その4
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homuhomu_tabetai
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有史以来、ほむ種の脆弱過ぎる天敵として認知されているカミジョーとひとひとは、
危険が無かろうとも、ほむ種の群にとって招かれざる客でしかない。
野良ほむ種達も、大人達が集まって喧々愕々の大騒動である。
ロッソ・ファンタズマッ! ホムホビャッ! マギャマギャ、マドドドン! ティロ・フィナーレッ!!
追い出せ!
落ち着け!
あいつらは仲間なんかじゃない!
追い出すべきだ!
群のリーダー格とも言える大人達は、集会場代わりの段ボール箱の中で、
外にまで響くほどの大音声で怒鳴り続けている。
野良若カミ「イ、イジメテルノ……?」ブルブル ガタガタ
野良若ひと「ム、ムキアエマスカ……?」ガタガタ ブルブル
野良若りぼ「ホムゥ……」
いつまでもまとまらない大人達の話し合いの様子を聞かされ、
カミジョー達の見張りを任された、群の時期リーダーとも言える若りぼほむはため息を漏らす。
野良若あん「アンコ……」
それは、彼女の横で同じく見張りを続ける若あんあんも同じだ。
天敵、と呼ぶには些か以上に非力なちん入者の見張りなど、
生まれたばかりの幼仔達でも十二分に務まる役目だ。
勿論、ペット用のかみ種が捨てられて野良化しただけなら、ほむ種には無害である。
彼らはペット用として品種改良が施され、草や木の実も食べる雑食となっているからだ。
しかし、野良の生活が長くなり、空腹なほど野生に近付き、肉食へと戻って行く。
どちらにせよ、若いとは言え、ほむ種に見張られていては、カミジョー達が震えるのも無理からぬ話だ。
野良若あん「アン……サビシィモンナァ……」
退屈だ。
一見、と言うか、実質無害に等しい天敵もどきを見張るだけの仕事は、
若さ故に体力の有り余った若あんあんには役不足だ。
それは若りぼほむも同じだが、りぼほむは群を守ろうとする習性の強さ故に、仕事には忠実である。
野良若りぼ「ホム、キョーコ、ホムホ」
野良若あん「クーカイ、アンアン」
半ば呆れた様子の若りぼほむに窘められ、若あんあんは退屈そうな仕草を改める事もなく返した。
ホムホム、ホビャホムゥ! ガヤガヤガヤ………
野良若あん「アン……」フワァァ……
纏まらない大人達の様子を聞かされながらの見張りが、1時間も過ぎようとした時である。
野良若さや「サヤァ」トテトテ……
若あんあんの義姉妹である若さやさやが、僅かな木の実を差し入れに持って来た。
野良若あん「アンコッ、サヤカァ!///」
退屈そうにアクビをかみ殺していた若あんあんは、嬉しそうに姿勢を正す。
真面目にしていたぞ、とでも言いたげだが、離れた位置からでも退屈そうにしていたのは丸わかりで、
少々、現金だが微笑ましい義姉妹の様子に、若さやさやは噴き出しそうになってから優しく微笑んだ。
野良若さや「サヤヤァ」ニコニコ
野良若あん「アンー、クーカイ、クーカイ」パクパク
差し出された木の実を、美味しそうに食べる若あんあん。
野良若あん「ホムラ、クーカイ?」
僅かに気分も良くなり、隣で退屈2割、呆れ3割、真面目5割で見張りを続ける友人に木の実を差し出す。
だが――
ホムラチャァァンッ! ホミュラチャァァンッ!
