おぞましきトロア

「いい。こういうことは、俺で終わりだ」

登場話

第一部

  • 「おぞましきトロア その1」
  • 「おぞましきトロア その2」
+ だから誰も魔剣を持ってはいけないのだ。それは死を呼ぶ。(ネタバレ有り)

第二部

  • 「第一試合 その1」
  • 「第一試合 その2」
  • 「第一試合 その3」
  • 「第一試合 その4」
  • 「その手に栄光を その1」
  • 「その手に栄光を その2」

略歴

  • 読み:おぞましきトロア
  • 種族:?

魔剣の所有者の前に現れ、所有者と目撃者を問わずそれを殺戮し、ただ魔剣のみを奪ってゆくという謎の存在。
冬のルクノカと同様、半ば伝説上の存在ではあるものの、惨劇の跡がその存在を証明している。
犯行があまりにも非現実的な事から単独犯とは思われず、国家的陰謀論やカルト組織によるものとする説が巷で囁かれていた。

本物の魔王”が現れる以前から魔剣の略奪と殺戮を繰り返していた、おぞましきトロア。
しかし、ついに星馳せアルスにヒレンジンゲンの光の魔剣を奪われ殺害された筈であったが…?

+ おぞましきトロアが死んだ。伝説は誰も無敵ではない。(ネタバレ有り)

「さあ。どの魔剣が望みだ」


それはかつての怪談に等しい技量を持ちながら、それを遥かに上回る膂力を持つ。
それは長き時代の全てよりかき集めた、無数の魔剣を所有している。
それは本来の自我すら超えて、全ての魔剣の奥義を操ることができる。
冥府の底よりなお蘇る、呪いの運命を取り立てる死神である。

+ Web版
それは同じ技量を持ちながら、かつての存在を遥かに上回る膂力を持つ。
それは長き時代の全てよりかき集めた、無数の魔剣を所有している。
それは自我すらをも模倣し、全ての魔剣の使い手の固有剣技を操ることができる。
冥府の底よりなお蘇る、呪いの運命を取り立てる死神である。
+ アニメ版
それはかつての怪談に等しい技量を持ち、それを遥かに上回る膂力を持つ。
それは長き時代の全てよりかき集めた、無数の魔剣を所有している。
それは本来の自我すら超えて、全ての魔剣の奥義を操ることができる。
冥府の底よりなお蘇る、呪いの運命を取り立てる死神である―――。


  • 種族:小人(レプラコーン) → 山人(ドワーフ)
  • クラス:魔剣士(グリムリーパー)

CV - 咲野俊介【初代】 → 小野大輔【聖域のヤコン / 二代目】
おぞましきトロアは理不尽な怪物ではない。
魔剣を巡って人が争うのなら、その魔剣を奪うことで血塗れの平和を作ろうとした、ただの小人(レプラコーン)である。

その過程で彼は一人の山人(ドワーフ)を養子として育てていた。
聖域のヤコンと名付けられた彼は父に憧れ、魔剣士としての修行を繰り返していたが、やがて父はアルスに敗れ、光の魔剣を強奪される。

そしてヤコンは決意した。おぞましきトロアとして、奪われた光の魔剣を取り戻す。
光の魔剣を取り戻すまで、彼の人生は彼自身のものではない。

人物

【初代】魔剣の所有者と目撃者を例外なく殺害した冷酷な魔剣士だが、その殺戮の伝説の方を信じられなくなるほど、穏やかで物静かな小人(レプラコーン)の老人。

【聖域のヤコン】父に憧れ、父のような魔剣士になるため鍛錬を続ける優しい心を持つ山人(ドワーフ)の青年。
しかしその優し過ぎる気質が魔剣の想念を受け取り、それが彼自身の技を邪魔しており、魔剣を使う才能が無いと指摘される。

