459 :佐白 :2007/07/31(火) 22:52:12.69 ID:IKAoA.s0
『シガレット→しがれっと』第三話
『シガレット→しがれっと』第三話
そういえば、妹と二人だけで一緒に買い物なんていつ以来だろうか。
俺が小学生の頃に母さんがいなくなり、家事は俺とマキの仕事になった。
昔はよく2人で食材を買いにスーパーなどに行っていたが、いつしか家事は全てマキがやるようになっていた。
俺もそれに甘え、買い物すら手伝わなくなっていたのだ。
よく考えれば、駄目な兄貴だな。いや、よく考えなくても駄目か。
「ねえ、さっきからずっと黙ってるけどどうしたの?」
隣街に向かう電車の中、どうやら考え込んでしまっていたようだ。
「いや、ちょっとな・・・」
「アキ姉ぇも悩める年頃なんだね~」
「いや、別にそういうわけじゃ・・・って、アキ姉ってなんだよ!?」
何でも、外で今の俺に向かって兄と呼ぶのもおかしいというマキなりの気遣いらしい。
「それとも、お姉さまぁ~が良い?」
それはそれで悪くないかもと思ってしまう俺は、やっぱり駄目兄貴のようだ。
暫くして、電車は隣街に停車した。電車から降り、改札を抜けると、たくさんの人で混雑していた。
「うわっ」
体の変化に合わせ身長も縮んでしまったせいで、人ごみがまるで高い壁のようだ。
しかしマキは慣れているらしく、この状況に呆然としていた俺の腕をガシッっと掴むと、
「こっちこっち!」と強引に人ごみの中をすり抜けていった。
そして、ついに目的のショッピングモールに到着した。
460 :佐白 :2007/07/31(火) 23:13:15.61 ID:IKAoA.s0
「とりあえず、アキ姉ぇはどんな服が着たい?」
俺たちはショッピングモールの案内板を前に、どの店に行くかを話し合っていた。
「いや、女の服とかよくわからないし、何も考えてなかった」
別に好みがない訳ではなかった。しかし、こんなときにナース服やセーラー服なんていったら兄としての威厳が・・・。
「ん~、それじゃぁ私の好みでアキ姉ぇに合った服を買う、で良い?」
マキは見た感じシンプルで可愛い系の服を好んでいるみたいだし、お任せで大丈夫だろう。
そう思い、俺は躊躇うことなくその提案に乗ることにした。しかしこれが悪夢の始まりだった。
初めに入った店は、なにやら予想に反して物々しい雰囲気だった。
店内には、やたらへヴィな音楽が流れている。陳列されている品も─
「ってか、ここってパンク系の店じゃん!」
「うん、そだよー」
「そだよーって、お前の好みってこれか?こんな服着てたとこ見たことないぞ?」
そう言いながら、俺は近くにあったすっとんでるパンクファッションのマネキンを指差した。
「私は着ないけど、折角だしアキ姉ぇをナナみたいにしたいなぁ~って」
ちなみに、マキの言うナナとは、アニメ化・映画化までされた超人気少女漫画の登場人物だ。
「じゃあ早速試着してみよう~!」
ビシィッ!
はしゃぐマキに脳天チョップを食らわすと、マキを引きずりながら店を出た。
461 :佐白 :2007/07/31(火) 23:42:10.89 ID:IKAoA.s0
次に入った店は、まるで別の国のようなフリフリの服ばかり置いてある店だった。
「おいマキ、この店は何だ?」
「んとね、ゴスロリの店だよ~」
「ゴスロリ?」
普段あまり聞きなれない単語につい聞き返してしまう。ロリって部分にはもちろん反応したが。
「んとね、ゴシックロリータだったかな?簡単に言えば萌えぇ~な服だよ」
いったいマキはどこでこんな知識を仕入れてくるのやら・・・。
「つまり、やっぱり普段自分は着ないけど、俺に着せてみたいっと?」
「うん!」
頭が痛くなった。こいつは真面目に俺の服を選ぶ気はあるのだろうか。
とりあえず、お構いなしにはしゃぐマキにまた脳天チョップを食らわし、店を出た。
そして暫くお説教タイムに入り、改心したと思われるマキに連れてこられた3軒目の店は普通の服が並んでいた。
あれがいいこれがいいと大量の服をマキに渡され、何度も試着を繰り返すことになった。
そして─
「うん、すごく可愛いよアキ姉ぇ!」
散々悩んだ挙句、やっとのことで服が決まった。ほかにも何着か選びレジに持っていく。
店員に今着てる服をまま着ていくことを告げ、タグを外してもらい会計を済ませ店を出る。
マキは相当俺の姿が気に入ったのか、ずっと俺を見てはニヤニヤしている。
「アキ姉ぇもすっかり女の子だねぇ~」
「ほっとけ!」
しかし、店のショーウインドウに写った俺の姿は、フツーに可愛いおしゃれな女の子だった。
