西暦2020年12月1日 10:00 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 ゴルシアの街 陸上自衛隊ゴルソン方面隊ゴルシア駐屯地
「今年も残すところ一ヶ月か」
懐かしの城に帰還した佐藤は、感慨深げにそう呟いた。
窓に近寄り、あちこちに立っている隊員たちの様子を見る。
この城を掌握してから随分と経つが、精神の弛緩は見られない。
「失礼します」
扉が開き、二曹が入室する。
「一尉、本土より通信が入っています」
「俺宛にか?」
予定にない通信に、佐藤は嫌そうな顔をして尋ねた。
「はい」
「おかけになった周波数は現在使われておりませんとでも言ってやれ」
冗談を返しつつも立ち上がる。
次はどんな素敵な任務が待っているのか、彼は考えたくもなかった。
<お久しぶりです>
相手は、随分と久しぶりになる外務省の鈴木だった。
「失礼しました。それで、ご用件は?」
<そちらから見て北で、牧畜が行われている事はご存知でしたか?>
「ええ、聞いています。何でも初の民間入植団が入っているとか」
入院中に見たテレビで見た記憶はあった。
広大な土地でのんびりと草を食む牛たち。
羊たちが歩き回り、豚たちが広々とした野原で寝そべる。
抜けるような青空にカメラが向き、JAは戦い続けます、皆様の食卓のために。
と結ばれる、転移前には考えられなかった内容である。
<そこでちょっとした問題が発生しました>
「そこで我々は何をすればよろしいので?」
軽く応じながら、佐藤は内心で呟いた。
問題が起こるたびにわざわざ呼びつけるんじゃない。
西暦2020年12月1日 10:03 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 ゴルシアの街 陸上自衛隊ゴルソン方面隊ゴルシア駐屯地
<あそこは肉類の供給源になる、大変重要な拠点です>
「そうでしょうね」
穀物や魚介類に関しては見通しが立っているが、肉類に関しては全く見通しが立っていない。
それは、石油やウランですら大陸で手に入れた日本が、未だ必要量を確保できない資源である。
「それで、どういった問題を解決すればよろしいのでしょうか?」
治安維持はいいが、公安の真似事や強圧的な国家権力の走狗を演じるのは嫌だな、と内心で思う。
あの種の任務は、驚くほどに人間を他の何かに変えてしまう。
同期生から笑いながら捕虜を撃ち殺す警務隊員の話を聞いて以来、彼は出来る限り人心を荒廃させないよう気を配っていた。
<簡単な話です。あなたが札幌の病院でやった事、あれをより規模を大きくして行っていただきたいのです>
「また連中が出たんですか?」
札幌で過ごした最後の夜を思い出す。
あんなのが、閉鎖空間ではない場所で出てくるのか。
悪夢だな。
<守備隊の士気は最悪です。
あなたと同じ自衛官とは思えないほどにね。まあ、最初に遭遇した時は私も驚きましたが>
無線を通して、恥ずかしながら、少し漏らしてしまいましたと苦笑した声が聞こえてくる。
意外に人間味があるなと鈴木の評価を改める。
<ダークエルフと、協力的なエルフをつけます。
ああそれと、施設科やその他増援も手配します。
とにかくなんとしてもあの地の平穏を取り戻してください>
「微力を尽くします」
力無く答える。
そもそもが、佐藤に拒否権は無いのだ。
<ああそれと>
「まだ何かあるんですか?」
うんざりした声が思わず出てしまう。
<今回の、いや、前回の出現も、人為的なものです>
「人為的?まあ、そりゃあそうでしょう」
死体が勝手に蘇って人間を襲うなんていう話が、ごく当たり前にあっては困る。
まあ、この世界ではそういった困った話には事欠かないが。
