少年、豪炎寺修也は息を飲む。
鬱蒼とした森林の中でも特に背の高い木の上。片手を太枝に添えた状態で下界を見下ろす彼の瞳には一人の青年の後ろ姿が映っていた。
身長は自分よりも十センチほど上だろうか。風に靡く紺色の髪は赤の木漏れ日を帯びて黒に近い紫色となっている。
身長は自分よりも十センチほど上だろうか。風に靡く紺色の髪は赤の木漏れ日を帯びて黒に近い紫色となっている。
殺し合いに乗った者か否か。この場での対峙において最も重要な真偽も今の豪炎寺にとっては関係ない。
何故ならば豪炎寺にとって目の前の青年は殺さなければならない相手なのだから。
何故ならば豪炎寺にとって目の前の青年は殺さなければならない相手なのだから。
(……夕香)
彼にはどうしても生きなければならない理由がある。
妹である夕香を救わなければならない。彼女を人質にしたエイリア学園を潰す為にも、自分がこんなところで死ぬわけにはいかないのだ。
だからこそ豪炎寺は葛藤していた。果たしてそれは自分以外の命を奪ってまで成すべき事なのか。人と出会わなければ豪炎寺はずっと悩んだままだっただろう。
妹である夕香を救わなければならない。彼女を人質にしたエイリア学園を潰す為にも、自分がこんなところで死ぬわけにはいかないのだ。
だからこそ豪炎寺は葛藤していた。果たしてそれは自分以外の命を奪ってまで成すべき事なのか。人と出会わなければ豪炎寺はずっと悩んだままだっただろう。
だが今、こうして出会ってしまった。
いよいよ覚悟を決めなければならない。いや、正しくは人の命を奪った後にその罪を抱え込む事で無理やり決意を固めようとしているのだ。
友への裏切り、妹へ向けられた監視。およそ中学生の少年が背負うには重すぎる重圧に豪炎寺は追い詰められていた。
いよいよ覚悟を決めなければならない。いや、正しくは人の命を奪った後にその罪を抱え込む事で無理やり決意を固めようとしているのだ。
友への裏切り、妹へ向けられた監視。およそ中学生の少年が背負うには重すぎる重圧に豪炎寺は追い詰められていた。
(……すまない)
豪炎寺はポケットへ詰め込んでいた石の一つを手に取る。彼の武器はこれだ。
飛び道具としても一撃で仕留めるには心許ないそれ。しかし信じられぬ事に、彼の手にかかれば必殺の兵器と化す。
それは彼の投擲力が異様に優れている、などという単純な話ではなく。真上に軽く浮かすように投げられたそれへ合わせるように豪炎寺の両足は木を離れ、空中で時計回りに回転を得る。
いつの間にか豪炎寺の身体は炎の渦を纏い、空の色にも負けぬ紅蓮を乗せた左足が石を蹴り抜いた。
飛び道具としても一撃で仕留めるには心許ないそれ。しかし信じられぬ事に、彼の手にかかれば必殺の兵器と化す。
それは彼の投擲力が異様に優れている、などという単純な話ではなく。真上に軽く浮かすように投げられたそれへ合わせるように豪炎寺の両足は木を離れ、空中で時計回りに回転を得る。
いつの間にか豪炎寺の身体は炎の渦を纏い、空の色にも負けぬ紅蓮を乗せた左足が石を蹴り抜いた。
「──ファイアトルネードッ!!」
それまでただの石だったものは炎となり、砲弾となる。
残光を引く火球は恐ろしいほど正確に森を歩く青年の後頭部へと向かい、その頭蓋を叩き割らんと迫った。
残光を引く火球は恐ろしいほど正確に森を歩く青年の後頭部へと向かい、その頭蓋を叩き割らんと迫った。
これこそが豪炎寺の必殺たる理由。
炎のエースストライカーの称号を欲しいままにしてきた彼だからこそ成し得る神業。軽く放ったものでも土手にクレーターを生成するほどの威力を持つそれはキーパーでもないただの人間が受け止めるには過剰な戦力だ。
炎のエースストライカーの称号を欲しいままにしてきた彼だからこそ成し得る神業。軽く放ったものでも土手にクレーターを生成するほどの威力を持つそれはキーパーでもないただの人間が受け止めるには過剰な戦力だ。
故に豪炎寺はこの技を放つ事がイコール殺人に繋がると確信していた。
