Jなき戦い/夢想者─デイ・ドリーム・ビリーバー─ ◆gry038wOvE


 ガドルが起き上がった時、彼の眼前には、体を引きずっている黒い服の男がいた。
 何者かは知らない。
 これまでに会った者ではない。しかし、何故自分がここで意識を失っていたのか──ガドルは男への興味を持ちつつも、自分が如何にしてこの状況に陥ったのかを思い出す事にした。
 すぐに、ガドルの中であらゆる記憶が思い出された。
 同時に怒りも沸く。
 あの赤から青へと変化する戦士により、ガドルは打倒されたのである。

「バスホゾ」

 あの青い戦士は、ガドルがこれまで出会った戦士の中では、特にトリッキーな戦闘方法を使った。高速、いや音速に近い速度で何度とないキックを行うという攻撃──その仕組み・構造を、ガドルはすぐに理解した。
 青い戦士への恨みを持ちながらも、ガドルは目の前の男に標的を変える事にした。
 あの戦士への恩讐もある。だが、それよりもまずは、近くにいる戦士と戦い、もう一度確かな勝利を手に入れておこうと思った。
 その方が戦意という奴は高揚する。負けたままのモチベーションで戦ったとして、勝利は遠ざかるのみだ。

「そこのリント……」

 森に放置していたサイクロン号のハンドルに手をかけていた溝呂木眞也は、声をかけられてそちらを向いた。その瞬間、彼の表情は、怪訝そうなものへと変わる。
 当然だ。そこに居るのはカブトムシのような角を持った奇怪な異形の怪人なのだから。
 先ほど出会った相手だが、やはり一対一で見ると威圧感はあまりに強かった。

「……貴様は戦士か?」

 ガドルは問う。
 しかし、溝呂木がこのサイクロン号に手をかけたのは、こんな怪人に声をかけられる為ではない。逃げた凪たちを追うためだ。

「……後にしてくれ。俺は今、忙しい」
「もう一度問う。貴様は戦士か?」

 ガドルは溝呂木の言葉など、聞く気も無かった。
 その様子を見て、溝呂木は厄介そうに顔を曇らせながら、ダークエボルバーを懐から取り出した。このままでは、埒が明かない。
 すぐにこの敵を倒せばいい。
 先ほどまでこの戦士が倒れていたのは、おそらく石堀が──仮面ライダーアクセルが倒したからに違いない。ならば、メフィストが勝てない道理はないはずだ。ここで負けたとはいえ、一度はアクセルに勝っているし、石堀隊員がそう強い隊員とは思えない。

「……仕方がない。少しだけ構ってやる」

 ダークエボルバーを引き抜いた溝呂木は、再びダークメフィストへと変身する。
 その姿を見ても尚、ガドルは悠然としていた。
 この殺し合いの場には、面白い戦士がいくらでもいる。彼は、そう──かつて戦ったウルトラマンネクサスに酷似していた。

(グッ……)

 だが、思った以上にマキシマムドライブの威力が強かった事に、溝呂木は変身してから気づく。脇腹の辺りの痛みを隠せなかった。
 それでも、こうなった以上、敵は確実に襲ってくるだろう。

「ハァッ!!」

 ダークメフィストは先制攻撃を仕掛け、早々にガドルを葬る事にした。
 メフィストクローから発射される赤い光弾は、目視できないほどのスピードでガドルに向かって飛んでいく。
 だが、ガドルはそれを辛うじて目視していた。アクセルトライアルとは違い、形が捉えられる程度のスピードだ。あの攻撃はむしろ、ガドルの神経を研ぎ澄ませていた。
 何発もの光弾は、すべてガドルが突き進むと共に、ガドルソードが地面に叩き落とす。

「……その程度か!」
「くそっ!」

 ガドルは一瞬で間合いを狭め、ガドルソードを振りかぶる。
 しかし、高く振りかぶればガドルの体はのけぞり、胸などの急所ががら空きになるのはもはや当然の話。
 メフィストは、メフィストクローをガドルの胸部に向けて真っ直ぐに突き刺す。

 ガドルの胸部の硬い皮膚を砕いて、メフィストクローがガドルの体を貫いていく。メフィストクローの先端からはガドルの真っ赤な血が滴っていた。
 好機ととらえ、メフィストはこの零距離でメフィストクローの先端にエネルギーを溜める。

