自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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匿名ユーザー

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某年 某月某日 月曜日

 仕事は相変わらず速く進む。朝一から測定を行って、データチェックにも着手できた。
このペースなら明日の昼頃には先方に提出できそうだ。

 隣国との農地拡大交渉に進展。
これまでの農地に加えて、我が国が新たに50万ヘクタールの農地拡大を行う方向で合意がなされた。
来年以降の食糧価格には期待が持てそうだ。
 あの「エルフ」という種族、植生を破壊される事を極端に嫌い、おまけに魔法を使うという。
なんだか過激派の環境保護団体みたいだ。そんなのが隣国というのも因果な話だと思う。
まあこちらから手出ししなければ攻撃されないそうだし、覇権主義よりはマシなのだろうが。

 「みどり3」は運用開始直後に失われたし、「だいち2」は「あの日」以降ずっと音信普通だ。
新しい衛星の打ち上げはまだ先の話だし、隣国との交渉でもこれだけ手間取るのだから、
遠方の資源を発見して手に入るまでにどれだけ掛かるのやら。
 当面は「樫」や「白樺」などの天然ガス田と隣国からの各種資源があるものの、どちらも
供給不安定だし量だって多い訳じゃない。海外でのウラン鉱石の確保もこの先の重要課題だ。
 発電用の石炭は国内の炭鉱が稼働してはいるが、石炭だけでは国内の電力需要を賄いきれない。
発電用だけではなく、化学工業向けの需要に応える必要もある。北海道ではそれに加えて
冬季向けの燃料用石炭も生産する必要がある。可採年数は40年を切ったとも聞く。

 こうやって資源確保に血眼になる状況を書き連ねてみると、中世レベルの生活はのんびりしていて
精神的には楽なように思えてくる。でも現代文明を失った生活など自分には考えられない。
もし資源の供給が止まれば、待っているのはきっとこの世の地獄だろう。

 船団襲撃事件の詳報が公開された。レーダーの映像がはっきりせず、海況が悪かったので
目視でも敵の接近を察知できなかったのだという。状況から見て隠蔽魔法を使われた可能性もあるそうだ。
敵方は一昨年あたりから太平洋での通商破壊に力を入れ始めたが、今のところ大きな損害には至っていない。
黒潮ルートは中央向けの主軸輸送路だ。中世レベルの敵軍に荒らされるようでは困る。
問題なのは下りの輸送路で、積荷を軽くして沿岸付近を航行するのでどうしても単独行になりやすい。
敵軍に遭遇する事は稀だが、座礁する事が割とある。GPSやロランの有難さを今更ながら実感する。

 仕事が進んだ日は早く眠くなる。まだ18時だというのに眠くて仕方が無い。
なんとか19時までは起きていたい。3時前に目が覚めるのは真っ平御免だ。


某年 某月某日 火曜日

 昨日書いたことが現実になった。2時40分起床。
この3時間弱を潰すために望遠鏡で外を眺めてみる。何気なく通勤路を辿って見ると、怪しい人影。
張り込み中の私服警官か、はたまたストーカーか。目が合った。何か道具を使ってこちらを見ている。
暗視装置の類だとしたら、こちらが望遠鏡を使っているのもバレバレじゃないか。
こちらが警戒するような素振りでも見せたら怪しまれると思い、そのまま空に望遠鏡を向けた。

 職場に模型好きの同僚がいる。彼の得意技は厚紙を切り貼りして、中は空洞で可動する模型に
組み上げる事なんだそうだ。いわゆるペーパークラフトという工法である。以下、彼の仲間の得意とする工法。
厚紙切り出し積層、木彫の可動組み上げ、乾漆、気合の入った奴は山奥に篭って砂鉄を原料に鋳造。
伊万里焼でフィギュアを作ろうとしている奴もいるが、あまり細かい細工をすると焼いた時に垂れてくるのだとか。
……各人それぞれ得意技があるらしい。もはやモデラーとかそういう範疇を超越しているような気がする。

