自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

SS 001-020 7

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74 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18:51 [ qUq6iUEM ]
    甲板にはすさまじい人だかりが出来ていた。
    「なんだよもう漂流者はいないのかよ、すっげぇ美人だって聞いてきたのに。」
    「なんでもこんな大きな宝石を着けた篭手みたいなのを右手に付けてたらしいぜ?」
    「中国人とかじゃないのか?偶然密入国してたとか。」
    「それはないだろ、だって耳がすっげー長いんだろ?」
    「あのメルヘン国家中国だったらありえるんじゃね?」
    甲板では若い野次馬隊員たちが口々に勝手なうわさを立てている。

    そんな気楽な彼らに対し狩野、宮野、福地など上層部が願った彼女が中国人や韓国人なのではないか、という考えは
    彼女の長い耳と、その妙な服装にいとも容易く打ち砕かれていた。

75 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18:53 [ qUq6iUEM ]
    青島たちが甲板に着いた時には、もう漂流者は医務室に運ばれた、とのことで、甲板にはもうまばらにしか人はいなかった。
    「もう漂流者は運ばれたみたいだな。」
    「そのようです、青島二尉。」
    青島は手で前髪を掻きあげる、それは青島が考え事をする時の、いつもの癖であったのだが。
    「天野さん、どう思う。この漂流者。」
    「どうもこうも見てみない事には分かりませんが、ただ昨夜全艦放送であったようにこの世界が今までと別の世界なら」
    「その世界の人間と見たほうが妥当、ってことか。」
    「はい。」
    「・・・これでいよいよ疑いようも無くなったな。この世界は俺達の世界じゃない。」

76 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18:54 [ qUq6iUEM ]
    「こんごう」内医務室
    「ここ・・・は?」
    セフェティナが目を覚ますとそこはベッドの上であった。
    見知らぬ天井、それらは見たこともない素材で出来ていた。
    生きていたことに安堵し、何よりも早く、自分の右腕を確認する。

    あった。

    マナをコントロールするための制御石を埋め込んだガントレット。
    もちろんエルフ製でこれさえあれば多少のことがあっても何とかなるだろう。
    というよりもこれが無くては高度な魔法は扱えない。
    腕が千切れでもしない限り外れないようにしておいたのは正解だった様だ。
    元々はジファンに奪われないための処置だったのだが。

77 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18:54 [ qUq6iUEM ]
    「おや、目が覚めたようだね。」
    「えっ?」
    白衣の男に突然声を掛けられセフェティナは飛び起きた。
    「いや、別に驚く必要はない、ここは日本自衛隊護衛艦隊旗艦「こんごう」の医務室だ。」
    ジエイタイとかゴエイカンとか良く分からない言葉が出るが、ここは船の中のようだ。
    しかし船にしては全然揺れが無い、もしかしたら艦と呼ばれる屋敷の中かもしれない。
    「と、言葉は通じているのかな?」
    そしてもう一つのことが分かった。
    「はい、通じています。」
    言葉が通じる、これはあることを表していた。
    この人たちは、召還されたんだ。
    よく分かっていない天変地異の力を利用する召還だが、なぜか召還されたものたちは皆言葉がこちらと通じるのだ。
    そしてそれはすなわち遅かれ早かれ奴隷となる人々、と言うこと。

    ジファンに虐待されていた奴隷の女性を思い出し胸が痛む。
    罪も無いのに殺されそうになっていた人、彼女は無事なのだろうか?

78 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18:55 [ qUq6iUEM ]
    「良かった。何で言葉が通じるのかは置いておいて、少し質問したいことがあるんだけど、いいかな?」
    セフェティナがそれに答える前に黒い箱が鳴いた。
    「!!!?」
    「はい、こちら医務室、沙良田ですが。」
    それを白衣の男が手に取ると箱は鳴くのを止め、男は朗々と一人芝居をはじめた。
    「(びっくりした・・・。)」
    「はい、はい。」
    「???」
    何に返事をしているのか見当がつかない、が男は何かと会話しているようだった。
    魔法ということはありえない、
    魔法の素となるマナの無い世界から来た彼らにはマナを操る術が無いのだから。

79 名前:F猿 投稿日: 2004/06/26(土) 18:56 [ qUq6iUEM ]
    セフェティナが不思議がっている間にも男の一人芝居は続いていた。

    「え?レーダーに艦隊が映った?」

    「ーーー!!!」

    艦隊

    セフェティナの脳裏にはっきりとジファンの顔が映った。あの気味の悪い蛙の様な笑顔。
    「けど・・・木造船だって?一体なんで・・・で、はい、彼女の元いた船の可能性もありますね」
    男の話している言葉はもはやセフェティナの耳には届いていなかった。
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