「はぁぁぁぁぁっ!!!」

 真っ赤な光弾が、何発も何発もガドルの体に向けて放たれる。
 反動はものすごい。メフィスト自身の体も大きく前後に触れるほどだ。右腕に己の発したエネルギーの熱が伝わる。
 しかし、そんな事は敵が受けているダメージに比べれば些細な事には違いない。ガドルの胸部に突き刺さったメフィストクローは引き抜く事もできないままに、何度も何度も揺れ動いていく。
 七発──メフィストクローから放たれたハイパーメフィストショットは七発だ。
 流石にガドルの体も弾き飛ばされ、好機と思ったダークメフィストは、宿敵・ウルトラマンのように両腕を組んだ。
 ダークレイ・シュトローム。
 そのエネルギーを溜めるだけの時間の余裕はある。

 そして、

 ダークメフィストの両腕から、ダークレイ・シュトロームは予定通り放たれた。
 その強力な破壊光線は、的確にガドルの胸部を狙い、光のような速度で突き進んでいく。

「……グァッ……」

 と、その時に聞こえるのは小さな慟哭。
 それはガドルの口から放たれたものか。いや、違った。己自身の口から漏れた声にならない声だった。
 何故、こんな痛みが頭に走ったのか。
 視界に影が出来、次の瞬間、ある巨大な物体によって視界は遮られた。巨大な物体がぼたりと眼前を通過し、落ちる。それは胸の前で組んでいたダークメフィストの両腕の重りとなった。
 これは何だ。

「……頭が……」

 それは、ガドルソードであった。
 ガドルは、ハイパーメフィストショットの攻撃に耐えながら、ダークメフィストの頭へとガドルソードを振り下ろしていたのだ。
 メフィストは、その激痛に今更気づき、攻撃を中断して己の頭を抱える。
 額を割るほどの激痛であった。エネルギーを射出する事ができなくなったダークレイ・シュトロームは、ガドルの手前で威力を弱めて消え去る。
 これはガドルの計算か、それとも偶然か。
 しかし、ガドルは偶然だとしても喜ぶ事もなく、ただ淡々と次の行動に移った。
 その姿を電撃体へと変じたガドルは、助走のための構えをする。そして、高く跳んだ。

「ゼンゲビ・ビブブ」

 それは実質上の死刑宣告だった。
 ガドルは電撃を帯びた己の全身を激しく回転し、ダークメフィストへと向かっていく。
 メフィストは痛みに頭を抱えながらも上空を見上げ、自分に向かってくる殺人キックに何の抵抗もできないまま、ただ自分の現在地から逃れようと立ち上がった。
 しかし、うずくまっていた体勢から立ち上がってみせようと、立ち上がった瞬間にはダークメフィストの胸部へとゼンゲビ・ビブブの電撃と衝撃が轟いたのだから、結局は無駄な抵抗に過ぎなかった。

「うぐあああああああああああああああああああああああああああああっっっッッッ!!」

 爆裂音や光とともにダークメフィストは激しく後方に吹き飛ばされ、その変身も解かれ、背後の大木に頭を強く打ちつけた。
 溝呂木眞也の姿に戻った彼が立ち上がろうとする。頭からは今の衝撃でより一層血が流れ、激痛がする。胸の骨は折れ、脇腹もまた裂傷を負っていた。
 しかし、何故こんな事になったのか──今、彼はそう考えるようになった。

「ギベ……!!」

 何故、カブトムシの怪人が大剣を持って自分の方へとゆっくり歩いてくるのか。
 そいつは何者なのか。
 いや、それ以前に自分は誰なのか。
 その全てを、溝呂木が思い出す事はできなかった。

「やめろ……やめろ……頼む……なんなんだ、お前は……」

 とにかく、今、何者でもなくなった彼ができるのは、命を乞う事だけだ。
 言葉だけは幸いにも口から発する事ができる。しかし、何の記憶もない彼は、その言葉を使ってどうこの怪物に接すればいいのかもわからない。
 ただ、同じ言葉を連呼するだけだ。

「やめてくれ……やめろォォォォォォォォッ!!!!!!!」

 死への恐怖。得体のしれない怪人への恐怖。その思いは、周囲にも大きく響く絶叫となり、凪たちの耳にも届いた事だろう。
 今、溝呂木にあるのはそれだけだ。ダークエボルバーも、ガイアメモリも、自分の罪も、西条凪も、殺し合いの事さえも、溝呂木眞也は知らなかった。溝呂木眞也があらゆる衝撃から、戦士ですらなくなっていた事など、ガドルは当然知らなかった。
 だから、ダークメフィストという“戦士”のなれの果ての、その胸に向けて、ガドルソードは無情にも突き刺された。血の勢いは弱い。既に全身の出血量が高かったが故に、血は血を隠し、どこからの出血かもわからなかった。
 やめろ──そんな説得は、最初から無駄だったのだ。グロンギの戦士に慈悲はない。あるのは、戦いか殺しへの執着だけで、むしろ多くのグロンギは命乞いを愉しみとする。ガドルはそういう性向はなかったが、戦いの果てに敵の死があるのは至極当然の事であった。
 目を開けたまま、いまだ驚きを隠せぬまま、口から血を吐き出す彼は、このまま眠りについたとしても、永久に夢を見る事はないのだろうか。
 そこから先、その黒服の男が口からも胸からも血を噴き、死んでいくのを、ガドルは見る事もなく、先ほどこの男が手をかけていたバイクの方へと歩いて行く。その男の死体には、既に興味を示す事はなかった。