 仕事は相変わらず速い。午後に入ってから先方にデータを提出する。
受け持ちの仕事が無くなったので、同僚の手伝いなどをして過ごす。
始業直後から違和感。引き出しの中身の配置が変わっていたような気がする。誰か知らないが、
物を借りる時には一言声を掛けてからにしてほしい。

 太平洋第7洋上風力発電所が操業を開始した。
来月には阿蘇第2地熱発電所が稼動する予定である。そうなればこのあたりでも多少は電力事情が
改善する事になる。とはいえ自然エネルギー発電は供給が不安定になりがちだから、大きな期待は
掛けられないのだが。潮位差発電が実用化されれば港での電力自給にも一定の目処が立つ。
未だに実用化研究の段階で足踏み状態なのがもどかしい。

 帰宅途中、他種族のように見える人物とすれ違った。服装は一般的なものだったが、
明らかに異様な気配を漂わせていた。すれ違った瞬間にこちらの心の底まで見透かされたような、
そんな感じだった。気味が悪いというより、恐ろしい。この田舎に、一体何の用があったのだろうか。


某年 某月某日 水曜日

 あまり頭を使わなかった翌日は夜明け過ぎに目が覚める。
普通なら頭を使って疲れるから、次の日は遅くに目覚めるような気がするのだが。

 帰宅途中、地面に変な模様。矢印ではなく、丸い模様だ。
2本の線の間に文字のような、模様のようなものが描かれている。真ん中には幾何学的な図形。
田中が言っていた「魔方陣」らしい形だ。いよいよ気味が悪い。思い切って田中に写真を撮影して送り、
助言を求めた方がいいのだろうか。一応撮影だけはしておいた。
 奴も忙しいだろうから迷惑だろうが、こうも気味の悪い事が続くと誰かに相談せずには居られない。
こんな事で相談できるのは、数ある知り合いの中でもアイツしかいないだろう。
神主の伊藤にお払いを頼むという手も無い訳じゃないが、宗教に頼るのは何か生理的に嫌だ。

 昨日、自然エネルギーが不安定などと書いた矢先の出来事。
雲仙第3地熱発電所の建設予定地で大規模火砕流が発生。計画の後退は必至との事。
既存の2つの発電所への影響は今のところ無いが、最低限の要員のみ残して職員は退避。
 自衛隊が災害出動して、例の骨董品を引っ張り出してきた。そう、74式戦車。
10式戦車と置き換えが進んで滅多に見かけなかったのだが、まだあったらしい。
で、例の投光機が活躍している。やはり明るい。ニュース映像を見る限りでは新人らしき姿が多かった。
やや不謹慎な気もするが、きっと良い訓練の機会になっているのだろう。

 朝一で依頼の舞い込んできたチップの測定を行った。
明日の午前中という納期は少々早いが、今の自分ならば余裕を持って提出できそうな気がする。
疲れたので19時過ぎには休む事にする。


某年 某月某日 木曜日

 夜明け前に目が覚めた。望遠鏡は使わず外の様子を窺ってみる。
やっぱり張り込み?がいた。自転車の一件で目を付けられたのだろうか。だとしたら酷い話だ。

 出社の途中、また地面に変な模様。今度は自宅の方に矢印が向いている。
一昨日すれ違った奴が描いた魔方陣とやらなのだろうか。田中の話にはやけに現実感があった。
今まさに何らかの魔法がこの街のどこかで行われているような気分になってくる。しかしその一方で
魔法など存在せず、これは自転車絡みの手の込んだ嫌がらせなんじゃないかという疑念も存在する。

 夕方のニュース、大陸で資源開発に当たっている邦人が襲撃
護衛が強化、資源探索は重要

 今日は火砕流の発生は無し
74式戦車がエンジン故障、大陸へは無理?、寄る年波


 誰かがドアを叩いている。人が日記を書いて精神を落ち着かせtってくぁwせdrftgyふじこlp;@

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