<正確には、エルフ第三氏族の関与、という表現が正しいのでしょう>
その言葉に、佐藤は緊張した。
自衛隊とそれに賛同するこの世界の住人たちの力をもってしても、エルフ第三氏族という存在は消し去れないものだった。
彼らは社会の闇に潜み、森の中に隠れ、減少の一途を辿ってはいるものの、好き放題をやっている。
<我々が些細な情報ですら厳重な統制を敷いて管理しているのは、それが敵に活用されては困るからです。
この世界はどういうわけだか人口が多い、それを活かすようなことをされては、大変に迷惑なのです>
「知っています」
そんな事は言われるまでも無かった。
このご都合主義の世界ではどういうわけだか文明レベルに比べて人口が多い。
そんな世界に、現代の技術が流出すれば、恐ろしい事になる。
<第三氏族は、なりふり構わない方法で、それを効率的に運用しようとしています。
貴方が大陸や北海道の病院で倒してきたゾンビたち、あれは彼らにとってのそう、性能評価試験のようなものだったのです>
「性能評価試験?」
<どうやれば死体を強く出来るか、ゾンビの増殖が起きるようになるか。
それを連中は、色々な手を使って試しているんですよ>
反吐が出る話だった。
自分たちの手駒が減りすぎた事を悟ったエルフ第三氏族たちは、二つの方法でその解決を図った。
一つ目、人間を使う。
二つ目、人間以外のモノを使う。
一つ目に関しては、完全に失敗に終わっている。
自衛隊の戦力は、この世界で強かろうが弱かろうが関係の無い次元にある。
大量の戦死者を出し、彼らはこのままでは勝てないことを悟った。
難民を爆弾として使用したケースでは、それなりの出血を強いる事ができた。
だが、遠距離兵器が主体の自衛隊相手では、出来る事に限界がある。
そうこうするうちに自衛隊は対処方法を確立させ、大陸の人間たちは第三氏族の思うように動かなくなった。
では、二つ目はどうなのか?
彼らはそう考えたのだろう。
ドラゴンを誑かし、日本人と戦うように仕向けた。
まあ、ドラゴンの行動にそれはほとんど寄与しなかったが、とにかく彼らは絶滅してしまった。
日本の中に潜入しての破壊工作は上手くいくように思われたが、結局のところ発見され、闇に葬られた。
それでは最後の手段。
協力的なとあるエルフは、情報提供の際に確かにそう言った。
最後の手段。
それは、あってはならないモノを呼び出し、使役する事。
精霊ではなく、化け物を呼び出し、作り出し、それを使役する。
儀式に使う物資と、精霊力以外は一切必要なく、事実上無限に兵力を増やす事ができる禁断の方法。
禁忌とされ、闇の世界でも完全に忘れ去られた外法。
長い時を生きるエルフだけが覚えていたそれを、彼らは使用している。
そしてその成果が、少しずつ現れてきている。
明らかに緊張した公安や外務省、情報本部などのメンバーの前で、暗い表情を浮かべたエルフはそう言った。
<ゾンビは最初の段階。
次は貴方方が亜種と呼んでいる運動能力を持ったゾンビ>
「次は、どうなるんですか?」
唾を飲み下しつつ、佐藤は尋ねる。
昼間だというのに、やけに周囲が静かに感じる。
<亜種に知能を持たせた、いわばパーフェクトゾンビというべき存在。
異世界から召喚した化け物、あなたが東京事件で遭遇したようなものです。
それらを組み合わせた化け物、つまりキメラ。
悪霊、つまりゴーストは、どんなに呼び出しても日が昇れば消えてしまうので、これは使わないだろうというのがこちらの予想です>
最後の一つは気休めにもならなかった。
確かにありがたいことはありがたいが、それ以前に出てくる化け物たちが、厄介の一言では済ませられない存在である。
「ですが、そんな連中を増産するには、それなりの物資や期間が必要なのでは?」
