船が進むにつれはっきりとランゲルハンス島が見えてきた。
真っ黒な岩肌と白い数棟の建物。城の見張り台に似た監視塔。
小さな山の頂には緑と灰色の人型の魔物が居て、
真っ黒な顔に目だけがぎらついた姿で、岩の隙間から顔を出し此方を覗いている。
魔物は皆同じ姿をしており同種なのだろう。
体の色が岩山に溶け込んでいてふとすれば見失いそうになる。
真っ黒な岩肌と白い数棟の建物。城の見張り台に似た監視塔。
小さな山の頂には緑と灰色の人型の魔物が居て、
真っ黒な顔に目だけがぎらついた姿で、岩の隙間から顔を出し此方を覗いている。
魔物は皆同じ姿をしており同種なのだろう。
体の色が岩山に溶け込んでいてふとすれば見失いそうになる。
「上陸を開始しろ!」
まじめな仕官らしい声を使って答える。
「まずは陣地を破壊してからです」
まじめな仕官らしい声を使って答える。
「まずは陣地を破壊してからです」
竜騎士が撃墜されたより、遠くの距離に艦を置く。
竜騎士隊からの報告によると地面には抉られた通路があって、魔物はそこを通るらしい。
島の周囲には帆のない船やボートが数隻あり、そこに魔物は乗っていない。
建物と通路への攻撃を支持してくれと通信が返って来る。
俺は許可すると、攻撃開始位置に付き
もたつきながら編隊を組む訓練上がりのひよっこ竜騎士隊に喝を入れる。
島の周囲には帆のない船やボートが数隻あり、そこに魔物は乗っていない。
建物と通路への攻撃を支持してくれと通信が返って来る。
俺は許可すると、攻撃開始位置に付き
もたつきながら編隊を組む訓練上がりのひよっこ竜騎士隊に喝を入れる。
「全竜騎士隊へ、これは訓練ではない。実際。
これは訓練ではない。実際。
これより魔物に対して攻撃を開始する。
判断は各自、重要そうな場所を重点的に叩け。以上」
これは訓練ではない。実際。
これより魔物に対して攻撃を開始する。
判断は各自、重要そうな場所を重点的に叩け。以上」
これは訓練ではないと強調した声を、艦に常駐する魔導士に魔法で送ってもらう。
訓練気分が抜けきらない貴族の甥っ子共への確認だ。
訓練気分が抜けきらない貴族の甥っ子共への確認だ。
「演説は必要ないのかね?士気を上げるために必要だろう?」
ハンスが横槍を入れてきた。
大軍を前に王様気分でも味わいたかったのだろう。
否定しても強引に押し通すだろうし演説するのも面倒なのでやらせた。
大軍を前に王様気分でも味わいたかったのだろう。
否定しても強引に押し通すだろうし演説するのも面倒なのでやらせた。
「ではお願いします」
「愚かな魔物どもめ、聖ルーデルの『ドズゥッ』」
「愚かな魔物どもめ、聖ルーデルの『ドズゥッ』」
長い演説が始まろうとしたとき、一体の竜騎士が赤い光の魔法を浴びてミンチになった。
島から次々と赤い光が伸びて編隊を組んで空中に待機したままの竜騎士が纏めて地に墜ちる。
島から次々と赤い光が伸びて編隊を組んで空中に待機したままの竜騎士が纏めて地に墜ちる。
ヴォォォォォォォォォォン!