【二代目】父を喪い、“おぞましきトロア”の名を引き継いだ聖域のヤコン。
父の仇である星馳せアルスを討ち、ヒレンジンゲンの光の魔剣を取り戻す為、彼は自分の意思を捨てることを決め、その結果彼は自分自身の優しい想念を捨て去ることで、魔剣の意思が突き動かすままに、それを最も上手く扱った者の──父の技を振るうことが出来る。
彼は魔剣を使う才能はないが、魔剣に使われる才能(・・・・・・・・・)は持っていた。
普段は冷血無情の魔剣士として振る舞っているが“聖域のヤコン”としての本来の優しさが完全に消え去ったわけではなく、交流を深めた者にはささやかながら気に掛けることもある。

外見

【初代】人間(ミニア)の三分の一ほどしかない背丈の小人(レプラコーン)

【二代目】非常識な量の刀剣を背負った、長身巨躯の山人(ドワーフ)。頭巾の隙間からは地獄の死神の如き眼光が覗く*1

能力

魔剣技

【初代】無数の魔剣の能力を昇華した固有剣技を操る。
複数の魔剣を地面に突き立て、必要に応じた魔剣に自在に持ち替えながらそれぞれの固有剣技を操ることができる。
所有している魔剣やその能力、それらを使用した奥義の詳細は後述の余談を参照。

【二代目】無数の魔剣の能力を昇華した固有剣技を操る。
また、一般的な山人(ドワーフ)を遥かに超える膂力*2と持久力*3、回復力*4を持つ。不言のウハクに匹敵する身体能力だと作者に明言されている。

かつてのトロアは魔剣士としての才を持っていたが、ヤコンには魔剣を使う才能はない。
彼にあるのは魔剣に使われる才能…魔剣の想念を読み取り、それを最も上手く扱った者、
すなわち「かつての魔剣士トロアと同等の剣技を再現する」才である。

たとえ初めて見て、初めて手にした魔剣であろうともその想念を読みとり、固有の奥義を繰り出すことができる。
見た目はただの刀剣でしかない魔剣をマニュアルなしで異能を理解し、最大限に活用できるというのは、さりげなくも大きな異能である。
なお魔剣の想念とは、魔剣がはっきり言葉で語りかけてくるというわけではなく、自身の感情の変化や共感覚的な形態で認知される。

そして恵まれた体躯と膂力によって、複数の魔剣を同時に所持し、さらには複数の魔剣を同時に操ることができる。
各魔剣は背に張り巡らせた無数の鋼線や蝶番によって繋げられており、これらを引き寄せたり操作することで瞬時に手元へ魔剣を引き寄せ持ち替える、腕以外の背中等の筋肉の駆動により仕掛けを介して魔剣を操作する等、同時多重の悪夢的な魔剣運用技術を有する。
所有している魔剣やその能力、それらを使用した奥義の詳細は後述の余談を参照。

+ その本質とは――(書籍版ネタバレ)

共感能力

書籍Ⅲにおける第一試合終盤、魔剣だけでなく対戦相手であるサイアノプの想念を受け取り、相手の望みを読み取ることで最終的にその動きに完全に対応して見せた。
以前の書籍Ⅱにおけるメステルエクシル戦においても、相手の次の銃口の向く先を知っているかのように感じていた。

