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  • ひょんなことから女の子
  • ID:cV7rcjQo 1-11

ひょんなことから女の子

ID:cV7rcjQo 1-11

最終更新:2008年06月04日 19:00

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だれでも歓迎! 編集
391 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/28(木) 20:37:54.58 ID:zqTJCygo
タイトル 【ダイナミック・ポゼッション】 その2

ひょんなことから女の子化して一ヵ月後
『アドアッー!!ズ店内3F・大型筐体ゲーム用交流テーブル』


 多分この時のわたしは、鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしていたと思う。
 初対面の少女が自分のあだ名を知っていたのだ。普通驚く。
(まぁ、委員長ってあだ名は見た目だけで付けられたワケだし、ありえない事もない、のかな……)
「へぇー、その子はチャンプの知り合い?」
「うん! 委員長。……といっても、実際は委員長どころか部活の部長でもない、バキバキの帰宅部だよ」
「ちょ、ちょっと待って! なぜアンタがそこまで知ってるのよッ!?」
「え? あっそうか……、俺だよ俺。納槌 龍(ナヅチ リュウ)。久しぶりだね」
「……なッ!!」
「納槌って、……あぁ、そういやチャンプの本名、そんな名前だったでヤンス」
「チャンプとしか呼んでないから、うっかり忘れそうになったっふ」
「俺、ひょんなことから女の子になっちゃったんだ。信じてもらえないかもしれないけどさ……」
 彼の名を名乗るこの少女は、自らに起きた変化について事細かに説明した。
 その説明を聞くまでもなく、彼女の持っている雰囲気や言動が彼のものと合致していて、
性別が一晩で変ってしまうような『奇跡』が現実に起きたのだと、本能で理解できた。
 けれど、それを素直に「はいそうですか」と納得するなんて絶対にできない!
 それはつまり、わたしの彼への想いが永遠に叶わなくなるということ……。
 そんなの嫌。ぜったいに嫌っ!!
「ふッざけないでッッ!!!」
 吼えた。自分でも驚くぐらいの大声。周囲の視線を集めたが、そんな事はどうでもいい。
 この少女は何だ? 何の権限があって彼の名前を騙っている?
 許せない……!!
 怒りの視線で人を殺せるのなら、あたしはこの少女を10回は殺してる。
「い、委員長、ごめん……なさい……。でも、これは本当なんだ……」
 小動物のように怯えた瞳でわたしを見返す少女。
 困ったことにこの少女が持つ彼の面影は千の言葉より説得力がある。
 認めたくない現実。そして、認めそうになる自分。トクントクンと心臓が早鐘を打つ。
「仮に、仮によ? 仮にアンタが納槌クンだとして……」
 一呼吸置く。心なしか息苦しい。嫌な汗が体中から噴き出てくる。
「納槌クンは……、性転換してまでわたしから逃げたかったの?」
392 :VIPにかわりましてパー速からお送りしますPart774 [sage]:2007/06/28(木) 20:38:54.96 ID:zqTJCygo
「え? 逃げたかった、俺が? なんでそうなるの?」
「しらばッくれないで!!」
 彼女を見つめているだけで、悲しみと怒りをごちゃ混ぜにしたような感情が沸々と湧きあがる。
 ヤバイ、わたし泣きそう。いや、もう泣いてるのかもしれない。
「お、おい、委員長だっけ? 少し落ち着こう! な?」
「黙れサラリーマン風情ィ!」
「はぃ……」
「……委員長?」
 彼の名を名乗る少女のか細い声に振り向く。
 愛らしい少女の顔は悲しみに包まれ、今にも崩れ落ちてしまいそう。
 でも、今のわたしには罪悪感を感じる余裕などない。
「俺、委員長のこと、好きだったよ……」
「委員長がデートに誘ってくれて嬉しかった。本当だよ」
「嘘だっ! ……彼はデートの約束しても、ちっとも嬉しそうじゃなかったもの!」
「それは、デートの日に前からサラリー達と遊びに行く約束があったんだ。それで罪悪感が……」
 彼女はそう言い、視線をサラリーマン風情に向けた。
 成程、サラリーというのはこの男か。よく見れば彼の写っている雑誌記事にも小さく写っている。
 小さく写っているだけに人間的にも小物だろう。ルックスは悪くないが年上は守備範囲外。
 どうでもいい。
 それよりも今は彼女だ。何としてでも彼女が彼ではないという確証を掴まねば……。
「俺、女の身体になっちゃったから恋人にはなれない……。けどっ…………」
 先程から感じていた息苦しさが急激に増して、動悸が激しくなる……。 
 頭をぐわんぐわんとかき混ぜられるような感覚。視界がブレる……。
「委員長とはいままで通り友達として、仲良くしてほしいんだ。女友達として。ダメかな…………?」
 彼、いや彼女が何かを喋っている。耳には入ってくるのに理解することが出来ない……。
 そのうち、視界だけではなく、脳が、意識が、身体中がブレ始める……。
 もうまともに立っていられない。おぼつかない足取りで後ずさり、壁に背をつける。
「……きもちわるい」
「…………ッ!!」
 わたしは糸の切れた操り人形のように崩れ落ち、気を失った。
 薄れ行く意識の中で最後に見たものは、逃げるように走り去る、顔面蒼白な彼女の姿と、
まるで般若のように怒りをあらわにしたサラリーマン風情の姿だった。
409 :横長 [sage]:2007/07/10(火) 20:58:48.15 ID:5GezG56o
 久々に、ブチギレた。
『きもちわるい……』
 チャンプの知り合いらしき少女の、この心無い発言で俺はブチギレていた。
 会社では自分の事を小馬鹿にされても笑っていられたが、
 チャンプのこととなると感情が昂ってしまい、自分でも抑えられなくなってしまう。
(なんだと……、チャンプが、気持ち悪いだとッ? 貴様はチャンプの気持ちがわからないってのかッ!)
