星馳せアルス

「……欲しいものがあるんだ……」

それは異常の適性を以て、地上全種の武器を取り扱うことができる。
それはこの地平の全てよりかき集めた、無数の魔具の数々を有している。
それは広い世界の無数の迷宮と敵に挑み、その全てに勝利している。
欲望の果てに竜(ドラゴン)の領域さえ凌駕した、空中最速の生命体である。

+ Web版
それは異常の適性で以て、地上全種の武器を取り扱うことができる。
それはこの地平の全てよりかき集めた、無数の魔具を所有している。
それは既に、広い世界の遍く敵と戦いを知り尽くしている。
竜(ドラゴン)の息(ブレス)ですら追いすがれぬ、空中最速の生命体である。
+ コミカライズ版 / アニメ版
それは異常の適性を以て、地上全種の武器を取り扱うことができる。
それはこの地平の全てよりかき集めた、異能の魔具の数々を有している。
それは広い世界の無数の迷宮と敵に挑み、その全てに勝利している。
欲望の果てに竜(ドラゴン)の領域さえ凌駕した、空中最速の生命体である。


登場話

第一部

第二部

  • 「第二試合 その1」
  • 「第二試合 その2」
  • 「第二試合 その3」
  • 「第二試合 その4」
  • 「サイン水郷 その1」
  • 「その手に栄光を その1」
  • 「その手に栄光を その2」
  • 「その手に栄光を その3」
  • 「その手に栄光を その4」

略歴

まだ、いくらでも……しいものがあるんだ……」
  • 読み:ほしはせアルス
  • 種族:鳥竜(ワイバーン)
  • クラス:冒険者(ローグ)

CV - 福山 潤
六合上覧の参加者の一人。
生まれつき三本もの前肢がある奇形であり、矮躯ながら武器や道具を扱うことが出来る。
+ 肥大化した欲望に従い、世界各地の財宝を蒐集し続けている。(書籍Ⅵ重大ネタバレ注意)
尊敬する旧友に追いつき、自慢するために世界各地を駆け抜け、財宝を蒐集し続けている。
かのおぞましきトロアを討ち、彼の所有する魔剣をも奪い取ったとも。
静寂なるハルゲントとは浅からぬ関係がある。

人物

獰猛かつ気性の荒い個体が大半を占める鳥竜の中で極めて珍しい物静かな個体であり、会話の際も言葉を発する度に間を開けるような話し方をする、ダウナーな性格である。一人称は『おれ』。
しかしその反面、自分が欲しいと思った物はの所有物であろうと必ず手に入れようとする、竜のそれを遥かに凌駕する膨大な欲望を抱いている。


外見

前述の通り、二つの翼に加えて三本の腕を有する奇形の個体。
鳥竜の美的感覚は整った翼や体形を是とするものであり、鳥竜的感覚からすると非常に醜い姿をしているらしい。

能力

万能の技能と適性

一つだけでも戦局を大きく左右する超常の力を宿している複数の武器や道具を、三本の腕で同時に取り扱うことができる。
銃や剣、鞭や砲と言ったそれぞれ性質の異なる武具を、専門職と遜色のない高い練度で操る万能の冒険者。
鳥竜としても突出した空中最速とも謳われる優れた飛翔能力に加え、世界を巡って奪い集めた種々の魔具を使いこなす。
+ 書籍版では――(Ⅵ巻ネタバレ有り)
また、複数の魔具を組み合わせて応用し、さらに強力な効果を発揮する奥の手として使用可能な現状唯一の存在である。

世界の無数の迷宮や異常を追い続けてきた経験により極めて高い洞察力・観察眼も有しており、かつての旧友に言われた「原因を考えて、対策する」ことに関しても冒険者として(戦闘に限らず)極めて高い段階にある。

詞術にも長け、彼自身が保有する多数の武器・道具を焦点とし得るため、相手に撃ち込んだ弾丸を工術で加工して内部から穿つ、遠隔地点のマスケット銃を力術で操作して照準する、といった芸当も可能。