「んじゃ、帰るとすっか」
「え?まだ下着買ってないじゃん」
まだまだ悪夢は続く・・・。
俺が小学生の頃に母さんがいなくなり、家事は俺とマキの仕事になった。
昔はよく2人で食材を買いにスーパーなどに行っていたが、いつしか家事は全てマキがやるようになっていた。
俺もそれに甘え、買い物すら手伝わなくなっていたのだ。
よく考えれば、駄目な兄貴だな。いや、よく考えなくても駄目か。
「ねえ、さっきからずっと黙ってるけどどうしたの?」
隣街に向かう電車の中、どうやら考え込んでしまっていたようだ。
「いや、ちょっとな・・・」
「アキ姉ぇも悩める年頃なんだね~」
「いや、別にそういうわけじゃ・・・って、アキ姉ってなんだよ!?」
何でも、外で今の俺に向かって兄と呼ぶのもおかしいというマキなりの気遣いらしい。
「それとも、お姉さまぁ~が良い?」
それはそれで悪くないかもと思ってしまう俺は、やっぱり駄目兄貴のようだ。
暫くして、電車は隣街に停車した。電車から降り、改札を抜けると、たくさんの人で混雑していた。
「うわっ」
体の変化に合わせ身長も縮んでしまったせいで、人ごみがまるで高い壁のようだ。
しかしマキは慣れているらしく、この状況に呆然としていた俺の腕をガシッっと掴むと、
「こっちこっち!」と強引に人ごみの中をすり抜けていった。
そして、ついに目的のショッピングモールに到着した。
460 :佐白 :2007/07/31(火) 23:13:15.61 ID:IKAoA.s0
「とりあえず、アキ姉ぇはどんな服が着たい?」
俺たちはショッピングモールの案内板を前に、どの店に行くかを話し合っていた。
「いや、女の服とかよくわからないし、何も考えてなかった」
別に好みがない訳ではなかった。しかし、こんなときにナース服やセーラー服なんていったら兄としての威厳が・・・。
「ん~、それじゃぁ私の好みでアキ姉ぇに合った服を買う、で良い?」
マキは見た感じシンプルで可愛い系の服を好んでいるみたいだし、お任せで大丈夫だろう。
そう思い、俺は躊躇うことなくその提案に乗ることにした。しかしこれが悪夢の始まりだった。
初めに入った店は、なにやら予想に反して物々しい雰囲気だった。
店内には、やたらへヴィな音楽が流れている。陳列されている品も─
「ってか、ここってパンク系の店じゃん!」
「うん、そだよー」
「そだよーって、お前の好みってこれか?こんな服着てたとこ見たことないぞ?」
そう言いながら、俺は近くにあったすっとんでるパンクファッションのマネキンを指差した。
「私は着ないけど、折角だしアキ姉ぇをナナみたいにしたいなぁ~って」
ちなみに、マキの言うナナとは、アニメ化・映画化までされた超人気少女漫画の登場人物だ。
「じゃあ早速試着してみよう~!」
ビシィッ!
はしゃぐマキに脳天チョップを食らわすと、マキを引きずりながら店を出た。
461 :佐白 :2007/07/31(火) 23:42:10.89 ID:IKAoA.s0
次に入った店は、まるで別の国のようなフリフリの服ばかり置いてある店だった。
「おいマキ、この店は何だ?」
「んとね、ゴスロリの店だよ~」
「ゴスロリ?」
普段あまり聞きなれない単語につい聞き返してしまう。ロリって部分にはもちろん反応したが。
「んとね、ゴシックロリータだったかな?簡単に言えば萌えぇ~な服だよ」
いったいマキはどこでこんな知識を仕入れてくるのやら・・・。
「つまり、やっぱり普段自分は着ないけど、俺に着せてみたいっと?」
「うん!」
頭が痛くなった。こいつは真面目に俺の服を選ぶ気はあるのだろうか。
とりあえず、お構いなしにはしゃぐマキにまた脳天チョップを食らわし、店を出た。
そして暫くお説教タイムに入り、改心したと思われるマキに連れてこられた3軒目の店は普通の服が並んでいた。
あれがいいこれがいいと大量の服をマキに渡され、何度も試着を繰り返すことになった。
そして─
「うん、すごく可愛いよアキ姉ぇ!」
散々悩んだ挙句、やっとのことで服が決まった。ほかにも何着か選びレジに持っていく。
店員に今着てる服をまま着ていくことを告げ、タグを外してもらい会計を済ませ店を出る。
マキは相当俺の姿が気に入ったのか、ずっと俺を見てはニヤニヤしている。
「アキ姉ぇもすっかり女の子だねぇ~」
「ほっとけ!」
しかし、店のショーウインドウに写った俺の姿は、フツーに可愛いおしゃれな女の子だった。
「んじゃ、帰るとすっか」
「え?まだ下着買ってないじゃん」
まだまだ悪夢は続く・・・。