔術はすべて効果を失います。<地図製作>技能を持つキャラクターは1日の探索を終えて<地図製作>ロールに成功すれば、そこが魔力的な土地だと気づきます。毎日<地図製作>に効果的成功をしていれば、魔力的効果を排除してこの地の地図を作ることができます。
まちがいなく地図を書けた場所以外を通るなら、森は侵入者を迷わせます。「東へまっすぐ進む」だとか「低い方へ低い方へと進む」といった常識的な対応をしても、けして正しい道を見つけることはできません。よけい迷うだけです。カンで進むなら、先導する一人が「森から出る」か「中心部へ向かう」かを決めてD100をロールをします。ロールの結果がPOW以下ならば、その日のうちに目指した場所に着きます。ロールがPOWを越えている5%につき1日が余分にかかります。ロールが96以上なら、20日さまよって、さらに再ロールをします。当然この結果はPC達にはわかりません。決まった日数は途中で目標を変更しても変わることはありません。つまり「中心部へ向かう」と決めて10日かかるとします。そうすると3日目に「森から出る」と方針変更しても再ロールは行わず、残り7日間をかけて森から出ることになります。
隠しの森の力は空までは及びません。ですから連続して3kmぐらい飛べれば(《飛翔》呪文で2回程度です)迷わずに目的地につけます。ただし途中で着陸してはいけません。隠しの森では1D20時間経つたびに「隠しの森チャート」をロールします。
隠しの森チャート(D20)
01~02 マック
03 移動時のみ:敵意のない生物(下参照)
04 移動時のみ:敵意のある生物(下参照)
05 移動時のみ:知らない場所に飛ばされる。
06~07 雨が降りそうな天気。季節によって降る確率は異なります。この表はドラゴンパスでのものです。地方によって修正してください。降水確率以下で雨が降ります。雨の量は目安です。3で結構濡れる雨、8で大雨と思ってください。風も同様です。ただし森の中ですのでかなり緩和されるのは確かです。
海:60% 2D20時降り続く 雨1D6 風1D6
火:10% 1D6時間降り続く 雨1D2 風1D4
地:30% 3D20時間降り続く 雨1D8 風1D2
闇:60% 2D20時間降り続く 雨1D8 風1D6
嵐:90% 3D20時間降り続く 雨1D10 風2D4
08 木の影から敵意ある視線を感じる、森の中からくすくす笑いやひそひそ話が聞こえる・・・など。マスターが「悪意」を演出してください。
09~10 知らない場所に飛ばされる。隠しの森の中のランダムなヘクスに移動。
11~12 敵意のない生物(兎、りす、鹿、狐、鳥など)
13~14 精霊(ゴースト、妖精など)が側を通ってゆく。
15~16 敵意ある生物(レイス、ゴースト、チョンチョン、山猫、熊、猪、狼、大蛇)
17~20 大青ウサギ。グロッケンシュピールの項を参照。
夢1.闇の中に大きな焚火の光が見える。大勢の狩人が森の中がぽかっと開けたところに集まっている。彼らは火の回りで歌い、踊り、こちらに向かって祈っている。動物達も木々の間から歩み出てきて、人も火も怖がりもせずに一緒になって跳ね回る。一匹の鹿に手を伸ばすと、頭をたれてすりよってくる。恍惚感が体をつつみ、新たに力が湧いてくる。
夢2.自分と並んで中年の狩人が座っている。うららかな日差しが森の木々の葉を緑に光らせている。彼の瞳を見ていると、心が吸い込まれそうになる。男に指輪を渡すと、男は照れたような顔をして髪を手ですきながら、ゆっくりと頭を撫でてくれる。指輪は木の蔓が三本絡み合っているもので、不思議なことにどこにも継目が見えない。
夢3.背の高い痩せた男があなたに向かって話しかけてくる。「ロコ様、ラドルは殺されました。この木になる、命の実を狙うものどもにです。私は彼の頼みを受けてきたのです、あなたを守ってくれと!。ラドルは私の親友でした。もう何年もあっていませんでしたが、彼を尋ねるたびに私にいろいろなことも語ってくれました・・・」。男の話は真に迫っていて、とても嘘とは思えない。信じたくないとは思いながらも、彼が殺されたのだというのが真実なのだとわかる。哀しみはまだ感じない。しかし、怒りが、ゆっくりと、膨れ上がって来るのを感じる。
夢の背景
ロコには人間の恋人がいました。名をラドルといい、腕のいい狩人でした。ふたりは深くお互いを理解していて、ラドルの率いた狩りの祭典は毎年すばらしいものでしたし、ラドルの仲間達はけして森への感謝を忘れませんでした。ロコは人々の思いの受け皿となり、小さいながらもこの地の人々に慕われる狩人のカルトになりました。
ラドルはロコにもらった”命の実”を食べていましたので歳をあまりとりませんでした。あるときトリックスターのグロッケンシュピールがこれを不審に思い、ラドルの後をつけ、聖木の横でラドルとロコが逢うのを見ました。そして聖木になる命の実を食べさせているのを見ました。さらに彼はロコの美しさにも心を奪われ、なんとかあの不思議な木の実とロコとを手に入れたいと考えたのです。
グロッケンシュピールはラドルがロコの森からでたところで、毒のついた矢で殺しました。そしてしばらくしてからグロッケンシュピールはロコのところに行き、「ラドルは命の実を狙っている人間に殺された。俺はここを守ってくれるようにと彼に頼まれた。」と《虚言》を使って信じ込ませたのです。それ以来ロコは人間に非協力的になり、狩人達はこの森を崇めなくなりました。
「聖域」と回りの隠しの森とは森自体に特に違いがあるわけではありません。聖域とはロコの森のなかで神木の見える範囲、およそ半径100mを指します。隠しの森の中なら案内してくれるマックもこの地域へは入ろうとしません。彼はキャラクター達に脅かされたりすかされたりしても、まったく応じません。彼は「私はいくべきではない」というだけです。キャラクター達が力で従わせようとするならば死ぬまで抗戦します。
まず見えるのは直径40m程の円形の草地です。すこし盛り上がった地面からは高さ20m、直径20m、幹の直径が6mという巨大な木が生えています。葉は広葉樹の特徴を示していますが、冬でも青々と生い茂っています。これがこの森の神木、つまり、命の木です。
神木の回りには青うさぎが何匹かいます。うさぎ達は幸せそうに草を食んでいます。
ここには10匹を用意しておきますが、増やしても減らしてもかまいません。うさぎに変えられている間は死にませんから、時代を超えた人物を出すことができます。何十年も前に行方不明になった重要人物などを前のシナリオで出しておいて、ここに配置しておくなど、さまざまな使い方ができるでしょう。
青うさぎは神木から100m以上離れると(つまり聖域を離れると)弱りはじめます。10m毎にCONを1失い、200mを越えると死ぬことになります。一度減少したCONは神木の近くまで戻されても戻ることはありません。シチュエーションによってはキャラクター達がうさぎが弱っていくのに気づかないこともありえます。袋に入れて運んだうさぎは、いつのまにか死んでいることになるでしょう。