武具・道具の扱いから詞術に至るまで、全てに適性を有する(・・・・・・・・・)常軌を逸した才能の持ち主である。


本編で言及があった所有物は以下の通り。
なお、アルスはこれらの魔具を使用する際にその名前を呼ぶ(自慢する)ようにしている。
+ どうぐ

冒険者アルスの「どうぐ」

  • マスケット銃
    • 量産品の中から選びぬいた最高精度を誇る奇跡の一品。
      銃把が鳥竜用に改造*1されてはいるが、これ自体は特殊能力を持たない通常の銃。
      アルスが最も気に入っている「どうぐ」。
  • 摩天樹塔の毒の魔弾
    • 毒の魔弾。根獣(マンドレイク)の毒を加工した弾丸。着弾地点を神経から先に弾けさせる。
      一応量産品。どこかに存在する職人が加工しているらしい。根獣本体からではなく、球根から毒を抽出しているとか。*2
  • 拷樹の種
    • 樹の魔弾。マスケットから放たれる際の熱で発芽し、着弾した対象を激痛と共に侵食する植物の種。
      書籍版では、相手の生命力もしくは養分を吸い急激に成長する樹を生やす効果が描写された。
      植物の逸脱種で、彼方から流れ着いてきたものであるらしい。
  • 雷轟の魔弾
    • 戦列や地形ごと焼き払い貫通する雷撃を放つ弾丸。元は彼方から流れついた真空管のような形態の謎めいた電子部品。
      正体・用途不明だが、偶然歩兵銃に装填することができたため、魔弾として使用されているらしい。
  • キヲの手(カイディヘイで拾った鞭)
    • 巻きついた対象を強度に関わらず捻り、切断する鞭。20m以上の射程を持ち、通常の鞭を超えた挙動が可能。
      アルスはこの鞭を名前の通り「手」の様に自在に操り、精密な動きを行わせる高い技量を持つ。
  • 死者の巨盾(中央山脈の棘沼の盾)
    • 侵食と激痛を代償としてあらゆる攻撃を無効化する、円形の首飾りのような装飾品。
+ ネタバレしちゃ先を越されちゃう…
効果範囲の細かな指定も可能で、(ドラゴン)のブレスですら無効化する防御性能を誇るが、効果発動中は浸食と激痛により一切の身動きが困難になる。
その特性のため、飛翔時に使用すると精密な姿勢制御が不可能となるゆえに高速飛行中に発動することができない、というアルスにとっては致命的な欠点を持つ。
書籍版Ⅵにて、「空間位相の断絶により外部からの干渉をシャットアウトする」という仕組みであることが語られた。
その浸食と激痛という反動も、生じさせる空間の歪みによって細胞が侵されるために発生するものであるという。
それは代償を支払う限り地上最強の竜爪の一撃すらをも防ぎ切る、究極の防御手段の一つである。
  • ヒレンジンゲンの光の魔剣
    • トロアから奪い取った魔剣。
+ ネタバレ前に隠す事にしてるんだ...
剣そのものはごく短い古びた一振りに過ぎないのだが、抜刀時に極めて強力なエネルギーの刀身が発生する。
その切れ味は凄まじく、異修羅世界で最も強い種族である(ドラゴン)すらエリンギのように真っ二つにするほど。切れないものなどほとんどない
それは異修羅世界最強の『魔剣』である。
  • ヒツェド・イリスの火筒
    • 物体を超高速で射出する鉄筒。
      その威力は凄まじく、竜鱗の剥がれた隙間を狙う限りは竜さえ仕留める『魔砲』である。
  • チックロラックの永久機械
    • 燻べのヴィケオンから奪い取った魔具。人間(ミニア)の小指の先にも満たない大きさの組成不明の微小な歯車。
+ ネタバレしないって言ったばかりなのに...
損傷した肉体を機械に置換し、生命活動を模倣する。
使用者はあらゆる機能を保ったままにほぼ不死身と化すが、生きる意思を失い、最終的には鉄塊と成り果てる。
それは思考中枢を除く全ての損傷に対して不滅を保証する、希少にして無敵の財宝である。
  • 慄き鳥
    • 甲高い悲鳴と共に自ら飛行する魔剣。刃に対して垂直な柄を有する刺突剣。
  • 腐土太陽
    • 両手で抱える程の多孔質の土塊の球体。
      無限に湧く泥の圧を自在に操ることができ、それを刃や弾丸として放つ魔具。
+ ネタバレ……
この魔具の本来の性質は、「周囲のあらゆる地形を泥に飲み込み、本体に近づく者を泥の刃で迎撃する」というもの。
アルスが取得する前はキザヤ火山を泥の迷宮に変貌させていた。
また、この泥は有害物質を含んでおり、その成分を多量に摂取した場合に 異常が生じ る場合がある。
それは文明を滅ぼす自動的な災厄である。
  • 地走り
    • 地形に沿って駆け、所有者の意思の通りに敵を自律追跡する超高温の炎。
      普段は“魔具本体”とも称される小さな壺に収まっている。
  •        (書籍版Ⅵ)
    • かつて求めた魔剣の一つ。彼が魔剣を欲する度にその存在の影があり、今に至るまでに彼が手に入れることのできた魔剣はただ二つ*3のみである。
+ 書籍版Ⅵのネタバレしていいかな...
凶剣セルフェスク。
マリ荒野におけるおぞましきトロア戦にて、その戦闘中に簒奪した魔剣。
星馳せアルスはこの魔剣を即座に操って見せた。

