某年 某月某日 日曜日
昨日、家を出てから起こった事。
家を出る前に寝具一式を持っていくかどうかで悩んだが、結局打ち直しリサイクルに出してもらう事にした。
街灯が点灯し始めた街を歩いていると、地面に模様。家の方を向いた矢印。以前見たものと同じだ。
ロキが何かに気付いて、護衛に耳打ちした。視線の先、曲がり角に以前すれ違った異様な人物。
すぐ角に消えた。護衛の2人が走って追う。残る護衛1人と共に宿泊予定の施設に向かった。
謎の人物を追っていた護衛2人は、夜になって息を切らせて帰ってきた。どうやら逃げられたらしい。
家を出る前に寝具一式を持っていくかどうかで悩んだが、結局打ち直しリサイクルに出してもらう事にした。
街灯が点灯し始めた街を歩いていると、地面に模様。家の方を向いた矢印。以前見たものと同じだ。
ロキが何かに気付いて、護衛に耳打ちした。視線の先、曲がり角に以前すれ違った異様な人物。
すぐ角に消えた。護衛の2人が走って追う。残る護衛1人と共に宿泊予定の施設に向かった。
謎の人物を追っていた護衛2人は、夜になって息を切らせて帰ってきた。どうやら逃げられたらしい。
その夜は港の中、まるで検疫施設のような施設に一泊した。
朝は4時に目が覚めた。朝食を摂り、7時から10時までロキの授業を受けた。前日の魔方陣に関する説明。
あの矢印は魔法を探知するためのもので、方位と距離をかなり正確に掴めるのだそうだ。
状況から見て、自分を探知されているようだ。どうやら田中が話していた事は本当だったらしい。
朝は4時に目が覚めた。朝食を摂り、7時から10時までロキの授業を受けた。前日の魔方陣に関する説明。
あの矢印は魔法を探知するためのもので、方位と距離をかなり正確に掴めるのだそうだ。
状況から見て、自分を探知されているようだ。どうやら田中が話していた事は本当だったらしい。
11時、東京へ向けて出港。往路に引き続き「くす」が随伴する。
単航船に護衛を付けるというのは豪勢な話だ。ゾーンディフェンス方式と護送船団方式、
現状ではどちらが合理的なのか、併走している「くす」を眺めて考えていた。
単航船に護衛を付けるというのは豪勢な話だ。ゾーンディフェンス方式と護送船団方式、
現状ではどちらが合理的なのか、併走している「くす」を眺めて考えていた。
哨戒区域を設けてパトロールすれば船団を組む必要が少なくなり、物流も活発化する。
ただし問題として、手持ちの護衛艦が分散されてしまう事がある。敵が大艦隊で攻めてきた場合に
いくら技術力の差があったとしても、手数が足りなくなって押し切られる恐れがある訳だ。それを考えると
船団を組んで、それに充分な護衛を付けてやった方が敵の大艦隊にも対処可能だし、安心である。
5年前の竹島戦ほど極端でないにせよ敵方の戦術は基本的に物量作戦なのだから、
現状では護送船団方式に軍配が上るのだろう。
ただし問題として、手持ちの護衛艦が分散されてしまう事がある。敵が大艦隊で攻めてきた場合に
いくら技術力の差があったとしても、手数が足りなくなって押し切られる恐れがある訳だ。それを考えると
船団を組んで、それに充分な護衛を付けてやった方が敵の大艦隊にも対処可能だし、安心である。
5年前の竹島戦ほど極端でないにせよ敵方の戦術は基本的に物量作戦なのだから、
現状では護送船団方式に軍配が上るのだろう。
昼食が終わる頃、黒潮に乗った。これで船足は一気に速くなった。
船員が海水を汲んで何か調べていたので、見せてもらった。容器の中をプランクトンが大量に漂っている。
ウェーブのように離合集散を繰り返している。周期は10秒くらいだろうか。撮影しようと思って
携帯端末を近づけてみたら、寄ってくるのと逃げるのに分かれた。電波に感応性を持っているのかもしれない。