「……鉄の騎馬か」

 サイクロン号に手をついたガドルは、変身を解く。バダーが駆るバギブゾンを彷彿とさせる鉄の騎馬──リントの言葉で言うところのバイクは、ガドルにとっても重宝する武器となっただろう。
 溝呂木が持ち歩いていた武器や支給品の数々も、その場にあった。
 ガドルも丁度、デイパックを失った身なので、其処にあった支給品の数々を頂く事にした。適当なデイパックから水と食料を抜き、ガドルは豪快にそれを飲み干し、乱雑に野性的に食糧を貪る。
 これだけ沢山のデイパックがあるのだから、デイパック一つから食糧と水が消えたところで、困らないだろう。

(首輪……これは奴が手に入れたのか?)

 溝呂木のデイパックからは、幾つもの首輪が見つかる。それを数えると、七つ──。
 この男は、もしや七人を殺し、その首を狩ったのだろうか? まあ、ガドルのようにデイパックを拾った可能性もあるが……。
 ともかく、それはこの男のスコアの証であると好意的に見る事にした。
 七つの首輪を溝呂木の亡骸に向けて投げ捨てる。この男が殺したかは知らないが、この男の殺害の結果ならば、せめてもの手向けとしてこの首輪を返してやってもいいのではないだろうか。元々、ガドルは首輪などに興味はない。

「……これは」

 ガドルは、あらゆるリントが描かれている奇怪なカードを発見する。
 カードはケースに入っていたが、その向きや順番はばらばらだ。中には、拷問を受けている人間にしか見えないカードもある。幾つかのカードは、リントの死を彷彿とさせる絵である。
 なるほど、仲間たちの遊びのひとつとなっていた“トランプ”とは意味合いの異なるカードらしい。ガドルはそのカードの山が持つ個々の意味こそ知らなかったが、絵柄で想像できるものも少なくなかったため、溝呂木の死にざまに似たカードを寄せる。

(このカードの通りにリントを倒す……それもまた面白い)

 完全な後付だが、ゲゲルにもう一つの趣向を凝らしてみようと思ったのだ。
 この男や、先ほどガドルがあっさり撃退した男のように、ゲゲルの相手としては物足りない存在も幾らかいる。他のグロンギたちは、様々な遊戯性を持たせてゲゲルを行っていたが、純粋に強い相手を殺すだけのガドルには、遊戯性などいらなかった。
 だが、確かにガドルのやり方は──面白味がないかもしれない。

 正義──。

 ガドルが溝呂木の亡骸へと寄せたカードの意味は8番目のカードである。そのカードでは、玉座に腰かけた人物が剣を持つという物だったのである。
 正義とは無縁な彼らであったが、ガドルはその意味など知る由もないし、そのカードは何かの暗示があるわけでもない。

 剣。その一点だけが共通すれば、この男の死因に近いだろうか。
 後付だが、とにかくこれからもタロットカードの絵柄に合わせた死を見せる事で、このゲゲルを楽しむのも一つのやり方だろうか。

 首輪と「正義」のカードを残し、ガドルはサイクロンのハンドルを握る。
 バイクの乗り方もおおよそ覚えている。
 ブルルゥン……と音が鳴り、ガドルはアクセルの事を思い出した。いずれ、アクセルや凪とは決着をつけなければならないだろう。
 ガドルは、少しバランスを崩したが、すぐに再びサイクロン号を立て直す。乗り慣れるまでは早かった。短期間で日本語を覚え、人間の文化を吸収したグロンギらしいと言えるだろう。
 そのうち、彼は一つのタイヤ跡を見つけ、サイクロン号を止めた。
 振り返れば、自分のサイクロン号の跡が残っており、それとはまた違ったタイヤ跡であることに気づく。これはごく最近、誰かが走り去った跡ではないだろうか。一人しかいまい。
 ガドルは、再びサイクロン号に跨ると、その跡が向かったであろう方角に向かう事にする。


 ────真下だ。



【溝呂木眞也@ウルトラマンネクサス 死亡】
【残り 28人】
※亡骸はG-5エリアに放置されています。
※首輪×7(シャンプー、ゴオマ、まどか、なのは、流ノ介、本郷、ノーザ)、「正義」のタロットカードが遺体の上に放置されています。
※T2ガイアメモリ(バイオレンス)、拡声器、双眼鏡、支給品一式、ランダム支給品1~2個なども溝呂木の遺体の付近に放置されています。
※ダークエボルバーは────

