自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 3

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35 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/15(火) 21:21 [ qUq6iUEM ]
    前回の出来の悪さに愕然。
    読んでくれている人はいるのかと思いつつ投下。

    イージス艦「こんごう」艦橋の一角にある艦長席。
    狩野海将補はそこで一人物思いにふけっていた。
    長い長いエネルギー庁の官僚との打ち合わせを終えて少し休憩、と言ったところでもある。
    今でも少し目を閉じるだけで軍人と言って見下した態度をとっていた
    二人の男の顔が悪夢のように思い出された。
    と、いっても軍人が見下される国など世界どこを探しても日本だけだろうが。

36 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/15(火) 21:22 [ qUq6iUEM ]
    「実りの多い穂ほど頭を垂れる、と言ったものだが。」
    少なくともあの二人の頭には実りが少ないと思われた。
    この艦隊の司令としてああはなるまい、と心に誓う。
    もはや外には太陽の光はなく、代わりに満天の星が輝いていた。
    日本ではこんなものは見れないな。と、ベテラン隊員の誰かが感慨深げに言ってたことが思い出される。
    「私の故郷ではアレくらいは見れたんだがな…。」
    今の季節だと見られるのはふたご座、北斗七星、オリオン座、そして北極星を含むこぐま座、言ったあたりか。
    ずいぶんとロマンチックになっている自分に気がつき、狩野は一人苦笑した。

    そのとき自分がこの星空を明日から見られなくなることを狩野は知る由も無かった。

37 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/15(火) 21:22 [ qUq6iUEM ]
    時刻7時。
    「気象レーダー、ブラックアウト…?」
    こんごう内戦闘情報センター(CIC)で担当員が「この世で最もありえないこと」の一つを呆然と呟いた。
    なんだ…、こりゃあ?
    青島は甲板の上で呆然と空を見上げていた。
    星が、無い。それどころではない、月すらも無いのだ。
    まるでこの艦隊全体が真っ暗な箱の中にすっぽりと入れられたようだった。
    始めは雲のせいか、と考えた。しかし、それならばこの船からの光でかすかでも雲は見えるはず。
    ひとまずこういうときはどうするべきか、決まっている。上官に報告である。
    青島は慌てながら艦橋へと急ぎ、佐藤二士に出くわした。
    彼も負けず劣らず慌てた顔をしているが、今の自分の見た状況以上の異変はあるまい。
    そう思った青島の思いは容易く破られた。
    「あ、佐藤二士!聞いてくれ!」
    「こんな所に居た!それどころじゃないっす二尉!レーダー系統が全部ブラックアウト、衛星からの反応も無いんす!」
    「何!?」
    冗談ではない、レーダー、衛星によるGPS、これらを失うということは「目」を失う、ということである。
    そしてそれはすなわち漂流を意味する。
    もしや、今見た状況と関係があるのかもしれない。
    上司として出来る限り混乱の極みにある自らを落ち着かせようとする。
    「佐藤二士、司令部に伝えてくれ。全ての星、月が消滅している。」
    「は・・・?」
    呆然とする佐藤の横を通って青島は艦橋へと歩を進めた。

38 名前:F世界猿 投稿日: 2004/06/15(火) 21:23 [ qUq6iUEM ]
    「どうなっているんだ!先ほどから聞く報告は皆悪いものばかりじゃないか!」
    エネルギー庁の官僚の一人、福地が狩野司令を掴み掛からんばかりの剣幕で怒鳴りつけていた。
    しかし狩野はそれを馬耳東風と聞き流し、入ってくる報告を聞きつつ、警戒命令を出していた。
    「聞いているのか!?」
    その様子に腹を立てたのか福地は狩野の肩を掴む。
    しかし瞬時にその腕は一部でサイレントゴリラとあだ名を付けられている宮野副長に捻りあげられた。
    「…。」
    「な、何をするんだ!…ハン!所詮は軍人と言うわけか?」
    「やめたまえ、宮野副長。」
    「は。」
    「はぁっ!はぁっ!…貴様、何のために4兆円も防衛費を割いていると思っているんだ、こういうときの為だろう!」
    宮野が手を放すと同時に福地が狩野に食って掛かる。
    それに対し狩野はずい、と福地に近寄った。福地は大男ではないが小柄な狩野とはずいぶん体格差があった。
    「な、なんだね…。」
    しかしそれでも狩野の眼力は福地をうろたえさせる強さがあった。
    「いま、状況把握をしています。これ以上口を出さないでくだされますか。」
    そして口調こそ丁寧だったが、狩野の一言は福地を黙らせるのには十分な迫力を持っていた。
    「(全員無事で居てくれよ…。)」
    普段は無神論者の狩野だったが今はどんな神にでも祈りたい気持ちであった。

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