古代竜の咆哮と共に騎士達が血煙と共に砕け散った。
魔物の法撃(魔法の際は法撃と表す)だ。
古代竜の咆哮と共に騎士達が血煙と共に砕け散った。
魔物の法撃(魔法の際は法撃と表す)だ。
「竜言語魔法だとっ!島に火龍でも居るのかっ!」
「捕捉されている!散開しろ!」
「各自の判断で敵を攻撃!魔物の手は長い!」
「各自の判断で敵を攻撃!魔物の手は長い!」
経験豊かな竜乗りはすぐさま反応し散開、
反応に遅れた未成熟な貴族の甥っ子共は潰れたトマトになる。
慣れない編隊を組ませるより各自で回避行動を取らせる方が生存する可能性が高いと判断した。
ひよっこ共に統制の取れた編隊飛行は難しいだろう。
無理矢理やらせたところで的になるだけだ。
瞬間的な判断は現場に任せたほうがいい。
部隊にはベテランも混ざっている。
ひよっこの指揮と救助も彼らの判断に任せるのが最適だ。
反応に遅れた未成熟な貴族の甥っ子共は潰れたトマトになる。
慣れない編隊を組ませるより各自で回避行動を取らせる方が生存する可能性が高いと判断した。
ひよっこ共に統制の取れた編隊飛行は難しいだろう。
無理矢理やらせたところで的になるだけだ。
瞬間的な判断は現場に任せたほうがいい。
部隊にはベテランも混ざっている。
ひよっこの指揮と救助も彼らの判断に任せるのが最適だ。
「君の責任だぞ!君がお願いしますと私に頼んだせいだ!」
ハンスは顔を真っ赤にして掴みかかってきた。
彼の頭の中には竜騎士の値段がゴーレム飛脚の料金表示のごとく計上されているのだろう。
一定時間ごとにチーンと音が鳴りコインが必要になる天秤だ。
彼の頭の中には竜騎士の値段がゴーレム飛脚の料金表示のごとく計上されているのだろう。
一定時間ごとにチーンと音が鳴りコインが必要になる天秤だ。
たぶんコイツは単価の安いただの兵士が死んでも泣きもしまい。
魔導士が死んだら大泣きするだろうな。
会って数ヶ月だが手に取るようにハンスの考えが判る。
魔導士が死んだら大泣きするだろうな。
会って数ヶ月だが手に取るようにハンスの考えが判る。
もとよりアンタが提案したせいだろ。
敵の正面で演説なんざするものじゃない。
会う前に済ませるもんだ。
やるなら演説前に船の上の団扇でも撃ち落すぐらいしてみろ。
だったら見直してやる。
敵の正面で演説なんざするものじゃない。
会う前に済ませるもんだ。
やるなら演説前に船の上の団扇でも撃ち落すぐらいしてみろ。
だったら見直してやる。
「指揮がとれません。どいて下さい」
「陸に帰ったら覚えていろよ」
「陸に帰ったら覚えていろよ」
五月蝿い隣を無視しつつ状況を確認する。
恐ろしい魔法だと思った。
敵の魔法は竜騎士の射程よりまだ長い。
恐ろしい魔法だと思った。
敵の魔法は竜騎士の射程よりまだ長い。
「いきなりの上陸戦は危険だな」
あれを地上に撃たれては甚大な被害が出る。
竜騎士を使い徹底的に陣地を叩いた後、上陸を開始しよう。
艦の魔導師を使い、船を後退させる。
敵の射程は予想より更に長い。
竜騎士を使い徹底的に陣地を叩いた後、上陸を開始しよう。
艦の魔導師を使い、船を後退させる。
敵の射程は予想より更に長い。
敵に強力な魔導士、それも複数。
300人だと見誤っていたのが悪かった。
完全に戦力評価を間違っていると悟る。
もしかして開始三日で我々の戦力戦術を読まれてたのか。
それとも魔物は一瞬で軍を配置している能力を有していたのか。
敵司令部の情報収集能力および分析力は優れたものなのか。
考えるべきものは多い。
300人だと見誤っていたのが悪かった。
完全に戦力評価を間違っていると悟る。