書籍Ⅵにおいては、戒心のクウロによって彼のこの「想念を読み取る力」の根幹が優しさゆえの逸脱の「共感性」であるという仮説が立てられている。

他者を助けるために備わった共感性を、他者を殺すために使うことができる。

それが、かつてただの聖域のヤコン(優しい山人の青年)であった、今の 聖域のヤコン(おぞましきトロア)の力の正体だったのかもしれない。


「こういうことは、俺で終わりだ」


余談


+ おぞましきトロアの魔剣リスト(長いので格納、ネタバレ有り注意)
おぞましきトロアの魔剣リスト
魔剣名称 能力 固有剣技 概要
ヒレンジンゲンの光の魔剣 抜剣時に竜鱗すら両断する、10Mにも及ぶ光の刀身を形成する (とや) 抜刀の軌跡により上空からの攻撃を防御する
ネル・ツェウの炎の魔剣 剣閃と共に熱量を放つ 叢雲(むらくも) 斬りつけた敵の内に熱量を留め、
解放することで周囲を炎上させる
神剣ケテルク 刃の外側へと不可視の斬撃軌道を延長する (ついば) 延長斬撃を一点に絞ることで20M以上の遠隔地を穿つ
ギダイメルの分針 因果遅延、因果否定の作用?*5 換羽(かんう) 斬撃が遅れて作用する。
また、斬ったものを斬られなかったかのようにできる
ファイマの護槍 速度を持って接近するものに反応し、
自動で追尾、迎撃する
羽搏(はばた) 鎖の引き戻しにより複数回の自動迎撃を行う
インレーテの安息の鎌 斬撃に伴う音の一切を無音とする 啼声(ていせい) 刃の根元を持ち極近接の攻撃に対処する
瞬雨(しゅんう)の針 幻影により見える刺突軌道が四条に分かれる 烏合(うごう) 多数の幻影による撹乱を交えた刺突
鳥没(ちょうぼつ) “烏合”の発動中に剣を投げ落とすことで幻影を乱れさせる
バージギールの毒と霜の魔剣 接触した生体に感染し、透明な針のような
微細な結晶体へと変異させる
落巣(らくそう) 刀身越しに自らの血液を浴びせ、血液を媒介に感染させる
音鳴絶(おんめいぜつ) 剣閃と共に振動と衝撃波を放つ 抱卵(ほうらん) 最大出力で使用することで魔剣自体を爆砕させる。
その衝撃で攻撃を防ぐことも可能
ムスハインの風の魔剣 剣閃に伴った気圧と水圧を増幅する (わた) 爆発的な空気の渦を発生させる
凶剣セルフェスク 無数の楔状の鋲で構成された剣身を持ち、
柄の一振りで磁力めいて配列を動かす魔剣
逆羽(さかばね) 楔を散弾のように相手に打ち込む
天劫糾殺(てんごうきゅうさつ) 突き立てた場所に、落ちたものを消し去る奈落の穴を生み出す 不明 不明
(おのの)き鳥 自ら飛行し、風を切って大音量を発する 宙飛(ちゅうひ) 大音量で飛ぶことを意識させた上で、
あえて無音で飛ばすことで先入観の外から暗殺する
凶剣セルフェスク 無数の楔状の鋲で構成された剣身を持ち、
柄の一振りで磁力めいて配列を動かす魔剣
逆羽(さかばね)
(複合版)
楔を散弾のように相手に打ち込む。
セルフェスクのみよりも射程や攻撃範囲が広いものと思われる
ムスハインの風の魔剣 剣閃に伴った気圧と水圧を増幅する

+ おぞましきトロアの魔剣リスト2(書籍版追加技他、ネタバレ有り注意)
おぞましきトロアの魔剣リスト2
魔剣名称 能力 固有剣技 概要






ネル・ツェウの炎の魔剣 剣閃と共に熱量を放つ 高鳴(たかな) 熱波を上空に走らせる。対空技?
ネル・ツェウの炎の魔剣 剣閃と共に熱量を放つ 叢雲(むらくも)
(複合版)
炎の魔剣による奥義叢雲の熱量を風の魔剣によって増幅し
対象に叩き込む
ムスハインの風の魔剣 剣閃に伴った気圧と水圧を増幅する
音鳴絶(おんめいぜつ) 剣閃と共に振動と衝撃波を放つ 群羽歌唱(ぐんばかしょう) 四連。
音鳴絶の衝撃波で動きを封じ
凶剣セルフェスクの鋲刃を降らし
それに紛れる形でネル・ツェウの炎の魔剣を投擲し炎を炸裂させ
神剣ケテルクによる遠隔刺突で仕留める。
一連の連携は刹那のうちに行われる
凶剣セルフェスク 無数の楔状の鋲で構成された剣身を持ち、
柄の一振りで磁力めいて配列を動かす魔剣
神剣ケテルク 刃の外側へと不可視の斬撃軌道を延長する
ネル・ツェウの炎の魔剣 剣閃と共に熱量を放つ
天劫糾殺(てんごうきゅうさつ) 斬り付けた対象の表面に物質的ではない罅を生じ
空間的に断絶する
(くちばし) 発生させた罅をこじ開け、この世から放逐する溝を作り出す




