失われた絆

最終更新:

homuhomu_tabetai

- view
管理者のみ編集可
include_js plugin Error : このプラグインで利用できない命令または文字列が入っています。 include_js plugin Error : このプラグインで利用できない命令または文字列が入っています。
javascript plugin Error : このプラグインで利用できない命令または文字列が入っています。 javascript plugin Error : このプラグインで利用できない命令または文字列が入っています。 javascript plugin Error : このプラグインで利用できない命令または文字列が入っています。

作者:GFyCc5vCo

625 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage] 投稿日:2012/12/09(日) 06:47:25.20 ID:GFyCc5vCo


「ホームホムホムー♪」

「マドマドー」

「ホミューホミュー」

公園の片隅。背の高い草がほむほむたちの姿を程よく隠すこの場所は、餌探しにもってこいの場所。
幼子を連れた番は、今日の食い扶持を探すとともに、かなり遅めの冬眠準備をしていた。

「ホムムムッ!」

大きめの木の実を見つけ、ほむほむが抱える。

「マドッ」

まどまどが支える。

「ホミュー…ミュッ!」

仔ほむちゃん、君にはまだ無理だ。支えようとしてバランスを崩し、転んでしまった。

「マドー!」タタタッ

ドスッ!

「ホギャッ!!!」

まどまどが仔ほむに駆け寄ったために、支えを失った木の実がほむほむの爪先に垂直落下。これは痛い。
だが子供の無事が最優先。ほむほむも足を引きずりながら駆け寄った。

「ホミャァァァァンホミャァァァァン」

「マドンマドッ」ナデナデ

「ホムホム」ペロペロ…

「……ホミュウン…」

両親の慰めにより、仔ほむは落ち着きを取り戻した。再び親子が木の実を抱えようした次の瞬間。

「あれ? ほむほむじゃん」

うっかりしていた。人間に見つかってしまったのだ。
必死に逃げるがそこはほむほむ。そう簡単に人間を振り切ることはできない。
あっという間に三人家族は捕まってしまった。

「ほむほむも冬眠準備か…この木の実を持って帰ろうとしてたんだな」

「ホム…」

「マドォ…」ポロポロ

「ホミュウ?」ニコニコ

「じゃあさ、これをこうしたらどうなるかな?」

そう言うと人間は、木の実を挟んだ人差し指と親指に力を込めると、木の実を粉々に砕いてしまった。

「!!!」

絶句する家族。
目の前で貴重な食料を砕かれたショックは、過酷な環境に生きる彼女らにとっては計り知れないほど大きい。

「へぇ、いい顔するねぇ」

「ホム…!」ギュッ

「マドォ…!」ギュッ

「ホミィ…」ブルブル

人間の所業に恐怖した家族は、互いを守り合うように固く抱き合った。

「ふぅん。お前ら仲良いんだな」

「……………」

「……家族なんだな…」

人間はほむほむをつまみ上げると、木の実を砕いたばかりで破片のついた人差し指と親指で、その頭を挟み込んだ。

「マドー!!!」

「ホミュゥゥゥ!!!」

泣き叫ぶ家族を見ても人間は眉ひとつ動かさず、こう告げた。

「今から僕の言うことを実行するんだ。そうすればこいつは解放してやる」

こくこくと頷く二匹。

「まどまど、そこの仔ほむを思いっきりひっぱたけ。」

「マドッ!?」

「ホミャァァァアァァン!?」

驚愕するまどまど。仔ほむに至ってはそれを耳にしただけで泣き出してしまった。

「ホムッ!ホムゥ!」バタバタ

「うるさい、黙れ。」ギリギリ

「ホギュゥゥゥ!!?」

今にも頭蓋骨が砕けそうな嫌な音を立て、ほむほむが苦しみ出す。
それを見た二匹も、また悲痛な顔でほむほむを呼ぶ。

「さっさとやれよ。こいつ潰すよ?」

「マドォ…」

「3…」

「!!!」

「2…」

「ホミュウ…」ブルブル チラッ

「1…」

「…………」

「ゼ

スパァン!!

「ボミャァァアァァァアア!!!」

「…………」

「足りないよ。もっと。」

「…………」

「あっそ。いいのかなぁ?」ギリギリギリ

「ホギャァァァァ!!!」

「マド…!!!」

パァン!!

「ホミ……」

パァン!!

「ホミ゛」

パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!

「ホッ!ホッ!ホッ!ホッ!ホッ!ホッ!」

無言で我が子を叩き続けるまどまど。
その顔は涙と鼻水でグチャグチャ。嗚咽が激しく言葉も出ない。ただただほむほむを助けるため、愛する家族を助けるために愛するもう一人の家族を張り続ける。
我が子は状況を理解できるはずもなく、痛みと恐怖とショックで為すがままに張り手の勢いに体を揺らすばかりであった。

スパァン!!

「ホビャァァァァァァァァァ!!!!!」

グチャグチャ…ボトッ

「マド!?」

まどまどが何発目かもわからない張り手を打ち込んだ時だった。
叫び声は仔ほむのものでは無かった。

「いい顔が見れて楽しかったよ。また遊ぼうね…生きてたらだけど。」

「…………」

人間が去った後も、まどまどは立ち尽くしたままだった。
目の前の肉片を見つめ、微動だにしなかった。

「ホミュー…」ズリズリ

残された我が子が母を求め、ボロ雑巾のような体を引きずって近寄ってきた。

「…………」

グイッ

「ホミュ///」

パァン!!

「ミ゛ッ」

スパァン!!

「ボ……」

パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!

まどまどの顔は感情を失い、ただ乾いた音だけが草むらに響いていた。


終わり




感想

すべてのコメントを見る
  • 最初のコメントには同意
    でも次のコメントはな…
    それを冷徹って言うなら人間だけじゃないでしょ?
    同種には寛容だけど異種は利用する対象でしかない
    それってどんな生き物にも言えるよね?
  • 人間はどこまでも冷徹になれる。他の生物を弄びながら生きる。
    その要素をピンポイントに描き出している、残酷だけど
    確かなテーマ付けが成された良い作品。

    言語表現が無いのにもかかわらず、受けた「遊び」に対する
    やり場のない悲しみ・怒りが大切だったはずの身内への憎悪に
    変わる辺りも、ほむ種たちの「妙な人間臭さ」を表現していて
    そこにまたイラッとしたりしちゃんだろうね。
記事メニュー
ウィキ募集バナー