【1日目 午後】
【H-5/森付近】

ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(大)(回復中)、右脇に斬傷(回復中) 、肩・胸・顔面に神経断裂弾を受けたダメージ(回復中)、胸部に刺傷(回復中)、サイクロン搭乗中
[装備]:サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS、スモークグレネード@現実×2、トライアクセラー@仮面ライダークウガ、京水のムチ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×8(スバル、ティアナ、井坂(食料残2/3)、アクマロ、流ノ介、なのは、本郷、まどか)、東せつなのタロットカード(「正義」を除く)@フレッシュプリキュア!、ルビスの魔剣@牙狼、鷹麟の矢@牙狼
[思考]
基本:ダグバを倒し殺し合いに優勝する。
0:バイクの跡を追う。
1:凪、石堀を殺す。
2:強者との戦いで自分の力を高める。その中で、ゲームとしてタロットカードの絵に見立てた殺人を行う。
3:クウガを継ぐ者……?
※死亡後からの参戦です。
※フォトンランサーファランクスシフトにより大量の電撃を受けた事で身体がある程度強化されています。
※フォトンランサーファランクスシフトをもう一度受けたので、身体に何らかの変化が起こっている可能性があります。(実際にどうなっているかは、後続の書き手さんにお任せします)
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。






 走るアクセルと凪の真後ろで、突然爆音が鳴り響いた。雷のような音とともに、雷に打たれた男のような絶叫が耳を打つ。
 何事かと思い、アクセルは強制的にブレーキを起こし、凪とともに今自分たちが下ってきた道を見上げた。一体、何があったのだろうか。
 何があったか……それよりも先に、あの声の主が誰だったのか。それが気になった。
 それを考えていると、先に凪がその男の名を呟いた。

「溝呂木……」

 そう、溝呂木だ。あの声は溝呂木眞也のものである。
 なるほど、ガドルが起き上がり、溝呂木と交戦しているのだとアクセル──石堀は納得していた。ガドルの意識は既に戻ったのだ。そして、ガドルが見つけたのは溝呂木だった。おそらくそんなところだろう。
 どちらも、アクセルが先ほど交戦した相手だが、おそらくぶつかりあえばガドルが勝利するであろう事は間違いないと思った。
 ゆえに、もう溝呂木の命は無いだろう。

「……行きましょう、副隊長。溝呂木は……」
「ええ。きっと、もう……」

 凪もわかっていたようである。
 だが、浮かべる顔は悲しそうだった。ナイトレイダー時代、ずっと目標としてきた男は、既にいないのである。
 溝呂木眞也はダークメフィストとなって、闇に落ち、闇に消えた。
 その事実は、人間であった頃の溝呂木を誰よりもよく知る凪には、悲しいものに違いない。せめて、彼が最後の瞬間だけでも人間に戻れたら、幸いだっただろうが、凪はそんな最後には立ち会えなかった。
 石堀にはどうでも良かったが、とにかく凪を気遣う様子を少しは見せた方がいいだろうかと考える。
 しかし……やめた。

「奴が次に追うのはきっと、俺達です。……行っていいですか?」

 重苦しいトーンで、石堀は言う。
 その姿は、他人を気遣いつつも非情に徹する男性そのものであった。彼がダークザギであるなど、最後の最後まで誰も気づくまい。
 この方が、ナイトレイダー隊員らしいかもしれない。

「……行って、石堀隊員」

 凪の悲しそうな声を聞きながら、仮面ライダーアクセルは自分の手元に闇の力が戻るのを感じた。“ダークメフィスト”の力の継承者であった溝呂木眞也が完全に死んだのである。
 その力は、それを生み出した石堀光彦のもとへ還る。ある意味当然であった。
 しかし、此処に誰か、それを植え付けるのに適当な者はいるだろうか──そう石堀が考えた時である。

「待て!!」

 アクセルが走ろうとした目の前の道に、一人の男が現れる。
 その男は、まるで二人の行く道を妨害するように両手を広げて立っていたが、体は前に倒れそうなほど傷つき、壮絶な攻撃の痕を感じさせていた。
 誰だか判別するのに少し時間がかかったが、それは黒岩省吾であった。

「黒岩……」

 おそらく、ガドルによる攻撃の証だろう。
 凄まじい姿になったものである。よく生きていたものだ。つい先ほどまで、ここにいる二人は黒岩は死んだのではないかと思っていたが、辛うじて一名はとりとめていたようである。
 自分もつれて行け、とそういう話か。
 何にせよ、黒岩を乗せない理由はない。先ほどまで共に行動していた相手で、特に裏切る理由もないのである。