船員が海水を汲んで何か調べていたので、見せてもらった。容器の中をプランクトンが大量に漂っている。
ウェーブのように離合集散を繰り返している。周期は10秒くらいだろうか。撮影しようと思って
携帯端末を近づけてみたら、寄ってくるのと逃げるのに分かれた。電波に感応性を持っているのかもしれない。
午後の授業は「魔法がコンピュータに与える影響」というテーマ。
自衛隊が魔法攻撃を受けた際に集めたデータらしい。一部の回路が焼き切れる事もあるようだ。
魔法攻撃に強いコンピュータを作るのに役立ちそうな情報である。
自衛隊が魔法攻撃を受けた際に集めたデータらしい。一部の回路が焼き切れる事もあるようだ。
魔法攻撃に強いコンピュータを作るのに役立ちそうな情報である。
寝る前に外を眺めてみた。光るトビウオのようなものが時折水面を滑っていく。
光るプランクトンが多いのか、波に合わせて淡い光の帯が現れては消える。そんな様子を見ていると
改めて実感する。ここは日本ではない、異世界なんだ。
光るプランクトンが多いのか、波に合わせて淡い光の帯が現れては消える。そんな様子を見ていると
改めて実感する。ここは日本ではない、異世界なんだ。
某年 某月某日 月曜日
3時半に目が覚めた。
気分を落ち着けるため夜明け空でも眺めていようと思ったのだが、厚い雲に阻まれて見えなかった。
気分を落ち着けるため夜明け空でも眺めていようと思ったのだが、厚い雲に阻まれて見えなかった。
朝食後に授業を受けていたら、ロキが突然資料等をカバンにしまい始めた。
授業は打ち切りかと訊いたらそうだという。理由を尋ねたら「嵐が来るから」と返ってきた。
授業は打ち切りかと訊いたらそうだという。理由を尋ねたら「嵐が来るから」と返ってきた。
やることが無くなってしまったので、船室の窓を開けて海を眺めていた。
11時前頃だったろうか、「くす」の主砲と30mm機銃塔が旋回を始めた。
何事かと思った矢先、300mから600m程度離れた右舷前方に突然、船が現れた。
高いマストに白帆、船腹から突き出した多数のオール、甲板上に動く人影。敵の艦隊だった。
海況は悪くはなく、視程も5km以上はあったはずだ。それなのに接近する敵の姿が見えなかったのだ。
11時前頃だったろうか、「くす」の主砲と30mm機銃塔が旋回を始めた。
何事かと思った矢先、300mから600m程度離れた右舷前方に突然、船が現れた。
高いマストに白帆、船腹から突き出した多数のオール、甲板上に動く人影。敵の艦隊だった。
海況は悪くはなく、視程も5km以上はあったはずだ。それなのに接近する敵の姿が見えなかったのだ。
10隻以上いる事は分かったが、その時には正確な数が分からなかった。
「くす」が発砲を開始したが、76mm砲は3門、30mm機銃は片舷あたり4門だから、一度に7隻の敵にしか
対処できない。その間に接近してきた敵艦から飛翔体がこちらに向けて発射された。
やっと倉島丸の舵が効き始めて左に旋回し始めたが、間に合わない。数秒後、大きな衝撃。被弾した。
衝撃で転んだ際に椅子の足に背中を強打してしまった。その直後、連続して大きな衝撃。これで3発被弾か。
2度目の衝撃が一番大きかった。その後新たな衝撃が無かったので起き上がり、窓を閉めて外の様子を窺う。
敵艦は2隻が炎上中、1隻は帆柱を折られて船腹にも大穴が開いていた。その他に機銃掃射で
ボロボロになったのが3~4隻。海上には既に沈没した敵の残骸らしい破片が浮いていた。
「くす」が発砲を開始したが、76mm砲は3門、30mm機銃は片舷あたり4門だから、一度に7隻の敵にしか
対処できない。その間に接近してきた敵艦から飛翔体がこちらに向けて発射された。
やっと倉島丸の舵が効き始めて左に旋回し始めたが、間に合わない。数秒後、大きな衝撃。被弾した。