<エルフにとっては安易に生産できるある種の触媒と、人体があれば問題ないそうです。
そして、この世界にはそれが大量に、それはそれは大量に存在しています>
佐藤の僅かな希望は、ご都合主義に塗れた世界が打ち砕いた。
「なんてこった」
<もちろん、魔女の婆さんがゾンビパウダーをさっと振りまけば、地平線を埋め尽くすゾンビ歩兵師団が出来上がる。
というわけではないようです。
安易に生産は出来ても、十分な数を増産し続けるには生産拠点が必要ですし、人間を集めておく施設も必要です。
化け物の召喚に関しても、出来る人間、いや、エルフには簡単だが、できない奴は一生出来ないもののようです。
もちろん、怪しげな魔法陣や、マナだか魔力だかが集まりやすい場所も必要だとか>
「そしてもちろん、我々はそれらを放置しておくほど自殺願望は強くない?」
砕かれたばかりの希望は、形を取り戻そうとしていた。
確かにこの世界はご都合主義に塗れている。
だが、だからといって何でも出来るわけではない、ということか。
重くなっていた気持ちが軽くなる。
考えてみれば、ゾンビや化け物の集団が出てきたところで、砲爆撃で揉み潰してやればいいわけだ。
都心では不可能な事だが、大平原ならばなんだって出来る。
<そういう事です。必要とあれば毒ガスでも核兵器でも、全てを使う覚悟と用意を進めています。
ああ、もちろんの事ですが、これらは墓場の中まで持っていってください>
「心得ています」
左右を見回し、室内に誰もいないことを確認する。
<そんな壮大なストーリーも隠されてはいますが、まずは目の前の外地産国産牛の確保が最優先です。
一週間以内に移動の準備を整えてください。後任の部隊は既に出発の準備を整えつつあります>
いきなりの話に、佐藤は全く付いていけなかった。
「そりゃあ私も国産牛は好きですが、一週間ですか?
私は長い転戦の果てにようやく帰ってきたばかりなのですが」
<まあ、正式な命令書もじきにFAXされるはずです。
移動の準備をしておいて下さい。通信オワリ>
ブツリと通信は切断され、そして佐藤たちは大慌てで移動の準備を開始した。
「今年も残すところ一ヶ月か」
懐かしの城に帰還した佐藤は、感慨深げにそう呟いた。
窓に近寄り、あちこちに立っている隊員たちの様子を見る。
この城を掌握してから随分と経つが、精神の弛緩は見られない。
「失礼します」
扉が開き、二曹が入室する。
「一尉、本土より通信が入っています」
「俺宛にか?」
予定にない通信に、佐藤は嫌そうな顔をして尋ねた。
「はい」
「おかけになった周波数は現在使われておりませんとでも言ってやれ」
冗談を返しつつも立ち上がる。
次はどんな素敵な任務が待っているのか、彼は考えたくもなかった。
<お久しぶりです>
相手は、随分と久しぶりになる外務省の鈴木だった。
「失礼しました。それで、ご用件は?」
<そちらから見て北で、牧畜が行われている事はご存知でしたか?>
「ええ、聞いています。何でも初の民間入植団が入っているとか」
入院中に見たテレビで見た記憶はあった。
広大な土地でのんびりと草を食む牛たち。
羊たちが歩き回り、豚たちが広々とした野原で寝そべる。
抜けるような青空にカメラが向き、JAは戦い続けます、皆様の食卓のために。
と結ばれる、転移前には考えられなかった内容である。
<そこでちょっとした問題が発生しました>
「そこで我々は何をすればよろしいので?」
軽く応じながら、佐藤は内心で呟いた。
問題が起こるたびにわざわざ呼びつけるんじゃない。
西暦2020年12月1日 10:03 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 ゴルシアの街 陸上自衛隊ゴルソン方面隊ゴルシア駐屯地
