自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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西暦2020年11月21日  03:42  自衛隊札幌病院  地下一階霊安室前  

「さて、と」  

霊安室の隣にある倉庫から出てきた佐藤は、ポケットから出した拳銃を看護婦に手渡す。  

「何よこれ」  
「9mm拳銃と呼ばれている。  
安全装置を外し、両手でしっかり持って、引き金を引く。  
それだけで身を守れる便利な道具だよ」  

実演して見せつつ、簡単に使用方法を教える。  

「俺は上の連中と合流してここに必ず戻ってくる。  
だからこいつを持ってその部屋にいてくれ」  
「ちょ、ちょっと待って!」  

無人を確認した倉庫を指差してそう言うと、看護婦は血相を変えて掴みかかってきた。  

「ここで待っていればいいじゃない!私たちが出て行く必要なんてないでしょ!?」  
「確かに、君が出る必要はないな。  
だが、残念な事に俺はそうもいかないんだよ」  

銃声が鳴り止まない上階を見る。  

「あそこには俺よりも経験が浅い連中がいる。  
あいつらを助けてやらにゃあ、君の姉さんにシバかれてしまうからね」  

苦笑を浮かべつつ、拳銃の安全装置を解除する。  

「そういう次第なので、申し訳ありませんがこの室内に退避していてください。  
室内は確認してあります。ドアを閉めてバリケードを作れば誰も入ってこれません」  
「そんな、こんなところに一人で!?」  
「大変申し訳ありませんが、ご了承願います」  

抗議の声を上げる看護婦を室内へと押し込み、ドアを閉めようとする。  
唸り声が聞こえたのはその瞬間だった。  

「安全装置を外して奥に行け!」  

看護婦を突き飛ばすようにしてドアから離し、扉を閉める。  
左から二体。  
いつの間に下りてきたんだ?  
ドアからは鍵を閉める音がする。  

「音を立てるなよ!」  

相手に聞こえるように叫びつつ、佐藤は拳銃を構えた。  
二体のゾンビは唸り声を出しつつこちらへ歩いてくる。  
幸いな事に亜種ではないらしい。  
頭を狙い、引き金を引く。  
銃声。  
音速で突き進む銃弾は、正確に相手の頭部を撃ち抜いた。  
被弾した方は大きくのけぞり、そのまま床へと倒れこむ。  

「これだからゾンビは!」  

直ぐ隣の相方が射殺されたというのに、相変わらずこちらへ向かってくるゾンビから距離を開ける。  
拳銃を構え、発砲。  
狙いが外れ、胴体に着弾する。  
しかし、相手は僅かに身じろぎするとこちらへ向けて歩みを再開する。  
再び発砲。  
今度は頭部に着弾し、相手は床に倒れこむ。  
階段から銃声が聞こえてくる。  
かなり近い。  

「撃つな!人間がいるぞ!」  

一応伝えておく。  
再び銃声が鳴り響き、蜂の巣にされたゾンビが階段を転げ落ちてくる。  
ああ、これじゃあダメだ。  
胴体は確かに蜂の巣だが、頭部は無傷だ。  
佐藤は拳銃を構え、発砲した。  


そこから先の展開は速かった。  
走ろうが跳ねようが、発砲にあたって何の制約もない自衛隊にとって、ゾンビなど敵ではない。  
ましてや戦力はこちらの方が多く、銃火器も揃っている。  
地下室で佐藤たちを回収した彼らは、強引に指揮権を掌握した佐藤の指揮の下、全てのゾンビを太陽が昇るまでに処理した。  
ちなみに、今回の事件で死亡した日本人は54名。  
負傷者も最終的にはゾンビ化するため、負傷者は0という惨事となった。  
今回の事件を境に、自衛隊は国内でも完全武装を解く事はなくなった。  
そして、別の病院にて完治した佐藤は、本来の予定に一日の遅れもなく大陸へと帰還した。  
懐かしのゴルソン大陸日本国西方管理地域、ゴルシアの街、陸上自衛隊ゴルソン方面隊ゴルシア駐屯地へと。  

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