窮知の箱のメステルエクシル

「はは、はははは!ぼ、ぼくが、さ、さいきょうだ!」

それは自分自身の命すらも形成する、真理の域へと達した詞術(しじゅつ)を使う。
それは死と再生を繰り返すたび、異界の知識を得て無限に成長する。
それは一つが残る一つを再生し、そして二つを同時に殺すことはできない。
必然の論理に無敵を証明された、真に無欠なる戦闘生命である。

+ Web版
それは自らすらも形成する、真理の域へと達した詞術(しじゅつ)を使う。
それは殺されるたび、異界の知識を得て無限に成長する。
それは一つが残る一つを再生し、そして二つを同時に殺すことはできない。
必然の論理に無敵を保証された、真に無欠なる戦闘生命である。
+ アニメ版
それは自分自身の命すらも形成する、真理の域へと達した詞術(しじゅつ)を使う。
それは一つが残る一つを再生し、そして二つを同時に殺すことはできない。
それは死と再生を繰り返すたび、異界の知識を得て無限に成長する。
必然の論理に無敵を証明された、真に無欠なる戦闘生命である―――。


登場話

第一部

  • 「窮知の箱のメステルエクシル その1」
  • 「窮知の箱のメステルエクシル その2」

第二部

  • 「黄都 その8」
  • 「黄都 その11」
  • 「第六試合 その2」
  • 「第六試合 その3」
  • 「第六試合 その4」

略歴

  • 読み:きゅうちのはこのメステルエクシル
  • 種族:機魔(ゴーレム) / 造人(ホムンクルス)
  • クラス:生術士(クリエイター) / 工術士(アーキテクト)

CV - 村瀬 歩
魔王自称者、軸のキヤズナによって作成された機魔(ゴーレム)
同じく魔王自称者である棺の布告のミルージィとの術師としての優劣を決める為、カガナ塩田街郊外の海岸でレシプトネメルヘルガと戦闘を繰り広げた。
「自分の機魔(こども)達には世界の全てを味わわせたい」というキヤズナの思いと、彼女の子供の一人であるナガン大迷宮を殺した柳の剣のソウジロウを殺すという目的のため*1行動を開始。六合上覧に参戦することとなった。

後述の通り、機魔(ゴーレム)造人(ホムンクルス)の組み合わせ、二者一体の存在であり、特に機魔(ゴーレム)の方を指して呼ぶ場合の名は「メステル」で、造人(ホムンクルス)の方は「エクシル」。
命としては等価の二体だが、制御がコンフリクトしないよう、「彼方」の知識を持ち、機魔(ゴーレム)を制御する造人(ホムンクルス)であるエクシルが上位権限を持つ。

人物

常に笑っており、幼い子供のような人格を持っている。
自分を最強だと固く信じており、逆に相手が「最強」でないことを(笑いながら)哀れんだりもする。
自分に及ばなかった相手も「すごかった」と強さを認めており、楽しんで戦っている。

+ その本質(ややネタバレ注意)
ただし、その本質は極めて機械的で冷酷。
客観的に相手を評価・判断し、効率的に殺害・殲滅することを目的とする兵器的思考に幼子の人格をかぶせたもの、というのが恐らく正しい。
生命というものを倫理的側面で理解しているかもかなり怪しく(ただし、これは兵器として創造された魔族に共通しがちな特性ではある)、自身の命も含めて戦闘に勝利するための消耗品と捉えているような節がある。

反面、家族・身内として認識した対象(キヤズナ、強いて言うならケイテも、位の狭い対象ではあるが)に対しては高い愛情を示す、面白い・楽しい遊びに執着する等、幼子としての人格の側面も同等に持っており、相反する性質が同居し両立している状態。

そのため、『無邪気な反応を見せながら効率的・論理的に殺傷行為を実行する』『必殺、あるいは攻勢に転じるべき状況下で子供らしい質問や反応をして攻撃が中断される』といった一見矛盾した状況が往々にして発生し、極めて不気味で不穏な印象を相手に抱かせる。

外見

大人の人間(ミニア)の二倍の背丈を持つ、黒青色の巨大な全身甲冑のような姿。
頭部は空洞であり、暗闇の中で紫の光が単眼めいて灯っている。
死と再生を繰り返す度、あるいは新たな武装を精製する度に各部位の細かな外見は変化する。

