西暦2020年1月22日 06:40 ゴルソン大陸 陸上自衛隊大陸派遣隊第一分遣隊駐屯地
佐藤の突撃によって一気に自衛隊の優勢へと流れた戦闘は、最後に戦闘へと加入した戦闘ヘリコプター小隊によって終了した。
夜間暗視装置と優れた照準装置によって戦場を把握した彼らは、あくまでも冷静に敵軍を消滅させた。
0421時、統制を完全に失った敵軍は、多くの遺棄死体を残して敗走、追撃を行ったヘリコプターたちによってさらに多くの屍を晒した。
一方の自衛隊側は、車輌部隊は連続の夜戦によって消耗しており、そのまま駐屯地警備へと移行。
多少の損害は出たが、この晩の戦闘も自衛隊によるワンサイドゲームで幕を閉じた。
後にわかった事だが、採掘拠点襲撃、第一基地奇襲、そしてこの駐屯地への攻撃。
その全てが、エルフ第三氏族に扇動された連合王国の仕業であった。
彼らはこの地方の動かせるだけの兵力と魔術師、死霊使いを動員してこの悪夢を生み出した。
残念な事に、通常兵力では自衛隊に勝てるわけもない。
そして、下手な魔術師が数十人集まっても勝つことが出来ないダークエルフの前に、人間が呼び出した悪霊など脅威のうちには入らなかった。
この夜を判断材料とし、救国防衛会議は全会一致で連合王国に対する早期の全面攻勢を決議。
王都攻略作戦を発動させた。
西暦2020年1月22日 15:00 日本国 都内某所
明らかに活気がない街中に設置された街頭テレビが灯る。
特にやることもなくうろついていた人々や、絶望的な中でも仕事がなくならない人々が何事かと視線を向ける。
65型の巨大な液晶テレビは、勇ましい音楽と共に画面へ日本国旗を映し出した。
救国防衛会議が出来て以来、日本放送協会によって放映されている、日本政府放送が始まった。
『新大陸で活躍する自衛隊!』
走り回る隊員たちや、地上を攻撃する戦闘ヘリからの映像、動き続ける重機などが画面に登場する。
映像が切り替わり、第一基地に整列した隊員たちが笑顔で敬礼する。
『私は戦います!』
一人の女性自衛官が笑顔で言う。
周囲の自衛官たちは笑顔を崩さない。
『私も戦います!』
一人の若い男性自衛官が笑顔で言う。
先ほどもそうだったが、モデルか何かと思うほどに美形である。
と、その集団の中から小さな男の子が現れる。
見たところ、中学生であろうか。
『ボクも戦います!』
周囲の自衛官たちが一斉に笑う。
しかし、それは嘲りではなく、あくまでも好意的な笑いだ。
画面が切り替わり、日本国旗が現れる。
『自衛官に志願した国民には、優先配給権が与えられます!
