ユラ神国に伝わる伝説に、剣の達人の話がある。
武芸の達人の話は各国に幾らでも転がっているが、剣聖と呼ばれたのは史上5人しか居ない。
その剣聖は、サガミの国という異世界から来たというのが伝説である。
350年程昔、ユラ神国に突如として現れた剣聖は、反りのある剣を持っていた。
現在、各国の騎兵等が主力にしているサーベルに反りがあるのは、その
剣聖の影響で、それまでは、馬上の騎士も真っ直ぐな剣を使っていた。
甲冑も、当時主流であったチェインメイルとは全く違う形式のグソックと呼ばれる
ものであって、当時その威力を増して来ていた鉄砲に対する防弾性能に優れていた
だけでなく、剣や棍棒など、殆どあらゆる武器に対する防御性能に優れていた。
グソックを模倣した鎧も幾つか作られたが、グソックと同等の性能には
及ばない上に、余りに高価であったため、すぐに廃れたという。
彼が剣聖と呼ばれて伝説となったのは、ただ不思議な武具を持っていたからだけではない。
剣術に秀で、模擬戦では何人もの騎士を“死亡”させただけでなく、弓術や槍術に、
素手での格闘にも精通し、遠距離、中距離、近距離で全く隙を見せない。
一騎打ちでは負け知らずであり、統治者としてや指揮官としても才能を発揮し、
平民(元の世界では、平民では無かったらしいが)の出でありながら、
最終的には伯爵の爵位と領地を与えられる事になる。
剣聖は生涯結婚せず、子供も居なかった(元の世界には妻子が居たらしい)ため、
代々のサガミ伯爵は、現在ではサガミ=シシュー家という貴族が務めている。
剣聖は、最期は戦場で数百の弓や鉄砲に狙われて命を落としたが、逆に言えば
そこまでしないと討ち取れないと敵に思わしめた程の豪傑だったのだ。
剣聖は、何度かの戦争を経験し、少なくない人数の命をその剣で奪ったのだが、
剣聖の剣は、何人斬っても刃こぼれ一つ無く、生涯に渡って光を失わず、
剣聖の死後も数年間は輝きを失わなかったという。
剣聖は、自分以外の人間に剣を触らせる事が無かったため、誰もこの未知の剣の
手入れ方法がわからず、今は錆びるに任せている状態だというが、それでも原形は保っている。
甲冑の方も同様で、やはり誰も手入れの方法がわからず、朽ちるに任せた状態だという。
この剣と鎧が、ユラ神殿の宝物庫にあるという話が出たのは、
皇国軍がユラ神国に進駐してから暫く経ったある日の事。
皇国軍の将校や下士官が佩用している軍刀が、聖剣とよく似ているというのだ。
確認のために皇国軍の将校が宝物庫で見た剣聖の聖遺物は、紛れも無く皇国式の太刀と甲冑一式であった。
現在のサガミ伯爵であるジュオム=サガミ=シシューは、10代目に当たる。
サガミ=シシュー連隊の連隊旗には、聖剣の絵が描かれており、将校の
儀仗用のサーベルは、実戦用のサーベルと違い聖剣を模して作られていた。
刃紋こそ無いが、その外見は皇国刀そのものである。
そのサガミ伯爵とユラ教皇のお墨付きの上で、皇国による聖遺物の修復作業が行われる事になった。
数ヶ月の後、往時の輝きを取り戻した聖剣と甲冑の美しさは、
教皇にしてこれぞ正に聖なる武具だと言わしめる程であったという。
武芸の達人の話は各国に幾らでも転がっているが、剣聖と呼ばれたのは史上5人しか居ない。
その剣聖は、サガミの国という異世界から来たというのが伝説である。
350年程昔、ユラ神国に突如として現れた剣聖は、反りのある剣を持っていた。
現在、各国の騎兵等が主力にしているサーベルに反りがあるのは、その
剣聖の影響で、それまでは、馬上の騎士も真っ直ぐな剣を使っていた。
甲冑も、当時主流であったチェインメイルとは全く違う形式のグソックと呼ばれる
ものであって、当時その威力を増して来ていた鉄砲に対する防弾性能に優れていた
だけでなく、剣や棍棒など、殆どあらゆる武器に対する防御性能に優れていた。
グソックを模倣した鎧も幾つか作られたが、グソックと同等の性能には
及ばない上に、余りに高価であったため、すぐに廃れたという。
彼が剣聖と呼ばれて伝説となったのは、ただ不思議な武具を持っていたからだけではない。
剣術に秀で、模擬戦では何人もの騎士を“死亡”させただけでなく、弓術や槍術に、
素手での格闘にも精通し、遠距離、中距離、近距離で全く隙を見せない。
一騎打ちでは負け知らずであり、統治者としてや指揮官としても才能を発揮し、
平民(元の世界では、平民では無かったらしいが)の出でありながら、
最終的には伯爵の爵位と領地を与えられる事になる。
剣聖は生涯結婚せず、子供も居なかった(元の世界には妻子が居たらしい)ため、
代々のサガミ伯爵は、現在ではサガミ=シシュー家という貴族が務めている。
剣聖は、最期は戦場で数百の弓や鉄砲に狙われて命を落としたが、逆に言えば
そこまでしないと討ち取れないと敵に思わしめた程の豪傑だったのだ。
剣聖は、何度かの戦争を経験し、少なくない人数の命をその剣で奪ったのだが、
剣聖の剣は、何人斬っても刃こぼれ一つ無く、生涯に渡って光を失わず、
剣聖の死後も数年間は輝きを失わなかったという。
剣聖は、自分以外の人間に剣を触らせる事が無かったため、誰もこの未知の剣の
手入れ方法がわからず、今は錆びるに任せている状態だというが、それでも原形は保っている。
甲冑の方も同様で、やはり誰も手入れの方法がわからず、朽ちるに任せた状態だという。
この剣と鎧が、ユラ神殿の宝物庫にあるという話が出たのは、
皇国軍がユラ神国に進駐してから暫く経ったある日の事。
皇国軍の将校や下士官が佩用している軍刀が、聖剣とよく似ているというのだ。
確認のために皇国軍の将校が宝物庫で見た剣聖の聖遺物は、紛れも無く皇国式の太刀と甲冑一式であった。
現在のサガミ伯爵であるジュオム=サガミ=シシューは、10代目に当たる。
サガミ=シシュー連隊の連隊旗には、聖剣の絵が描かれており、将校の
儀仗用のサーベルは、実戦用のサーベルと違い聖剣を模して作られていた。
刃紋こそ無いが、その外見は皇国刀そのものである。
そのサガミ伯爵とユラ教皇のお墨付きの上で、皇国による聖遺物の修復作業が行われる事になった。
数ヶ月の後、往時の輝きを取り戻した聖剣と甲冑の美しさは、
教皇にしてこれぞ正に聖なる武具だと言わしめる程であったという。