戦いは始まる ◆Ltg/xlcQkg
朝日が昇り始めた頃、自らの力を高める為に戦いの相手を求めて
ゴ・ガドル・バは歩いていた。
かつてリントの勇者であるクウガに破れたが、どういう訳か生きて再びこの世界に立っている。何故、自分が生きているのかは気にならないでもないが、正直な話どうでもいい。
こうしてまた生きているというなら、殺し合いに参加するだけだ。その為にもまずは先程戦ったリントの少女達を狩る。
己の目的を胸にしながら、ガドルは今いる地点から見える巨大な建物を目指した。あの二人とは限らないが、リントが訪れるかもしれないと考えて。
やがて建物の前に辿り着いたガドルは扉を潜ろうとするが、グロンギの発達した聴覚が遠くの物音を察知する。
「……ん?」
見ると、ここから離れるように四つの人影が歩いているのが見えた。黒い帽子を被った男と眼鏡をかけた少年、そして先程自分を倒した少女達がいる。
普通の人間ならばこれだけの距離があっては気付くことはできないが、彼はゴのグロンギ。視力も人間のそれより遥かに上回っている。
どうやらフェイトと杏子とやらはこの建物で新たなリントを見つけ、行動を共にしたようだ。すなわち、あの二人が戦士であれば自らのゲゲルはより充実したものとなる。
だがここからでは普通に歩いても追いつけるとは思えない。故にガドルは自らの姿をグロンギの物へと変えて、疾走を開始する。
疾風をも上回りかねない速さで動くことでガドルの皮膚に冷たい風が突き刺さるが、動きを緩めることは決してしなかった。ザギバス・ゲゲルを乗り越えてグロンギの王となり、並ぶ者のいない最強の存在となる。
その揺ぎ無い信念を抱く限り、ガドルは一秒たりとも止まることはなかった。
◆
「
フィリップ……お前は、無事なのか!?」
『ああ、僕なら無事だ翔太郎!』
ダブルドライバーを腰に巻いた
左翔太郎の脳裏に響くのは、長い間共に戦ってきた相棒の声。
彼は今、かつて倒した筈の
加頭順によって囚われの身となっているが、こうして無事を確認できる。その事実で翔太郎の中で安堵が生まれそうになるが、すぐにそれを自制した。
『すまない翔太郎、僕が不甲斐無いせいで囚われの身になって君に迷惑をかけて……』
「謝るのは後だ! お前はどこにいるんだ!?」
『僕は今エクストリームメモリの中に幽閉されている! だが、外がどうなっているのかわからない!』
「そうか……だが待ってろ! 俺がすぐにお前を助けてやるからな!」
『ありがとう……とりあえず、僕の状況を簡潔に言う。僕の手元には今、サイクロンにヒート……それにルナとファングの四つのメモリがある。恐らく、変身して戦う分には問題が無いようだ』
ソウルサイドのメモリはフィリップの手元にあるので、加頭の言うようにWの変身を行うには問題ないらしい。しかしファングはフィリップの意思で戦うシステムの為、こちらで使うことは出来ないようだ。
だが、今は贅沢など言っていられない。ここにいるみんなを守る為に、限られた装備でも精一杯戦わなければならなかった。
「そうか……なら、エクストリームは飛ばせるか?」
『それは分からない……だが例え飛ばせたとしても、長時間そちらにいられる可能性は低いかもしれない。一定の時間が過ぎた瞬間、エクストリームメモリが強制的にこちらへ転送される事も考えられる』
「成る程な」
恐らく、エクストリームメモリを呼び出せる可能性は低い。奴らが人質であるフィリップをそう簡単に開放するなんて、ありえないからだ。
また、仮に呼び出せたとしてもフィリップをエクストリームメモリから出すことは出来ないだろう。
「翔太郎さん、どうかしたんですか……?」
「……今、フィリップと話をしてた」
「え?」
「このダブルドライバーがあれば、加頭の野郎に捕まったあいつと意志疎通が出来るようになっている……そして、これにガイアメモリを差し込めば仮面ライダーWに変身して戦えるんだ」
「それって……あいつらがわざわざ敵である翔太郎さんが戦う事を許してるって意味ですか?」
「ああ……何で連中がそんな事をしてるのかは、まるで分からないけどな」
「そうですか……」
そしてユーノはどこか沈んだ顔で頷いた。
「……翔太郎さん、僕も出来るだけあなたの力になります。フィリップさんを助けるために」
「そっか、サンキュ」
ユーノは自分のことを心配してくれていると、翔太郎は思う。
気持ちは嬉しいがそれでは駄目だ。仮面ライダーは人々を守る正義の味方でなければならないのだから。共に戦った仮面ライダーディケイドや仮面ライダーオーズにもそう誓った以上、しっかりしなければならない。
この会場には連れてこられた
照井竜や、本郷猛と
一文字隼人というまだ見ぬ謎の仮面ライダーも殺し合いを打ち破るために戦っているはずだから。