うさぎは逃げるときに神木を盾にします。あまり熱を入れて追いかけると、勢い余って神木に触れてしまう、ということもあるかもしれません。
1:マゼンタ 男23歳。山賊3。山賊の下っ端。強い者には下手に出るが、自分より弱いものは徹底的にいたぶる。
2:アルフ 男27歳。山賊2。一本ネジが抜けた感じの男。人を傷つけたり殺したりすることをなんとも思っていない。
3:"隻眼"ボパッソ 男37歳。山賊1。山賊のリーダー。
4:"せっかち"ラリー 男14歳。森で迷った。非常に早口で喋る。
5:ディラ 女27歳。森で迷った。
6:ベルベット 女18歳。山賊にさらわれた娘。
7:ハミリカ 女20歳。山賊にさらわれた娘
8:ジョン(仮名) 男23歳。放浪の吟遊詩人という触れ込みの極悪非道なサギ師。リアンをたぶらかしたが、親に本心を看破された。村から追い出されたときにリアンも連れだし、適当に始末するつもりでいたのだが、眠ろうとして神木によりかかって青うさぎになってしまった。
9:リアン 女16歳。ジョンに騙されている。彼にすべてを捧げ、心底惚れてしまっている。ジョンがうさぎに変わってしまったのを見て、自分も後を追ったけなげな娘。もし誰かがジョンに疑いをかけようものなら必死でかばう。
10:テリガリア 女祭。
PCが木に触れて青うさぎになってしまうことも考えられます。全員が青うさぎになってしまったらもちろん話は終わりです。何年かのちに他の冒険者によって助け出されたシーンから始めるのがよいでしょう。
彼女はこの聖地を司る神性です。アーナールダとオデイラの娘とも言われています。グロッケンシュピールにたぶらかされてから彼女は信徒を失いましたが、いまだ強力な力を持っています。英雄的な能力を持つ者でさえ彼女と戦うのはけして正解ではありません。
PC達が隠しの森に入ったなら、彼女はまもなくそれに気が付きます(詳しくはロコの技能<森の探査>を参照)。彼女は人間に悪意とはいかないまでも、好意は持っていません。PC達が森で何をするかを注意深く見ています。彼女はすすんで危害を加えようとはしませんが、PC達が森で狩りをするなら獲物を隠したり、罠を外したりします(「森での狩り」参照)。彼女は隠しの森の中ならどこへでも1ラウンドで移動できます。木の中へ歩み入って、別の木から出てきます。このくらいでロコがPC達の前に姿を顕すことはありません。
また森を燃やす、木を切り倒す、意味もなく動植物を傷つけるなどした場合は彼女自身が復讐にきます。ただしその場合もほとんど姿は見せません。《消火20》がありますので滅多なことでは火災は広がりません。しかし何人もで同時に別の場所で火をつければ、ロコはその全てには対応できません。
ロコがいちばん気にかけているのは神木と大青うさぎです。
神木はロコの本当の肉体です。神木を破壊されたら彼女は死んでしまいます。ですから神木に人が近づいてきたなら、必ず木の上からこちらを見ています。PCが木を見上げて<視力>に効果的成功をすればなにかが木の上にいるのがわかります。<視力>が決定的成功ならばほのかに光る女性の姿がわかります。ロコは気づかれたと思ったら姿を消しますが、PCが話しかけたなら声だけで応答します。彼女は「この木にさわってはいけません」「この森から早く出ていきなさい」と言います。
大青うさぎは彼女にとって、死んだ恋人との最後のつながりです。彼女は大青うさぎが危機に陥ったなら姿を顕し、彼が無事に逃げるまで戦います。
本来の神性を忘れてしまったロコは本来の力のいくつかを失っています。青うさぎを元に戻すこともできません。彼女はなぜ自分が力を失ったのかを悩み、悲しんでいます。彼女がグロッケンシュピールに騙されていることに気づけば、再び本来の力を取り戻します。ただしロコはグロッケンシュピールの<虚言>の効果を受けていますので、呪文の解説にある通りに「この嘘が間違いであるという明白な証を得るまで」、騙されていることに気づきません。普通の説得の方法ではなかなかうまくいかないでしょう。もっとも簡単な方法は恋人(ラドル)の死体を持ってくることでしょう。また、PCの言動に充分に説得力があるならば<雄弁>に成功をすれば、ロコは半信半疑の状態になります。<雄弁>が効果的成功だったならばロコは過ちに気づきます。
彼女の詳しいデーターに関してはデーター部のロコの項を参照してください。
グロッケンシュピール、彼はトリックスターの信徒です。正式にカルトがどこなのかはシナリオの舞台とする地方によって異なります。確実なのは<虚言>を持っている事です。どのみち大青うさぎのままでは呪文も使えません。
うさぎのままで使える技能はキャラクターデーターとして起こしてあります。彼が人間に戻れる事もあるでしょう。その場合は各マスターが独自に作ってください。
彼はあらゆる人間に悪意を抱いて、森に入ったキャラクター達を神木まで誘い出して青うさぎにしてしまおうとします。ですからPC達の前に姿を現したら、知性を持っているのを見せつけるように振る舞います。そして彼の後をついてこさせるのです。もし彼にPC達が<霊話>などで話しかけたなら、「私は命の木のある場所を知ってるよ。その木にはとても素敵な実がなっている。案内をしてあげるよ」と言ってきます。彼はPC達に対して常に警戒していますので、背中を見せたり、騙されたりする事はないでしょう。神木の見えるところまで案内したら彼は森の中に消えます。
神木がなくなれば彼は人間に戻れます。しかし彼はそれを知りませんし、やろうとしてもロコがいる限り無理でしょう。もしPC達が結果として彼をもとに戻したなら、彼は彼なりに感謝してPC達についてきます。もちろんキャラクター達が彼を許せば・・・ですが。
グロッケンシュピールだけは火事で死ななければ元の姿に戻ります。彼がいままで森を燃やさなかったのは戻るかどうかわからなかったからです。
グロッケンシュピールが先に気づいていれば、急いで森から逃げだします。ただ知恵はあっても体がうさぎですから・・・ロコの保護を失った彼の前途は暗いでしょう。まあ運よく生き残れば、キャラクター達を逆恨みして、なにか仕掛けて来るかもしれません。
聖域で狩りをするならば、執拗に邪魔が入ります。近接戦闘をしようとすると足元に草が絡みつき、攻撃、回避に-25%の修正がつきます。弓を射ったり魔法を投射しようとするとなら、木が50%の確立で目標をカバーしてしまいます。いったん隠れた動物は<物を隠す180+32>で隠されたように、見つかりにくくなります。罠を仕掛けたなら次に確認にきたときには<修理180+32>によって無効化されます。採集した食物の25%は食べれるように見える毒物(POT2)です。<植物知識>に効果的成功をしなくてはこれをよりわけることはできません。
結果的には聖域で食糧を得るのは非常に難しくなります。例外は水で、これだけは特に問題はありません。
STR 15 部位 近接 発射 AP/HP
CON 25 右脚 01-04 01-03 0/6
SIZ 10 左脚 05-08 04-06 0/6
INT 19 腹部 09-11 07-10 0/6
POW 30 胸部 12 11-15 0/8
DEX 32 右腕 13-15 16-17 0/5
