全ては移ろうので御座います。
今こうしている間にも、様々なものが。
○ ○ ○
昏き赤の月陽の下、散らす刃鳴りの音は如何ほどか
平安の世にて、鬼が住まうとされた羅城門の下、刃金と刃金を斬り結ぶは二人の剣士
片や、フードを被り、その隙間より中性的な顔立ちを見せる女剣士――神道無念流、獅童真希
片や、氷にして鋼鉄、その心は不動とばかりに相手の太刀筋を受け流す男――柳生新陰流、柳生但馬守宗矩。否、『一切両断』セイバー・エンピレオ
「……ふむ、ここまでに食らいつこうとは。少しばかり甘く見ていたか」
「お生憎、柳生新陰流の使い手が知り合いには居てね。僕はその子と直接手合わせしたことは無いけれど」
「……ほう。異界の剣士、侮ったつもりは無いのだがな」
○
事の始まりは半々刻前。獅童真希と柳生但馬守宗矩。両者は同じ場所、同じく羅城門の元にて飛ばされ、出会った
柳生宗矩……いや、英霊剣豪の骸の残骸は、生前最後の戦いの感触を忘れずにあった。新免武蔵との戦いを経て剣客としての業を自覚した
もとより剣の道とは殺人の道。そこに特別な意味など無いと断じた人生。然してかの剣豪との邂逅はその業を目覚めさせるのに十分であった
外道へ堕ちた果て、武蔵に敗れ、潔くその生に幕を下ろしたはずのその骸は、何の因果かこの歪んだ平安の都に蘇り堕ちた
然して既に魔縁に堕ちた身。悪鬼羅刹が宿業を持ちしこの骸、殺戮の魔宴に呼び込まれたのならば為すは2つ、宿業のままに屍山血河を築こうぞ、未だ見ぬ強者との立ち会いを臨もうぞ
もとより剣の道とは殺人の道。そこに特別な意味など無いと断じた人生。然してかの剣豪との邂逅はその業を目覚めさせるのに十分であった
外道へ堕ちた果て、武蔵に敗れ、潔くその生に幕を下ろしたはずのその骸は、何の因果かこの歪んだ平安の都に蘇り堕ちた
然して既に魔縁に堕ちた身。悪鬼羅刹が宿業を持ちしこの骸、殺戮の魔宴に呼び込まれたのならば為すは2つ、宿業のままに屍山血河を築こうぞ、未だ見ぬ強者との立ち会いを臨もうぞ
それに待ったを掛けたは獅童真希。と言いつつも、彼女は寸前まで迷いの縁にいた。地獄のような宴の舞台、悪魔から提示された甘美な誘惑。もしかすれば失った仲間を――燕結芽を取り戻せるかも知れないと
皮肉にも彼女の天秤の傾きを戻したのは悪鬼羅刹たるセイバー・エンピレオの存在。
元の世界にて彼女が追いかけていた大荒魂タギツヒメ。それに匹敵する禍津の瘴気を漂わせるそれを、獅童真希は放ってなどおけなかった。この男を放置しておけば不要な犠牲が出ることになる、と。
皮肉にも彼女の天秤の傾きを戻したのは悪鬼羅刹たるセイバー・エンピレオの存在。
元の世界にて彼女が追いかけていた大荒魂タギツヒメ。それに匹敵する禍津の瘴気を漂わせるそれを、獅童真希は放ってなどおけなかった。この男を放置しておけば不要な犠牲が出ることになる、と。
発端の前に多少の会話こそあったも意味はない。至高天に堕ちた剣士はもとより殺戮を是とする一介の剣鬼に成り果てている。だが、柳生宗矩には得物があれど当時の獅童真希には得物は無く。見かねた宗矩が己が支給品にあった一本の刀―――獅童真希の御刀である薄緑こと吼丸を投げ与えた
強き者との死合いを望む剣鬼にとって、相手が手持ち無沙汰の剣士というのは目覚めが悪い。故に投げ与えたが、まさかその相手が元の持ち主というのは些か予想外ではあったようだ
あと薄緑に付いていたねこストラップを剣鬼は完全にスルーした模様、閑話休題
あと薄緑に付いていたねこストラップを剣鬼は完全にスルーした模様、閑話休題
○ ○ ○
(神道無念流、はるか未来にこの様な使い手が生まれようとはな)
真希の剣技を捌きながら、宗矩は冷静ながら真希の実力に心の内で感嘆する
(だが、まだ若い―――)
獅童真希の一撃が迫る。刀を逆手に地面に刺す。残る空き手で剣を掴む
「……!」
「ふんっ……!」
「ふんっ……!」
掴み、刺した刀を地面ごと切り上げる。真希に迫った斬撃は当たる直前に幽体離脱のような何かに阻まれる。そして後退。再び攻める。剣鬼は再び捌き、躱す
(――原理はわからぬが、厄介だな)
写シ――刀使の基本的な特殊能力の一つ。体をエネルギー体に作り変えて身体能力を強化すると共に、物理的ダメージを無効化するもの。柳生宗矩は刀使を知らず、当然として写シを知らない
(……やはり、強い!)
