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【オルニトのゲートを目指して】

 オルニトゲートに行こう
地球では何かと旅費がかかるので、ならば異世界を経由してそこからゲートをくぐりナスカに行こうという計画。
淡路ゲートからミズハミシマへ。フェリーの着いた先の港町で持ってきた小物をバザー気分で売って支度金を追加する。
異世界の海に浮かぶ島国ミズハミシマなだけに各地への船便は常に発着しており船のクラスも様々だ。
オルニトへの直行便は結構な船賃なのでスラヴィアを中継する中距離船を選び乗船する。
乗客の二割が人間であることに異世界も広く認知されたんだなと実感した。
スラヴィア北端の港町に到着したのは夜中であったが、篝火が燃え盛る港は骸骨達がせわしなく働いている。
聞けばこの港町はスラヴィアでも強大な力を持つ“最古の貴族”の一角である髑髏王の所領だという。
スラヴィア御自慢の冥骨船は夜の間に海を進み目的地まで到着するという高速艇であるが出航は夕刻であったため今回は乗れず仕舞い。
オルニト港経由の新天地行きの船が安かったので選んだ。客貨半々の大型船で水精霊と通じた術士が複数乗船しているようで想像以上の船足であった。
スラヴィアを中心にて東西南北と異世界の海を分けるとすれば東の南の海域は龍神やその他大きな力の影響や支配が薄く、海の生物の様子も混沌度合いが強いという。
夜昼問わずに船と並走するように巨大な魚類やらが現れるのが圧巻である。
そんな巨大な海の生物も飛来する巨大な飛行生物とは一進一退の攻防を繰り広げて忙しそうである。食うか食われるかを横目に目的地を目指す。
朝陽をバックに大きな鳥、いや翼の生えた猫が群れを成して飛んでいる。船員曰く「風精霊と一緒に大陸を渡っているんだ」とのこと。
そしてオルニトの港町に到着した。
鳥人やハーピーが沢山というイメージだったのだが意外と種族盛沢山である。
異世界の東側の大陸はまだまだ商業ルートが出来上がっていないとのことで多種多様な人が新大陸やドニー・ドニーを起点として活動しているという。
豆類が中心のオルニト食堂で腹ごしらえを済まし、いざゲートへと向かう。
大陸の西側の海岸から大陸の中心へと向かう訳だが、ここで一つ思案どころ。陸路か空路かどちらを選ぶのかというものである。
流石鳥人の国オルニト、空を飛ぶ動物がずらりとならん…ではおらずぽつりぽつりと広場の柵につながれ休んでいる。
「そりゃあんた客を乗せて飛んでったら戻ってくるまでいないの当たり前だよ」
広場の掃除をしているペリカン顔の鳥人がカポカポと嘴を鳴らして笑って言う。
四翼を持つ胴長の烏は大きな荷物でも運べ速度もある。ということで結構な額である。
はるばるクスルベルグからやってきたという獅子胴鷲頭のグリフォンはどんな危険な生物にも負けないという触れ込みであるがこれから行くのは危険地帯ではない。
百足に複数枚の翼が生えた飛昆虫は既に多くの客を乗せており正に飛び立つ寸前である。行き先はマセ・バズークということだった。
残っている数が少ないせいか消去法で全体が三角形のまるでステルス戦闘機みたいな鳥に乗ることになる。
「ウチは一人二人しか乗せれないからすぐ発つよ」
乗用車くらいの大きさの三角鳥の手綱を握るのは子供大の燕人。ゴーグルとマスクを装着し綱をしならせるとぶわっと空に飛びあがる。
垂直離陸もなんのそので瞬く間に10、20、30mと上空に。
「これくらいの高さならどこの縄張りでもないから安全なのさ。比較的に」
しっかりと両翼を羽ばたかせて緩やかな上下と山なりの軌道を結構な速度で飛行する。ひょっとすると車より速いかもと、鞍から手を放すのもままならず姿勢を保つのに精一杯。
空へと伸びる高い太い大樹の東に位置する村には小一時間で到着する。
途中上空で耳元に色んな声が飛び込んで来たのだが応対することが出来なかったのが少し残念である。
港町よりは規模の小さな林に囲まれた村は結構な賑わいである。大ゲートから一番近い村だからであろうか、ここも色んな種族が見受けられる。