APP 26 左腕 16-18 18-19 0/5
移動:4 頭部 19-20 20 0/6
DEXSRM:1
耐久力:18
魔力:30+魔精1000
武器 SR 攻撃/受け ダメージ ENC/AP
聖木のスタッフ 4 72/119 2D8+1D4 4.5/20
木のジャベリン 1/4 42/-- 1D10+1D2 0/--
※木のジャベリンは1MP消費するとロコの手の中に現れる。1回投げたものは壊れて使えなくなる。
技能:<回避75+23><雄弁90+32><歌唱60+23><植物知識500+9><修理180+32><物を隠す180+32><視力54+27><聞き耳54+27><森の探査180+27*><隠れる180+1><忍び歩き180+1>
言語:<アルドリア語90+32/30+9><現地語90+32/30+9><西方語05+32/90+9>
※<森の探査>は彼女の森の中でのみ使える知覚技能です。これは距離や遮閉物に関係なく彼女の求めているものを捜し当てます。森の中でロコから隠れおおすのはまず無理でしょう。ロコは不定期に聖域の中を観察していますから、キャラクター達が聖域に入ったらマスターは1D100をロールします。
D100 侵入に対して 大青うさぎ
01~05 瞬時に気が付く 1ラウンド
06~11 1D20ラウンド 1ラウンド
12~42 3D6分 2ラウンド
43~95 1D6ターン 3ラウンド
96~ 1時間後に再ロール 5ラウンド
大青うさぎが戦闘に巻き込まれたなら記録フェイズに<聖域の探査>を行います。
ロコの精霊魔術(189-ENC):《かすみ》《棍棒》《呪払》《鈍剣》《消火》《消沈(2)》《治癒》《破裂(1)》《防護》《惑い(2)》《魔の矢》
彼女は魔精を持っており祈祷師としての能力も有する。《第二の眼》《霊話》を魔力を消費することなしに使用できる。精霊呪文はすべて魔精が覚えている。
ロコは可変型精霊呪文の強度をフリーINT(19)の範囲で強化することができる。よって可変型精霊呪文の最大強度は20になる。
ロコの魔精 INT13 POW 1000
特別な品物:聖木のスタッフは分類としてはトロウルモールだが、重量が4.5ENCしかなく必要STRは13になる。APは16だが、呪鍛銅のように32を超えるダメージを受けなければ減少しない。《魔力検知》などには反応しない。
ロコの戦い方:彼女はあまり戦いを好まないが、森や自分を守るため、もしくは大青うさぎを守るためなら必死に戦う。彼女は豊富なPOWを利用して《消沈》を投射する。そして相手を説得しようと試みる。説得に従わないのなら強制的に排除する。
距離があるうちは防具の薄い相手(AP6以下)には《魔の矢》を最大強度で使ってジャベリンを投射する。相手の装甲が厚いと見たなら近接戦に備えて《棍棒》《かすみ》《防護》の順に最大強度で投射する。時間が足りないなら《棍棒》だけでよい。彼女は肉体を破壊されることに恐怖を覚えないため、できるだけ圧倒的な攻撃力で相手を粉砕するのを優先する。近接戦ではSR3で《惑い》をかけ、SR10で攻撃する。受けを行えない相手はおよそこの一撃で行動不能に陥る。このときも武器を持つ手を狙い、できれば相手を降伏させようとする。
彼女の肉体はつくりものでしかない。耐久力が2以下になっても気絶しない。耐久力が0になったなら彼女は一時的に精霊界に帰るが、次のラウンドには肉体を得て神木から歩み出て来る。彼女は聖域の動物達を自由に操れるが、できるだけ彼らを傷つけようとはしない。肉体的な危機だけでなく神木や魂に危険が迫っているときだけ彼らを召喚する。鳥の群れはキャラクターの目をくらまし、猪や熊が襲いかかる。場合によっては恐竜や、もっと恐ろしい生物が現れるかもしれない!
CON 14 胴体 01-20 01-20 0/9
SIZ 03
INT 14
POW 21
DEX 24
移動:5
DEXSRM:1
耐久力:9
魔力:21
武器 SR 攻撃/受け ダメージ ENC/AP
噛みつき 8 65/-- 1D4-1D4 ---/--
技能:<回避110+04><言いくるめ77+10><人間知識60+4><聞き耳120+12><視力45+12><隠れる100+10><忍び歩き70+10><道に迷わせる52+4>
言語:<アルドリア語30+10><現地語80+10/30+4>
※言語はPCから《霊話》などをかけたときだけ意味を持ちます。
CON 10 胴体 01-20 01-20 0/6
SIZ 01
INT 02
POW 07
DEX 20
武器 SR 攻撃/受け ダメージ ENC/AP
噛みつき 8 23/-- 1D2-1D4 ---/--
技能:<回避80+15><隠れる90+22><ジャンプ75+15>
※うさぎは非常に体が小さいので、耐久力が2になっても気絶しません。耐久力が1になれば気絶します。
そのほかの登場人物に関してはデータ化が間に合いませんでした。各マスターが個々に設定して下さい。まことに申し訳ありません。
シナリオ「青うさぎ」
はじめに
このシナリオは時代・地域をほとんど選ばず、カルトの制限も「アーナールダに親しい」というだけです。ですから連続したキャンペーンにもとり入れやすいと思います。命の木
命の木は非常に長い年月を生きる特別な木です。見かけは広葉樹ですが、冬でも葉は散らず、虫や鳥や動物が木を荒すこともありません。この木の最大の特徴はその実にあります。実は見た目はクルミとそっくりです。クルミより色が緑がかっていますが、それ以外はほとんど違いがありません。命の木は地の季7~8週ぐらいに実をつけます。この実を食べた者は冬のあいだ(闇、嵐)歳をとらなくなります。この実が命の実と呼ばれるゆえんです。この効果は聖祝季になると失われます。これは保存してあるものについても同じで、つまり、けして貯め置きはできないということです。
命の木を育てるには適した土壌と宿る精霊が必要で、知性のある生物の死体を苗床にしなければ育ちません。条件を満たせばその生物の霊が木に宿り、7年目から、毎年精霊の知性(INT)と同じ個数の実がなることになります。土壌が適しているかどうかはマスターの任意です。ただし最低限、充分な自然に恵まれた場所でなくてはならないでしょう。
1.シナリオの背景
アーナールダの女祭テリガリアが行方不明になったのが事件の発端です。残された侍祭リュコが《神託》で彼女の居所を尋ねると、森の中の大きな木というイメージを得ました。リュコは狩人たちに案内されて森を回りましたが、それらしい風景は見あたたりません。しかしそのうちに狩人たちがある地域に入らないことに気がつきました。狩人たちに聞くと、そこは昔、聖なる地とされていたところで、いまはもう信仰するものはいないが、入り込んではいけないのだといいます。リュコが頼んでも狩人達はだれも中に入ろうとはしません。森の中で彼らなしでどうして彼女が生きていけるでしょう。
そこでリュコは森に探索に入る冒険者を探します。神性冒涜になるかもしれないような危険な任務は誰も引き受けないでしょう。女祭を助けられるのはPC達しかいないのです!
