192 名前:DD122はつゆき ◆MRcHkgpJ.ZGl [sagesage] 投稿日:2016/08/14(日) 03:31:10.99 ID:C3+yYo3v
日本国内には現在、二つの異世界への門が存在する。
一つは西富士駐屯地内に存在する、外地への門。
もう一つは、最近になって硫黄島近海に存在が確認された門。
一つは西富士駐屯地内に存在する、外地への門。
もう一つは、最近になって硫黄島近海に存在が確認された門。
この二つの門の扱いをどうするか、日本政府は常々頭を悩ませていたが、それとは別の差し迫っている喫緊の脅威が他にもあった。
それは、対馬の向こうに存在する分断国家に出現した門の存在だった。
南北に分断されたその国家の非武装地帯に出現した門は、発見された直後、なんのかんのともっともらしい理屈をつけて、
南北がこぞって軍隊を派遣して門の確保に乗り出した。
分断国家の南側の背後には、日本と共通の同盟国の存在もあった。
それは、対馬の向こうに存在する分断国家に出現した門の存在だった。
南北に分断されたその国家の非武装地帯に出現した門は、発見された直後、なんのかんのともっともらしい理屈をつけて、
南北がこぞって軍隊を派遣して門の確保に乗り出した。
分断国家の南側の背後には、日本と共通の同盟国の存在もあった。
そして、両軍が門を挟んで対峙する状況になった時、門の向こうから、異世界の住人が姿を現した。
現れた異世界の住人は、この地球上では太古の昔に滅び去ったはずの巨大な爬虫類に酷似した姿をしていた。
予想もしなかった事態に、南北両軍は大パニックに陥った。
現れた異世界の住人は、この地球上では太古の昔に滅び去ったはずの巨大な爬虫類に酷似した姿をしていた。
予想もしなかった事態に、南北両軍は大パニックに陥った。
派遣された南北両軍を蹂躙した爬虫類の群れは、一番身近な都市であるソウルに雪崩れ込んでいった。
自慢の南側型兵器(国産兵器ではない)で応戦しようとするも、初戦の指揮系統の混乱と動作不良のおかげで、
効果的な反撃を行うことが出来ず、更に、大統領を含む政府首脳が指揮を放り出して逃走してしまった。
それに加え、同じくパニックに陥っていた北側が、非武装地帯沿いに展開していた野砲を一斉に乱射、
その何割かがソウルに着弾し、更なる混乱を引き起こした。
自慢の南側型兵器(国産兵器ではない)で応戦しようとするも、初戦の指揮系統の混乱と動作不良のおかげで、
効果的な反撃を行うことが出来ず、更に、大統領を含む政府首脳が指揮を放り出して逃走してしまった。
それに加え、同じくパニックに陥っていた北側が、非武装地帯沿いに展開していた野砲を一斉に乱射、
その何割かがソウルに着弾し、更なる混乱を引き起こした。
彼らの崇める偉大なる首領様が常々口にしている「ソウルを火の海に」という悲願が、図らずも達成されることになった。
日本としては、彼らの狂騒振りを対岸の火事と傍観していたいところではあったが、半島在住の邦人を救助しなくてはならなかった。
幸い日本大使館職員と連絡が取れ、脱出した職員と現地邦人は、同盟国軍の護衛で釜山まで撤退していることが判明した。
日本としては、彼らの狂騒振りを対岸の火事と傍観していたいところではあったが、半島在住の邦人を救助しなくてはならなかった。
幸い日本大使館職員と連絡が取れ、脱出した職員と現地邦人は、同盟国軍の護衛で釜山まで撤退していることが判明した。
日本政府は、直ちに彼らを救出すべく、部隊を派遣することを決定した。
例によって、野党や一部の平和主義者が騒ぎ立てたが、今までのように背後で支援する者が居ないため、
往時のような勢いは無く、国民の圧倒的多数の支持の声にあっさりとかき消された。
現地政府は既に崩壊し、国家としての体を為していない状況だったため、皮肉なことに部隊の編成と派遣は
未だかつて無いほどに速やかに行われた。
例によって、野党や一部の平和主義者が騒ぎ立てたが、今までのように背後で支援する者が居ないため、
往時のような勢いは無く、国民の圧倒的多数の支持の声にあっさりとかき消された。
現地政府は既に崩壊し、国家としての体を為していない状況だったため、皮肉なことに部隊の編成と派遣は
未だかつて無いほどに速やかに行われた。
「後方、4時方向より接近する機影あり。数56。接近パターンから見て、飛行種と思われます」
「例のガーゴイルか。全艦、対空戦闘合戦準備」
「例のガーゴイルか。全艦、対空戦闘合戦準備」
浦項沖を航行するミサイル護衛艦『こんごう』が、接近する機影を探知した。
担当官の報告に、『こんごう』艦長は、直ちに迎撃指示を下した。
現在、半島南部を蹂躙している恐竜に酷似した巨大爬虫類群の中で、空を飛行する存在が確認されていた。
外見が神話や伝承に存在する怪物に酷似していることから、同盟国軍によって、ガーゴイルと名付けられたそれは、
全長3メートル、全幅は翼を広げると6メートルにもおよび、他の爬虫類型と異なり人間のような手足まで持ち、
手には武器のようなものまで携えていた。
担当官の報告に、『こんごう』艦長は、直ちに迎撃指示を下した。