直後、遠くから若まどまどと仔まどまど達が一斉に駆け込んで来た。
押し寄せて来た仲間達に、友人は一瞬で取り囲まれてしまった。
彼女達の手には、差し入れの木の実。
野良若ほむ「ホ、ホミャ!?」
相変わらず、りぼほむと言うのはまどまどにモテる。
野良若あん「アン……」ハァ…… ヤレヤレ
気遣い損である。
深いため息も無理からぬモノだ。
野良若りぼ「ホム…マドカ……///」ナデナデ
野良若白まど「マドォ……ホムラチャァン///」ギュッ スリスリ
マァァァドォォォン……
結局、若りぼほむは幼馴染みの中でも一番親しい若白まどまどの差し入れを受け取り、
半ば求婚が成立した事で、辺りには妙に殺伐とした空気が流れ始めた。
仲間思いのほむ種とは言え、さすがに恋と嫉妬は別問題だろう。
まだ先のある……つまり、幼馴染みの仔りぼほむがいる仔まどまど、仔白まどまどはともかく、
愛しい黒髪の君を奪われた若まどまどや若白まどまどは、心中、穏やかざる状況である。
野良若カミ「カ、カミャァァァ…」ガタガタガタ
野良若ひと「ヒ、ヒチャァァァ…」ブルブルブル
若カミジョーと若ひとひとも、若まどまど達の放つ嫉妬オーラに当てられて、卒倒寸前の恐怖を味わっている。
野良若さや「サヤ……キョースケ、ヒトミ……」
さすがに見かねた若さやさやが、どうしたものかと考えあぐねている。
そんな時だった。
野良仔まど「ミャロォ、チャヤカチャン、ミャロロォン」
野良仔白まど「ミャロロン、ミャロロォ」
味わったばかりの失恋もどこ吹く風、仔まどまど達が大好きな“歌のお姉ちゃん”に歌をせがんだ。
ねえ、おうたをうたって。
野良若さや「マドカ……」オロオロ
若さやさやも、歌は好きだ。
だが、目の前には怯えるちん入者と、殺気だった――と言うには些かな仲間達。
空気を読むと、少々、歌い難い気もする。
だが――
野良若あん「アンコ?」
いいんじゃないか?
こんな時でも……いや、こんな時だから、お前の歌が聞きたいよ。
そんな思いを込めて、若あんあんはぶっきらぼうに言った。
野良若さや「サヤァ……キョーコ///」
若さやさやは嬉しそうに頷くと、仲間達とちん入者達の間に立った。
野良若さや「サヤサヤ、サッササヤサヤ♪」
マドォ? サヤカチャン?
突如として聞こえて来た歌に、嫉妬に包まれていた若まどまど達の視線と意識が、
一人唄う若さやさやへと引きつけられた。
それは、仲間との友情の歌。
今日も一緒に起きて、ごはんを食べて、遊んで、話して、笑って、泣いて、
明日もそんな日が続くように祈って、眠りにつく。
そんな、何気ない一日をメロディに乗せた、本当に何気ない歌。
野良若あん「……アン///」
優しい歌声に、若あんあんも嬉しそうに目を閉じる。
野良若さや「サヤサヤ、サッササヤサヤ♪」
ミャロミャロ、ミャッミャミャロミャロ♪
若さやさやの歌声に合わせて、仔まどまど達の合唱が始まる。
マドマド、マッママドマド♪
気付けば、若まどまど達も、幼馴染みの歌声に合わせて合唱を始めていた。
野良若りぼ「ホムゥ……」
若りぼほむは、さすがに合唱は恥ずかしいのか、それでも嬉しそうに目を細めて仲間達の合唱に耳を傾けている。
いつの間にか、段ボール箱の喧噪は止み、大人達も、そして他の仲間達も若さやさやを中心に合唱に聴き惚れ、
或いは、合唱に加わっている。
しばらくして、合唱は止んだ。
ホムホムホムー! パチパチパチパチ!
割れんばかりの拍手喝采が、仲間達から若さやさやと、仔供達に注がれる。
野良若さや「サヤァ……マイアガッチャッテマスネー///」テレテレ
恥ずかしそうに、中心で拍手喝采を受ける若さやさや。
そんな彼女が、ふと背後を振り返る。
野良若カミ「カミカミ……」パチパチ……
野良若ひと「ヒトヒトォ」パチパチ
控え目ながらも、拍手を送る若カミジョーと若ひとひと。
彼らにも、純粋で優しい若さやさやの歌が通じたのだろう。
控え目でも、それは心からの拍手だった。
結局、話は纏まりきらなかったが、その拍手が決め手となり、
ややなし崩しに、この若いカミジョーとひとひとは群の仲間として迎え入れられる事となった。