ピンク、赤、ピンク、ピンク、赤黒、ぴんく、赤、赤
うえっ、ピンク気持ち悪りい。こりゃあしばらくハム喰えないな。
うえっ、ピンク気持ち悪りい。こりゃあしばらくハム喰えないな。
「・・・・・・・」
遅れてきた男を殺した剣士達は手慣れていた。
『とんでもねえ、待ってたんだ』
予め決められていたかのように剣で袈裟懸けにした後、一瞥もせず歩き去った。
剣なんて野蛮なものを使っている狂人だ。
『とんでもねえ、待ってたんだ』
予め決められていたかのように剣で袈裟懸けにした後、一瞥もせず歩き去った。
剣なんて野蛮なものを使っている狂人だ。
それよりもっと根本的な疑問があった。
どうしてこの国の住人は皆、剣を使っている?
銃を使った方が手軽で簡単だ。
返り血で服も汚さないし、持ち運びも楽だ。
剣は銃に手も足も出ない。近づく前に殺されるからだ。
現代の戦争は、剣をもって殺しあうのはほとんどない。
どうしてこの国の住人は皆、剣を使っている?
銃を使った方が手軽で簡単だ。
返り血で服も汚さないし、持ち運びも楽だ。
剣は銃に手も足も出ない。近づく前に殺されるからだ。
現代の戦争は、剣をもって殺しあうのはほとんどない。
いくら世界大戦や大規模災害文明が崩壊したとはいえ、銃や電子機器の製造技術はなくなるのか?
カラシニコフ程度なら町工場でも出来るし、
ライフリングにこだわらないなら模造銃ぐらい多少知識のある素人でも出来る。
唯一、弾の生産は工場で行わなくてはならないだろうが。
最悪でも、カーパッション式のリボルバーなら生産できる。
人類が滅ぶ直前まで銃は人と共にあるだろう。
カラシニコフ程度なら町工場でも出来るし、
ライフリングにこだわらないなら模造銃ぐらい多少知識のある素人でも出来る。
唯一、弾の生産は工場で行わなくてはならないだろうが。
最悪でも、カーパッション式のリボルバーなら生産できる。
人類が滅ぶ直前まで銃は人と共にあるだろう。
道に車の代わりに馬やロバが走っているのは文明が崩壊したせい。
奇病や薬品によって異形の人やモノが産まれた。
日本を襲撃した異常な生命体は敵の兵器。
兵器や災害による地形の変化。
大規模災害で通信機器が全滅したと発表されている。
奇病や薬品によって異形の人やモノが産まれた。
日本を襲撃した異常な生命体は敵の兵器。
兵器や災害による地形の変化。
大規模災害で通信機器が全滅したと発表されている。
私はこれまで、災害によって壊滅的被害にあった地域へ
復興のために派遣されると聞いて自衛隊の支援に参加した。
復興のために派遣されると聞いて自衛隊の支援に参加した。
この街は異常だ。
剣を持つ人々、ネコミミや犬耳をした人間、緑や青のありえない髪の人々、鎧を着た人型トカゲ。
ただのナイフを見て驚く、昔ながらの製法を守った鍛冶屋。
剣を持つ人々、ネコミミや犬耳をした人間、緑や青のありえない髪の人々、鎧を着た人型トカゲ。
ただのナイフを見て驚く、昔ながらの製法を守った鍛冶屋。
たとえ人の遺伝子に異常が産まれても、それが目に見える異常になるのは時間が掛かる。
災害で被害を受けた街を復興するのにも時が必要だ。それを支える特異文化な文化も。
戦争であちこち壊れたらしき町並みを見つけたものの、街は綺麗過ぎた。
そして隣に居る耳の長い美女。
災害で被害を受けた街を復興するのにも時が必要だ。それを支える特異文化な文化も。
戦争であちこち壊れたらしき町並みを見つけたものの、街は綺麗過ぎた。
そして隣に居る耳の長い美女。
あの日、日本の“外は何が起こっていたんだ?”
果たして此処は中国なのか?
いや、そもそも地球なのか?
信じているものが足元から崩れていく気がして足が震える。
いや、そもそも地球なのか?
信じているものが足元から崩れていく気がして足が震える。
ある日突然、変わってしまったとでも?