もしかして開始三日で我々の戦力戦術を読まれてたのか。
それとも魔物は一瞬で軍を配置している能力を有していたのか。
敵司令部の情報収集能力および分析力は優れたものなのか。
考えるべきものは多い。
「一撃離脱に専念しろ。攻撃はファイヤボールとアイスランスだけにしておけ」
「急降下して武器の槍を使う突撃はするな。魔物の狙いは正確だ」
「急降下して武器の槍を使う突撃はするな。魔物の狙いは正確だ」
迅速に判断を下してゆく。
俺だけで陸海空軍の支持を出すから忙しい。
忙しすぎて個々の部隊の損害すら大まかにしか把握できてない。
船出前は「陸軍」「海軍」「魔法軍」「兵站部」と各分野の司令がいたのだが
お目付け役が事故で死んだ後、ハンスが航行中に反乱分子として処分してしまった。
ハンスは航海を政敵を陥れるチャンスと考えていたらしい。
俺だけで陸海空軍の支持を出すから忙しい。
忙しすぎて個々の部隊の損害すら大まかにしか把握できてない。
船出前は「陸軍」「海軍」「魔法軍」「兵站部」と各分野の司令がいたのだが
お目付け役が事故で死んだ後、ハンスが航行中に反乱分子として処分してしまった。
ハンスは航海を政敵を陥れるチャンスと考えていたらしい。
「ゲイツ隊とリナック隊が撤退を求めています」
「下がらせろ。交代でアップル隊を入れる」
「下がらせろ。交代でアップル隊を入れる」
俺は海軍司令の下で働いていたのだが上が処断されたので繰り上がり
使えるっぽいとの理由で司令にされた。
使えるっぽいとの理由で司令にされた。
「まだ彼らは10人中2人しかやられていない。まだ戦える」
「撤退は許可できない」
「雑音だ。撤退を許可する」
「貴様!」
「撤退は許可できない」
「雑音だ。撤退を許可する」
「貴様!」
ささやかな抵抗をした。
滅茶苦茶だ。死ね。地獄に墜ちろ。
政治家が戦闘に関わるな。
滅茶苦茶だ。死ね。地獄に墜ちろ。
政治家が戦闘に関わるな。
現在は「魔法軍」と「兵站部」司令しか正規指揮官は残っていない。
残りは全てハンスの自由に出来る傀儡で代理司令。
「魔法軍」と「兵站部」は昔から軍部に発言権が強い部署である。
魔法軍は超が付くほどのエリート集団で権限もあって金持ちが多い
ハンスがけちを付けたとたん逆に海に落とされるのがオチだ。
残りは全てハンスの自由に出来る傀儡で代理司令。
「魔法軍」と「兵站部」は昔から軍部に発言権が強い部署である。
魔法軍は超が付くほどのエリート集団で権限もあって金持ちが多い
ハンスがけちを付けたとたん逆に海に落とされるのがオチだ。
兵站部は生活に関わりが深い、台所のお母ちゃんである。
一週間前、ハンスは兵站部に圧力を掛けた。
一週間、艦はジャガイモとニンジン尽くしになった。
腐りそうだから速く処理しなければならないのだと食堂の兄ちゃんは言っていた。
きっと嘘だな。
一週間前、ハンスは兵站部に圧力を掛けた。
一週間、艦はジャガイモとニンジン尽くしになった。
腐りそうだから速く処理しなければならないのだと食堂の兄ちゃんは言っていた。
きっと嘘だな。
「98番隊は9時方向に。XP隊とME隊は予定通り4時の方角から進入せよ」
「2000番隊は該当地点にて観測を続けよ」
「2000番隊は該当地点にて観測を続けよ」
海と陸の代理司令達は責任転嫁を恐れて何もしたがらないので
俺が直接指示するしかなかった。
俺が直接指示するしかなかった。
「90騎の竜騎士が居てとんだザマだ。ふがいない」
「戦闘開始に90騎が一斉に掛かればよかったな」
「戦闘開始に90騎が一斉に掛かればよかったな」