彼の覚悟は石を蹴り飛ばした時点で固められていた。
彼の覚悟は石を蹴り飛ばした時点で固められていた。
しかし次の瞬間、一度固められたそれは大きく揺らがざるを得なくなる。
「────はぁッ!」
「な……っ!?」
「な……っ!?」
それは、ある種の神話のようだった。
射抜かれることを待つだけであった青年は唐突にザックからバットを取り出す──と、次の瞬間には火球は『打ち返されていた』。
放たれた瞬間まで後ろを見ることも無く、無防備な後ろ姿から振り返りざまに一振。ただのそれだけで豪炎寺の渾身のシュートは威力と速度をそのままに大木の一部をへし折る。
戻るべき足場を失った豪炎寺は完全に予想を裏切られたとばかりに口を開け、即座に思考が着地へシフトする。それは非現実的な光景から目を逸らす為の手段だった。
放たれた瞬間まで後ろを見ることも無く、無防備な後ろ姿から振り返りざまに一振。ただのそれだけで豪炎寺の渾身のシュートは威力と速度をそのままに大木の一部をへし折る。
戻るべき足場を失った豪炎寺は完全に予想を裏切られたとばかりに口を開け、即座に思考が着地へシフトする。それは非現実的な光景から目を逸らす為の手段だった。
「……ッ、…………」
空中で身を捻り華麗な着地を決めながら豪炎寺は改めて目の前の青年へと向かい合う。
青年はどこまでも冷静で、それでいて見る者を圧倒する覇気を兼ね備えている。ビリビリと肌を打つ痺れのようなものを豪炎寺は気合いで搔き消した。
青年はどこまでも冷静で、それでいて見る者を圧倒する覇気を兼ね備えている。ビリビリと肌を打つ痺れのようなものを豪炎寺は気合いで搔き消した。
「君、サッカープレイヤーかい?」
「……だったらなんだ」
「大した事じゃない」
「……だったらなんだ」
「大した事じゃない」
今まさに命を狙われたというのに青年は穏和な声色で問う。豪炎寺はその間、逃走や戦闘という選択肢の一切を奪われ応答を迫られた。
満足のいく答えだったのか、バットを握り直した青年は軽く二、三度素振りをしてみせる。凄まじいスイング力に圧巻されると同時に野球の知識に特別秀でていない豪炎寺でも違和感を抱く。
彼の素振りはバッターのそれではない。右手で握られたバットを斜め下から振り上げるような仕草は酷く洗練されていた。
満足のいく答えだったのか、バットを握り直した青年は軽く二、三度素振りをしてみせる。凄まじいスイング力に圧巻されると同時に野球の知識に特別秀でていない豪炎寺でも違和感を抱く。
彼の素振りはバッターのそれではない。右手で握られたバットを斜め下から振り上げるような仕草は酷く洗練されていた。
違う、これは野球の構えではない。
己の知るスポーツの中で当てはめるのならば、これはまるで────
己の知るスポーツの中で当てはめるのならば、これはまるで────
「サッカー選手と試合をするのは初めてだからね」
────テニスじゃないか。
青年、幸村精市は笑う。
目の前の少年は未知数だ。サッカーという一生関わることの無かったであろうフィールドと対峙する時が来るとは、この殺し合いも含めて人生とは分からないものだ。
だからこそ面白い。自分の力は果たしてどこまで通用するのか。己の限界は一体どこにあるのか────テニスという世界では味わえなかった力との対面は幸村の成長へと繋ぐ架け橋となる。
目の前の少年は未知数だ。サッカーという一生関わることの無かったであろうフィールドと対峙する時が来るとは、この殺し合いも含めて人生とは分からないものだ。
だからこそ面白い。自分の力は果たしてどこまで通用するのか。己の限界は一体どこにあるのか────テニスという世界では味わえなかった力との対面は幸村の成長へと繋ぐ架け橋となる。
「さぁ、来るといい坊や。君の力はまだまだそんなものじゃないんだろう?」
「──……っ!」
「──……っ!」
安い挑発に乗った訳ではない。