さあ!あなたも自衛官に志願して、国家とあなたの家族のために貢献しましょう!』
音楽が終わり、スポンサーの名前が現れる。
もちろん、国営放送なので政府機関の名前ばかりだ。
『この番組は、
護りたい人がいる、陸上自衛隊。
国民の代表として、日々努力を続けます、内閣府。
国家のために、民主主義のために、皆様の生活のために、労力を惜しみません、外務省。
の、提供でお送りしました。
明日もこの時間に放送を行います。
それでは皆様、良い一日を』
西暦2020年1月22日 11:32 日本本土 防衛省 救国防衛会議
「日本政府放送の効果はそれなりに上がっていますね」
報告書を眺めつつ鈴木は満足そうに言った。
グラフによると、仕事のない若年層はかなりの数が入隊を希望しているらしい。
「軍国主義の復活だという苦情も出てはいるようですが」
「なにより軍国主義を復活させようとしているのですから、彼らの心配はもっともですな」
居並ぶメンバーたちは、“平和主義者”が聞いたら卒倒しそうな台詞を次々と並べる。
別の世界に飛ばされるという異常事態に、強権を発動しやすい軍国主義は非常に便利だった。
物流を統制し、思想を統一し、そして行動を制限する。
民主主義体制では許されるはずがないことである。
しかし、日本国を取り巻く現状はそれを許さない。
食料や資源の備蓄は減る一方。それらの自給率はいつまで経っても向上しない。
そのような条件下で、代表が変わるたびにころころと政策が変わる民主主義は、政治形態として適していない。
「まぁ、愛国心溢れる軍人だからこそ、国家のためだけに尽くせるという訳ではありませんけどね」
苦笑しつつ、鈴木は別の書類に目をやった。
あっけないほどに簡単に見つかった化石燃料資源。
だが、見つけるのは簡単でも、それを供給するまでには長い道のりが必要のようだ。
「現地の施設は一時的に放棄されている状態です。
建設班は、現在第一分遣隊に合流し、駐屯地に保護されています」
「やっかいですねぇ。本土から増援を出すしかないでしょうこれは」
書類を机の上に投げ出しつつ鈴木が言う。
会議は進んでおり、現在は折角発見した資源地帯の防御についてを話し合っている。
「沿岸部の貼り付けを減らす事はできないぞ」
「警察庁としては武装さえまわして貰えるならば直ぐにでも治安維持活動に協力できます」
困り果てた統幕長が言い、それを見逃さなかった警察庁の代表が発言する。
「機動隊や数の少ないSATでは、いざという時に対処できないでしょう?」
「いやいや、撃ち方さえ教えてもらえば、あとはこちらで行いますよ」
現在、日本の沿岸のほとんど全てを自衛隊は監視下に置いていた。
レーダーによる監視ももちろん行っているが、小型船舶などによる接近に対処するためである。
「短剣だの弓矢だのといった装備の連中に、私どもは負けるつもりはありません。
マシンガンと暗視装置を回してもらえれば、あとはこちらでも対処できますよ」
自衛隊による軍事政権下になって以来、警察はその立場を下げる一方だった。
「マシンガン?警察なのにM2を使うんですか?あれは対物ですよ?」
とぼけた顔で統幕長が尋ねる。
内心ではマシンガンではなくて、89式小銃、つまりアサルトライフルが欲しいんだろうな、と笑っている。
「ああ、それですよM2。
整備の仕方を教えていただければSATで運用できるでしょう。
彼らはエリート部隊ですから」
その言葉に統幕長と鈴木は笑みを押さえる。
対物機関銃を人間に使う?
最初から人に対する攻撃ならば、それは国際条約違反ですよ?
もちろん面と向かって非難はしない。
知らない人間が何を言おうと、それは失笑以外に何も生まない。
「まぁ警察の方の意見は伺いました。
前向きに善処させていただきましょう。
まずは九十九里あたりから部隊を引き上げて、代わりにお願いします。
書類は後日発行します」
軍事用語に知識を持つ人々が内心で官僚の無知をあざ笑うような一幕もあったが、安全と思われる方面からの引き上げは決定された。
一度決まってしまえば、あとの行動は早かった。
すぐさま命令と書類とがやりとりされ、予防接種その他を済ませた一個大隊が採掘拠点へと派遣された。
第一分遣隊駐屯地からは避難した民間人だけが移動し、第二分遣隊を吸収した佐藤の部隊は、そのまま現地へと残された。
人と割り当てられる物資が増え、相変わらず装甲車輌は回されてこない現実に彼はうんざりしたが、不貞腐れるわけにはいかなかった。
その日のために残されていた兵力全てを投入しての王都制圧作戦が開始されたからである。
