紅天の夜、辰砂色に染まる平安の都
映り輝く建造物は皆、黒と赤のコントラストに彩られ、妖しき沈黙を保つ
1200年の歴史を積み上げたこの遺産も、今や殺し合いの舞台に過ぎない
映り輝く建造物は皆、黒と赤のコントラストに彩られ、妖しき沈黙を保つ
1200年の歴史を積み上げたこの遺産も、今や殺し合いの舞台に過ぎない
故に告げる。既に、人を超えし魔境に至った者達の戦場は始まっているのだ
○
それは、言うなれば天外魔境。周囲の壁は泥の如く溶け落ち、かつての無機質な美しさは見るも無惨。
驚くべきは、それを実現したのはたった一人の'異形'である
驚くべきは、それを実現したのはたった一人の'異形'である
それは、その額に3つ目の『瞳』を持った異形。右腕は黒く、鋼鉄の義手。生身たる左腕を振り翳せば、たちまち古都の建造物は溶け落ちる
が、異形がただ闇雲に破壊のためだけに、この力を奮っているわけではない、異形には、戦う相手がいる
が、異形がただ闇雲に破壊のためだけに、この力を奮っているわけではない、異形には、戦う相手がいる
(ちょこまかと)
ある意味、異形にとっては信じられない相手であった。災害とも称すべき腐敗の異能を、その身一つで避けきっている一人の女性
判別の証は発動時の煙。だが無味無臭目視不可能、その気になれば強酸の豪雨を降らせられる異形の、その理不尽に等しい能力を、天性の才能とも言わんばかりの直感で避け続ける
腐敗の異能が場を支配する中、ただ一本溶けず錆びずの刀を携え、紫のショートポニーを風に泳がせ縦横無尽、天衣無縫に立ち振る舞うその姿はまさに戦乙女、女牛若
判別の証は発動時の煙。だが無味無臭目視不可能、その気になれば強酸の豪雨を降らせられる異形の、その理不尽に等しい能力を、天性の才能とも言わんばかりの直感で避け続ける
腐敗の異能が場を支配する中、ただ一本溶けず錆びずの刀を携え、紫のショートポニーを風に泳がせ縦横無尽、天衣無縫に立ち振る舞うその姿はまさに戦乙女、女牛若
「どうしたの? 能力にかまけてばっかじゃ、あたしは殺せないよ!」
「……調子に乗るな」
「……調子に乗るな」
異形は、女の挑発に苛つきながらも、内心楽しさの感情が湧いていた。なぜなら、異形にとって久しぶりの『戦い』だったからだ
○
訳がわからない、それと同時に期待感が生まれていた
今まで人間どもを殺して殺して殺して殺して殺し続けて、地下シェルターで130年も眠り続け、ようやく外に出て、人間たちと戦えると思っていればこの有様だ
人間は弱くなりすぎた、中世レベルまで落ちぶれた。遺伝子改造までして生き延びたそれは、最早自分が追い求めてた戦いの相手ではなかった
だが、ここは何だ? あのメフィスとフェレスとか言った異形は殺し合えと言った? 説明での周囲には人間が居た、同じ異形も居た。ならば、ここは……
「ねぇ、そこのあんた? 出会いがてらごめんだけど、ここ平安京であってる?」
気がづけば目の前に女が居た。……まるで21世紀の人間の出で立ち
「……貴様は、強いのか?」
「強い? んー、まあ、うーん……。自分が言うのも何だと思うけどさ? 強いよ、私」
「強い? んー、まあ、うーん……。自分が言うのも何だと思うけどさ? 強いよ、私」
その言葉を聞いた瞬間――――俺の中の期待感が、爆発した
○
(ってまあ、ほんと無茶苦茶なやつ! 大荒魂でもこんなたいそれたこと出来るのはタギツヒメぐらいだっての!)