「あまり、無理はしないで下さいね……?」
「そうだよ。いざって時に兄ちゃんがしっかりしなかったら、あたし達みんなが困るって事を忘れないでくれよ」
「フェイトも杏子も、ありがとな」
だから今はこの三人の為にも挫けるわけにはいかない。フェイトや杏子を襲った怪物や、ミュージアムの幹部やNEVERのような危険な連中がこの孤島に大勢いる可能性がある。
そんな奴らから、若い彼らを守る事が俺の使命だ。三人ともある程度戦えるようだが、命の危険になんて晒したくはない。
翔太郎は決意を固めた瞬間、見つけた。ここから少し離れた場所から、ドーパントのような怪人がボウガンを構えているのを。
そして、その銃口がこちらに向けられているのを見て、翔太郎は一瞬で目を見開いた。
「みんな、敵だ――!?」
翔太郎が叫ぶと同時に、銃口から光が放たれる。
それを見た四人は反射的に横に飛んだ瞬間、地面が大きく爆発した。四人の悲鳴は発せられるものの、轟音によって飲み込まれてしまう。
地面に叩きつけられた事で翔太郎の全身に激痛が走るが、それを耐える。幸いにもボウガンの矢は当たっておらず、大事には至っていないからだ。
行動を共にしている仲間達も、無事だった。三人の服装はいつの間にか変わっているので、魔導師や魔法少女に変身していたのだ。
「おい、大丈夫か!?」
「僕は大丈夫です!」
「大丈夫です!」
「あたしも無事だ!」
しかしユーノ、フェイト、杏子の無事を喜ぶ暇は無い。翔太郎は現れた怪人を睨み付けた。
「お前は……!?」
「ようやく見つけたぞ」
岩のような唇から渋い声が発せられる。
怪人の瞳からは凄まじい殺気が放たれていて、どう考えても味方とは思えない。
「てめえ……さっきの化け物か!?」
そして、魔法少女に変身した杏子は叫ぶ。
その様子を見たユーノも異常事態と思ったのか、一気に目を見開いた。
「杏子、もしかしてこいつは……!」
「そうだよユーノ、こいつはさっきあたしとフェイトが戦った奴だ!」
ユーノと杏子のやり取りが答えだった。
翔太郎は再び前を向いた先では、遠くに立つ怪人の瞳がギラリと輝いている。その手に握られているボウガンの弾は一発でも当たったら、致命傷になりかねない。
「さあ、戦え」
声から感じ取れるプレッシャーは凄まじかった。それだけでただの弱者を退かせるような威圧感を醸し出していて、只者ではないことが分かる。
しかしだからと言って翔太郎は逃げるつもりなど毛頭無かった。ここで奴を逃したら多くの人間が犠牲となってしまう。そんな事になっては、フィリップや照井竜に顔向けができない。
翔太郎はダブルドライバーを腰に巻くと、同時にサイクロンメモリも出現した。始まりのホールで言っていた加頭の言葉はどうやら真実のようだが今はどうでもいい。
ジョーカーメモリを手にとって、スイッチを力強く押した。
『JOKER』
メモリから放たれる力強いガイアウィスパーを耳にしながら、翔太郎は目の前の敵を睨みつける。そのまま、ジョーカーメモリをダブルドライバーに叩き込んだ。
「変身!」
『CYCLONE JOKER』
変身の言葉と共にガイアウィスパーが発せられたダブルドライバーから多数の粒子が生成されて、翔太郎の全身を包んでいく。一瞬の内に、彼の変身は完了した。
瞳は赤く輝き、左右半分の鎧がそれぞれ緑と黒の色を持っている。仮面ライダーW サイクロンジョーカーへと左翔太郎は変身したのだ。
『翔太郎!』
そして変身を完了した瞬間、脳裏に長い間共に戦ってきた相棒の声が聞こえる。
「フィリップ、戦いだ!」
『そうか……だが、無理をしないでくれ!』
「分かってるよ!」
「喋ってるのは後にしてくれよ! あいつは来るぞ!」
ようやくフィリップの無事が確認できたのを喜ぶ暇は無い。杏子が言うように、目の前の怪人から放たれる殺気が徐々に増していたからだ。
心なしか息苦しさを感じるが、だからと言って負けるわけにはいかない。自分の周りには、守るべき者達が大勢いるのだから。
「……フェイト、お願いだから無理をしないで!」
「ありがとう、私なら大丈夫だから……行こうバルディッシュ!」
『Yes Sir』
ユーノとフェイト、それにバルディッシュというフェイトの相棒は互いを励ましている。
自分よりずっと年下の者達ですら恐怖に負けずに頑張っているのだから、ここで負けたりしたら仮面ライダーの名前を汚すだけだ。
この殺し合いを打ち破るため、そしてみんなを守るために左翔太郎とフィリップは――仮面ライダーWはいつもの台詞をゴ・ガドル・バに告げる。
「「さあ、お前の罪を数えろ!」」
その言葉を合図に、戦いは始まった。
◆
(フェイトのバリアジャケットが……違う?)
