第2部 第7話-1
概況
2013年 2月15日 01時30分
2013年 2月15日 01時30分
関門都市『ルルェド』は、楯状地〈戦神の床几〉に北面を預け、東・南・西の3面に分厚い城壁を築いた形状の城塞である。それぞれの城壁は中州の陸地一杯まで張り出しており、城壁のすぐ下は川面といってよい。
城門は東・南・西の3ヵ所。河川交通の要衝らしく、船舶で出入りする水門の形状を取っている。かつては複数の尖塔や櫓が城壁の上に設けられていたが、有翼蛇とカタパルトの攻撃により崩落し、今は見る影もない。
外壁の内側には市街地が広がっている。その中で行政府兼本営となる城館は、城内の北寄りに立てられていた。城館は楯状地に張り付くように建つ神殿と石造りの堅牢な回廊で繋がっている。
城門は東・南・西の3ヵ所。河川交通の要衝らしく、船舶で出入りする水門の形状を取っている。かつては複数の尖塔や櫓が城壁の上に設けられていたが、有翼蛇とカタパルトの攻撃により崩落し、今は見る影もない。
外壁の内側には市街地が広がっている。その中で行政府兼本営となる城館は、城内の北寄りに立てられていた。城館は楯状地に張り付くように建つ神殿と石造りの堅牢な回廊で繋がっている。
2013年2月15日深夜。関門都市『ルルェド』攻防戦はそれまでの膠着状況を脱し、最終段階へと雪崩れ込んでいった。
帝國〉軍の、翼龍騎兵と特殊技能を持つ選抜猟兵隊を組み合わせた空中挺身戦術は、難攻不落を誇ったルルェド城塞に強烈なバックハンドブローを叩きつけ、戦況は一気に〈帝國〉に傾いた。
奇襲を受けたルルェド守備隊は、混乱から脱することができずにいた。主導権という点について言えば、それは完全に〈帝國〉軍の手の内にある。つまり圧倒的に兵力で劣る南瞑同盟会議軍が敗北の淵に立たされていることと同義であった。
帝國〉軍の、翼龍騎兵と特殊技能を持つ選抜猟兵隊を組み合わせた空中挺身戦術は、難攻不落を誇ったルルェド城塞に強烈なバックハンドブローを叩きつけ、戦況は一気に〈帝國〉に傾いた。
奇襲を受けたルルェド守備隊は、混乱から脱することができずにいた。主導権という点について言えば、それは完全に〈帝國〉軍の手の内にある。つまり圧倒的に兵力で劣る南瞑同盟会議軍が敗北の淵に立たされていることと同義であった。
現時点での両軍の配置と状況は以下の通りである。
- ルルェド東正面
〈帝國〉軍
一個ゴブリン軽装歩兵団
一個コボルト斥候隊
一個軽騎兵隊 計1713名
「当面の任務」
ルルェド包囲線の形成及び守備隊の脱出阻止。〈帝國〉軍指揮官は十分な兵力を与えられていたが、渡河用船舶の不足により助攻能力は限定的であった。
一個ゴブリン軽装歩兵団
一個コボルト斥候隊
一個軽騎兵隊 計1713名
「当面の任務」
ルルェド包囲線の形成及び守備隊の脱出阻止。〈帝國〉軍指揮官は十分な兵力を与えられていたが、渡河用船舶の不足により助攻能力は限定的であった。
『ルルェド』守備隊
家臣団及び傭兵隊 計89名
「当面の任務」
東壁の死守、それ以外に無い。現時点で東側への圧力はたいしたものではないが、兵力差が圧倒的過ぎるため本営や西壁への増援派遣は不可能である。
家臣団及び傭兵隊 計89名
「当面の任務」
東壁の死守、それ以外に無い。現時点で東側への圧力はたいしたものではないが、兵力差が圧倒的過ぎるため本営や西壁への増援派遣は不可能である。
- ルルェド南正面
〈帝國〉軍
一個ゴブリン軽装歩兵団
一個オーク重装歩兵団
一個コボルト斥候隊 計1732名
「当面の任務」
ルルェド包囲線の形成及び守備隊の脱出阻止。南門はマワーレド川の流れの関係で攻勢をかけにくい地形となっており、〈帝國〉軍も抑えの兵力しか置いていない。ただし、敵の脱出に備え部隊は散開し、城塞方向に対して重層化された濃密な警戒線を構築している。
一個ゴブリン軽装歩兵団
一個オーク重装歩兵団
一個コボルト斥候隊 計1732名
「当面の任務」
ルルェド包囲線の形成及び守備隊の脱出阻止。南門はマワーレド川の流れの関係で攻勢をかけにくい地形となっており、〈帝國〉軍も抑えの兵力しか置いていない。ただし、敵の脱出に備え部隊は散開し、城塞方向に対して重層化された濃密な警戒線を構築している。
『ルルェド』守備隊