素人言葉にいちいち突っ込みを入れる。
傍から見ると大人気ない光景に見えるだろうが
兵士達が無謀な作戦で死ぬのに耐えられなかった。
ハンスとつまらん意地の張り合い。
傍から見ると大人気ない光景に見えるだろうが
兵士達が無謀な作戦で死ぬのに耐えられなかった。
ハンスとつまらん意地の張り合い。
「お言葉ですが90人の竜騎士を一斉に行動させるのは高い練度が必要です」
「編隊を組むのも難しいかと」
「編隊を組むのも難しいかと」
最初からそれが出来たら一番だった。
予備役や訓練生が集められて数だけ揃った軍団にそんな器用な真似はできない。
練度の差を埋めるには編隊を組むのが楽なのだが
先ほどの攻撃でそれは不可能だと思い知らされた。
魔物の魔法は面を薙ぎ払う様に周囲を焼くのである。
編隊を細やかに管理できる指揮官も不足していた。
予備役や訓練生が集められて数だけ揃った軍団にそんな器用な真似はできない。
練度の差を埋めるには編隊を組むのが楽なのだが
先ほどの攻撃でそれは不可能だと思い知らされた。
魔物の魔法は面を薙ぎ払う様に周囲を焼くのである。
編隊を細やかに管理できる指揮官も不足していた。
「全騎士、観測隊を除いて後退して再編成」
「沿岸法撃を始める」
「巻き込まれるぞー!下がれーっ」
「沿岸法撃を始める」
「巻き込まれるぞー!下がれーっ」
竜騎士隊は甚大な被害を出しながらも後方へ退く。
この時点で20騎以上が脱落、全滅判定を受ける。
空に攻撃が集中している間に近づいた艦が法撃位置に付く。
この時点で20騎以上が脱落、全滅判定を受ける。
空に攻撃が集中している間に近づいた艦が法撃位置に付く。
魔物軍陣地は竜騎士隊被害の割りに損傷は少ない。
竜騎士の主力は対物用ファイヤボールと上空からの対人用アイスランスだ。
ファイヤボールは射程30m程度、それ以上は炎が消える。
アイスランスは50m程度、あまり高度が高いと空気抵抗で威力が落ちる。
どちらも遠すぎると狙いが付けられない。
ファイヤボールは射程の関係から敵前へ急降下して放たねばならず、攻撃には敵と交錯する
アイスランスは人が肉眼で見て落とすために命中精度が悪く、交錯せずに一撃離脱が可能だが
これも急降下が必要だった。
竜騎士の主力は対物用ファイヤボールと上空からの対人用アイスランスだ。
ファイヤボールは射程30m程度、それ以上は炎が消える。
アイスランスは50m程度、あまり高度が高いと空気抵抗で威力が落ちる。
どちらも遠すぎると狙いが付けられない。
ファイヤボールは射程の関係から敵前へ急降下して放たねばならず、攻撃には敵と交錯する
アイスランスは人が肉眼で見て落とすために命中精度が悪く、交錯せずに一撃離脱が可能だが
これも急降下が必要だった。
「司令部応答してくれ!司令!」
「ちくしょう。また復活しやがった」
「陣地ごと吹き飛ばせ、対ゾンビ訓練を思い出すんだ」
「ちくしょう。また復活しやがった」
「陣地ごと吹き飛ばせ、対ゾンビ訓練を思い出すんだ」
魔法の威力にも問題があって、アイスランスでは敵魔導師を倒すには火力が低すぎた。
アイスランスで敵魔導師を倒しても、敵は置かれたアーティファクトに取り付いてすぐさま攻撃を再開する。
アーティファクトごと吹き飛ばす必要があった。
アイスランスで敵魔導師を倒しても、敵は置かれたアーティファクトに取り付いてすぐさま攻撃を再開する。
アーティファクトごと吹き飛ばす必要があった。
竜を一撃で落とす竜言語魔法を使った魔導師が居る場所を目掛け、
竜騎士が急降下しようとすると周囲から突然見えない魔法が飛んできて騎手を撃ち落す。