獅童真希もまた、柳生宗矩の強さに焦りと関心を同時に抱いていた。剣聖、そして剣術無双。初陣にて武者七名を瞬時に切り捨てたという逸話は事実だと言わんばかりの、その圧倒的実力
柳生新陰流には「水月」という概念が存在する。相手に場を取らせることを先行させ、自分は何もせずに相手が焦って場所を取ったと同時に自分の位置を計算し素早く決める。これによって、敵の有利は微妙に変化し、勝負の半分はそこで付く
焦らず、然し確実に追い込まんが為に攻める。自分の場を安定させず、流動させる。決まった場は作らない。焦ればそこで相手の『場』が決まる
相手はどうしようもなく格上。それこそ折神紫と同等か、それ以上の。故に一瞬の勝機を見いだせなければ――終わる
相手はどうしようもなく格上。それこそ折神紫と同等か、それ以上の。故に一瞬の勝機を見いだせなければ――終わる
「――む」
打ち合いの中、剣鬼の刀は折れた。元より鈍らの刀であったのか、偶然の産物であったのか定かではない。だが、これが獅童真希にとっての唯一の勝機
「――やぁっ!!」
迅移――刀使の攻撃術の一つ。単純な説明をしてしまえば瞬間的な高速移動。一瞬の、格上の剣鬼が見せた唯一の隙間。唯一見いだせた勝機。確信と共にその速度のままに目の前の剣鬼に斬りかかる
「――そうか」
そして刃鳴りは散らされた、昏き紅月の元に
○ ○ ○
「―――あ、れ―――」
獅童真希は、その身に何が起こったのかわからなかった
相手の刀は折れた、迅移を使った。二度目の写シは張っている――なの、に―――
「これで、終いだ。神道無念流の若き使い手よ」
斬られていたのは、獅童真希の身体の方なのだ。写シごと、斬られていた
柳生但馬守宗矩。至高天の名を関する英霊剣豪セイバー・エンピレオ
その身に宿りし宿業は『一切両断』。何もかもを両断するその宿業による力は、獅童真希を写シ諸共切り裂いた
獅童真希には柳生宗矩のこの一撃が見えなかった。あまりにも早すぎた。獅童真希は自分よりも上の段階の写シを使う刀使を知っている。だが今の柳生宗矩の剣戟は明らかに――早すぎた
その余りにも早すぎる一撃に獅童真希は切り裂かれた。しかも折れた刀によって
その身に宿りし宿業は『一切両断』。何もかもを両断するその宿業による力は、獅童真希を写シ諸共切り裂いた
獅童真希には柳生宗矩のこの一撃が見えなかった。あまりにも早すぎた。獅童真希は自分よりも上の段階の写シを使う刀使を知っている。だが今の柳生宗矩の剣戟は明らかに――早すぎた
その余りにも早すぎる一撃に獅童真希は切り裂かれた。しかも折れた刀によって
あの時、宗矩は自らの刀が折られたあの時に『水月』は完成していた。一瞬の勝機に見えたそれは、紛れもなく獅童真希にとっての『場』と同義
故にその余りにも隙を晒したその姿こそ、『水月』である。ならば後は相手の動きを見抜いて斬ればいい。それだけの話。それだけの事、ただそれだけである
故にその余りにも隙を晒したその姿こそ、『水月』である。ならば後は相手の動きを見抜いて斬ればいい。それだけの話。それだけの事、ただそれだけである
「――中々に、愉しめたぞ」
○ ○ ○
「――ふふっ」
思わず、笑みが浮かぶ。あっけない幕切れではあったが、やはり命と命のやり取りは愉しいものだと
「――さて、これからは如何様とするか」
柳生但馬守宗矩自身は殺し合いの賞品に何ら興味はない。家光公への忠義も、守るべき民衆も、江戸柳生もどうでもいい。剣鬼が望むはただ強者との死合いと、屍山血河を築き上げること
「……この剣は、もらっておくぞ」
死した骸の手に握られた薄緑を拾い上げ、振るい血飛沫を飛ばす。先に使っていた鈍らが折れてしまった以上、仕方のないこと
「では、征こうか」
剣鬼は征く。その身が通るは屍山血河を築かんがため。その心は強者との死合いを求めんがため。そして――
(新免武蔵よ。もし、貴様もまたこの場にいるのならば)
――再び、死合うてみたいものよ
【セイバー・エンピレオ(柳生但馬守宗矩)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康、高揚
[装備]:薄緑@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:強者と死合う。屍山血河を築く
1:新免武蔵よ、もし貴様がいるんらば再び相まみえたいものよ
[備考]
※参戦時期は死亡後
[状態]:健康、高揚
[装備]:薄緑@刀使ノ巫女