家臣団及び傭兵隊 計73名
「当面の任務」
南壁の死守。任務は東壁に同じであるが、主攻正面に隣接しているため牽制攻撃を受けている。このため、兵力の移動に大きな制限がある。
家臣団及び傭兵隊 計73名
「当面の任務」
南壁の死守。任務は東壁に同じであるが、主攻正面に隣接しているため牽制攻撃を受けている。このため、兵力の移動に大きな制限がある。
- ルルェド西正面
〈帝國〉軍
本営及び攻城部隊(ゾラータ・ジャボール直率)
二個ゴブリン軽装歩兵団
二個オーク重装歩兵団
二個オーガ突撃隊
一個徴用兵団
二個選抜猟兵小隊(70名) 計6232名
本営及び攻城部隊(ゾラータ・ジャボール直率)
二個ゴブリン軽装歩兵団
二個オーク重装歩兵団
二個オーガ突撃隊
一個徴用兵団
二個選抜猟兵小隊(70名) 計6232名
「当面の任務」
西城壁の突破。ジャボール兵団は持てる攻城兵器と魔導部隊のほとんどを西正面に投入している。城門が開かれたならば、圧倒的兵力を持ってルルェドをもみ潰すだろう。少なくともゾラータを始めとする〈帝國〉将校団はそう確信している。
現在城内には選抜猟兵が侵入しており、城門は激しい戦闘の末〈帝國〉軍が奪取に成功していた。
西城壁の突破。ジャボール兵団は持てる攻城兵器と魔導部隊のほとんどを西正面に投入している。城門が開かれたならば、圧倒的兵力を持ってルルェドをもみ潰すだろう。少なくともゾラータを始めとする〈帝國〉将校団はそう確信している。
現在城内には選抜猟兵が侵入しており、城門は激しい戦闘の末〈帝國〉軍が奪取に成功していた。
『ルルェド』守備隊
家臣団主力 計124名
「当面の任務」
西壁の死守。しかし、昼夜を問わない猛烈な攻撃に加え、城内に進入した〈帝國〉軍の奇襲により戦線は崩壊しつつある。速やかな予備隊の投入が有ったとしても城門の奪還は困難な状況下にあった。
家臣団主力 計124名
「当面の任務」
西壁の死守。しかし、昼夜を問わない猛烈な攻撃に加え、城内に進入した〈帝國〉軍の奇襲により戦線は崩壊しつつある。速やかな予備隊の投入が有ったとしても城門の奪還は困難な状況下にあった。
- ルルェド城本営
『ルルェド』守備隊
ハンズィール傭兵隊主力(ハンズィール直率) 計101名
「当面の任務」
予備隊の編成。重要地点への救援。この時点で予備隊はようやく集結を終えたに過ぎず、ハンズィールは状況の把握に全力を傾注せざるを得なかった。
ハンズィール傭兵隊主力(ハンズィール直率) 計101名
「当面の任務」
予備隊の編成。重要地点への救援。この時点で予備隊はようやく集結を終えたに過ぎず、ハンズィールは状況の把握に全力を傾注せざるを得なかった。
- 〈戦神〉神殿
〈帝國〉軍
二個選抜猟兵小隊 計68名(グラゴレフ直率)
「当面の任務」
ルルェド本営を攻撃し、守備隊を混乱させること。これには重要施設への破壊工作と重要人物の殺害を含む。
二個選抜猟兵小隊 計68名(グラゴレフ直率)
「当面の任務」
ルルェド本営を攻撃し、守備隊を混乱させること。これには重要施設への破壊工作と重要人物の殺害を含む。
『ルルェド』守備隊
神官戦士団主力 計82名(ホーポー直率)
「当面の任務」
神殿の奪還。敵侵入部隊の撃滅。現在神官戦士団は集結中であり、速やかな部隊行動は困難であった。また、神殿内には当主ティカ・ピカータとカーナ・ハヌマが孤立している。
神官戦士団主力 計82名(ホーポー直率)
「当面の任務」
神殿の奪還。敵侵入部隊の撃滅。現在神官戦士団は集結中であり、速やかな部隊行動は困難であった。また、神殿内には当主ティカ・ピカータとカーナ・ハヌマが孤立している。
- その他
『ルルェド』西側後方にシリブロー・ジャボール率いる〈帝國〉軍予備隊が集結中。
海上自衛隊第1河川舟艇隊は南方25キロ地点から北上を開始。
陸上自衛隊第1空挺団第1普通科大隊は出撃準備を完了。
海上自衛隊第1河川舟艇隊は南方25キロ地点から北上を開始。
陸上自衛隊第1空挺団第1普通科大隊は出撃準備を完了。
漆黒の闇の中、各所で発生した火災と兵士の掲げるたいまつの炎により、ルルェドは明るく浮かび上がっている。戦火はますます激しさを増し、夜明けを待たずしてルルェド城塞を焼き尽くさんとする勢いであった。