能力

4つの機能

第一の機能。造人(ホムンクルス)の詞術詠唱による機魔(ゴーレム)の再構築。
第二の機能。機魔(ゴーレム)の詞術詠唱による造人(ホムンクルス)の再生。
第三の機能。“客人(まろうど)”を元に造られた造人(ホムンクルス)による、“彼方”の武器の製作。
第四の機能。双方向の(・・・・)“共有の呪い”。機魔(ゴーレム)造人(ホムンクルス)、片方が片方の損傷を引き受け、両方を同時に殺すことはできない。
+ ネタバレ・その原理
書籍版「異修羅I」で、とある魔族をサンプルにその原理の一端が明かされた。
それは、機魔(ゴーレム)が「命の詞術」の刻印を消されぬかぎり不滅であるようにその個体の「命の核」を別個体に託すというもの。
メステルエクシルはこれを相互に行っていると推察され、呪いといいつつ極めて論理的なギミックである。

第一・第二の機能である異修羅世界では本来不可能なはずの「死者の蘇生」を実現している理由もこの「共有の呪い」の効果であり、片方が物理的に破壊・死亡した場合でも「魂(命)の情報」というべきものが「共有の呪い」の効果でもう片方にしばらくの間生き続けているため、再構築・再生が可能になっているらしい。

第一、二、四の機能が極めて厄介。
機魔(ゴーレム)造人(ホムンクルス)、どちらかが生存している限り実質的な不死身。
では両方まとめて殺せばよいかというと第四の機能によりそれも不可能。
そして不用意に片方を殺害してしまった場合、装甲や武装を改良することで以降その殺害方法への対抗策を有した状態で復活を果たす、後天的に無敵を約束された機構までもを有する*2
+ その不死性たるや……(書籍版ネタバレ)
その不死性たるや、書籍版Ⅴでは静かに歌うナスティークの死の権能に真っ向から打ち勝ち*3、書籍版Ⅵにおいては、柳の剣のソウジロウの逸脱の直感をして「殺す順序が分からない」と言わしめた*4
場外や拘束による判定勝利を目指そうとしても、詞術により自分を構築して再帰・脱出できると隙がない。

そして第三の機能。まさかの現代知識無双である。
登場エピソードではいわゆるガトリングガンを工術により形成したが、その後も続々と登場する。お楽しみに。

詞術

上記の4機能の前提として生術・工術系の詞術において卓越した才能を持つ。
修羅同士の戦闘の速度で様々に駆使できる強力な能力である。
自身のコピーを無数に構築したり、小型の索敵・牽制用機魔(ゴーレム)を複数作り出したりすることが可能。
いわば「機魔(ゴーレム)を作り出す、機魔(ゴーレム)」である。
また、第二の機能である生術に関しても劇中使用例こそ化学兵器程度であるが、卓越した使い手であるため、色々と応用が効く。
+ 書籍IX巻以降ネタバレ
書籍IX巻以降では、生術による他者の治療や、血鬼(ヴァンパイア)の血清の量産を行っている。
魔族の心は自由に設計できるものではないため、詞術を使うほどの心を持つ時点で希少な存在であり、詞術士級のものは奇跡的な産物であるのが本来である。
それらを前提として上記の4機能を組み上げたキヤズナの鬼才と天運には驚嘆するべきであろう。

動向

+ 「……」(第二部ネタバレ)
メステルエクシルは沈黙している。今や上位系統となった母体が、強力な停止指令を下し続けているためだ。

  • 種族:機魔(ゴーレム) / 造人(ホムンクルス) / 屍鬼(ドローン)従鬼(コープス)

第六試合において、黒曜の瞳の介入により奈落の巣網のゼルジルガの手で造人(ホムンクルス)血鬼(ヴァンパイア)の病原体に感染、黒曜の瞳の傀儡と化す。

その後は文字通り、最強の不死の手駒として、彼方の武器を製造する工場として、黒曜の瞳に利用されることになる。

+ 二回戦以降のネタバレ
兵器工場であると同時に、卓越した詞術で戦闘痕跡や使用済みの兵器を抹消する役割も担う。


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  • 十六修羅
  • 十六修羅(書籍)
最終更新:2025年05月16日 09:58

*1 書籍版ではこれに加えてかつて自身の子供達の国を滅ぼした異常天候“微塵嵐”を亡ぼすため

*2 一部の修羅が有する物理的に防御不可の超常的攻撃(魔剣・魔具や、天使の死の権能等が該当)はさすがに直接的な防御機構は獲得できないが、どう対応すれば防ぎ得るかを学習することは可能である。

*3 ただし、この場面においてはクゼはメステルエクシルを“単体”の機魔(ゴーレム)だと認識しており、ナスティークは攻撃(機械部分)を制御している“エクシル”を自動的に殺害したに過ぎない。――では、“メステル”と“エクシル”二者一体の存在であることをクゼが認識した場合には、果たして……?

*4 それでもソウジロウは斬る気満々であったが……。