「ゲートに行くなら鳥人タクシーが良いよ。林と森を抜ける道もあるけど色んな鳥が出てくるからちょっと危ないよ」
時代劇でよく見る籠が並ぶ広場の手前で親切なハーピーに説明を受ける。顔に「大ゲートに行きます」とでも書いて見えるのかというくらいの絶妙なタイミングであった。
「鳥が飛ぶと他の鳥が襲ってくることが多いけど鳥人だと少ないんだよ。もし飛んできても皆強いから大丈夫だよ」
籠広場の受付で違うハーピーに説明された。
色鉛筆をひっくり返したような色んな羽色の色んな鳥人が籠を挟んでツーマンセルで休憩している。言われてみれば誰もが屈強な戦士に見えてきた。
村からは先ほど見た西にある大きな樹へと飛んでいく。そこから再度、大ゲートのある山へと飛ぶのだという。
「一度に飛ぶにはちょいと辛い距離だからな」「自分だけで飛ぶなら行けるんだぞ」
まるで烏天狗に挟まれた気分で籠に乗り込みしっかり綱を握る。籠なのでうっかり手を離せば真っ逆さまである。
意外と揺れない素晴らしいコンビネーション飛行。遠くにオルニト名物の浮遊島を見かけながら澄み渡る青空を鳥人タクシーは飛んでいく。
特に襲われることもなく大樹の枝葉の上に到着するのだが、地上から100m以上ある高さに鳥肌になる。
地上からは飛んでやってくるしかないと言われる樹上は板を敷き詰められた枝の上に駅前発着場のように鳥人タクシーが客を待っている。
「あそこにいるのに声をかければ山まで乗せてもらえるぞ」
そう言うと烏天狗は村へと向かう客を待つと言って別の枝葉に飛んでいった。
「では出発します」「綱を離さないように」
ふさふさの羽並みの青と白の鳩人が丁寧に籠を持ち上げ出発する。
平らな山頂から天高く伸び立つ光の柱。ついにオルニトゲートが迫る。
ふと前方、ゲートの光の向こうに大きな鳥のぼんやりとした姿を見る。
驚いて瞬きをした次の瞬間にはいなくなっていた。
「?何か見えましたか?」「周囲に特に危険な飛びモノの影はないですね」
無事着陸。表現するなら甲子園球場のグラウンドというかそれくらいの広さの本当に平らな山頂である。
中心には大ゲートが光り、それを囲む様に色んな屋台が点在している。良い匂いが漂ってくるではないか。
簡素な縄と杭で周囲を囲んでいるのだが想像していたような監視所や監視人などはいないフリー通行の様相である。
ここまで来るとオルニトを離れるのが少し心残りになってきたが、休暇は限りあるので早速ナスカへと、大ゲートへと入る。
風が吹いたような、錯覚なのかどうなのかしかし気づけばそこは既に地球であった。
ナスカ地上絵の一部に発生している大ゲートから久しぶりの空気を吸うとはっと気づく。
今立っている大鳥の地上絵とゲートの向こうに見えた鳥の影が似ていたということに。
そんな馬鹿なという気持ちと、ひょっとしたら地上絵とは…という気持ちと一緒にナスカ観光も趣深いものになったのである。


ミズハミシマからオルニトに行ってゲートをくぐってみました案

  • 人間一人で異世界を国から国へ旅できる状況って大きな要素だと思うよ。治安が良くなって女一人でも旅ができた江戸時代みたいな -- (名無しさん) 2017-04-18 22:33:21
  • 異世界だから危険がデンジャラスとかいうのは間違った先入観や -- (名無しさん) 2017-04-18 23:24:38
  • 安い運賃の移動手段は国営とかそんなんかな -- (名無しさん) 2017-04-22 05:49:57
  • 空がメイン移動路になると地上の整備がゆるくなるのかな?とも思ったり -- (名無しさん) 2017-05-04 05:41:38
  • 行こうと思って実際に旅ができるというのがよい。ナスカの地上絵もかつてオルニトから飛んできた巨大生物の姿だったのかも -- (名無しさん) 2017-05-06 05:41:43
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最終更新:2017年04月16日 23:44