<あそこは肉類の供給源になる、大変重要な拠点です>
「そうでしょうね」
穀物や魚介類に関しては見通しが立っているが、肉類に関しては全く見通しが立っていない。
それは、石油やウランですら大陸で手に入れた日本が、未だ必要量を確保できない資源である。
「それで、どういった問題を解決すればよろしいのでしょうか?」
治安維持はいいが、公安の真似事や強圧的な国家権力の走狗を演じるのは嫌だな、と内心で思う。
あの種の任務は、驚くほどに人間を他の何かに変えてしまう。
同期生から笑いながら捕虜を撃ち殺す警務隊員の話を聞いて以来、彼は出来る限り人心を荒廃させないよう気を配っていた。
<簡単な話です。あなたが札幌の病院でやった事、あれをより規模を大きくして行っていただきたいのです>
「また連中が出たんですか?」
札幌で過ごした最後の夜を思い出す。
あんなのが、閉鎖空間ではない場所で出てくるのか。
悪夢だな。
<守備隊の士気は最悪です。
あなたと同じ自衛官とは思えないほどにね。まあ、最初に遭遇した時は私も驚きましたが>
無線を通して、恥ずかしながら、少し漏らしてしまいましたと苦笑した声が聞こえてくる。
意外に人間味があるなと鈴木の評価を改める。
<ダークエルフと、協力的なエルフをつけます。
ああそれと、施設科やその他増援も手配します。
とにかくなんとしてもあの地の平穏を取り戻してください>
「微力を尽くします」
力無く答える。
そもそもが、佐藤に拒否権は無いのだ。
<ああそれと>
「まだ何かあるんですか?」
うんざりした声が思わず出てしまう。
<今回の、いや、前回の出現も、人為的なものです>
「人為的?まあ、そりゃあそうでしょう」
死体が勝手に蘇って人間を襲うなんていう話が、ごく当たり前にあっては困る。
まあ、この世界ではそういった困った話には事欠かないが。
<正確には、エルフ第三氏族の関与、という表現が正しいのでしょう>
その言葉に、佐藤は緊張した。
自衛隊とそれに賛同するこの世界の住人たちの力をもってしても、エルフ第三氏族という存在は消し去れないものだった。
彼らは社会の闇に潜み、森の中に隠れ、減少の一途を辿ってはいるものの、好き放題をやっている。
<我々が些細な情報ですら厳重な統制を敷いて管理しているのは、それが敵に活用されては困るからです。
この世界はどういうわけだか人口が多い、それを活かすようなことをされては、大変に迷惑なのです>
「知っています」
そんな事は言われるまでも無かった。
このご都合主義の世界ではどういうわけだか文明レベルに比べて人口が多い。
そんな世界に、現代の技術が流出すれば、恐ろしい事になる。
<第三氏族は、なりふり構わない方法で、それを効率的に運用しようとしています。
貴方が大陸や北海道の病院で倒してきたゾンビたち、あれは彼らにとってのそう、性能評価試験のようなものだったのです>
「性能評価試験?」
<どうやれば死体を強く出来るか、ゾンビの増殖が起きるようになるか。
それを連中は、色々な手を使って試しているんですよ>
反吐が出る話だった。
自分たちの手駒が減りすぎた事を悟ったエルフ第三氏族たちは、二つの方法でその解決を図った。
一つ目、人間を使う。
二つ目、人間以外のモノを使う。
一つ目に関しては、完全に失敗に終わっている。
自衛隊の戦力は、この世界で強かろうが弱かろうが関係の無い次元にある。
大量の戦死者を出し、彼らはこのままでは勝てないことを悟った。
難民を爆弾として使用したケースでは、それなりの出血を強いる事ができた。
だが、遠距離兵器が主体の自衛隊相手では、出来る事に限界がある。
そうこうするうちに自衛隊は対処方法を確立させ、大陸の人間たちは第三氏族の思うように動かなくなった。
では、二つ目はどうなのか?