それは、在日アメリカ軍と海上自衛隊、そして輸送船に詰め込まれた陸上自衛隊の総力を挙げた壮大な花火大会だった。
西暦2020年1月30日 07:00 連合王国王都近海 聯合艦隊旗艦 イージス護衛艦ながと
それは科学文明の総力を挙げた、現代の無敵艦隊だった。
世界最強を誇る合衆国海軍空母機動部隊、それを取り囲む海上自衛隊第一、第二護衛艦隊。
背後に控える合衆国海兵隊および海上自衛隊第一輸送隊。
念には念を入れてと用意された潜水艦隊。
全てを人力で賄っていた第二次世界大戦当時から見れば呆れるほどに人員は少ないが、戦闘能力の面でいえばこれ以上の戦力はありえない。
「開始時刻です」
薄暗いCICで若い一等海佐が報告する。
この作戦で空母以外を統括する海将は、軽く頷く事でそれに答えた。
「撃ち方始め」
「了解、撃ち方始め」
海上を進む日米合同艦隊から大量の白煙が立ち上る。
さまざまな形状のランチャーからミサイルが発射され、綺麗な軌跡を描きつつ、目標めがけて移動を開始する。
太平洋戦争以降初めての大規模な敵前上陸作戦は、こうして開始された。
「全弾正常に移動しています」
「A部隊前進を始めました」
「米空母より入電、<艦載機の発進を開始。周辺地域は任されたし>以上です」
「通信、レーダー共に感なし。敵の抵抗は皆無です」
「揚陸部隊は準備を完了」
「弾着まであと30秒!」
次々と報告が入る。
敵の抵抗などあるわけがないのだからそれはいいとして、ミサイルが全て正常に動作しているというのは良いニュースである。
海岸から王城までを綺麗に切り開くための攻撃のため、一発でも多く命中した方が、最後の詰めがやりやすいのだ。
「弾着まであと15秒!」
ディスプレイに映し出されたレーダーマップには、目標へ向けて突き進むミサイルの嵐があった。
海面は非常に静かだ、揚陸艦隊が前進を行っている。
米海軍の巡洋艦、海上自衛隊の護衛艦からなるA部隊は、攻撃開始地点に到達したらしい。
うん、全て定刻通りだな。
「A部隊攻撃を開始!」
「だんちゃぁーく、今っ!」
殺戮が始まった事を示す報告が、同時に入った。
佐藤の突撃によって一気に自衛隊の優勢へと流れた戦闘は、最後に戦闘へと加入した戦闘ヘリコプター小隊によって終了した。
夜間暗視装置と優れた照準装置によって戦場を把握した彼らは、あくまでも冷静に敵軍を消滅させた。
0421時、統制を完全に失った敵軍は、多くの遺棄死体を残して敗走、追撃を行ったヘリコプターたちによってさらに多くの屍を晒した。
一方の自衛隊側は、車輌部隊は連続の夜戦によって消耗しており、そのまま駐屯地警備へと移行。
多少の損害は出たが、この晩の戦闘も自衛隊によるワンサイドゲームで幕を閉じた。
後にわかった事だが、採掘拠点襲撃、第一基地奇襲、そしてこの駐屯地への攻撃。
その全てが、エルフ第三氏族に扇動された連合王国の仕業であった。
彼らはこの地方の動かせるだけの兵力と魔術師、死霊使いを動員してこの悪夢を生み出した。
残念な事に、通常兵力では自衛隊に勝てるわけもない。
そして、下手な魔術師が数十人集まっても勝つことが出来ないダークエルフの前に、人間が呼び出した悪霊など脅威のうちには入らなかった。
この夜を判断材料とし、救国防衛会議は全会一致で連合王国に対する早期の全面攻勢を決議。
王都攻略作戦を発動させた。
西暦2020年1月22日 15:00 日本国 都内某所
明らかに活気がない街中に設置された街頭テレビが灯る。
特にやることもなくうろついていた人々や、絶望的な中でも仕事がなくならない人々が何事かと視線を向ける。
65型の巨大な液晶テレビは、勇ましい音楽と共に画面へ日本国旗を映し出した。
救国防衛会議が出来て以来、日本放送協会によって放映されている、日本政府放送が始まった。
『新大陸で活躍する自衛隊!』
走り回る隊員たちや、地上を攻撃する戦闘ヘリからの映像、動き続ける重機などが画面に登場する。
映像が切り替わり、第一基地に整列した隊員たちが笑顔で敬礼する。
『私は戦います!』
一人の女性自衛官が笑顔で言う。
周囲の自衛官たちは笑顔を崩さない。
『私も戦います!』
一人の若い男性自衛官が笑顔で言う。
先ほどもそうだったが、モデルか何かと思うほどに美形である。
と、その集団の中から小さな男の子が現れる。
見たところ、中学生であろうか。
『ボクも戦います!』
周囲の自衛官たちが一斉に笑う。
しかし、それは嘲りではなく、あくまでも好意的な笑いだ。
画面が切り替わり、日本国旗が現れる。
『自衛官に志願した国民には、優先配給権が与えられます!