 眼の前のこの少女に憎しみが募ってゆく。全身の血が頭に集中して沸騰するかのような感覚……。
 今の俺の感情をひと言で表すなら”怒髪天”がしっくりくる。
 この少女を本気でひっぱたいてやろうかと、俺が憎しみの視線を送った直後──、
 どさっ……
 壁にもたれかかっていた少女が、そのまま気を失ったかのように床へ滑り落ちた。
 いや、気を失ったようにではない。実際気を失っているようだ。
 先程までの激しい感情はなりをひそめ、血の気を失った蒼白な表情が痛々しい。
「だっ、大丈夫でヤンスか?」
「どうやら、気を失ってるっぽいっふね……」
「サ、サラリー、どうすればいいでヤンスか?」
「とりあえず救急車呼ぼう。それまではお店の休憩室借りて横にさせてやるといい」
「りょ、了解でヤンス! ぁ、サラリー! どこいくでヤンスー?」
「俺は、チャンプを追う。後は任せるッ!!」
「任されたっふよ! サラリーもチャンプの事よろしく頼むっふ!」
 俺はこの場を二人に任せ、チャンプの後を追った。
 3階のフロアから階段を3段飛ばしで駆け下る。すれ違うカップルが短い悲鳴をあげながら大袈裟に回避する。
 ゲーセンの入口に着くと、チャンプが薄着のまま駅前方向へ逃げ去るのが見えた。
 ダッフルコートもマフラーもゲーセンに置いたままだ。今日の冷え込みなら余裕で風邪引ける。
 俺は周りの通行人の迷惑を顧みず全速力で後を追う。
 自慢じゃないが俺は高校のとき陸上部に所属していた経験があるんだぜ!
 ……三日で辞めてしまったがな!
410 :横長 [sage]:2007/07/10(火) 20:59:05.59 ID:5GezG56o
 駅前の公園に、チャンプはいた。
 ブランコに腰掛け、背中を丸めてうずくまっている。
 表情は見えないが、泣いていることくらいは雰囲気で分かる。
「ぜぇぜぇ……、おっ、ゼェゼェ……、おぃ……、ゼェゼェ……」
「…………」
「ゼェゼェ……、チャ…、はぁはぁ……、ふぅ~ぃ、お、おい、チャンプ……」
「……何?」
 丸まったままの姿勢で返事をするチャンプ。その言葉は冷ややかで拒絶の色がありありと浮かんでいた。
 チャンプと知り合って約一年。初めて見るチャンプのただならぬ雰囲気に、
かける言葉が思い浮かばず。バカの子のように立ちつくしてしまう。
「サラリー……?」
「……ん?」
「サラリーも……、俺のこと……、俺のこと……」
 チャンプが顔をあげる。顔をくしゃくしゃにして号泣していた。
 辛そうで、淋しそうで、まるで自分の事のように、いやそれ以上に胸が苦しくなる……。
「俺のこと! 気持ち悪いって、思ってんだろッッ!!」
419 :横長 [sage]:2007/07/12(木) 19:27:59.16 ID:fe9rfP2o
「思ってねえよ……」
 チャンプの悲痛な叫びに面食らってしまったが、
何事もないように平静を装って答える。
 ヤバい、こんなチャンプ見ていられない。まるで悲しみの牙で心臓を引っ掻き回されるかのような感覚だ。
「そんなの、信じられない! サラリー達だって心の奥底では俺の事バカにして笑ってんだ!!」
「もちつけ、一体どうしたんだよ……?」
「こんな身体になっちゃったせいで……! 嫌だ、嫌だよ!! いやだぁーっ!!」
 こんなに感情を剥き出しにしたチャンプは初めて見る。
 どうしたら……、一体どうしたらチャンプにいつもの笑顔が戻ってくるんだ? どうしたら……
 俺がいくら焦ったところで、チャンプの悲しみは晴れず、またうつむいてしまう。
「大好きだった人に気持ち悪いって言われたんだぞッ…… こんなのって!!」
「…………!!」
 やはりそれか。
「『気持ち悪い』って、委員長だろ? あれは、気分が悪いからそう言ったんだ。チャンプのことじゃない」
「嘘だッ!!」
「本当だ。ガリアン達が救急車呼んだから、今頃搬送されてる頃だろう」
 はっとした表情で顔をあげるチャンプ。チャンプにとっては思いもしない展開だろう。
「それ本当、なの?」
「……何なら病院に電話するか?」
 俺はチャンプが逃げ去った後の事を説明した。
 誤解が原因だとしても、一度心に受けた傷はそう簡単には癒されることはない……。
 当然、表情も曇ったままだ。
「でも、俺が委員長を傷つけたのは事実だよ……。皆といるのが楽しくて、一ヶ月の間連絡もしなかった……」
「むっ、それは……」