この聖なる森には亜神ともいえるドライアド、ロコがいます。彼女はこの森の神性であり、巨大な神木「命の木」に宿っています。神木には触れた者を青いうさぎに変えてしまう魔力があります。女祭テリガリアは青うさぎになってしまっています。記憶も知性も失って、草を食む日々をすごしているのです。
事件の原因は数百年前に遡ります。神木になる「命の実」を食べれば永遠の命を得られるという噂を信じたトリックスターのグロッケンシュピールは、ロコの恋人ラドルを殺しました。そして「ラドルは命の実を狙っている人間に殺された。俺はここを守ってくれるようにと彼に頼まれた。」と《虚言》を使って信じ込ませたのです。それ以来ロコは人間に非協力的になり、狩人達はこの森を崇めなくなりました。
グロッケンシュピールは自分だけが「命の実」の恩恵を受けるつもりでした。そしてロコの忠告を無視して神木に触り、やはり青うさぎになってしまいます。ロコの寵愛を受けていたグロッケンシュピールは完全なうさぎにはなりませんでしたが、知性が残ってしまったためにかえって苦しむことになりました。彼は逆恨みをして、森に出かけて人を神木まで誘いだしては青うさぎに変えることに楽しみを見いだしています。長年の間に何人かの犠牲者が出ています。テリガリアもこの悪意の被害者になったわけです。
2.町にて
この話に登場させる町はどこでも構いません。アーナールダの寺院があり、近くに狩人が暮らせるような森さえあれば、小さな村から大都市まで、どのようなところでも成り立ちます。キャラクター達はぶらっと立ち寄った旅人か、この町の住人でしょう。アーナールダと友好的なカルトに立ち寄れば、必ずこの話を聞くことができます。おおよそは次の通りです。
「テリガリア様が行方不明になってしまわれた。もう1週間にもなる。どうやら森で迷ったらしいが、誰も助けにいく者がいない」
なぜ助けに行く者がいないのかということをPC達が聞くなら、人々はこう答えます。
「さあねぇ。ただ狩人達がいかないっていってるんだから、なんかあるんでしょう。それじゃあ誰だっていきたくないよ。詳しい話はアーナールダ寺院のリュコ様に聞いてみるといいですよ。」
もしPC達が事件に関心を示すならば、詳しい話はアーナールダ寺院に行って聞いてくれということになります。PC達が関心を示さなかったとしても、テリガリアの身を案じるリュコが旅人がいるという話を聞きつけたなら、どうにか探索に行ってくれないかと懇願してきます。
アーナールダ寺院
寺院の規模は自由です。あまり大きくない方がテリガリアの不在が響くでしょう。とくにテリガリア一人でもっているような地方の社であったなら、アーナールダの信者達は必死でPC達を説得しようとします。リュコ F21
リュコはテリガリア付きの侍祭です。卓越した才能を持つ彼女は模範的なアーナールダ信徒でもあり、寺院の中でも大切にされている存在です。町のなかでも誰が彼女と結婚するかが男達の関心の的になっています。入信したときからテリガリアの側につき、彼女のことを姉とも母とも思っています。町の人々にはもう期待できないと悟った彼女は、最後となったら自分一人で森に入るつもりでいます。PC達に対しては寺院が以来した報酬以外に自分の全財産も、もしくは望むなら、自分自身さえも差し出そうとします。PC達が依頼を断わるならば、あきらめきった決断の表情をして出てゆき、次の日森に入って行方不明になります。
「テリガリア様は1週間前にとなり村へ御説教にいかれました。ところが次の日にこの町へ来たとなり村の者は、テリガリア様は来てなかったというのです。その次の日に来た村人もそういいますので、私は自分で隣村に行ってみました。するとテリガリア様が着かれた様子はなく、誰も見たものもいませんでした。そこで私は司祭様の身になにかあったのではないかと神にお尋ねいたしましたら、神は森と大きな木を示されました。」
「このあたりにある森と言えばひとつだけです。狩人達に頼んで案内していただいたのですが、特に大きいと言える木も見つかりませんでした。ですが森の奥の方に、狩人達が入ろうとしない場所があるのです。彼らに聞いてみると、そこは狩人達の間では"隠しの森"と呼ばれているところで、入ることは禁忌にふれるというのです。私が何故入ってはいけないのかと聞いても「だめだ」というばかりです。私にはとても森の中をひとりで歩くことはできません。お願いです。どうかテリガリア様を助けていただけないでしょうか」
また寺院にはテリガリアの3人の子供が引き取られています。テリガリアの夫は数年前に戦役で死んでいます。
マーシー F16
快活な少女。だが現在は深い哀しみで食事もとれない状態が続いている。健康を害する恐れもある。アーナールダの信徒。ローデリア F14
おとなしい女の子だが、頭の回転は速い。なんとかあの手この手でPC達に探索を引き受けさせようとする。ランドルフ M11
まだ遊びたい盛り。母の行方不明にいらいらしている。町での調査
町で獲られる情報は聖なる森のこと、命の実のこと、狩人マックのことの3つです。情報源によって分類してありますので適当な情報源を捜し当てたなら、個々の情報をPCに与えて下さい。賢者(ランカ-マイなど)
「あの森には×××年前(できれば100年以上)までは狩人達に信仰される聖地だった。しかしあるとき森の女神は狩人達に獲物を与えなくなった。それどころか森に入った者達が帰ってこなくなってしまった。そのためにあの森は畏怖と敬意を込めて"隠しの森"と言われている。狩人達は森の外苑部だけで狩りをするようになり、古の信仰は失われてしまった。いまでは詳しい資料は残っていない」吟遊詩人・長老など
「あの森は昔、聖なる地だったそうだよ。その聖木になる「命の実」は食べた者に永遠の命を与えるそうだ。しかしその木には大いなる守り手がいて、そいつを倒さない限りけして食べることはできないのさ。いまはただの伝説だ」狩人たち
PC達が案内を頼んでも狩人達からは冷たい返事が返って来るだけです。破格の報酬(1日100L以上)を約束すれば同意するかも知れませんが、前払いを要求します。「あの森がなんで隠しの森かって? それはよ、獲物も、帰り道も、いつのまにかなくなっちまうからだ。あの川から奥へ入ったら、いっぱしの狩人だって帰ってこれるとは限らねえのさ。悪いこたぁいわねぇ、あんたらもやめとくんだな」
「たまに毛皮を売りにくるマックちゅうやつは隠しの森に住んでるって噂だ。まゆつばもんだけどな。そいつがいつ町にくるか? わかんねえな。いちいちおぼえちゃいねえけど、1年に3回ぐらいかな。ま、ただの噂だよ。あんましあてにしないこった」
3.森の外苑部
森の外苑部というのは森の縁から地図にある小川までを指します。用意された地図の奥の方がどうなっているかは各マスターにまかされています。山になってることもあるでしょうし、また平地が開けているのかも知れません。「隠しの森」の境界があるのは確実ですが、この地域の狩人はそちらがわのことを知りません。ですからどこからが隠しの森かはわかりません。狩人達ははっきりと境界のわかる小川より向こうには行きません。