藤原美奈都は心の内で目の前の異形との戦いのなか、愚痴という名の思考を張り巡らせる
自分なんかを隠世から呼び出して、剰えみんなで殺し合え等という馬鹿げた宣言。娘とは本当の意味で最後のお別れをしたから今更二度目のせいにそこまで興味はないとは言え、殺し合いなんて催しは元刀使としては見過ごせない
自分なんかを隠世から呼び出して、剰えみんなで殺し合え等という馬鹿げた宣言。娘とは本当の意味で最後のお別れをしたから今更二度目のせいにそこまで興味はないとは言え、殺し合いなんて催しは元刀使としては見過ごせない
だが、最初に出会ったのがとにかく悪すぎた。いきなり強いかどうか尋ねられて反射的に答えたのが運の尽き。目の前の異形が全力で殺しにかかってきた
戦うことは嫌いではないが、殺し合いなんて以ての外だ。だが、直感で理解できた。
―――目の前の異形は、とてつもなーく強い、と
戦うことは嫌いではないが、殺し合いなんて以ての外だ。だが、直感で理解できた。
―――目の前の異形は、とてつもなーく強い、と
(腐食の力に、生身での戦闘も手慣れてるって、手強すぎるっての!)
距離を離せば何もかもを溶かす不可視の腐敗、距離を詰めれば壁を一斉に崩壊させるその拳。そして何よりその立ち回りだ。一体どれだけの年月を費やし鍛え、蓄えたのかわからない程に
さっき挑発したのがまずかったのか、能力頼りから、近距離を交えたオールラウンダーの戦い方
さっき挑発したのがまずかったのか、能力頼りから、近距離を交えたオールラウンダーの戦い方
「どうした人間、さっきのは威勢だけか?」
「どうだかねぇ? でも、おねーさんとしてはどうして殺しにかかってきたのか、解んないんだけど」
「貴様らには関係のない話だ。人間どもは殺す、殺し尽くす。ただそれだけの話だ。貴様は自分のことを強いと言ったが―――失望させるなよ」
「どうだかねぇ? でも、おねーさんとしてはどうして殺しにかかってきたのか、解んないんだけど」
「貴様らには関係のない話だ。人間どもは殺す、殺し尽くす。ただそれだけの話だ。貴様は自分のことを強いと言ったが―――失望させるなよ」
その目は明らかに殺意の籠もった、それと同時に何かを期待してる目だ。だが、どちらかと言えば期待はほとんどしていないという目、人間への失望と憎悪が入り混じった、どす黒い瞳
美奈都の全身から汗が吹き出している。今まで出会ったことのない強敵への期待に。殺し合いの場だと言うのに不謹慎ではあるが、ある意味美奈都はこの状況を楽しんではいる
美奈都の全身から汗が吹き出している。今まで出会ったことのない強敵への期待に。殺し合いの場だと言うのに不謹慎ではあるが、ある意味美奈都はこの状況を楽しんではいる
(……せめてこの手に千鳥があればよかったんだけど)
今の藤原美奈都の手元にあるのは、使い慣れた千鳥ではなく、明神切村正という大業物。だが、こう戦いながら分かるのは、この刀はずっしりと重い。純粋な重量ではなく、刀に込められた神力が。まるで持ち主の魂を食らう妖刀と言わんばかりに。だが―――
「ねぇ、あんた。もしこの殺し合いから出れたら、どうするの?」
「貴様に何の関係がある? さっき言ったはずだぞ、人間どもは殺すと。他に人間がいるなら、尚更な」
「……あっそ」
「貴様に何の関係がある? さっき言ったはずだぞ、人間どもは殺すと。他に人間がいるなら、尚更な」
「……あっそ」
それを言われては、覚悟を決める他ない。ここでこの異形はぶっ倒す他なし。未だ生きている娘と、友人の娘の未来のためにも
「……本気か」
「ええ。本気ったら本気。だから、死んでも恨まないでよ」
「ええ。本気ったら本気。だから、死んでも恨まないでよ」
刹那交錯。美奈都の動きはまさに神速の動きであった
「……!」
腐食の煙、強酸性の水弾、美奈都が刹那で避けた場所は既に死地。死地を避け続ける、そして隙間となりうる一彗の光明を見いださんと
異形の目は失望から喜びへと僅かに変化していた。それは、まるで待ち望んでいた相手と戦えたプロボクサーのように
異形の目は失望から喜びへと僅かに変化していた。それは、まるで待ち望んでいた相手と戦えたプロボクサーのように
「舐めるなよ、人間っっっ!!!」
降り注ぐは異形を中心とした広範囲の酸性雨。最後のチャンス。藤原美奈都は突貫する。