「……どうした、その姿は」
「何でもない……少し痛めつけられただけだ……!」

 黒岩は怒りを表情に出している。
 相当プライドが高いのだろう。深入りはしない方がいいだろうか。とにかく、それよりも石堀は彼に呼びかける事にした。

「乗れ、すぐに奴が来る……」
「ああ……」

 黒岩は、ふらふらと歩きながら、アクセルへと跨った。凪との二人乗りの形になる。凪の背に黒岩は凭れたが、仕方のない事だろうと思い、凪はその行動には目を瞑る。
 凪も、ここまで疲弊し、傷ついた男に追い打ちをかけるほど鬼ではない。その姿を見ず、まるでいない者のように扱うのがせめてもの慈悲だ。プライドの高かった男のなれの果てだと思うと、尚更彼に話しかけられるのは躊躇われた。

 だが、黒岩はアクセルが走り出すと、自分から凪に話しかけた。

「西条、何か悲しい事でもあったか……?」

 凪の耳のすぐ近くに黒岩が凭れかけているため、アクセルの鳴らすエンジン音の中でも、黒岩の声はよく聞こえる。
 黒岩も凪の様子のおかしさを理解していたのかもしれない。
 アクセルの耳にも、そのやり取りはよく聞こえた。

「ええ……」
「どうやら……親しい人が死んだ。……恋人ではないな」
「ええ……」
「だが、きっと大事な男だ」

 面倒なやり取りを始めやがったな、と石堀は思いつつ、石堀は一言も口を出さない。
 だいたい、逃げながらでもこんなやり取りをするなんて、随分と余裕のある奴らだ。アクセルにはとてもできない。
 それに、まるで自分の存在が無視されているように思えるのも面白くなかった。
 しかし、当の本人たちはアクセルが走っている間でも充分に休めるために、平然と会話ができる。

「……どうして、そんな事がわかるのかしら?」
「俺にはわかるんだ。……女心というやつがな」
「不思議ね。目に見えないものがわかるはずがないのに」
「……だが、俺には君の悲しみがよくわかる」

 ────と、次の瞬間

 凪の体から、不思議な光が飛び出した。黒岩は大きく口を開け、その光を口いっぱいに飲み込んでいく。
 次の瞬間、凪の体は動かなくなった。あまりにもあっさりと、凪の身体は力を失った。
 その様子は、二人を乗せるアクセルの目には見えなかったが、やはり違和感だけは感じた。突然、凪が喋らなくなったのである。それは黙っているからではない。そのハンドルを握っていたはずの手からも、完全に力が抜けている。
 このままでは凪が落ちてしまうのではないかと思い、アクセルは声を強くした。

「副隊長! どうしましたか……副隊長!!」

 アクセルが必死に呼びかけるが、反応がない。
 そうか、やられた! ──石堀は、自分の判断の甘さを呪った。ナイトレイダーとしても、ダークザギとしても、やってはいけない失態を犯してしまったのだ。
 石堀は忘れてはならない事実を思い出す。……そう、黒岩は、ダークザイドだ。
 ラームという生態エネルギーを吸わなければ生きられないのが彼らだ。この瞬間、ラームが吸える死角に黒岩と凪を取り残してしまったのである。
 彼はラームというものを吸収したに違いない。

 キキィッ……と音を立て、仮面ライダーアクセルは、己の体にブレーキをかける。それと同時に、形態を二足歩行の戦士のものへと変えた。
 先ほどまでバイクモードのアクセルに乗っていた凪は、お姫様抱っこのような形で抱かれるが、息がなかった。

「……黒岩!!」

 アクセルの目の前には、淡々とそこに立つ黒岩省吾の姿があった。
 それを見て、石堀は心から憤怒する。感情をここまで表に出したのはいつ以来だろうか。ほとんどの時を石堀光彦として生きてきた彼がダークザギのものとほぼ共通する感情をさらけ出すのは久々だった。

「……貴様!! 裏切ったな!!」
「裏切った? ……俺はラームを吸わせてもらっただけだ。腹が減っていたんでね」

 あれだけの傷を負っていただけに、黒岩もまたエネルギーを必要としていたのだ。
 全身を動かすには、やはりラームを吸うほかない。黒岩は、自分に惚れた人間のラームを好む。ゆえに、凪が少しでも黒岩にときめいた瞬間、彼は凪のラームを貪ったのである。
 状況が転じればあっさりと他人を裏切る恐ろしさを誰もが持っていたが、ここでの黒岩の裏切りの何より厄介な部分は、凪のラームを吸い、身体機能を完全に奪った点である。石堀には死んだように見えてもおかしくないだろう。
 凪はこれからダークザギの復活に必要な存在だったというのに、余計な事をしてくれる。