彼らはそう考えたのだろう。
ドラゴンを誑かし、日本人と戦うように仕向けた。
まあ、ドラゴンの行動にそれはほとんど寄与しなかったが、とにかく彼らは絶滅してしまった。
日本の中に潜入しての破壊工作は上手くいくように思われたが、結局のところ発見され、闇に葬られた。
それでは最後の手段。
協力的なとあるエルフは、情報提供の際に確かにそう言った。
最後の手段。
それは、あってはならないモノを呼び出し、使役する事。
精霊ではなく、化け物を呼び出し、作り出し、それを使役する。
儀式に使う物資と、精霊力以外は一切必要なく、事実上無限に兵力を増やす事ができる禁断の方法。
禁忌とされ、闇の世界でも完全に忘れ去られた外法。
長い時を生きるエルフだけが覚えていたそれを、彼らは使用している。
そしてその成果が、少しずつ現れてきている。
明らかに緊張した公安や外務省、情報本部などのメンバーの前で、暗い表情を浮かべたエルフはそう言った。
<ゾンビは最初の段階。
次は貴方方が亜種と呼んでいる運動能力を持ったゾンビ>
「次は、どうなるんですか?」
唾を飲み下しつつ、佐藤は尋ねる。
昼間だというのに、やけに周囲が静かに感じる。
<亜種に知能を持たせた、いわばパーフェクトゾンビというべき存在。
異世界から召喚した化け物、あなたが東京事件で遭遇したようなものです。
それらを組み合わせた化け物、つまりキメラ。
悪霊、つまりゴーストは、どんなに呼び出しても日が昇れば消えてしまうので、これは使わないだろうというのがこちらの予想です>
最後の一つは気休めにもならなかった。
確かにありがたいことはありがたいが、それ以前に出てくる化け物たちが、厄介の一言では済ませられない存在である。
「ですが、そんな連中を増産するには、それなりの物資や期間が必要なのでは?」
<エルフにとっては安易に生産できるある種の触媒と、人体があれば問題ないそうです。
そして、この世界にはそれが大量に、それはそれは大量に存在しています>
佐藤の僅かな希望は、ご都合主義に塗れた世界が打ち砕いた。
「なんてこった」
<もちろん、魔女の婆さんがゾンビパウダーをさっと振りまけば、地平線を埋め尽くすゾンビ歩兵師団が出来上がる。
というわけではないようです。
安易に生産は出来ても、十分な数を増産し続けるには生産拠点が必要ですし、人間を集めておく施設も必要です。
化け物の召喚に関しても、出来る人間、いや、エルフには簡単だが、できない奴は一生出来ないもののようです。
もちろん、怪しげな魔法陣や、マナだか魔力だかが集まりやすい場所も必要だとか>
「そしてもちろん、我々はそれらを放置しておくほど自殺願望は強くない?」
砕かれたばかりの希望は、形を取り戻そうとしていた。
確かにこの世界はご都合主義に塗れている。
だが、だからといって何でも出来るわけではない、ということか。
重くなっていた気持ちが軽くなる。
考えてみれば、ゾンビや化け物の集団が出てきたところで、砲爆撃で揉み潰してやればいいわけだ。
都心では不可能な事だが、大平原ならばなんだって出来る。
<そういう事です。必要とあれば毒ガスでも核兵器でも、全てを使う覚悟と用意を進めています。
ああ、もちろんの事ですが、これらは墓場の中まで持っていってください>
「心得ています」
左右を見回し、室内に誰もいないことを確認する。
<そんな壮大なストーリーも隠されてはいますが、まずは目の前の外地産国産牛の確保が最優先です。
一週間以内に移動の準備を整えてください。後任の部隊は既に出発の準備を整えつつあります>
いきなりの話に、佐藤は全く付いていけなかった。
「そりゃあ私も国産牛は好きですが、一週間ですか?
私は長い転戦の果てにようやく帰ってきたばかりなのですが」
<まあ、正式な命令書もじきにFAXされるはずです。
移動の準備をしておいて下さい。通信オワリ>
ブツリと通信は切断され、そして佐藤たちは大慌てで移動の準備を開始した。