チャリジスヤの爆砕の魔剣 斬撃が触れると爆発を起こす 鉄籠(てつかご) 爆発の加速度を体躯に乗せ回転しつつ
防御無視の大破壊を無数に叩き込む
アルクザリの(うつ)ろの魔剣
(絶対に壊れない魔剣)
折れず、欠けず、歪まない 帆翔(はんしょう) 敵の攻撃の運動量を可能な限り剣に吸収させて受け、
その速度と威力を回転運動によってそのまま相手に返す
ラズコートの罰の魔剣 認識した攻撃以上の速度を発動する 獲魚(かくぎょ) 同時に他の魔剣を握りこむことで
絶対先手の効果を他の魔剣に付与する
テミルルクの眠りの魔剣 斬り付けた場所より末端への生体電流を遮断し、
その機能を麻痺させる
蟻浴(ぎよく) 自身の痛覚神経だけを遮断する
< 虚実侵界線 >
ジンナグラスの(あき)らかなる魔剣 不明
意識持ち?
不明 不明
< 一問一答 >
ダブウィクトの波の魔剣 打ち付けた対象に固有振動を伝達させ破壊する 不明 (詳細は不明だが、嘯液重剄と似た効果を発揮出来るのではないかとのこと(但し速度は落ちる))


トロアが爆砕の魔剣を使った場合の奥義は、爆砕の魔剣が発生させた爆発の加速度を体躯に乗せて何度も回転しつつ防御無視の大破壊を叩き込みまくる技です。奥義名は“鉄籠”。
もちろん一対一ではオーバーキルすぎて使い所がない技ですが、竜族や対多数を相手取る状況なら一度発動に成功すると反撃すら許さず敵の全質量を削りきってしまうため、まさしく初見殺しの技。
自分自身の体重が軽い方が爆発の加速に乗れるためどちらかというと先代に適正のある技ですが、当代は激増している重量を疲れ知らずの筋力で振り回せるのでほぼ同程度の攻撃回数を繰り出せます。
元ツイート

トロアがラズコートの罰の魔剣を使った場合の奥義は、ラズコートの魔剣と同時に別の魔剣を握り込むことで、他の魔剣に「絶対先手」の速度を付与する荒業を用います。奥義名は“獲魚”。大きな手を持つトロアだからこそ可能な奥義です。
元ツイート

おぞましきトロアが絶対に壊れない魔剣を使うと仮定したなら、敵の攻撃の運動量を可能な限り剣に吸収させる形で受け止め、その速度と威力を回転運動によってそのまま返す、"帆翔"というカウンター奥義を編み出すものと思われます。
元ツイート

…こうして見ると鳥にちなんだ技名ばかりである。初代トロアは鳥の観察とスケッチが趣味だったらしい。鳥が好きなのだろうか。


  • おやさしきトロア -- 名無しさん (2025-03-30 21:39:47)
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  • 十六修羅
  • 十六修羅(書籍)
最終更新:2025年04月26日 02:58

*1 書籍版Ⅲの挿絵にて、頭部にはフルフェイス式の兜を装着していたことが分かった。

*2 荷が無ければ馬をも追い抜く速さで走ることができる。

*3 平地であれば日の出から日の入りまで全力で走り続けることすら可能である。

*4 朝に負った切傷は夕暮れ前より早く治ってしまう。

*5 斬撃軌道が「戻る/飛ぶ/停止する」等の作用が通常の斬撃時にもランダムで?発現するものらしい。厳密には刀剣類でさえないらしく、「魔剣として使用できる謎の魔具」というのが正しいようである。