溶けていく、刀が錆びていく、腐っていく。彼女の体も、肌も―――全身が高熱で劈かれるような激痛に顔を歪ませながら。それでもただ一刀の内に
溶けていく、刀が錆びていく、腐っていく。彼女の体も、肌も―――全身が高熱で劈かれるような激痛に顔を歪ませながら。それでもただ一刀の内に
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!」
「あの雨の中で突貫してくるか……!」
「あの雨の中で突貫してくるか……!」
異形は美奈都の意志に目を輝かせている。強さは兎も角、その意志は確実に今まで戦ってきた人間の中で、最高だと
「だが、無謀だったな!!」
待ち構えてたばかりと、拳を振り上げる準備を異形は出来ている。が、異形の顔面に飛んできたのは、藤原美奈都の右腕
「な、にぃっ!?」
「右腕ぐらい、くれてやるよっっっ!」
「右腕ぐらい、くれてやるよっっっ!」
咄嗟に振り払えば、今にも折れそうな明神切村正を構え、左手一本で、体中が腐る激痛に身を耐えながら、自らに近づいていく藤原美奈都の姿
「ああああああああああああっっっっっっ!!!」
「まず、い……!」
「まず、い……!」
咄嗟の判断のせいで、タイミングがずれた。恐らく、自分が距離を調整して拳を放つよりも、目の前の女が刀を振り下ろす方が早いと
異形は悟った、自分がここで負けるのか、と。だが、それもまた良かったのかも知れないと悟る。最後の最後で、強敵と戦えた事に、だが――――
異形は悟った、自分がここで負けるのか、と。だが、それもまた良かったのかも知れないと悟る。最後の最後で、強敵と戦えた事に、だが――――
「……?」
逸した目を、瞑った目を開けば。何も来なかった。いや、そこには倒れ伏した女が居た。酸性雨は止んでいた。女の手には、ぽっきり錆付き折れて、原型を留めていなかった刀が一本
「……そうか」
異形は悟った。女は既に死んでいた事に。限界を越えて酸性雨を浴びたその身でまともな生命活動など出来るはずもない。だが、もし
「……もし、この刀が錆びていなければ」
自分も、死んでいたのだろうと、異形は――桐生は悟ったのだ
【藤原美奈都@刀使ノ巫女 死亡】
○
「どうやら、退屈はだけはしなさそうか」
人間は、落ちぶれたものだと思っていた。かつて強敵として相まみえた米兵は既におらず、いたのは退化した文明の人間ども
だが、この殺し合いは違う。あのように強さを秘めた人間ばかりであるなら、酒浸りに堕ちていた自分の人生に太陽の輝きが照らされたも同然
嬉しかった、人間殲滅よりも、強い人間と戦える機会が訪れたことに
だが、この殺し合いは違う。あのように強さを秘めた人間ばかりであるなら、酒浸りに堕ちていた自分の人生に太陽の輝きが照らされたも同然
嬉しかった、人間殲滅よりも、強い人間と戦える機会が訪れたことに
「……ボスやみんなも、巻き込まれているのか?」
ふと過るのは、真央ら『異形』としての仲間たち。彼女たちも巻き込まれているのだろうか?
桐生は真央たちの強さを理解している。だからこそ早々簡単に人間どもに殺されないだろうという信頼感もあったが、先の女性との戦いもある、もしいるならば早急に合流しなければならない
桐生は真央たちの強さを理解している。だからこそ早々簡単に人間どもに殺されないだろうという信頼感もあったが、先の女性との戦いもある、もしいるならば早急に合流しなければならない
「……ふふっ」
思わず、笑みが溢れる。枯れかけの花に、水が注がれて元気になったような感覚。強者との戦い……
桐生にとって、それが一番、嬉しいことだった
桐生にとって、それが一番、嬉しいことだった
【桐生@ドキュンサーガ】
[状態]:健康、消費(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:強い人間と出会い、戦う
1:ボスやみんなもいるのだろうか?
[備考]
※参戦時期は第九話④から
[状態]:健康、消費(中)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:強い人間と出会い、戦う
1:ボスやみんなもいるのだろうか?
[備考]
※参戦時期は第九話④から