陣地破壊は困難を極めた。
竜騎士が急降下しようとすると周囲から突然見えない魔法が飛んできて騎手を撃ち落す。
陣地破壊は困難を極めた。
魔物陣地はどうも最初から空襲を受けるのを想定していたようで一部にトンネルが掘られている。
魔物はトンネルや燃えることがない白い建物へ逃げ込み、竜騎士達をやり過ごしていた。
ファイヤーボールで火が付いても白い煙であっという間に消されてしまっていた。
そのため攻撃の割りに被害が少ない。
魔物はトンネルや燃えることがない白い建物へ逃げ込み、竜騎士達をやり過ごしていた。
ファイヤーボールで火が付いても白い煙であっという間に消されてしまっていた。
そのため攻撃の割りに被害が少ない。
それでもいくつかの盛んな法火を行う魔導士が居た地点をすり潰すことに成功した。
「あいつら化け物か」
魔法とは魔力が必要である。
魔力は通常予め人の身体に溜まっているものを使うか、魔石を使わなければならない。
魔石は使い捨てることで身体に溜まっている以上の魔力を使えるがとても高価だ。
そのためここぞといったときにしか使えず、安価な長弓が戦場の主役である。
魔力は通常予め人の身体に溜まっているものを使うか、魔石を使わなければならない。
魔石は使い捨てることで身体に溜まっている以上の魔力を使えるがとても高価だ。
そのためここぞといったときにしか使えず、安価な長弓が戦場の主役である。
魔物は湯水のごとく魔法を使い続けていた。
「せめて会話が出来れば・・・」
魔物の動きは明らかに知性の存在を感じさせる。
ランゲルハンス島上空で交渉団が交渉できずに撃墜されたのは痛い。
初歩の駆け引きさえ我が軍は封じられてしまったのだ。
会話が出来ていれば敵の思考や勝利条件について対策の立てようもあった。
ランゲルハンス島上空で交渉団が交渉できずに撃墜されたのは痛い。
初歩の駆け引きさえ我が軍は封じられてしまったのだ。
会話が出来ていれば敵の思考や勝利条件について対策の立てようもあった。
「ダークエルフやドワーフよりも厄介な奴らだ」
だから命令書の通り動けと提案してやったのに。
身を徹してでも止めるべきだったか。
戦術ミスに歯噛みする。
身を徹してでも止めるべきだったか。
戦術ミスに歯噛みする。
竜騎士隊は有効な打撃を与えられず、甚大な被害を受けて後退した。
しかし彼らのお陰で被害を被らずに済んだ魔法艦隊が攻撃開始地点へ到着する。
しかし彼らのお陰で被害を被らずに済んだ魔法艦隊が攻撃開始地点へ到着する。
「全艦隊、距離を確認し仰角合わせ!」
「一斉射撃!撃て!」
「一斉射撃!撃て!」
艦上の旗士が一斉射撃を手信号で伝える。
艦同士の距離が近い場合や素早い行動が必要とされるときは魔法でなく、手信号が使われる。
魔導通信はそこまで便利なものではないのだ。
細かい支持まで伝えられるが、時間が掛かるし、各艦ごとに魔導師を置かなくてはいけない。
艦同士の距離が近い場合や素早い行動が必要とされるときは魔法でなく、手信号が使われる。
魔導通信はそこまで便利なものではないのだ。
細かい支持まで伝えられるが、時間が掛かるし、各艦ごとに魔導師を置かなくてはいけない。
中央から魔法軍司令へ伝達され許可が下り、一斉法撃が開始される。
法撃の段階は距離計測、仰角、法撃となっている。
距離計測は竜騎士隊の仕事、距離を撃つタイミングと決定は魔法軍となっていて
中央には最終的な決定権はない。
魔法軍は歴史的にも独立性が高く、陸や海の一般兵科の立場はそれより低い。
法撃の段階は距離計測、仰角、法撃となっている。