衝撃で転んだ際に椅子の足に背中を強打してしまった。その直後、連続して大きな衝撃。これで3発被弾か。
2度目の衝撃が一番大きかった。その後新たな衝撃が無かったので起き上がり、窓を閉めて外の様子を窺う。
敵艦は2隻が炎上中、1隻は帆柱を折られて船腹にも大穴が開いていた。その他に機銃掃射で
ボロボロになったのが3~4隻。海上には既に沈没した敵の残骸らしい破片が浮いていた。
時間にして10分未満。その間に敵艦隊12隻のうち、7隻を撃沈、残りの5隻にも損害を与えた。
この5隻は現れた時と同じように忽然と消えてしまった。逃げられたものと見られている。
我が方の損害は、第5倉島丸がバリスタ弾を3発被弾し、4名が負傷、80tの浸水を見た。
この4名の負傷者には自分も含まれている。その時は打ち付けたところに痛みなど感じなかったが、
後で診てもらったら打撲と診断されたのだ。「くす」も艦尾付近にバリスタ弾を1発被弾したが、死傷者は無し。
この5隻は現れた時と同じように忽然と消えてしまった。逃げられたものと見られている。
我が方の損害は、第5倉島丸がバリスタ弾を3発被弾し、4名が負傷、80tの浸水を見た。
この4名の負傷者には自分も含まれている。その時は打ち付けたところに痛みなど感じなかったが、
後で診てもらったら打撲と診断されたのだ。「くす」も艦尾付近にバリスタ弾を1発被弾したが、死傷者は無し。
今日の戦闘で、護送船団方式を採用する理由の「手数不足」というのを実感した。
それにしても1ヶ月と経たないうちに同じような場所で2度も船を襲われていて、2度とも損害を出している。
太平洋は比較的敵の数が少ないと聞いていたが、それでこの頻度なんだろうか。
日本海に護衛艦の7割が集まっているのも頷ける。まあ護衛以外の作戦に従事している艦も多いんだが。
それにしても1ヶ月と経たないうちに同じような場所で2度も船を襲われていて、2度とも損害を出している。
太平洋は比較的敵の数が少ないと聞いていたが、それでこの頻度なんだろうか。
日本海に護衛艦の7割が集まっているのも頷ける。まあ護衛以外の作戦に従事している艦も多いんだが。
ロキに敵艦が出現した時の状況を話したら、「隠蔽魔法」だと言われた。
可視光線を透過させたり歪めたりして、自分たちを目に見えない状態にする事ができるらしい。
レーダーに映らないのは敵が電波の存在を知っていて、隠蔽の範囲を広げているからかもしれない。
昨日見た、携帯端末に反応するプランクトンのようなものを使えば電波の検出は可能だろう。
むろんこんな事は自衛隊でも気付いている事なのだろうが……
可視光線を透過させたり歪めたりして、自分たちを目に見えない状態にする事ができるらしい。
レーダーに映らないのは敵が電波の存在を知っていて、隠蔽の範囲を広げているからかもしれない。
昨日見た、携帯端末に反応するプランクトンのようなものを使えば電波の検出は可能だろう。
むろんこんな事は自衛隊でも気付いている事なのだろうが……
こんな事が起こったので、昼食は抜き。夕食はその分、一品多く出てきた。
午後の授業は無いだろうと思っていたら、14時から始まって夕食後にも続いた。何事も無かったかのように
振舞っているロキを見ていると、一時の興奮も落ち着いてきた。このヒトは一体、どんな修羅場を
くぐり抜けてきたというのか。知りたくもあり、知りたくないような気もする。
午後の授業は無いだろうと思っていたら、14時から始まって夕食後にも続いた。何事も無かったかのように
振舞っているロキを見ていると、一時の興奮も落ち着いてきた。このヒトは一体、どんな修羅場を
くぐり抜けてきたというのか。知りたくもあり、知りたくないような気もする。