PC達が町で狩人に案内を頼んだとするなら、狩人達はとくに問題なく小川まで連れてきてくれます。PC達が自分達で隠しの森に行こうとするなら先導するひとりが代表して<世界知識>か<地図制作>をロールします。地図の通りに最短コースを通れば3時間です。RQには森の中を歩くための技能というのは設定されていませんので、これらの技能で代用するわけです。
森の中を移動するには以下の表をロールします。距離によってかかる時間に技能の結果による倍率をかけてください。夜移動する場合は技能を半分にして判定してください。
決定的成功:×1.0
効果的成功:×1.3
成功 :×1.6
失敗 :×2.0
ファンブル:完全に道に迷う。ヘクス方向を1D6で決定して、本来進む半分の距離を直進する。
森で1D20時間過ごすごとに「森の外苑部チャート」をロールします。これは起きていても寝ていても変わりません。
森の外苑部チャート
01 マック
02~04 移動時のみ:狩人(データにある一般的な狩人を使ってください)
05~06 移動時のみ:キャンプに最適の土地。水場もある。
07 移動時のみ:いっせいに鳥が飛び立つ
08 移動時のみ:敵意のない生物(下参照)
09 移動時のみ:敵意のある生物(下参照)
10~11 移動時のみ:通れない場所。移動時間が1時間余分にかかる。
12~13 雨が降りそうな天気。季節によって降る確率は異なります。この表はドラゴンパスでのものです。地方によって修正してください。降水確率以下で雨が降ります。雨の量は目安です。3で結構濡れる雨、8で大雨と思ってください。風も同様です。ただし森の中ですのでかなり緩和されるのは確かです。
海:60% 2D20時降り続く 雨1D6 風1D6
火:10% 1D6時間降り続く 雨1D2 風1D4
地:30% 3D20時間降り続く 雨1D8 風1D2
闇:60% 2D20時間降り続く 雨1D8 風1D6
嵐:90% 3D20時間降り続く 雨1D10 風2D4
14~16 敵意のない生物(兎、りす、鹿、狐、鳥など)
17~18 敵意のある生物(猪、猿、野犬、狼、大蛇、虫の群れなど)
19~20 大青うさぎ
4.マックとマックの小屋
マックはこの事件に直接の関わりはありませんが、非常に重要な手がかりを握っています。マスターはPCが森で迷っているときに彼を登場させても良いし、PC達が偶然彼の家を見つけるのにまかせておいても構いません。とりあえずPC達が特に無礼な態度をとらなければマックは友好的に接してきます。
彼に森の案内を頼めば彼の仕事の妨げにならない程度に引き受けてくれます。彼に案内されれば、隠しの森で迷うこともないでしょう。
マックの家はうわさとは異なり、隠しの森のすぐ外側にあります。小川までは20mぐらいで、家の回りは少し開けています。家のすぐ北側に3mぐらいの木があって、晴れた日には低いところの枝になめした皮がかけてあります。
マック
見た目は50歳ぐらい。がっしりとした体格で浅黒く焼けた肌をしています。白髪の混ざった茶色の髪は無造作に刈ってあり、硬そうなこげ茶の髭が生えています。口数が極端に少なく、話し方もぶっきらぼうですが、何かしら安心感を与えてくれる男です。服装は綺麗ではありませんが上質の革を使っていて、泥で汚れていることはあっても不潔ではありません。彼は隠しの森の中を思った通りに歩くことのできるただひとりの人間です。彼は数十年前までは「狩人」のマスターハンターでした。しかし彼はただ自然を見つめ続けるうちに、森を神格化するのをやめてしまいました。彼はカルトの礼拝に参加しなくなり、しだいに人付き合いもなくなりました。
いまの彼はある意味でヒーローです。優れた狩人としての能力は持っていますが、歳も取るし、特別な魔力があるわけでもありません。しかし彼は道のない森の中を時速2kmで移動できます。常に水と食糧を得られ、森で迷うことはありません。嵐は友であり、夜は恋人であり、敵は我が子なのです。
マックは100歳を越えています。本当の年齢は自分でもよく覚えていません。ラドルの木から命の実をそれと知らずに食べているので見た目が50代なのです。彼は命の実の効果には気づいていませんし、気づいたとしても、特に執着は示しません。
けしておごらず。生きることと死ぬことを同じように愛し、ただ日々を過ごす彼には神々さえ敬意をはらうでしょう。
マックは右手の小指に指輪をはめています。これは最初に会ったときにD100をロールしてPOW以下をロールすれば気づきます。そうでなければ森のなかの夢を気にして「指輪がないか見る」といった宣言をしなければわからないでしょう。
この指輪はラドルの死体が持っていたものです。指輪のことを聞かれればマックは死体がはめていたと言います。死体について聞かれれば素直に庭に埋めたと答えます。
マックの家
マックの家は小さな丸太小屋です。見た目は粗末ですが造りは良く、丸太と丸太のあいだはうまく塗り固められているので適度に暖かで、それでいて風通しもよいのです。a.作業場
ここはマックが屠殺や革をなめしたりするところです。北の端には簡単な窯のような物があります。青銅程度の物なら溶かすことのできる炉です。また、冬には簡易の暖房にもなります。この部屋は広く窓が取られていて、そこには動物の革が張られています。b.台所兼物置
部屋のまん中には小さくて頑丈そうなテーブルと木を輪切りにしただけのイスがあります。東の隅には石と土で造られた暖炉があり、なかには金属の鍋が置かれているのが見えます。部屋全体に食糧や薪、そのほか生活に必要なものが雑然と積み重なっています。外と作業場に面したドアにはかんぬきがあります。外へのドアは夜は閉まっています。作業場へのかんぬきがかけられることは普通ありません。c.寝室
台所より20cmほど高くなっています。床にも壁にも毛皮が張られています。この部屋には椅子はなく、いくつかの木箱があるだけです。木箱のひとつはテーブルとしても使われていて、上にはランプが置かれています。南の隅には寝るための毛皮が積み重ねられています。ラドルの木
グロッケンシュピールに殺されたとき、ラドルはロコにもらった「命の実」を懐に持っていました。死体は数年のあいだ野ざらしになっていましたが、マックが見つけ、家の裏庭に埋めました。いまではそこからロコの宿っているのと同じ「命の木」が生えています。マックの家に行ったとき、PCの誰か一人でも<植物知識>に成功すればそれが普通の木ではないことがわかります。ロコの神木を見たことがあれば、それが同じものであることにも気づくでしょう。秋であれば命の実もなっています。マックの裏庭に生えた命の木にはラドルが宿っています。もしPC達が木に触れたなら、ラドルは自分の悲劇を訴えかけてきます。マックはラドルのことも知っていますが、特に介入する意志は持ってません。
もしPC達がラドルの無念をはらすと約束したなら、ラドルは自分の死体を掘り起こしてロコの木まで連れていってくれと頼みます。ゴーストになっているラドルがロコに真相を話せばロコは過ちに気づくでしょう。ただしマックの庭の命の木はその効果を失い、二度と戻ることはありません。そして同じ地域だからといって、再び命の木が育つとは限りません。
PC達が頼みを聞かないからといってラドルが危害を加えるというようなことはありません。