現在、半島南部を蹂躙している恐竜に酷似した巨大爬虫類群の中で、空を飛行する存在が確認されていた。
外見が神話や伝承に存在する怪物に酷似していることから、同盟国軍によって、ガーゴイルと名付けられたそれは、
全長3メートル、全幅は翼を広げると6メートルにもおよび、他の爬虫類型と異なり人間のような手足まで持ち、
手には武器のようなものまで携えていた。
道具を用いているということで、ある程度の知能を備えていると見られ、更には人間を拉致するという特異な行動が確認されていた。
拉致された人間は、門の向こう、彼らの世界に連れ去られているようだったが詳細は不明のままだ。
何のために拉致するのか、拉致した人間をどうするのかは判明していないが、その特異な習性から、
門から現れた生物の中でも、優先駆除対象に指定されていた。
『こんごう』は、他の護衛艦や同盟国の軍艦と共に、近く行われる予定のソウル奪還作戦に向け、
地上部隊の脅威となるであろう飛行種――ガーゴイルの誘引と駆除を行っていたところだった。
拉致された人間は、門の向こう、彼らの世界に連れ去られているようだったが詳細は不明のままだ。
何のために拉致するのか、拉致した人間をどうするのかは判明していないが、その特異な習性から、
門から現れた生物の中でも、優先駆除対象に指定されていた。
『こんごう』は、他の護衛艦や同盟国の軍艦と共に、近く行われる予定のソウル奪還作戦に向け、
地上部隊の脅威となるであろう飛行種――ガーゴイルの誘引と駆除を行っていたところだった。
「目標補足。トラックナンバー0-0-1から0-3-0までを目標群α、トラックナンバー0-3-1以降を目標群βと認定」
「CICI指示の目標、迎撃戦闘用意良し」
「VLS、スタンダードSM2発射用意……てーッ」
「CICI指示の目標、迎撃戦闘用意良し」
「VLS、スタンダードSM2発射用意……てーッ」
艦後方のVLSから2本の火柱が立ち上り、ある程度の高さに達した時点で直角に折れ曲がると、接近するガーゴイルの群れに向かって飛翔していった。
薄暗いCICの中に、彼我の高度や距離を淡々と読み上げる武器担当官の低い声だけが響く。
刻一刻と近づく迎撃ミサイルと目標群を示すブリッフに、艦長を始めとしたCICのクルーが固唾を呑んで見守った。
薄暗いCICの中に、彼我の高度や距離を淡々と読み上げる武器担当官の低い声だけが響く。
刻一刻と近づく迎撃ミサイルと目標群を示すブリッフに、艦長を始めとしたCICのクルーが固唾を呑んで見守った。
「サン……フタ……スタンバーイ……マーク、インターセプト」
発射されたスタンダードSM2を示す二つのブリッフが、それぞれの目標群と重なった。
「目標群α、9まで漸減。目標群βは消滅。目標群α、高度を落としつつ更に近づく」
担当官の報告を聞いた艦長は、高価な対空ミサイルを用いるよりも、主砲で始末することを決意した。
「目標群αに正対する。面舵一杯、宜候」
「おーもーかーじー、いっぱーい」
「おーもーかーじー、いっぱーい」
艦が右に傾き、全長161メートルの巨体が旋回を開始する。
「……よーそろー」
「戻せ」
「もどーせー」
「戻せ」
「もどーせー」
10以下まで打ち減らされてなお接近をやめないガーゴイルの群れに、『こんごう』は正対した。
「目標群α、距離300」
「主砲、打方始め」
「うちーかたはじめー。てーっ」
「主砲、打方始め」
「うちーかたはじめー。てーっ」
81式射撃指揮装置2型(FCS-2)が補足した目標に向けて、艦首54口径127mm速射砲が二度咆哮した。
それで十分だった。
止めとなった二度の射撃により、無謀にも突撃してきたガーゴイルの群れは、今度こそ完全に消滅した。
それで十分だった。
止めとなった二度の射撃により、無謀にも突撃してきたガーゴイルの群れは、今度こそ完全に消滅した。
「目標の撃墜を確認。機影なし」
「対空戦闘、用具収め」
「対空戦闘、用具収め」
艦長の戦闘終了宣言に、ようやくCIC内に安堵の空気が流れた。
CICに詰めてるクルーは知る由も無いが、航海艦橋からは、ズタズタに引き裂かれて肉片と化したガーゴイルが、
水柱を立てて海面に落水する様子が視認で来ていた。
たとえ、人と異なる姿形をしている化け物だったとしても、気分の良いものでは無かった。
しかし、そんな感傷に浸る間もなく、『こんごう』のSPY-1レーダーは、接近する新たな目標を探知するのだった。
この日、補給のためいったん後退するまでに『こんごう』が撃墜したガーゴイルは、実に500体以上に及んだ。
CICに詰めてるクルーは知る由も無いが、航海艦橋からは、ズタズタに引き裂かれて肉片と化したガーゴイルが、
水柱を立てて海面に落水する様子が視認で来ていた。
たとえ、人と異なる姿形をしている化け物だったとしても、気分の良いものでは無かった。
しかし、そんな感傷に浸る間もなく、『こんごう』のSPY-1レーダーは、接近する新たな目標を探知するのだった。
この日、補給のためいったん後退するまでに『こんごう』が撃墜したガーゴイルは、実に500体以上に及んだ。