「少しは体力も回復したか……薬代わりにはなったらしい」

 黒岩は、凪のラームを吸収した事で、少し回復を見せている。
 ただ、完全ではなかった。あれだけの状態になってしまえば、人間のラームを吸うくらいしかできないだろう。

「貴様……!!」
「そう怒るなよ。俺は別に殺したわけじゃない」
「何……?」

 激昂する黒岩の表情に、少し余裕が生まれ始めていた。黒岩のダメージは大きかったが、ラームを吸った事である程度の回復はしているのである。それゆえに、相手に対して強気に出る事も可能だった。
 一方の石堀も、死んだわけではないと聞き、少し安堵していた。

「知っているか! 俺達が吸うラームは命そのものじゃない。吸う事もできれば、元に戻す事もできる。今は俺の回復のために利用させてもらったが、俺が元に戻せば、西条凪は再び立って歩き、自分の言葉を話す事ができるようになる」
「……」
「……あるいは、俺が死ねばな!」

 敵に明け渡すべき情報ではないが、黒岩はそう言った。その言葉には自信に満ちており、彼自身の体力の回復がある程度確かなものになっているのを証明していた。
 それに、当人が元に戻せると言っている以上、その手段を選ぶ方が堅実だろうと思っているに違いない。黒岩はしばらく協力者として近くにいた方が良いはずなのだ。
 しかし──仮面ライダーアクセルはマスクの中でニヤリと笑った。

「……なら、俺も聞こう。お前は知っているか?」
「──何?」
「強さに溺れ、強さを求める者、心に闇がある者……お前のような奴に、闇の力は答え、ダークウルトラマンの力を与える! だが、その力に溺れた者は、いずれ闇へといざなわれ……命を落とす!」

 そう、溝呂木が失ったダークメフィストの力は、石堀光彦の手にあった。
 それを植え付けるに丁度良い存在が目の前にいるではないか。
 ここで無暗にこの男と戦う必要はない。
 この男には、闇の魔人となって、戦ってもらい、その果てに死んでもらえばいいのだ。強さを求めている黒岩省吾は、他の戦士と戦うに違いない。
 放っておいても、いずれ死ぬはずだ。
 ならば、闇の力を植え付ければいい。闇の戦士となってもらえばいいのだ。

「何っ!!?」

 ────次の瞬間、黒岩省吾の視界は、本当の意味でブラックアウトした。
 深い闇が黒岩の視界を遮断する。彼の心の中の闇は増幅され、やがて彼は完全なダークザギのための人形になってしまった。






「……さて」

 黒岩省吾は、完全に魔人へと代り、どこかへ去っていったしまったようだ。誰が見ているわけでもないが、石堀は不思議そうな顔でそれを見送るフリをした。
 そして、石堀光彦はアクセルの変身を解いた。
 凪は動かないようだし、凪の持っていたロストドライバーやガイアメモリの力を試してみたかったのだ。石堀は、アクセルの変身を解いたところでロストドライバーを巻く。

「変身!」

──Skull!!──

 まずは、仮面ライダースカルだ。
 今は戦闘中ではない。涼村暁のように、“試着”するにも悪くないだろう。確かにガドルという追跡者はいるものの、アクセルという力がある。逃げるに越した事はないが、来たら来たで迎撃する事もできるだろう。
 石堀の体はすぐに仮面ライダースカルの姿へと変身し、スカルマグナムを構えた。
 スカルがスカルマグナムの引き金を引くと、その弾丸は近くの木を見事に貫いて見せた。どうやら、通常の銃と比べると随分高い威力のようである。
 だが、すぐに変身を解く。

「次はコイツだな……変身!」

 戦いのために使わないとしても、変身をする事自体は悪くない。
 次に石堀が手にしたのは、サイクロンのメモリだ。これは、石堀が単体で使用していたはずだし、エンジンメモリやスチームメモリと違い、変身をする事も可能なはずである。ただ、やはりドライバーを介してでないと変身する気は起きなかった。

──Cyclone!!──

 石堀は緑色の疾風の戦士・仮面ライダーサイクロンへと変身した。
 両手を見ると、それは溝呂木が変身したサイクロンドーパントとは全く違う姿である。
 それでは、どれほどの力があるのだろうか。
 サイクロンは、一瞬で目の前の木との距離を狭め、その木に向かって疾風を帯びたパンチを浴びせる。内側で弾けるような音がするとともに、木は真横に罅割れ、そこから上下を分かつように倒れた。
 なるほど。サイクロンもなかなかの力を引き出せるメモリのようである。
 だが……