4.隠しの森
小川を渡るとそこはロコの勢力範囲内に入ります。狩人達のいう「隠しの森」です。
「隠しの森」に入ると方位を示す魔術、探索をする魔術はすべて効果を失います。<地図製作>技能を持つキャラクターは1日の探索を終えて<地図製作>ロールに成功すれば、そこが魔力的な土地だと気づきます。毎日<地図製作>に効果的成功をしていれば、魔力的効果を排除してこの地の地図を作ることができます。
まちがいなく地図を書けた場所以外を通るなら、森は侵入者を迷わせます。「東へまっすぐ進む」だとか「低い方へ低い方へと進む」といった常識的な対応をしても、けして正しい道を見つけることはできません。よけい迷うだけです。カンで進むなら、先導する一人が「森から出る」か「中心部へ向かう」かを決めてD100をロールをします。ロールの結果がPOW以下ならば、その日のうちに目指した場所に着きます。ロールがPOWを越えている5%につき1日が余分にかかります。ロールが96以上なら、20日さまよって、さらに再ロールをします。当然この結果はPC達にはわかりません。決まった日数は途中で目標を変更しても変わることはありません。つまり「中心部へ向かう」と決めて10日かかるとします。そうすると3日目に「森から出る」と方針変更しても再ロールは行わず、残り7日間をかけて森から出ることになります。
隠しの森の力は空までは及びません。ですから連続して3kmぐらい飛べれば(《飛翔》呪文で2回程度です)迷わずに目的地につけます。ただし途中で着陸してはいけません。隠しの森では1D20時間経つたびに「隠しの森チャート」をロールします。
隠しの森チャート(D20)
01~02 マック
03 移動時のみ:敵意のない生物(下参照)
04 移動時のみ:敵意のある生物(下参照)
05 移動時のみ:知らない場所に飛ばされる。
06~07 雨が降りそうな天気。季節によって降る確率は異なります。この表はドラゴンパスでのものです。地方によって修正してください。降水確率以下で雨が降ります。雨の量は目安です。3で結構濡れる雨、8で大雨と思ってください。風も同様です。ただし森の中ですのでかなり緩和されるのは確かです。
海:60% 2D20時降り続く 雨1D6 風1D6
火:10% 1D6時間降り続く 雨1D2 風1D4
地:30% 3D20時間降り続く 雨1D8 風1D2
闇:60% 2D20時間降り続く 雨1D8 風1D6
嵐:90% 3D20時間降り続く 雨1D10 風2D4
08 木の影から敵意ある視線を感じる、森の中からくすくす笑いやひそひそ話が聞こえる・・・など。マスターが「悪意」を演出してください。
09~10 知らない場所に飛ばされる。隠しの森の中のランダムなヘクスに移動。
11~12 敵意のない生物(兎、りす、鹿、狐、鳥など)
13~14 精霊(ゴースト、妖精など)が側を通ってゆく。
15~16 敵意ある生物(レイス、ゴースト、チョンチョン、山猫、熊、猪、狼、大蛇)
17~20 大青ウサギ。グロッケンシュピールの項を参照。
森の中での夢
森の中で睡眠を取ったならば、POW×1をロールします。これに成功したPCは以下の夢のどれか見ます。どれを見るかはマスターの任意とします。複数のPCが成功しても同じ日に見るのは必ず同じ夢です。夢はロコの強い記憶を森が再現しているのです。夢1.闇の中に大きな焚火の光が見える。大勢の狩人が森の中がぽかっと開けたところに集まっている。彼らは火の回りで歌い、踊り、こちらに向かって祈っている。動物達も木々の間から歩み出てきて、人も火も怖がりもせずに一緒になって跳ね回る。一匹の鹿に手を伸ばすと、頭をたれてすりよってくる。恍惚感が体をつつみ、新たに力が湧いてくる。
夢2.自分と並んで中年の狩人が座っている。うららかな日差しが森の木々の葉を緑に光らせている。彼の瞳を見ていると、心が吸い込まれそうになる。男に指輪を渡すと、男は照れたような顔をして髪を手ですきながら、ゆっくりと頭を撫でてくれる。指輪は木の蔓が三本絡み合っているもので、不思議なことにどこにも継目が見えない。
夢3.背の高い痩せた男があなたに向かって話しかけてくる。「ロコ様、ラドルは殺されました。この木になる、命の実を狙うものどもにです。私は彼の頼みを受けてきたのです、あなたを守ってくれと!。ラドルは私の親友でした。もう何年もあっていませんでしたが、彼を尋ねるたびに私にいろいろなことも語ってくれました・・・」。男の話は真に迫っていて、とても嘘とは思えない。信じたくないとは思いながらも、彼が殺されたのだというのが真実なのだとわかる。哀しみはまだ感じない。しかし、怒りが、ゆっくりと、膨れ上がって来るのを感じる。
夢の背景
ロコには人間の恋人がいました。名をラドルといい、腕のいい狩人でした。ふたりは深くお互いを理解していて、ラドルの率いた狩りの祭典は毎年すばらしいものでしたし、ラドルの仲間達はけして森への感謝を忘れませんでした。ロコは人々の思いの受け皿となり、小さいながらもこの地の人々に慕われる狩人のカルトになりました。
ラドルはロコにもらった”命の実”を食べていましたので歳をあまりとりませんでした。あるときトリックスターのグロッケンシュピールがこれを不審に思い、ラドルの後をつけ、聖木の横でラドルとロコが逢うのを見ました。そして聖木になる命の実を食べさせているのを見ました。さらに彼はロコの美しさにも心を奪われ、なんとかあの不思議な木の実とロコとを手に入れたいと考えたのです。
グロッケンシュピールはラドルがロコの森からでたところで、毒のついた矢で殺しました。そしてしばらくしてからグロッケンシュピールはロコのところに行き、「ラドルは命の実を狙っている人間に殺された。俺はここを守ってくれるようにと彼に頼まれた。」と《虚言》を使って信じ込ませたのです。それ以来ロコは人間に非協力的になり、狩人達はこの森を崇めなくなりました。
5.聖域・神木・青うさぎ
「聖域」と回りの隠しの森とは森自体に特に違いがあるわけではありません。聖域とはロコの森のなかで神木の見える範囲、およそ半径100mを指します。隠しの森の中なら案内してくれるマックもこの地域へは入ろうとしません。彼はキャラクター達に脅かされたりすかされたりしても、まったく応じません。彼は「私はいくべきではない」というだけです。キャラクター達が力で従わせようとするならば死ぬまで抗戦します。
まず見えるのは直径40m程の円形の草地です。すこし盛り上がった地面からは高さ20m、直径20m、幹の直径が6mという巨大な木が生えています。葉は広葉樹の特徴を示していますが、冬でも青々と生い茂っています。これがこの森の神木、つまり、命の木です。
神木の回りには青うさぎが何匹かいます。うさぎ達は幸せそうに草を食んでいます。
青うさぎ
青うさぎはこの森に迷い込んで神木に触れてしまった被害者達です。PC達が姿を表しても、3mに近づくまでは逃げようとしません。ここには10匹を用意しておきますが、増やしても減らしてもかまいません。うさぎに変えられている間は死にませんから、時代を超えた人物を出すことができます。何十年も前に行方不明になった重要人物などを前のシナリオで出しておいて、ここに配置しておくなど、さまざまな使い方ができるでしょう。