「それに、俺の事気持ち悪いってのが誤解だって保証、どこにも無いよ……」
 そう言って俺から逃げるようにふらふらと、あてもなく去ろうとする。
 心の傷に黙って耐えているこの少女はとても儚くて、今にも崩れ落ちてしまいそうに思えた……。
「な、なにすんだよっ……」
 俺は、チャンプを抱きしめていた。
 まるでそうするのが当たり前のように無意識に彼女を抱きしめていた。
 そうしないと、チャンプが崩れてしまう……。この時の俺はそんな感覚に囚われていたのだ。


マサオ「ママ~、まだまだ続くみたいよ~!」
未亡人「うふふ、あの二人投げ間合いに入ったわね! いけっ、そこよっ! レバー二回転っ!!」
マサオ「ママって時々意味不明……」
426 :横長 [sage]:2007/07/16(月) 17:20:47.26 ID:sF.ZJuko
(やばっ、つい勢いで抱きしめちまったが……、どうする……俺……)
 俺とチャンプの身長差は約30cm。必然的に俺の胸板にチャンプの頭がおさまる形になる。
 高鳴る心拍音が聞かれまいかと余計にドキドキしてしまう。
「ちょ、いい加減離せよっ!」
 目線を下に向けると、眉をしかめて睨みつけるチャンプの顔が。
 振りほどこうと動いた際に、チャンプ独特の、ふわりとしたシャンプーの香りが漂ってくる。
「なぁ、チャンプ……。俺はチャンプの事を大切な親友、だと思ってる……」
 チャンプの甘い香りに蕩けそうになる自分を戒めつつ、言葉を続ける。
「俺だけじゃない。デ ブガリコンビだってそう思ってるはずだ。……チャンプはどうだ?」
「なんだよ、いきなり……」
「チャンプにとって、俺達は単なるゲーム仲間止まりか?」
「そんなこと! 俺にとっても皆は大のつくくらいの親友だよ!」
 名残惜しいがチャンプを抱きしめていた腕を離す。しつこすぎると嫌われてしまう。
「なら、独りで苦しむな! チャンプの辛さを俺達にも分けてくれよ!」
「……え?」
「さっきの委員長との会話で俺はまったく無力だった。チャンプその身体の解決法だって見当もつかない。
……それでも親友が苦しんでいるのを黙って見てられるほど薄情にはなれない!」
「…………!」
「些細なことでもいい。チャンプの力になりたい。……俺達じゃ頼りにならないか?」
「そんなことないよ。そんなこと……。俺が女になっちゃった日、サラリーが言ってくれたよね?
『チャンプはチャンプだ』って。あの言葉が無かったら俺──」
 思い詰めた表情のまま、チャンプは途中で黙りこくってしまう。
 そして、時が止まったかのように沈黙が続く。
 言葉の続きは大体想像つく。場の雰囲気からして、この後愉快な言葉が続くとは到底思えない。
 俺の表情から何かを察したチャンプは、わざと元気に振舞ってみせた。
「……な、な~にシリアス顔作っちゃてんだよ~。似合わね~!」
「失敬な! シリアス顔作ったら世界で五本の指に入りたい俺に向かって何たる暴言!」
「入ってないのかよっ!」
 言いたくない事は無理に聞かない。言わせるつもりもない。
 今はチャンプの空元気に付き合うことが先決だ。
「俺のようなシリアス男が親友なんだ。学校で自慢していいぞ!」
「親友、親友かぁ……。うん、親友だよねっ! 俺、サラリー達と親友で良かった!」
 さっきとは打って変わって満面の笑み。
 不意打ち気味に飛び出たこの笑顔に、心臓が飛び出そうになるほどときめいてしまう。 
「にひひ~、サラリーってば、なに照れてんだよっ」
 どうやら今の俺は顔が真っ赤らしい。それを親友と言われた事による照れと誤解したようだ。
 チャンプの誤解にほっと胸をなで下ろす。
440 :横長 [sage]:2007/07/19(木) 20:17:12.72 ID:vw/q6Eko
「いい年して照れ屋ってのもどうかと思うよ~ にひっ」
「う、うるせっ! ……それより戻るぞ。デ ブガリも心配してる」
 照れ隠しの話題変えのつもりで言った言葉だが、 委員長のことを思い出したのだろう。
 チャンプの表情から明るさが消え、淋しそうな視線を足元に向ける。
「大丈夫。俺が、俺達がついてる……」
 俺はチャンプの肩を抱きそう言った。
 大丈夫なんて言えるほどの確信なんてどこにもない。
 だが、チャンプの助けになることなら何だってするし、チャンプの障害が現れたなら全力でブチ抜いてみせる……!!