豪炎寺も同じなのだ。今この瞬間、幸村というサッカー選手でない強敵との邂逅は決して無駄にすべきではない。
この男を乗り越える事で力を付けられるかもしれない。それこそ、雷門の力を借りずともエイリア学園から夕香を救い出せるほどに。
豪炎寺も同じなのだ。今この瞬間、幸村というサッカー選手でない強敵との邂逅は決して無駄にすべきではない。
この男を乗り越える事で力を付けられるかもしれない。それこそ、雷門の力を借りずともエイリア学園から夕香を救い出せるほどに。
ポケットから取り出した石を宙に放つ。
言葉は無くともそれが試合開始の合図だと理解した幸村は静かに構えを落とす。豪炎寺は飛び立つ石を追うように地から足を離し、鳥の如く空を駆けた。
言葉は無くともそれが試合開始の合図だと理解した幸村は静かに構えを落とす。豪炎寺は飛び立つ石を追うように地から足を離し、鳥の如く空を駆けた。
スポーツとは気高いもの。
スポーツとは美しいもの。
スポーツとは平和なもの。
スポーツとは美しいもの。
スポーツとは平和なもの。
一般的な常識で語られるそれらも殺し合いという状況下では全くの別物となる。
実戦向けの剣道や柔道が競技のものとはまるで別物のように。彼らで言うテニスとサッカーは常識で語れるものではない。
実戦向けの剣道や柔道が競技のものとはまるで別物のように。彼らで言うテニスとサッカーは常識で語れるものではない。
いうなればそれは、そう────超次元スポーツ。
常識の垣根を遥かに超えた領域に辿り着き、全く別の世界を生きてきた者同士が競い合う異種格闘技戦。
彼らの想い、葛藤、期待、情熱──それらは全てたった一つの石に込められる。
常識の垣根を遥かに超えた領域に辿り着き、全く別の世界を生きてきた者同士が競い合う異種格闘技戦。
彼らの想い、葛藤、期待、情熱──それらは全てたった一つの石に込められる。
戦え少年達よ。
高め合い、競い合え。
誰もが一度は描いた夢──それを叶える資格は彼らの手にあるのだから。
高め合い、競い合え。
誰もが一度は描いた夢──それを叶える資格は彼らの手にあるのだから。
【豪炎寺修也@イナズマイレブン】
[状態]:健康、葛藤
[装備]:石(ポケット一杯)@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(1~3)
[思考・状況]
基本方針:夕香を助けるために生き残る。
1:目の前の敵を破る。
[状態]:健康、葛藤
[装備]:石(ポケット一杯)@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(1~3)
[思考・状況]
基本方針:夕香を助けるために生き残る。
1:目の前の敵を破る。
※エイリア学園編、雷門から離脱している最中からの参戦です。
【幸村精市@テニスの王子様】
[状態]:健康
[装備]:クロえもんのバット@ドラベース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(0~2)
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いで自分の力を試す。
1:目の前の敵を破る。
[状態]:健康
[装備]:クロえもんのバット@ドラベース
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(0~2)
[思考・状況]
基本方針:この殺し合いで自分の力を試す。
1:目の前の敵を破る。
※少なくとも全国大会決勝、越前との戦いを経た後からの参戦です。
【支給品紹介】
【クロえもんのバット@ドラベース】
ドラベースの主人公、クロえもんが愛用する金属バット。
クロえもんが右利きなため右利き用のグリップとなっている。
【クロえもんのバット@ドラベース】
ドラベースの主人公、クロえもんが愛用する金属バット。
クロえもんが右利きなため右利き用のグリップとなっている。