『軍人と一角獣』
「どうされました?」
「うん……何とも無いな」
手綱を握る厩務員が、おっかなびっくりの少佐を不思議そうに見上げる。
皇国軍の騎兵少佐が乗っているのは、純白の毛並が美しいユニコーン(馬の一角獣)である。
「うん……何とも無いな」
手綱を握る厩務員が、おっかなびっくりの少佐を不思議そうに見上げる。
皇国軍の騎兵少佐が乗っているのは、純白の毛並が美しいユニコーン(馬の一角獣)である。
少佐はヨーロッパに馬術留学中、ユニコーンは清純な乙女しか背に載せないという話を聞いたことがあった。
だがしかし、自分は身も心も男であり妻子持ちだ。しかも独身時代は遊女と寝た事だってあるから純潔なんてとんでもない。
それを、このユニコーンはさも当然のように背に乗せているので、戸惑ったのだ。
だがしかし、自分は身も心も男であり妻子持ちだ。しかも独身時代は遊女と寝た事だってあるから純潔なんてとんでもない。
それを、このユニコーンはさも当然のように背に乗せているので、戸惑ったのだ。
「蹴ってきたりはしないんだな」
「角無しの馬より多少気性が荒い面はありますが、そこまで乱暴ではありませんよ。
不用意に正面や真後ろに立ったりしなければ、安全上は何も問題ありません」
「そうか……うむ、そうだよな」
心なしか、残念そうな少佐であった。
「角無しの馬より多少気性が荒い面はありますが、そこまで乱暴ではありませんよ。
不用意に正面や真後ろに立ったりしなければ、安全上は何も問題ありません」
「そうか……うむ、そうだよな」
心なしか、残念そうな少佐であった。