 女として好きだからでも親友だからでもない。まして憐みといった感情でもない。
 初めて自分の本音を明かし、初めて生の感情を爆発させたチャンプ。
 そしてボヘミアングラスのように儚いチャンプの姿に俺の決意は固まっていた。
 ──俺は、こいつを守る。
 人間、進むべき道、そして目的を持つと力が沸いてくるものだ。
(たとえ世界中が敵でも俺は、守る……、守り抜く!!)
 心の中でそう呟く。
 それだけで全身に気力がみなぎってくる。真冬だというのに全身の血が沸騰してしまいそうだ!
「ふーん。それだけ自信たっぷりなら、考えでもあるの?」
「ない!」
 即答した。いくらなんでも無い袖は振れない。
「なんだよそれ! もういい! 帰~ろっ」
「……ぅお~ぃ! 待ってくれ~ィ!!」
 俺をおいて一人先行くチャンプ。それをダバダバーと追っかけるダサカッコイイ俺……。
(あぁ……。今の俺ってばダサ輝いてるぜ! こんな俺が好き! チャンプも俺を好きにな~れ!)
 さっきの決意はどこへやら。イミフな事を考えつつ後を追った。
450 :横長 [sage]:2007/07/24(火) 18:39:45.68 ID:05AlbY.o
 チャンプと二人、肩を並べてゲーセンへと向かう。
 先程までの思い詰めた表情はなりをひそめ、安心しているかのような微笑を浮かべている。
(笑顔でいるってことは、俺のしたことは間違ってなかったんだな……)
 ふと、先程までのことを思い出す。
 ──チャンプの溢れんばかりの悲しみ、自分への怒り、俺達への不信、友情の再確認、そして……
(抱きしめちまった……)
 まるで超低反発の抱き枕を抱きしめているかのような、やわらかい抱擁。
 少年の頃の逞しさはなく、少女特有のやわらかさと匂いがそこにあった。 
(許されるのなら、ずっと抱きしめていたかったぜ……) 
 脳内で何度も抱擁シーンをプレイバックし、年甲斐もなく顔を赤らめてしまう俺。
 そんな俺の心の内を読んだかのようにチャンプが詰め寄ってくる。
「と・こ・ろ・でっ!」
「どどどどうした?」
「さっきは何で俺を抱きしめてきたのさっ?」
「ぅわわわわ! なななな、な~んのことかニャ~?」
 俺はチャンプから目を逸らし、両の掌を後頭部にやって口笛を吹く。
 これは昔の漫画に良くある伝統的しらばっくれ方であり、
完成されたこのフォームによって、現状の危機回避率が80%まで上昇するのである!
「しらばっくれてもダメっ」
 80%の壁を易々と突破してくるチャンプ。お前はスパ□ボのティター□ズか……。
「んそそそれはだなぁ……、そうそう! 薄着だったから暖めてやろうかと思って、つい。な!」
「な!って言われても納と……へくちっ!」
「おほっ! リアルで『へくちっ』なんてクシャミする奴初めて見たぜ~^^ ワンモアセッ!」
「なにバカなこと言って、へくちっ! ……るんだサラ、へくちぃっ!」
「いいぞ~^^ もっと聞かせてくれ!」
「んもうっ! からかうん……、へくちっ! じゃない~っ!!」
 結果的に期待を裏切らないチャンプ。こんなチャンプが大好きだ!
457 :横長 [sage]:2007/07/31(火) 18:12:36.54 ID:/HjQqowo
 ゲーセンへと戻った俺は、デ ブガリコンビに事の顛末を教えてもらった。
 心配で心配で、今すぐにでも病院へ行こうとした俺を、
サラリーに『また気絶したらどうすんだ?』と注意され、
仕方なくお見舞いは翌日にいくことにしたんだ。

 そしていま、委員長の病室の扉の前にいるわけなんだけど……。
(やっぱり、怒ってるかなぁ。……当然怒ってるだろうな)
 昨日の『気持ち悪い』発言を思い出し、二の足を踏んでしまう。
(でも、委員長を傷つけてしまったんだから当然、か……)
 彼女の口からどんな暴言が飛び出ても受け止めなきゃ……。
 それがたとえ罪滅ぼしにならないとしても……!
 委員長が望むなら、俺はいくらでも傷つこう。
 ──これは罰。女になってしまった俺への、罰。
 こればかりはサラリー達に助けてもらうわけにはいかない。
(しゃっ!)