思索を深めていく内に恐ろしい考えに突き当たって、頭を叩いた。
思索を深めていく内に恐ろしい考えに突き当たって、頭を叩いた。
馬鹿か私は。
「何処へ行く?」
「帰る。私は何も見なかった」
「帰る。私は何も見なかった」
私は何も聞いていないし知らない。
もちろん、事件は警備課に報告するつもりだけどな。
もちろん、事件は警備課に報告するつもりだけどな。
「動くな」
「くっ!」
「くっ!」
首筋に尖った固い感触。
この女も刃物キチガイか。
現代、日本においてはナイフなど美術品以上の価値は皆無である。
持っていたら捕まる。大げさに新聞にまで載る。日用品としての携帯すら許されていない。
エアーガンやバット、カッターナイフでさえ銃刀法違反で逮捕されちゃうぞ。
昔の漫画であった、婦警が私物のロッカーに大量のエアーガンを隠し持っている光景は
今では考えられなくなってしまった。
この女も刃物キチガイか。
現代、日本においてはナイフなど美術品以上の価値は皆無である。
持っていたら捕まる。大げさに新聞にまで載る。日用品としての携帯すら許されていない。
エアーガンやバット、カッターナイフでさえ銃刀法違反で逮捕されちゃうぞ。
昔の漫画であった、婦警が私物のロッカーに大量のエアーガンを隠し持っている光景は
今では考えられなくなってしまった。
「さあ歩け」
「だが動くなと」
「行くんだ、あの男を尾行しろ」
「チッ!」
「だが動くなと」
「行くんだ、あの男を尾行しろ」
「チッ!」
命令に慣れている口調。
美人と係わり合いになるとロクなことがない。
銀髪を動きやすくポニーテールに縛った女が柳眉を吊り上げた。
よれよれのマントの下から見えた、新しい長袖とズボンときっちりと止められたベルトは
着ている主の実直そうな性格を感じさせる。
上から覗くと、シャツを着た扁平な胸が見えた。
体のラインから察するにブラはつけてないらしい。
美人と係わり合いになるとロクなことがない。
銀髪を動きやすくポニーテールに縛った女が柳眉を吊り上げた。
よれよれのマントの下から見えた、新しい長袖とズボンときっちりと止められたベルトは
着ている主の実直そうな性格を感じさせる。
上から覗くと、シャツを着た扁平な胸が見えた。
体のラインから察するにブラはつけてないらしい。
「わたしの言うとおりにしろ」
「さっさといけ」
「はあ・・・そう来ると思った」
「用が終わったら後で私を殺すつもりか?」
「いいや」
「殺すって言うわけないな」
「本当だ。信じろ」
「さっさといけ」
「はあ・・・そう来ると思った」
「用が終わったら後で私を殺すつもりか?」
「いいや」
「殺すって言うわけないな」
「本当だ。信じろ」
女が耳元で話す。綺麗なだけにやたら迫力があった。
刃物を突きつけられた状態で信じられるか。否か。
先ほどの剣士と比べるとまだマシと前向きに判断した。
刃物を突きつけられた状態で信じられるか。否か。
先ほどの剣士と比べるとまだマシと前向きに判断した。
「ちっ、つけるんだろ?付いて来い」
さっさと終わらせて帰ろう。
寮の門限を破るのは確実だ。
減俸が心配だな。
寮の門限を破るのは確実だ。
減俸が心配だな。
「音を立てるな」
息を潜め剣士達を尾行する。
私が尾行を先導し、後に女を付かせる。
大剣を持っている女や尾行対象の剣士は大きな金物を持っているせいか、
下に鎧でも着込んでいるのか、足音を潜めても
歩くたびに剣が金具にぶつかってかちかち小さな音がする。
お世辞にも尾行に向いた格好ではない。
これでよくも尾行が続けられたものだ。
私が尾行を先導し、後に女を付かせる。
大剣を持っている女や尾行対象の剣士は大きな金物を持っているせいか、
下に鎧でも着込んでいるのか、足音を潜めても
歩くたびに剣が金具にぶつかってかちかち小さな音がする。
お世辞にも尾行に向いた格好ではない。
これでよくも尾行が続けられたものだ。
「私が先に行く」
エルブの街は複雑怪奇だ。
真っ直ぐな道で行き止まりかと思ったら、奥から人が歩いてきて曲がり角だと判ったり
建物の陰になる位置に小道やトンネルがあったりと非常に歩きづらく、
道は細く、太く、幅は一定しない。
商会本部へ行く道は街を大回りしなければならず、直通の道はない。
坂や階段は多く、反面見通しの聞く場所が多い。
都市戦闘の訓練を受けていなかったら見失っていたところだった。
無駄技能だと思っていた追跡の訓練が役に立つとは。
真っ直ぐな道で行き止まりかと思ったら、奥から人が歩いてきて曲がり角だと判ったり
建物の陰になる位置に小道やトンネルがあったりと非常に歩きづらく、
道は細く、太く、幅は一定しない。
商会本部へ行く道は街を大回りしなければならず、直通の道はない。
坂や階段は多く、反面見通しの聞く場所が多い。
都市戦闘の訓練を受けていなかったら見失っていたところだった。
無駄技能だと思っていた追跡の訓練が役に立つとは。