「そうだな……やはり、アクセルが一番か」

 二つの強化フォームを持ち、石堀が最も使いこなせるのはアクセルだった。
 エンジンブレードとの相性も良く、サイクロンメモリもエンジンブレードに挿入して使用する事ができる。状況的にも、自分自身の力を最大限に引き出したいのならば、アクセルが良さそうだ。
 サイクロンの変身を解き、再びアクセルドライバーに巻きなおす。あのドライバーはロストドライバーとは違う。アクセルが変形する際にも、トライアルへと変身するにも丁度良い形状をしているのだ。

「……それじゃ、いきますか────変……身!」

 アクセルドライバーへと、アクセルメモリを挿入する。

──Accel!!──

 石堀は仮面ライダーアクセルへと変身し、ロストドライバーとスカルメモリを凪のデイパックへと入れた。
 バイクモードに変身するの面倒だし、バイクモードになってしまっては、凪を乗せる事もできない。そのため、ここからはまるでお姫様を抱えるナイトのように、アクセルは凪を抱えて走る事にした。
 エンジンの音がアクセルの耳に聞こえていた。どうやら、ガドルが近づいてきているようである。
 アクセルはそのまま、ガドルから逃げるために走り出した。


【1日目 午後】
【H-5/森】

【西条凪@ウルトラマンネクサス】
[状態]:ラーム吸収による意識不明状態、身体的ダメージ(小)
[装備]:コルトパイソン+執行実包(2/6) 、スカルメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×3(凪、照井、フェイト)、ガイアメモリ説明書、.357マグナム弾(執行実包×18、神経断裂弾@仮面ライダークウガ×4)、
    テッククリスタル(レイピア)@宇宙の騎士テッカマンブレード、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、ランダム支給品1~4(照井1~3、フェイト0~1)
[思考]
※あくまで意識不明となる前の思考です。
基本:人に害を成す人外の存在を全滅させる。
0:溝呂木……。
1:黒岩省吾をどうするべきか(その思いは更に強力に)、涼村暁の事は……。
2:状況に応じて、仮面ライダースカルに変身して戦う。
3:孤門と合流する。
4:相手が人間であろうと向かってくる相手には容赦しない。
5:黒岩省吾の事を危険な存在と判断したら殺す。
6:暗黒騎士キバ、ゴ・ガドル・バもこの手でいつか殺す。
[備考]
※参戦時期はEpisode.31の後で、Episode.32の前。
※さやかは完全に死んでいて、助けることはできないと思っています。
※まどか、マミは溝呂木に殺害された可能性があると思っています。
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。
※森林でのガドルの放送を聞きました。
※黒岩省吾によってラームを吸収されました。そのため、黒岩省吾がラームを吐き出すか、死亡しない限りは意識不明のままです。

【石堀光彦@ウルトラマンネクサス】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、仮面ライダーアクセルに変身して走行中(バイクモードではなく、凪を抱えています)
[装備]:Kar98k(korrosion弾7/8)@仮面ライダーSPIRITS、アクセルドライバー@仮面ライダーW、ガイアメモリ(アクセル、トライアル)@仮面ライダーW、エンジンブレード+エンジンメモリ@仮面ライダーW、ガイアメモリ強化アダプター@仮面ライダーW、T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×3(石堀、ガドル、ユーノ)、メモレイサー@ウルトラマンネクサス、110のシャンプー@らんま1/2、不明支給品1~4(ガドル0~2(グリーフシードはない)、ユーノ1~2)
[思考]
基本:今は「石堀光彦」として行動する。
0:凪の身体を守りながら、ガドルに見つからないよう逃げる。
1:周囲を利用し、加頭を倒し元の世界に戻る。
2:今、凪に死なれると計画が狂う……。
3:凪と黒岩と共に森を通って市街地に向かう(ただし爆発が起こったエリアや禁止エリアを避ける)。
4:孤門や、つぼみの仲間を捜す。
5:都合の悪い記憶はメモレイサーで消去する
6:加頭の「願いを叶える」という言葉が信用できるとわかった場合は……。
[備考]
※参戦時期は姫矢編の後半ごろ。
※今の彼にダークザギへの変身能力があるかは不明です(原作ではネクサスの光を変換する必要があります)。
※ハトプリ勢、およびフレプリ勢についてプリキュア関連の秘密も含めて聞きました。
※良牙が発した気柱を目撃しています。
※つぼみからプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について聞きました。
※殺し合いの技術提供にTLTが関わっている可能性を考えています。
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。
※森林でのガドルの放送を聞きました。






 ──力が……

 ──力が、沸き起こる!!