 自らの心にに活を入れ、意を決して病室の扉を開く。
「あ、納槌く~ん! お見舞い来てくれてありがとー!」
 扉の先には、はじけるような眩しい笑顔の委員長。
 昨日の事なんて無かったかのような委員長の表情に、思わず目をぱちくりする。
「そーんな入口にポケーと立ってないで! こっち来て」
 言われるまま、委員長の寝ているベッドのそばへゆく。
 緊張の為、かなり動きがぎこちない。
「なぁに? 緊張なんかしちゃって」
「え? あぁ、その、ごめんなさいっ!!」
480 :横長 [sage]:2007/08/08(水) 18:22:38.51 ID:ozIj//Qo
「どうしたの? わたし納槌クンに謝ってもらうほどヒドい事されたっけ?」
 きょとんとした表情で小首をかしげる委員長。
 その表情は自分の知る委員長のままで、俺を拒絶する様子は見受けられない。
「えっ? ええと……、俺がこんな身体になっちゃったから……」
「”女”なっちゃったって、今でも信じられないけどね……。
 でも、そうなったのは納槌クンに原因があるってことかなー?」
「原因は自分でもよく分からないんだ。何の前触れもなく女になってて……」
「それなら謝らないでよ~」
「う、うん。ゴメン」
「納槌く~~ん? 人の話聞いてた?」
「あわわわっ、ゴメン……って、このゴメンはその言葉に対するゴメンでして……」
「ふ、ふふっ、あはははっ!」
「……? 委員長、どうしたの?」
「アハハ、ごめん。性別が変っても、中身は私の知っている納槌くんなんだなって!」
「委員長は、……俺の言う事信じてくれるの?」
 俺は委員長の心変わりに少し動揺していた。
 会うのにそれなりの覚悟をしていたので、正直肩透かしをくらったような気分。
「……もしかして、昨日の『気持ち悪い』って言葉、気にしてたりする?」
「…………!!」
「お昼にサラリーマン風情がお見舞いに来てくれて、
 納槌クンがわたしの言葉で傷ついているって教えてもらったの。
 ……謝るのはわたしの方だよね。本当にごめんなさい!」
「や、やめてよ! ……おねがいだから頭あげてよ。
 俺は一ヶ月も委員長に連絡もしないで心配させちゃったひどいヤツなんだ。
 だから頭下げる必要ないって」
「ん~、それなら連絡しなかった事を許してあげるから、昨日のわたしの言葉も許してもらえる?」
486 :横長 [sage]:2007/08/09(木) 18:25:09.33 ID:Jk2Hzf2o
「うん、わかった……」
 一ヶ月もの音信不通と昨日の誤解では全然重さが違う。
 それでも委員長の望むことならと、この提案を受け入れた。
 ──断じて委員長が否定を許さない笑顔で微笑んでいたからではない。……断じてない。
「よっし、これでもうゴメンなさいする必要は無いかな」
「え? うん、多分」
 委員長は嬉しそうな表情を浮かべながら、ベッドから上体を起こし俺の手を握る。
 委員長の暖かくて柔らかいてのひらの感触を感じる間も無く──
「うぁわっ!!」
 俺は委員長におもいっきり腕をひっぱられ、乱暴にベッドに引き寄せられた。
 ひとつのベッドに俺と委員長。突然の出来事に照れることすら忘れてしまう。
 そんな混乱中の俺のことなどお構いなしに、がばっと抱きしめてくる委員長。
「んふふ~。わたしね前から納槌クンとこういうことしたかったの~」
 普段の委員長からは考えられないほどの甘ったるい口調。
 学校ではしっかり者のお姉さんキャラだった委員長の口からこんな台詞が出たことにひどく驚いてしまう。
 これでは妹キャラ……というより、幼女キャラだ。
「ねぇ、ちょっと、委員長ってば! くすぐったいっ」
 委員長の顔が間近にあるので、目を逸らして必死の抵抗を試みるが、
逸らした視線を追うように委員長が身体の位置を変える。
 俺が必死の抵抗を繰り返していたら、いつの間にか委員長が
上からのしかかるような姿勢になったので、俺は抵抗をやめた。
「納槌クンだって、わたしとこういうことしたかったんでしょ~?」
「あっ、そんなこと、思ってないってばっ! だからぁ、もぅ、やめて……」
 抱きしめてくるだけでなく、耳に息をふきかけてきたりと、いいように委員長の玩具にされている俺……。
 困ったことに、委員長の束縛はゾクゾクするほど気持ちいい。
 委員長の吐息、委員長の視線、委員長の感触。それらに過敏に反応してしまうのは(元)男のサガなんだろうか?
 このまま全てを委員長に委ねて堕ちてしまいたいと、この時は本気でそう考えていた。
 俺は、マゾなのかもしれない……。
「ん~ふふ~ん。わたし知ってるんだよ~?」
「あふぅ、な、何をぅ……、んくっ」
「納槌クン、わたしのことえちぃ目で見てたんだよねー」
「ブーーーッ!!」
 コーヒー飲んでたら吹いてたところだった。
「Aから教えてもらったんだよ~? 納槌クンが私で欲情してたって!」
 あっけらかんと言い放つ幼女委員長……。
489 :横長 [sage]:2007/08/11(土) 18:13:48.87 ID:7m7YL0Uo
「そ、そんなことないよ! 第一Aの言う事を信じるのっ!?