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:強者と死合う。屍山血河を築く
1:新免武蔵よ、もし貴様がいるんらば再び相まみえたいものよ
[備考]
※参戦時期は死亡後
【薄緑@刀使ノ巫女】
獅童真希の御刀。真希自身は吼丸という名称で呼んでいる
獅童真希の御刀。真希自身は吼丸という名称で呼んでいる
○ ○ ○
流れ出てゆく血が余りにも冷たく感じる。その手に薄緑はなく、剣鬼は既に立ち去った
「僕、は……」
余りにも情けなくて、涙が溢れ出る。贖罪のため、元より刺し違える覚悟でタギツヒメを追っていた。だが結局の所自分が何をした?ただ状況を混乱させただけだ
そして殺し合いに巻き込まれ、剣鬼に敗れ去り命を落とそうとしている
そして殺し合いに巻き込まれ、剣鬼に敗れ去り命を落とそうとしている
「すまない……すまない、夜見、結芽、寿々花……」
世界は広く、自分という存在は余りにもちっぽけで
「僕は、何、も―――」
結局、自分は何も、為せなかった。そんな後悔が、彼女の意識を永遠の黒へと埋め尽くす
(もし、僕に、もっと、力が―――)
その思考にいたろうとして、彼女の心臓に何かが突き刺されたのは、その直後であった
【獅童真希@刀使ノ巫女 死亡】
○
「はい、これで骸人形一人完成。かな?」
折り紙を繋ぎ合わせたようなヒトガタの道化が、日本刀を携えて嗤う。嗤った後に『獅童真希』の骸は立ち上がり、道化を一瞥する
「……説明書には操れる死体は2体まで、だっけ?」
道化の持つ日本刀の名は『死者行軍・八房』。この刀で切り殺した相手を骸人形として操ることの出来る、帝具と呼ばれる武器の一つ。本来の八房で操れる骸人形は9体までだが、この舞台では二人までとなっている
「でも、まあ使わせてもらう分には、十分強力かな?」
道化が望み目指すは新世界の神。あの時はしくじったが、今度こそはそうは問屋が卸さない。忌々しい首輪を外し、利用できるものは骨の髄まで利用し、主催すらも出し抜く
今や邪魔なヒゲヒゲやその仲間はいない。もしやいるかもしれないが、その時の対策も何れ取る必要がある
今や邪魔なヒゲヒゲやその仲間はいない。もしやいるかもしれないが、その時の対策も何れ取る必要がある
魅惑の道化師は嗤う。彼にとっての最高のショーは、ここから仕切り直し
道化の名はディメーン。新たなる黒き予言の実行者
【ディメーン@スーパーペーパーマリオ】
[状態]:健康
[装備]:死者行軍・八房@アカメが斬る
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、躯人形・獅童真希@刀使ノ巫女
[思考・状況]
基本方針:新世界の神になるため、主催すら出し抜く算段を考える
1:この武器(八房)は使えそうだ
2:首輪はさっさと解除した
3:利用できるやつはとことん利用する
[備考]
※参戦時期は死亡後
※死者行軍八房の使い手になりました
※骸人形・獅童真希の損壊程度は弱。着ている服に大きく切り裂かれた後が残っています
[状態]:健康
[装備]:死者行軍・八房@アカメが斬る
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2、躯人形・獅童真希@刀使ノ巫女
[思考・状況]
基本方針:新世界の神になるため、主催すら出し抜く算段を考える
1:この武器(八房)は使えそうだ
2:首輪はさっさと解除した
3:利用できるやつはとことん利用する
[備考]
※参戦時期は死亡後
※死者行軍八房の使い手になりました
※骸人形・獅童真希の損壊程度は弱。着ている服に大きく切り裂かれた後が残っています
【死者行軍・八房@アカメが斬る!】
クロメの所持する帝具。斬り殺した相手を骸人形として操ることが出来き、骸人形は生前と変わらない能力を持つ
※死者行軍八房の制限は以下の通り
『操れる死者は2人まで』
『呪いを解いて地下に戻し、損壊を全修復させることができない』
『死者は帝具の主から300m離れると一時活動不能になる』
クロメの所持する帝具。斬り殺した相手を骸人形として操ることが出来き、骸人形は生前と変わらない能力を持つ
※死者行軍八房の制限は以下の通り
『操れる死者は2人まで』
『呪いを解いて地下に戻し、損壊を全修復させることができない』
『死者は帝具の主から300m離れると一時活動不能になる』
はて、何の話をしていたかな?
まあ、そんな与太話は終わりにしましょう。
さあ、お手を拝借。 一つ二つ三つで、また明日