「そろそろ事情を説明してくれても良くないか。いや、やっぱいい。やめろ」
事情を知って引き返せなくなっても困る。
「わたしはメイだ」
「赤沢だ」
「ああ、知ってる。赤Mal様に付いていた日本の自衛兵。
近衛だから精鋭だな。赤沢レッドだったか?」
「酒場の話を盗み聞きか。ろ、ロリコンちゃうわ。あだ名と苗字を混ぜないでくれ。
それと自衛隊は軍じゃないから兵と呼ぶのもやめてくれ」
「赤沢だ」
「ああ、知ってる。赤Mal様に付いていた日本の自衛兵。
近衛だから精鋭だな。赤沢レッドだったか?」
「酒場の話を盗み聞きか。ろ、ロリコンちゃうわ。あだ名と苗字を混ぜないでくれ。
それと自衛隊は軍じゃないから兵と呼ぶのもやめてくれ」
海外派遣で米兵と話したら、HAHAHAナイスジョォークと言われたけどな。
陸に居る隊員はともかく、国外に行ったことがある自衛官は兵士と隊の区別は薄いと思う。
陸に居る隊員はともかく、国外に行ったことがある自衛官は兵士と隊の区別は薄いと思う。
「兵じゃない?」
「お国の事情だ」
「お国の事情だ」
あの時、出迎えに来ていた一人か。
エルブ政府と日本の本格的な接触交渉は伏せられている。
話が付いてから電撃的に発表したいという思惑があるのだろう。
政治とはパフォーマンスの場である。
エルブ政府と日本の本格的な接触交渉は伏せられている。
話が付いてから電撃的に発表したいという思惑があるのだろう。
政治とはパフォーマンスの場である。
「私だけ知られているのは不公平だ。所属と階級」
「レッドキャップズに居た。階級は大佐。君は?」
「盗み聞きしてたペナルティだ。教えてやらない」
「レッドキャップズに居た。階級は大佐。君は?」
「盗み聞きしてたペナルティだ。教えてやらない」
メイが私を知っているということはそれなりの立場だということ。
赤帽子とは部隊名だろう。近衛兵は精鋭だからグリンベレーみたいなものかもしれない
大佐とは大物だった。
私は二等陸曹だから、曹、尉、佐、7階級も上。
平社員が本部付きの幹部に会ったようなものだった。
赤帽子とは部隊名だろう。近衛兵は精鋭だからグリンベレーみたいなものかもしれない
大佐とは大物だった。
私は二等陸曹だから、曹、尉、佐、7階級も上。
平社員が本部付きの幹部に会ったようなものだった。
「今日は尾行の訓練教官か?」
「そうだ」
「令状はあるのか」
「キツイジョークだ」
「そうだ」
「令状はあるのか」
「キツイジョークだ」
お堅い女に見えて冗談も出来るらしい。
大佐が一人で尾行だなんて、一体あいつら何者なんだ?
大佐が一人で尾行だなんて、一体あいつら何者なんだ?
尾行対象がモーテルに入った。
モーテル、ホテルは安宿を表していて、
日本語の豪華リゾートとは逆の意味が本来の使い方だ。
海外ではホテルとマンションは逆だから注意しないといけない。
モーテル、ホテルは安宿を表していて、
日本語の豪華リゾートとは逆の意味が本来の使い方だ。
海外ではホテルとマンションは逆だから注意しないといけない。
「モーテルに入ったな」
「もういいだろ。帰らせてくれ」
「まだだ」
「訳を話す。娘が誘拐された。あの男が唯一の手掛かりなんだ。
これはエルブの、日本の問題でもある。
わたしの姿を見られると娘が殺される。
此処は顔の割れてない君に頼むしかない」
「もういいだろ。帰らせてくれ」
「まだだ」
「訳を話す。娘が誘拐された。あの男が唯一の手掛かりなんだ。
これはエルブの、日本の問題でもある。
わたしの姿を見られると娘が殺される。
此処は顔の割れてない君に頼むしかない」
国際問題!?
いよいよきな臭くなって来た。
だとしたらなおさら他の手を借りるべきだ。
いよいよきな臭くなって来た。
だとしたらなおさら他の手を借りるべきだ。
「奴を甘い言葉でつれてきて此処へつれてくる。あとは私がやる。
それで君は自由だ。いいね」
「応援を呼ぶべきだ」
「敵に魔道師が居る。通信魔法は傍受される。
私の部下は優秀だ、指示がなくても既に動いているだろう」
それで君は自由だ。いいね」
「応援を呼ぶべきだ」
「敵に魔道師が居る。通信魔法は傍受される。
私の部下は優秀だ、指示がなくても既に動いているだろう」
魔法?聞き間違いだよな。
『私の部下は優秀だ』ってキリッとした顔で一生に一度でいいから言ってみたい。憧れる。
腕のいい部下揃ってるんだろうな・・・
『私の部下は優秀だ』ってキリッとした顔で一生に一度でいいから言ってみたい。憧れる。
腕のいい部下揃ってるんだろうな・・・
「シット!ついてねえ!なんだって俺が!いいさやってやる
でも、相手は男だぞ」
でも、相手は男だぞ」
つい、地が出てしまった。
畜生!誘き出す役なんてやったら後で言い訳出来ねぇ!畜生!
畜生!誘き出す役なんてやったら後で言い訳出来ねぇ!畜生!
メイは真面目だった。
「問題ない、あいつは男色だ」
「今日は厄日だわ」