さあ!あなたも自衛官に志願して、国家とあなたの家族のために貢献しましょう!』
音楽が終わり、スポンサーの名前が現れる。
もちろん、国営放送なので政府機関の名前ばかりだ。
『この番組は、
護りたい人がいる、陸上自衛隊。
国民の代表として、日々努力を続けます、内閣府。
国家のために、民主主義のために、皆様の生活のために、労力を惜しみません、外務省。
の、提供でお送りしました。
明日もこの時間に放送を行います。
それでは皆様、良い一日を』
西暦2020年1月22日 11:32 日本本土 防衛省 救国防衛会議
「日本政府放送の効果はそれなりに上がっていますね」
報告書を眺めつつ鈴木は満足そうに言った。
グラフによると、仕事のない若年層はかなりの数が入隊を希望しているらしい。
「軍国主義の復活だという苦情も出てはいるようですが」
「なにより軍国主義を復活させようとしているのですから、彼らの心配はもっともですな」
居並ぶメンバーたちは、“平和主義者”が聞いたら卒倒しそうな台詞を次々と並べる。
別の世界に飛ばされるという異常事態に、強権を発動しやすい軍国主義は非常に便利だった。
物流を統制し、思想を統一し、そして行動を制限する。
民主主義体制では許されるはずがないことである。
しかし、日本国を取り巻く現状はそれを許さない。
食料や資源の備蓄は減る一方。それらの自給率はいつまで経っても向上しない。
そのような条件下で、代表が変わるたびにころころと政策が変わる民主主義は、政治形態として適していない。
「まぁ、愛国心溢れる軍人だからこそ、国家のためだけに尽くせるという訳ではありませんけどね」
苦笑しつつ、鈴木は別の書類に目をやった。
あっけないほどに簡単に見つかった化石燃料資源。
だが、見つけるのは簡単でも、それを供給するまでには長い道のりが必要のようだ。
「現地の施設は一時的に放棄されている状態です。
建設班は、現在第一分遣隊に合流し、駐屯地に保護されています」
「やっかいですねぇ。本土から増援を出すしかないでしょうこれは」
書類を机の上に投げ出しつつ鈴木が言う。
会議は進んでおり、現在は折角発見した資源地帯の防御についてを話し合っている。
「沿岸部の貼り付けを減らす事はできないぞ」
「警察庁としては武装さえまわして貰えるならば直ぐにでも治安維持活動に協力できます」
困り果てた統幕長が言い、それを見逃さなかった警察庁の代表が発言する。
「機動隊や数の少ないSATでは、いざという時に対処できないでしょう?」
「いやいや、撃ち方さえ教えてもらえば、あとはこちらで行いますよ」
現在、日本の沿岸のほとんど全てを自衛隊は監視下に置いていた。
レーダーによる監視ももちろん行っているが、小型船舶などによる接近に対処するためである。
「短剣だの弓矢だのといった装備の連中に、私どもは負けるつもりはありません。
マシンガンと暗視装置を回してもらえれば、あとはこちらでも対処できますよ」
自衛隊による軍事政権下になって以来、警察はその立場を下げる一方だった。
「マシンガン?警察なのにM2を使うんですか?あれは対物ですよ?」
とぼけた顔で統幕長が尋ねる。
内心ではマシンガンではなくて、89式小銃、つまりアサルトライフルが欲しいんだろうな、と笑っている。
「ああ、それですよM2。
整備の仕方を教えていただければSATで運用できるでしょう。
彼らはエリート部隊ですから」
その言葉に統幕長と鈴木は笑みを押さえる。
対物機関銃を人間に使う?
