「──ならば全霊。五度は殺すぞ」
それは世界から喪われた、膨大なる“彼方”の武術の数々を究めている。
それは打撃も、投げも、絞めも、読みすらも通用しない、無限の戦闘分岐を持つ。
それは尋常の身体構造には不能の、真に必殺の打撃を放つことができる。
誰もが栄光を知る“最初の一行”の、未だ敗北を知らぬ最後の一匹である。
登場話
第一部
- 「無尽無流のサイアノプ その1」
- 「無尽無流のサイアノプ その2」
第二部
- 「第一試合 その2」
- 「第一試合 その3」
- 「第一試合 その4」
- 「黄都 その12」
- 「その手に栄光を その1」
- 「その手に栄光を その3」
第三部
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- 「第九試合 その1」
- 「第九試合 その4」
- 「第九試合 その5」
- 「第九試合 その6」
- 「第九試合 その7」
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略歴
- 読み:むじんむりゅうのサイアノプ
- 種族:粘獣
- クラス:格闘家
CV - 緑川 光
六合上覧の参加者の一人。
“
最初の一行”の知られざる一員であり、“
本物の魔王”戦においては置いて行かれたため、二十一年の間、砂の迷宮で知識を蓄え、詞術を覚え、武の研鑽を続けてきた。
“本物の魔王”の死を知ると、瞑想中の
彼岸のネフトを引き出す為に
狼鬼の里、ゼーエフ群で暴れ回った。
ネフトとの立ち合いを果たした後、「魔王を倒した勇者を倒し、自らの強さを証明する」べく黄都へと向かう。
人物
非常に執念深く、理知的な性格。
使えるものは全て使うことを信条としており、心技体全てを武器とする。
また、その価値があると信じた戦いの為には重い代償も厭わない生粋の戦士である。
外見
薄緑色の透明な不定形の球体。
目も口もなく、外見からは表情や思考は一切読み取れない。
能力
拳法
砂の迷宮の膨大な量の書物を長い時をかけてそのほとんどを解読した結果、空手や柔術、中国拳法といった“彼方”に伝わる数々の格闘武術とその闘技を習得し、その鍛錬にさらなる年月を重ねることで、その全てを極め尽くしている。
そして粘獣の肉体は、不定形かつ自由にその形を変化させることが可能故に、打撃、投げ、絞めなど無限とも言える戦闘分岐を有している。
さらに彼は、書物で得た知識と戦闘経験を基に敵の攻撃パターンを“読む”ことが可能。構えや僅かな動作を観察しただけで相手がこれから繰り出す攻撃やその組み立てを瞬時に看破することができ、戦闘における純粋な読み合いでは他の追随を許さない。
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豊富な知識と高い洞察力からなる“読み”は恐るべき精度であり、極限の死闘の中でも数手先まで考えている。(第二部ネタバレ) |
豊富な知識と高い洞察力からなる“読み”は恐るべき精度であり、極限の死闘の中でも数手先まで考えている。
第一試合では、 初めて見る魔剣が相手であってもその構えの組み立て方や重心移動、踏み込み等から間合いを推測し、無数の魔剣の大半に瞬時に対応して見せた。
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戦闘の痕跡を“読む”ことで、そこで繰り広げられた闘争の流れをまるで見ているかのように推察することも可能。
また、不定形の体には足運びも打撃の予兆もなく、目線や表情の変化も存在せず、瞬時に伸びる無数の仮足から種々の“彼方”の闘技を繰り出すことが出来る。
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書から学んだ技から発展させ独自の技を編み出すなど、二十一年の積み重ねは伊達ではない。(第二部ネタバレ) |
書から学んだ技から発展させ独自の技を編み出すなど、二十一年の積み重ねは伊達ではない。
遍く生命に存在する身体構造が、粘獣には存在しない。
そのため、粘獣の格闘術で真に脅威となるのは固め技である。サイアノプが一方的に構造を破壊する側に回ることが可能なためである。
彼の見せた“肩固め”なる業は、首と両肩を完全に拘束し、その肩の圧迫によって頸動脈を塞ぎ、唯一僅かに動く左腕も業をかけている者へ向けての可動を巧妙に封じる、という尋常の身体構造を有する者には到底不可能な絶命の業であった。
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また――(第三部ネタバレ) |
また、彼の有する一撃必殺の業、“嘯液重剄”は、竜族の持つ蛇竜の頭蓋や竜鱗による防御を無視して内部の構造、主として重要な神経系(脳幹)の一点を破壊するために編み出された無手の絶技である。
それは、かつてのどこにも実在しなかった竜殺の域に到達している。
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体内の「核」を流動させ、致命的な攻撃から急所を「逃がす」こともできる。
確認できた業は以下の通り。
- “八極貼山靠”
- “冷勁”
- “嘯液重剄”
- “底掌”
- “螺旋手刀”
- “連環腿”
- “十三歩”、アニメ版では 十三歩
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第2部以降・書籍版 |
- “刻み突き”
- “縮地術” あるいは “無足の法”
- “肩固め”
- “角手”
- “正拳”
- “前蹴り”
- “手刀打ち”
- “化勁”
- “出足払”
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生術
下等生物である粘獣ながら、詞術を用いることが出来、生術を得意とする。
戦闘前、自らに施した生術により、体積の大半を喪っても核さえ無事なら即座に復活できる。
身体構造をもたない単細胞生物ゆえの荒業である。
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それでも回数に限界はあり、寿命の前借りである。(第三部ネタバレ) |
それでも回数に限界はあり、寿命の前借りである。
これは「連発される寿命を削る技」めいたフレーバーテキストではなく、『1回の再生につき寿命5年』というシンプルな算数で未来を削り取っていく。
サイアノプはすでに 粘獣の寿命約50年の半分を図書館での修行に費やしているため、全再生は4回しか使えない。
これは 六合上覧の各試合で1度までは死ねるが、裏を返せば『1度しか死ねない』ことを意味する。
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超人的技巧を持つとはいえ、生身でぶつかることを避けられない格闘家クラスには必須の保険。
かつて見た、
彼岸のネフトの術から学んだらしい。
その他
上記の他にも、砂の迷宮の図書館の蔵書にて得た知識や技術を多数習得しているものと思われる。
書籍版Ⅵにおいては石礫を高速旋回させて相手に打ち出す“指弾”を披露している。
一問一答によれば、各種武器術も一通りは習得しているとのこと。ただし、粘獣の身体構造上武器類との相性が悪いこともあってか、あまり得意とする分野ではないらしい。
余談
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ネタバレ? |
“最初の一行”と共に旅をしていた頃の彼は、よく話すだけの、ただの一匹の 粘獣であった。
敵の出現に大げさに驚いたり、たまに重要な情報を頑張って手に入れてきたり。
あるいは アレナの悩みの相談相手になったり、 ルメリーに足蹴にされたりしていた。
フラリクや ロムゾとは特に仲が良かったようだ。
書籍版Ⅶにて、 彼岸のネフトが評するに、個が強すぎる最初の一行が空中分解せず一つの集団として機能していたのは、フラリクのカリスマの下にサイアノプによる橋渡しが緩衝材として機能していたからであるとされた。
最終決戦に当たり、戦闘能力がなかったサイアノプを置いていくことが一行全員の総意であったことからも、彼が最初の一行における重要な立場を担っていたことがうかがえる。
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最終更新:2025年05月08日 00:07