 あの人、いつも俺達のことからかってばかりじゃん!」
「わたしは信じるよ~。だって心当たりがあるもの~」
「うっううううううううううそだぁああっ!」
 俺は愕然とした。学校では委員長のことをそういう目で見ないように自制していたのに。
どこかで気が緩んでいたのかも……。
「納槌クンはわたしをどういうカタチでズリネタに使ったのかな~? ふふん、肖像権侵害だぞっ?」
「ズ、ズリネタって……、しかも肖像権って妄想の中はノーカンでしょっ」
「ええいっ! 男の子なんだから、四の五の言わずにおしえなさーーーい!!」
「いやだぁ! それに今は女の子ですーーーっ!!」
 委員長は心底嬉しそうに、しかし抵抗を許さない口調でそう言いながら、
たわわな胸を俺のほっぺに押し付けてくる。この胸は、兵器だ。……D兵器。
 逃げようのないこの状況では降参するしかない。このまま組み合ってるのもいろいろヤバイ。
「いう! 言うから、離れてっ、ちょ、息出来ないよぉ!」
 そうは言いながらも、この状況が嬉しくないわけでもない。
 もういいや、このまま全てを委員長に委ね、蕩けてしまおう……。
 と堕落系な考えが頭をよぎったところで、委員長のD-1とD-2が俺の顔面からテイクオフした。
492 :横長 [sage]:2007/08/13(月) 17:30:25.99 ID:go.XXlco
 俺は息を整え委員長を見遣る。ワクテカした彼女の笑顔はとても綺麗なのに、
高校生のものとは思えない、とてつもないプレッシャーを醸し出していた。
 まるで、魔王……。
 委員長と対峙することで、俺は魔王から逃げられない勇者の気持ちを理解できてしまった。
 もう覚悟決めるしかない。というより早く喋ってプレッシャーから逃れたい。
「わかった。言うよ……
 シチュエーションは学校の放課後。だれもいない教室で委員長と……、その、キス……しちゃった。
 ……って、当然これは俺の妄想の中の出来事だからねっ!」
「…………それだけ?」
「へ?」
「それだけなワケがない! 露出は? 触手は? なにより陵辱がないでしょッッ!!!
 納槌クンの頭の中にはとことん陵辱されて性の虜になった挙句、
 ヤリ飽きて放置プレイ中のわたしが存在している筈ッ!!」
「そ、そんなこと考えないよ。第一えっちな委員長の妄想したのって三回くらいだし」
「う、うそ……。普通なら定番のローパーで触手絡ませたりしない?」
「普通しないよ! それに、委員長と知り合ってから一週間もしないうちに俺、本気で好きになったから」
「へ?」
「委員長レベルの女の子が毎日弁当作ってくれたら、俺じゃなくても恋に落ちちゃうって。
 でね、女の人を本気で好きになると、妄想の中で汚す事すら出来なくなるんだ。
 これは俺だけかもしれないけどね」
 その時の委員長の顔は、色々な感情が混ざり合ったような、そんな表情だった。
 俺が「委員長?」と声をかけても、まるで放心状態のように反応がない。
496 :横長 [sage]:2007/08/19(日) 18:46:02.51 ID:dzoLYKco
 しばしの静寂ののち、委員長がどこかぎこちない表情のまま口を開く。
「納槌クン、さっき言ったよね? 『俺の言う事信じてくれる?』って」
「え? う、うん。女の子になっちゃったことだよね」
「わたし、信じるよ! だって、わたしの大好きな人の言葉だからっ!」
 微笑みかけてくる委員長。だがその笑顔はどこかいびつに見える。
「委員長……」
「周りが何を言ってもっ、わたしは納槌クン、あなたを信じるよ! 絶対信じる。信じるよ……」
 『大好きな人』、そう言ってもらえるのは嬉しい。俺も好きだったから尚更。
 けれど、最後の『信じる』という言葉は、委員長自身に言い聞かせているようで、
それがどこか痛々しくて、素直には喜べなかった。
 そんな委員長の姿に、俺はずっと胸の内にあった疑問を投げかけていた。
「委員長は何で俺なんか好きになったの? 俺よりカッコイイ人、クラス内でもたくさんいたよ」
 委員長は一瞬きょとんとした表情になったが、次第に優しげな表情に変わり、
まるでいたずら坊主にするかのように、俺のおでこを指でつつく。
「わたしにとって、納槌クンが最高にカッコイイ人なのっ!」
 自分の言葉に赤面しつつ、委員長はいかに俺が好きかを語りだした。
 ──初めて納槌クンに出会った時、笑顔を一目見て恋に落ちたこと。
 ──実は自分と納槌クンが一緒のクラスだと知った時、心臓が飛び出そうになるぐらい嬉しかったこと。
 ──授業中はとっても真面目なのに、ゲームの事となると見た目以上に子供になる納槌クンが可愛いこと。
 ──もっと納槌クンのことを知りたいと考えているうちに、これが本気の恋なんだと自覚したこと。
 ──どうすれば納槌クンの笑顔が見られるだろうと考えていたら、いつの間にか朝になっていたこと。
 ──考えあぐねた結果の手作り弁当を、『とてもおいしいです!』と満面の笑みで返してくれたこと。
 ──初めてのデート、誘いを受けてくれて本当に嬉しかったこと。
 ──俺と過ごした学園生活は今までの人生の中で一番しあわせだったこと……。
「ごめんね~、重い? 引いた?」
504 :横長 [sage]:2007/08/21(火) 17:45:39.83 ID:GKYgcY2o