最初から人に対する攻撃ならば、それは国際条約違反ですよ?
もちろん面と向かって非難はしない。
知らない人間が何を言おうと、それは失笑以外に何も生まない。
「まぁ警察の方の意見は伺いました。
前向きに善処させていただきましょう。
まずは九十九里あたりから部隊を引き上げて、代わりにお願いします。
書類は後日発行します」
軍事用語に知識を持つ人々が内心で官僚の無知をあざ笑うような一幕もあったが、安全と思われる方面からの引き上げは決定された。
一度決まってしまえば、あとの行動は早かった。
すぐさま命令と書類とがやりとりされ、予防接種その他を済ませた一個大隊が採掘拠点へと派遣された。
第一分遣隊駐屯地からは避難した民間人だけが移動し、第二分遣隊を吸収した佐藤の部隊は、そのまま現地へと残された。
人と割り当てられる物資が増え、相変わらず装甲車輌は回されてこない現実に彼はうんざりしたが、不貞腐れるわけにはいかなかった。
その日のために残されていた兵力全てを投入しての王都制圧作戦が開始されたからである。
それは、在日アメリカ軍と海上自衛隊、そして輸送船に詰め込まれた陸上自衛隊の総力を挙げた壮大な花火大会だった。
西暦2020年1月30日 07:00 連合王国王都近海 聯合艦隊旗艦 イージス護衛艦ながと
それは科学文明の総力を挙げた、現代の無敵艦隊だった。
世界最強を誇る合衆国海軍空母機動部隊、それを取り囲む海上自衛隊第一、第二護衛艦隊。
背後に控える合衆国海兵隊および海上自衛隊第一輸送隊。
念には念を入れてと用意された潜水艦隊。
全てを人力で賄っていた第二次世界大戦当時から見れば呆れるほどに人員は少ないが、戦闘能力の面でいえばこれ以上の戦力はありえない。
「開始時刻です」
薄暗いCICで若い一等海佐が報告する。
この作戦で空母以外を統括する海将は、軽く頷く事でそれに答えた。
「撃ち方始め」
「了解、撃ち方始め」
海上を進む日米合同艦隊から大量の白煙が立ち上る。
さまざまな形状のランチャーからミサイルが発射され、綺麗な軌跡を描きつつ、目標めがけて移動を開始する。
太平洋戦争以降初めての大規模な敵前上陸作戦は、こうして開始された。
「全弾正常に移動しています」
「A部隊前進を始めました」
「米空母より入電、<艦載機の発進を開始。周辺地域は任されたし>以上です」
「通信、レーダー共に感なし。敵の抵抗は皆無です」
「揚陸部隊は準備を完了」
「弾着まであと30秒!」
次々と報告が入る。
敵の抵抗などあるわけがないのだからそれはいいとして、ミサイルが全て正常に動作しているというのは良いニュースである。
海岸から王城までを綺麗に切り開くための攻撃のため、一発でも多く命中した方が、最後の詰めがやりやすいのだ。
「弾着まであと15秒!」
ディスプレイに映し出されたレーダーマップには、目標へ向けて突き進むミサイルの嵐があった。
海面は非常に静かだ、揚陸艦隊が前進を行っている。
米海軍の巡洋艦、海上自衛隊の護衛艦からなるA部隊は、攻撃開始地点に到達したらしい。
うん、全て定刻通りだな。
「A部隊攻撃を開始!」
「だんちゃぁーく、今っ!」
殺戮が始まった事を示す報告が、同時に入った。