  • 荷袋
    • これらの魔具を収めたアルス愛用の頑丈などうぐぶくろ。

これ以外にも無数の魔具を所有しているはずであるが、戦闘に適さないものや持ち運びが不便であったり用途が限定的で汎用性に欠けたりするもの等、大半の宝物はいずこかに保管されているものと思われる。
そもそもアルス本人が高速飛行の邪魔になるような物品の常備を嫌っているため、かき集めた魔具のほとんどはその「どこか」に眠っているはずである。
(上記の常備していると思われる魔具も、携行しやすく得られる効果が高い、特に自立駆動や自動迎撃等の手数を増やすことのできるものが選別されているようだ)

彼の飛翔能力を考慮すれば宝が保管されている場所は通常の移動手段ではまずたどり着けない様な、例えば極めて高い山岳地帯の奥地であったり、海路では通過不可能の激しい海流に守られた絶海の孤島であったりするものと思われる。
  • 茸垣
    • 複雑に入り組んだ原木から一日で新たなキノコが生える。
      一問一答で言及されたアルスがちょっとお気に入りな非戦闘用魔具。


ただ一人の“勇者”を決定する、地平究極の試合――
読者諸兄は、既にご存知であろう。

「最初の候補者は、お前だ」


これは一人目の話だ(・・・・・・・・・)



+ 第二部ネタバレ
第一回戦第二試合において冬のルクノカに敗北。
ヒレンジンゲンの光の魔剣を始めとする道具と共にマリ荒野の亀裂に墜ちるものの、試合中に使用したチックラロックの永久機械によって生き永らえていた。

副作用により「宝を守る」以外の自発的行動を取ることなく、亀裂の底にただ存在していたが、ヒレンジンゲンの光の魔剣を取り戻し(取り立て)に現れたおぞましきトロアと交戦。
激戦の末トロアには勝利するものの、彼は所持する全ての魔剣を抱えたまま天劫糾殺の亀裂に落下。
「宝を奪い返す」「宝を奪う」という執着により暴走、複数の魔具を管理している黄都(迷宮)を襲撃する。

魔王自称者に認定され勇者候補者達を中心とした迎撃を受けるも、その戦闘能力と数々の道具を用いて黄都を蹂躙。
+ 書籍版Ⅵネタバレ
速度を落とさぬ背面飛行による上空からの散弾の目視回避や、腐土太陽と地走りを合わせた全方位・広範囲対象の溶岩弾による瞬時の区画焼却・破壊等を行使。
チックロラックの永久機械により破損は即座に再生され、極大の破壊で撃墜しようにも高速飛行による回避と死者の巨盾による絶対防御によりこれも困難。
常軌を逸した災厄と化す。
さらには死者の巨盾とチックロラックの永久機械を適合させ、反動無しで常時防御機能を発動するという反則的な状態に移行。

それは最も数多い空の天敵から生まれ、最強の個体は伝説と化した。

冒険者にして、簒奪者。人類の天敵。国を滅ぼす、天の災厄。


しかし、最終的に静かに歌うナスティークの攻撃を受け、墜落。
死に瀕し、旧友と対面した彼が取った行動は……

「おれは……ずっと……奪ってばかりだったけど……」

 ――将軍になったら、英雄にも。

「…………やっと……返すことができるよ……」



「そう。アルス。強いのね?」

この地平における最強種。(ドラゴン)の中にあって、さらに最強たる個体。
冬のルクノカの前で、誰がその短い答えを返せるだろうか。

ハルゲントには、それができた。

「――最強だ」

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  • 十六修羅
  • 十六修羅(書籍)
最終更新:2025年04月25日 12:18

*1 自分で改造した。

*2 余談:根獣の毒自体は軍や黒曜の瞳等の組織でも使用されてはいるらしい。ただし、毒殺を狙う場合もっと扱いやすい毒物自体は存在するため、積極的には使用されないそうである。

*3 「慄き鳥。ヒレンジンゲンの光の魔剣」