 そう言って何事もないようにからからと笑う委員長。口調は軽く表情は明るい。
 だがそれはうわべだけのことで、胸の奥底には深い悲しみが渦巻いているのを俺は知っている。
 そして、その悲しみをもたらしたのが、他のだれでもない俺自身であることも。
 思い返せば、俺は委員長の事は本気で好きだったが、委員長が俺に向けるほどの強い想いは抱いていなかった。
 サラリー達と遊ぶ事の方が楽しいから一ヶ月も連絡せずに放置できたのだ。
 結果、俺は委員長のキモチを踏み躙ってしまった。
 なんて薄情なんだろう。
 なんて情けないんだろう。
 こんな俺をカッコイイって言ってくれる委員長に会わせる顔がない……。
 委員長のキモチが真っ直ぐで力強いから余計に、きつい。
 俺に心配かけまいと笑顔を見せる委員長。
 それがまた俺の胸をきりきりと締め付ける。
「ごめんっ、ごめんね?……委員長ごめぇ……えぐっ」
 俺の胸に溢れていたさまざまな感情が、こらえきれずに爆発した。
 情けないことに、俺は委員長の胸に顔をうずめて号泣していた。
「なぁに突然? もうごめんなさいすることは無いでしょ?」
「だぁって! ひぐっ、委員長が俺みたいな、ダメ人間に優しいからぁ! えぐっ」
 俺は号泣しながら、いかに自分がダメ人間で委員長が素敵な女性であるかを力説した。
 ぐっずぐずの涙声だったので、俺の言った事は理解してもらえなかったと思う。
 しばらくそうしていたら、委員長の両の腕が俺の背中にまわった。
 先程の拘束するような抱擁ではなく、母親が子にするような優しい抱擁。
「ごめんね……。納槌クン。これを最後の≪占有≫にするから、……お願い、しばらくこうさせて」
 俺はこくこくと頷く。委員長に抱きしめられている間も涙は止まりそうになかった。
 やがて、俺以外の泣き声に気付く。
「納槌クン、ぐすっ、わたし。納槌クンのこと、大好きだったよっ」
「俺も、委員長が、大好きだった! えぐっ……」
 もうこれ以上は言葉は必要ない。俺達はお互いに抱きしめあって号泣した。
 俺は委員長のぬくもりを求めるように強く抱き、委員長もそれに応えるかのように強く抱き返してくれる。
 砕けた想いの行き先なんてどこにもない。
 それはわかる。痛いほどにわかる。
 だが今は、今だけはこうしてお互いの想いを確かめあっていたい……。


 こうして、俺と委員長の恋はあまり人に見せられないような形で幕を閉じた……。

 余談だが、担当の看護婦及び、仕事帰りに再度お見舞いに来たサラリーとデ ブガリコンビに
この一部始終を見られていたのを俺が気付くのはあと五分後のことである。
548 :横長 [sage]:2007/09/03(月) 18:43:54.49 ID:K7pPzJ.o
「サラリー達は本当に、ほんっーーーーとーーーーうにっ!!ひっどいやつだ!!」
「悪かった! 悪かったって。だからそろそろ怒りを静めよう! な!」
 病院から帰る間、チャンプが病室での一部始終を見ていた俺達に対しブチギレだした。
 ぷりっぷりに怒ったチャンプの顔も愛らしくて、本人には悪いのだがつい口元が緩んでしまう。
「お見舞いに来てるなら来てるで、声かけてくれればいいじゃんっ!」
「そりゃ無理ってもんでヤンスよ。ねぇ?」
「そうそう。あの状況に踏み入るなんて、空気読めない奴しかできないっふ」
「……なら空気を読んで黙って帰ればよかったのに」
「ひでー。折角お見舞いに来たのにその仕打ち?」
「と、とにかくっ! 俺は怒ってるんだぁーっ!」
「あ、話そらした^^」
「大体デリカシー無さ杉だよ。最近みんなのこと見直してたのにな~」
「まぁそうカリカリすんなって! それに委員長自身、大して気にしてなかったじゃないか」
「そんなことない! 委員長は俺なんかより繊細で、可愛くて、……その、とっても素敵な人なんだっ!」
「へぇ、まぁ知り合ったばかりだし、俺にはよく分からないな。……うむむむ」
「なんだよサラリー? いきなり考え込んだりして」
「……これは俺一個人の意見なんだけどな」
「?」
「委員長とやらよりも、チャンプの方が可愛いぞ^^」
「ほぇ?」
 一瞬何を言われたのか理解出来なかったチャンプだが、みるみる顔を紅潮させてゆく。
「なっ、んななななななぁ!!」
「なーなーなななー?」
552 :横長 [sage]:2007/09/05(水) 20:55:41.47 ID:rs795Qgo
「な~にバカなこといってんだぁーーーーーっ!!」
「「「うおっ!! 鼓膜破れるッ!!」」」
 不意打ち気味の可愛い発言に、チャンプは恥ずかしさのあまりバインドボイス【大】を炸裂させた。
「ふんっ! サラリーがバカなことばかり言ってるのが悪いんだっ!」
 叫んだ事により気分が落ち着いたのか、羞恥に染めたその表情は、次第に嘲るような下目使いになる。
「それにしてもさぁ、サラリーってデリカシーだけじゃなく女を見る目もないんだね。
 委員長の良さが分からないなんて、男としてどうかと思うな!」
「そっか? 俺じゃなくても大多数の人間はチャンプを選ぶと思うぞ~」
「「俺達もサラリーに同感でヤンス&っふ~」」
「デ ブガリコンビまでもかぁ……。みんな分かってないよ!