青うさぎは神木から100m以上離れると(つまり聖域を離れると)弱りはじめます。10m毎にCONを1失い、200mを越えると死ぬことになります。一度減少したCONは神木の近くまで戻されても戻ることはありません。シチュエーションによってはキャラクター達がうさぎが弱っていくのに気づかないこともありえます。袋に入れて運んだうさぎは、いつのまにか死んでいることになるでしょう。
うさぎを捕まえる
聖木の回りは開けた草地です。うさぎが身を隠すところはありませんが、人間も隠れることはできません。うさぎを殺さずに捕まえるには、森との境界線付近で待ち伏せるか、人海戦術で回りを囲むかというところでしょう。また《破裂》で耐久力を1にして気絶させるという方法もありますが、うさぎが死ぬ可能性もあることを指摘しておきます。うさぎは逃げるときに神木を盾にします。あまり熱を入れて追いかけると、勢い余って神木に触れてしまう、ということもあるかもしれません。
青うさぎ達
どの青うさぎを捕まえたかはマスターが決定します。青うさぎ達が人間に戻ったときにどういう反応をするかもこのシナリオのひとつの盛り上がりになります。山賊達はPC達に正体がばれるまえに逃げようとするかも知れませんし、娘達は哀しみに暮れて自決するものもでるかもしれません。マスターはドラマティックに演出するように心がけて下さい。1:マゼンタ 男23歳。山賊3。山賊の下っ端。強い者には下手に出るが、自分より弱いものは徹底的にいたぶる。
2:アルフ 男27歳。山賊2。一本ネジが抜けた感じの男。人を傷つけたり殺したりすることをなんとも思っていない。
3:"隻眼"ボパッソ 男37歳。山賊1。山賊のリーダー。
4:"せっかち"ラリー 男14歳。森で迷った。非常に早口で喋る。
5:ディラ 女27歳。森で迷った。
6:ベルベット 女18歳。山賊にさらわれた娘。
7:ハミリカ 女20歳。山賊にさらわれた娘
8:ジョン(仮名) 男23歳。放浪の吟遊詩人という触れ込みの極悪非道なサギ師。リアンをたぶらかしたが、親に本心を看破された。村から追い出されたときにリアンも連れだし、適当に始末するつもりでいたのだが、眠ろうとして神木によりかかって青うさぎになってしまった。
9:リアン 女16歳。ジョンに騙されている。彼にすべてを捧げ、心底惚れてしまっている。ジョンがうさぎに変わってしまったのを見て、自分も後を追ったけなげな娘。もし誰かがジョンに疑いをかけようものなら必死でかばう。
10:テリガリア 女祭。
青うさぎを人間に戻すには
青うさぎを人間に戻すには3つの方法が考えられます。ひとつはロコを説得して彼女に戻してもらうことです。ふたつめは神木を焼いたり、伐ったりしてしまうことです。みっつめは強度30の呪文と考えて呪払系呪文(<呪払><魔力消散><中和>)で解除することです。PCが木に触れて青うさぎになってしまうことも考えられます。全員が青うさぎになってしまったらもちろん話は終わりです。何年かのちに他の冒険者によって助け出されたシーンから始めるのがよいでしょう。
6.ロコ-神木のドライアド
彼女はこの聖地を司る神性です。アーナールダとオデイラの娘とも言われています。グロッケンシュピールにたぶらかされてから彼女は信徒を失いましたが、いまだ強力な力を持っています。英雄的な能力を持つ者でさえ彼女と戦うのはけして正解ではありません。
PC達が隠しの森に入ったなら、彼女はまもなくそれに気が付きます(詳しくはロコの技能<森の探査>を参照)。彼女は人間に悪意とはいかないまでも、好意は持っていません。PC達が森で何をするかを注意深く見ています。彼女はすすんで危害を加えようとはしませんが、PC達が森で狩りをするなら獲物を隠したり、罠を外したりします(「森での狩り」参照)。彼女は隠しの森の中ならどこへでも1ラウンドで移動できます。木の中へ歩み入って、別の木から出てきます。このくらいでロコがPC達の前に姿を顕すことはありません。
また森を燃やす、木を切り倒す、意味もなく動植物を傷つけるなどした場合は彼女自身が復讐にきます。ただしその場合もほとんど姿は見せません。《消火20》がありますので滅多なことでは火災は広がりません。しかし何人もで同時に別の場所で火をつければ、ロコはその全てには対応できません。
ロコがいちばん気にかけているのは神木と大青うさぎです。
神木はロコの本当の肉体です。神木を破壊されたら彼女は死んでしまいます。ですから神木に人が近づいてきたなら、必ず木の上からこちらを見ています。PCが木を見上げて<視力>に効果的成功をすればなにかが木の上にいるのがわかります。<視力>が決定的成功ならばほのかに光る女性の姿がわかります。ロコは気づかれたと思ったら姿を消しますが、PCが話しかけたなら声だけで応答します。彼女は「この木にさわってはいけません」「この森から早く出ていきなさい」と言います。
大青うさぎは彼女にとって、死んだ恋人との最後のつながりです。彼女は大青うさぎが危機に陥ったなら姿を顕し、彼が無事に逃げるまで戦います。
本来の神性を忘れてしまったロコは本来の力のいくつかを失っています。青うさぎを元に戻すこともできません。彼女はなぜ自分が力を失ったのかを悩み、悲しんでいます。彼女がグロッケンシュピールに騙されていることに気づけば、再び本来の力を取り戻します。ただしロコはグロッケンシュピールの<虚言>の効果を受けていますので、呪文の解説にある通りに「この嘘が間違いであるという明白な証を得るまで」、騙されていることに気づきません。普通の説得の方法ではなかなかうまくいかないでしょう。もっとも簡単な方法は恋人(ラドル)の死体を持ってくることでしょう。また、PCの言動に充分に説得力があるならば<雄弁>に成功をすれば、ロコは半信半疑の状態になります。<雄弁>が効果的成功だったならばロコは過ちに気づきます。
彼女の詳しいデーターに関してはデーター部のロコの項を参照してください。
7.大青うさぎ-グロッケンシュピール
グロッケンシュピール、彼はトリックスターの信徒です。正式にカルトがどこなのかはシナリオの舞台とする地方によって異なります。確実なのは<虚言>を持っている事です。どのみち大青うさぎのままでは呪文も使えません。
うさぎのままで使える技能はキャラクターデーターとして起こしてあります。彼が人間に戻れる事もあるでしょう。その場合は各マスターが独自に作ってください。
彼はあらゆる人間に悪意を抱いて、森に入ったキャラクター達を神木まで誘い出して青うさぎにしてしまおうとします。ですからPC達の前に姿を現したら、知性を持っているのを見せつけるように振る舞います。そして彼の後をついてこさせるのです。もし彼にPC達が<霊話>などで話しかけたなら、「私は命の木のある場所を知ってるよ。その木にはとても素敵な実がなっている。案内をしてあげるよ」と言ってきます。彼はPC達に対して常に警戒していますので、背中を見せたり、騙されたりする事はないでしょう。神木の見えるところまで案内したら彼は森の中に消えます。