ユーノ・スクライアはフェイト・テスタロッサの纏うバリアジャケットの形が違うことに違和感を覚えていた。
それはかつて
プレシア・テスタロッサの元にいた時に纏っていたのと、寸分の狂いもなく同じだった。
何故、彼女はそれを纏っているのか? 思えば先程も翠屋を知らない反応を見せたりしたから強い違和感を感じる。
「……ユーノ?」
しかしそんな中、怪訝な表情を浮かべているフェイトから声をかけられた。そして彼女の向こうには杏子が言っていた怪人がこちらを睨んでいる。
それを見たユーノは、違和感を振り払う。今はあの怪人を倒すことが最優先だから、事情を聞くのはその後にするしかない。
「……フェイト、お願いだから無理をしないで!」
「ありがとう、私なら大丈夫だから……行こうバルディッシュ!」
『Yes Sir』
バルディッシュだってあの怪物と戦おうと強い闘志を発しているのだから、自分もしっかりしないといけない。
そう思いながらユーノもまた、怪人――ゴ・ガドル・バを睨み付けた。
【一日目・早朝】
【I-7 平原】
【左翔太郎@仮面ライダーW】
[状態]:健康、仮面ライダーWに変身中
[装備]:ダブルドライバー@仮面ライダーW (腰に装着中)
[道具]:支給品一式、ガイアメモリ(ジョーカー、メタル、トリガー)、ランダム支給品1~3個(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止め、フィリップを救出する
1:この怪人(ガドル)を倒す。
2:まずはこの三人を守りながら、市街地に向かう
3:仲間を集める
4:出来るなら杏子を救いたい
[備考]
※参戦時期はTV本編終了後です
※他世界の情報についてある程度知りました。
(何をどの程度知ったかは後続の書き手さんに任せます)
※魔法少女についての情報を知りました。
【ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:健康 、バリアジャケット展開中、フェイトへの不信
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~2個 (本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止め、企画者たちを捕らえる
0:この怪人(ガドル)を倒す。
1:ここにいるみんなの力になる
2:三人と一緒に市街地に向かう
3:フェイトへの不審
[備考]
※参戦時期は闇の書事件解決後です
※ガイアメモリはロストロギアではないかと考えています
※検索魔法は制限により検索スピードが遅く、魔力消費が高くなっています
※他世界の情報についてある程度知りました。
(何をどの程度知ったかは後続の書き手さんに任せます)
※不明支給品の一つはグリーフシード@魔法少女まどか☆マギカです。
※魔法少女についての情報を知りました。
※バリアジャケットが違うことにより、フェイトに不審を抱いています。
【フェイト・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:疲労(小)、魔力消費(小) 、バリアジャケット展開中
[装備]:バルディッシュ@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに優勝してジュエルシードを揃える
0:この怪人(ガドル)を倒す。
1:今はこの三人と一緒に行動する。
2:左翔太郎とユーノ・スクライアを上手く利用する。
3:何かを聞かれたら、出来るだけ誤魔化す。
[備考]
※魔法少女リリカルなのは一期第十話終了後からの参戦です
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(小)、左胸に大穴、下腹部に貫通した傷、魔法少女に変身中
[装備]:槍@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、ガドルのランダム支給品1~3(本人確認済み、グリーフシードはない)
[思考]
基本:殺し合いに優勝する
0:この怪人(ガドル)を倒す。
1:フェイトと手を組んで殺し合いを有利に進める
2:今は翔太郎とユーノを上手く利用する
3:他の参加者からグリーフシードを奪う
[備考]
※魔法少女まどか☆マギカ6話終了後からの参戦です
※首輪は首にではなくソウルジェムに巻かれています
※魔法少女の身体の特性により、少なくともこの負傷で死に至ることはありません
【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[状態]:全身にダメージ(小)(回復中) 、射撃体に変身中
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:ダグバを倒し殺し合いに優勝する
0:まずは目の前の四人(W、ユーノ、フェイト、杏子)を倒す。
1:クウガ(五代)と再び戦い、雪辱を果たす。
2:強者との戦いで自分の力を高める
※死亡後からの参戦です
※フォトンランサーファランクスシフトにより大量の電撃を受けた事で身体がある程度強化されています。
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最終更新:2014年06月14日 18:12