 委員長はね、可愛いさだけでなく料理の腕も最高なんだ」
「へえ。でも俺は委員長とやらの手料理食べたことないからなぁ」
「それに友達も多いし、クラスの皆から慕われてるんだっ!」
「チャンプ~。そんなの分かりようがないっふ~」
「それに、それにねっ……、、、、」
 突然チャンプの言葉が詰まる。
 チャンプはうつむきながら身体を震わせて涙を堪えていた。
 長すぎるダッフルコートの袖をぎゅっと握り締め、涙を見せまいと必死に耐えている。
「チャンプ……」
556 :横長 [sage]:2007/09/06(木) 19:14:01.93 ID:6wfpV5go
「ねぇサラリー……。俺、どうしたらいい? どうすれば委員長の傷を癒せるの……?」
「無理、だな」
 即答した。無い袖を振らないのが俺のポリシーである。
「そんな! 俺にできること、絶対あるはずだよ!」
「厳しい言い方になるがな、彼女が求めているのは男の頃のチャンプで、今のチャンプじゃない。
 それは自分自身で痛感してるだろ?」
「でも! このまま何もしないなんて出来ないよ。
 俺、委員長のためなら何だってするよ! 本気だからね!」
「チャンプの気持ちは分かるぞ。分かるがな。いくらその気になっても無理なものは無理だな。
 ……男に戻らない限り」
「それこそ無理だよ。俺が女になった原因すら分からないのに戻るなんて……」
「だな。つまり無理、ってことだ。まぁ彼女の傷は時間が癒してくれるだろうさ」
「でも、でもでも! ねぇ、おねがいだよサラリー! 
 俺、委員長に罪滅ぼししたいんだ! 委員長を傷つけたまま放っておくなんて、そんなの嫌だ!」
 上目遣いに俺を見上げるチャンプ。不安げな瞳は潤み、白い頬には涙が伝っていた。
557 :横長 [sage]:2007/09/07(金) 21:48:08.87 ID:zNBWSZ2o
 委員長は失恋の傷を、チャンプは女体化してしまった自分への罪の意識をそれぞれに抱え、
 それでもなお互いを思いやろうとする。その姿勢は美しいと思えた。そして悲しいとも。
「ぐすっ……。おしえてよ……」
 方法が無いわけではない。委員長に新しい恋人が出来れば丸く収まるのだ。
 だが、それには委員長がチャンプへの想いを断ち切らなければならない。
 先程の病室では、委員長は女になってしまったチャンプを拒絶しなかった。
 それだけでなく、チャンプを受け入れ、心配かけまいと明るく振舞ってみせていた。
 それは、委員長のチャンプへの想いが、チャンプとの関係が生半可なものではない証明でもある。
「おねがい……。えぐっ、ひっぐ……」 
 それにしてもチャンプは凄いな……。
 巧みに女の武器を使いこなし、俺の心を激しく揺さぶってくる。
 上目遣い、涙、懇願。女の武器をフルに活かした即死コンボ。
 打算や計算がない分、破壊力は天井知らずだ。
 こんなせつない顔されたら、ポリシーなんかかなぐり捨てて、無い袖振り回したくなってくる。
 気が付くと、いつの間にかデ ブガリコンビがチャンプの後ろから、
 『あ~あ、泣~かせた~』とでも言わんばかりのジト目で俺を睨みつけていた。
 あれ? 俺、いつの間にかヒールに仕立てられてる?
「もういいっ! 俺一人でなんとかしてみせるからっ」
「ちょ、待てチャンプ! 今考える! 考えてるから!」
「サラリー、もういいよ。どうせ『無理』なんだろっ!?」
 涙の痕を残した頬をふくらませ、ぷいっと顔を背けられる。
 やばい、完全にヘソ曲げた。
 考えろ! 考えるんだサラリー! KUULになれ、平更利一(ヒラサラ リイチ)
 委員長への謝罪、委員長がもとめるもの、委員長の望む事……。
 そう、チャンプだ。男の頃のチャンプ。そして男のチャンプはもうこの地球上には存在しない。
 …………QUULになれ、平更利一(ヒラサラ リイチ)
 男の頃のチャンプ、女になったチャンプ。そして叶うことのない想い。それでも何か、何か方法があるはずだ……。
 ぽくぽくぽくチーン! ぽくぽくチーン! ぽくチーン!ぽくチン!ポクチン!ポクチンポクチンポクチンポクチンポクチンポクチンポクチン……
 頭の中でおぼろげにアイデアが浮かんでは消え、浮かんでは消えてゆく。そして──
「Eurekaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 もうこれ以上はない、そしてもうこれしかないアイデアが浮かび、俺は人目もはばからず快哉をあげた!!
 チャンプ達は、もういなかった。

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