第二部 その2
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homuhomu_tabetai
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── 夜の小さな町工場 ── (都合によりまどか視点の地の文)
……これって、罰なのかな……
……わたしが弱虫で、嘘つきだから、きっとバチが当たったんだ……
夜の町で仁美ちゃんを見かけて、様子がおかしいから一緒に行動して……
いつの間にか大勢の人達と町工場にいて……
塩素系の漂白剤での集団自殺を妨害して……
そんなこんなで……
……私は魔女の結界に取り込まれていました……
「ホビャッ…ホビャァァ…アアッ…」……
「ホギッ…カッ…マドカァ…ァォアァッ」……
魔女の結界の中では、大勢のほむほむが叫んでた。
あちこちで、ほむほむが玩具にされてました。
「ホビャッ…ホギャァァッ !!!」!!!
「ミャッ…ホミャッ…ァアア…ァ…」!!!
「ホギャハッ…ォアアッ…ッ…」…
ほむほむを玩具にしてたのは、人間じゃなくてお人形。
美術室に置いてあるような、丸い関節で動かせるお人形。
片方の背中にだけ翼がついてる、出来損ないの天使みたいなお人形さんでした。
「ホヒィッ…ホッ…」…
「ホビャァアアッ…」…
お人形さんには片方しか翼がないのに、ゆらゆらと空を飛んでました。
よく見ると、手足に操り人形みたいな糸が繋がってたけど、
どう見ても糸で動かしてるようには見えない、不思議な動きをしてて……
そんなお人形さんが、空からほむほむを追いかけて……
「…ホビャッ… !!!」!!!
「ホヒャァァ…ッ !!!」!!!
「ホビィッ!ホギャッ…」…
表情一つ変えずに、指先や爪先でほむほむを潰してた。
結界の中のあちこちで、ほむほむを追いかけて、次々と潰していました。
少し落ち着いて、まわりの景色をよく見てみたら、
この部屋は、今まで見た事もないような、用途不明のインテリアで溢れてて、
何故かテレビや木馬や歯車が空中に浮かんでで……
そこはすごく、現実味の無い世界で、風邪を引いた時に見る悪夢みたいで……
……数日前の私なら絶対に、これが現実だとは思わないような世界でした……
マミさんが死んだ今では、ほむらちゃんにしか解決出来ない事態に……
私はまた、巻き込まれちゃいました……
夢でも見たくない光景だったけど、夢であってほしいって思いました。
これが夢オチなら、仮に私があの怖いお人形さんに捕まっても、
寝汗で濡れたパジャマを着替えるくらいで済むだろうし……
ほむほむが料理以外で無駄に殺されるのも、可哀想だと思ってたし……
でもこれが夢じゃないって事は良く分かってました。マミさんのおかげで……
「ホビャァァアアッ !!!」!!!
「ホミッ…ミャァアァーッ…」…
「ホミャミャ…ァァッ…ッ !?」!?
結界の中に木馬が浮いてて、何故か背中にほむほむの親子を乗せて飛んでました。
少しだけメルヘンな絵にも見えたんだけど、よく見ると、
木馬に乗った親子は怯えながら、木馬の背中から落ちないように頑張ってました。
木馬は、空を飛ぶ大きな金属の歯車に追いかけられてたから……
私は遊園地でオバケに出会ったような、そんな恐ろしさを感じていました。
そして時々、歯車が木馬にぶつかると、衝撃でほむほむ達が床に落ちて……
「ホミャァァァァアアッ !!!!」!!!!
「ホビャァッ!ホギャァァアアッ!!!!!」!!!!!
木馬から落ちたほむほむは、今度は床の上を転がってきた歯車に轢かれたり……
他には落ちてすぐに、あのお人形さんに捕まえられて、
やっぱりあっさり潰されたり、ちぎられたり、捻られたり……
「ホビヒャ…ァァアア…ッ…」…
「ホミィ…ミャァァ…アアッ !!!」!!!
お人形さんは、ほぼ確実にほむほむを殺してたけど、
歯車に轢かれたほむほむには、まだ生きている子が何匹かいるみたいでした。
「……ホッ…ビッ…」…
「………ビャ…」…
「……ミュ……」…
腕が潰れてたり足が潰れてたり、身体半分を失ってモソモソとしてたり、
まだ生きている仔ほむが、歯車のギザギザの隙間にすっぽりと挟まって、
そのまま歯車に拐われて「ホミャァアァアァアアァァアアッ……」と叫びながら……
いつまでも結界の床を転がり続けてました……
怖かった。すごく怖かったです。
夢であってほしかったです。さっきよりずっと強く、そう思いました。
ほむほむが可哀想だっていうのも理由の一つだけど……
私はあのお人形さんのお遊戯の矛先が……
その内に、絶対に自分の方に向いてしまうと思っていました。
ほむほむには悪いけど、私はどうしても、こんな場所で死ぬのは嫌でした。
ほむほむを助けたいと思う気持ちも、少しくらいはあったけど……
私は、お人形さん達の興味がほむほむに向いている間に、
この恐ろしい結界から逃げる事を、最優先に考えていました……
「ホッ…ホヒャァァ…アアッ ? 」?
「ホホヒッ…ホヒイィィッ…ッ…」…
後ろの方からまた、ほむほむの叫ぶ声が聞こえました。
でも今までとは違って、少し間抜けな感じの声だったから、
これは殺される時の声じゃなくて、別の意味で遊ばれてる時の声……
振り返って見てみると、そこではお人形さんがキャッチボールをしていました。
ボールの代わりに使われてたのは、やっぱりほむほむ達だったけど……
「…ホミュミューッ ?」?
「ホムゥゥッ…ウウッ…」…
「ホヒャァァアアッ…」…
さっきからしばらくは、本当に酷い物を見てたし、
この程度の遊びなら、町の公園や学校でもたまに見かけるから、
残酷っていうより、無邪気な子供の遊びに見えても良さそうだったけど……
「ホハァァ…アアッ…」
「ホミャァァアッ…ァァアッ!」!
無表情なお人形さんが、無言でキャッチボールをしている姿には、
何か不思議な、わけのわからない怖さがありました。
それに良く考えてみれば、例えこの程度のささやかな遊びでも、
体の小さなほむほむ達にとっては、かなりの一大事なんだろうし……
「ホミュ…ミャァアーッ…」…
「ホビィッ…ィィッ…」…
私はこの時、ほむほむ達に悪いなとは思ってたけど……
ほむほむの死を無駄にしない為だって自己弁護をしながら、
結界の出口を、必死になって捜していました。