神木がなくなれば彼は人間に戻れます。しかし彼はそれを知りませんし、やろうとしてもロコがいる限り無理でしょう。もしPC達が結果として彼をもとに戻したなら、彼は彼なりに感謝してPC達についてきます。もちろんキャラクター達が彼を許せば・・・ですが。
8.事件の終わり
この話の展開としてはいくつか考えられますが主な結末を以下にあげておきます。- 神木が切られた、燃やされた
グロッケンシュピールだけは火事で死ななければ元の姿に戻ります。彼がいままで森を燃やさなかったのは戻るかどうかわからなかったからです。
- ラドルがロコを説得した。
グロッケンシュピールが先に気づいていれば、急いで森から逃げだします。ただ知恵はあっても体がうさぎですから・・・ロコの保護を失った彼の前途は暗いでしょう。まあ運よく生き残れば、キャラクター達を逆恨みして、なにか仕掛けて来るかもしれません。
- PC達が話に関わろうとしなかった
聖域で狩りをするならば、執拗に邪魔が入ります。近接戦闘をしようとすると足元に草が絡みつき、攻撃、回避に-25%の修正がつきます。弓を射ったり魔法を投射しようとするとなら、木が50%の確立で目標をカバーしてしまいます。いったん隠れた動物は<物を隠す180+32>で隠されたように、見つかりにくくなります。罠を仕掛けたなら次に確認にきたときには<修理180+32>によって無効化されます。採集した食物の25%は食べれるように見える毒物(POT2)です。<植物知識>に効果的成功をしなくてはこれをよりわけることはできません。
結果的には聖域で食糧を得るのは非常に難しくなります。例外は水で、これだけは特に問題はありません。
ロコ--神木のドライアド
STR 15 部位 近接 発射 AP/HP
CON 25 右脚 01-04 01-03 0/6
SIZ 10 左脚 05-08 04-06 0/6
INT 19 腹部 09-11 07-10 0/6
POW 30 胸部 12 11-15 0/8
DEX 32 右腕 13-15 16-17 0/5
APP 26 左腕 16-18 18-19 0/5
移動:4 頭部 19-20 20 0/6
DEXSRM:1
耐久力:18
魔力:30+魔精1000
武器 SR 攻撃/受け ダメージ ENC/AP
聖木のスタッフ 4 72/119 2D8+1D4 4.5/20
木のジャベリン 1/4 42/-- 1D10+1D2 0/--
※木のジャベリンは1MP消費するとロコの手の中に現れる。1回投げたものは壊れて使えなくなる。
技能:<回避75+23><雄弁90+32><歌唱60+23><植物知識500+9><修理180+32><物を隠す180+32><視力54+27><聞き耳54+27><森の探査180+27*><隠れる180+1><忍び歩き180+1>
言語:<アルドリア語90+32/30+9><現地語90+32/30+9><西方語05+32/90+9>
※<森の探査>は彼女の森の中でのみ使える知覚技能です。これは距離や遮閉物に関係なく彼女の求めているものを捜し当てます。森の中でロコから隠れおおすのはまず無理でしょう。ロコは不定期に聖域の中を観察していますから、キャラクター達が聖域に入ったらマスターは1D100をロールします。
D100 侵入に対して 大青うさぎ
01~05 瞬時に気が付く 1ラウンド
06~11 1D20ラウンド 1ラウンド
12~42 3D6分 2ラウンド
43~95 1D6ターン 3ラウンド
96~ 1時間後に再ロール 5ラウンド
大青うさぎが戦闘に巻き込まれたなら記録フェイズに<聖域の探査>を行います。
ロコの精霊魔術(189-ENC):《かすみ》《棍棒》《呪払》《鈍剣》《消火》《消沈(2)》《治癒》《破裂(1)》《防護》《惑い(2)》《魔の矢》
彼女は魔精を持っており祈祷師としての能力も有する。《第二の眼》《霊話》を魔力を消費することなしに使用できる。精霊呪文はすべて魔精が覚えている。
ロコは可変型精霊呪文の強度をフリーINT(19)の範囲で強化することができる。よって可変型精霊呪文の最大強度は20になる。
ロコの魔精 INT13 POW 1000
特別な品物:聖木のスタッフは分類としてはトロウルモールだが、重量が4.5ENCしかなく必要STRは13になる。APは16だが、呪鍛銅のように32を超えるダメージを受けなければ減少しない。《魔力検知》などには反応しない。
ロコの戦い方:彼女はあまり戦いを好まないが、森や自分を守るため、もしくは大青うさぎを守るためなら必死に戦う。彼女は豊富なPOWを利用して《消沈》を投射する。そして相手を説得しようと試みる。説得に従わないのなら強制的に排除する。
距離があるうちは防具の薄い相手(AP6以下)には《魔の矢》を最大強度で使ってジャベリンを投射する。相手の装甲が厚いと見たなら近接戦に備えて《棍棒》《かすみ》《防護》の順に最大強度で投射する。時間が足りないなら《棍棒》だけでよい。彼女は肉体を破壊されることに恐怖を覚えないため、できるだけ圧倒的な攻撃力で相手を粉砕するのを優先する。近接戦ではSR3で《惑い》をかけ、SR10で攻撃する。受けを行えない相手はおよそこの一撃で行動不能に陥る。このときも武器を持つ手を狙い、できれば相手を降伏させようとする。
彼女の肉体はつくりものでしかない。耐久力が2以下になっても気絶しない。耐久力が0になったなら彼女は一時的に精霊界に帰るが、次のラウンドには肉体を得て神木から歩み出て来る。彼女は聖域の動物達を自由に操れるが、できるだけ彼らを傷つけようとはしない。肉体的な危機だけでなく神木や魂に危険が迫っているときだけ彼らを召喚する。鳥の群れはキャラクターの目をくらまし、猪や熊が襲いかかる。場合によっては恐竜や、もっと恐ろしい生物が現れるかもしれない!
グロッケンシュピール--大青うさぎ
STR 03 部位 近接 発射 AP/HPCON 14 胴体 01-20 01-20 0/9
SIZ 03
INT 14
POW 21
DEX 24
移動:5
DEXSRM:1
耐久力:9
魔力:21
武器 SR 攻撃/受け ダメージ ENC/AP
噛みつき 8 65/-- 1D4-1D4 ---/--
技能:<回避110+04><言いくるめ77+10><人間知識60+4><聞き耳120+12><視力45+12><隠れる100+10><忍び歩き70+10><道に迷わせる52+4>
言語:<アルドリア語30+10><現地語80+10/30+4>
※言語はPCから《霊話》などをかけたときだけ意味を持ちます。
青うさぎ
STR 01 部位 近接 発射 AP/HCON 10 胴体 01-20 01-20 0/6
SIZ 01
INT 02
POW 07
DEX 20
武器 SR 攻撃/受け ダメージ ENC/AP
噛みつき 8 23/-- 1D2-1D4 ---/--
技能:<回避80+15><隠れる90+22><ジャンプ75+15>
※うさぎは非常に体が小さいので、耐久力が2になっても気絶しません。耐久力が1になれば気絶します。
そのほかの登場人物に関してはデータ化が間に合いませんでした。各マスターが個々に設定して下さい。まことに申し訳ありません。