 黒岩省吾は、川辺で己の手に渡ったダークエボルバーを見下ろしていた。そして、その中にある闇に涎を垂らしそうになっている。彼は、ダークザイドだけでなく、ダークメフィストとしての力を得た事による戦意の高揚を感じていた。
 己の中の闇が拡大されていき、その闇が手からあふれ出してしまいそうなほどの力を落としているのがよくわかる。
 これは、全てを支配する事ができる力だ。
 まさに皇帝の力。──そう、人の上に立つべき皇帝の力が己の中で強くなっていくのがわかる。

「フハハハハハハハッ!! これこれならば、シャンゼリオンはおろか、ガドルも! ダグバも! ウルトラマンさえも超えられる!!」

 戯曲のようにわざとらしく、高らかな笑い声をあげながら、彼は言う。水場ではその高笑いは少し反響する。バイクの音が真後ろを通過したが、そんなものは気にも留めない。
 誰かが来ても知らない。俺はそいつを倒すのみだ。
 これならばネクサスの力を持つ者を屠り、黒岩を敗北させた戦士たちも次々と潰す事ができるだろう。シャンゼリオンも、ガドルも、ダグバも……このまま戦えば勝てるような気がして来る。
 元の世界に帰って皇帝となるべきは自分──そう、黒岩省吾を置いて、他に無い。

「…………………………そうだな」

 だが、すぐに先ほどまでの高笑いを嘘のように黙り、顔を顰めた。
 水辺に映った自分の姿を見たのである。そこにあるのは、髪を乱し、血まみれになり、ぼろぼろのシャツとスーツを来た乞食のような男だったのである。あまりにも世界を統べるにはふさわしくない人間の姿だっただろう。
 そう、黒岩省吾はいずれ皇帝となるべき男だ。そのためには人間のやり方でのし上がっていくのが人間界への礼儀。そして、黒岩にとっては最大の遊びなのだ。
 だが、この姿の黒岩に誰がついてくるだろうか。
 気品がなく、高貴さを失った黒岩省吾に、ついてくる者などいない────。
 ならば、また別のやり方もある。自分の誇りを捨て、完全な闇の戦士へと堕ちる事だ。気の向くままに敵を葬り、この殺し合いを生還。綺麗なスーツを着るのはそれからでいい。

「まずは、この力を適当な相手で試すか」

 そのやり方をするにも、やはり実験をするための相手は必要だった。それは誰でもいい。
 それこそ、実力で負けたガドルでもいいのだが、残念ながらガドルは先ほど黒岩の後ろを過ぎていったバイクの爆音の正体であった。シャンゼリオンがこの川を流れていったのは結構前の話なので、既に彼はどこまでも流されていってしまっただろう。
 ……まあいい。
 黒岩は、水辺を辿り、適当に歩く事にした。そこで最初に会った敵を殺せばいいではないか。
 まさしく、今の彼は暗黒騎士と呼ぶに相応しい殺戮の魔人であった。
 ただ、その手に握った野望だけは、更に加速していく。



【1日目 午後】
【G-4/川沿い】

【黒岩省吾@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:頭部・腹部を中心に全身に裂傷(ラーム吸収や闇の力によりある程度回復)、凪のラーム吸収、メフィストの闇を継承
[装備]:ダークエボルバー@ウルトラマンネクサス、デリンジャー(2/2)
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2
[思考]
基本:周囲を利用して加頭を倒す。
0:現状への対処、シャンゼリオン(暁)のライバルは俺だ。
1:とりあえず、新しい力を使う実験台となる相手が欲しい。
2:涼村暁との決着をつける ……つもり、なのだが……。
3:人間でもダークザイドでもない存在を警戒。
4:元の世界に帰って地盤を固めたら、ラビリンスやブラックホールの力を手に入れる。
5:桃園ラブに関しては、再び自分の前に現れるのならまた利用する。
6:ネクサスの力を得る。
[備考]
※参戦時期は東京都知事になってから東京国皇帝となるまでのどこか。
※NEVER、砂漠の使徒、テッカマンはダークザイドと同等又はそれ以上の生命力の持主と推測しています。(ラブ達の戦いを見て確信を深めました)
※ラブからプリキュアやラビリンス、ブラックホール、魔法少女や魔女などについて話を聞きました 。
※暁は違う時間から連れて来られたことを知りました。
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。
※森林でのガドルの放送を聞きました。
※西条凪のラームを吸収しました。吐き出したり、死亡したりすれば凪にラームが還ります。
※ダークメフィストの力を継承し、ダークメフィストツヴァイとなりました。そのため、ウルトラマンネクサスの光への執着心も生まれています。溝呂木が使ったような生身での特殊能力も使えるようです。




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最終更新:2015年12月26日 02:08