距離計測は竜騎士隊の仕事、距離を撃つタイミングと決定は魔法軍となっていて
中央には最終的な決定権はない。
魔法軍は歴史的にも独立性が高く、陸や海の一般兵科の立場はそれより低い。
艦上では巨大なバリスタが引かれていた。
「引けーい!引けー!」
「引けーい!引けー!」
ギッ、ギッ、ギッ、ガツッン、ギッ、ガッコン
矢が固定されると同時、矢自体に複雑な文様が浮き出る。
「距離計測!仰角定め!撃てえい!」
ビンッ
弦の音と共に人間の腕ほどもある魔力を充填された巨大な矢が飛び出る。
ヒュンッ ヒュオオンッ
ヒュゥゥッン ザカザカザカザカザカザカザカザカザカッ
ヒュゥゥッン ザカザカザカザカザカザカザカザカザカッ
「弾着確認、1、2、3、4、・・・・」
小さな岩山に無数の槍が突き立つ
バリスタの破壊力には強固な建物も対抗できず、白い建物と見張り塔は破壊された。
魔物達は地上へ掘られた溝やトンネルへと走り込み、遅れた者は地面に生きたまま杭撃ちされる。
飛んだ杭のいくつかは溝の中に入り、中の魔物に悲鳴を上げさせ、
魔法で強化されたバリスタ法撃の前に竜語魔法を使う魔導師達は沈黙した。
バリスタの破壊力には強固な建物も対抗できず、白い建物と見張り塔は破壊された。
魔物達は地上へ掘られた溝やトンネルへと走り込み、遅れた者は地面に生きたまま杭撃ちされる。
飛んだ杭のいくつかは溝の中に入り、中の魔物に悲鳴を上げさせ、
魔法で強化されたバリスタ法撃の前に竜語魔法を使う魔導師達は沈黙した。
「ありったけの矢を放て。各艦、1回戦分の矢を残して使い切ってもかまわん」
敵の強固な抵抗に覚悟を決める。
『こんな小島に貴重な竜言語魔導師を配置し、超一流級の魔導師達を何人も配置する』
『私達には理解できないが、この小島には魔物しか知らない秘密でもあるのかもしれない』
『私達には理解できないが、この小島には魔物しか知らない秘密でもあるのかもしれない』
初回にしていきなり当たりを引いたのかもしれず、
過剰な法撃だが、全力でやらねば倒せないと考えた上での判断であった。
過剰な法撃だが、全力でやらねば倒せないと考えた上での判断であった。
3万が300に全力になるとは滑稽な話である。
だが、300が全員魔導師で全員精鋭、要塞での守備だったら勝負は判らない。
何しろ開始数時間で20名以上の竜騎士を死に追いやったのである。
だが、300が全員魔導師で全員精鋭、要塞での守備だったら勝負は判らない。
何しろ開始数時間で20名以上の竜騎士を死に追いやったのである。
ランゲルハンス島にこれほど手を掛け損害を受けた時点で、恐らく後ろの巨大な土地への上陸は叶わない。
せめてこの島だけでもといった気持ちもあった。
せめてこの島だけでもといった気持ちもあった。
法撃は二日、昼夜に渡って続けられた。
バリスタで徹底的に地面を掘り返された島。
岩山は大量の杭が突き立ち、不気味な墓標に見えて不吉だ。
岩山は大量の杭が突き立ち、不気味な墓標に見えて不吉だ。
「上陸を開始する!揚陸艦は前に出ろ!」
予め用意してあった揚陸艦隊が出る。
予定されていた任務では、敵の重要拠点へいきなり上陸作戦を行うために準備されていたので兵数は多い。
犬の額ほどの海岸線から小高い丘を登る隊、小船を使って島の周りに回り込んで荒々しい岩肌を登る隊の
役割に別れ
予定されていた任務では、敵の重要拠点へいきなり上陸作戦を行うために準備されていたので兵数は多い。
犬の額ほどの海岸線から小高い丘を登る隊、小船を使って島の周りに回り込んで荒々しい岩肌を登る隊の
役割に別れ
上陸は開始された。