第二部 その3

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homuhomu_tabetai

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「ホギャァァアアッ!アヒャァァッ !!!!」!!!!
「ホミャァァアアッ !!!!」!!!!


突然、ほむほむの叫び声の質が変わりました。
どうやらお人形さん達がキャッチボールに飽きたみたいで……


「ホビャギャァァアッ…アァアッ !!!!」!!!!
「ホホッ…ホヒィィィッ…」…
「…ホッ…ホビィィッ !?」!?


お人形さん達は、今度はほむほむを力強く蹴り飛ばして遊びはじめました。
どうやら、遊びはキャッチボールからサッカーに変更したみたいで……

たぶんまた、ほむほむ達が本格的に苦しむ時間になったみたいで……


「ホ…ヒィィ…イイィィッ !!!!」!!!!

一匹のほむほむが、お人形さんに蹴られて、勢いよく飛ばされて、
そのまま、空中に浮かんでいた大きなテレビの画面に激突するのが見えました。

「……ビッ…」…

可哀想なほむほむは、半分潰れたトマトみたいになって……
赤くなったテレビの画面に、そのまま……ぺとっ……って貼り付いちゃって……
見ていてあまり気持ちのいい物ではないのに、何故か私は何度も見ちゃって……

なんだかすごく嫌だけど、すごく不思議な、よく分からない気分でした。


「ホギャッ !!!」!!!
「…ホビャギャッ !!!」!!!
「……ビャッ…」…


この後も数十匹のほむほむ達が、代わる代わるボールにされて、
次々と、真っ赤になったテレビの画面に貼り付いていきました。

私はサッカーには詳しくないから、よく分からなかったけど、

テレビの画面に激突する直前に、他のお人形さんにキャッチされたり、
地面に叩き落とされたり、蹴り返されたりするほむほむもいたから、
もしかしたら、PKみたいなゲームをしていたのかも……

そしてこのゲームは、この後もしばらく続きました。
一度のゲームに使うほむほむが一匹だから、以外と時間が稼げてるみたいです。


私はお人形さんがほむほむと遊んでいる間に、
なんとかして、この結界から逃げ出そうと考えてたけど、
でも、いろいろ試したけど、結局は逃げ出す方法は分からなくて……

ほむほむの悲鳴を聞きながら、私はだんだん、こう考えていきました。
このまま、ほむほむに囮になってもらって、自分はどこかに隠れて、
ほむらちゃんが救助に来てくれる事を期待するしかないんじゃないかと……

死んでいくほむほむ達には、本当に申し訳ないと思ったけど、
私はそんなひどい事を考えてました……


…………………………
………………
……


結界の中の生きたほむほむの数は、どんどん減っていきました。
でもお人形さんは残りのほむほむを使って、まだいろいろと遊んでいました。
気がついたら、いつのまにかサッカーは終わってたみたいです。

お人形さんは新しい遊びを始めていました。
不思議な力で不思議な遊びを始めていました。

お人形さんは一匹のほむほむを捕まえて、
その姿を、とても面白く、とても可愛らしく変えて私に見せてくれました。


……お人形さんは不思議な力で、ほむほむをゴムのように引き延ばしていました……


お人形さんは私に、普通の世界では絶対に見られない物を、
不思議で間抜けで不細工でグロテスクで惨めで面白くて可愛いほむほむを、
私の目の前に連れてきてくれました……

そして私は……

……無意識に、本当に無意識に、可愛いほむほむに微笑んで話しかけました……

「……ほむほむ、可愛い格好だね……」

次の瞬間……

……私は心臓が止まるかと思いました……


無表情なお人形さんが、私を見つめていました。
あの恐ろしいお人形さんが、私に視線を向けていました。
私は本能的に、お人形さんが私に興味を持った事が分かりました……


「…………!?」

「…………」

「……いやっ、いやっ! いやぁぁああーっ!!」

…………………………
………………
……


そしてこの後、私は少しの間、ほむほむ達ほどハードではないにしろ、
お人形さんの玩具として遊ばれた後で……
魔法少女になっていた、さやかちゃんに救出されました……

時間稼ぎをしてくれた大勢のほむほむ達と、さやかちゃんのおかげで、
私はこの夜、結界の中で死なずにすみました……

…………………………
………………
……



── 数日後・マミホーム ──

「ホムゥ…」…

ほむほむは今日も玄関に座って、飼い主の帰りを待っていた。
しかしこの部屋の主は、もうこの部屋には帰ってはこない。

……主は遠くに旅立った。円環の理に導かれて……

ほむほむも、それは理解していた。
両親や姉妹。そして仲間達の死を通じて学んでいた。
ほむほむは生と死や命の意味について、既にある程度は理解していた。

「ホムゥ…」ゴシュジン…

しかし、いくら頭で理解していても、
未成熟なほむほむの心は、まだその現実を受け入れる事が出来なかった。
この子はまだ若かった。ついこの間までは無邪気で幼い仔ほむだった……

「ホムッ…」カエッテコナイ…

だからほむほむは、今日もこの場所を離れる事が出来なかった……


…………………………
………………


…カチャカチャッ… ── ガチャッ ──

「ホムムッ !?」タタタタッ

……玄関のドアが開いた。ほむほむは急いでドアに駆け寄った。
ほむほむはまだ心のどこかで、主の帰宅を期待していたから……

しかし当然ながら、ドアを開けたのは、この部屋の主ではなかった。

「ホムゥ…」…

「こんにちは。やっぱりまた、ここで待ってたんだね」

「…ホム」ウン…

部屋に入って来たのは、青い髪の少女だった。
この部屋の主の、数少ない友人の一人だった……

「ご飯持ってきたよ。一緒に食べようね」

「ホムムッ」アリガトウ

お腹は空いていた。いくら辛くても、どんなに悲しくても腹は減る。
食べなければ餓えて死ぬ。ほむほむは素直に頷いた。


「サンドイッチだよ。トマトが挟んであるやつ。野菜って大事なんだよ……」

「ホム…」イタダキマス…

「…………」

「…ムゥ…」アムアム…


ほむほむはサンドイッチを食べている。
ほむほむにしてみれば、ご馳走と言える食事だろう。
普段ならば、大喜びで目をキラキラさせていたかも知れない。


「……どう? 美味しい?」

「ホムッ」オイシイ…

「……そう。良かった……」


しかし残念ながら、ほむほむの反応は薄い。理由は言うまでもない事だが、
ほむほむはまだ、美味しい食事を素直に楽しめる気分にはなれない……


「…ホムム」モグモグ オイシイ…

「……アタシも、パン食べよっと……」


……暫くの間。少女とほむほむは無言で食事を続けた。
ほむほむと美樹さやかの間には、新しい友情が生まれつつあるようにも見えた……


「ゆっくり元気になりなよ。アタシも、人の事は言えないんだけどね……」

「ホ…ムゥッ…」…アリガトウ…

「……ねぇ、ほむほむ」

「ホムッ ?」?

「気持ちの整理がついたら、アタシの家においでね」

「…ホムゥ」…

「絶対に、転校生の家より待遇いいよ。三色昼寝で、添い寝もOK」

「ホムッ ?」?

「……ダメ?」

「ホムゥ…」…

…………………………
………………

「……ねぇ、ほむほむ……」

「…ホム」…

「……馬鹿な女の子にも、生きてる価値ってあんのかな……」

…………………………
………………
……

……この時点で……

──── 美樹さやかの魔女化は、既に秒読み段階 ────


──── BAD END?────



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